JP2791879B2 - Ｃｗ受信音質補償方式 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特にアマチュア無
線通信機における、ＣＷ受信音の了解度を改善する音質
補償方式である。

【０００２】

【従来の技術】電波形式がＡ１Ａ等のＣＷ信号を受信す
る、従来のアマチュア無線通信機のＣＷ受信系の構成を
図２に示す。図２において、１は中間周波段における帯
域制限フィルタ、２は復調器、３は低周波増幅段におけ
る帯域制限フィルタ、４は低周波電力増幅器、５はスピ
ーカである。

【０００３】また、帯域制限フィルタ１の入力は最終の
中間周波増幅段であり、場合によってはダブルスーパー
或いはトリプルスーパーヘテロダイン等の構成をとるも
のとする。図２において、中間周波数となったＣＷ信号
は、帯域制限フィルタ１で帯域濾波され近接する混信及
び雑音信号成分等を除去し、復調器２で可聴周波数帯に
変換され、帯域制限フィルタ３で再び混信及び雑音信号
成分等を除去し、低周波増幅器４で低周波増幅を行い、
スピーカ５でＣＷ信号を音波に変換して運用者の聴覚で
認識できるようにする。ＣＷ信号は、可聴周波数帯域の
単一周波数の断続であるので、通常、帯域制限フィルタ
１及び３の帯域幅を数10Hz〜数100Hz になるようにす
る。

【０００４】近年において、有効的な電波利用に際し、
無線通信機等おける受信帯域の狭帯域化が計られてい
る。そこで、受信帯域を狭帯域にする手段として、帯域
制限フィルタ等を複数個用いて狭帯域にする方法等があ
るが、狭帯域であるため通過するＣＷ信号の高周波成分
が欠除或いは減衰し、つまり、フィルタ等の時定数が、
通過するＣＷ信号に影響を与え、フィルタを通過する際
に、ＣＷ信号自体の遅延はもとより、ＣＷ信号の立ち上
がりが時間軸方向で振幅が最大に達するまでの間で、な
だらかになるような現象が発生する。この状態を図３に
示す。また、これはフィルタの帯域幅を狭めるほど顕著
になる。

【０００５】従って、このような無線通信機で、ＣＷ信
号を運用者が聞いた場合、聴覚的にＣＷ信号が存在しな
い期間と存在する期間の境が曖昧になり、了解度が低下
することになる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで、上述した従来
技術の問題点に鑑みて、本発明では復調後の低周波増幅
段に、ＣＷ信号の遅延特性を補正する回路を設け、時間
軸方向における波形整形を施すことで、運用者が聞くＣ
Ｗ信号音の了解度を改善するＣＷ受信音質補償方式を提
案する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明では、ＣＷ信号を
受信する無線通信機で、ＣＷ信号を可聴周波数帯域に変
換する復調器の後段にある、利得制御可能な低周波増幅
器とレベル検出器と制御信号発生器で構成される低周波
増幅段において、可聴周波数帯域に変換されたＣＷ信号
を前記利得制御可能な低周波増幅器で制御信号発生器か
らの制御信号で決まる利得で信号レベルを増幅し、該増
幅した信号レベルをレベル検出器で検出し、制御信号発
生器で前記検出した信号レベルと所望の信号レベルとを
比較演算し、演算結果に応じた前記利得制御可能な低周
波増幅器の利得を決定するための制御信号を発生し、前
記利得制御可能な低周波増幅器の利得を制御することを
特徴とするＣＷ受信音質補償方式を提供する。

【０００８】

【実施例】本発明の一実施例を図１に示す。１は、中間
周波数段の帯域制限フィルタ、２は復調器、３は低周波
増幅段における帯域制限フィルタ、４は低周波電力増幅
器、５はスピーカ、６は利得制御可能な低周波増幅器、
７はレベル検出器、８は制御信号発生器である。

【０００９】図１において、所望の中間周波数に変換さ
れたＣＷ信号は、まず、帯域制限フィルタ１に入力し、
不要な信号成分等を濾波した後、復調器２で可聴周波数
帯の単一周波数に変換される。復調器２で発生した不要
な信号成分等を帯域制限フィルタ３で、再び濾波する。
所望の不要信号成分を濾波したＣＷ信号は、利得制御可
能な低周波増幅器６に入力され、制御信号発生器８から
の制御信号で決められた利得で増幅される。

