JP2775113B2 - 渦巻きポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、渦巻きポンプの渦室の羽根部の構造に関す
るものである。

［従来の技術］ 渦巻きポンプは、ポンプケーシングの内部に渦室を配
し、この渦室と隣接して遠心型の羽根車を回転自在に配
置した構成になっている。そして、電源周波数（50Hzま
たは60Hz）によって電動機の回転数が異なるときには、
外径の異なる羽根車を使用している。従って、羽根車の
外径に合わせて渦室の内径寸法も変更しなければならな
い。

そして、使用する電源周波数に合わせて渦室の内径を
決定し、鋳物あるいは樹脂で成形をおこない製作をして
いた。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、渦室の材質が鋳物或いは樹脂の何れの
場合でも、成形するための型代が高価であり、製作台数
が少ないときには、この高価な型代が製品の価格を高く
するという問題があった。

そこで、型代を節約するために型を共通化して羽根車
の外径に合わせて渦室の内径を削除して使用することが
考えられる。しかし、渦室は、複数の羽根が放射状で、
かつ、渦巻状に配置してあり、この様な羽根の内径側を
削除し、内径を大きくすると羽根の肉厚の変動による隣
設されている羽根との間に形成される開口部の開口幅が
不均一になり、かつ、開口部の端部が円弧径に形成され
ていないので液体が流入しにくく、ポンプ効率が低下す
るという問題がある。

本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであ
り、渦室の内径側を切削して内径を大きく変更した際
に、開口部の面積に不均一が生じず、流入し易い構造で
あり、かつ、安価な渦巻きポンプを提供することを目的
としている。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、渦室内に遠心型羽根車を回転自在に配した
渦巻きポンプであって、前記渦室に複数の羽根を放射状
で、かつ、渦巻状に配し、前記羽根の内径側の端部を略
円弧形に形成し、前記羽根の内径側の端部近傍で、か
つ、羽根の外側面部を前記略円弧形と略同一形状に形成
することにより、内径側の羽根間の開口部の形状と、前
記端部近傍の羽根間の形状とを略同一形状にしたことに
よって問題点を解決している。

［作用］ 径の大きい羽根車を収容するために、渦室の内径が削
除されると羽根の非傾斜部（円弧形形成部）まで加工さ
れるために、羽根の肉厚の変動による影響を受けること
がない。

従って、渦室の内径側の開口部の面積が不均一になら
ず、ポンプの効率が悪化する恐れがない。この様に、渦
室を本発明の羽根形状にすることにより、60Hzに用いて
いた渦室の内径を旋削加工して、50Hz用の渦室として用
いることができる。

［実施例］ 本発明を図面に示された一実施例に基づいて説明する
と、第１図は、本発明の一実施例による渦巻きポンプの
渦室を示す要部の縦断面図であり、第２図は、その横断
面図であり、第３図は、羽根車の側面図である。

第１図、第２図および第３図において、渦巻きポンプ
には、羽根車１が渦室２の内側に回転自在に備えられて
いる。そして、この羽根車１は、図示されていない電動
機に軸着されており、この電動機の回転により回され
る。さらに、この渦室２は、図示されていないポンプケ
ーシングに収納されている。

第１図において、渦室２は、湾曲した多数の羽根３が
一定の方向へ傾斜するように放射状に備えられており、
この渦室２内径側には羽根車１が収容される羽根車収容
部４が形成されている。

そして、羽根３は隣設する羽根３との間で通水路５を
形成しており、羽根車１の回転により径方向に放出され
た吐出水を、図示されていないポンプケーシングへ導く
ように構成されている。

さらに、羽根３の内径側の端部近傍（傾斜部６）で、
かつ、羽根の外側面部は、羽根３の内径側の端部に形成
されている略円弧形と略同一形状に形成されている。

そして、渦室２は、第２図に点線で示される通り、羽
根車収容室４に羽根車１を収容するように構成されてい
る。また、羽根車１は、図示されていない電動機の電源
周波数によって回転数が変化するため、羽根車１の外径
は、使用する電源周波数によって変化する。

この羽根車１の外径か変わることにより、渦室２の羽
根車収容部４が、図中のＡで示される小形と、Ｂで示さ
れる大径との２種類になり、大径の位置において羽根３
に非傾斜部（円弧形形成部）６が形成されている。

この様な構成において、電源周波数が60Hzのときに
は、電動機の回転数が高いため羽根車１の外径は小さく
てよく、渦室２の羽根車収容部４の内径は、Ａで示され
る小径サイズでよい。

そして、50Hzで使用すると電動機の回転数が低下し、
給水量が低下してくるので、羽根車１の外径を大きくし
て水量が多くなるようにしている。

この場合、渦室２の羽根車収容部４を切削して直径Ｂ
にし、径の大きい羽根車に対応している。

この様に渦室２の内径を大きくした場合、非傾斜部
（円弧形形成部）は直径Ａの羽根端部と略同一形状の開
口部が形成される。

このため、羽根３の肉厚の変動の影響をほとんど受け
ることがなくなり、各開口部の面積がほぼ同一になる。

従って、各通路５を通過する液量がほぼ一定になり、
ポンプの効率が悪くなる恐れがない。

［発明の効果］ 以上の通り、本発明の渦巻きポンプは、渦室の径Ａと
旋削後の径Ｂとの開口部を略同一形状にすることによ
り、旋削により径Ｂにしても羽根の肉厚が変化すること
がなくなり、さらに、羽根の開口部が流入し易い形状に
形成されているので、渦巻きポンプの効率が低下するこ
となく、かつ、安価に製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例による渦巻きポンプの渦室
を示す要部の縦断面図であり、第２図は、その横断面図
であり、第３図は、羽根車の側面図である。 １……羽根車、２……渦室、３……羽根、４……羽根車
収容部、６……非傾斜部（円弧形形成部）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】渦室内に遠心型羽根車を回転自在に配した
   渦巻きポンプにおいて、 前記渦室に複数の羽根を放射状で、かつ、渦巻状に配
   し、 前記羽根の内径側の端部を略円弧形に形成し、 前記羽根の内径側の端部近傍で、かつ、羽根の外側面部
   を前記略円弧形と略同一形状に形成することにより、 内径側の羽根間の開口部の形状と、前記端部近傍の羽根
   間の形状とを略同一の形状にしたことを特徴とする渦巻
   きポンプ。