JP2785909B2 - 非水系二次電池 - Google Patents
非水系二次電池Info
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Cell Electrode Carriers And Collectors (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は電池に関し、特にリチウム(L
i)やカリウム(K)等のアルカリ金属、アルカリ土類
金属、希土類金属もしくは遷移金属をドーパント物質と
する電池電極あるいはハロゲン、ハロゲン化合物、酸素
酸をドーパント物質とする電池電極に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術とその問題点】近年、電子機器等の小型
化、省電力化に伴なってリチウム等のアルカリ金属を利
用した二次電池が注目されており、実用化段階に達する
までになっている。しかし、電極に金属を単体として用
いる電池では充電・放電の繰り返しにより負極金属がデ
ンドライト状に成長し内部短絡を引き起こすという問題
があり、二次電池としての実用化は困難を極めていた。
その改良策として負極にリチウム等の金属原子を吸収・
放出することができる材料の開発が進められ、低融点合
金等の金属あるいは有機系材料の様な金属原子を効率よ
く吸収・放出可能な材料が見い出された。中でも、黒鉛
等の層状化合物の層間に電気化学的に種々の物質を挿入
することを利用した二次電池の開発が盛んに行なわれて
いる。特に、黒鉛は、電子供与性物質、電子受容性物質
のいずれも挿入することが可能であるので、二次電池用
電極剤として有望な材料と考えられている。しかし、何
れの黒鉛も粉末、フィルム、箔、繊維状等の形態からな
り、これらを用いて電極を形成する場合、成形形態付与
が困難である上に、集電体となる電極基板にこれら材料
を固着させる複雑な工程が必要となる。またそのために
電荷担体以外に結着剤や導電材等の補助材料を必要と
し、単位重量又は単位体積当たりの容量が低下してしま
うという欠点がある。 【0003】CVD法等により、アルミニウム等の導電
性基板上に、炭素体を堆積し、これを電極として用いる
構成も考えられるが、この炭素体は通常黒鉛化度の低い
炭素体であるため、上述の問題点を解決することはでき
ない。層間化合物を形成し得る高結晶性の黒鉛を得るた
めには、これら炭素体を少なくとも2000℃以上の高
温で処理する必要があり、この様な高温に耐え得る電池
用電極基板は存在しない。 【0004】 【発明の目的】本発明は上記従来の現状に鑑みてなされ
たもので、熱分解CVD法等の電極の作製過程より基板
としてニッケル等の高結晶化を促進する触媒作用のある
電極基材を用いることにより、金属の融点以下である1
000℃前後の熱分解CVD法で黒鉛の堆積を可能とし
得られる黒鉛の結晶性の著しい向上(黒鉛化)を達成す
ると同時に上記金属基板を黒鉛で密着性よく被覆するこ
とによって従来の黒鉛電極に比べて、著しく大きな電気
容量を示す電極を用いた電池を提供することを目的とす
る。 【0005】 【発明の概要】本発明は、炭化水素又は炭化水素化合物
を原料とし、1000℃前後またはそれ以下の金属基板
を変質させない比較的低温雰囲気下で、基板として鉄、
コバルト、ニッケル又はこれらの合金等の触媒作用のあ
る基材を用い、上記基板上に高結晶性の熱分解黒鉛を堆
積して上記電極基板を被覆することにより得られる高容
量電極を電池に用いることを特徴とする。 【0006】本発明の目的を達成し得る黒鉛電極は以下
の製造方法によって達成される。即ち、高結晶性熱分解
黒鉛は、炭化水素又は炭化水素化合物を出発原料として
これを反応系へ供給し、高結晶化の触媒作用のあるニッ
ケル基材等へ熱分解による気相堆積法により形成される
ものである。炭化水素化合物としては炭化水素の一部に
酸素、窒素、硫黄またはハロゲンより選択された少なく
とも1つ以上の元素を含む特性基を付加または置換した
ものが用いられる。このように、電極基板が、高結晶性
熱分解黒鉛により被覆連結されている構造体を、アルカ
リ金属等がドーパント物質として含有された電池の電極
に用いた場合には、以下のような効果がある。 【0007】(1) 従来の製法により製造された黒鉛
材料例えば有機繊維の炭化により製造されたもの、高配
向性熱分解黒鉛(HOPG),天然黒鉛に比べてドーパ
ント物質のドープ脱ドープが起こり易く、電気容量も大
きい。 【0008】(2) 基板上への薄膜等の直接形成が可
能なため、内部抵抗が小さく活物質の利用率が高い。 【0009】(3) 電極の薄型化が可能でまた任意の
