JP2804240B2 - 土壌改良剤及びその使用方法 - Google Patents

土壌改良剤及びその使用方法

Info

Publication number
JP2804240B2
JP2804240B2 JP7065154A JP6515495A JP2804240B2 JP 2804240 B2 JP2804240 B2 JP 2804240B2 JP 7065154 A JP7065154 A JP 7065154A JP 6515495 A JP6515495 A JP 6515495A JP 2804240 B2 JP2804240 B2 JP 2804240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
acid
phenolic
continuous cropping
phenolic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP7065154A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08239661A (ja
Inventor
幹夫 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IBARAKI PREFECTURAL GOVERNMENT
Original Assignee
IBARAKI PREFECTURAL GOVERNMENT
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IBARAKI PREFECTURAL GOVERNMENT filed Critical IBARAKI PREFECTURAL GOVERNMENT
Priority to JP7065154A priority Critical patent/JP2804240B2/ja
Publication of JPH08239661A publication Critical patent/JPH08239661A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2804240B2 publication Critical patent/JP2804240B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール性酸を含有
する土壌改良剤であって、特に土壌の連作障害を改良す
るのに好適な土壌改良剤に関する。
【0002】
【従来の技術】畑作物の多くは、連作すると生育不良、
収量低下、品質の悪化等の、いわゆる連作障害を起す。
このような連作障害の主たる原因は、病害虫によるもの
とされている。従来では、その対策として、薬剤(例え
ば、商品名「クロルクリン」)による土壌消毒や化学
合成農薬の繰り返し使用という対症療法的な手段が採ら
れている。しかし、土壌消毒剤や化学合成農薬の長期連
続使用は、それらの成分物質の土壌への蓄積、大気への
拡散による環境汚染、及び作物への残留等があり、人畜
への悪影響が懸念されるところである。
【0003】そこで、自然生態系で起る植物−微生物の
間及び植物−植物の間の有効反応を利用した環境に与え
る影響の少ない農業技術の開発が望まれている。例え
ば、ネコブセンチュウ害に対し、対抗作物としてマリー
ゴールドを作付けすることにより、センチュウ密度を低
下させる方法や、非病源性フザリウム菌接種により作物
に病害抵抗性を付与する生物防除技術等が挙げられる。
さらに、従来からの連作障害を軽減するため、陸稲など
のイネ科作物を輪作作物として導入し、3〜4年の輪作
体系のなかで作付計画を行ってきた。野菜等畑作物の輪
作作物、あるいはクリーニングクロップとして陸稲を作
付けすることは既に広く行われてきたが、その作用機作
については明らかになっていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】前述のように、環
境や安全性について懸念の持たれている化学合成農薬に
頼らない植物病害防除システムの確立が消費者及び生産
者から望まれている。しかし、野菜の銘柄産地化や産地
間競争の展開により、単一作物の連作を余儀なくされて
いるのが実状である。そのため、土壌消毒や化学合成農
薬の多施用により、特定の作物の連作を維持せざるを得
なくなっている。既に述べた通り、陸稲等イネ科作物を
入れた数年の輪作が土壌病害等の発生を少なくし、農薬
使用量を削減させることは既に明らかとなっている。し
かし、このような輪作を行うことは、経済性、販路の維
持、産地の信頼性等の問題から、現実には困難である。
【0005】こうした背景から、本件発明者は、輪作作
物として陸稲を作付けしたと同等の効果をもつ方法につ
いて模索した。具体的には、陸稲のもつ輪作効果のメカ
ニズムを明らかにし、その原理を応用すれば化学農薬の
使用が省略、あるいは低減できるのではないかと考え
た。本発明は、このような観点から、自然生態系の有効
反応のメカニズムを活用し、新しい作物病害防除システ
ムの開発を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記目的を
達成するため、栽培後土壌に還元される陸稲根中の成分
を検討し、その陸稲根中に比較的多量に含まれているフ
ェノール性酸類を土壌改良剤として利用するものであ
