JP2779201B2 - 構造物の力学的異方性測定法 - Google Patents

構造物の力学的異方性測定法

Info

Publication number
JP2779201B2
JP2779201B2 JP1055387A JP5538789A JP2779201B2 JP 2779201 B2 JP2779201 B2 JP 2779201B2 JP 1055387 A JP1055387 A JP 1055387A JP 5538789 A JP5538789 A JP 5538789A JP 2779201 B2 JP2779201 B2 JP 2779201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measurement
point
resonance frequency
anisotropy
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1055387A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02234037A (ja
Inventor
芳晃 東川
利注 菊地
信行 大久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP1055387A priority Critical patent/JP2779201B2/ja
Publication of JPH02234037A publication Critical patent/JPH02234037A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2779201B2 publication Critical patent/JP2779201B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、例えば板状成形品等の構造物の力学的性質
(例えば剛性)の異方性を測定する方法及び構造物を構
成する材料の配向分布状態を決定する方法に関する。
(従来の技術と発明が解決しようとする課題) プラスチック成形品は、現在自動車、電気、精密機器
等の部品として大量に使用されているのは周知の通りで
ある。
ところで、プラスチック部品を製造する方法として最
も多く用いられているのは射出成形法である。射出成形
は、複雑形状のものを大量生産できる工業的に極めて重
要な成形法である。しかしながら、射出成形によって製
造されたプラスチック成形品の品質・性能は、射出成形
過程中の履歴に大きく左右される。ゲートから流入した
溶融樹脂は、薄肉の金型キャビティー内を、流動しなが
ら充填したあと、昇圧、保圧、冷却固化過程を経て、金
型から取り出されて成形品となる。金型キャビティー表
面で急冷されながら流動する溶融樹脂は、キャビティー
表面近傍で大きな剪断応力を受け、流動配向をおこし、
十分に応力緩和がおこらずに凍結されるため、成形品中
に大きな残留歪が発生する。かかる残留歪は、成形品の
反りや変形の原因の一つとなると同時に、強度や弾性率
(剛性)等の力学的異方性の原因となる。
又、熱的性質や力学的性質を向上させるため、カーボ
ンファイバーやガラスファイバー等の有機あるいは無機
繊維を混合したプラスチック材料あるいは、マイカやタ
ルク等の無機充填材を混合したプラスチック材料も自動
車部品等に非常に多く使用される。
これら充填材含有プラスチック材料を射出成形した場
合には、充填材自在が金型内流動中に配向する。又、成
形品中に分散している充填材の濃度も多くの場合不均一
に分布している。特に繊維含有成形品の場合において
は、高分子材料の流動配向よりも繊維配向が反りや変
形、さらには強度や剛性に対して、大きな影響を及ぼ
す。成形品中に分散する各繊維の方向性は、各繊維が流
動中にうける力のバランスによって決定される。そのた
め、方向性は、成形条件、ベース樹脂の種類、成形品厚
み、ゲート位置等の諸々の要因によって変化する。当然
成形品各場所によって配向の方向やその大きさが異なる
ことになる。従って、成形品は、力学的異方性を有し、
その分布及び大きさが各場所によって不均一となる。
又、たとえば熱伝導率のような熱的異方性も生ずること
になる。プラスチック成形品の中には、このような配向
による力学的異方性を利用して力学的性質の大幅な向上
を図る場合(たとえば、細長い形状部分が多い場合、長
手方向に配向して剛性をアップさせたり、スピーカーコ
ーンのように放射状に配向させて比弾性率を大きくする
場合)もあるが、一般的には力学的異方性は好ましいも
のではなく、可能であれば完全になくすることが好まし
い。
本質的に、プラスチック射出成形品の場合において
は、繊維等の充填材を含有してもあるいな含有していな
くても、程度の差はあるものの、分子や充填材の配向に
よって力学的異方性を有し、その分布状態及び大きさが
製品各部で不均一である。よって、個々の製品(構造
