JP2792681B2 - リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器 - Google Patents

リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は軟磁器(ボーンチャイナ)や装飾材料,ある
いは生体材料としても有効な緻密質リン酸カルシウム系
磁器に関する。リン酸カルシウム系磁器とは,水酸アパ
タイトCa10(PO4(OH)[HAP],リン酸カルシウ
ムCa3(PO4[TCP],骨灰等のリン酸カルシウム系
化合物を主成分とする磁器をいう。
[従来技術] リン酸カルシウム系磁器は,乳白色を帯び優れた透光
性を具えており,身近には高級磁器製品としてディナー
・ウェアあるいは装飾品などに使用され,一般にボーン
チャイナとして知られている。又,リン酸カルシウムは
生体親和性にすぐれており人工歯根や人工骨等のインプ
ラント材料としても注目され応用が試みられている。
リン酸カルシウム系磁器,特にボーンチャイナは,リ
ン酸カルシウム源として,骨灰あるいはピロリン酸カル
シウムと石灰石とを使用し,これにカオリン,長石,珪
石,可塑性粘土等を加えた坏土を成形し,1200〜1300℃
にて焼成を行なうもので,β−Ca3(PO4結晶を主体
にアノーサイト結晶を含み,ガラス質は比較的少く,均
質な組織から構成されている。[セラミックス10[7]
1975] 一般的なボーンチャイナとしては,原料組成において
石英を含むものと含まないものとがある。前者の配合は
通常,骨灰(合成後骨灰組成となり得る原料を含む)25
〜60%,カオリン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレー
を含む)20〜40%,陶石5〜20%,長石5〜20%及び石
英1〜15%よりなる。又,後者の配合は通常,骨灰(合
成後骨灰組成となり得る原料を含む)25〜60%,カオリ
ン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレーを含む)20〜40
%,セリサイト5〜15%及び長石5〜20%よりなる。ボ
ーンチャイナの化学成分は,SiO2,Al2O3,CaO,P2O5を主成
分とし,リン酸カルシウムを30〜60wt%含んでおり,そ
の他の成分として,MgO,K2O,Na2O,Fe2O3,TiO2等を数%含
有している。X線回折から,磁器に含まれる結晶相は,
β−Ca3(PO4結晶とアノーサイト結晶の2相であ
る。
[発明の解決課題] しかし,リン酸カルシウム系磁器の熱膨張係数8〜10
×10-6(0〜800℃)は,一般の硬質磁器の熱膨張係数
6×10-6(0〜800℃)に比して高い。この為,本来的
に機械的強度が大きいにもかかわらず,熱衝撃破壊抵抗
性は一般磁器に比較して弱い傾向がある。リン酸カルシ
ウム含有量が多くなるとさらに熱膨張係数は大きくな
る。
又,リン酸カルシウム系単味焼結体(水酸アパタイト
焼結体あるいはβ−Ca3(PO4焼結体)においては一
般に焼結がむずかしい為に高強度焼結体が得られにく
い。例えばCa3(PO4焼結体の場合には,1180℃付近
にα−β転移があり,高密度化が困難である。そのた
め,HIP処理が試みられたり(窯業協会年会予稿集3G11 P
941〜942),あるいは,リン酸カルシウムへの各種添加
物の添加,例えばP2O5,CaO,BaO,Al2O3から調製したフリ
ットやSiO2粉末等の添加が検討されている(FC Report
6(1988)No.10 410〜414)。
従って,本発明の第1の課題はリン酸カルシウム系磁
器の熱膨張係数を小さくし,熱衝撃破壊抵抗性の改善を
はかることにある。又,第2の課題は,前記リン酸カル
シウム含有量の多い磁器における焼結性を改善し,緻密
な高強度焼結体を提供することにある。
[課題の解決手段及び作用] 本発明は,かかる課題を下記手段によって解決した。
(1)磁器全量に対して,下記A,B成分: A成分:リチウムアルミノケイ酸塩として表示され,Al2
O3,SiO2及びLi2Oの換算合計値として3〜95%(重量
%,以下同じ), B成分:リン酸カルシウム系化合物として表示され,P2O
5及びCaOの換算合計値として5〜97%, を主成分とし, A成分が,該A成分全量に対する各酸化物組成で,Al2
O3 5〜70%,SiO2 30〜95%及びLi2O 0.1〜30%からな
り, B成分が,Ca/Pモル比1〜2であることを特徴とする
リン酸カルシウム系磁器。
特に前記(1)のリン酸カルシウム系磁器において,A
成分全量に対してLi2O 0.5〜15%であるもの,又B成分
15〜18%からなり,そのCa/Pモル比が1.25〜1.75である
もの。
(2)水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウムの少な