る。さらに、この陸稲根中に含まれるフェノール性酸類
は、それらをガスクロマトグラフ質量分析計で同定する
と、p−クマル酸(4−Hydroxycinnami
c acid)、フェルラ酸(4−Hydroxy−3
−methoxycinnamic acid)、バニ
リン酸(4−Hydroxy−3−methoxybe
nzoic acid)、p−ヒドロキシ安息香酸(4
−Hydroxybenzoic acid)であるこ
とが確認できる。
【0007】フェノール性酸類は、水には難溶であるが
メタノール、エチルエーテル等の有機溶媒には易溶、希
アルカリ水に易溶である。また、このようなフェノール
性酸類は、市販されており、薬品販売会社を通して安定
して入手することができる。このため、市販のフェノー
ル性酸類を使用し、これを水酸化ナトリウム及び水酸化
カリウム溶液で溶解し、中和する等して使用することも
できる。
【0008】さらに、アルカリ溶液で溶解中和したフェ
ノール性酸塩を適濃度に水で希釈して施用するほか、凍
結乾燥し、粉体化するか、ゼオライト等固形物に吸着さ
せたのち土壌に施用することが可能である。また、肥料
や農薬に混ぜて使用することもできる。このようなフェ
ノール性酸を含有する土壌改良剤を使用するときは、そ
れを土壌中に施した後或る程度の期間放置することによ
り、土壌微生物でフェノール性酸を分解させ、その後、
作物を播種または植付する。
【0009】
【作用】従来において、フェノール性酸類は、作物にと
って有害物質と考えられており、高濃度では生育阻害を
起こすことなどから、いわゆる“忌地現象”の原因物質
と考えられてきた。このため、土壌病害の軽減や作物の
生育促進という視点からの使用例はない。しかし、後述
する実施例からも明らかなように、フェノール性酸の一
部は低濃度では作物根の伸長を促進するものや、高濃度
では土壌病原菌に対し殺菌、静菌作用のあるものもあ
る。すなわち、フェノール性酸は、それが土壌中にかん
注されることにより、土壌微生物相が改善され、土壌病
原菌密度が相対的に低下すること、土壌病原菌に対し、
直接殺菌効果および静菌作用を有すること、土壌微生物
に分解される過程の低濃度では、作物根の伸長促進効果
があることなどが認められた。しかも、フェノール性酸
は、土壌中において土壌微生物により速やかに分解され
ることから、土壌改良剤として使用することは作物の土
壌病害等の発生等を防止するのに有効である。
【0010】ただし、フェノール性酸が土壌中に高濃度
で存在すると、作物に害作用を及ぼすことや、土壌微生
物の増殖を急激に引き起こすことなどにより、ゴボウの
発芽阻害を招くことがある。そこで、フェノール性酸を
含む土壌改良剤を土壌中に施した後、土壌中にある程度
の期間放置することで、微生物により分解させると、こ
うした弊害は起りにくくなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について、具体的かつ
詳細に説明する。ただし、本発明は以下の具体例に限定
されるものではない。 (実施例1)陸稲根中に含まれるフェノール性酸の同定 陸稲(品種:トヨハタモチ)を2000分の1のワグネ
ルポットに栽培し、収穫時に根に付いた土を落し、陸稲
根中のフェノール性酸を2規定水酸化ナトリウムにて抽
出し、定量した。その結果、乾燥した陸稲根1kg当り
に含まれていたフェノール性酸の重量を、その種類ごと
に表1に示した。なお、p−ヒドロキシ安息香酸は痕跡
が認められた。
【0012】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ フェノール性酸名 p−クマル酸 フェルラ酸 バニリン酸 ──────────────────────────── 含有量(mg) 2800 1500 250 ────────────────────────────
【0013】土壌中に残る乾燥した陸稲根量を10アー
ルあたり300kgと仮定し、10アール土壌還元され
るフェノール性酸量を計算すると、p−クマル酸840
g/10a、フェルラ酸450g/10a、バニリン酸
75g/10a、合計1365g/10aとなる。
【0014】(実施例2)ゴボウ連作障害軽減試験 ゴボウの連作障害が激しく発生する4年連作栽培畑に、
陸稲根中に多量に含まれていたp−クマル酸及びフェル
ラ酸の1000ppmのアルカリ水溶液溶解中和液を、
各々10アール当り300リットル相当量散布し、その
後のゴボウの生育及び収量を調査した。1回処理は、ゴ
ボウ播種時のみに散布し、2回処理は、播種時とその3
0日後に各々散布した。播種93日後のゴボウの草丈、
葉面積の生育及び収穫時の全根重、根長の収量につい
て、無処理区を100とした指数で表した結果を図1に
示した。
【0015】フェルラ酸で2回処理をしたものが、草
丈、葉面積の生育、全根重、根長の収量とも最も優れ、
次にp−クマル酸で1回処理したものの効果が高かっ
た。フェルラ酸で1回処理したもの及びp−クマル酸で
2回処理したものは、前記の場合に比べるとやや劣る
が、無処理の場合よりは優っており、ゴボウ連作障害軽
減効果が明らかに認められた。
【0016】(実施例3)ゴボウ発芽障害軽減試験 ゴボウの4年連作土では、ゴボウ種子の不発芽、立枯れ
症状が発生し、欠株が多くみられた。そこで、この土壌
を採取し、1000ppmの各フェノール性酸のアルカ