物)の力学的性質の異方性とその大きさや分布状態を把
握することは重要であり、製品の品質向上、材料改良や
開発、製品や金型のデザインの最適化、成形条件の選
択、さらには製造過程での製品の品質管理にとって極め
て重要な情報となる。
従来、このような製品の力学的異方性たとえば弾性率
(剛性)や強度の異方性を測定するためには、製品の一
部あるいは各部を切断し、ASTMD790に準拠した曲げ試験
を行なう方法が一般的であるが、そのためにはいくつも
の製品を用いて、同一箇所から切断方向(角度)を変え
た試験片を準備する必要があった。さらに、製品全体の
力学的異方性を知るためには製品全体にわたって同様の
操作を行なう必要があった。破壊試験であること及び多
くの手間と多くと試験用製品が必要とされることから製
品の品質管理にはとても採用できる手法とは言いがた
い。又、分子の配向状態についてはX線回析法がよく用
いられるが、製品を切断する必要があった。繊維の配向
や分散状態を観察する際よく用いられる軟X線透過法
も、小さい構造物であれば、非破壊検査が可能である
が、複雑形状のものや大きな構造物であれば切断する必
要がある。さらに、繊維の配向は製品の表層付近と中心
付近では異なっているため、単に軟X線の透過写真を見
ただけでは、繊維の分散状態が非常に複雑であり、力学
的異方性(剛性の最大方向や剛性の強度分布)を決定す
ることは不可能に近い。
構造物の剛性に関する情報を提供する共振周波数も、
構造物のグローバルな値としての情報しか得られない。
即ち、力学的異方性を有する構造物であっても、共振周
波数は加振点や応答点に無関係の値を示す。
従って、射出成形品の力学的異方性の測定には局所ご
とに製品を切断して、曲げ弾性率(あるいは強度)の角
度依存性を測定するか軟X線による透過法やX線回析法
等に依らざるを得ない現状にある。
ところで一方、機械構造物の動特性を測定し、さらに
解析する手法として、モーダル解析法はよく知られてい
る[ディ・ジェイ・エウィンズ(D.J.Ewins)著、「モ
ーダル・テスティング:セオリイアンドプラクティス」
(Model Testing:Theory and Practice)、リサーチ
・スタディズ・プレス、昭和59年;大久保信行著「機械
のモーダル・アナリシス」、中央大学出版部、昭和57年
5月10日]。この手法は、一般的には、対象物に加振点
で加振力x(t)を加えたときに応答点での応答y
(t)(変位、速度または加速度)を同時に測定して動
特性(=y(t)/x(t))を求め、次に動特性をフー
リエ変換して周波数応答関数H(ω)=Y(ω)/X
(ω)を求め、振動モード(動特性)を解析するもので
ある。
しかしながら、従来のモーダル解析に使用される共振
周波数の減衰比等のモーダルパラメータは、加振点、応
答点の位置に無関係なグローバルな値であるため、現行
のモーダル解析法は局所的な力学的性質の異方性の測定
には本質的に使用できない。従って、構造物の力学的異
方性の決定に必要な局所的データが得られない。
本発明は、構造物のモーダル解析を行なう過程でその
際に測定する周波数応答関数(伝達関数)に関て得られ
た新たな知見に基づいてなされたものであって、非破壊
検査で構造物の力学的性質の異方性を確実かつ容易に測
定することができる方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る第1の構造物の力学的異方性測定法は、
構造物上において、点Aと、点Aを中心とする所定の半
径の円周上の複数の点Bi(i=1,2,…)とを設け、点A
と点Biの一方を加振点とし他方を応答点として、加振点
において構造物に加振力を加え、同時に応答点において
応答(変位、速度又は加速度)を測定して、周波数応答
関数Hi(ω)を求め、得られた各周波数応答関数H
i(ω)より、反共振周波数の測定角度θ(=∠B1A
Bi)に対する依存性を求めることにより、上記円周内に
おける剛性分布を測定する。
本発明に係る第2の構造物の力学的異方性測定法は、
第1の測定法を構造物上の複数の測定領域に適用して、
構造物の一部または全体における剛性分布状態を測定す
ることを特徴とする。
本発明に係る第3の構造物の力学的異方性測定法は、
構造物を構成する材料の一部または全体における配向分
布状態を決定する方法である。
(発明の原理的構成) 本発明は、モーダル解析の際に測定する周波数応答関
数に関する本発明者らによる新たな知見、即ち反共振周
波数が局所的な力学的異方性をきわめて忠実に反映する
という知見を構造物の力学的異方性の決定に用いたもの
であり、本知見をもとにプラスチック射出成形品の分子
配向の方向や繊維の流れ方向や金型内の溶融樹脂の流動
方向の決定にも利用するものである。
本発明により構造物の異方性を測定する場合、第1図
のフローチャートに示す手順で行う。まず、対象となる
構造物の一部または全体に複数の測定領域を設け、各測
定領域で点Aと点Aを中心とする所定の半径の円周上の