くとも一種からなる相と,β−スポデューメン固溶体及
びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種からな
る相とが共存していることを特徴とするリン酸カルシウ
ム系磁器。
特に,これらの結晶相が共存しており,かつ前記
(1)の要件(成分組成等)を充足するものが好まし
い。又,その他の相としてLiイオン含有ガラス相,或い
はアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からなる
結晶相が共存しているものが好ましい。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,同一量のリン酸
カルシウムを含有する従来のリン酸カルシウム系磁器と
比較して低熱膨張で耐衝撃破壊抵抗性に優れる。しか
も,乳白色を呈し,優れた透光性を有し,かつ機械的強
度も高い。
このような本発明のリン酸カルシウム系磁器は,本発
明者等が鋭意研究を重ねた結果,次に述べるような新た
な知見に基づき完成されたものである。
すなわち,本発明者等はリン酸カルシウム系磁器につ
いて,低熱膨張結晶(ないし固溶体)相を導入し,リン
酸カルシウム結晶と共存させることについて検討を重ね
てきた。その結果,リチウムイオンを含有する化合物例
えばリチウム−アルミノケイ酸塩をリン酸カルシウムに
加え,リチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタイ
ト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも一
種として析出させ,リン酸カルシウムを水酸アパタイト
結晶又はβ−Ca3(PO4結晶の少なくとも一種として
晶出共存させることに成功した。かくして,リン酸カル
シウムにリチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタ
イト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも
一種を含有する新規なリン酸カルシウム系磁器を見い出
した。
本発明磁器において,リチウムアルミノケイ酸塩(A
成分)は3〜95%,リン酸カルシウム系化合物(B成
分)は5〜97%とされる。A成分が3%未満(B成分が
97%を越える)では,水酸アパタイト結晶及び/又はβ
−Ca3(PO4結晶の晶出割合が少くなり,又焼結性に
劣り,緻密質の焼結体が得られない。一方A成分が95%
を越えると(B成分が5%未満),乳白色,透光性が阻
害され,機械的強度も低レベルとなるおそれがある。こ
のリチウムアルミノケイ酸塩(A成分)は,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/又はβ−スポデューメン固溶体
として析出(ないし晶出)して存在するが一部はガラス
相として焼結体中に存在する。
本発明では,焼結体中に低熱膨張相のβ−ユークリプ
タイト固溶体および/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスを主として析出(晶出)さ
せ,場合によってはこれにアノーサイト結晶及び/また
はムライト結晶と共存させる為にリチウム−アルミノケ
イ酸塩(A成分)の組成はAl2O3が5〜70%,SiO2が30〜
95%,Li2Oが0.1〜30%である必要がある。SiO2が30%未
満になりAl2O3が70%より多くなるとコランダム結晶の
晶出割合が多くなり,Al2O3が5%未満になりSiO2が95%
より多くなると,クリストバライト結晶あるいはトリジ
マイト結晶等の晶出割合が多くなり好ましくない。また
Li2Oが0.1%未満では,β−ユークリプタイト固溶体,
β−スポデューメン固溶体の析出割合が極めて少なくな
り好ましくない。Li2Oが30%より多くなると,Li2O・SiO
2やLi2O・2SiO2等のケイ酸リチウム結晶の晶出割合が多
くなり好ましくない。特に,リチウム・アルミノケイ酸
塩成分のLi2Oの割合を0.5〜15%にすると,緻密質セラ
ミックスが得られやすい。
リン酸カルシウム(B成分)は,主としてリン酸カル
シウム系化合物たる水酸アパタイト結晶,β−TCP等と
して晶出しているが,一部はガラス相構成成分(リン酸
を含むガラス相を成す)として焼結体中に存在する。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,SiO2,Al2O3,Li
2O,P2O5,CaOその他の酸化物組成でを所定範囲のものと
することにより,所期の低熱膨張相を共存させ,熱衝撃
破壊抵抗性を改善し,緻密な高強度焼結体を得ることが
できる。好ましくは,SiO2,Al2O3,Li2O,P2O5,及びCaOの
合計が90%以上である。