形状の基板上に作製が可能である。 【0010】 【実施例】図1は本発明の一実施例に用いられる黒鉛電
極製造装置のブロック構成図である。出発物質として使
用される炭化水素及び一部に種々の特性基を含んだ炭化
水素化合物として例えば脂肪族炭化水素好ましくは不飽
和炭化水素、芳香族化合物、脂環式化合物がある。これ
らは1000℃前後またはそれ以下の温度で熱分解され
る。具体的にはアセチレン,ジフェニル,アクリロニト
リル,1.2−ジブロモエチレン,2−ブチン,ベンゼ
ン,トルエン,ピリジン,アニリン,フェノール,アン
トラセン,ピレン,ヘキサメチルベンゼン,スチレン,
アリルベンゼン,シクロヘキサン,ノルマルヘキサン,
ピロール,チオフェン等があげられる。 【0011】使用した炭化水素化合物の種類によって、
後述する反応管への供給方法はバブラー法、蒸発法また
は昇華法を用い毎時数ミリモル以下の供給量に制御され
る。熱分解黒鉛が形成される下地電極基板としては一例
としてニッケル基材を用いた。 【0012】以下、製造工程に従って説明する。 【0013】真空蒸留による精製操作を行なったベンゼ
ンが収納されたバブル容器1内にアルゴンガス制御系2
よりアルゴンガスを供給してベンゼンをバブルさせ、パ
イレックスガラス管3を介して石英反応管4へベンゼン
分子を給送する。この際バブル容器1内の液体ベンゼン
の温度を一定に保持してアルゴンガス流量をバルブ5で
調節し、ベンゼン分子の反応管4内への供給量を毎時数
ミリモルに制御する。一方希釈ライン6よりアルゴンガ
スを流し、反応管4へ給送される直前のガラス管3内に
おけるアルゴンガス中のベンゼン分子数密度及び流速を
最適化する。反応管4には基板の載置された試料台7が
配設されており、反応管4の外周囲には加熱炉8が設け
られている。この加熱炉8によって反応管4内の堆積用
電極基板は1000℃前後またはそれ以下の温度に保持
されている。ベンゼン分子が反応管4内に給送されると
ベンゼン分子は反応管4内で熱分解し、基板上に炭素堆
積物が生成される。反応管4内へのガスは排気パイプ9
を介して排気系10へ導入され、反応管4から除去され
る。反応管4内に導入されたベンゼン分子は1000℃
前後又はそれ以下の温度で加熱されて熱分解し、順次電
極基板上に黒鉛が成長形成される。この際、成長形成さ
れる熱分解黒鉛は、ニッケルの触媒効果を導入して、結
晶性の優れた黒鉛となり、電極基板を変質及び融解しな
い低い温度で黒鉛化が達成されると同時に、熱分解黒鉛
膜は、ニッケル基材を強固に被覆する。上記製法によれ
ば、従来の黒鉛材料形成方法に較べ、低い温度で黒鉛化
を進行させるため、本発明の目的達成のために適した黒
鉛電極が実現できる。また用いる出発物質、出発物質の
供給量、供給速度、反応温度を選定することにより、結
晶性等を任意に制御することができる利点を有する。こ
の熱分解黒鉛のCuKαを線源とするX線回折図形を図
2に示す。 【0014】この回折ピークからブラッグの式 【0015】 【数1】 【0016】により求めた(002)面の平均面間隔は
(3.36±0.01)Åであり、ピークの半値幅βか
ら次式 【0017】 【数2】 【0018】より求めたC軸方向の結晶子の大きさは3
50Åであった。 【0019】このように製作した黒鉛電極のニッケルか
らリード線を取り出して、これを試験極Aとする。試験
極Aを図3に示すような電解槽内に配設しリチウム金属
を対極、リチウムをドーパント物質として、リチウム元
素のドープ・脱ドープによる充放電試験を行なった。図
3において12は本実施例に係る黒鉛電極よりなる試験
極A、13は対極、14は参照極として用いたリチウ
ム、15は1モル過塩素酸リチウムを溶解したプロピレ
ンカーボネートからなる電解液、16は電解槽である。
図4は各種黒鉛電極にリチウムをドープ・脱ドープさせ
たときの25℃におけるリチウム参照極に対する電位変
化図である。図4の曲線Aは本実施例による黒鉛電極の
電位変化曲線である。曲線Aにおいて、電位が零Vに近
づく方向がドープ(充電)、高電圧になる方向が脱ドー
プ(放電)である。図5は本実施例に係る黒鉛電極をリ
チウム参照電極に対し0Vから2.5Vの間で定電流に
より充放電させるテストにおける放電容量の変化を示
す。図5の曲線は本実施例の特性曲線を示す。この結果
より明らかな如く、充放電の繰り返しによる容量劣化は
ほとんどなく繰り返し特性は非常に良好である。 【0020】以上、このような電極材料を用いることに
よって充放電可能な非水リチウム二次電池の負極として
利用することができる。 【0021】本実施例においては電解質に1モル過塩素
酸リチウム、電解液にプロピレンカーボネートを用いて