リ溶解中和塩液(以下、「フェノール性酸」とは、フェ
ノール性酸のアルカリ溶解中和塩液を指す)を、風乾土
500gに対し200mlずつかん注処理した。その
後、30℃の恒温器内に1週間静置後、ゴボウを播種
し、その発芽に及ぼす影響を調査した。その結果を表2
に示す。
【0017】
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 使用フェノール性酸名 濃度(ppm) 発芽率(%) ─────────────────────────────── p−クマル酸 1000 50 フェルラ酸 1000 60 p−ヒドロキシ安息香酸 1000 100 無処理 −− 20 ───────────────────────────────
【0018】前記の結果から明かな通り、p−ヒドロキ
シ安息香酸で処理した場合が、発芽率100%と最も高
く、次いでフェルラ酸で処理した場合の発芽率60%、
p−クマル酸で処理した場合の発芽率の50%の順に高
かった。これに対し、無処理の場合の発芽率は、20%
であり、フェノール性酸で処理した場合に比べて明らか
に低かった。
【0019】(実施例4)ゴボウ苗立枯れ病防除効果 前記したゴボウの不発芽や苗立枯れ病は、リゾクトニア
・ソラニ菌(Rizoctonia・solani)等
の病原菌に起因することが知られている。そこで、茨城
県農業試験場が分離したゴボウ苗立枯れ病原菌を黒ボク
土に接種し、これに各フェノール性酸をかん注し、ゴボ
ウの発芽および苗立枯れ病に及ぼす影響を調査した。こ
こで、1回目の発芽試験は、病原菌接種後、フェノール
性酸をかん注し、2日後にゴボウを播種したもので、2
回目の発芽試験は、1回目の発芽ゴボウを抜き取り、か
ん注から26日後に再播種したものである。その結果を
表3に示した。
【0020】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 供試フェノール性酸 添加量 1回目 2回目 (mg/kg風乾土) ────────────── 発芽率(%) 発芽率(%) 草丈(cm) 根長(cm) ─────────────────────────────────── p−クマル酸 250 20 20 8.5 29.0 500 20 100 7.2 12.4 1000 10 100 6.6 16.0 ─────────────────────────────────── フェルラ酸 250 10 60 7.7 20.5 500 20 80 7.6 16.2 1000 90 100 5.9 10.6 ─────────────────────────────────── p−ヒドロキン 250 60 40 7.0 10.3 安息香酸 500 10 100 6.3 14.8 1000 50 100 6.4 10.8 ─────────────────────────────────── 対照(菌株接種) − 10 0 無処理(菌株無接種) − 90 90 3.7 2.8 ───────────────────────────────────
【0021】菌株接種後2日目に播種した1回目の発芽
試験では、フェノール性酸による処理と発芽との間に明
瞭な関係はみとめられなかった。しかし、2回目の発芽
試験の26日後の再播種は、菌株接種の対照が発芽率0
%に対し、p−クマル酸、フェルラ酸、p−ヒドロキシ
安息香酸を、何れも風乾土1kgにつき500mg以上
かん注処理した場合に発芽率が80〜100%と、高く
なった。このことから、フェノール性酸が土壌中に高濃
度で存在すると作物に害作用を及ぼすことや、土壌微生
物の増殖を急激に引き起こすことなどにより、ゴボウの
発芽が阻害されることが認められる。このため、フェノ
ール性酸は、施用の後土壌中にある程度の期間放置し、
微生物によって分解されることが必要なことを示してい
る。
【0022】(実施例5)土壌中での分解 フェノール性酸類を土壌に施用し、微生物熱量計で土壌
微生物量の変化を調べると、図2に示すように速やかに
土壌微生物の増殖が起こることが確認される。このこと
は、フェノール性酸類が土壌微生物によって分解されて
いるためと考えられる。そこで、高圧蒸気滅菌土と非滅
菌土の各々風乾土50gに10mgのp−クマル酸を添
加し、その残留量を調査した。その結果を表4に示し
た。
【0023】
【表4】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 培養日数 7日 14日 21日 単位(mg) ────────────────────── 非滅菌土 1.2 0 0 滅菌土 9.8 8.3 10.0 ──────────────────────
【0024】この結果から、非滅菌土ではp−クマル酸
が1週間で90%分解したが、滅菌土ではp−クマル酸
の減衰が起こっていないことが分かる。この結果、p−
クマル酸は土壌微生物により分解されることが明らかに
なった。また、他のフェノール性酸類も土壌中で速やか
に分解されることが確認されている。
【0025】(実施例6)土壌微生物への影響 フェノール性酸類の作物生育促進効果や土壌病害軽減効
果の機作を明らかにするうえで、土壌微生物に及ぼす影
響を知ることは重要である。そこで、黒ボク土にフェノ
ール性酸を加え、温度25℃で1週間培養した後、希釈
平板法で各微生物の数を計測した。その結果を各フェノ
ール性酸の種類毎に表5に示した。また、糸状菌類に占
