JP2796902B2 - 光スイッチング素子 - Google Patents

光スイッチング素子

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JP2796902B2 JP3092662A JP9266291A JP2796902B2 JP 2796902 B2 JP2796902 B2 JP 2796902B2 JP 3092662 A JP3092662 A JP 3092662A JP 9266291 A JP9266291 A JP 9266291A JP 2796902 B2 JP2796902 B2 JP 2796902B2
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卓史 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導波路内を信号として通
過する光を、カプラ上に照射した別の光で制御する光ス
イッチング素子に関する。
【0002】
【従来の技術】光スイッチは光通信分野の光交換機や無
瞬断光回線切り替え器への応用、延いては光コンピュー
ターの主要部品として開発が待ち望まれている。しかし
ながら、従来の光スイッチには問題点があった。それを
図2に基づいて説明する。すなわち、図2は従来の光ス
イッチング素子を説明する図であって、従来の光スイッ
チング素子を上方からみた図である。図2中の1、2は
石英製の光導波路、3は第1の光カプラ、4は第2の光
カプラ、5は薄膜ヒーター、6はシリコン基板である。
図2に示すようにカプラとカプラの間の石英系光導波路
部にヒーター5を付設し、熱光学効果を利用し熱膨張に
よって、図2中のカプラ3とカプラ4の間の光路の長さ
を変えてクロス状態とバー状態を切り替えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、動作原理
が加熱、及び自然冷却による熱効果であるため、応答速
度が遅く、光コンピューターとして使用した場合、現存
する通常のコンピューターの計算速度に比較して劣るな
どの欠点があった。また、狭い面積中に多数の光スイッ
チを集積すると、隣接するスイッチの熱によるクロスト
ークも避けられなかった。また、従来のカプラや光導波
路は、例えばシリコン基板上に堆積させた石英層から、
エッチング法加工でパターン化して作製し、これとは別
にヒーター部をシリコン基板上に設けねばならないなど
製作過程が複雑であり、歩留りやコストの面で問題が多
かった。本発明の目的は、これら問題点を解決した光ス
イッチング素子及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
明は光スイッチング素子に関する発明であって、シリ
コン基板上の石英光導波路で出来た1つのカプラの2本
光導波路間に制御光によって屈折率の変化するフォト
クロミック化合物層を設けた光スイッチング素子におい
て、該フォトクロミック化合物層がアダマンチリデン・
フルギド単独層であることを特徴とする。
【0005】本発明は光カプラ内に制御光によって屈折
率の変化する層を設けることにより、光スイッチの動作
原理が熱効果ではなく、光反応を用いた高応答速度の光
スイッチング素子を提供し、更に屈折率の変化する層を
蒸着法や光照射蒸着法という簡便な方法で作製する、光
スイッチング素子の製造方法を提供することにある。
【0006】従来の光スイッチング素子とはスイッチ原
理が熱効果ではなくカプラ内の屈折率を直接制御光によ
って変化させることが異なり、また作製方法が、従来の
光スイッチング素子ではヒーター部を設けなければなら
なかったが、簡便な蒸着法又は光照射蒸着法を使用して
作製できることが異なる。
【0007】該制御光によって屈折率の変化する層とし
てフォトクロミック化合物を用いることが好ましい。こ
のフォトクロミズムは自己保持型であるため、従来の光
スイッチのようにヒーター部に通電し続けて熱を加え続
ける必要がなく、消費電力を少なく出来ることが異な
る。光照射で屈折率の変化する物質としては無機材料で
ある強誘電体結晶のフォトリフラクティブ材料が有名で
ある。その他にもフォトクロミズム材料は分子構造の変
化を伴うために、屈折率が変化することで知られてお
り、これらの材料を使うことによって制御光により屈折
率を変化させることが出来る。また、これら有機フォト
クロミック材料は簡便な蒸着法又は光照射蒸着法(特願
昭61−117406号)で作成が可能である。以上の
ことから本発明の目的である光スイッチングを可能にす
る。光カプラ内に蒸着法又は光照射蒸着法で屈折率の変
化する層を作製する利点としては、例えば屈折率の変化
する物質として有機物を用いた場合、ポリマー膜などに
分散させると、実質的に濃度が減少して屈折率変化が小
さくなり、スイッチング効率が減少するが、蒸着法又は
光照射蒸着法で作製すると濃度は100%であり、これ
以上のスイッチング効率の上昇が望めない点まで飛躍的
に上昇することである。
【0008】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0009】実施例1 光カプラ内に制御光によって屈折率の変化する層を製造
する方法について説明する。シリコン基板上にSiO2
をスパッタ法により作製し、通常の方法で導波路構造を
持つ光カプラを作製した。このカプラ上に、フォトクロ
ミック化合物であるアダマンチリデン・フルギド(略
号;AF)を、真空度1×10-5Torr、蒸着速度2〜5
0Å/秒で蒸着した。以下に、AFの分子構造式を示
す。
【0010】
【化1】
【0011】作製した光スイッチング素子の概要を図1
に示す。すなわち、図1は、本発明による光スイッチン
グ素子の概要を示す図であって、21、22は石英製の
光導波路、23は制御光によって屈折率の変化するAF
層、24はシリコン基板である。この様にして、カプラ
内に制御光で屈折率の変化するAF層を持つ光スイッチ
ング素子を製造した。本発明でいう光導波路とは図1か
らも明らかなように平面光導波路(PLC)のことであ
る。
【0012】参考 実施例1で作製した方法と同じ方法で導波路構造を持つ
光カプラを作製し、このカプラ上にフォトクロミック化
合物、1′,3′,3′−トリメチル−6−ニトロスピ
ロー〔2H−1−ベンゾピラン−2,2′−インドリ
ン〕(略号NBPS)を光照射蒸着法で作製した。以下
にNBPSの分子構造式を示す。
【0013】
【化2】
【0014】NBPSは、通常の蒸着法では微結晶性の
不透明な膜となりフォトクロミズムを示さないが、光照
射蒸着法(特願昭61−117406号明細書参照)で
製膜すると安定な透明膜となりフォトクロミズムを示
す。蒸着中に照射した光は紫外光で、その他の蒸着条件
は実施例1と同じである。作製した光スイッチング素子
の概要を図3に示す。すなわち図3は本参考例1による
光スイッチング素子の概要を示す図であって、31、3
2は石英製の光導波路、33は制御光によって屈折率の
変化するNBPS層、34はシリコン基板である。この
様にして、カプラ内に制御光で屈折率の変化するNBP
S層を持つ光スイッチング素子を製造した。
【0015】実施例 実施例1で作製した光スイッチング素子に、信号光(波
長1.55μm)を、図1の導波路21の右側から通し
た。制御光を照射する前は、光カプラを通過してきた信
号光は導波路21の左側で観測され、導波路22には信
号光はスイッチされていなかった。制御光として紫外光
を図1の23に照射すると信号光は直ちにスイッチさ
れ、導波路22の左側で観測され、スイッチングが出来
たことが分かった。スイッチング速度を検討した結果、
ナノ秒(1×10−9秒)以内にスイッチされているこ
とが分かった。制御光として、更に可視光を照射する
と、直ちに信号光はスイッチされ導波路21の左側で観
測された。このスイッチング現象は、制御光を照射する
度に繰返し行うことが出来た。
【0016】参考 参考で作製した光スイッチング素子に、信号光(波
長1.55μm)を、図3の導波路31の右側から通し
た。制御光を照射する前は、光カプラを通過してきた信
号光は導波路31の左側で観測され、導波路32には信
号光はスイッチされていなかった。制御光として可視光
を図3の33に照射すると信号光は直ちにスイッチさ
れ、導波路32の左側で観測され、スイッチングが出来
たことが分かった。制御光として、更に紫外光を照射す
ると、直ちに信号光はスイッチされ導波路31の左側で
観測された。このスイッチング現象は、制御光を照射す
る度に繰返し行うことが出来た。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、本発明を用いれ
ば、制御光で光スイッチングを行うことが可能となり、
従来の光スイッチング素子に比べて原理的にスイッチン
グ速度が速くなるという利点を持つ。また、フォトクロ
ミズムは自己保持型であるため、従来の光スイッチのよ
うにヒーター部に通電し続けて熱を加え続ける必要がな
く、消費電力を少なくする利点がある。フォトクロミズ
ムを用いた本発明は、光による屈折率変化が大きいた
め、光カプラを設計する際、カプラの動作マージンを大
きく取ることが出来、外部からの熱・応力などのノイズ
に対して安定な動作をする光スイッチを得ることが出来
る。また、蒸着法や光照射蒸着法で作製することが出
来、従来の光スイッチング素子のような複雑な製造過程
を経ることがなく、歩留り、コストの面で従来の素子の
製造方法に比べて利点を持っている。蒸着法や光照射蒸
着法で作製した光スイッチは、溶媒を用いる湿式のスピ
ンコート法などに比べ、ほこり、じんあいの汚染による
導波路のロスが少ない。また、作製した非晶質蒸着膜自
身の内部歪応力は、基板加熱過程やポストベークが必要
な従来の光スイッチに比べて1〜3桁も少なくなり、カ
プラ間の応力による変化、ノイズを小さくすることが出
来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光スイッチング素子の概要を示す
図である。
【図2】従来の光スイッチング素子を説明する図であっ
て、従来の光スイッチング素子を上方からみた図であ
る。
【図3】参考例1による光スイッチング素子の概要を示
す図である。
【符号の説明】
1、2、21、22、31及び32:石英製の光導波
路、3:第1の光カプラ、4:第2の光カプラ、5:薄
膜ヒーター、6、24及び34:シリコン基板、23:
制御光によって屈折率の変化するAF層、33:制御光
によって屈折率の変化するNBPS層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/313 G02B 6/12 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板上の石英光導波路で出来た
    1つのカプラの2本の光導波路間に制御光によって屈折
    率の変化するフォトクロミック化合物層を設けた光スイ
    ッチング素子において、該フォトクロミック化合物層が
    アダマンチリデン・フルギド単独層であることを特徴と
    する光スイッチング素子。
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JPS642020A (en) * 1987-06-25 1989-01-06 Fuji Electric Co Ltd Waveguide type optical switch element
JPH041613A (ja) * 1989-12-20 1992-01-07 Sumitomo Electric Ind Ltd 光スイッチ

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
1990年電子情報通信学会春季全国大会講演論文集 PART4 P.4−272

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