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
その他の電解質としては六フッ化砒酸リチウム,ホウフ
ッ化リチウム,トリフルオロスルホン酸リチウム等があ
り、また電解液としてはジメチルスルフオキシド,ガン
マーブチルラクトン,スルフォランテトラヒドロフラ
ン,2−メチルテトラヒドロフラン,1.2−ジメトキ
シエタン,1.3−ジオキシラン等の有機溶媒や水があ
げられ、これらを単独もしくは混合して用いることがで
きる。 【0022】また本実施例で示した作製法を用いて得ら
れた黒鉛電極の熱分解黒鉛の面間隔は、原料供給速度、
反応温度に応じて3.35Å〜3.55Åのものから得
られ、上記いずれの黒鉛電極を用いても、高電気容量及
び良好な充放電繰り返し特性を示す。 【0023】尚、上述の電極特性を示すものは、本実施
例に述べた製作法にのみに限定されるものではない。抵
抗加熱や高周波誘導加熱等のCVD法によっても最適化
することにより、本発明の目的は達成される。 【0024】 【比較例】市販の黒鉛繊維を集電用ネットで挟持し、電
極を作製した。これを試験極Bとする。試験極Bを図3
に示すような電解槽内に配設し、上記実施例と同様に充
放電テストを行なった。図4の曲線Bは本比較例による
集電用ネットで挟持して得られる炭素電極の電位変化曲
線である。この結果より上記実施例の電極に比べ、放電
容量もわずかで、電極としては、不適当であった。 【0025】 【発明の効果】ニッケル等触媒作用のある導電性基板上
に、高結晶性黒鉛を低温熱分解による気相堆積法で形成
して得られた電極は、充放電サイクル及び過放電に対し
て強く、新たな導電材の添加を必要としないため電極の
充填密度が高くなり、その結果高密度の特性を示す。
又、工程が簡単化されるため、2次電池用の電極として
非常に有効なものである。本発明の電極を用いることに
より得られる電池は充放電サイクル特性が良く、小型で
低コストの電池として種々の分野に広く利用することが
できる。
i)やカリウム(K)等のアルカリ金属、アルカリ土類
金属、希土類金属もしくは遷移金属をドーパント物質と
する電池電極あるいはハロゲン、ハロゲン化合物、酸素
酸をドーパント物質とする電池電極に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術とその問題点】近年、電子機器等の小型
化、省電力化に伴なってリチウム等のアルカリ金属を利
用した二次電池が注目されており、実用化段階に達する
までになっている。しかし、電極に金属を単体として用
いる電池では充電・放電の繰り返しにより負極金属がデ
ンドライト状に成長し内部短絡を引き起こすという問題
があり、二次電池としての実用化は困難を極めていた。
その改良策として負極にリチウム等の金属原子を吸収・
放出することができる材料の開発が進められ、低融点合
金等の金属あるいは有機系材料の様な金属原子を効率よ
く吸収・放出可能な材料が見い出された。中でも、黒鉛
等の層状化合物の層間に電気化学的に種々の物質を挿入
することを利用した二次電池の開発が盛んに行なわれて
いる。特に、黒鉛は、電子供与性物質、電子受容性物質
のいずれも挿入することが可能であるので、二次電池用
電極剤として有望な材料と考えられている。しかし、何
れの黒鉛も粉末、フィルム、箔、繊維状等の形態からな
り、これらを用いて電極を形成する場合、成形形態付与
が困難である上に、集電体となる電極基板にこれら材料
を固着させる複雑な工程が必要となる。またそのために
電荷担体以外に結着剤や導電材等の補助材料を必要と
し、単位重量又は単位体積当たりの容量が低下してしま
うという欠点がある。 【0003】CVD法等により、アルミニウム等の導電
性基板上に、炭素体を堆積し、これを電極として用いる
構成も考えられるが、この炭素体は通常黒鉛化度の低い
炭素体であるため、上述の問題点を解決することはでき
ない。層間化合物を形成し得る高結晶性の黒鉛を得るた
めには、これら炭素体を少なくとも2000℃以上の高
温で処理する必要があり、この様な高温に耐え得る電池
用電極基板は存在しない。 【0004】 【発明の目的】本発明は上記従来の現状に鑑みてなされ
たもので、熱分解CVD法等の電極の作製過程より基板
としてニッケル等の高結晶化を促進する触媒作用のある
電極基材を用いることにより、金属の融点以下である1
000℃前後の熱分解CVD法で黒鉛の堆積を可能とし
得られる黒鉛の結晶性の著しい向上(黒鉛化)を達成す
ると同時に上記金属基板を黒鉛で密着性よく被覆するこ
とによって従来の黒鉛電極に比べて、著しく大きな電気