める主要糸状菌種の数と割合を図3に示した。なお、表
中のグルコースは炭素源として対照に用いた。
【0026】
【表5】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 微生物の種類 糸状菌数 フザリウム菌数 フザリウム率 放線菌数 全菌数 ×103 ×102 (%) ×106 ×106 ─────────────────────────────────── p−クマル酸 1688(35.2) 210 12.4 4 134 フェルラ酸 802(16.7) 196 24.4 4 236 p-ヒト゛ロキシ安息香酸 1825(38.0) 104 5.7 4 358 バニリン酸 492(10.3) 170 34.6 4 444 グルコース 125( 2.6) 32 25.8 38 106 無処理 48( 1 ) 3 7.1 4 38 ─────────────────────────────────── フザリウム率=フザリウム菌数/糸状菌数×100 糸状菌数の欄の( )内の数値:無処理に対する倍数
【0027】フェノール性酸類は土壌糸状菌類を増殖さ
せる効果が高かった。また、増殖した糸状菌種は、p−
ヒドロキシ安息酸やp−クマル酸で処理した場合、病原
菌の発生を抑える種類の多いペニシリウム属が85%以
上を占め、病原菌の占める割合の多いフザリウム属は1
0%以下であった。これに対し、フェルラ酸、バニリン
酸で処理した場合は、ペニシリウム属が50〜60%、
フザリウム属が20〜30%を占め、フェノール性酸の
違いによる増殖糸状菌の特異性が認められた。このこと
は、フェノール性酸は土壌微生物相、特に土壌糸状菌相
を改変することを示している。
【0028】(実施例7)土壌病原菌に対する抑制効果 フェノール性酸類が土壌病原菌に対し、直接に殺菌や静
菌作用を有するかを明らかにするため、次の試験を実施
した。すなわち、各フェノール性酸入りPDA培地(デ
キストロース加用ジャガイモ煎汁寒天培地)を作成し、
リゾクトニア・ソラニおよびフザリウム・オキシスポラ
ムの叢菌デイスクを径90mmのシャーレの中の培地の
中央に置床し、菌糸伸長量を調査した。その結果を、表
6に示す。
【0029】
【表6】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ フェノール性酸 処理濃度 菌株名 R.solani F.oxysporum 菌糸伸長 同指数 菌糸伸長 同指数 (ppm) (mm) (mm) ──────────────────────────────────── p−クマル酸 100 48.4 100 52.4 98.1 1000 38.4 79.3 0 0 フェルラ酸 100 42.6 88.0 47.2 87.9 1000 27.4 56.6 36.6 68.5 p−ヒドロキシ安息香酸 100 50.0 101.3 54.4 101.9 1000 50.7 101.4 54.2 101.5 バニリン酸 100 48.8 101.8 54.4 101.9 1000 48.6 100.4 46.6 87.3 無処理 − 48.4 100 53.4 100 ────────────────────────────────────
【0030】この結果から、リゾクトニア・ソラニに
し殺菌作用を有し、フザリウム・オキシスポラムに対
し、1000ppmのp−クマル酸が殺菌作用を有する
ことが認められた。また、フェルラ酸はリゾクトニア・
ソラニ並びに、フザリウム・オキシスポラムに対し、菌
糸伸長を抑制する効果が認められた。
【0031】(実施例8)作物根の伸長促進並びに阻害
効果 各フェノール性酸が作物に及ぼす影響を明らかにするた
め、次の試験を実施した。直径4cm、高さ30cmの
大形ガラスチューブに濃度を変えた各フェノール性酸と
1%の素寒天とを加え、高圧蒸気滅菌器で殺菌し、放冷
後に陸稲種子とゴボウ種子とをこのフェノール性酸入り
の寒天上に置き、温度25℃の人工気象室内で無菌的に
2週間生育させ、根の伸長を調査した。その結果、10
粒平均の根長について、無処理の場合の陸稲根長9.6
cm、ゴボウ根長5.6cmを各々100とする指数で
表7に示した。
【0032】
【表7】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ フェノール性酸名 作物名 濃度(ppm) 25 50 100 200 ───────────────────────────────── p−クマル酸 陸 稲 100 106 63 0 ゴボウ 85 90 84 0 フェルラ酸 陸 稲 114 114 63 0 ゴボウ 134 124 73 0 p−ヒドロキシ 陸 稲 112 102 96 78 安息香酸 ゴボウ 157 115 90 62 バニリン酸 陸 稲 107 95 100 80 ゴボウ 101 98 98 54 ─────────────────────────────────
【0033】各種フェノール性酸とも、濃度200pp
mの処理で陸稲、ゴボウとも強い根長阻害効果が認めら
れたが、濃度50ppm以下では、フェノール性酸の多
くは、むしろ根の伸長促進効果が認められた。
【0034】
【発明の効果】以上説明した通り、野菜等の連作障害軽
減のために陸稲輪作を行った場合、その連作障害軽減の
作用機作は、陸稲根中のフェノール性酸が土壌中に発現
