JP2802130B2 - 人工衛星の軌道変更方法及び軌道変更装置 - Google Patents

人工衛星の軌道変更方法及び軌道変更装置

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JP2802130B2 JP50860789A JP50860789A JP2802130B2 JP 2802130 B2 JP2802130 B2 JP 2802130B2 JP 50860789 A JP50860789 A JP 50860789A JP 50860789 A JP50860789 A JP 50860789A JP 2802130 B2 JP2802130 B2 JP 2802130B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] この発明は、目標衛星に対して軌道変更装置を宇宙空
間で接近させて結合させ、結合系を形成した後、推力を
用いて、この結合系の軌道を変更させると共に、変更後
の軌道において、所定のタイミングで前記目標衛星との
結合を解除して前記目標衛星を最終軌道に投入し、前記
軌道変更装置を再利用するに便利な前記最終軌道と異な
る軌道に投入する人工衛星の軌道変更方法及び軌道変更
装置に関する。
[背景技術] 人工衛星の周回軌道は、それぞれの使用目的に応じて
定められたものとなっているが、通信衛星や気象観測衛
星などのいわゆる静止軌道衛星はその寿命が終わるまで
所定軌道上を保持する必要がある。したがって静止軌道
衛星の寿命が終わるかまたは作動不能となると、廃棄し
て所定軌道外に移動させないと、その位置に新しい衛星
を設置することができない。
軌道修正装置は、この廃棄すべき目標衛星に接近し捕
捉連結したのち、その推力により連結した結合系もろと
も所定軌道から離脱させる。
このような軌道修正装置を用いた従来の人工衛星の軌
道変更方法では、例えば第1図に示すようにあらかじめ
軌道半径Rの原軌道O1上を周速度VCで周回する軌道修正
装置が目標衛星を地点P1でこれを捕捉連結し、この両者
より成る結合系に速度増分ΔVを得るように推力を発生
させる。この速度増分ΔVが次式で表されるものである
とき、 (Vc+ΔV2)=μ(2/R−1/a) …(1) (ただしμは重力係数で地球に対する場合は638,603Km3
/s2である) 軌道修正装置と目標衛星との結合系はaを長軸半径と
する遷移軌道たる楕円軌道O2に乗る。目標衛星はこの楕
円軌道O2上で分離され、新しい軌道を獲得する。
第2図は、軌道の変更動作をより詳しく説明する図で
あり、遷移軌道O2の遠地点P2は原軌道より近似的に だけ高い。
軌道修正装置を再利用する場合には、軌道O2上の前記
原軌道O1と接する点P1で、前記速度増分ΔVを得たと同
様に推力を逆方向に発生して原軌道O1に戻る必要があ
る。
更にもとの円軌道をよぎらないようにするには、例え
ば第2図に示すように軌道修正装置は遠地点P2でさらに
速度増分ΔV′となるように推力を発生すると、この結
合系は軌道O3上に乗る。目標衛星は軌道O3上を周回し
て、前記の近地点P1より離れた軌道O3の近地点P3を過
る。すなわち目標衛星は初期の軌道を過らない新しい軌
道O3を獲得する。
従来軌道修正装置を再利用する場合には、軌道O3上の
適切な地点、例えば前記地点2で目標衛星との連結を解
除し、軌道O2に再び移るように逆方向に推力を発生し、
近地点P1において再び推力を発生して軌道O1に復帰す
る。軌道修正装置はこのように軌道O1を周回することに
より、再利用される。
上述したように、従来軌道修正装置を再利用したい場
合にあっては、一旦原軌道を離脱して目標衛星を新軌道
に投棄してから、更に逆方向の推力を用いて元の円軌道
に戻る必要がある。このとき、軌道修正に必要な速度増
分は新しい軌道を得るために必要とした速度増分にほぼ
等しく多量の推力エネルギーを必要とした。このため、
実際に軌道修正装置を再利用したいにも拘らず、軌道修