容量を示す電極を用いた電池を提供することを目的とす
る。 【0005】 【発明の概要】本発明は、炭化水素又は炭化水素化合物
を原料とし、1000℃前後またはそれ以下の金属基板
を変質させない比較的低温雰囲気下で、基板として鉄、
コバルト、ニッケル又はこれらの合金等の触媒作用のあ
る基材を用い、上記基板上に高結晶性の熱分解黒鉛を堆
積して上記電極基板を被覆することにより得られる高容
量電極を電池に用いることを特徴とする。 【0006】本発明の目的を達成し得る黒鉛電極は以下
の製造方法によって達成される。即ち、高結晶性熱分解
黒鉛は、炭化水素又は炭化水素化合物を出発原料として
これを反応系へ供給し、高結晶化の触媒作用のあるニッ
ケル基材等へ熱分解による気相堆積法により形成される
ものである。炭化水素化合物としては炭化水素の一部に
酸素、窒素、硫黄またはハロゲンより選択された少なく
とも1つ以上の元素を含む特性基を付加または置換した
ものが用いられる。このように、電極基板が、高結晶性
熱分解黒鉛により被覆連結されている構造体を、アルカ
リ金属等がドーパント物質として含有された電池の電極
に用いた場合には、以下のような効果がある。 【0007】(1) 従来の製法により製造された黒鉛
材料例えば有機繊維の炭化により製造されたもの、高配
向性熱分解黒鉛(HOPG),天然黒鉛に比べてドーパ
ント物質のドープ脱ドープが起こり易く、電気容量も大
きい。 【0008】(2) 基板上への薄膜等の直接形成が可
能なため、内部抵抗が小さく活物質の利用率が高い。 【0009】(3) 電極の薄型化が可能でまた任意の
形状の基板上に作製が可能である。 【0010】 【実施例】図1は本発明の一実施例に用いられる黒鉛電
極製造装置のブロック構成図である。出発物質として使
用される炭化水素及び一部に種々の特性基を含んだ炭化
水素化合物として例えば脂肪族炭化水素好ましくは不飽
和炭化水素、芳香族化合物、脂環式化合物がある。これ
らは1000℃前後またはそれ以下の温度で熱分解され
る。具体的にはアセチレン,ジフェニル,アクリロニト
リル,1.2−ジブロモエチレン,2−ブチン,ベンゼ
ン,トルエン,ピリジン,アニリン,フェノール,アン
トラセン,ピレン,ヘキサメチルベンゼン,スチレン,
アリルベンゼン,シクロヘキサン,ノルマルヘキサン,
ピロール,チオフェン等があげられる。 【0011】使用した炭化水素化合物の種類によって、
後述する反応管への供給方法はバブラー法、蒸発法また
は昇華法を用い毎時数ミリモル以下の供給量に制御され
る。熱分解黒鉛が形成される下地電極基板としては一例
としてニッケル基材を用いた。 【0012】以下、製造工程に従って説明する。 【0013】真空蒸留による精製操作を行なったベンゼ
ンが収納されたバブル容器1内にアルゴンガス制御系2
よりアルゴンガスを供給してベンゼンをバブルさせ、パ
イレックスガラス管3を介して石英反応管4へベンゼン
分子を給送する。この際バブル容器1内の液体ベンゼン
の温度を一定に保持してアルゴンガス流量をバルブ5で
調節し、ベンゼン分子の反応管4内への供給量を毎時数
ミリモルに制御する。一方希釈ライン6よりアルゴンガ
スを流し、反応管4へ給送される直前のガラス管3内に
おけるアルゴンガス中のベンゼン分子数密度及び流速を
最適化する。反応管4には基板の載置された試料台7が
配設されており、反応管4の外周囲には加熱炉8が設け
られている。この加熱炉8によって反応管4内の堆積用
電極基板は1000℃前後またはそれ以下の温度に保持
されている。ベンゼン分子が反応管4内に給送されると
ベンゼン分子は反応管4内で熱分解し、基板上に炭素堆
積物が生成される。反応管4内へのガスは排気パイプ9
を介して排気系10へ導入され、反応管4から除去され
る。反応管4内に導入されたベンゼン分子は1000℃
前後又はそれ以下の温度で加熱されて熱分解し、順次電
極基板上に黒鉛が成長形成される。この際、成長形成さ
れる熱分解黒鉛は、ニッケルの触媒効果を導入して、結
晶性の優れた黒鉛となり、電極基板を変質及び融解しな
い低い温度で黒鉛化が達成されると同時に、熱分解黒鉛
膜は、ニッケル基材を強固に被覆する。上記製法によれ
ば、従来の黒鉛材料形成方法に較べ、低い温度で黒鉛化
を進行させるため、本発明の目的達成のために適した黒
鉛電極が実現できる。また用いる出発物質、出発物質の
供給量、供給速度、反応温度を選定することにより、結
晶性等を任意に制御することができる利点を有する。こ
の熱分解黒鉛のCuKαを線源とするX線回折図形を図
2に示す。 【0014】この回折ピークからブラッグの式 【0015】 【数1】 【0016】により求めた(002)面の平均面間隔は
(3.36±0.01)Åであり、ピークの半値幅βか
ら次式 【0017】 【数2】 【0018】より求めたC軸方向の結晶子の大きさは3
50Åであった。 【0019】このように製作した黒鉛電極のニッケルか
らリード線を取り出して、これを試験極Aとする。試験
極Aを図3に示すような電解槽内に配設しリチウム金属
を対極、リチウムをドーパント物質として、リチウム元
素のドープ・脱ドープによる充放電試験を行なった。図
3において12は本実施例に係る黒鉛電極よりなる試験
極A、13は対極、14は参照極として用いたリチウ
ム、15は1モル過塩素酸リチウムを溶解したプロピレ
ンカーボネートからなる電解液、16は電解槽である。
図4は各種黒鉛電極にリチウムをドープ・脱ドープさせ
たときの25℃におけるリチウム参照極に対する電位変
化図である。図4の曲線Aは本実施例による黒鉛電極の
電位変化曲線である。曲線Aにおいて、電位が零Vに近
づく方向がドープ(充電)、高電圧になる方向が脱ドー
プ(放電)である。図5は本実施例に係る黒鉛電極をリ
チウム参照電極に対し0Vから2.5Vの間で定電流に
より充放電させるテストにおける放電容量の変化を示
す。図5の曲線は本実施例の特性曲線を示す。この結果
より明らかな如く、充放電の繰り返しによる容量劣化は
ほとんどなく繰り返し特性は非常に良好である。 【0020】以上、このような電極材料を用いることに
よって充放電可能な非水リチウム二次電池の負極として
利用することができる。 【0021】本実施例においては電解質に1モル過塩素
酸リチウム、電解液にプロピレンカーボネートを用いて
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
その他の電解質としては六フッ化砒酸リチウム,ホウフ
ッ化リチウム,トリフルオロスルホン酸リチウム等があ
り、また電解液としてはジメチルスルフオキシド,ガン
マーブチルラクトン,スルフォランテトラヒドロフラ
ン,2−メチルテトラヒドロフラン,1.2−ジメトキ
シエタン,1.3−ジオキシラン等の有機溶媒や水があ
げられ、これらを単独もしくは混合して用いることがで
きる。 【0022】また本実施例で示した作製法を用いて得ら
れた黒鉛電極の熱分解黒鉛の面間隔は、原料供給速度、
反応温度に応じて3.35Å〜3.55Åのものから得
られ、上記いずれの黒鉛電極を用いても、高電気容量及
び良好な充放電繰り返し特性を示す。 【0023】尚、上述の電極特性を示すものは、本実施
例に述べた製作法にのみに限定されるものではない。抵
抗加熱や高周波誘導加熱等のCVD法によっても最適化
することにより、本発明の目的は達成される。 【0024】 【比較例】市販の黒鉛繊維を集電用ネットで挟持し、電
極を作製した。これを試験極Bとする。試験極Bを図3
に示すような電解槽内に配設し、上記実施例と同様に充
放電テストを行なった。図4の曲線Bは本比較例による
集電用ネットで挟持して得られる炭素電極の電位変化曲
線である。この結果より上記実施例の電極に比べ、放電
容量もわずかで、電極としては、不適当であった。 【0025】 【発明の効果】ニッケル等触媒作用のある導電性基板上
に、高結晶性黒鉛を低温熱分解による気相堆積法で形成
して得られた電極は、充放電サイクル及び過放電に対し
て強く、新たな導電材の添加を必要としないため電極の
充填密度が高くなり、その結果高密度の特性を示す。
又、工程が簡単化されるため、2次電池用の電極として
非常に有効なものである。本発明の電極を用いることに
より得られる電池は充放電サイクル特性が良く、小型で
低コストの電池として種々の分野に広く利用することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の説明に供する黒鉛電極製造
装置のブロック図である。 【図2】本発明に係る黒鉛電極の熱分解黒鉛のX線回折
結果の一例を示す説明図である。 【図3】本発明に係る黒鉛電極の電極特性測定のための
装置の1例を示す概略図である。 【図4】本発明の一実施例に係る黒鉛電極及び黒鉛の充
放電特性図である。 【図5】本発明の一実施例に係る黒鉛電極の放電容量の
サイクル特性図である。 【符号の説明】 1 バブル容器 2 アルゴンガス制御系 3 パイレックスガラス管 4 反応管 5 バルブ 6 希釈ライン 7 試料台 8 加熱炉 9 排気パイプ
装置のブロック図である。 【図2】本発明に係る黒鉛電極の熱分解黒鉛のX線回折
結果の一例を示す説明図である。 【図3】本発明に係る黒鉛電極の電極特性測定のための
装置の1例を示す概略図である。 【図4】本発明の一実施例に係る黒鉛電極及び黒鉛の充
放電特性図である。 【図5】本発明の一実施例に係る黒鉛電極の放電容量の
サイクル特性図である。 【符号の説明】 1 バブル容器 2 アルゴンガス制御系 3 パイレックスガラス管 4 反応管 5 バルブ 6 希釈ライン 7 試料台 8 加熱炉 9 排気パイプ
フロントページの続き
(72)発明者 ▲吉▼田 勝
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 中島 重夫
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 田島 善光
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 田中 英明
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 柳沢 伸浩
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 毛利 元男
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(72)発明者 笠原 三千世
大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
シャープ株式会社内
(56)参考文献 特開 昭63−160155(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
H01M 4/02,4/58,4/64,10/40
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の挿入脱離
が可能な正極と炭素材料からなる負極とから成る非水系
二次電池において、 前記負極は、高結晶性熱分解黒鉛と黒鉛化を促進する触
媒作用を呈する金属電極基板とからなり、前記高結晶性
熱分解黒鉛が前記金属電極基板に直接形成され、前記金
属基板を被覆して成ることを特徴とする非水系二次電
池。 2.前記金属電極基板が、鉄、コバルト、ニッケル又は
これらの合金である特許請求の範囲第1項記載の非水系
二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7141746A JP2785909B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 非水系二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7141746A JP2785909B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 非水系二次電池 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62079248A Division JPH07118308B2 (ja) | 1986-06-24 | 1987-03-31 | 電 極 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08162098A JPH08162098A (ja) | 1996-06-21 |
JP2785909B2 true JP2785909B2 (ja) | 1998-08-13 |
Family
ID=15299243
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7141746A Expired - Lifetime JP2785909B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 非水系二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2785909B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3654465B2 (ja) * | 1996-07-08 | 2005-06-02 | 松下電器産業株式会社 | 非水電解質二次電池用負極およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-06-08 JP JP7141746A patent/JP2785909B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08162098A (ja) | 1996-06-21 |
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