JP2792681B2 - リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器 - Google Patents
リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器Info
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- JP2792681B2 JP2792681B2 JP1201254A JP20125489A JP2792681B2 JP 2792681 B2 JP2792681 B2 JP 2792681B2 JP 1201254 A JP1201254 A JP 1201254A JP 20125489 A JP20125489 A JP 20125489A JP 2792681 B2 JP2792681 B2 JP 2792681B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は軟磁器(ボーンチャイナ)や装飾材料,ある
いは生体材料としても有効な緻密質リン酸カルシウム系
磁器に関する。リン酸カルシウム系磁器とは,水酸アパ
タイトCa10(PO4)6(OH)2[HAP],リン酸カルシウ
ムCa3(PO4)2[TCP],骨灰等のリン酸カルシウム系
化合物を主成分とする磁器をいう。
いは生体材料としても有効な緻密質リン酸カルシウム系
磁器に関する。リン酸カルシウム系磁器とは,水酸アパ
タイトCa10(PO4)6(OH)2[HAP],リン酸カルシウ
ムCa3(PO4)2[TCP],骨灰等のリン酸カルシウム系
化合物を主成分とする磁器をいう。
[従来技術] リン酸カルシウム系磁器は,乳白色を帯び優れた透光
性を具えており,身近には高級磁器製品としてディナー
・ウェアあるいは装飾品などに使用され,一般にボーン
チャイナとして知られている。又,リン酸カルシウムは
生体親和性にすぐれており人工歯根や人工骨等のインプ
ラント材料としても注目され応用が試みられている。
性を具えており,身近には高級磁器製品としてディナー
・ウェアあるいは装飾品などに使用され,一般にボーン
チャイナとして知られている。又,リン酸カルシウムは
生体親和性にすぐれており人工歯根や人工骨等のインプ
ラント材料としても注目され応用が試みられている。
リン酸カルシウム系磁器,特にボーンチャイナは,リ
ン酸カルシウム源として,骨灰あるいはピロリン酸カル
シウムと石灰石とを使用し,これにカオリン,長石,珪
石,可塑性粘土等を加えた坏土を成形し,1200〜1300℃
にて焼成を行なうもので,β−Ca3(PO4)2結晶を主体
にアノーサイト結晶を含み,ガラス質は比較的少く,均
質な組織から構成されている。[セラミックス10[7]
1975] 一般的なボーンチャイナとしては,原料組成において
石英を含むものと含まないものとがある。前者の配合は
通常,骨灰(合成後骨灰組成となり得る原料を含む)25
〜60%,カオリン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレー
を含む)20〜40%,陶石5〜20%,長石5〜20%及び石
英1〜15%よりなる。又,後者の配合は通常,骨灰(合
成後骨灰組成となり得る原料を含む)25〜60%,カオリ
ン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレーを含む)20〜40
%,セリサイト5〜15%及び長石5〜20%よりなる。ボ
ーンチャイナの化学成分は,SiO2,Al2O3,CaO,P2O5を主成
分とし,リン酸カルシウムを30〜60wt%含んでおり,そ
の他の成分として,MgO,K2O,Na2O,Fe2O3,TiO2等を数%含
有している。X線回折から,磁器に含まれる結晶相は,
β−Ca3(PO4)2結晶とアノーサイト結晶の2相であ
る。
ン酸カルシウム源として,骨灰あるいはピロリン酸カル
シウムと石灰石とを使用し,これにカオリン,長石,珪
石,可塑性粘土等を加えた坏土を成形し,1200〜1300℃
にて焼成を行なうもので,β−Ca3(PO4)2結晶を主体
にアノーサイト結晶を含み,ガラス質は比較的少く,均
質な組織から構成されている。[セラミックス10[7]
1975] 一般的なボーンチャイナとしては,原料組成において
石英を含むものと含まないものとがある。前者の配合は
通常,骨灰(合成後骨灰組成となり得る原料を含む)25
〜60%,カオリン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレー
を含む)20〜40%,陶石5〜20%,長石5〜20%及び石
英1〜15%よりなる。又,後者の配合は通常,骨灰(合
成後骨灰組成となり得る原料を含む)25〜60%,カオリ
ン(蛙目粘土,木節粘土,ボールクレーを含む)20〜40
%,セリサイト5〜15%及び長石5〜20%よりなる。ボ
ーンチャイナの化学成分は,SiO2,Al2O3,CaO,P2O5を主成
分とし,リン酸カルシウムを30〜60wt%含んでおり,そ
の他の成分として,MgO,K2O,Na2O,Fe2O3,TiO2等を数%含
有している。X線回折から,磁器に含まれる結晶相は,
β−Ca3(PO4)2結晶とアノーサイト結晶の2相であ
る。
[発明の解決課題] しかし,リン酸カルシウム系磁器の熱膨張係数8〜10
×10-6(0〜800℃)は,一般の硬質磁器の熱膨張係数
6×10-6(0〜800℃)に比して高い。この為,本来的
に機械的強度が大きいにもかかわらず,熱衝撃破壊抵抗