正装置は、目標衛星と共に投棄してしまい再利用してい
なかった。
又、軌道修正装置を目標衛星と共に投棄軌道に移すに
しても本来、全く同じ投棄軌道に移す必要がないにも拘
らず、一旦、共に移さざるを得なかった。このことは、
所要エネルギーの面から見ると無駄なことであった。
[発明の開示] この発明は上述の事情に鑑みて為されたものであり、
軌道修正装置を打ち上げ宇宙空間で目標衛星を捕捉した
後、少ないエネルギー消費量で目標衛星を切り離して新
しい軌道に軌道変更させると共に軌道修正装置を原軌道
に戻して再利用することのできる人工衛星の軌道変更方
法及び軌道変更装置を提供することを目的とする。
この発明の人工衛星の軌道変更方法は地球周回軌道上
の目標衛星に接近させ、前記軌道変更装置に装着され、
連絡部材の先端に設けられた捕捉具で目標衛星を捕捉し
て結合系を形成し、前記連結系の軸方向に対して垂直方
向に少なくとも1回、推進力を発生させて、前記結合系
の重心周りの回転運動と、重心の新たな並進運動とを同
時に発生させて、この結合系を遷移軌道に移す。前記遷
移軌道において、前記結合系の軸方向と軌道速度ベクト
ルとが垂直となったタイミングで前記結合系を解除し
て、前記目標衛星を最終の目標軌道に投棄し、切り離さ
れた前記軌道変更装置は再利用可能とするため、少ない
エネルギー消耗量により略原軌道に戻すことができる。
又、この発明の人工衛星の軌道変更装置は、本体に一
端が装着され、他端に目標衛星を捕捉するための捕捉部
材が設けられている連結部材を有し、この連結部材を介
し、目標衛星と軌道変更装置とで結合系を形成する。前
記本体には地上から送信される軌道情報と組合されて前
記軌道変更装置の軌道速度ベクトルと、姿勢を検知する
センサー、前記本体の軌道を変更制御する手段、軌道上
の前記本体の姿勢を変更する手段が含まれる。
更に、前記本体には前記結合系の軸方向に対して垂直
方向に推進力を発生する推進機が設けられ、この推進機
はその推進力軸が軌道速度ベクトルと平行になるのと同
期して駆動されるように推進機の駆動制御手段と、前記
結合系の軸方向が前記軌道速度ベクトルと垂直になるタ
イミングで前記結合系を解除して、前記目標衛星を最終
の目標軌道に投入し、切り離された前記軌道変更装置は
再利用を可能とするための略原軌道に戻すよう制御する
前記捕捉部材駆動制御手段とより構成される。
[図面の簡単な説明] 第1図は地球周回軌道と、軌道変更された遷移軌道と
の関係を示す図;第2図は第1図に示す軌道変更の動作
をより詳細に示す図;第3図は本発明の軌道変更装置
が、目標衛星を捕捉しようとする状態を説明する概略斜
視図;第4図は軌道変更装置に推力を与えると軌道変更
装置と目標衛星とで成る結合系の重心において並進速度
ΔVと、重心周りの回転速度が得られることを模式的
に示す図;第5図は遷移軌道上において、軌道変更装置
に継続的に推力を与える実施例を示す図;第6図は軌道
変更装置に継続的に推力を与える実施例を示すと共に、
その時の結合系の姿勢を示す図;第7A図と第7B図は遠地
点と近地点における目標衛星の分離動作と、その後の軌
道変更装置と目標衛星の夫々の軌道を示す図;第8A図と
第8B図は遠地点での軌道変更を計算機シミュレーション
した図及びその部分拡大図;第9A図と第9B図は近地点で
の軌道変更を計算機シミュレーションした図及びその部
分拡大図;第10図は所定の質量化における、軌道変更に
要する燃料消費量を従来と本発明との比率で比較する
図;第11図は、伸縮自在のブームの構造の一実施例を示
す外観斜視図;第12図は、ブームとしてケーブルを使用
した場合のケーブルを駆動するための駆動構成を示す概
略斜視図、第13図は、この発明の軌道変更装置の本体内
に収納される構成部分を示す一実施例図;第14図は第13
図に示す推進機の動作を説明するブロック図;第15図は
この発明の軌道変更装置から目標衛星を切り離す際の動
作を説明するブロック図を示す。
[実施の最良の形態] 以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
第3図は、この発明の軌道変更装置1が目標衛星2を
捕捉しようとしている状態を示す夫々の斜視図であり、
軌道変更装置1にはブーム3が一端を固定され、他の先
端には、捕捉金具4が取付けられている。この捕捉金具
4はこの第3図には図示されていないが前記捕捉金具の
捕捉動作の制御をする制御部によって前記目標衛星2を
捕捉する。前記軌道変更装置1は外側に軌道制御用推進
機18及び地上からの軌道情報などを受信するアンテナ6
が取付けられる。
前記軌道修正装置1と、前記目標衛星2とは捕捉時に
ブーム3を介して結合され、ダンベル状の結合系を形成
する。
前記結合系は、ダンベルの一方の質量である軌道修正
装置の重心に、軸方向に対して垂直方向に推進力を与え
ることによって軌道上での並進速度増分と重心周りの回
転運動を誘起させる。並進速度増分によって前記結合系
は遷移軌道に乗る。またダンベルの一方の質量に着目す
ると地球中心に対する角運動量は周期的に変化してい
る。結合系全体の角運動量は一定であるので、ダンベル
の両質点間で角運動量を周期的に変換させることとな
る。この角運動量の変換によって、所定のタイミングで
前記捕捉金具4の捕捉を解くことによって、前記目標衛
星2は目標とする軌道に移される。
第4図は前記結合系が原軌道速度VCで移動中に前記軌
道変更装置1に推力を与えると、結合系の重心におい
て、軸方向に垂直方向の速度ΔVと重心周りの回転速度
が得られる動作を模式的に示す図である。図で軌道修
正装置1を質量m1の質点1′で示し、目標衛星2を質量
m2の質点2′て示す。前記質点1′,2′間の距離をlと
し、質点1′において前記ブームに直交する方向に推力
Fを時間Δtの間、作用されると結合系の重心の速度増
分は ΔV=rlFΔt/m1 …(1)で表わされ、重心周りの回
転速度は =FΔt/lm1 …(2)で表わされる。
ここで、r1=m1/(m1+m2) r2=m2/(m1+m2)である。
前記結合系の長手方向と、軌道速度ベクトルの角度φ
が直交する場合には原軌道の速度Vcと重心における速度
増分ΔVとが平行となる。以後の説明では、軌道速度を
増加させる方向にΔVが作用する場合について説明す
る。前記推力Fを与える時間Δtが大となると前記角度
φは直角状態から外れてしまい、速度増分の損失につな
がる。この損失を少なくするために第5図及び第6図に
示すように遷移軌道上において、前記結合系の所定の回
転状態に同期させ、継続的に推力Fを発生させることが
有効である。即ち第5図においては、原移動のφ=πの
ときを最初の噴射点Aにおいて推力F1をΔt1だけ与え、
遷移軌道上のB点を第2の噴射点として推力F2をΔt2
け与える例が示される。
第6図は、原軌道で推力F1をΔt1だけ与え、中間遷移
軌道において前記結合系が原軌道における姿勢と同一の
姿勢のときに軌道変更装置1に推力F2をΔt2だけ与える
ことにより最終遷移軌道に移すことができる。
前記結合系の重心が第1図に示したように遷移軌道O2
に移動り、且つ第4図に示したように重心周りに一定の
回転速度で回転する。回転角がφ=3π/2であると
き、第4図に示す質点1′は重心の速度より だけ速度が異なり、質点2′は重心の速度より ΔV2′=φr1=Δt …(4) だけ速度が異なる。
従って、第2図に示すように遷移軌道上の遠地点P2
で、前記結合系の2つの質点1′及び2′は夫々ΔV1′
及びΔV2′の速度増分を得たことと等価となる。この遠
地点P2で前記質点2′は原軌道上の近地点P1で得たと同
一の速度増分を得れば質点2′は新らたな軌道半径 の目標衛星軌道である円軌道に質点1′と分離して移さ
れる。このような目標衛星の軌道変更装置からの分離と
その後の軌道は、第7A図、第7B図を参照して説明され
る。
第7A図は、原軌道O1から移された遷移軌道O2上の遠地
点P2で、目標衛星2の質量m2が軌道変更装置1の質量m1
と分離され目標衛星軌道O3をとり、軌道変更装置1は原
軌道O1を過る楕円軌道O4をとる。以上のように目標位置
