JP2779709B2 - 光ディスク装置のトラック横断信号処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光磁気ディスク装置な
どにおいて、ランダムアクセス制御などのためにトラッ
ク横断信号を処理する装置に係り、特にプリピット部な
どによるトラック横断信号の乱れを補正できるようにし
たトラック横断信号処理装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６に示すように、光磁気ディスクには
螺旋状に形成された情報記録領域であるランド１と、こ
のランド１を挟む位置に形成されているグルーブと称さ
れる溝２が形成されている。ランダムアクセス動作で
は、検知光のスポットがランド１ならびにグルーブ２を
横断する際の変調により図２（ａ）で示すようなサイン
波形のトラッキングエラー信号が得られる。これを波形
整形して図２（ｂ）で示す矩形波形を形成し、これをト
ラック横断信号（ＴＲＶＳ）として使用する。ランダム
アクセス制御では、１つのランドを横断する時間を計測
し、ランドピッチと横断時間とからアクセス速度を求
め、またランドピッチと横断したランド数に基づいてス
ポットの移動距離を検出している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
トラック横断信号はディスク表面の傷やプリピット部に
より乱されることがあり、この乱れが生じると、前記の
ランダムアクセス制御に影響を与えることになる。すな
わち図６に示すように、光磁気ディスクでは、その内径
側の一定の範囲がＲＯＭ領域となっており、このＲＯＭ
領域にプリピット部と称されるピット３が形成され、こ
のピット３により、記録または再生時における光出力強
度などの情報が得られるようになっている。またディス
クの全領域にもプリフォーマット領域としてプリピット
部が分布している。これらのプリピット部あるいはディ
スク表面の傷により、図２（ａ）において（イ）あるい
は（ロ）に示すようにトラッキングエラー信号が乱れる
と、波形整形されたトラック横断信号（ＴＲＶＳ）に余
分な波形または波形の欠如が生じる。

【０００４】図２（ａ）に示すように波形が乱れたとき
のトラック横断信号は、図２（ｃ）に示す本来のトラッ
ク横断信号と相違することになる。よって図２（ｂ）に
示したトラック横断の波形を計数した場合に、本来のト
ラック横断信号の波形の計数値と相違する。その結果、
図４に示すように時間に対する速度変化に誤検出が生じ
ることになり、アクセス速度の急激な変化などの誤制御
が行なわれ、また波形の乱れたトラック横断信号によ
り、アクセス検知位置に誤差が生じるなどの不都合が生
じる。本発明は上記従来の課題を解決するものであり、
プリピット部やディスク表面の傷などによりトラック横
断信号の波形に乱れが生じた場合であっても、これを補
正できるようにした光ディスク装置のトラック横断信号
処理装置を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によるトラック横
断信号処理装置は、検知光のスポットがディスクの記録
面を横断する際に、ディスクからの戻り光の受光光量の
変化によって得られるトラック横断信号の処理経路に、
電圧制御発振器およびその発振出力の位相と前記トラッ
ク横断信号の位相とを比較してその比較値に応じた電圧
を前記電圧制御発振器に供給する位相比較回路を備えた
ＰＬＬ回路、ならびにトラック横断信号に基づいてスポ
ットの移動速度の変化を検出する速度検出手段、さらに
移動速度が変化したときに前記速度検出手段において速
度変化に対応して出力された電圧によって前記電圧制御
発振器を動作させる切換え手段とが設けられており、前
記電圧制御発振器からの発振出力をトラック横断信号の
補正信号として使用することを特徴とするものである。
さらに、上記手段において得られた補正信号の波形変化
を計数するカウンタならびにトラック横断信号の波形変
化を計数するカウンタと、両カウンタの計数値を比較す
る比較器と、この比較器により計数値の違いが所定時間
検出されたときにトラック横断信号に検知誤差があると
判断する判定手段が設けられているものである。