性は一般磁器に比較して弱い傾向がある。リン酸カルシ
ウム含有量が多くなるとさらに熱膨張係数は大きくな
る。
×10-6(0〜800℃)は,一般の硬質磁器の熱膨張係数
6×10-6(0〜800℃)に比して高い。この為,本来的
に機械的強度が大きいにもかかわらず,熱衝撃破壊抵抗
性は一般磁器に比較して弱い傾向がある。リン酸カルシ
ウム含有量が多くなるとさらに熱膨張係数は大きくな
る。
又,リン酸カルシウム系単味焼結体(水酸アパタイト
焼結体あるいはβ−Ca3(PO4)2焼結体)においては一
般に焼結がむずかしい為に高強度焼結体が得られにく
い。例えばCa3(PO4)2焼結体の場合には,1180℃付近
にα−β転移があり,高密度化が困難である。そのた
め,HIP処理が試みられたり(窯業協会年会予稿集3G11 P
941〜942),あるいは,リン酸カルシウムへの各種添加
物の添加,例えばP2O5,CaO,BaO,Al2O3から調製したフリ
ットやSiO2粉末等の添加が検討されている(FC Report
6(1988)No.10 410〜414)。
焼結体あるいはβ−Ca3(PO4)2焼結体)においては一
般に焼結がむずかしい為に高強度焼結体が得られにく
い。例えばCa3(PO4)2焼結体の場合には,1180℃付近
にα−β転移があり,高密度化が困難である。そのた
め,HIP処理が試みられたり(窯業協会年会予稿集3G11 P
941〜942),あるいは,リン酸カルシウムへの各種添加
物の添加,例えばP2O5,CaO,BaO,Al2O3から調製したフリ
ットやSiO2粉末等の添加が検討されている(FC Report
6(1988)No.10 410〜414)。
従って,本発明の第1の課題はリン酸カルシウム系磁
器の熱膨張係数を小さくし,熱衝撃破壊抵抗性の改善を
はかることにある。又,第2の課題は,前記リン酸カル
シウム含有量の多い磁器における焼結性を改善し,緻密
な高強度焼結体を提供することにある。
器の熱膨張係数を小さくし,熱衝撃破壊抵抗性の改善を
はかることにある。又,第2の課題は,前記リン酸カル
シウム含有量の多い磁器における焼結性を改善し,緻密
な高強度焼結体を提供することにある。
[課題の解決手段及び作用] 本発明は,かかる課題を下記手段によって解決した。
(1)磁器全量に対して,下記A,B成分: A成分:リチウムアルミノケイ酸塩として表示され,Al2
O3,SiO2及びLi2Oの換算合計値として3〜95%(重量
%,以下同じ), B成分:リン酸カルシウム系化合物として表示され,P2O
5及びCaOの換算合計値として5〜97%, を主成分とし, A成分が,該A成分全量に対する各酸化物組成で,Al2
O3 5〜70%,SiO2 30〜95%及びLi2O 0.1〜30%からな
り, B成分が,Ca/Pモル比1〜2であることを特徴とする
リン酸カルシウム系磁器。
O3,SiO2及びLi2Oの換算合計値として3〜95%(重量
%,以下同じ), B成分:リン酸カルシウム系化合物として表示され,P2O
5及びCaOの換算合計値として5〜97%, を主成分とし, A成分が,該A成分全量に対する各酸化物組成で,Al2
O3 5〜70%,SiO2 30〜95%及びLi2O 0.1〜30%からな
り, B成分が,Ca/Pモル比1〜2であることを特徴とする
リン酸カルシウム系磁器。
特に前記(1)のリン酸カルシウム系磁器において,A
成分全量に対してLi2O 0.5〜15%であるもの,又B成分
15〜18%からなり,そのCa/Pモル比が1.25〜1.75である
もの。
成分全量に対してLi2O 0.5〜15%であるもの,又B成分
15〜18%からなり,そのCa/Pモル比が1.25〜1.75である
もの。
(2)水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウムの少な
くとも一種からなる相と,β−スポデューメン固溶体及
びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種からな
る相とが共存していることを特徴とするリン酸カルシウ
ム系磁器。
くとも一種からなる相と,β−スポデューメン固溶体及
びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種からな
る相とが共存していることを特徴とするリン酸カルシウ
ム系磁器。
特に,これらの結晶相が共存しており,かつ前記
(1)の要件(成分組成等)を充足するものが好まし
い。又,その他の相としてLiイオン含有ガラス相,或い
はアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からなる
結晶相が共存しているものが好ましい。
(1)の要件(成分組成等)を充足するものが好まし
い。又,その他の相としてLiイオン含有ガラス相,或い
はアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からなる
結晶相が共存しているものが好ましい。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,同一量のリン酸
カルシウムを含有する従来のリン酸カルシウム系磁器と
比較して低熱膨張で耐衝撃破壊抵抗性に優れる。しか
も,乳白色を呈し,優れた透光性を有し,かつ機械的強
度も高い。
カルシウムを含有する従来のリン酸カルシウム系磁器と
比較して低熱膨張で耐衝撃破壊抵抗性に優れる。しか
も,乳白色を呈し,優れた透光性を有し,かつ機械的強
度も高い。