複数の点Bi(i=1,2,…)を設ける(ステップS1)。点
Aと点Biの一方を加振点とし、他方を応答点とする。加
振点は、加振器により加振力を加える点であり、応答点
は、加振に対する応答(変位、速度または加速度)を測
定する点である。点Aと点Biを結ぶ方向が、力学的性質
の測定の方向となる。
次に、測定領域を指定し(ステップS2)、その測定領
域における加振点と応答点を指定し、従って、基準方向
に対する測定角度を指定する(ステップS3)。そして、
加振点で構造物を加振し、加振点での加振力と応答点で
の応答を測定し(ステップS4)、得られた測定データに
ついて高速フーリエ変換により周波数応答関数を求め
(ステップS5)、その解析結果をプリンタ等に出力する
(ステップS6)。
次に、その測定領域での全測定角度について測定が終
了したか否かが判定される(ステップS7)。終了してい
なければステップS3に戻り、別の点Biを指定して周波数
応答関数を求める。
終了していれば、次に、得られた周波数応答関数のデ
ータを解析し、反共振周波数の測定角度依存性を求
め、反共振周波数が極小になる角度をその測定領域に
おける最大剛性方向あるいは、配向が最大の方向と決定
し、又、反共振周波数が極大となる角度をその測定領
域における最小剛性方向あるいは配向が最小の方向と決
定し、この2つの反共振周波数の値に基づいて、全測定
角度についての、力学的異方性や配向の度合(即ち分布
状態)を決定する(ステップS8)。
次に、全測定領域について測定が終了したか否かが判
定される(ステップS9)。終了していなければ、ステッ
プS2に戻り、別の測定領域を指定して、最大剛性方向あ
るいは、配合が最大の方向と決定し、又、反共振周波数
が極大となる角度とその測定領域における最小剛性方
向あるいは配向が最小の方向と決定し、この2つの反共
振周波数の値に基づいて全測定角度についての力学的異
方性や配向の度合(即ち分布状態)を決定する。
終了していれば、最後に、測定結果を表示する(ステ
ップS10)。
ステップS6において求められる周波数応答関数の演算
は、対象物に加振点で加振力x(t)を加えたときにお
ける応答点での応答(変位、速度または加速度)y
(t)の測定結果より動特性を求め、次にこれらの測定
データを高速フーリエ変換して周波数応答関数H(ω)
=Y(ω)/X(ω)を求めるものである。
次に、データ解析(ステップS8)において重要な周波
数応答関数H(ω)における反共振周波数について説
明する。
周波数応答関数H(ω)の振幅は、測定対象物の自由
度に対応する数の振動モードの共振周波数でピークを有
する。
第2図(a),(b)は、減衰のない2自由度系の周
波数応答関数(ここでは、モビリティ=速度/力)の一
例を示す。周波数応答関数(太線で示す)は、それぞれ
共振周波数でピークを有する2つのモードの寄与(細線
で示す)の和または差である。モビリティは、第2図
(b)のように2つのモードの寄与が加算される場合
は、2つの共振周波数の間でゆるやかに変化する。一
方、第2図(a)のように2つのモードの寄与の符号が
異なる場合は、2つの共振周波数の間で、振幅減少方向
にピーク(実質的に振幅が零となる。)を有する。この
ピークの周波数を反共振周波数という。
一般の多自由度系の場合、周波数応答関数は、隣りあ
う2つの共振周波数の間で構造物の特性に応答して反共
振周波数でのピークを有する場合と有しない場合があ
る。
従来は、この反共振周波数に対してはあまり注目され
ていなかった。しかし、本発明のように構造物上の複数
の点での力学的性質の異方性を求める場合、注目するパ
ラメータは局所的な値である必要がある。共振周波数は
構造物の剛性に関する情報を提供するが、構造物のグロ
ーバルな値としての情報しか得られず、本発明者らは力
学的異方性を有するプラスチック構造物であっても、加
振点や応答点に無関係の値を示すことを確認している。
そこで、本発明者らは反共振周波数に注目し、力学的に
異方性を示すプラスチック射出成形品を用いて種々検討
した結果、加振点や応答点をずらすと反共振周波数が成
形品の局所的な力学的異方性を精度よく反映することを
見出だしたのである。
尚、局所的な異方性を決定する際に用いる反共振周波
数は、できるだけ低次の共振周波数の間にある反共振周
波数を採用することが望ましいが、構造物の種類(形状
や材質等)によっては、高次の共振周波数の間にある反
共振周波数を用いる方がよい場合もある。
(実施例) まず、反共振周波数の異方性を簡単な質点振動系のモ
デルでみてみる。第3図に示すモデルは、異方的な板
を、正方形の角に相互に等距離に位置する等しい質量m
の計4個の質点1,2,3,4で表わしたものであり、各質点
の間は、図に示すようにばね係数k1〜k4を有するばねで
結合されている。この質量−ばね系において、加振点
(図では左上側の点1)で板に垂直方向に力f1を作用さ
せたときの各質点1,2,3,4での垂直方向の変位をx1,x2,x
3,x4とする。このモデルについて運動方程式をたてる