【０００６】

【作用】上記手段では、スポットがディスクを一定速度
でアクセス走査しているときには、ＰＬＬ回路によって
補正信号を得る。すなわち一定の周期で入力するトラッ
ク横断信号と電圧制御発振器からの出力との位相差に基
づいて電圧制御発振器からの出力周波数が変わるが、こ
のＰＬＬ回路がロック状態となると一定の周期の補正信
号が出力される。このＰＬＬ回路のロックにより、アク
セス速度が一定の場合には、プリピット部やディスク表
面の傷が有ったとしても一定周期の補正信号が得られ、
よってこの補正信号を参照することにより、波形の乱れ
のあるトラック横断信号を補正することが可能になる。
またアクセス速度が変化したときには、ＰＬＬ回路をロ
ック状態とせず、速度検出手段からの出力電圧により電
圧制御発振器を作動させて、速度変化に応じた周期の補
正信号を得るようにする。次に、第２の手段では、上記
の補正信号の周期をカウンタにより計数し、またトラッ
キング横断信号の周期を他のカウンタにより計数する。
この両カウンタの計数値を比較器により比較し、計数値
が一定時間相違した場合には、トラック横断信号に誤差
があると判断し、例えばアクセス制御源を前記補正信号
に置き替える、あるいは誤差が生じた以前の状態にトラ
ック横断信号をホールドするなどの処置を講ずる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図１は、本発明によるトラック横断信号処理装置の
うちの補正信号の生成部を示す回路ブロック図である。
図１においてＴＲＶＳで示しているのは、トラック横断
信号である。このトラック横断信号は、図２（ｂ）に示
す信号に相当している。すなわち半導体レーザから発せ
られた検知光が集光されて図６に示す光磁気ディスクＤ
の記録面に微小スポットが形成されるが、ランダムアク
セス動作においてスポットがランド１とグルーブ２とを
横断すると、その反射光は変調されて、受光素子により
図２（ａ）で示すようなトラッキングエラー信号が得ら
れる。これを波形整形したものが図２（ｂ）に示すトラ
ック横断信号（ＴＲＶＳ）である。

【０００８】図１に示す回路では、トラック横断信号
（ＴＲＶＳ）がＰＬＬ回路１０に入力される。ＰＬＬ回
路は、位相比較器１１、フリーランニングの電圧制御発
振器（ＶＣＯ）１２ならびに所定の分周比の分周器１３
が設けられている。分周器１３からの出力はトラック横
断信号と共に位相比較器１１に入力される。このＰＬＬ
回路１０は、スポットがディスクの記録面をアクセスす
る速度が一定であるときに一定周期の補正信号（ＣＯＲ
Ｒ）を出力するためのものである。

【０００９】またトラック横断信号は速度検出回路１４
にも入力する。速度検出回路１４は、例えば基準クロッ
クに基づいてトラック横断信号の波形の周期を計測する
カウンタと、そのカウント値に基づいて波形の周期を算
出する手段と、算出された周期と反比例する電圧を発生
する電圧発生手段などから構成されているものである。
この出力電圧Ｖ１は切換器１５を介して電圧制御発振器
１２に供給される。選択判別回路１６は、前記速度検出
回路１４からの出力電圧Ｖ１ならびに加速度情報検出部
１７からの出力電圧に応じて、アクセス速度が一定速度
であるかあるいは変化しているかを判断し、一定速度の
場合には、切換器１５により位相比較器１１からの出力
電圧を電圧制御発振器１２に供給し、速度が変化してい
ると判断したときには、切換器１５により速度検出回路
１４からの出力電圧Ｖ１を電圧制御発振器１２に供給す
る。上記の加速度情報検出部１７は例えば光ヘッドを走
行させるリニアモータのコイルに生じる逆起電力の検出
部となるブリッジ回路、ならびにこれから得られる逆起
電力の電圧の増幅回路などにより構成される。

【００１０】次に図１に示す補正信号の生成部の動作を
説明する。速度検出回路１４からの出力電圧Ｖ１が一定
で且つ加速度情報検出部１７からの出力によりアクセス
速度が一定であると判断されると、切換器１５により位
相比較器１１が電圧制御発振器１２に接続され、速度検
出回路１４と電圧制御発振器１２とが断たれた状態とな
る。このときＰＬＬ回路１０が動作する。すなわち、電
圧制御発振器１２からの出力信号が分周器１３により所
定の分周比にて分周され、位相比較器１１にてトラック
横断信号と分周器１３から出力された波形との位相が比
較され、位相差に応じた電圧が電圧制御発振器１２に入
力されて、この入力電圧に応じた発振出力が得られる。
アクセス速度が一定の場合には、ＰＬＬ回路１０がロッ
ク状態になる。このロック状態では、パイロット信号で
あるトラック横断信号と位相が一致した一定周期の補正
信号が得られる。よって図２（ｂ）に示すように、プリ
ピット部やディスクの傷により、トラック横断信号に
（イ）と（ロ）で示すような波形の乱れが部分的に生じ
たとしても、補正信号にはその影響が現れず、図２
（ｃ）に示す本来のトラック横断信号のように、一定周
期の規則的な補正信号が得られる。

【００１１】次に、図４に示すように、アクセス開始や
終了時などのようにアクセス速度が変化しているときに
は、速度検出回路１４からの出力電圧Ｖ１の変化ならび
に加速度情報検出部１７からの情報により選択判定回路
１６が速度変化中であることを判断し、切換器１５を切
換えて、速度検出回路１４からの出力電圧Ｖ１によって
電圧制御発振器１２を動作させる。このとき、位相比較
器１１と電圧制御発振器１２とが断たれ、ＰＬＬ回路１
０のロック状態が解除される。よって速度検出回路１４
からの出力電圧Ｖ１によって電圧制御発振器１２が発振
し、分周器１３からは速度変化に応じた周期の変化する
補正信号が得られる。この補正信号も電圧制御発振器１
２による出力に基づいているため、プリピット部やディ
スク表面の傷などによるトラック横断信号の乱れは現れ
ない。

【００１２】このように図１に示す補正信号生成部から
得られる補正信号は、ＲＯＭ領域あるいはプリフォーマ
ット領域のプリピット部やディスク表面の傷などによる
影響のないものであり、しかもトラック横断信号に同期
した信号であるため、この補正信号に基づいてアクセス
制御のために光ヘッド駆動用のリニアモータを直接制御
してもよいが、この補正信号とトラック横断信号の何れ
かを優先させ、その時々に応じてトラック横断信号によ
りアクセス制御を行い、あるいはトラック横断信号に基
づいてアクセス制御してもよい。

【００１３】さらに、上記の補正信号（ＣＯＲＲ）とト
ラック横断信号（ＴＲＶＳ）によって、図３以下に示す
制御を行うことも可能である。図３は上記の制御のため
の回路ブロック図である。図３において、トラック横断
信号（ＴＲＶＳ）はカウンタ２１に入力し、その波形が
計数される。また補正信号（ＣＯＲＲ）はカウンタ２２
に入力し、その波形が計数される。この補正信号（ＣＯ
ＲＲ）としては、例えば図１に示す回路ブロックによっ
て分周器１３から出力された信号が使用される。

【００１４】図５（ａ）はカウンタ２１に入力されるト
ラック横断信号の波形を示す。これは図２（ｂ）に示す
ように、トラッキングエラー信号を波形整形したもので
ある。図５（ｂ）はカウンタ２２に入力される補正信号
の波形を示している。比較器２３では、カウンタ２１と
２２による波形の計数値に基づいて図５（ｃ）に示すよ
うに、（Ａ＞Ｂ）、（Ａ＝Ｂ）、（Ａ＜Ｂ）の変化が出
力される。カウンタ２１と２２は、波形の立ち上がりに
１つずつカウント値が加算されていくものである。そし
て、比較器２３から出力される（Ａ＞Ｂ）の出力は、カ
ウンタ２１によるトラック横断信号の波形の積算値がカ
ウンタ２２による補正信号の波形の積算値よりも大きい
ときにハイレベルとなる。また、（Ａ＝Ｂ）の出力は両
カウンタ２１と２２の波形の積算値が等しいときにハイ
レベルとなる。また（Ａ＜Ｂ）の出力は、カウンタ２１
による波形の積算値がカウンタ２２による波形の積算値
よりも小さいときにハイレベルとなる。