このような本発明のリン酸カルシウム系磁器は,本発
明者等が鋭意研究を重ねた結果,次に述べるような新た
な知見に基づき完成されたものである。
明者等が鋭意研究を重ねた結果,次に述べるような新た
な知見に基づき完成されたものである。
すなわち,本発明者等はリン酸カルシウム系磁器につ
いて,低熱膨張結晶(ないし固溶体)相を導入し,リン
酸カルシウム結晶と共存させることについて検討を重ね
てきた。その結果,リチウムイオンを含有する化合物例
えばリチウム−アルミノケイ酸塩をリン酸カルシウムに
加え,リチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタイ
ト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも一
種として析出させ,リン酸カルシウムを水酸アパタイト
結晶又はβ−Ca3(PO4)2結晶の少なくとも一種として
晶出共存させることに成功した。かくして,リン酸カル
シウムにリチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタ
イト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも
一種を含有する新規なリン酸カルシウム系磁器を見い出
した。
いて,低熱膨張結晶(ないし固溶体)相を導入し,リン
酸カルシウム結晶と共存させることについて検討を重ね
てきた。その結果,リチウムイオンを含有する化合物例
えばリチウム−アルミノケイ酸塩をリン酸カルシウムに
加え,リチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタイ
ト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも一
種として析出させ,リン酸カルシウムを水酸アパタイト
結晶又はβ−Ca3(PO4)2結晶の少なくとも一種として
晶出共存させることに成功した。かくして,リン酸カル
シウムにリチウムイオン含有ガラス,β−ユークリプタ
イト固溶体又はβ−スポデューメン固溶体の少なくとも
一種を含有する新規なリン酸カルシウム系磁器を見い出
した。
本発明磁器において,リチウムアルミノケイ酸塩(A
成分)は3〜95%,リン酸カルシウム系化合物(B成
分)は5〜97%とされる。A成分が3%未満(B成分が
97%を越える)では,水酸アパタイト結晶及び/又はβ
−Ca3(PO4)2結晶の晶出割合が少くなり,又焼結性に
劣り,緻密質の焼結体が得られない。一方A成分が95%
を越えると(B成分が5%未満),乳白色,透光性が阻
害され,機械的強度も低レベルとなるおそれがある。こ
のリチウムアルミノケイ酸塩(A成分)は,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/又はβ−スポデューメン固溶体
として析出(ないし晶出)して存在するが一部はガラス
相として焼結体中に存在する。
成分)は3〜95%,リン酸カルシウム系化合物(B成
分)は5〜97%とされる。A成分が3%未満(B成分が
97%を越える)では,水酸アパタイト結晶及び/又はβ
−Ca3(PO4)2結晶の晶出割合が少くなり,又焼結性に
劣り,緻密質の焼結体が得られない。一方A成分が95%
を越えると(B成分が5%未満),乳白色,透光性が阻
害され,機械的強度も低レベルとなるおそれがある。こ
のリチウムアルミノケイ酸塩(A成分)は,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/又はβ−スポデューメン固溶体
として析出(ないし晶出)して存在するが一部はガラス
相として焼結体中に存在する。
本発明では,焼結体中に低熱膨張相のβ−ユークリプ
タイト固溶体および/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスを主として析出(晶出)さ
せ,場合によってはこれにアノーサイト結晶及び/また
はムライト結晶と共存させる為にリチウム−アルミノケ
イ酸塩(A成分)の組成はAl2O3が5〜70%,SiO2が30〜
95%,Li2Oが0.1〜30%である必要がある。SiO2が30%未
満になりAl2O3が70%より多くなるとコランダム結晶の
晶出割合が多くなり,Al2O3が5%未満になりSiO2が95%
より多くなると,クリストバライト結晶あるいはトリジ
マイト結晶等の晶出割合が多くなり好ましくない。また
Li2Oが0.1%未満では,β−ユークリプタイト固溶体,
β−スポデューメン固溶体の析出割合が極めて少なくな
り好ましくない。Li2Oが30%より多くなると,Li2O・SiO
2やLi2O・2SiO2等のケイ酸リチウム結晶の晶出割合が多
くなり好ましくない。特に,リチウム・アルミノケイ酸
塩成分のLi2Oの割合を0.5〜15%にすると,緻密質セラ
ミックスが得られやすい。
タイト固溶体および/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスを主として析出(晶出)さ
せ,場合によってはこれにアノーサイト結晶及び/また
はムライト結晶と共存させる為にリチウム−アルミノケ
イ酸塩(A成分)の組成はAl2O3が5〜70%,SiO2が30〜
95%,Li2Oが0.1〜30%である必要がある。SiO2が30%未
満になりAl2O3が70%より多くなるとコランダム結晶の
晶出割合が多くなり,Al2O3が5%未満になりSiO2が95%
より多くなると,クリストバライト結晶あるいはトリジ