と、周波数応答関数の反共振周波数は、運動方程式に
よる特性行列の余因子行列より求められる。すなわち、
点iと点jを結ぶ方向の周波数応答関数の反共振周波数
ijは、j行目とi列目を除去した行列の行列式を0と
する周波数である。
(a) k1,k2−異方性 k1/k2=r (r>1) k3=k4=(k1+k2)/2 として1−2方向と1−4方向に異方性を持たせた場
合、 第4図(a)に示すように、強方向(1−2方向)で
の周波数応答関数の反共振周波数12は、弱方向(1−
4方向)での反共振周波数14よりも小さい値になるこ
とがわかる。
ここで注目すべきなのは、上記の直交異方性を有する
系では、(14 2/12 2)=r=k1/k2となり、異方性を
示す互いに直交する方向の反共振周波数の自乗の比が、
両方向のばね係数の比k1/k2となることである。つま
り、上記のような直交異方性を与えたモデルでは反共振
周波数が直接的にその系の異方性を示すものであること
が理解される。
(b) k3,k4−異方性 k3/k4=r (r>1) k1=k2=(k3+k4)/2 として1−3方向と2−4方向に異方性を持たせた場
合、 第4図(b)に示すように、やはり強方向(1−3方
向)で反共振周波数が小さくなることがわかる。
(c) 等方性 比較のために、4つのばね定数k1,k2,k3,k4を等しく
した場合、 したがって、第4図(c)に示すように、反共振周波
数の方向による差はない。
以上に説明した簡単なモデルにより、反共振周波数関
は、現実の構造物においてもその力学的異方性に対応し
て感度よく変化すると予想される。そこで、実際の試料
について実験したところ以下に説明するように有用であ
ることがわかった。
測定装置は、従来モーグル解析装置として用いられて
いる装置を使用する。第5図に測定装置の概略を示す。
測定しようとする構造物11上に加振点12と応答点13を設
定する。加振点12には、ハンマ14を用いてインパルス加
振し、その加振力x(t)を、ハンマ14に取付けてある
ロードセル15により検出する。一方、応答点13には振動
ピックアップ16を設けておき、加振力に対応する応答y
(t)を検出する。なお、インパルス加振は1点につき
10回程度行い、最も素直なデータを選択できるようにす
る。
ロードセル15により検出される加振力信号x(t)と
振動ピックアップ16により検出される応答信号(たとえ
ば加速度信号y(t))は、A/Dコンバータ17,18により
夫々ディジタル値に変換され、次に、フーリエ変換器19
により高速フーリエ変換(FFT)され、オートスペクト
ラム及びクロススペクトラムを演算したうえで、演算器
20により周波数応答関数H(ω)が計算される。計算の
手法は従来の適当な手法を採用する。計算結果は、演算
処理用マイクロコンピュータ21に出力される。
このマイクロコンピュータ21では、各加振点12につい
て得られる周波数応答関数H(ω)を用いて、各測定領
域での力学的異方性を後述の方法で解析し、CRTなどの
ディスプレイ装置22において、CRT上に等高線やカラー
グラフィクスで表示し、或は必要に応じてレコーダ23に
より記録する。
測定に際しては、構造物11上に任意の複数の測定領域
を設定して、各領域で測定方向を順次変えながら測定を
行う。このため、例えば、第1測定領域では応答点であ
る点A1、および、点A1から半径rだけ離れた測定円C上
に複数の加振点である点B1,B2,…を設定する。半径rや
点Bi(i=1,2,…)の数は、測定対象の性質に応じて決
定すればよい。また、加振点をA1とし、応答点をB1,B2,
…として、加振点A1を固定して測定してもよい。
はじめに、第6図に示す正方形(一辺30cm)の板31に
ついての測定例を示す。板31の成形材料は、グラスファ
イバ(平均長さ2〜3mm)を20重量%含むポリプロピレ
ン(住友ノーブレン GVH42)である。板の射出成形に
おいて、素材はフイルムゲート32(第12図参照)から流
入する。
この正方形の板31においては、横4行縦4列の16個の
測定領域を設け、各測定領域では応答点13である点A
i(i=1,2,…,16)を中心に、図の上下方向を測定角度
の基準とし、上方向を0゜とし、反時計回りに0゜から
180゜を含む全周上を30゜ごとの測定角度をなす12点B1
〜B12の加振点12を設定する。
第6図においては、A6を応答点13とする測定領域につ
いてのみB1〜B12を図式的に示す。
測定円Cの半径rは、2.5cm以下であることが望まし
いことがわかった。
また、180゜の場合を含み、全周上の測定点Biを測定
するのは、異方性の局所的な相異により、一般に0゜の
場合と異なる結果を示すこと(プラスチック射出成形
品、特に繊維含有プラスチック材料を用いた射出成形品
においては、局所的には剛性が直交異方性を示すとは限
らない)及び、剛性の最大方向、即ち、反共振周波数が
最小となる角度を正確に求めるためである。従って、反
共振周波数が最小となる角度が180゜までの半周期で正
