JP2794728B2 - 核酸の検出方法 - Google Patents

核酸の検出方法

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JP2794728B2 JP27592888A JP27592888A JP2794728B2 JP 2794728 B2 JP2794728 B2 JP 2794728B2 JP 27592888 A JP27592888 A JP 27592888A JP 27592888 A JP27592888 A JP 27592888A JP 2794728 B2 JP2794728 B2 JP 2794728B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は,特定の塩基配列を持つ核酸を検出する方
法,詳しくは核酸のハイブリダイゼーションを利用する
検出方法に関する。
(ロ)従来技術 検体試料中の目的とする特定の塩基配列を持つ核酸を
検出する方法として核酸のハイブリダイゼーションが利
用されている。この分析法は一本鎖に変性された核酸が
適当な条件下で相補的な塩基配列を含む別の一本鎖の核
酸と配列に特異な水素結合を介してハイブリッドを形成
する(ハイブリダイズする)ことを利用したものであ
る。
すなわち,ハイブリダイゼーションアッセイにおいて
は,既知の配列を有する核酸をプローブとして用いて,
試料のなかにターゲットとなる相補的な配列がないかを
調べる。プローブとターゲットによって形成されたハイ
ブリッドに標識を付けることにより,試料中の相補的配
列の検出及び定量が可能になる。
ハイブリッドを検出するためにプローブに標識付けを
する方法の一つは,プローブに放射性同位元素(例え
ば,32Pあるいは125I)を結合させることである。
しかし,安全性や安定性,また設備等の問題から非放
射性標識システムの開発が進められている。
非放射性標識システムとしては,第一のタイプとし
て,プローブに直接,共有結合で螢光あるいは化学発光
を生ずる官能基を導入するものである。第二のタイプと
しては,抗体やビオチンなどの巨大分子によって認識さ
れる部位をプローブに共有結合で導入し,螢光標識ある
いは化学発光標識した巨大分子で認識し,プローブの存
在を検出しようとするものである。第三のタイプとして
は,第一及び第二のタイプのシステムに酵素による増幅
作用を利用したものである。
ハイブリダイゼーションアッセイは,疾患の診断に用
いられることが多くそのため迅速,簡便,高感度でしか
も放射性同位元素を扱うのに必要な特別の設備が不要で
あることが求められている。これらのことから最近で
は,第三のタイプの非放射性標識システムの開発が進め
られている。
第三のタイプの非放射性システムとしては,例えば,
プローブに直接酵素を共有結合で導入したもの(Renz,
M.,and Kurz,C.(1984)Nucl.A Cids Res.12,3435−344
4)が知られている。
従来から行われている核酸のハイブリダイゼーション
アッセイの概要は以下に示した通りである。
まず,検体試料中の核酸を変性して一本鎖とした後,
支持体であるニトロセルロース製の膜に80℃で2h程度焼
付け,固定する。
次に,標識プローブの非特異吸着を抑えるためにプレ
ハイブリダイゼーションバッファー(例えば,EDTA,塩化
ナトリウム,ドデシル硫酸ナトリウム,ポリエチレング
ルコール,フィコール,ポリビニルピロリドン,牛血清
アルブミン,サケ精子DNA及びホルムアミドを含むトリ
ス塩酸緩衝液)中でプレハイブリダイゼーションを行
う。プレハイブリダイゼーションは通常37℃で30min程
度行うことが多い。
プレハイブリダイゼーションの後,試料の核酸を固定
した膜を標識プローブを含むハイブリダイゼーションバ
ッファー(プレハイブリダイゼーションバッファーと組
成は同じ)中で数hから一晩インキュベートする。
次いで膜に固定されている試料の核酸にハイブリダイ
ズしていない標識プローブを除去するためにドテシル硫
酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム,塩化ナトリウムを
含むトリス塩酸緩衝液等で洗浄する。
洗浄の終わった膜を酵素反応によって沈着性色素,可
溶性色素,螢光性物質,発光性物質等を生成する酵素反
応基質を含む緩衝液中でインキュベートすると検体試料
中に標識プローブと相補的な配列を持つ核酸が含まれる
場合にのみ膜が着色,あるいは螢光,あるいは発光が観
測される。このことにより検体試料の核酸中の特定塩基
配列を検出する。
(ハ)発明が解決しようとする課題 しかし,現在十分な感度でしかも迅速,簡便,定量的
にターゲットの核酸を検出する非放射性標識システムは
確立していない。
この原因は,ハイブリダイゼーションアッセイを行う
過程で酵素等の巨大分子で標識したプローブがターゲッ
ト以外のもの,特に試料の核酸の固定に用いるニトロセ
ルロース膜に非特異吸着し,バックグラウンドが上昇す
るからである。現在,広く用いられているDenhardt′s
溶液やスキムミルク溶液(Johnson,D.A.Gautch,J.W.,Sp
ortsman,J.R.and Elder,J.H.(1984),Gene Analytical
technology1,3−8)では,十分にプーロブの非特異吸
着を抑えることができず,高感度にターゲットの核酸を
検出することができない。
本発明は,以上のような状況を鑑みなされたものであ
る。すなわち,標識プローブのターゲット以外への非特
異吸着を抑える方法を開発することによって,迅速,簡
便,かつ高感度にターゲットの核酸を検出するシステム
を供することである。
(ニ)課題を解決するための手段 本発明は,上記の課題を解決する手段としてハイブリ
ダイゼーションアッセイにおいて試料の核酸を固定した
後にこの膜を0.01〜30W/V%PVA及び0.01〜30W/V%のPVP
を含有する溶液(以下PVA−PVP溶液と略する。),ある
いは,0.01〜30W/V%のPVAを含有する溶液(以下,PVA溶
液と略する),あるいは,0.01〜30W/V%のPVPを含有す
る溶液(以下,PVP溶液と略する)に浸してブロッキング
処理を行う過程を含む核酸の検出法を供するものであ
る。
本発明においては,用いるPVAは重合度が500のものが
好ましいがこれに限定されるものではない。また,PVA及
びPVPを溶解する溶媒は蒸留水が好ましいがこれに限定
されるものではない。また,本発明におけるブロッキン
グ処理の条件は,処理温度は30〜50℃,処理時間は0.25
〜1hが好ましいがこれに限定されるものではない。
(ホ)実施例 以下,実施例に基づき,本発明を具体的に説明する。
但し本発明は,実施例に限定されるものではない。
アンペロメトリック検出器によるM13mp8−本鎖ファージ
DNAの検出 (1)M13プライマー(5′−GTAAAACGACGGCCAGT−
3′)のALP標識は,多田ら,特願昭63−191087号に記
載されている方法に従った。すなわち,M13プライマーの
5′位ヘリン酸残基を導入し,さらにシスタミンと反応
させ,リン酸残基にシスタミン残基を導入し, さらにジチオスレイトールを用いて還元し末端がチオー
ル基に変換されたM13プライマーを得た。
また,ALPと25倍相当量のSPDPとを反応させ,ALPに2−
ピリジルジスルフイド基を導入した。
(2)これらの工程によって得られた5′末端がチオー
ル基に変換されたM13プライマーと2−ピリジルジスフ
ィド基を導入したALPを反応させ,ALP標識したM13プライ
マーを得た。
(3)M13mp8一本鎖ファージDNAとALP標識M13プライマ
ーとのハイブリダイゼーション(ブロッキング処理の効
果) M13mp8一本鎖ファージDNA(約7000bp)をTE緩衝得(p
H7.5,10mMTris・Cl,1mMEDTA)で段階希釈し,一辺5mmの
正方形に切ったニトロセルロース膜に1μ1ずつ0mo1,5
femt−omolのM13mp8一本鎖ファージDNAをドットした。
風乾後,オーブンで180℃,2h熱しDNAを固定した。これ
らの膜を,,ブロッキング処理しないもの,PVPを5W