マイト結晶等の晶出割合が多くなり好ましくない。また
Li2Oが0.1%未満では,β−ユークリプタイト固溶体,
β−スポデューメン固溶体の析出割合が極めて少なくな
り好ましくない。Li2Oが30%より多くなると,Li2O・SiO
2やLi2O・2SiO2等のケイ酸リチウム結晶の晶出割合が多
くなり好ましくない。特に,リチウム・アルミノケイ酸
塩成分のLi2Oの割合を0.5〜15%にすると,緻密質セラ
ミックスが得られやすい。
リン酸カルシウム(B成分)は,主としてリン酸カル
シウム系化合物たる水酸アパタイト結晶,β−TCP等と
して晶出しているが,一部はガラス相構成成分(リン酸
を含むガラス相を成す)として焼結体中に存在する。
シウム系化合物たる水酸アパタイト結晶,β−TCP等と
して晶出しているが,一部はガラス相構成成分(リン酸
を含むガラス相を成す)として焼結体中に存在する。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,SiO2,Al2O3,Li
2O,P2O5,CaOその他の酸化物組成でを所定範囲のものと
することにより,所期の低熱膨張相を共存させ,熱衝撃
破壊抵抗性を改善し,緻密な高強度焼結体を得ることが
できる。好ましくは,SiO2,Al2O3,Li2O,P2O5,及びCaOの
合計が90%以上である。
2O,P2O5,CaOその他の酸化物組成でを所定範囲のものと
することにより,所期の低熱膨張相を共存させ,熱衝撃
破壊抵抗性を改善し,緻密な高強度焼結体を得ることが
できる。好ましくは,SiO2,Al2O3,Li2O,P2O5,及びCaOの
合計が90%以上である。
その他の酸化物としては,磁器原料(リン酸カルシウ
ム系化合物原料,リチウムアルノケイ酸塩原料)特に天
然原料から混入される酸化物,例えばMgO,K2O,Na2O,Fe2
O3,TiO2,B2O3などが挙げられる。
ム系化合物原料,リチウムアルノケイ酸塩原料)特に天
然原料から混入される酸化物,例えばMgO,K2O,Na2O,Fe2
O3,TiO2,B2O3などが挙げられる。
リン酸カルシウム成分について,Ca/P比が1〜2の範
囲外の場合,水酸アパタイト結晶やβ−Ca3(PO4)2結
晶以外の結晶相やガラス相が多くなる為好ましくない。
特に,Ca/Pモル比が1.25〜1.75の範囲のリン酸カルシウ
ムをP2O5とCaOの合計量で15〜80%含有した場合,焼成
温度域が広く焼成が容易である。
囲外の場合,水酸アパタイト結晶やβ−Ca3(PO4)2結
晶以外の結晶相やガラス相が多くなる為好ましくない。
特に,Ca/Pモル比が1.25〜1.75の範囲のリン酸カルシウ
ムをP2O5とCaOの合計量で15〜80%含有した場合,焼成
温度域が広く焼成が容易である。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,水酸アパタイト
結晶及び/またはβ−Ca3(PO4)2結晶とβ−ユークリ
プタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスとが共存し,更に場合により
アノーサイト結晶及び/またはムライト結晶を含有する
ものである。従来のリン酸カルシウム系磁器と比較し,
低熱膨張相のβ−ユークリプタイト固溶体及び/または
β−スポデューメン固溶体或いはLiイオン含有ガラスを
含有しているところに特徴がある。ここで,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶
体等は,純粋なスポデューメンあるいはユークリプタイ
ト結晶はもとよりSiO2,Al2O3,Li2Oの割合および結晶粒
子径が純粋なユークリプタイトなどとは多少異なるが結
晶構造が同一であるものまでを含むことを意味する。他
の結晶相,例えばAl2O3や,Ca2SiO4等を一部含んでいて
も差支えない。
結晶及び/またはβ−Ca3(PO4)2結晶とβ−ユークリ
プタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶体
或いはLiイオン含有ガラスとが共存し,更に場合により
アノーサイト結晶及び/またはムライト結晶を含有する
ものである。従来のリン酸カルシウム系磁器と比較し,
低熱膨張相のβ−ユークリプタイト固溶体及び/または
β−スポデューメン固溶体或いはLiイオン含有ガラスを
含有しているところに特徴がある。ここで,β−ユーク
リプタイト固溶体及び/またはβ−スポデューメン固溶
体等は,純粋なスポデューメンあるいはユークリプタイ
ト結晶はもとよりSiO2,Al2O3,Li2Oの割合および結晶粒
子径が純粋なユークリプタイトなどとは多少異なるが結
晶構造が同一であるものまでを含むことを意味する。他
の結晶相,例えばAl2O3や,Ca2SiO4等を一部含んでいて
も差支えない。
尚,Liイオンを含有していても結晶相的にβ−スポデ
ューメン固溶体或いはβ−ユークリプタイト固溶体とし
て析出(晶出)せず,Li含有ガラス(特に低膨張ガラ
ス)として存在している場合も考えられる。従って,本
発明は前記成分組成を充足する限り,水酸アパタイト結
晶及びβ−リン酸カルシウムの少なくとも一種からなる
相にアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からな
る相とが共存してなるものであても差支えない。
ューメン固溶体或いはβ−ユークリプタイト固溶体とし
て析出(晶出)せず,Li含有ガラス(特に低膨張ガラ
ス)として存在している場合も考えられる。従って,本