確に求められれば、半周期180゜まで測定すればよい
が、さもない場合は、全周上を測定することが好まし
い。
測定においては、板31はP,Qの位置に直径1mmの穴をあ
け、長さ70cmの木綿糸の両端で結び、木綿糸の中央部を
固定し、板31を空中に吊した状態(自由支持状態)で測
定した。
加振方法としては、インパクト加振を用いた。測定半
径rは2cmとした。
第7図に、A4、A6及びA15を応答点13とした時の測定
角0度の例を周波数応答関数であるイナータンス(加速
度/力)の対数の周波数の対数に対する依存性を示す。
第7図で明らかな如く、共振周波数は加振点や応答点Ai
に無関係に同じ値を示しており、異方性材料であっても
構造物によって一義的に決まるグローバルな値であるこ
とが判る。一方、、構造物の局所的な情報を提供する反
共振周波数は、加振点Biや応答点Aiの位置によって異な
ることが判る。
第8図(a),(b)に、A6を応答点13とした時のイ
ナータンス(加速度/力)の対数の周波数の対数に対す
る依存性を示す。図中の数字は測定角度を示す。この構
造物の1次共振周波数と2次共振周波数の間に反共振周
波数があらわれ(A6では1次共振周波数はあらわれな
い)、測定角度に依存して感度よく変化する。(測定に
用いる反共振周波数は、低次のものほど望ましい。しか
しながら、反共振周波数の角度依存性が感度よくあらわ
れない場合は、高次のものを用いてもさしつかえな
い。)第9図は、測定された反共振周波数の測定角度に
対する変化を示す。この例においては、反共振周波数が
最も低くなる角度θminは、0゜及び180゜といえるが、
0゜と180゜の周波数が若干異なることから、210゜まで
の測定を行ない、180゜の方向がθminであることを確認
した。
尚、反共振周波数のθminを決定する場合、精度向上
のため、測定データをもとに適当な内挿法を用いること
が好ましい。
第10図は、A6を中心とする円Cで囲まれた部分の曲げ
弾性率及び曲げ強度の角度依存性の測定結果を示したも
のである。180゜の値は0゜の値を用いて示してある。
測定角度は第9図と同じである。測定方法は、ASTMD790
に準拠した。A6を中心とする円Cで囲まれた部分の曲げ
弾性率は0゜の方向(180度の方向と同じ)が最大で、9
0゜の方向が最小であった。又、曲げ強度についても同
じ傾向を示した。従って、第9図において反共振周波数
が最小を示す角度(即ち、0゜あるいは180度)が、曲
げ弾性率(剛性)及び曲げ強度の最大値と対応し、反共
振周波数が最大を示す角度(即ち90゜、θminと垂直の
方向)が、曲げ弾性率(剛性)及び曲げ強度の最小値と
対応することが判った。
従って、反共振周波数の角度依存性を測定し、反共振
周波数が極小値となる方向が力学的剛性、強度が最も大
きく、極大値となる方向が力学的剛性、強度が最も小さ
いと判断できることがわかる。上記方法は、構造物の局
所的な力学的異方性を非破壊で測定できる有効な測定方
法であることが判った。また、繊維含有プラスチックの
射出成形品の曲げ弾性率は、一般に繊維の配向、特に成
形品の表面に近い部分の繊維の配向に大きく依存し、配
向方向の弾性率が最大となることから、反共振周波数の
角度依存性を用いる測定方法は繊維の配向方向を推定す
る上でも有効な非破壊試験手段としても利用できること
が判った。
第11図には、第10図に示した曲げ弾性率(FM)の値を
用い、FMの最大値即ち測定角度0゜(=180゜)の値(F
M0)を1として、各測定角度θにおける曲げ弾性率
(FMθi)の値を比率であらわしたもの(即ちFMθi/F
M0)及び、第9図に示した反共振周波数の測定角度依存
性の値を用い、反共振周波数min(即ち、測定角度180
゜の値)と各測定角度θにおける反共振周波数(=
θi)の値の2乗比(即ちω2min/ω θi)であらわ
し、異方性の度合の角度依存性を比較したものである。
第11図から明らかなごとく、反共振周波数によって求
めた異方性の度合は、特に極小値のところで曲げ弾性率
より求めた値と非常に良い一致を示しており、又、その
他の角度のところでも傾向的にはよく対応しており、構
造物の局所的な異方性の度合の角度依存性(即ち、異方
性の分布状態)を測定する手段としても利用することが
出来ることが判った。
第12図は、板31全体で16の測定領域において測定を行
ない、各領域で得られた反共振周波数の角度変化から剛
性の最大方向を上記の方法で測定し、表示したものであ
る。この方向は又、繊維の成形品表層付近の流れ方向と
も推定でき、同時に又、樹脂の流動方向とも推定でき
る。これを見ると実際の繊維及び樹脂の流動方向と酷似
しており、上記の測定方法を構造物の一部でなく全体に
適用することにより非常に有効な知見が得られることが
わかる。
次に、ミニバンパーについての測定について説明す
る。第13図に示す形状のミニバンパー51を、上記の板31
と同様に、グラスファイバ(平均長さ2〜3mm)を20重
量%含むポリプロピレン(住友ノーブレン GVH42)を