その他の酸化物としては,磁器原料(リン酸カルシウ
ム系化合物原料,リチウムアルノケイ酸塩原料)特に天
然原料から混入される酸化物,例えばMgO,K2O,Na2O,Fe2
O3,TiO2,B2O3などが挙げられる。
リン酸カルシウム成分について,Ca/P比が1〜2の範
囲外の場合,水酸アパタイト結晶やβ−Ca3(PO4
晶以外の結晶相やガラス相が多くなる為好ましくない。
特に,Ca/Pモル比が1.25〜1.75の範囲のリン酸カルシウ
ムをP2O5とCaOの合計量で15〜80%含有した場合,焼成
温度域が広く焼成が容易である。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,水酸アパタイト
結晶及び/またはβ−Ca3(PO4結晶とβ−ユークリ
プタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスとが共存し,更に場合により
アノーサイト結晶及び/またはムライト結晶を含有する
ものである。従来のリン酸カルシウム系磁器と比較し,
低熱膨張相のβ−ユークリプタイト固溶体及び/または
β−スポデューメン固溶体或いはLiイオン含有ガラスを
含有しているところに特徴がある。ここで,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶
体等は,純粋なスポデューメンあるいはユークリプタイ
ト結晶はもとよりSiO2,Al2O3,Li2Oの割合および結晶粒
子径が純粋なユークリプタイトなどとは多少異なるが結
晶構造が同一であるものまでを含むことを意味する。他
の結晶相,例えばAl2O3や,Ca2SiO4等を一部含んでいて
も差支えない。
尚,Liイオンを含有していても結晶相的にβ−スポデ
ューメン固溶体或いはβ−ユークリプタイト固溶体とし
て析出(晶出)せず,Li含有ガラス(特に低膨張ガラ
ス)として存在している場合も考えられる。従って,本
発明は前記成分組成を充足する限り,水酸アパタイト結
晶及びβ−リン酸カルシウムの少なくとも一種からなる
相にアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からな
る相とが共存してなるものであても差支えない。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,磁器中に晶出し
ている水酸アパタイト結晶相及びβ−Ca3(PO4結晶
相の割合と,共存しているリチウムイオン含有ガラス,
β−ユークリプタイト固溶体及びβ−スポデューメン固
溶体(更には場合によりアノーサイト及びムライト)の
割合と,その構成化学成分であるAl2O3,SiO2,Li2Oの割
合とにより,磁器の熱膨張係数をコントロールすること
もでき,磁器の用途にあわせた材料を提供できる。例え
ばボーンチャイナ用の場合,水酸アパタイト,β−Ca3
(PO4相20〜70wt%,残部β−ユークリプタイト,
β−スポデューメン相を含むリチウムアルミノケイ酸塩
(リチウムアルミノケイ酸塩全量に対しAl2O3 10〜50wt
%,SiO2 30〜90wt%,Li2O 0.5〜10wt%)にするとよ
い。
本発明の磁器の製造に使用する原料は,天然原料,合
成原料のいずれを使用してもよい。リン酸カルシウム原
料としては,例えば,天然骨灰3Ca3(PO4・Ca(O
H)2;ゼラチンの製造工程で牛骨を溶解し,ゼラチン成
分を分離した後の廃液を石灰乳で中和した特に得られる
析出物である少量のCa(OH)を含んだCaHPO4・2H2O;
これを仮焼して得られたαあるいはβピロリン酸カルシ
ウムα−2CaO・P2O5,β−2CaO・P2O5;リン酸水素カルシ
ウム二水塩CaHPO4・2H2O;第2リン酸カルシウムCaHPO4;
第3リン酸カルシウムCa3(PO4あるいは3[Ca3(P
O4]・Ca(OH)2;及び水酸アパタイト結晶Ca10(PO
4・(OH)等があげられる。又,Ca3(PO4ある
いは水酸アパタイト結晶は,リン酸水素カルシウム二水
塩,第2リン酸カルシウム,ピロリン酸カルシウム等に
CaCO3を加えて加熱し,固相反応により行なう乾式合成
法;カルシウム塩(例えばCa(OH)2,Ca(NO3等)
とリン酸塩(例えばH3PO4,(NH42HPO4等)を適当なpH
に調節した溶液中で混合し,沈殿反応をすすめる湿式合
成法;CaHPO4・2H2OとCaCO3を湿式で混合粉砕し,750℃付
近にて仮焼して合成を行なうメカノケミカル法;等の各
種化学合成法から得られたもののいずれでもよく,その
目的に応じて選択し,使用できる。
リチウムアルミノケイ酸塩の原料としては,天然原
料,或いは任意の組成について合成した合成原料のいず
れを使用してもよく,例えばペタライト(Li2O・Al2O3
・8SiO2),Li−オルソクレース(Li2O・Al2O3・6Si
O2),スポデューメン(Li2O・Al2O3・4SiO2),ユーク
リプタイト(Li2O・Al2O3・2SiO2),ケイ酸リチウム
(Li2O・SiO2,2Li2O・SiO2,Li2O・2SiO2),酸化リチウ
ム(Li2O),アルミン酸リチウム(Li2O・Al2O3),等
から選ばれる1つ以上のリチウム含有化合物に必要に応
じてカオリン,セリサイト,蛙目粘土,陶石,長石等の
天然ケイ酸アルミニウムあるいは合成ケイ酸アルミニウ
ムを使用する。
こうした原料を使用し,原料の成分含量に換算して,A
l2O3:5〜70%,SiO2:30〜90%,Li2O:0.1〜30%になるよ
うにリチウム含有化合物あるいはリチウム含有化合物と
ケイ酸アルミニウムを選択し,リチウムアルミノケイ酸
塩中に含まれるAl2O3,SiO2,Li2Oに換算した合計量で5
%以上95%以下に対し,リン酸カルシウム原料をP2O5
CaOの合計量に換算し,5%以上95%以下になるように加
える。原料はあらかじめ微粉砕(例えば50μm以下)し
て,使用するのが好ましい。角原料は,配合した後,均
一に混合し,成形,乾燥工程の後,1000〜1350℃の範
囲,好ましくは1100〜1300℃の範囲で焼成を行ないリン
酸カルシウム系磁器を得る。
[実施例] 実施例及び比較例をあげて本発明をより具体的に説明
するが,本発明はその要旨を超えない限り,以下の実施
例に限定されるものではない。
実施例1〜11,比較例1〜2 湿式合成法すなわちカルシウム塩(Ca(NO3)と
リン酸塩((NH42HPO4)の水溶液を混合し,水溶液の
pH調節により反応させ,生成物をろ過・洗浄した後,乾
燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン
酸三カルシウム(β−Ca3(PO4)を合成した(合成
β−TCP)。この粉末の比表面積は10.5m2/gであった。
リチウムアルミノケイ酸塩原料はアルミニウム塩,ア
ルミン酸アルカリ,ケイ酸アルカリ,リチウム塩の水溶
液を混合し,得られた沈殿物をろ過・洗浄する湿式法に
て合成後,1000℃で仮焼し,比表面積5.5m2/gのLi2O・Al
2O3・8SiO2を調製した。
上記の合成β−TCP及びリチウムアルミノケイ酸塩を
原料粉末を第1表の割合で加えて湿式粉砕混合後これに
バインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部加え
て湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力で等
方的に成形し,第1表に示す温度で大気中に焼成した。
得られた焼結体の測定結果を第1表に示す。なおこれ
ら得られた焼結体の見掛気孔率はいずれも0.1%以下で
あった。
実施例12〜22,比較例3 リチウムアルミノケイ酸塩の原料は実施例1〜11で使
用したLi2O・Al2O3・8SiO2の合成方法と同様にして出発
原料組成比を変えることで,Li2O・Al2O3・4SiO2,Li2O・
Al2O3・2SiO2,Li2O・2SiO2を湿式混合した。これらの合
成粉は以下の温度で仮焼を行ない使用した。
又,この他に天然原料であるブラジル産ペタライト
(あらかじめボールミルにて湿式粉砕を行ない平均粒径
5μm以下にしたものを使用した。)及びカオリン質粘
土,セリサイト粘土,蛙目粘土を使用した。
リン酸カルシウム原料は,CaHPO4・2H2OとCaCO3に水を
加えたスラリーを式混合粉砕し,メカノケミカルな作用
を与えることによりより反応を進行させ,カルシウム欠
損アパタイトを合成した。これを780℃にて仮焼を行な
い,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン酸三カルシウム(β−Ca
3(PO4)を合成した(合成β−TCP)。この合成粉
の比表面積は16.7m2/gであった。
上記のリン酸カルシウム及びリチウムアルミノケイ酸
塩の各原料粉体を第2表の割合で加え,湿式粉砕混合後
これにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量
部加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧
力で等方的に成形し,第2表に示す温度で大気中に焼成
した。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。(例えば,使
用したカオリンは2.75%のIglossがあるので,実施例13
の表中5wt%加える場合には,Igloss分を除いた添加量が
5wt%になるように5.73wt%相当分を加えた。) 得られた焼結体の測定結果を第2表に示す。またこれ
らの実施例中から選択し,色差計にて,色調を測定し,L
ab表色系にて第3表に示した。又,厚み4.3mmの試料に
て測定した透光度(%)も示した。
実施例23〜26 実施例1〜11と同様に湿式合成法により,カルシウム
塩(Ca(NO3)とリン酸塩((NH42HPO4)の水溶
液を混合し,水溶液のpH調節により反応させ,生成物を
ろ過・洗浄した後乾燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモ
ル比が1.667の合成HAP及びCa/Pモル比が1.5の合成β−T
CPを合成した。これらの粉末の比表面積は12.3m2/gと1
0.5m2/gであった。また第2リン酸カルシウムCaHPO4にC
aCO3を加え混合物を1100℃にて仮焼し,比表面積8.9m2/
g,Ca/Pモル比1.7の合成リン酸カルシウムを調製した。
リン酸カルシウム原料として,上記の合成HAP,合成β
−TCP,合成リン酸カルシウム,及び天然骨灰を使用し,
リチウムアルミノケイ酸塩原料は実施例1〜22に使用し
たLi2O・Al2O3・8SiO2,Li2O・Al2O3・4SiO2と天然原料
のカオリン,セリサイト,蛙目粘土とを使用した。
これら原料を第4表の割合で加え湿式粉砕混合後,こ
れにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部
加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力
で等方的に成形し,第4表に示す温度で大気中焼成し
た。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。
得られた焼結体の測定結果を第4表に示す。なお得ら
れた焼結体の見掛気孔率は全て0.1%以下であった。
[効果] 本発明のリン酸カルシウム系磁器は,従来のリン酸カ
ルシウム系磁器に比較し,低熱膨張で耐熱衝撃抵抗性に
優れる。又,低熱膨張結晶相(固溶体)の割合を変える
ことによって磁器の熱膨張係数をコントロールすること
ができる。また緻密質で透光性にも優れる為,ボーンチ
ャイナ等の磁器素地としても有用である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁器全量に対して,下記A,B成分: A成分:リチウムアルミノケイ酸塩として表示され,Al2
    O3,SiO2及びLi2Oの換算合計値として3〜95%(重量
    %,以下同じ), B成分:リン酸カルシウム系化合物として表示され,P2O
    5及びCaOの換算合計値として5〜97%, を主成分とし, A成分が,該A成分全量に対する各酸化物組成で,Al2O3
    5〜70%,SiO2 30〜95%及びLi2O 0.1〜30%からなり, B成分が,Ca/Pモル比1〜2であることを特徴とするリ
    ン酸カルシウム系磁器。
  2. 【請求項2】A成分全量に対してLi2O 0.5〜15%である
    請求項1記載のリン酸カルシウム系磁器。
  3. 【請求項3】B成分15〜18%からなり,そのCa/Pモル比
    が1.25〜1.75である請求項1又は2記載のリン酸カルシ
    ウム系磁器。
  4. 【請求項4】磁器全量に対して,酸化物組成で, SiO2,Al2O3,Li2O,P2O5,及びCaOの合計が90%以上である
    ことを特徴とする請求項1〜3の一に記載のリン酸カル
    シウム系磁器。
  5. 【請求項5】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
    の少なくとも一種からなる相と,β−スポデューメン固
    溶体及びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種
    からなる相とが共存している請求項1〜4のいずれか一
    記載のリン酸カルシウム系磁器。
  6. 【請求項6】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
    の少なくとも一種からなる相と,アノーサイト及びムラ
    イトの少なくとも一種からなる相とが共存している請求
    項1〜4のいずれか一記載のリン酸カルシウム系磁器。
  7. 【請求項7】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
    の少なくとも一種からなる相と,β−スポデューメン固
    溶体及びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種
    からなる相とが共存していることを特徴とするリン酸カ
    ルシウム系磁器。
  8. 【請求項8】更に,アノーサイト及びムライトの少なく
    とも一種からなる相が共存している請求項5又は7記載
    のリン酸カルシウム系磁器。
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