発明は前記成分組成を充足する限り,水酸アパタイト結
晶及びβ−リン酸カルシウムの少なくとも一種からなる
相にアノーサイト及びムライトの少なくとも一種からな
る相とが共存してなるものであても差支えない。
本発明のリン酸カルシウム系磁器は,磁器中に晶出し
ている水酸アパタイト結晶相及びβ−Ca3(PO4)2結晶
相の割合と,共存しているリチウムイオン含有ガラス,
β−ユークリプタイト固溶体及びβ−スポデューメン固
溶体(更には場合によりアノーサイト及びムライト)の
割合と,その構成化学成分であるAl2O3,SiO2,Li2Oの割
合とにより,磁器の熱膨張係数をコントロールすること
もでき,磁器の用途にあわせた材料を提供できる。例え
ばボーンチャイナ用の場合,水酸アパタイト,β−Ca3
(PO4)2相20〜70wt%,残部β−ユークリプタイト,
β−スポデューメン相を含むリチウムアルミノケイ酸塩
(リチウムアルミノケイ酸塩全量に対しAl2O3 10〜50wt
%,SiO2 30〜90wt%,Li2O 0.5〜10wt%)にするとよ
い。
ている水酸アパタイト結晶相及びβ−Ca3(PO4)2結晶
相の割合と,共存しているリチウムイオン含有ガラス,
β−ユークリプタイト固溶体及びβ−スポデューメン固
溶体(更には場合によりアノーサイト及びムライト)の
割合と,その構成化学成分であるAl2O3,SiO2,Li2Oの割
合とにより,磁器の熱膨張係数をコントロールすること
もでき,磁器の用途にあわせた材料を提供できる。例え
ばボーンチャイナ用の場合,水酸アパタイト,β−Ca3
(PO4)2相20〜70wt%,残部β−ユークリプタイト,
β−スポデューメン相を含むリチウムアルミノケイ酸塩
(リチウムアルミノケイ酸塩全量に対しAl2O3 10〜50wt
%,SiO2 30〜90wt%,Li2O 0.5〜10wt%)にするとよ
い。
本発明の磁器の製造に使用する原料は,天然原料,合
成原料のいずれを使用してもよい。リン酸カルシウム原
料としては,例えば,天然骨灰3Ca3(PO4)2・Ca(O
H)2;ゼラチンの製造工程で牛骨を溶解し,ゼラチン成
分を分離した後の廃液を石灰乳で中和した特に得られる
析出物である少量のCa(OH)2を含んだCaHPO4・2H2O;
これを仮焼して得られたαあるいはβピロリン酸カルシ
ウムα−2CaO・P2O5,β−2CaO・P2O5;リン酸水素カルシ
ウム二水塩CaHPO4・2H2O;第2リン酸カルシウムCaHPO4;
第3リン酸カルシウムCa3(PO4)2あるいは3[Ca3(P
O4)2]・Ca(OH)2;及び水酸アパタイト結晶Ca10(PO
4)6・(OH)2等があげられる。又,Ca3(PO4)2ある
いは水酸アパタイト結晶は,リン酸水素カルシウム二水
塩,第2リン酸カルシウム,ピロリン酸カルシウム等に
CaCO3を加えて加熱し,固相反応により行なう乾式合成
法;カルシウム塩(例えばCa(OH)2,Ca(NO3)2等)
とリン酸塩(例えばH3PO4,(NH4)2HPO4等)を適当なpH
に調節した溶液中で混合し,沈殿反応をすすめる湿式合
成法;CaHPO4・2H2OとCaCO3を湿式で混合粉砕し,750℃付
近にて仮焼して合成を行なうメカノケミカル法;等の各
種化学合成法から得られたもののいずれでもよく,その
目的に応じて選択し,使用できる。
成原料のいずれを使用してもよい。リン酸カルシウム原
料としては,例えば,天然骨灰3Ca3(PO4)2・Ca(O
H)2;ゼラチンの製造工程で牛骨を溶解し,ゼラチン成
分を分離した後の廃液を石灰乳で中和した特に得られる
析出物である少量のCa(OH)2を含んだCaHPO4・2H2O;
これを仮焼して得られたαあるいはβピロリン酸カルシ
ウムα−2CaO・P2O5,β−2CaO・P2O5;リン酸水素カルシ
ウム二水塩CaHPO4・2H2O;第2リン酸カルシウムCaHPO4;
第3リン酸カルシウムCa3(PO4)2あるいは3[Ca3(P
O4)2]・Ca(OH)2;及び水酸アパタイト結晶Ca10(PO
4)6・(OH)2等があげられる。又,Ca3(PO4)2ある
いは水酸アパタイト結晶は,リン酸水素カルシウム二水
塩,第2リン酸カルシウム,ピロリン酸カルシウム等に
CaCO3を加えて加熱し,固相反応により行なう乾式合成
法;カルシウム塩(例えばCa(OH)2,Ca(NO3)2等)
とリン酸塩(例えばH3PO4,(NH4)2HPO4等)を適当なpH
に調節した溶液中で混合し,沈殿反応をすすめる湿式合
成法;CaHPO4・2H2OとCaCO3を湿式で混合粉砕し,750℃付
近にて仮焼して合成を行なうメカノケミカル法;等の各
種化学合成法から得られたもののいずれでもよく,その
目的に応じて選択し,使用できる。
リチウムアルミノケイ酸塩の原料としては,天然原
料,或いは任意の組成について合成した合成原料のいず
れを使用してもよく,例えばペタライト(Li2O・Al2O3
・8SiO2),Li−オルソクレース(Li2O・Al2O3・6Si
O2),スポデューメン(Li2O・Al2O3・4SiO2),ユーク
リプタイト(Li2O・Al2O3・2SiO2),ケイ酸リチウム
(Li2O・SiO2,2Li2O・SiO2,Li2O・2SiO2),酸化リチウ
ム(Li2O),アルミン酸リチウム(Li2O・Al2O3),等
から選ばれる1つ以上のリチウム含有化合物に必要に応
じてカオリン,セリサイト,蛙目粘土,陶石,長石等の
天然ケイ酸アルミニウムあるいは合成ケイ酸アルミニウ
ムを使用する。
料,或いは任意の組成について合成した合成原料のいず
れを使用してもよく,例えばペタライト(Li2O・Al2O3
・8SiO2),Li−オルソクレース(Li2O・Al2O3・6Si
O2),スポデューメン(Li2O・Al2O3・4SiO2),ユーク
リプタイト(Li2O・Al2O3・2SiO2),ケイ酸リチウム
(Li2O・SiO2,2Li2O・SiO2,Li2O・2SiO2),酸化リチウ
ム(Li2O),アルミン酸リチウム(Li2O・Al2O3),等
から選ばれる1つ以上のリチウム含有化合物に必要に応
じてカオリン,セリサイト,蛙目粘土,陶石,長石等の
天然ケイ酸アルミニウムあるいは合成ケイ酸アルミニウ
ムを使用する。
こうした原料を使用し,原料の成分含量に換算して,A
l2O3:5〜70%,SiO2:30〜90%,Li2O:0.1〜30%になるよ
うにリチウム含有化合物あるいはリチウム含有化合物と
ケイ酸アルミニウムを選択し,リチウムアルミノケイ酸
塩中に含まれるAl2O3,SiO2,Li2Oに換算した合計量で5
%以上95%以下に対し,リン酸カルシウム原料をP2O5と
CaOの合計量に換算し,5%以上95%以下になるように加
える。原料はあらかじめ微粉砕(例えば50μm以下)し
て,使用するのが好ましい。角原料は,配合した後,均
一に混合し,成形,乾燥工程の後,1000〜1350℃の範
囲,好ましくは1100〜1300℃の範囲で焼成を行ないリン
酸カルシウム系磁器を得る。
l2O3:5〜70%,SiO2:30〜90%,Li2O:0.1〜30%になるよ
うにリチウム含有化合物あるいはリチウム含有化合物と
ケイ酸アルミニウムを選択し,リチウムアルミノケイ酸
塩中に含まれるAl2O3,SiO2,Li2Oに換算した合計量で5
%以上95%以下に対し,リン酸カルシウム原料をP2O5と
CaOの合計量に換算し,5%以上95%以下になるように加
える。原料はあらかじめ微粉砕(例えば50μm以下)し
て,使用するのが好ましい。角原料は,配合した後,均
一に混合し,成形,乾燥工程の後,1000〜1350℃の範
囲,好ましくは1100〜1300℃の範囲で焼成を行ないリン
酸カルシウム系磁器を得る。
[実施例] 実施例及び比較例をあげて本発明をより具体的に説明
するが,本発明はその要旨を超えない限り,以下の実施
例に限定されるものではない。
するが,本発明はその要旨を超えない限り,以下の実施
例に限定されるものではない。
実施例1〜11,比較例1〜2 湿式合成法すなわちカルシウム塩(Ca(NO3)2)と
リン酸塩((NH4)2HPO4)の水溶液を混合し,水溶液の
pH調節により反応させ,生成物をろ過・洗浄した後,乾
燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン
酸三カルシウム(β−Ca3(PO4)2)を合成した(合成
β−TCP)。この粉末の比表面積は10.5m2/gであった。
リン酸塩((NH4)2HPO4)の水溶液を混合し,水溶液の
pH調節により反応させ,生成物をろ過・洗浄した後,乾
燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン
酸三カルシウム(β−Ca3(PO4)2)を合成した(合成
β−TCP)。この粉末の比表面積は10.5m2/gであった。
リチウムアルミノケイ酸塩原料はアルミニウム塩,ア
ルミン酸アルカリ,ケイ酸アルカリ,リチウム塩の水溶
液を混合し,得られた沈殿物をろ過・洗浄する湿式法に
て合成後,1000℃で仮焼し,比表面積5.5m2/gのLi2O・Al
2O3・8SiO2を調製した。
ルミン酸アルカリ,ケイ酸アルカリ,リチウム塩の水溶
液を混合し,得られた沈殿物をろ過・洗浄する湿式法に
て合成後,1000℃で仮焼し,比表面積5.5m2/gのLi2O・Al
2O3・8SiO2を調製した。
上記の合成β−TCP及びリチウムアルミノケイ酸塩を
原料粉末を第1表の割合で加えて湿式粉砕混合後これに
バインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部加え
て湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力で等
方的に成形し,第1表に示す温度で大気中に焼成した。
原料粉末を第1表の割合で加えて湿式粉砕混合後これに
バインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部加え
て湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力で等
方的に成形し,第1表に示す温度で大気中に焼成した。
得られた焼結体の測定結果を第1表に示す。なおこれ
ら得られた焼結体の見掛気孔率はいずれも0.1%以下で
あった。
ら得られた焼結体の見掛気孔率はいずれも0.1%以下で
あった。
実施例12〜22,比較例3 リチウムアルミノケイ酸塩の原料は実施例1〜11で使
用したLi2O・Al2O3・8SiO2の合成方法と同様にして出発
原料組成比を変えることで,Li2O・Al2O3・4SiO2,Li2O・
Al2O3・2SiO2,Li2O・2SiO2を湿式混合した。これらの合
成粉は以下の温度で仮焼を行ない使用した。
用したLi2O・Al2O3・8SiO2の合成方法と同様にして出発
原料組成比を変えることで,Li2O・Al2O3・4SiO2,Li2O・
Al2O3・2SiO2,Li2O・2SiO2を湿式混合した。これらの合
成粉は以下の温度で仮焼を行ない使用した。
又,この他に天然原料であるブラジル産ペタライト
(あらかじめボールミルにて湿式粉砕を行ない平均粒径