用いて射出成形法により製造した。射出成形の際のサイ
ドゲート52は、ミニバンパーのサイドの中心にある。本
測定において、ミニバンパーは、自由支持状態にあり、
加振方法は、インパクト加振を用いた。任意の位置に応
答点を定めミニバンパーの長手方向を基準として、その
周りの測定円に30゜おきに加振点を設け、周波数応答関
数を測定した。測定円の半径は2cmとした。
第14図(a),(b)に周波数応答関数(イナータン
ス)の測定結果を示す。共振周波数でのピークの他に、
隣接する共振周波数の間に反共振周波数のピークがみら
れ、反共振周波数は、測定角度に応じて感度よく変化す
る。
第15図は、第2共振周波数と第3共振周波数の間での
反共振周波数と測定角度との関係を示す。この場合、最
小値に対応する30゜が剛性の強い方向であることがわか
る。
第16図はミニバンパーの70と各測定領域での極小値の
方向つまり剛性が極大となる方向を示す展開図である。
ゲート52から流入した溶融樹脂の流れに対応した繊維の
流れをよく反映している(なお、各測定領域での線の長
さは、反共振周波数の最大値と最小値との差Δfを示
す。) 以上の測定例は、ガラスファイバーを含有するポリプ
ロピレンの射出成形構造物について行われたが、一般
に、無機繊維または有機繊維を含有する繊維強化プラス
チック製構造物についても、繊維の配向方向、分散状態
及びその結果発生ずる構造物の力学的異方性の決定方法
として利用でき、又製品の品質管理や生産管理に極めて
有効な非破壊検査法となる。又、最近工業的によく行な
われている金型内での流動挙動のコンピュータ・シミュ
レーション結果の検証手段としても有効な手段となる。
又、繊維やその他の無機充填材を混合していないプラス
チック材料の配向状態や、剛性強度等の力学的異方性を
検出し、上記と同じ目的で利用できることは言うまでも
ない。
尚、本発明はプラスチック射出成形品だけでなく、一
般に公知の種々のプラスチック成形加工法で製造された
構造物(シート状のものも含む)にも適用できる。熱硬
化性プラスチック及び熱可塑性プラスチックの繊維強化
プラスチックすべてに適用可能であり、構造物の材質と
してはさらにプラスチック材質以外のセラミック材料、
金属材料にも適用できる。
(発明の効果) 構造物の剛性分布や強度分布を非破壊的に比較的簡便
に測定でき、測定装置としては現在工業的に利用されて
いるモーダル解析装置や、周波数応答関数までを測定出
来る装置も使用できる。
これにより、剛性分布や強度分布を生じる因子(たと
えば、繊維強化プラスチックの繊維の配向、場所による
分散不均一性等の分布状態や溶融状態の材料の成形途中
の流動方向)を決定する方法や、製品の生産管理、品質
管理等、本文中に記載した諸々の用途に利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る測定法のフローチャートである。 第2図(a),(b)は、それぞれ、減衰しない2自由
度系の周波数応答関数(モビリティ)の周波数依存性の
対数・対数プロットのグラフである。 第3図は、異方性を調べるための簡単な質量−ばね系の
モデルの図である。 第4図(a),(b),(c)は、それぞれ、反共振周
波数の方向依存性を示すグラフである。 第5図は、本発明にかかる測定装置のブロック図であ
る。 第6図は、板状構造物における加振点と応答点の位置を
図式的に示す図である。 第7図は、周波数応答関数(イナータンス)の対数の測
定領域依存性のグラフである。 第8図(a),(b)は、周波数応答関数(イナータン
ス)の対数の異方性の測定データのグラフである。 第9図は、反共振周波数の測定角度依存性のグラフであ
る。 第10図は、曲げ弾性率と曲げ強度の測定角度依存性のグ
ラフである。 第11図は、異方性の度合の測定角度依存性を曲げ弾性率
の比と反共振周波数の2乗比で示すグラフである。 第12図は、板の剛性の強い方向の分布を示す図である。 第13図は、ミニバンパーの斜視図である。 第14図(a),(b)は、周波数応答関数(イナータン
ス)の対数の周波数依存性の異方性の測定データのグラ
フである。 第15図は、反共振周波数の測定角度依存性のグラフであ
る。 第16図は、ミニバンパーでの剛性の強い方向の分布を示
す展開図である。 11……構造物、12……加振点、13……応答点、17〜20…
…モーダル解析装置。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造物上において、点Aと、点Aを中心と
    する所定の半径の円周上の複数の点Bi(i=1,2,…)と
    を設け、 点Aと点Biの一方を加振点とし他方を応答点として、加
    振点において構造物に加振力を加え、同時に応答点にお
    いて応答(変位、速度又は加速度)を測定して、周波数
    応答関数Hi(ω)を求め、 得られた各周波数応答関数Hi(ω)より、反共振周波数
    の測定角度θ(=∠B1ABi)に対する依存性を求める
    ことにより、上記円周内の力学的異方性の分布を求める