/V%含む溶液で処理するもの,PVAを1W/V%含む溶液で
処理するもの,PVAを1W/V%含み,PVPを5W/V%含む溶液
で処理するものに分け96穴プレートに固定しそれぞれの
溶液を170μ1加えマイクロプレートミキサー上で40℃,
30min振とうした。その後これらの溶液を捨てリン酸緩
衝生理食塩水を各穴に170μ1ずつ加えマイクロプレー
トミキサー上で1min振とうし,膜を洗浄した。さらにこ
の洗浄操作を1回繰り返した。
次に各穴にプレハイブリダイゼーション溶液(4×SE
T,0.04W/V%BSA,0.04W/V%PVP,0.04W/V%フィコール,6V
/V%ポリエチレングリコール,0.1W/V%SDS)を170μ1
ずつ加え,マイクロプレートミキサー上で40℃,15min振
とうした。
プレハイブリダイゼーション溶液を捨てた後(1)で
調製したALP標識プローブを0.6pmol/ml含むハイブリダ
イゼーション溶液(その他の組成はプレハイブリダイゼ
ーション溶液と同じ。)を170μ1ずつ加えマイクロプ
レートミキサー上で40℃,30min振とうしハイブリダイゼ
ーションを行った。
その後,1×SSC,0.2%SDS溶液170μ1ずつを用いてマ
イクロプレートミキサー上で室温1minを2回,40℃,5min
を1回,室温,1minを2回振とうしながら膜を洗浄し
た。次に氷冷した1×SSC溶液170μ1ずつを用いてマイ
クロプレートミキサー上で1min,2回振とうしながら膜を
洗浄した。続いて氷冷した1.5mMの過塩素酸マグネシウ
ムを含むCB緩衝液170μ1ずつを用いてマイクロプレー
トミキサー上で1min,2回振とうしながら膜を洗浄した。
膜をそれぞれ1.5mlのサンプリングチューブに移し替
え,1mMのフェニルフォスフェイト及び1.5mMの過塩素酸
マグネシウムを含むCB緩衝液を100μずつ加え,37℃,1h
インキュベートした。
その後,直ちに氷冷し,それぞれに0.15Mリン酸5μ
l,0.2MEDTA−2Na水溶液20μlを加え酵素反応を停止さ
せた。
酵素反応によって生成したフェノールを検出するため
に各反応液から10μ1ずつ第1図に示したアンペロメト
リック検出器を組み込んだ高速液体クロマトグラフシス
テムのオートインジェクターからインジェクトした。分
析条件は,カラム;SHIM−PACK ODS内径4.6mm長さ50mm,
カラム温度;40℃,移動相;0.1Mカリウム−リン酸緩衝液
(pH6.8):メタノール=4:1,流速;1.0ml/min,検出電
位;0.80VVS.Ag/Agcl,検出温度;40℃である。1mMフェニ
ルフォスフェイト及び1.5mM過塩素酸マグネシウムを含
むCB緩衝液100μlを37℃,1hインキュベートし,0.15Mリ
ン酸5μl,0.2MEDTA−2Na水溶液20μlを加えたもの10
μlをインジェクトして得られたクロマトグラムをベー
スラインとして3min付近に現れるピークのピーク電流値
を読み取った。ここでS/Nを5fmol DNAを固定したものか
ら得られたピーク電流値とomol DNAで得られたピーク電
流値の比とすると第2図に示したようにブロッキング処
理をしないものではS/N=3.2であるがPVP溶液を用いて
プロッキング処理するとS/N=14まで向上し,PVA溶液を
用いてブロッキング処理するとS/N=16まで向上した。
さらにPVA−PVP溶液を用いることによってS/N=29まで
向上した。
すなわち,本発明によるPVP溶液,PVA溶液,PVA−PVP溶
液を用いることによってそれぞれ核酸のハイブリダイゼ
ーションにおける標識プローブの非特異吸着を従来の2
3,20,11%にまで減少させることができた。
(4)M13mp8一本鎖ファージDNAとALP標識M13プライマ
ーとのハイブリダイゼーション(PVA−PVP溶液を用いた
高感度検出) M13mp8一本鎖ファージDNA(約7000bp)をTE緩衝液(p
H7.5,10mM Tris・Cl,1mM EDTA)で段階希釈し,一辺5mm
の正方形に切ったニトロセルロース膜に1μlずつ0,0.
05,0.5,5,50,500,5000attomolのM13mp8一本鎖ファージD
NAをドットした。風乾後,オーブンで180℃,2h熱しDNA
を固定した。この膜を96穴プレートに固定し,各穴にPV
Aを1W/V%含みPVPを5W/V%含む溶液を170μl加えマイ
クロプレートミキサー上で40℃,30mm振とうした。その
後,このPVA−PVP溶液を捨てリン酸緩衝生理食塩水を穴
に170μずつ加えマイクロプレートミキサー上で1min振
とうし,膜を洗浄した。さらにこの洗浄操作を1回繰り
返した。
次に各穴にプレハイブリダイゼーション溶液(4×SE
T,0.04W/V%BSA,0.04W/V%PVP,0.04W/V%フィコール,6V
/V%ポリエチレングリコール,0.1W/V%SDS)を170μl
ずつ加え,マイクロプレートミキサー上で40℃,15min振
とうした。
プレハイブリダイゼーション溶液を捨てた後(1)で
調製したALP標識プローブを0.6Pmol含むハイブリダイゼ
ーション溶液(その他の組成はプレハイブリダイゼーシ
ョン溶液と同じ。)を170μlずつ加えマイクロプレー
トミキサー上で40℃,30min振とうしハイブリダイゼーシ
ョンを行った。
その後,1×SSC,0.2%SDS溶液170μlずつを用いてマ
イクロプレートミキサー上で室温,1minを2回,40℃,5mi
nを1回,室温,1minを2回振とうしながら膜を洗浄し
た。次に氷冷した1×SSC溶液170μlずつを用いてマイ
クロプレートミキサー上で1min,2回振とうしながら膜を
洗浄した。続いて氷冷した1.5mMの過塩素酸マグネシウ
ムを含むCB緩衝液170μlずつを用いてマイクロプレー
トミキサー上で1min,2回振とうしながら膜を洗浄した。
膜をそれぞれ1.5mlのサンプリングチューブに移し替
え,1mMのフェニルフォスフェイト及び1.5mMの過塩素酸
マグネシウムを含むCB緩衝液を100μlずつ加え,37℃,1
hインキュベートした。
その後,直ちに氷冷し,それぞれに0.15Mリン酸5μ
1,0.2ME DTA−2Na水溶液20μlを加え酵素反応を停止さ
せた。
酵素反応によって生成したフェノールを検出するため
に各反応液から10μlずつ第1図に示したアンペロメト
リック検出器を組み込んだ高速液体クロマトグラフシス
テムのオートインジェクターからインジェクトした。分
析条件は,カラム;SHIM−PACK ODS内径4.6mm長さ50mm,
カラム温度;40℃,移動相;0.1Mカリウム−リン酸緩衝液
(pH6.8)メタノール=4:1,流速;1.0ml/min,検出電位;
0.80VVS.Ag/A−gcl,検出温度;40℃である。DNA量がOatt
−omolのものから得られたクロマトグラムをベースライ
ンとして3min付近に現れるピークのピーク電流値を読み
取り,グラフにプロットすると第3図のようになった。
すなわち,このシステムを用いることによって50attomo
lまでのM13mp8一本鎖DNAを検出できた。
(ヘ)効 果 PVA溶液,PVP溶液,PVA−PVP溶液をブロッキング処理に
用いることによって標識プローブの膜への非特異吸着を
大幅に減らすことができる。それゆえ,今まではバック
グラウンドの中に埋もれていた弱いシグナルも検出する
ことができ,高感度に核酸を検出することできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は,酵素反応によって生成したフェノールを検出
するための高速液体クロマトグラフシステムを示す図,
第2図は,本発明に係るブロッキング処理の効果を示す
図,第3図は,本発明による処理を施してM13m p8 SS D
NAの検出特性図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検体試料の核酸を膜に固定し,試料核酸の
    検出しようとする配列順序と実質的に相補な塩基配列を
    含む核酸を試料核酸とハイブリダイズさせて,試料核酸
    の検出を行なう方法において, 試料核酸の膜への固定後,この膜を0.01〜30W/V%のPVA
    又は/及び0.01〜30W/V%のPVPを含有する溶液に浸して
    ブロッキング処理することを特徴とする核酸の検出方
    法。
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