5μm以下にしたものを使用した。)及びカオリン質粘
土,セリサイト粘土,蛙目粘土を使用した。
(あらかじめボールミルにて湿式粉砕を行ない平均粒径
5μm以下にしたものを使用した。)及びカオリン質粘
土,セリサイト粘土,蛙目粘土を使用した。
リン酸カルシウム原料は,CaHPO4・2H2OとCaCO3に水を
加えたスラリーを式混合粉砕し,メカノケミカルな作用
を与えることによりより反応を進行させ,カルシウム欠
損アパタイトを合成した。これを780℃にて仮焼を行な
い,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン酸三カルシウム(β−Ca
3(PO4)2)を合成した(合成β−TCP)。この合成粉
の比表面積は16.7m2/gであった。
加えたスラリーを式混合粉砕し,メカノケミカルな作用
を与えることによりより反応を進行させ,カルシウム欠
損アパタイトを合成した。これを780℃にて仮焼を行な
い,Ca/Pモル比が1.5のβ−リン酸三カルシウム(β−Ca
3(PO4)2)を合成した(合成β−TCP)。この合成粉
の比表面積は16.7m2/gであった。
上記のリン酸カルシウム及びリチウムアルミノケイ酸
塩の各原料粉体を第2表の割合で加え,湿式粉砕混合後
これにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量
部加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧
力で等方的に成形し,第2表に示す温度で大気中に焼成
した。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。(例えば,使
用したカオリンは2.75%のIglossがあるので,実施例13
の表中5wt%加える場合には,Igloss分を除いた添加量が
5wt%になるように5.73wt%相当分を加えた。) 得られた焼結体の測定結果を第2表に示す。またこれ
らの実施例中から選択し,色差計にて,色調を測定し,L
ab表色系にて第3表に示した。又,厚み4.3mmの試料に
て測定した透光度(%)も示した。
塩の各原料粉体を第2表の割合で加え,湿式粉砕混合後
これにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量
部加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧
力で等方的に成形し,第2表に示す温度で大気中に焼成
した。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。(例えば,使
用したカオリンは2.75%のIglossがあるので,実施例13
の表中5wt%加える場合には,Igloss分を除いた添加量が
5wt%になるように5.73wt%相当分を加えた。) 得られた焼結体の測定結果を第2表に示す。またこれ
らの実施例中から選択し,色差計にて,色調を測定し,L
ab表色系にて第3表に示した。又,厚み4.3mmの試料に
て測定した透光度(%)も示した。
実施例23〜26 実施例1〜11と同様に湿式合成法により,カルシウム
塩(Ca(NO3)2)とリン酸塩((NH4)2HPO4)の水溶
液を混合し,水溶液のpH調節により反応させ,生成物を
ろ過・洗浄した後乾燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモ
ル比が1.667の合成HAP及びCa/Pモル比が1.5の合成β−T
CPを合成した。これらの粉末の比表面積は12.3m2/gと1
0.5m2/gであった。また第2リン酸カルシウムCaHPO4にC
aCO3を加え混合物を1100℃にて仮焼し,比表面積8.9m2/
g,Ca/Pモル比1.7の合成リン酸カルシウムを調製した。
塩(Ca(NO3)2)とリン酸塩((NH4)2HPO4)の水溶
液を混合し,水溶液のpH調節により反応させ,生成物を
ろ過・洗浄した後乾燥し,800℃で仮焼を行ない,Ca/Pモ
ル比が1.667の合成HAP及びCa/Pモル比が1.5の合成β−T
CPを合成した。これらの粉末の比表面積は12.3m2/gと1
0.5m2/gであった。また第2リン酸カルシウムCaHPO4にC
aCO3を加え混合物を1100℃にて仮焼し,比表面積8.9m2/
g,Ca/Pモル比1.7の合成リン酸カルシウムを調製した。
リン酸カルシウム原料として,上記の合成HAP,合成β
−TCP,合成リン酸カルシウム,及び天然骨灰を使用し,
リチウムアルミノケイ酸塩原料は実施例1〜22に使用し
たLi2O・Al2O3・8SiO2,Li2O・Al2O3・4SiO2と天然原料
のカオリン,セリサイト,蛙目粘土とを使用した。
−TCP,合成リン酸カルシウム,及び天然骨灰を使用し,
リチウムアルミノケイ酸塩原料は実施例1〜22に使用し
たLi2O・Al2O3・8SiO2,Li2O・Al2O3・4SiO2と天然原料
のカオリン,セリサイト,蛙目粘土とを使用した。
これら原料を第4表の割合で加え湿式粉砕混合後,こ
れにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部
加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力
で等方的に成形し,第4表に示す温度で大気中焼成し
た。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。