    構造物の力学的異方性測定法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載された方法を構造物上の複
    数の測定領域に適用して、構造物の一部または全体にお
    ける力学的異方性分布状態を測定することを特徴とする
    構造物の力学的異方性測定法。
  3. 【請求項3】請求項1あるいは請求項2に記載された方
    法により構造物を構成する材料の一部または全体におけ
    る配向分布状態を決定する方法。
JP1055387A 1989-03-08 1989-03-08 構造物の力学的異方性測定法 Expired - Fee Related JP2779201B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1055387A JP2779201B2 (ja) 1989-03-08 1989-03-08 構造物の力学的異方性測定法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1055387A JP2779201B2 (ja) 1989-03-08 1989-03-08 構造物の力学的異方性測定法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02234037A JPH02234037A (ja) 1990-09-17
JP2779201B2 true JP2779201B2 (ja) 1998-07-23

Family

ID=12997097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1055387A Expired - Fee Related JP2779201B2 (ja) 1989-03-08 1989-03-08 構造物の力学的異方性測定法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2779201B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4574880B2 (ja) * 2001-03-22 2010-11-04 東レエンジニアリング株式会社 射出成形品の構造強度シミュレーション方法及び装置
CN103063391B (zh) * 2012-12-31 2015-03-25 浙江工业大学 一种水平方向上的超低频模态试验装置
JPWO2015059956A1 (ja) * 2013-10-23 2017-03-09 日本電気株式会社 構造物診断装置、構造物診断方法、及びプログラム
JP7070472B2 (ja) * 2019-03-01 2022-05-18 株式会社デンソー 温度センサ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02234037A (ja) 1990-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Gibson Modal vibration response measurements for characterization of composite materials and structures
US5408882A (en) Ultrasonic device and method for non-destructive evaluation of polymer composites
Frederiksen Experimental procedure and results for the identification of elastic constants of thick orthotropic plates
US9494475B2 (en) Apparatus, system and method for dynamically measuring material viscoelasticity using shear wave induced resonance
Viala et al. Identification of the anisotropic elastic and damping properties of complex shape composite parts using an inverse method based on finite element model updating and 3D velocity fields measurements (FEMU-3DVF): Application to bio-based composite violin soundboards
RU2539095C1 (ru) Неразрушающее исследование гибких композитных изделий