を目標とする軌道O3に投入するために要した速度増分は
点P1において質点1に対したΔV1だけである。これは回
転運動を伴わない従来の軌道変更において必要とされる
速度増分の半分である。一方軌道変更装置1を原軌道に
戻すためには分離直後に遠地点P2において(r2/r1)Δ
Vだけ増速して再び遷移軌道O2に戻り、次に近地点P1で
ΔVの減速を行う。
一方、第7B図は近地点P1で質量m2が質量m1と分離され
た例を示す。この場合、目標衛星2の質点m2は原軌道速
度Vcに比べ2ΔVの速度増分を得、軌道変更装置1の質
点m1は(1−r2/r1)ΔVの速度増分を得たと等価であ
る。この結果、質点m2は遷移軌道O2の高度より2倍の遠
地点高度増分を得ることになり、質量m1は原軌道O1に極
めて近い軌道O4に留まる。極端な場合はr1=r2=0.5の
とき、質量m1は原軌道に留まることとなる。この場合、
軌道変更装置1は原軌道O1の近くに戻されるので、原軌
道上の他の衛星などにぶつかる可能性はあるが、再利用
が容易である。上述した軌道変更を計算機シミュレーシ
ョンした結果を第8A図、第8B図及び第9A図、第9B図に示
す。静止軌道上の衛星との質量を例にしたものであり、
軌道変更装置と目標衛星は夫々同一であり、両者の結果
系の重心の速度増分を5m/sccとしている。図の座標は軌
道変更操作を行なわないとしたときの衛星重心に固定し
ており座標の縦軸は軌道半径の方向を示し、横軸は軌道
の速度方向を示す。第8B図と第9B図は夫々第8A図と第9B
図に示す座標の原点付近の拡大図を示し、軌道変更装置
が推力を発生した直後の様子を見易く画いたものであ
る。尚、結合系の挙動を見易くするため、ブーム長は実
際よりは長くとってある。結合系の黒丸は軌道変更装置
を示し、白丸は目標衛星を示している。第8図A図及び
第8B図は遷移軌道の遠地点で結合系を切り離す場合を示
し、結合系は速度増分を得て遠地点が略280kmである遷
移軌道をとる。この間、結合系は軌道面内で回転してい
る。原軌道から遷移軌道に移った後、約12時間後に前記
遠地点に達し、その近傍で、前記結合系の軸方向が前記
軌道速度ベクトルと垂直になるタイミングで目標衛星を
軌道変更装置から切り離す。前記目標衛星は静止軌道よ
り280±30kmの軌道半径の略円軌道をとることとなる。
一方、前記軌道変更装置は遠地点が+290km、近地点が
−320kmの楕円軌道をとる。
第9A図及び第9B図は前記軌道変更装置が推力を発生し
た後の短時間経過後であって、結合系が半回転したとき
に目標衛星を切り離す場合を示す。前記目標衛星は遠地
点が560km遠方となる楕円軌道をとり、前記軌道変更装
置は略静止軌道上に留っている。
上述の本発明の軌道変更方法に従来の軌道変更方法と
を比較すると、軌道変更装置が推力を発生した後、結合
系の重心が得る速度増分ΔVは同じであるが、本発明
は、加えて重心周りの回転速度を得ることになるので、
目標衛星が得る速度増分は常に従来の2倍となる。この
ことは、目標衛星を最終軌道に投入するエネルギ、即ち
燃料は1/2で済むことを示している。この場合、前述し
たr1,r2あるいはブーム長lに影響を受けず、遠地点、
近地点であるか否かの影響も受けない。これが可能とな
ったのは軌道変更装置がエネルギを失ったためのであ
り、この軌道変更装置を回収する際の所要燃料の減少を
もたらす効果をも生ずる。
上記軌道変更装置が原軌道に戻るとして、軌道変更に
伴う全体の所要燃料を従来の方法と本発明の方法とによ
る燃料消費量比率を質量比r1に対してプロットした比較
図を第10図に示す。この第10図は、質量比がr1=(m1/
(m1+m2))で表わされるときに、軌道変更装置の質量
m1よりも目標衛星の質量m2が極端に軽い場合に、従来に
対する本発明の燃料消費量は略1/2で済むことがわか
る。又、前記質量m1とm2とが等しい場合には、楕円軌道
で軌道変更のための噴射をした場合の燃料消費量は従来
に比べ略1/3で済むことが知れる。
次に本発明の軌道変更装置について、具体的な構成に
ついて説明する。
第11図は先に図示して説明した軌道変更装置1に装着
された伸縮自在のブーム3の一実施例を示し、ブーム3
が数段に、同軸状に伸縮できる構造である。尚、第3図
と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
第3図及び第11図に示すブーム3は軌道変更装置1と
目標衛星2との夫々の質点を、拘束力のある直線で結ん
だものとして説明したが、これに限らず第12図で示すよ
うに剛性のないケーブルで結んだ構成であってもよい。
この第12図で、捕捉金具4はケーブル8に結ばれ、本体
1上の受具9で受けられる。前記ケーブル8は本体1内
のガイド10を介してドラム11で巻き取り可能とされてい
る。前記ドラム11はドラム駆動装置12で駆動され、巻き
取られたケーブル8は、金具駆動制御装置13に接続さ
れ、更にこの金具駆動制御装置13は中央処理装置14(以
下CPUと略称する)に接続され制御される。
このように剛性のないケーブルが使用できるのは、前
述した結合系の連結部材には軸力しか働かず、しかも、
この軸力としては回転運動による遠心力が支配的であ
り、ケーブル自体が緩むことはほとんどないからであ
る。
前記捕捉金具4を駆動させるための、地上もしくは装
置本体1からの指令信号を受信するため、近傍に無線受
信装置を設けてもよい。前記連結部材がブーム3である
場合、このブームに沿って信号線を配し、補足金具4に
接続させる。又、連結部材がケーブル8である場合には
ケーブル自体を信号線として用いることもできる。又、
結合系を分離する場合、目標衛星1を捕捉している補足
金具4の捕捉を解くことによって分離するが、ケーブル
8及び補足金具4を消耗品とみなして軌道修正装置によ
ってケーブル8の根本を切断することによって分離させ
ることもできる。
一方、ケーブルの巻き取り、巻き伸ばしの機構や制御
技術に関しては、スペースシャトルを用いたテザー衛星
実験などにおいて現在までに充分検討と開発が行なわれ
ているので、この発明の軌道変更装置を実施する上で何
らの技術的障害もない。
上述したように、前記ブーム3は、その伸縮する軸線
方向以外の方向に何らの剛性を必要としない。このため
捕捉及び連結の手段においても、回転を拘束する剛性を
必要としない。
又、ブームと捕捉手段とに作用する力をある限度以下
にするためには、ある程度のブーム長さが必要になる。
たとえば目標衛星を原軌道より200km更に高い軌道に投
入する場合、ブームの長さが5〜10mあれば、遠心力に
よる加速度が1G以下となり、実用上の問題は起きない。
捕捉手段としては電磁駆動爪のなどのように単にブーム
からの軸力に耐える簡単なものでよい。
次に、この発明の軌道変更装置本体内に収納される構
成部分及びその内の推進機の動作及び捕捉した後の目標
衛星を切り離す際の動作について、第13図、第14図及び
第15図を参照して説明する。
第13図に示すように、ブーム3の一端は本体1に装着
され、他端には捕捉金具4が取り付けられ、この捕捉金
具4は金具駆動制御装置13によって開閉制御される。こ
の装置13はCPU14を介してテレメトリコマンド送受信機1
7に接続される。捕捉金具4の操作はテレビカメラ28
(a),28(b)による映像をオペレータが見た上で地
上よりの遠隔操作によって行う。
前記本体1の軌道速度ベクトルと姿勢を検知する手段
として太陽センサ15、地球センサ16から成るセンサ部
と、このセンサ部に接続されるCPU14とが前記本体1内
に収納される。目標衛星2を捕捉した後、主に地上から
の観測によって結合系の軌道を決定し、更に前記太陽セ
ンサ15、及び前記地球センサ16からの天体の方向に関す
るデータを得て各時刻における軌道速度ベクトルと、天
体をみこむベクトルの離角を計算する。更に精密な時々
刻々の姿勢情報はジャイロ21により得られる。テレメト
リコマンド送受信機17は地上からの、これら角度情報を
受信し、解読し、CPU14からの出力を得て軌道制御用推
進機18が推力を発生するよう、その推進機駆動部19を制
御する。前記軌道制御用推進機18及び推進機駆動部19
は、前記軌道変更装置本体に設けられ、該本体の軌道を
変更制御する手段として動作する。その結果、結合系の
ブーム軸が軌道速度ベクトルに垂直で、且つ前記推進機
7の方向が、得ようとする速度増分ベクトルΔVに一致
する初期の姿勢が確保できる。
前記本体1の姿勢はホイール20より成る姿勢変更手段
によって制御される。
前記推進機7は、推進機駆動制御手段としてのバルブ
ドライブ22によって駆動され、燃料供給ラインを介して
燃料タンク23に接続されると共に電線を介して前記CPU1
4に接続される。前記軌道制御用推進機18も、燃料タン
ク24が供給ラインを介して結合されている。
次に第14図の推進機動作の機能ブロック図を参照して
前記推進機7の動作を説明する。
前記推進機7は燃料タンク23からの燃料がバルブ25を
開とされることによって、供給された推力を発生するこ
とになる。前記バルブ25の開閉制御は推進機駆動制御装
置としてのバルブドライバ22からの出力によって行なわ
れる。このバルブドライバ22は地球局27を経由して軌道
位置解析装置26て解析された軌道情報を受信機17で受信
して前記CPU14に入力された情報と、前記本体1の軌道
及び姿勢を検知した太陽センサ15、地球センサ16からの
検知出力及びジャイロ21からの姿勢出力として入力され
た情報とを受けたこのCPU14からの出力によって駆動さ
れる。前記推進機7の動作開始時並びに停止時の各セン
サ出力値は地上から指令されるものとする。このように
前記バルブドライバ22を駆動制御することにより、前記
推進機7は断続的に推力を発生させることができる。
次に第15図の目標衛星の切り離し動作の機能ブロック
図を参照して、切り離し動作を説明する。前記CPU14か
らの出力を得て金属駆動制御装置13が制御され、その出
力によってこの金具駆動制御装置13に接続される捕捉金
具4の開閉制御が行なわれ、それ以外の動作は第14図に
説明したと同様である。目標衛星の切り離しのタイミン
グは地上からの指令によるものとし、前記太陽センサ1
5、地球センサ16及びジャイロ21からの姿勢情報が指令
信号と合致した時点で前記CPU14が指令信号を出し、前
記金具駆動制御装置13を駆動することによって前記捕捉
金具4を開き、前記目標衛星を切り離す。
上述したように、この発明の人工衛星の軌道変更方法
及び軌道変更装置によれば、説明の便宜上、目標衛星を
円軌道から別の軌道に変更するものとしたが、楕円軌道
から円軌道へ、または楕円軌道から楕円軌道へと任意の
軌道変更に適用可能であることは自明である。本発明の
最も適切な応用としては、静止軌道上に浮遊する多数の
使用済み衛星をそれぞれ高い軌道に投棄すること、宇宙
基地との他の無人施設間あるいは軌道往還機と宇宙基地
間のフェリーに用いること、低軌道衛星を地球帰還の軌
道に投入することおよび地球周回軌道から地球脱出軌道
への変更などが考えられる。これらのミッション達成後
に、軌道修正装置自体は元の軌道に近い軌道にることか
ら、多量の推進薬の使用やミッション達成後の短い時間
の間にクリテイカルなマニューバを必要としないで、し
かも連続して複数のミッションを遂行できる広範囲の可
能性を有している。
以上説明したように本発明を実施すれば、簡単軽量な
捕捉手段を用いて、複雑なドッキング操作を行うことな
く、軌道修正装置による人工衛星の軌道変更が、小さい
エネルギ消耗量により実現できるので、軌道修正装置が
経済的に再利用できる効果がある。また、本発明を実施
するためにより、静止衛星の軌道を新しい衛星のために
空ける作業を経済的に行える効果がある。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軌道変更装置を地球周囲軌道上の目標衛星
    に接近させ、前記軌道変更装置に装着され、連結部材の
    先端に設けられた捕捉具で目標衛星を捕捉して前記連結
    部材を介在させて前記軌道変更装置と前記目標衛星とで