【００１５】図５（ａ）と（ｂ）に示す波形の場合に
は、２番目の波形の立ち上がりまでは、両カウンタの計
数値に大きなずれはないが、トラック横断信号に３番目
と５番目の乱れた波形が生じているため、（ハ）で示す
時点以後は、（Ａ＞Ｂ）の出力がハイレベルになったま
まとなり、（Ａ＝Ｂ）はロウレベルで、（Ａ＜Ｂ）の出
力もロウレベルになったままである。この状態が長く続
いているときには、トラック横断信号にプリピット部な
どによる乱れ（図５（ａ）における３番目と５番目の波
形が生じている乱れ）が生じたことを意味している。よ
ってこの状態が一定時間続いたときには、タイミング判
定回路２４によりトラック横断信号の計数誤差が生じて
いると判断し、誤差検知信号を出力する。この誤差検知
信号が出力されたときには、図１において説明したよう
に、補正信号（ＣＯＲＲ）を優先させ、この補正信号に
よりアクセス制御を行う。あるいは誤差検知信号が出力
されたときに、トラック横断信号を図５において（ハ）
で示す時点以前に戻し、この以前の状態をホールドして
アクセス制御してもよい。なお本発明は、光磁気ディス
ク装置以外の光ディスク装置のアクセス制御に実施する
ことも可能である。

【００１６】

【発明の効果】以上のように請求項１記載の発明によれ
ば、ＲＯＭ領域やプリフォーマット領域のプリピット部
やディスク表面の傷の有無の影響を受けない補正信号が
得られるため、この補正信号により波形の乱れが生じて
いるトラック横断信号を補助し、適正なアクセス制御を
行うことが可能になる。請求項２記載の発明では、トラ
ック横断信号と補正信号に基づいて、トラック横断信号
にプリピット部などによる波形の乱れが生じたことを確
実に判断できるため、これに基づいてトラック横断信号
のホールドやアクセス制御源を補正信号に切換えるなど
の対応が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるトラック横断信号処理装置の補正
信号生成部を示す回路ブロック図。

【図２】トラッキングエラー信号、トラック横断信号、
ならびに本来のとラック横断信号を示す線図。

【図３】トラック横断信号による検知誤差を検出する部
分の回路ブロック図。

【図４】アクセス速度の変化を示す線図。

【図５】図３におけるカウンタへの入力信号ならびに比
較器からの出力を示す線図。

【図６】光磁気ディスクの記録面を示す拡大説明図。

【符号の説明】

１０ ＰＬＬ回路 １４ 速度検出回路 １５ 切換器 １７ 加速度情報検出部 ２１、２２ カウンタ ２３ 比較器 ２４ タイミング判定回路

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】検知光のスポットがディスクの記録面を横
   断する際に、ディスクからの戻り光の受光光量の変化に
   よって得られるトラック横断信号の処理経路に、電圧制
   御発振器およびその発振出力の位相と前記トラック横断
   信号の位相とを比較してその比較値に応じた電圧を前記
   電圧制御発振器に供給する位相比較回路を備えたＰＬＬ
   回路、ならびにトラック横断信号に基づいてスポットの
   移動速度の変化を検出する速度検出手段、さらに移動速
   度が変化したときに前記速度検出手段において速度変化
   に対応して出力された電圧によって前記電圧制御発振器
   を動作させる切換え手段とが設けられており、前記電圧
   制御発振器からの発振出力をトラック横断信号の補正信
   号として使用することを特徴とする光ディスク装置のト
   ラック横断信号処理装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置により得られた補正信
   号の波形を計数するカウンタならびにトラック横断信号
   の波形を計数するカウンタと、両カウンタの計数値を比
   較する比較器と、この比較器により計数値の違いが所定
   時間検出されたときにトラック横断信号に検知誤差があ
   ると判断する判定手段が設けられている光ディスク装置
   のトラック横断信号処理装置。