Dudek Young's and shear moduli of unidirectional composites by a resonant beam method
Hosten Stiffness matrix invariants to validate the characterization of composite materials with ultrasonic methods
Soula et al. Measurements of isothermal complex moduli of viscoelastic materials over a large range of frequencies
JP2779201B2 (ja) 構造物の力学的異方性測定法
Yaoita et al. Determination of elastic moduli for a spherical specimen by resonant ultrasound spectroscopy
Dessi et al. Dynamic mechanical analysis with torsional rectangular geometry: A critical assessment of constrained warping models
US4794545A (en) Nondestructive measurement of fractions of phases in mixtures and composite materials
US6609428B2 (en) Nonresonant technique for estimation of the mechanical properties of viscoelastic materials
Rodríguez Agudo et al. Characterization of the temperature and frequency dependency of the complex Poisson’s ratio using a novel combined torsional-axial rheometer
Lobkis et al. In-plane elastic property characterization in composite plates
Mania et al. Differences in the Modal and Structural Parameters of Resonance and Non-Resonance Wood of Spruce ({em Picea abies} L.)
Cawley et al. Natural frequency measurements for production quality control of fibre composites
Fasana et al. Oberst and aging tests of damped CFRP materials: New fitting procedure and experimental results
US11656162B2 (en) Device for analyzing dynamic characteristics of carbon composite material based on test temperature, orientation of carbon material, and external loading pattern applied thereto, and dynamic characteristics analysis method using the same
US4897796A (en) Nondestructive measurement of fractions of phases in mixtures and composite materials
Jang et al. Monitoring the dynamic mechanical behavior of polymers and composites using mechanical impedance analysis (MIA)
Mahn et al. Impact testing of stereolithographic models to predict natural frequencies
Johannesmann et al. Acoustic material characterization of prestressed, plate-shaped specimens
Heitkamp Experimental Wave and Material Property Measurements for an Elastomer Binder and Particulate Composite Material

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees