JP2774903B2 - 椅子における脚装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、椅子における脚装置の
改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】椅子の脚装置は、一般に、平面視で放射
状に延びる複数本の脚杆を備えた脚体の中心部に、上向
きに開口した筒状支持部を設ける一方、座体の下面から
ガススプリング等の脚柱を下向きに突設し、この脚柱を
前記筒状支持部にて支持した構成になっており、脚柱と
してガススプリングを使用した場合、一般に、ガススプ
リングを、そのピストンロッドが下向きになるように配
置し、ピストンロッドの下端を前記筒状支持部に係止す
る一方、シリンダの上端を座体の下面に固着して、シリ
ンダを上下動させるように構成している。

【０００３】その場合、筒状支持部に、ガススプリング
のシリンダに被嵌する合成樹脂製のブッシュ体を嵌着
し、このブッシュ体でシリンダの上下動をガイドしてい
る。そして、本願出願人は、実開昭６３−９１０４８号
公報において、ブッシュ体を二つ割りに形成して、この
ブッシュ体を筒状支持部内に上方から嵌着することを開
示した。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記先願を
始めとして従来の椅子においては、ガススプリングのピ
ストンロッドは、脚体における筒状支持部の底板で支持
している。このため、脚体に作用した荷重は筒状支持部
における底板の狭い部位に集中的に作用することにな
り、このため、脚体の支持強度が低いという問題があっ
た。本発明は、構造を複雑化することなく、脚体の支持
強度を向上できるようにすることを目的とするものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記先願のよ
うにブッシュ体を二つ割りとすることを利用して、前記
問題を解消するに至った。すなわち本願発明は、床面に
接地する脚体に、座体を支持する脚柱が上方から嵌まる
筒状支持部を設け、該筒状支持部に、前記脚柱に被嵌す
る合成樹脂製のブッシュ体を嵌着して成る椅子におい
て、「前記脚柱の下端にリングを設ける一方、前記ブッ
シュ体を、前記脚体における筒状支持部の下端部まで延
びる長さに設定し、このブッシュ体を、縦割り状に分割
された複数個の部材を重ねた状態に形成し、このブッシ
ュ体の下端部に、前記脚柱のリングを支持する底部を形
成する」という構成にした。

【０００６】

【発明の効果】このように構成すると、脚体は、その下
端に設けたリングを介してブッシュ体によって支持され
る。そして、ブッシュ体は脚体の筒状支持部によって広
い面積で支持されるため、脚体による支持強度を格段に
向上できる。この場合、脚柱を倒れ不能に保持するため
のブッシュ体で脚柱を支持するものであるから、他の支
持部材を必要とせず、従って構造が複雑化することを回
避できる。従って本願発明によると、構造を複雑化する
ことなく、脚体の支持強度を向上することができる。ま
た、ブッシュ体には脚体によって常に下向きの荷重が作
用するため、ブッシュ体は脚体の筒状支持部に対して常
に嵌め込み勝手となっており、このため、ブッシュ体が
抜けにくくなる利点もある。

【０００７】更に請求項２のように構成すると、脚体の
リングがブッシュ体の環状溝に嵌まっているため、脚体
の抜け防止機能も向上できる利点がある。この場合、ブ
ッシュ体が単一体から成っている場合は、内面に環状溝
を備えた状態に成形するのは事実上不可能であり、しか
も、リングを環状溝に嵌め込むこともできないが、本発
明ではブッシュ体は縦割り状に形成された複数個の部材
から成っているため、内面に環状溝を備えた状態に簡単
に成形することができ、しかも、脚体のリングをブッシ
ュ体の環状溝に嵌め入れるも支障なく行える。

【０００８】

【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を図面に基
づいて説明する。図１は要部の分離断面図、図１は椅子
１の斜視図、図３は図２の III-III視断面図、図４は底
面図、図５は図３の V-V視断面図、図６は図５のVI−VI
視断面図である。図２に示すように、椅子は１、座体２
と背もたれ３と脚装置４とを備えている。脚装置４は、
上向きに開口した筒状支持部５ａから複数本の脚杆５ｂ
を放射状に延出して成る合成樹脂製の脚体５と、脚柱の
一例としてのガススプリング６とを備えている。脚体５
における各脚杆５ｂの先端には床面に接地するキャスタ
ー７を設けている。

【０００９】図１や図５等に示すように、前記ガススプ
リング６は、シリンダ６ａとこれに嵌挿したピストンロ
ッド６ｂとを備えており、シリンダ６ａの上端を座体２
の下面に固着している。シリンダ６ａの上端面から突出
した操作ロッド８をレバー（図示せず）等で押し込む
と、シリンダ６ａとピストンロッド６ｂとの相互間のロ
ックが解除される。

【００１０】脚体５の筒状支持部５ａには、ガススプリ
ング６のシリンダ６ａを倒れ不能の状態で上下動自在に
ガイドするブッシュ体９が嵌まっている。ブッシュ体９
は二つ割状に形成されており、ブッシュ体９の外周面と
筒状支持部５ａの内周面とを下端に向けて直径が縮小す
る緩いテーパ状に形成して、筒状支持部５ａに上方から
圧入している。脚体５の筒状支持部５ａには底板５ｃを
設けている

【００１１】ブッシュ体９の上部には、ガススプリング
６におけるシリンダ６ａに摺接するガイド部９ａが形成
されている一方、ブッシュ体９の下部の合わせ面（内
面）には、ピストンロッド６ｂの下端部が嵌まる穴９ｂ
を空けている。ガススプリング６におけるピストンロッ
ド６ｂの下端部にはリング１０を設けており、このリン
グ１０を、ブッシュ体９の下端の穴９ｂに形成した環状
溝９ｃに嵌め入れている。従って、ブッシュ体９のうち
環状溝９ｃの下方の箇所が、ガススプリング９を支持す
る底部となり、ガススプリング６に作用した荷重は、リ
ング１０を介してブッシュ体９で支持される。また、リ
ング１０と環状溝９ｃとは、ガススプリング６の抜け止
めの役割も担っている。

【００１２】図５に二点鎖線で示すように、ガススプリ
ング９の外向き露出部は伸縮自在なカバー体１１で覆わ
れている。なお、図５に一点鎖線で示すように、ピスト
ンロッド６ｂの下端を筒状支持部５ａの底板５ｃから下
方に貫通し、これを抜け止め用ワッシャー１２や割ピン
等で係止しても良い。このようにすると、ガススプリン
グ６の抜け止めがより確実になる利点がある。このよう
にワッシャー１２やピン等でピストンロッド６ｂを底板
５ｃに係止した場合には、ブッシュ体９に環状溝９ｃを
形成しなくても、ガススプリング６抜け止めが確実にな
る。

【００１３】以上の構成において、図１に示すように、
二つ割状に分割形成されたブッシュ体９を、ガススプリ
ング９を抱くようにして重ね合わせ、その状態でブッシ
ュ体９を脚体５の筒状支持部５ａに上方から圧入嵌着す
ることにより、脚体５にガススプリング６が取り付けら
れる。そして、ガススプリング６に作用した下向きの荷
重は、リング１０を介してブッシュ体９で支持される
が、ブッシュ体９は脚体５の筒状支持部５ａの内面に広
い面積で接触しているため、荷重を広い面積に分散する
ことができ、従って、簡単な構造でありながら、筒状支
持部５ａの支持強度を向上できる。

【００１４】本発明において脚体は合成樹脂製には限ら
ず金属製であっても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例の要部分解図である。

【図２】椅子の斜視図である。

【図３】図２のIII − III視断面図である。

【図４】脚体の底面図である。

【図５】図３のＶ−Ｖ視断面図である。

【図６】図５のVI−VI視断面図である。

【符号の説明】

１ 椅子 ２ 座体 ４ 脚装置 ５ 脚体 ５ａ 筒状支持部 ６ 脚柱の一例としてのガススプリング ９ ブッシュ体 10 リング

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】床面に接地する脚体５に、座体２を支持す
   る脚柱６が上方から嵌まる筒状支持部5aを設け、該筒状
   支持部５ａ内に、前記脚柱６に被嵌する合成樹脂製のブ
   ッシュ体９を嵌着して成る椅子において、前記脚柱６の下端にリング１０を設ける一方、 前記ブッシュ体９を、前記脚体５における筒状支持部５
   ａの下端部まで延びる長さに設定し、このブッシュ体９
   を、縦割り状に分割された複数個の部材を重ねた状態に
   形成し、このブッシュ体９の下端部に、前記脚柱６のリ
   ング１０を支持する底部を形成し たことを特徴とする椅
   子における脚装置。
2. 【請求項２】 「請求項１」において、前記ブッシュ体９
   の下端部の合わせ面に、前記脚柱６ｂの下端部が嵌まる
   穴９ｂを形成し、この穴９ｂの内面に、前記脚柱６のリ
   ング１０が嵌まる環状溝９ｃを形成し、この環状溝９ｃ
   の下方を前記底部と成したことを特徴とする椅子におけ
   る脚装置。