れにバインダーとしてポリビニルアルコールを2重量部
加えて湿式混合し,乾燥させた粉末を1.5ton/cm2の圧力
で等方的に成形し,第4表に示す温度で大気中焼成し
た。なお天然原料は10%近くのIgloss(付着水,吸着
水,層間水)を含んでいるので,Igloss分を除いた値で
表中の割合になるように換算して加えた。
得られた焼結体の測定結果を第4表に示す。なお得ら
れた焼結体の見掛気孔率は全て0.1%以下であった。
れた焼結体の見掛気孔率は全て0.1%以下であった。
[効果] 本発明のリン酸カルシウム系磁器は,従来のリン酸カ
ルシウム系磁器に比較し,低熱膨張で耐熱衝撃抵抗性に
優れる。又,低熱膨張結晶相(固溶体)の割合を変える
ことによって磁器の熱膨張係数をコントロールすること
ができる。また緻密質で透光性にも優れる為,ボーンチ
ャイナ等の磁器素地としても有用である。
ルシウム系磁器に比較し,低熱膨張で耐熱衝撃抵抗性に
優れる。又,低熱膨張結晶相(固溶体)の割合を変える
ことによって磁器の熱膨張係数をコントロールすること
ができる。また緻密質で透光性にも優れる為,ボーンチ
ャイナ等の磁器素地としても有用である。
Claims (8)
- 【請求項1】磁器全量に対して,下記A,B成分: A成分:リチウムアルミノケイ酸塩として表示され,Al2
O3,SiO2及びLi2Oの換算合計値として3〜95%(重量
%,以下同じ), B成分:リン酸カルシウム系化合物として表示され,P2O
5及びCaOの換算合計値として5〜97%, を主成分とし, A成分が,該A成分全量に対する各酸化物組成で,Al2O3
5〜70%,SiO2 30〜95%及びLi2O 0.1〜30%からなり, B成分が,Ca/Pモル比1〜2であることを特徴とするリ
ン酸カルシウム系磁器。 - 【請求項2】A成分全量に対してLi2O 0.5〜15%である
請求項1記載のリン酸カルシウム系磁器。 - 【請求項3】B成分15〜18%からなり,そのCa/Pモル比
が1.25〜1.75である請求項1又は2記載のリン酸カルシ
ウム系磁器。 - 【請求項4】磁器全量に対して,酸化物組成で, SiO2,Al2O3,Li2O,P2O5,及びCaOの合計が90%以上である
ことを特徴とする請求項1〜3の一に記載のリン酸カル
シウム系磁器。 - 【請求項5】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
の少なくとも一種からなる相と,β−スポデューメン固
溶体及びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種
からなる相とが共存している請求項1〜4のいずれか一
記載のリン酸カルシウム系磁器。 - 【請求項6】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
の少なくとも一種からなる相と,アノーサイト及びムラ
イトの少なくとも一種からなる相とが共存している請求
項1〜4のいずれか一記載のリン酸カルシウム系磁器。 - 【請求項7】水酸アパタイト及びβ−リン酸カルシウム
の少なくとも一種からなる相と,β−スポデューメン固
溶体及びβ−ユークリプタイト固溶体の少なくとも一種
からなる相とが共存していることを特徴とするリン酸カ
ルシウム系磁器。 - 【請求項8】更に,アノーサイト及びムライトの少なく
とも一種からなる相が共存している請求項5又は7記載
のリン酸カルシウム系磁器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1201254A JP2792681B2 (ja) | 1989-08-04 | 1989-08-04 | リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1201254A JP2792681B2 (ja) | 1989-08-04 | 1989-08-04 | リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0369549A JPH0369549A (ja) | 1991-03-25 |
JP2792681B2 true JP2792681B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=16437895
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1201254A Expired - Lifetime JP2792681B2 (ja) | 1989-08-04 | 1989-08-04 | リチウムアルミノケイ酸塩を含有するリン酸カルシウム系磁器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2792681B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113105267B (zh) * | 2021-04-13 | 2023-01-31 | 景德镇陶瓷大学 | 一种陶瓷花纸添加剂、陶瓷花纸、富硒陶瓷及制备方法 |
-
1989
- 1989-08-04 JP JP1201254A patent/JP2792681B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0369549A (ja) | 1991-03-25 |
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