JP2772481B2 - 超音波測定方法及び超音波測定装置 - Google Patents

超音波測定方法及び超音波測定装置

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JP2772481B2
JP2772481B2 JP1132167A JP13216789A JP2772481B2 JP 2772481 B2 JP2772481 B2 JP 2772481B2 JP 1132167 A JP1132167 A JP 1132167A JP 13216789 A JP13216789 A JP 13216789A JP 2772481 B2 JP2772481 B2 JP 2772481B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は電磁超音波による薄い金属板の厚さあるいは
薄い金属板中の弾性波の速度の測定方法並びに装置に関
するものである。
[従来技術] この種の装置としては第1図に示すものがあった。第
1図はパルス圧電超音波法の構成図である。第1図にお
いて1はトリガ信号発生装置を,2はパルス電圧発生装置
を,3は信号増幅器を,4はオシロスコープを表わしてい
る。5は圧電式超音波変換子(圧電性の材料で作られた
超音波発受信兼用の変換子)を,6は被検体である金属板
を,7は圧電式超音波変換子5と金属板6を音響的にカプ
リングするための音響カプリング液(水,油,グリセリ
ン等が通常使用される)を表わしている。トリガ信号発
生装置1はパルス電圧発生装置2とオシロスコープ4の
X軸に繰り返しトリガ信号を与える。パルス電圧発生装
置2はトリガ信号を与えられると同時にパルス電圧を発
生しこれを圧電式超音波変換子5に与える。これにより
パルス超音波8が発生し下方へ伝播していく。下方へ伝
播していくパルス超音波8は金属板6の底面で反射し上
方へもどっていくパルス超音波9となる。これはさらに
金属板6の上面で反射し再び下方へ伝播していく。この
ようにパルス超音波は減衰して消滅するまで金属板中を
幾度も往復する。上方へもどっていくパルス超音波9は
圧電式超音波変換子5へ到達しこれによって検出され
る。検出された信号は信号増幅器3によって増幅されさ
らにオシロスコープ4のY軸に与えられる。このように
して得られたオシロスコープ4の画面を第2図に示す。
横軸(X軸)は時間軸を示している。10は発生したパル
ス超音波を,11は金属板中を1回往復してもどってきた
第1エコーを,12,13,14はそれぞれ2回,3回,4回往復し
てもどってきた第2エコー,第3エコー,第4エコーを
示している。これらのエコーの時間間隔すなわち超音波
が金属板中を往復伝播する時間をtとし,金属板中を伝
播する超音波の音速vがあらかじめ知られている場合は
金属板の厚さDは次式でもとめられる。
D=vt/2 (1) また金属板の厚さDがあらかじめ知られている場合は
金属板中を伝播する超音波の音速vが次式でもとめられ
る。
v=2D/t (2) [発明が解決しようとする課題] しかしながらこのパルス圧電超音波法では発信したパ
ルス超音波のパルス持続時間Δtをエコーの時間間隔t
より短くしなければエコー列11,12,13,14を時間的に分
離できずtの測定が不能となる。パルス超音波のパルス
持続時間Δtは技術的に無限に短くすることはできな
い。そのためこの方法は薄い金属板には応用できない。
またこの方法では音響カプリング液が必要でありこれに
よって金属板が汚されることは避けられない。
磁界と渦電流の相互作用により金属中にパルス超音波
を発生させ,またその逆の過程によりパルス超音波を検
出するパルス電磁超音波法は音響カプリング液を使用す
る必要がないため金属板を汚すことはなく好都合である
が,この場合でも発信したパルス超音波の持続時間Δt
をエコーの時間間隔tより短くしなければエコー列を時
間的に分離できずtの測定が不能となる。Δtを小さく
するためにはできる限り高周波のパルスを使用する必要
があるが,このために提案された方法(電磁超音波計測
装置[特開昭61−145456])ですらせいぜい3.2MHzの高
周波パルスが出来るにすぎない。この場合Δtは約0.3
μsとなるにすぎず,薄い金属板に応用できないことは
パルス圧電超音波法と同様である。
パルス圧電超音波法では不可能な薄い金属板の厚さ測
