JP2790391B2 - 分解輸送変圧器の鉄心組立検証方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、製作時に工場にて試験
し、分解して現地へ輸送し再組立して使用する分解輸送
変圧器の鉄心組立検証方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】輸送時に鉄心を分解し、現地にて再組立
てする構造の分解輸送変圧器では輸送中の振動及び現地
再組立と工場製作時との差異による影響が鉄心の磁化特
性に異常をきたしていないかどうかを検証しなければな
らない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】変圧器の一方の巻線に
交流電圧を印加すると励磁電流が流れ、鉄心内に磁束が
発生する。この磁束と電流の関係は、鉄心の材質及び形
状，角部の継目の状態によって大きく変化する部分があ
る事が知られている。しかし、この部分は飽和磁束近傍
であり、この発生する電圧は定格電圧を上回る程であ
る。このため、従来方法では、交流電源にて定格電圧を
上回る電圧を印加する必要があり、そのためには絶縁物
等を正規に組立てなければならず、又電源容量も相当大
きい物が必要となる。

【０００４】本発明は、上記の点を考慮してなされたも
ので、低電圧，低電源容量にて鉄心の飽和領域まで磁化
特性を測定できる分解輸送変圧器の鉄心組立検証方法を
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では変圧器の工場における製作時、あるいは
輸送前と、現地への輸送後、あるいは再組立て時とにお
いて３相変圧器の２相（３通りの組合せがある）を使用
し、交流電源と直流電源を用いて磁化特性を測定し、比
較する事を特徴とする。

【０００６】

【作用】変圧器の一方の巻線に交流電圧を接続し、他方
の巻線に直流電源を接続し、鉄心内に直流磁束を発生さ
せ、これを飽和磁束近傍になるよう調整する。次に交流
電圧を印加すると鉄心内には直流＋交流磁束が発生す
る。しかも直流磁束によって飽和磁束近傍になっている
ので交流磁束はその測定巾のみの磁束が発生できれば十
分である。これにより、鉄心の異常に敏感な部分のみの
測定が可能となる。

【０００７】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。３相変圧器の２相（３通りの組合せがある）を用
いて図１のように接続する。即ち各相の一方の巻線を並
列に交流電源３に接続し、他方の巻線を調整抵抗８を介
して直列に直流電源４に接続する。直流電源４と調整抵
抗８により変圧器１及び２の一方の巻線（例えば１次
側）に適当な直流電流を流し、鉄心に直流磁束を発生さ
せる。次に他方の巻線（例えば２次側）から交流電源３
から交流電圧を印加し、鉄心内に交流磁束を発生させ
る。そうすると変圧器１及び２は図２に示すように、鉄
心内において直流磁束と交流磁束が加算される。ここで
直流磁束（電流）は一定のまま交流磁束（電圧）を大小
させ、その時の電流計６の指示を測定する。この特性は
一方の巻線から交流電源のみで測定された（従来方法）
磁化特性と部分的に同じであり、この部分を鉄心の異常
の有無に密接に関連する飽和点近傍（図３のＰで示す範
囲）に直流電流を調整する事により選んでやる。この時
各設備として通常、直流電源は数Ｖ〜数10Ｖ，数Ａ程
度、交流電源としては数10Ｖ〜数 100Ｖ，数Ａ程度の物
で実施可能である。このようにして、工場製作時と、現
地組立時とで鉄心の組立て状態に異常な差異の有無を感
度よく、しかも容易に検出する事ができる。

【０００８】

【発明の効果】以上説明した様に、分解輸送変圧器の分
解，輸送，再組立てによる鉄心の異常を判定する方法と
して本発明が提供する直流磁束重畳による磁化特性測定
方法を実施すれば、容易に、早期組立て時期に、感度良
く検証する事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す回路図。

【図２】本発明における鉄心磁化特性図。

【図３】従来における鉄心磁化特性図。

【符号の説明】

１，２…変圧器 ３…交流電源 ４…直流電源 ６…交流電流計 ８…調整抵抗

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ３相変圧器の２相の巻線を用い各相の一
   方の巻線を並列に交流電源に接続し、他方の巻線を直列
   に直流電源に接続し、直流電源により鉄心内に直流磁束
   を発生させて、これを飽和磁束近傍になるように調整
   し、次に交流電圧を印加して前記一方の巻線に流れる電
   流を測定するようにしたことを特徴とする分解輸送変圧
   器の鉄心組立検証方法。