【００１０】低周波増幅器６の出力信号において、この
信号の立ち上がり点の振幅増大の傾きが低周波増幅器６
が無いときよりも急峻になるため、信号の立ち上がりか
ら低周波増幅器６が無いときの振幅最大値相当の振幅に
到達するまでの時間が短縮されることになる。この立ち
上がり時間が短縮された出力信号の出力レベル検出器７
で検出し、その検出したレベルに応じた、制御信号を演
算して、制御信号発生器８より制御信号を出力し、低周
波増幅器６の利得の制御を行う。制御信号発生器８の動
作を一定の時定数を持たせることにより制御信号の発生
を出力信号の立ち上がり点から、やや遅延させることが
出来る。

【００１１】この結果として、低周波増幅器６の出力信
号の立ち上がりから、最大振幅値に達するまでの時間
は、低周波増幅器６の利得に応じて短縮され、且つ、最
大振幅値は制御信号発生器８によって決定される演算値
によって制限され、信号の立ち上がりが強調された出力
信号に波形を補正することが出来る。

【００１２】図３において、図１のＡ，Ｂ，Ｃ点で観測
されるＣＷ信号の波形を示す。図３（ａ）は、受信した
パルス状のＣＷ信号を中間周波数に変換し帯域制限フィ
ルタ１に入力する前の波形図であり、図３（ｂ）は、帯
域制限フィルタ１を通過し復調器２で、可聴周波数帯に
変換され、再び帯域制限フィルタ３を通過したＣＷ信号
の波形図を示す図である。また、図３（ｃ）は、本発明
によって、波形補正されたＣＷ信号を示す波形図であ
り、図中のａは、低周波増幅器６によりＣＷ信号の立ち
上がり時間が短縮された部位であり、ｂは制御信号発生
器８により決定される演算値を示す。

【００１３】本発明により、図３（ｃ）のａの部位で歪
み発生しているが、これをスピーカ５で聞いた場合、適
度なクリック音で聞こえ、聴感上モールス符号の開始点
として認識しやすくなる。また、ｂの部分では低周波増
幅器６の利得自体が制限されるため、例えば振幅の尖頭
値が歪んで汚い音調になることも少ない。

【００１４】また、本発明は無線通信機の受信回路に組
み込む方法のほかに、従来の無線通信機の音声出力（外
部スピーカー端子等）に付加して使用することも可能で
ある。

【００１５】図４に本発明を付加装置として用いた場合
のブロック図を示す。基本的に図１の低周波増幅器６、
レベル検出器７、制御信号発生器８、低周波電力増幅器
４、スピーカ５を用意すれば可能であるが、従来の無線
通信機の出力が一定ではないので、低周波増幅器６の入
力レベルを適正な値に加減するレベル可変回路９が必要
になる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、特に低周波増幅器６の出力信
号の立ち上がり部分に作用し、信号の存在しない期間と
存在する期間の境界をより明確にする。このため、本発
明を設けることで、聴覚上での了解度の低下を改善し、
人間が耳でＣＷ信号を聞いた際の符号認識率が向上す
る。

【００１７】また、長時間の聴取においても疲労感が少
ないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すブロック図である。

【図２】従来の技術を示すブロック図である。

【図３】本発明に係る波形図である。

【図４】本発明の一実施例を示すブロック図である。

【符号の説明】

６ 低周波増幅器 ７ レベル検出器 ８ 制御信号発生器

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＣＷ信号を受信する無線通信機で、ＣＷ
   信号を可聴周波数帯域に変換する復調器の後段にある、
   利得制御可能な低周波増幅器とレベル検出器と制御信号
   発生器で構成される低周波増幅段において、 可聴周波数帯域に変換されたＣＷ信号を前記利得制御可
   能な低周波増幅器で制御信号発生器からの制御信号で決
   まる利得で信号レベルを増幅し、該増幅した信号レベル
   をレベル検出器で検出し、制御信号発生器で前記検出し
   た信号レベルと所望の信号レベルとを比較演算し、演算
   結果に応じた前記利得制御可能な低周波増幅器の利得を
   決定するための制御信号を発生し、前記利得制御可能な
   低周波増幅器の利得を制御することを特徴とするＣＷ受
   信音質補償方式。