定をするための共振圧電超音波法が既に知られている
(例えば“非破壊検査便覧",日本非破壊検査協会,昭和
42年発行,486頁)。この共振圧電超音波法の原理を第3
図に示す。広帯域型の圧電式超音波変換子15に周波数が
Fの連続的高周波電圧を印加すると薄い金属板16に連続
超音波が発生してその中を往復伝播する。周波数Fが次
式をほぼ満足するとき薄い金属板16の厚さdが連続超音
波の波長の半分の整数倍となり,いわゆる厚み共振がお
こって強い超音波の定在波が発生することが知られてい
る。
d=n(λ/2)=n(v/2F) (3) ∴F=n(v/2d) (4) ここで λ:超音波の波長 v:超音波の音速度 F:超音波の周波数 d:薄い金属板の厚さ n:超音波共振の次数であり正の整数である 第3図において17は上式のnが2の場合に発生した超
音波の定在波の分布を示している。
このように共振がおこった場合の周波数Fを測定する
ことにより,金属板中を伝播する超音波の音速vがあら
かじめ知られている場合は(3)式により薄い金属板16
の厚さdを得ることができる。また薄い金属板16の厚さ
dがあらかじめ知られている場合は金属板中を伝播する
超音波の音速vが次式でもとめられる。
v=2Fd/n (5) しかしながら共振圧電超音波法においては共振がおこ
る周波数は(4)式で表わされるFには厳密には一致し
ないことが知られている。すなわち共振圧電超音波法に
おいては広帯域型の圧電式超音波変換子15と音響カプリ
ング液7と薄い金属板16の全体を含めた系において共振
がおこり,その時の共振周波数は薄い金属板16のみにお
いて共振がおこる場合の周波数とは少しずれることが知
られているのである。従って共振圧電超音波法によって
は精度の高い金属板の厚さ測定あるいは金属板中の超音
波の音速測定をすることはできない。
第4図には電磁音波変換子18を使用した共振電磁超音
波法の原理を示す。これは共振圧電超音波法における広
帯域型の圧電式超音波変換子15のかわりに音響カプリン
グ液を使用する必要のない電磁超音波変換子18を使用し
ているがその他は共振圧電超音波法と同様である。これ
は音響カプリング液を使用せず電磁気的なカプリングで
超音波の発受信を行なうため,電磁超音波変換子18と薄
い金属板16との音響的なカプリングはなく超音波の共振
は薄い金属板16中のみでおこり(4)式が厳密に成立す
る。従って共振電磁超音波法により薄い金属板の厚さや
薄い金属板中の超音波の音速を厳密に測定することがで
きる。また共振電磁超音波法では音響カプリング液を使
用する必要がないため金属板を汚すことはなくさらに好
都合である。
このような共振電磁超音波法の原理上の利点は当該技
術分野の専門家であれば思いつくことであろう。しかし
ながらこのように原理的に利点のある共振電磁超音波法
がこれまで産業上有効に利用されなかったのは共振電磁
超音波法に特有の技術上の問題点を解決するのが困難で
あったためである。電磁超音波法では電気エネルギーと
音響エネルギーとの間の変換効率が非常に悪いので超音
波を検出するために極めて高感度な電子回路を使用しな
ければならない。パルス電磁超音波法においては電磁超
音波変換子に強いパルス電流を加えて超音波を発生さ
せ,このパルス電流の持続時間終了後に金属板の底面か
らもどってきた超音波を検出するため,このパルス電流
が超音波検出用の高感度な電子回路に悪影響を及ぼすこ
とは無かった。しかしながら共振電磁超音波法において
は電磁超音波変換子に連続的高周波電流を加える必要が
あるが,これが高感度な電子回路に非常に大きな影響を
及ぼし、たとえ金属板中に電磁超音波の共振がおこって
もこれを検出することができない。
本発明は上記のような従来のものの欠点を除去するた
めになされたものであり,薄い金属板の厚さあるいは薄
い金属板中の音速を,音響カプリング液を使用すること
なく非接触且つ非破壊的に,厳密に測定するための共振
電磁超音波測定方法ならびに共振電磁超音波測定装置を
提供することを目的としている。
[問題点を解決するための手段と実施例] 以下この発明を第5,6,7,8図を用いて説明する。第5
図において19は棒型の永久磁石,20は棒型の永久磁石19
により生じた磁束であり,21aは偏平なコイル,16は薄い
金属板である。21bはこの偏平なコイルの形を示してい
る。
22は棒型の永久磁石19と偏平なコイル21aとで構成さ