することによりなされることが明かになった。そして、
このフェノール性酸を土壌中に適用することで、土壌微
生物相が改善され、土壌病原菌密度が相対的に低下する
こと、土壌病原菌に対し、直接殺菌効果および静菌作用
を有すること、土壌微生物に分解される過程の低濃度で
は、作物根の伸長促進効果があることなどが認められ
た。
【0035】本発明による土壌改良剤は、この自然生態
系内の有効反応の機作を有効に活用するものであって、
市販されており、市場で安定して入手可能な各種フェノ
ール性酸のアルカリ溶解中和液を土壌に施用すること
で、陸稲輪作と同様の効果を奏することを可能とするも
のである。これにより、無農薬、あるいは省農薬による
作物生産を可能にし、人の健康は勿論、自然生態系や環
境保全に役立つ。このように、本発明は、環境保全型農
業が求められている現代の技術的要請に適合するもので
あり、また、自然生態系内の有効反応の原理を活用し
た、新しい植物病害防除システムに途を拓くものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴボウの連作栽培畑にp−クマル酸及びフェル
ラ酸のアルカリ水溶液溶解中和液を散布し、播種したゴ
ボウの草丈、葉面積の生育及び収穫時の全根重、根長の
収量を無処理区に対する指数で表したグラフである。
【図2】フェノール性酸類を土壌に施用し、その後の土
壌微生物量の変化を示すグラフである。
【図3】黒ボク土にフェノール性酸を加えて培養した後
の糸状菌類に占める主要糸状菌種の数と割合を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09K 101:00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陸稲根中に存在するフェノール性酸を含
    有することを特徴とする連作障害改良用土壌改良剤。
  2. 【請求項2】 フェノール性酸が水酸化ナトリウム及び
    水酸化カリウムの溶液で溶解され、中和されていること
    を特徴とする請求項1に記載の連作障害改良用土壌改良
    剤。
  3. 【請求項3】 フェノール性酸がp−クマル酸、フェル
    ラ酸、p−ヒドロキシ安息香酸及びバニリン酸から選択
    された1種以上であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の連作障害改良用土壌改良剤。
  4. 【請求項4】 フェノール性酸が乾燥され、粉末化され
    ていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の
    連作障害改良用土壌改良剤。
  5. 【請求項5】 フェノール性酸が固形物に吸着、保持さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載
    連作障害改良用土壌改良剤。
  6. 【請求項6】 フェノール性酸が農薬または肥料に添加
    されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記
    載の連作障害改良用土壌改良剤。
  7. 【請求項7】 前記請求項1〜6の何れかのフェノール
    性酸を含有する連作障害改良用土壌改良剤を土壌中に施
    した後、作物の土壌への適用の前に放置することによ
    り、土壌微生物でフェノール性酸を分解させることを特
    徴とする連作障害改良用土壌改良剤の使用方法。
JP7065154A 1995-02-28 1995-02-28 土壌改良剤及びその使用方法 Expired - Fee Related JP2804240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7065154A JP2804240B2 (ja) 1995-02-28 1995-02-28 土壌改良剤及びその使用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7065154A JP2804240B2 (ja) 1995-02-28 1995-02-28 土壌改良剤及びその使用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08239661A JPH08239661A (ja) 1996-09-17
JP2804240B2 true JP2804240B2 (ja) 1998-09-24

Family

ID=13278689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7065154A Expired - Fee Related JP2804240B2 (ja) 1995-02-28 1995-02-28 土壌改良剤及びその使用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2804240B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4551634B2 (ja) * 2003-07-15 2010-09-29 佶 是木 土壌改良材および連作障害防止材
WO2016017894A1 (ko) * 2014-07-30 2016-02-04 주식회사 아미코스메틱 밭벼 추출물을 포함하는 화장료 조성물 및 이의 제조방법