    結合系を形成するステップと; 前記軌道変更装置に装着された推進機による推進力を前
    記連結部材の軸方向に対して垂直方向に少なくとも1回
    発生させることによって前記結合系の重心を遷移軌道に
    乗せると共に、前記重心回りの回転運動とを同時に発生
    させるステップと; 前記遷移軌道において、前記結合系の前記連結部材の軸
    方向と、軌道速度ベクトルとが垂直となったタイミング
    で前記結合系を解除して、前記目標衛星を最終の目標軌
    道に投入し、切り離された前記軌道変更装置は、前記目
    標軌道と異なる軌道に投入するステップと;より成る人
    工衛星の軌道変更方法。
  2. 【請求項2】前記結合系を形成するステップは、目標衛
    星を前記連結部材を縮めた状態で捕捉し、その後に前記
    連結部材を伸長させて結合系を形成する特許請求の範囲
    第1項記載の人工衛星の軌道変更方法。
  3. 【請求項3】前記結合系の重心に、推進力に伴う軌道速
    度ベクトルと前記重心回りの回転力を同時に発生させる
    ステップは、前記遷移軌道上で前記結合系の回転によ
    り、前記結合系の軸方向が、前記軌道速度ベクトルが垂
    直になるタイミングで複数回発生させる特許請求の範囲
    第1項記載の人工衛星の軌道変更方法。
  4. 【請求項4】前記目標衛星を切り離し、前記目標衛星と
    前記軌道変更装置を異なる軌道に投入するステップは、
    前記遷移軌道の遠地点において前記結合系を解除する特
    許請求の範囲第1項記載の人工衛星の軌道変更方法。
  5. 【請求項5】前記目標衛星を切り離し、前記目標衛星と
    前記軌道変更装置を異なる軌道に投入するステップは、
    前記遷移軌道の近地点において前記結合系を解除する特
    許請求の範囲第1項記載の人工衛星の軌道変更方法。
  6. 【請求項6】軌道変更装置本体と; 前記軌道変更装置本体に一端が装着される連結部材と; 前記連結部材の先端に設けられ、目標衛星を捕捉するた
    めの捕捉部材と; 前記捕捉部材に連結され、前記目標衛星を捕捉するため
    に前記捕捉部材を動作制御する捕捉部材駆動制御装置
    と; 地上から送信される軌道情報と組み合わされて前記軌道
    変更装置本体の軌道速度ベクトルと姿勢を検知する手段
    と; 前記軌道変更装置本体に設けられ、該本体の軌道を変更
    制御する手段と; 前記軌道変更装置本体に設けられ、軌道上の前記軌道変
    更装置本体の姿勢を変更制御する手段と; 前記軌道変更装置本体に設けられ、前記連結部材の長手
    方向に対して垂直方向に推進力を発生する推進機と; 前記推進力軸が、前記軌道変更装置本体と前記目標衛星
    とで成る結合系の重心の軌道速度ベクトルと平行になる
    と同期して前記推進機を駆動する推進機駆動制御手段
    と; 前記軌道変更装置本体に設けられ、前記結合系の長手方
    向が前記軌道速度ベクトルと垂直になるタイミングで前
    記結合系を解除して前記目標衛星を最終の目標軌道に投
    入し、切り離された前記軌道変更装置本体を最終の目標
    軌道と異なる軌道に投入する捕捉部材駆動制御手段と;
    より成る人工衛星の軌道変更装置。
  7. 【請求項7】前記連結部材は、伸縮自在であり、縮んだ
    状態で目標衛星を捕捉し、その後に伸長された前記結合
    系を形成する特許請求の範囲第6項記載の人工衛星の軌
    道変更装置。
  8. 【請求項8】前記連結部材は、多段で伸長可能な構成で
    ある特許請求の範囲第7項記載の人工衛星の軌道変更装
    置。
  9. 【請求項9】前記連結部材は、巻取り、巻戻し動作によ
    り伸縮自在なケーブルより成る特許請求の範囲第7項記
    載の人工衛星の軌道変更装置。
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