れる永久磁石型電磁超音波変換子である。磁束20は薄い
金属板16の表面に垂直である。23はマイクロコンピュー
ターである。24はマイクロコンピューター23の指令どお
りの周波数fの高周波電圧を発生することのできる可変
周波数ローカル発信器である。25は一定の安定した周波
数f0の高周波電圧を発生することのできる安定周波数発
信器である。26は発信用ミキサー回路である。可変周波
数ローカル発信器24からの周波数fの高周波電圧と安定
周波数発信器25からの周波数f0の高周波電圧とは発信用
ミキサー回路26によって混合され,その結果,周波数が
F=f−f0の高周波電圧と周波数がF′=f+f0の高周
波電圧とを生ずる。27は低域通過フィルターであり,周
波数がF=f−f0の高周波電圧を通過させ,周波数が
F′=f+f0の高周波電圧は通過させない。マイクロコ
ンピューター23の指令により可変周波数ローカル発信器
24の発信周波数fをf1からf2まで掃引させると低域通過
フィルター27の出力高周波電圧の周波数はF1=f1−f0
らF2=f2−f0まで掃引されることになる。28は発信用ゲ
ート電子回路でありマイクロコンピューター23の指令に
よりT秒毎にΔT1秒間だけ高周波電圧を通過させる。
第6(a)図にこの発信用ゲート電子回路28の開閉の
タイミングを示す。29は高周波電力増幅器である。発信
用ゲート電子回路28を通過した高周波電圧は高周波電力
増幅器29により電力増幅される。高周波電力増幅器29に
接続されているコイル21aには周波数がFである断続的
高周波電圧が与えられる。この断続的高周波電圧の波形
を第6(b)図に示す。第6(c)図には第6(a)図
の発信用ゲート電子回路28の開閉のタイミングを拡大し
たものを示す。また第6(b)図には第6(b)図の断
続的高周波電圧の波形を拡大したものを示す。この結果
コイル21aには周波数がFである断続的高周波電流が流
れる。結局,第5図においてマイクロコンピューター2
3,可変周波数ローカル発信器24,安定周波数発信器25,発
信用ミキサー回路26,低域通過フィルター27,発信用ゲー
ト電子回路28,高周波電力増幅器29は一体となり周波数
可変の断続的高周波電流発生装置30となっている。
コイル21aに周波数がFである断続的高周波電流が流
れると薄い金属板16内の表面に近い部分に,薄い金属板
16の表面に平行且つ紙面に垂直な方向に周波数がFであ
る高周波渦電流31が誘起する。高周波渦電流31は磁束30
と相互作用し薄い金属板16内の表面に近い部分に,表面
に平行且つ紙面に平行な,周波数がFである高周波電磁
力32を生ずる。この高周波電磁力32より周波数がFであ
る横波超音波が発生し,薄い金属板16の底面に向かって
伝播していく。もし発信用ゲート電子回路28が開いてい
る時間,すなわち高周波電磁力32が発生している時間Δ
T1が,超音波が薄い金属板16内を往復伝播する時間tよ
り永い場合は,底面より反射してもどってきた横波超音
波と新たに発生する横波超音波が重なりあう。周波数F
をF1=f1−f0からF2=f2−f0まで掃引していく途中で,
薄い金属板16の厚さdが横波超音波の波長λの半分の
整数倍に等しくなる場合には共振条件が成立し特に強い
横波超音波の定在波が生じる。このような共振条件は数
式を使って次ぎのように書き表される。
d=n(λs/2) =(vs/2F) (5) したがって F=n(vs/2d) (6) ∴vs=2Fd/n (7) ここで vs:横波超音波の音速 d:薄い金属板の厚さ n:超音波共振の次数であり正の整数である。
第5図において33はn=2の場合の共振条件下で発生
した横波超音波の定在波の強度の分布を示している。こ
の横波超音波の定在波33は発信用ゲート電子回路28が開
いた後に短時間で一定の強度に成長し,発信用ゲート電
子回路28が開いている時間すなわち高周波電磁力32が発
生している時間ΔT1内は一定の強度を保っているが,発
信用ゲート電子回路28が閉じた直後から減衰して小さく
なっていき,やがて消滅する。次にこの横波超音波の定
在波の検出方法について説明する。横波超音波の定在波
33にもとづく金属の振動34は磁束20と相互作用し薄い金
属板16内の表面に近い部分に,薄い金属板16の方面に平
行且つ紙面に垂直な方向に周波数がFである新たな高周
波渦電流35を発生させる。この新たな高周波渦電流35は
電磁誘導の原理によりコイル21aに周波数がFである高
周波電圧を誘起する。このようにしてコイル21aに誘起
した高周波電圧の波形を第6(e)図に示す。この高周
波電圧は横波超音波の定在波の強度に比例するため第6
(e)図は横波超音波の定在波の強度の波形を表わして
いると考えてよい。すなわち第6(e)図は横波超音波
の定在波の発生と成長,一定化,減衰と消滅,等の全て
の過程を表わしていると考えてよい。コイル21aにはこ
のように,高周波電力増幅器29より与えられた高数波電
圧(第6(d)図)と横波超音波の定在波により誘起し
た高周波電圧(第6(e)図)とが同時に発生している
わけである。第6(f)図にこれらの両高周波電圧の波
形を同時に示している。実際には横波超音波の定在波に
より誘起した高周波電圧は高周波電力増幅器29より与え
られた高周波電圧に比べて極めて小さいが、第6(f)
図において便宜上大きくえがかれている。
このように横波超音波の定在波により誘起した高周波
電圧は高周波電力増幅器29より与えられた高周波電圧に
比べて極めて小さいため,前者を信号処理するためにコ
イル21aを高感度な電子回路に直接接続すると後者のせ
いで高感度な電子回路が飽和してしまいしばらくの間正
常に働かなくなってしまう。その結果横波定在波により
誘起した高周波電圧のみを分離して検出することが非常
に困難となるが,この分離検出を可能にする方法を次に
説明する。第5図においてコイル21aに発生している高
周波電圧を広帯域増幅器36により低倍率増幅し,さらに
受信用ゲート電子回路37を通す。受信用ゲート電子回路
37は発信用ゲート電子回路28が閉じた直後から任意の時
間ΔT2だけ,ただし最長でも次に発信用ゲート電子回路
28が開く直前までの時間だけ、換言すれば断続的高周波
電流発生装置30のいわば休止時間以内だけ開くようにマ
イクロコンピューター23の指令により制御されている。
第6(g)図にこの受信用ゲート電子回路37の開閉のタ
イミングを示す。このように制御された受信用ゲート電
子回路37を通過してきた高周波電圧の波形を第6(h)
図に示す。すなわちコイル21aに発生している高周波電
圧のうち超音波の定在波の減衰過程に誘起された高周波
電圧のみが受信用ゲート電子回路37を通過していること
がわかる。このように広帯域増幅器36,受信用ゲート電
子回路37,マイクロコンピューター23は一体となって超
音波の定在波の減衰過程に誘起された高周波電圧のみを
通過させるゲート電子回路装置38を構成しているわけで
ある。ただしこの高周波電圧がある程度大きければ広帯
域増幅器36は必ずしも必要ではない。
このように減衰過程の超音波の定在波のみに注目して
超音波の共振の有無を感度よく検出するためにさらに次
のような方法をとる。受信用ゲート電子回路37の出力に
は上記の重要な超音波の定在波の減衰過程に誘起された
高周波電圧(その周波数はF)の他に不用な高周波ノイ
ズ(これには多くの周波数が含まれているがfnで表わ
す)が同時に含まれている。このノイズを除去すること
が重要である。受信用ゲート電子回路37からのこれらの
出力(その周波数はFとfn)と可変周波数ローカル発信
器24からの出力(その周波数はf)は受信用ミキサー回
路39により混合される。受信用ミキサー回路39の出力の
周波数はf−F=f−(f−f0)=f0,f+F=f+(f
−f0)=2f−f0,f+fn,f−fnである。これらはさらに周
波数f0とその周辺のみを通過させる狭帯域フィルター40
に入力される。狭帯域フィルター40の出力は周波数がf
−F=f0である高周波電圧すなわち横波調音波の定在波
にもとづく高周波電圧のみとなる。これはさらに増幅器
41で増幅される。結局,マイクロコンピューター23,可
変周波数ローカル発信器24,受信用ミキサー回路39,狭帯
域フィルター40,増幅器41は一体となり,周波数可変の
断続的高周波電流発生装置30の周波数Fと常に同じ周波
数の高周波電圧、すなわち超音波の定在波が発生してい
る場合はその周波数Fと同じ周波数の高周波電圧のみを
増幅する周波数可変の増幅装置42となっているわけであ
る。このようにすることによりノイズの影響を受けるこ
とが極めて少なく超音波の定在波の減衰過程にもとづく
高周波電圧のみを増幅するため極めて好都合である。
増幅された高数波電圧は整流回路43により整流化され
た後に平滑化回路44により平滑化され直流電圧となり,
さらにAD変換器45によりディジタル化されマイクロコン
ピューター23に与えられる。マイクロコンピューター23
はこの結果をCRT46に表示する。薄い金属板として厚さ
0.54mmのアルミシュウム板を使用し周波数Fを1MHzから
13.5MHzまで掃引して得られたCRT表示の結果を第7図に
示す。第7図において4つのピークが見られるが,これ
らは次数nが1,2,3,4である超音波共振のピークであ
る。全てのデータはディジタル化されているため,マイ
クロコンピューター23は単にCRTにこれらの結果を表示
するのみではなくこれらのディジタルデータを処理する
ことによりピークを判定し超音波共振が起こっている周
波数を検出することができる。
その結果,各ピークの周波数はそれぞれ2.85MHz,5.70
MHz,8.55MHz,11.40MHzであることがわかった。
結局,マイクロコンピューター23,整流回路43,平滑化
回路44,AD変換器45,CRT46は一体となって超音波共振周
波数検出装置47を構成しているわけである。これらの結
果と(7)式を利用してマイクロコンピューター23によ
りこのアルミニュウム板の横波超音波の音速を計算した
結果,3078m/sが得られた。あらかじめ音速がわかってい
る場合には(5)式により厚さを計算できることは言う
までもない。
上記実施例ではマイクロコンピューター23がディジタ
ルデータを処理することによりピークを判定し超音波共
振が起こっている周波数を検出したがそのかわりに第8
図に示すような方法をとることもできる。第8図におい
て平滑化回路44の出力と標準直流電圧発生器48の出力と
はコンパレーター回路49に入力され比較される。ここで
標準直流電圧発生器48の出力電圧を超音波共振のピーク
値の半分に設定しておく。コンパレーター回路49は平滑
化回路44の出力が標準直流電圧発生器48の出力より大き
い場合だけ一定の電圧(例えば5V)を出力し,そうでな
い場合は出力しないようにしておく。このような条件下
において周波数Fを1MHzから13.5MHzまで掃引していく
と,平滑化回路44の出力が超音波共振のピーク値の半分
に達し,さらに増加してピーク値となり,次に減少して
またピーク値の半分になるまでの短時間ΔTw秒だけ,コ
ンパレーター回路49が一定の電圧(例えば5V)を出力す
る。このコンパレーター回路49の出力はディジタルタイ
マー回路50につながれておりこれによりΔTwが測定され
る。コンパレーター回路49の出力は計数用ゲート電子回
路51の制御にも使用されそれをΔTw秒だけ開く。一方低
域通過フィルター27の高周波電圧出力は計数用ゲート電
子回路51につながれておりその結果ΔTw秒間だけこれを
通過しディジタル計数回路52におくられそれによりΔTw
秒間の振動の回数Nが計数される。ディジタルタイマー
回路50とディジタル計数回路52とはディジタル割算回路
53につながれておりこれによりFw=N/ΔTwが計算され
る。Fwは超音波共振ピークの周辺の周波数の平均値であ
るためほぼピークの周波数に等しい。結局,整流回路4
3,平滑化回路44,標準直流電圧発生器48,コンパレーター
回路49,ディジタルタイマー回路50,計数用ゲート電子回
路51,ディジタル計数回路52,ディジタル割算回路53は一
体となって簡易な超音波共振周波数検出装置54を構成し
ているわけである。
上記実施例では磁束発生装置として永久磁石を用いた
がそのかわりに電磁石を使用することもできる。また上
記実施例では薄い金属板の表面に垂直な方向の磁束を発
生する磁束発生装置を用いて横波超音波を共振発生させ
たが,薄い金属板の表面に平行な方向の磁束を発生する
磁束発生装置を用いることにより縦波超音波を共振発生
させる事もできる。また薄い金属板の表面に斜め方向の
磁束を発生する磁束発生装置を用いればこの磁束は表面
に垂直な方向ならびに平行な方向の成分を有するため横
波超音波ならびに縦波超音波を同時に共振発生させる事
もできる。上記実施例では角型の偏平なコイルを用いた
が円形等の他の形のコイルを用いてもよい。また上記実
施例では超音波発生と検出を兼ねたただ1つのコイルを
用いたが,超音波発生用コイルと超音波検出用コイルを
別にすることもできる。また上記実施例では高周波電力
増幅器29にコイル21aを直接的に接続したがその間にク
ロスダイオード(2つのダイオードをそれらの方向性が
互いに逆になるように並列に接続したもの)を挿入して
高周波電力増幅器29からのノイズを削減するようにして
もよい。また上記実施例では周波数Fを1MHzから13.5MH
zまで掃引しているのみであるが,もっと広い範囲であ
ってもよいし,またもっと狭い範囲であってもその範囲
のなかに超音波共振のピークが少なくとも1つ含まれて
いさえすればなんらさしつかえないことは言うまでもな
い。また上記実施例ではマイクロコンピューター23によ
り周波数を制御された可変周波数ローカル発信器24を用
いたがそのかわりに電圧−周波数変換方式やその他の方
式の可変周波数ローカル発信器を用いてもよい。また上
記実施例では発信用ゲート電子回路28並びに受信用ゲー
ト電子回路37をマイクロコンピューター23により制御し
たがそのかわりにあらかじめタイミングを調整した矩形
波発生回路により制御してもよい。また上記実施例では
厚さ0.54mmの薄い金属板を使用したが、それ以上の厚い
金属板にも応用できる。また金属板に限らず,少なくと
もその表面が導電性を有する材料であればこの方法を応
用できる。また板状の材料のみでなくパイプのように湾
曲した表面を有する材料であってもその肉厚がほぼ一定
であればこの方法を応用できる。また独立した板状のも
ののみでなく,ある別の基盤材料の上につけられたコー
ティング層の厚さ測定にも応用できる。この場合には基
盤材料が導電性を有しておればそこに発生した超音波が
コーティング層にも伝わるためコーティング層はかなら
ずしも導電性を有する必要はない。また上記実施例では
薄い金属板の厚さあるいは超音波の音速を測定したが,
圧延された金属板のように異方性を有する材料の場合に
は横波超音波の音速,あるいは縦波超音波の音速,ある
いはそれらの両方を測定し,これらと関係のある圧延さ
れた金属板の材質を推定することも出来る。また板状の
貴金属の横波超音波の音速あるいは縦波超音波の音速あ
るいはそれらの両方を測定し,これらと関係のある貴金
属の純度を推定することも出来る。
[効果] 以上のように,この発明によれば薄い金属板あるいは
薄い導電性の板等の厚さ,超音波の音速,それと関連の
ある材質,純度等を,音響カプリング液を使用すること
なく非接触且つ非破壊的に,厳密に測定することができ
るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の超音波測定法であるパルス圧電超音波法
の構成図である。第2図は従来の超音波測定法であるパ
ルス圧電超音波法によって得られたオシロスコープの画
面であり,超音波エコーが示されている。第3図は従来
の超音波測定方法である共振圧電超音波法の原理を説明
する図である。第4図は共振電磁超音波法の原理を説明
する図である。第5図は本発明の一実施例の構成ならび
に原理を説明する図である。第6図は本発明を構成する
各電子回路での高周波電圧の波形図である。第7図は本
発明によって得られた超音波共振のピークを示す図であ
る。第8図は本発明の他の実施例である。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁束発生装置とコイルとから成る電磁超音
    波変換子のコイルに高周波電流持続時間が被検体である
    導電性材料の厚さを超音波が1往復するに要する時間よ
    り長い断続的高周波電流をその周波数を掃引しつつ流し
    て前記導電性材料中に共振超音波を発生させ、前記共振
    超音波により前記コイルに誘起する高周波電圧を前記断
    続的高周波電流の周波数と常に同じ周波数の高周波電圧
    のみを増幅する増幅器により前記断続的高周波電流の休
    止時間内だけ増幅することにより共振超音波の周波数を
    検出し、前記共振超音波の周波数より前記導電性材料の
    厚さあるいは前記導電性材料中の超音波の音速あるいは
    前記導電性材料の材質を得ることを特徴とする超音波測
    定方法。
  2. 【請求項2】磁束発生装置と第1のコイルと第2のコイ
    ルとから成る電磁超音波変換子の第1のコイルに高周波
    電流持続時間が被検体である導電性材料の厚さを超音波
    が1往復するに要する時間より長い断続的高周波電流を
    その周波数を掃引しつつ流して前記導電性材料中に共振
    超音波を発生させ、前記共振超音波により前記第2のコ
    イルに誘起する高周波電圧を前記断続的高周波電流の周
    波数と常に同じ周波数の高周波電圧のみを増幅する増幅
    器により前記断続的高周波電流の休止時間内だけ増幅す
    ることにより共振超音波の周波数を検出し、前記共振超
    音波の周波数より前記導電性材料の厚さあるいは前記導
    電性材料中の超音波の音速あるいは前記導電性材料の材
    質を得ることを特徴とする超音波測定方法。
  3. 【請求項3】磁束発生装置とコイルとから成る電磁超音
    波変換子と、周波数可変の断続的高周波電流発生装置
    と、ゲート電子回路装置と、周波数可変の増幅装置と、
    共振周波数検出装置とから構成されることを特徴とする
    超音波測定装置。
  4. 【請求項4】磁束発生装置と第1のコイルと第2のコイ
    ルとから成る電磁超音波変換子と、周波数可変の断続的
    高周波電流発生装置と、ゲート電子回路装置と、周波数
    可変の増幅装置と、共振周波数検出装置とから構成され
    ることを特徴とする超音波測定装置。
  5. 【請求項5】磁束発生装置とコイルとから成る電磁超音
    波変換子と、コンピューターにより制御される周波数可
    変の断続的高周波電流発生装置と、コンピューターによ
    り制御されるゲート電子回路装置と、コンピューターに
    より制御される周波数可変の増幅装置と、コンピュータ
    ーにより制御される共振周波数検出装置とから構成され
    ることを特徴とする超音波測定装置。
  6. 【請求項6】磁束発生装置と第1のコイルと第2のコイ
    ルとから成る電磁超音波変換子と、コンピューターによ
    り制御される周波数可変の断続的高周波電流発生装置
    と、コンピューターにより制御されるゲート電子回路装
    置と、コンピューターにより制御される周波数可変の増
    幅装置と、コンピューターにより制御される共振周波数
    検出装置とから構成されることを特徴とする超音波測定
    装置。
  7. 【請求項7】周波数可変の断続的高周波電流発生装置が
    マイクロコンピューターと可変周波数ローカル発信器と
    安定周波数発信器と発信用ミキサー回路とフィルターと
    発信用ゲート電子回路と高周波電力増幅器とから成り、
    ゲート電子回路装置が広帯域増幅器と受信用ゲート電子
    回路とマイクロコンピューターとから成り、周波数可変
    の増幅装置がマイクロコンピューターと可変周波数ロー
    カル発信器と受信用ミキサー回路と狭帯域フィルターと
    増幅器とから成り、共振周波数検出装置がマイクロコン
    ピューターと整流回路と平滑化回路とAD変換器とから成
    る請求項3に記載の超音波測定装置。
  8. 【請求項8】周波数可変の断続的高周波電流発生装置が
    マイクロコンピューターと可変周波数ローカル発信器と
    安定周波数発信器と発信用ミキサー回路とフィルターと
    発信用ゲート電子回路と高周波電力増幅器とから成り、
    ゲート電子回路装置が広帯域増幅器と受信用ゲート電子
    回路とマイクロコンピューターとから成り、周波数可変
    の増幅装置がマイクロコンピューターと可変周波数ロー
    カル発信器と受信用ミキサー回路と狭帯域フィルターと
    増幅器とから成り、共振周波数検出装置がマイクロコン
    ピューターと整流回路と平滑化回路とAD変換器とから成
    る請求項4に記載の超音波測定装置。
  9. 【請求項9】共振周波数検出装置が整流回路と平滑化回
    路と標準直流電圧発生器とコンパレーター回路とディジ
    タルタイマー回路と計数用ゲート電子回路とディジタル
    計数回路とディジタル割算回路とから成る請求項3に記
    載の超音波測定装置。
  10. 【請求項10】共振周波数検出装置が整流回路と平滑化
    回路と標準直流電圧発生器とコンパレーター回路とディ
    ジタルタイマー回路と計数用ゲート電子回路とディジタ
    ル計数回路とディジタル割算回路とから成る請求項4に
    記載の超音波測定装置。
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