CN107094389B (zh) * 2017-05-08 2018-03-06 云南石屏丽然花卉果蔬产业有限公司 用于花卉连作障碍病土消毒的有机制剂及应用
CN107135699B (zh) * 2017-05-08 2019-04-26 云南丽然农业科技发展有限公司 用于香蕉连作障碍病土消毒的有机制剂及应用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2699127B2 (ja) * 1991-10-22 1998-01-19 大日精化工業株式会社 芝生生育保持剤

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08239661A (ja) 1996-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
García et al. Effect of inoculation of Bacillus licheniformis on tomato and pepper
Zafar-ul-Hye et al. Application of ACC-deaminase containing rhizobacteria with fertilizer improves maize production under drought and salinity stress
Li et al. Antibacterial activity of Lansiumamide B to tobacco bacterial wilt (Ralstonia solanacearum)
BG112709A (bg) Бактериалният щам bacillus amyloliquefaciens subsp. plantarum bs89 като средство за повишаване на продуктивността на растенията и тяхната защита срещу болести
Yangui et al. Potential of hydroxytyrosol-rich composition from olive mill wastewater as a natural disinfectant and its effect on seeds vigour response
CN110724648A (zh) 一种解淀粉芽孢杆菌菌株及其应用
HUE026036T2 (en) Biofertilizer preparation
WO2011099878A2 (en) Organic pesticide
JP3135708B2 (ja) 植物病原菌防除剤および該防除効果を有する有機質肥料
JP2804240B2 (ja) 土壌改良剤及びその使用方法
CN116210728B (zh) 一种杀菌剂及其制备方法和应用
CN112438148A (zh) 一种新型大姜土传病害绿色高效防控方法
JP3237240B2 (ja) 植物病害防除剤
Michel Ten years of biofumigation research in Switzerland
CN108849985B (zh) 一种三元复配生物菌剂及其在姜瘟病防治中的应用
JP2000191421A (ja) 植物生長促進剤
JP3132195B2 (ja) 新規微生物および植物病害防除剤
KR20180120563A (ko) 정균형미생물군, 발효형미생물군 및 합성형미생물군과 유기질원료로 제조된 유기비료 제조방법 및 그 제조방법으로 생성된 유기비료
JP2001206811A (ja) 植物疫病の防除剤および防除方法
JP5223132B2 (ja) 植物の病原菌感染抑制剤及び病原菌感染抑制方法
Al-Karaawi et al. Integrated Control of White Rot in Eggplant by using Pseudomonas flourescens, Penicillium Commune and Trichoderma asperellum in Iraq
RU2295562C1 (ru) Штамм бактерий bacillus spp. kr-083 в качестве средства для защиты растений от фитопатогенных микроорганизмов и стимуляции их роста
Sukmaningrum et al. Response of Microorganism Suspension and Various Kinds of Organic Fertilizers to the Development of Pathogen Fusarium sp. on Shallots
Chuaboon et al. New application strategies of wood vinegar for managing rice disease under farming production
JPH05310521A (ja) シュードモナス・クロロラフィス処理によるグラム陽性細菌 起因作物病害防除法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees