JP2771236B2 - Pidコントローラの調整方法 - Google Patents

Pidコントローラの調整方法

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JP2771236B2 JP1078249A JP7824989A JP2771236B2 JP 2771236 B2 JP2771236 B2 JP 2771236B2 JP 1078249 A JP1078249 A JP 1078249A JP 7824989 A JP7824989 A JP 7824989A JP 2771236 B2 JP2771236 B2 JP 2771236B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、PID(比例,積分,微分)コントローラの
調整方法に係り、特に制御対象が一次遅れ+無駄時間系
で近似できるプロセスの場合に好適なPIDコントローラ
の調整方法に関する。
〔従来の技術〕
PIDコントローラによりプロセスを制御する場合、プ
ロセスの特性に基づいてPIDコントローラの制御パラメ
ータを調整する必要がある。その一つの方法として、
「制御対象の部分的知識に基づく制御系の設計法」(計
測自動制御学会論文集,第5巻,第4号、549/555,昭54
-8)に記載されている部分的モデル・マツチング法があ
る。以下にその概要を説明する。
第2図は、PIDコントローラによりプロセスを制御す
る場合の制御システムの系統図である。部分的モデル・
マツチング法は、目標値r(s)s:ラプラス演算子に対
する制御量y(s)の閉ループ伝達関数W(s)が望ま
しい応答を示す参照モデルの伝達関数Wr(s)に部分的に
一致するようにPIDントローラ2の制御パラメータを決
定する方法である。プロセス1の伝達関数Gp(s)が、次
式で示す一次遅れ+無駄時間系で近似できる場合につい
て検討する。
ここで、K:ゲイン、T:時定数、L:無駄時間 また、PIDコントローラの伝達関数はGc(s)は、 ここで、Kp:比例ゲイン、Ti:積分時間、Td:微分時
間 第2図において、目標値r(s)に対する制御量y
(s)の閉ループ伝達関数W(s)は、 (1),(2)式を(3)式に代入すると、 無駄時間伝達関数e-Lsは、マクローリン展開すると、 一方、参照モデルの伝達関数Wr(s)は、次式で与えら
れる。
ここで、α:係数,σ:時間スケール・フアクタ (5)式を(4)式に代入して得られる目標値r
(s)に対する制御量y(s)の閉ループ伝達関数W
(s)と(6)式に示す参照モデルの伝達関数W(s)
が部分的に一致するためには、次式が成立たなければな
らない。
(7)式から次の(8)ないし(11)式が得られ、こ
れらの式によりPIDコントローラの制御パラメータKp,
Ti,Td及び時間スケール・フアクタσを決定することが
できる。
ところで、(11)式は三次方程式であり、この三次方
程式を解いて最小の正実根を時間スケール・フアクタσ
として決定するには複雑な計算が必要となる。マイクロ
・コンピユータによりこの計算をするには、時間が掛か
るという問題があつた。このため、簡易計算式が必要と
なり、北森モデル(α=0.5,α=0.15,α=0.03,
…)について種々の一次遅れ+無駄時間系を対象に(1
1)式の最小正実根を計算し、それらの計算結果を整理
したところ、次式で近似できることが分つた。
σ≒1.37L …(12) 〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来技術では、無駄時間Lと時定数Tの比L/Tが
小さい領域、及び、大きい領域で(12)式の近似精度が
悪くなるという問題があつた。
本発明の目的は、(11)式に示す三次方程式の近似解
を無駄時間Lと時定数Tの比L/Tの広範囲な領域で精度
良く求め、この近似解を用いてPIDコントローラの制御
パラメータを調整する方法を提供することにある。
また、上記従来技術では、制御応答の立上がり時間を
調整することができなかつた。
本発明の他の目的は、(8),(9),(10)式によ
り制御パラメータを決定するPIDコントローラの制御応
答の立上がり時間を調整できるPIDコントローラの制御
パラメータ調整方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、(11)式で定義したf
(σ)の概略形状を把握し、この概略形状に基づいて
(11)式の近似解を求め、この近似解を用いてPIDコン
トローラの制御パラメータを決定するようにした。
更に、(8),(9),(10)式により制御パラメー
タを決定するPIDコントローラの制御応答の立上がり時
間を調整できるPIDコントローラの制御パラメータ調整
方法を提供するために、時間スケール・フアクタσをL
の関数で表わし、この関数の係数を増減することにより
制御応答の立上がり時間を遅くしたり早くしたり調整す
るようにした。
〔作用〕
(11)式の最小正実根の真値は、無駄時間Lと時定数
Tの比L/T及び無駄時間Lの関数となる。このため、(1
1)式の最小正実根の近似解もL/Tと無駄時間Lの関数と
して求める。これによつて、(11)式の近似解の精度が
向上する。
また、時間スケール・フアクタσが変化すると制御応
答の立上がり時間が変化する。一次遅れ+無駄時間系で
近似できるプロセスに対して、時間スケール・フアクタ
σをこのプロセスの特性を表わす重要なパラメータであ
る無駄時間Lの関数として表わし、この関数の増減によ
り時間スケール・フアクタσを増減させると制御パラメ
ータKp,Ti,Tdに無駄時間Lの特性が反映されるので、安
定な制御応答を保ちつつ、応答の立上がり時間を遅くし
たり早くしたり調整することができる。
〔実施例〕
第1図に本発明の一実施例を示す。本実施例は、プロ
セス1の伝達関数Gp(s)を同定するプロセス同定システ
ム3,同定したプロセス1の伝達関数Gp(s)に基づいてPID
コントローラ2の制御パラメータを決定する制御パラメ
ータ決定システム4から構成される。
プロセス同定システム3は、プロセス1の伝達関数Gp
(s)を同定し(1)式に示すように、一次遅れ+無駄時
間系で近似表現する。制御パラメータ決定システム4
は、一次遅れ+無駄時間系で近似表現されたプロセス1
の伝達関数Gp(s)のパラメータ、すなわち、ゲインK,時
定数T,無駄時間Lに基づいて、時間スケール・フアクタ
σを求め、このσを用いて(8),(9),(10)式に
よりPIDコントローラの制御パラメータ、すなわち、比
例ゲインKp,積分時間Ti,微分時間Tdを決定する。PID
コントローラ2は、決定された制御パラメータKp,Ti,Td
を用いてプロセス1を制御する。
時間スケール・フアクタσは、(11)式の最小正実根
として求められ、計算時間を短縮するために、近似式に
よりこの最小正実根を求める。この根の近似式を求める
には、(11)式で定義したf(σ)の概略形状を把握す
ることが重要である。ところで、一次遅れ+無駄時間系
の制御特性は、無駄時間Lと時定数Tの比L/Tに大きく
依存する。このため、L/Tを次式で定義する。
n=L/T …(13) (13)式及び係数α(北森モデルの場合、α=0.
5,α=0.15,α=0.03,…)の値を(11)式に代入し
て整理すると、 (14)式の三次の係数は負であり、次式に示す関係が
得られる。
また、f′(σ),f″(σ)は、(14)式より、 (14),(16),(17)式から、f(σ)の極値及び
極値を与えるσの値、また、f(σ)の変曲点の値、及
び、変曲点を与えるσの値を求めて、第3図に示す。更
に、f(0)及びf′(0)は、(14),(16)式よ
り、 (15),(18),(19)式、及び、第3図よりf
(σ)の概略形状は、第4図に示すようになることが分
かる。この図から、f(σ)=0の根は、三根共正実根
となることが分かる。また、最小正実根は、0と極小値
を与えるσの値との間にあることが分かる。
したがつて、0と極小値を与えるσの値との間のf
(σ)上のいくつかの点を選び、これらの各点でf
(σ)をテイラー展開近似し、この近似式が0となるσ
の最小正実根をf(σ)=0の最小正実根の近似式とし
て求めることにする。f(σ)のσの近傍のテイラー
展開近似式は、次式で与えられる。
(20)式で、先ず、σの一次の項で打切ると次式が得
られる。
f(σ)=f(σ)+f′(σ)(σ−σ) …
(21) (14),(16)式でσ=σとおき、これらの式を
(21)式に代入すると、 第3図を参考にして、σ=0,L,1.2L,1.4Lの各点に
おける近似式(22)式を求め、(22)式が零となるσの
値を計算すると、第5図に示す近似式が導かれる。この
図から、f(σ)の最小正実根の近似式は、nの関数と
Lの積で表わされることが分かる。したがつて、f
(σ)=0の最小正実根の真値も、nの関数とLの積で
表わされるものと推察される。
第5図の近似式の精度を確めるために種々のL,Tに対
して実際にf(σ)=0の最小正実根を計算機で求め、
この真値がnの関数とLの積で表わされるもとして整理
した値と第5図の近似式で求めた近似値を第6図に示
す。この図から明らかなように、次式に示すσ=1.4L
におけるf(σ)=0の最小正実根の近似式が最も精度
がよく、実用上十分なn=0〜5の範囲で有効数字三桁
まで真値と一致している。
この式に対して、第6図から分かるように、(12)式
は、n=0〜5の範囲で±1%の誤差があり、(23)式
の方が精度がよい。ただ、(22)式でnを∞に近づけた
場合、最小正実根が第3図のf(σ)の極小値を示すσ
の値1.3962Lより大きくなつている。これは、f(σ)
上の点(1.4L,f(1.4L))の接線がnがある程度以上大
きくなると正の傾きとなり、(23)式は最小正実根と最
大正実根の中間の正実根の近似式となるからである。こ
のため、nが10以上になると、σ=1.3Lにおけるf
(σ)=0の最小正実根の近似式である次の(24)式の
方が精度が良くなる。
ただ、実用上、nが10以上になることはほとんどない
ので、(23)式で問題ないと思われる。
(14)式のf(σ)=0の最小正実根の一次近似式を
先に求めたが、次に、最小正実根の二次近似式を求め
る。f(σ)のσの近傍のテイラー展開近似式(20)
式において、σの二次の項で打切ると次式が得られる。
(14),(16),(17)式でσ=σとおき、これら
の式を(25)式に代入すると、 第6図に示したように、σ=1.3Lとσ=1.4Lの場
合が、最小正実根の一次近似式の精度が良かつた。従つ
て、これらの場合について、最小正実根の二次近似式を
求める。(26)式で、σ=1.3L及びσ=1.4Lとおく
と、それぞれ(17),(28)式が得られる。
(27),(28)式において、f(σ)=0とおくと、 (29),(30)式の根は、それぞれ、 (31)式において、n=1及びn=5とおくと、σ
=1.3Lでの最小正実根の二次近似式は、 また、(32)式において、n=1及びn=5とおく
と、σ=1.4Lでの最小正実根の二次近似式は、 (33),(34)式で示す最小正実根の二次近似式と第
6図に示す最小正実根の真値を比較すると四桁まだ一致
することが分かる。一次近似式により求めた最小正実根
が真値と三桁まで一致していたのに対して、一桁精度が
向上している。また、(31),(32)式から分かるよう
に、f(σ)=0の最小正実根の二次近似式も、一次近
似式と同様nの関数とLの積で表わされており、f
(σ)=0の最小正実根の真値が、nの関数とLの積で
表わされることがより確信をもつて推察される。
次に、三次方程式の根の公式を用いて、(14)式のf
(σ)=0の最小正実根の真値を求める。先ず、三次方
程式の根の公式を示す。三次方程式の一般形は、 aσ+bσ+cσ+d=0 …(35) (35)式に を代入すると、次式に示す三次方程式の標準形が得られ
る。
κ+pκ+q=0 …(36) (36)式に示す三次方程式の標準形の根の公式(カル
ダノの公式)は、次式で与えられる。
また、根の判別式Dは、 D=a4(α−β)(β−γ)2(γ−α)2 =−4p3−27q2 …(41) (35)式の係数が実数のとき、根の判別式Dと根の関
係は、 (a) D>0ならば、三つの実根。
(b) D=0ならば、重根(少なくとも二つの実根が
重なる)。
(c) D<0ならば、一つの実根、二つの共役複素
数。
次に、三次方程式の根の公式を用いて、(14)式のf
(σ)=0の最小正実根の真値を求める。
(14)式のf(σ)=0と(35)式の係数を比べる
と、 (14)式のf(σ)=0を標準形に変換するために、 に(42)式を代入すると、 (43)式を(14)式に代入して整理し、f(σ)=0
とおくと、 (36)式と(44)式の係数を比較すると、 (45)式を(41)式に代入すると根の判別式Dは、 (46)式から判別式D>0となることが分かる。従つ
て、(14)式のf(σ)=0の根は三根共に実根となり
f(σ)の概略形状から得られた結果と一致する。
(45)式を、(38),(39)式に代入すると、 (47),(48)式を(37)式に代入すると、(44)式
の根は、 (49),(50),(51)式より、(44)式の根は ここで、gα(n),gβ(n),gγ(n)はいずれも
nの関数 (52)式を(43)式に代入すると、三次方程式(14)
式のf(σ)=0の三つの根は、 すなわち、三次方程式(14)式のf(σ)=0の三つ
の根は、nの関数g′i(n)(i=α,β,γ)と無
駄時間Lの積で与えられる。これにより、先に推察した
ことが正しいことが明らかになつた。
(49),(50),(51)式において、n=1を代入す
ると三次方程式の標準形(44)式の三つの根は、 (54)式を(53)式に代入すると、三次方程式(14)
式のf(σ)=0の三つの根は、 (55)式より、三次方程式(14)式のf(σ)=0の
最小正実根は、(53)式の二番目の式から得られる次式
となる。
σ=1.377389L (n=1) …(56) また(49),(50),(51)式において、n=5を代
入すると三次方程式の標準形(44)式の三つの根は、 (57)式を(54)式に代入すると三次方程式(14)式
のf(σ)=0の三つの根は、 (58)式より、三次方程式(14)式のf(σ)=0の
最小正実根は、(53)式の二番目の式から得られ、次式
となる。
σ=1.3608093L (n=5) …(59) 二次近似式で求めた最小正実根(33),(34)式と真
の最小正実根(56),(59)式を比較すると、五桁まで
一致することが分かる。また、二次近似式で求めた最小
正実根は、σ=1.4Lの方がσ=1.3Lの場合より精度
が良い。このことは一次近似式の場合と同じである。
以上の説明から分かるように、時間スケール・フアク
タσの三次方程式f(σ)=0の最小正実根の一次近似
式及び二次近似式は、無駄時間Lと時定数Tの比n(=
L/T)の関数と無駄時間Lの積として表わされる。ま
た、時間スケール・フアクタσの三次方程式f(σ)=
0の最小正実根の真値も、無駄時間Lと時定数Tの比n
(=L/T)の関数と無駄時間Lの積として表わされる。
このことは、見方を変えれば、時間スケール・フアクタ
σの三次方程式f(σ)=0の最小正実根の一次近似
式,二次近似式及び真値は、無駄時間Lと時定数Tの比
n(=L/T)、及び、無駄時間Lの関数として表わされ
る。
以上で説明したことを整理すると、制御パラメータ決
定システム4は、プロセス同定システム3により得られ
た一次遅れ+無駄時間系で近似表現されたプロセス1の
伝達関数Gp(S)のパラメータ,ゲインK,時定数T,無駄時
間Lに基づいて、先に説明した近似式により時間スケー
ル・フアクタσを求め、このσを用いて(8),
(9),(10)式によりPIDコントローラ2の制御パラ
メータ,比例ゲインKp,積分時間Ti,微分時間Tdを決定
する。近似式は、先に求めた一次近似式((23)式、あ
るいは、(24)式)あるいは、二次近似式((31)式あ
るいは(32)式)を使用する。
次に、シミユレーシヨンにより、先に得られた結果を
評価する。プロセスの特性は、二次遅れ+無駄時間系で
表わされるものとする。この場合、二次遅れ+無駄時間
系を一次遅れ+無駄時間系で近似する必要がある。ここ
では、先ず、二次遅れを一次遅れ+無駄時間系で近似
し、これに残りの無駄時間系を追加することにより、全
体の一次遅れ+無駄時間系を近似構成する。
二次遅れ+無駄時間系は、次式で与えられる。
ここで、T1,T2:時定数,L′:無駄時間(60)式から
二次遅れ系を取り出すと、 (61)式は、次式のように変形できる。
一方、一次遅れ+無駄時間系をマイクローリン展開す
ると、 (62)式と(63)式の分母の係数を二次の項まで一致
させるには、 が成り立つ必要がある。
(64)式と(65)式を連立させて解くと、 したがつて、(60)式を(1)式で近似するには、 が成り立たなければならない。
二次遅れ+無駄時間系を対象にして、従来の近似式σ
=1.37L及び一次近似式(23)式、二次近似式(34)
式、真値(56),(59)式を使用した場合について、シ
ミユレーシヨンを実施した。その結果を第7図,第8図
に示す。第7図は、n(=L/T)=1のケース、第8図
は、n=5のケースである。第7図,第8図から分かる
ように、一次近似式(23)式と二次近似式(34)式は、
真値(56),(59)式を使用した場合と応答がほとんど
一致している。これに対して、従来の近似式σ=1.37L
を使用した場合は、近似精度が悪く、真値を使用した場
合と比べて応答に差が生じている。
先に説明した実施例では、制御パラメータ決定システ
ム4において、時間スケール,フアクタσを近似式(一
次近似式あるいは二次近似式)により求めるようにして
いたが、他の実施例として真値の式である(53)式の二
番目の式により時間スケール・フアクタσを求め、この
σを用いて(8),(9),(10)式によりPIDコント
ローラの制御パラメータ,比例ゲインKp,積分時間Ti
微分時間Tdを決定するようにしてもよい。
また、先に説明した実施例では、時間スケール・フア
クタσの近似式を求める場合、f(σ)のσの近傍の
テイラー展開近似式((22)式,(26)式)に特定のσ
(例えばσ=1.4L)を代入し、得られた近似式が零
となるのをf(σ)=0の近似値として時間スケール・
フアクタσを求めていた。しかし、より精度を上げるた
めに、他の実施例として、上で得られたσの近似値を改
めてσとしてf(σ)のσの近傍のテイラー展開近
似式((22)式,(26)式)に代入し、得られた近似式
が零となるσをf(σ)=0の近似値とし、これを何回
か繰返して時間スケール・フアクタσを求めてもよい。
また、先に説明した実施例では、制御パラメータ決定
システム4において、近似式を用いて時間スケール・フ
アクタσを求め、このσを用いて(8),(9),(1
0)式によりPIDコントローラ2の制御パラメータ,比例
ゲインKp,積分時間Ti,微分時間Tdを決定することを主
体に説明した。しかし、近似式を求める過程も重要であ
る。近似式を求める過程は、第9図に示すフロー線図で
表わすことができる。すなわち、(1)時間スケール・
フアクタσの三次式f(σ)の概略形状を求める、
(2)三次式f(σ)の概略形状から三次方程式f
(σ)=0の最小正実根の存在する領域を求める、
(3)三次式f(σ)のσの近似テイラー展開近似式
を求める、(4)(2)で得られた最小正実根の存在す
る領域にあるσを(3)のテイラー展開近似式に代入
し、得られた近似式が零となるσの値から時間スケール
・フアクタσを求める。なお、先に説明した実施例で
は、最小正実根の存在する領域は、極小値を与えるσの
値より小さい値となる領域である。
第7図から分かるように、n=1の場合は、従来の近
似式σ=1.37Lは、真値σ=1.377389Lより小さく、近似
式σ=1.37Lを使用した方が真値より応答の立上がりが
早くなつている。また、第8図から分かるように、n=
5の場合は、従来の近似式σ=1.37Lは、真値σ=1.360
8093Lより大きく、近似式σ=1.37Lを使用した方が真値
より応答の立上がりが遅くなつている。ところが、第7
図,第8図共、オーバシユート量は、近似式α=1.3Lの
場合も真値の場合もほとんど変化がないことが分かる。
これらの結果から、時間スケール・フアクタσをLの関
数としてこの関数の係数を増減させることにより、オー
バシユート量を変化させずに応答の立上がり時間を調整
できる可能性があることが分かる。
二次遅れ+無駄時間系を対象にして、時間スケール・
フアクタσをLの関数として増減させた場合についてシ
ミユレーシヨンを実施した。その結果を第10図,第11図
に示す。第10図は、n(=L/T)=1のケース、第11図
は、n=5のケースである。第10図,第11図から、n=
1の場合もn=5の場合も、真値を中心にして、時間ス
ケール・フアクタσを増減させることにより、オーバシ
ユート量を変化させずに、応答の立上がり時間を遅らせ
たり早めたり調整することができる。
一次遅れ+無駄時間系で近似できるプロセスに対し
て、時間スケール・フアクタσを無駄時間Lより小さく
することはできないので、次式に示す範囲で時間スケー
ル・フアクタσを調整すれば、オーバ・シユート量を変
化させずに、制御応答の立上がり時間を遅くしたり早く
したり調整することができる。
σ=kL (k1) …(68) または、立上がり時間の調整に次式も使用できる。
σ=1.37L−k1・L =(1.37−k1)L (0k10.37) (立上がりを早める場合) …(69) σ=1.37L−k2・L =(1.37−k2)L (0k2) (立上がりを遅くする場合) …(70) なお、(69),(70)式において、立上がり時間の基
準として従来の近似式σ=1.37Lを用いたが、立上がり
時間の基準として、三次方程式f(σ)=0の最小正実
根の一次近似式,二次近似式、あるいは、真値の式を用
いるようにしてもよい。
先に説明した実施例では、参照モデルの伝達関数W
r(s)として、北森モデル(α=0.5,α=0.15,α
=0.03,…)を用いる場合を中心に説明した。しかし、
参照モデルの伝達関数Wr(s)は、第12図に示すように、B
etteuoorth,ITAE minimum,Binonomial等種々のモデルが
あり、、これらの参照モデルを用いることもできる。こ
れは、(11)式の係数αに各参照モデルの係数値を代
入することにより実施することができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、部分的モデル・マツチング法を用い
たPIDコントローラの調整において、制御対象であるプ
ロセスが一次遅れ+無駄時間系で近似できる場合、時間
スケール・フアクタσの三次方程式f(σ)=0の最小
正実根の近似解を、 (1)無駄時間Lと時定数Tの比L/Tと無駄時間Lの関
係として求め、あるいは (2)無駄時間Lと時定数Tの比n(L/T)の関数と無
駄時間Lの積として求め、あるいは (3)f(σ)の概略形状を把握し、この概略形状から
最小正実根の解の範囲を特定して、f(σ)のテイラー
展開近似式が零となるσの値として求め、あるいは (4)(3)のσの値を繰り返し演算により求めるので 近似解の精度が向上し、この近似解を用いて制御パラ
メータを調整したPIDコントローラの制御応答と望まし
い制御応答との誤差が小さくなる。
また、前述のf(σ)=0の最小正実根の近似解を、 (5)σをL/TおよびLの関数として表わし、この関数
の係数の増減によりσを増減させ、あるいは (6)σを、Lの関数として表わし、この関数の係数の
増減によりσを増減させるので、 PIDコントローラの制御パラメータに無駄時間Lと時
定数Tの特性が反映され、オーバー・シユート量の変化
を抑えて安定な制御応答を保ちつつ、応答の立上がり時
間を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の説明図、第2図は、従来
の技術の説明図、第3図ないし第6図は、本発明の時間
スクール・フアクタσの近似式を求めるときの説明図、
第7図,第8図は、本発明の一実施例の効果を説明する
ためのシミユレーシヨン結果を示す図、第9図は、本発
明の一実施例における時間スケール・フアクタσの近似
式を求める過程のフロー線図、第10図,第11図は、本発
明の他の実施例の効果を説明するためのシミユレーシヨ
ン結果を示す図、第12図は、種々の参照モデルの伝達関
数の説明図である。 K……ゲイン、T……時定数、L……無駄時間。
フロントページの続き (72)発明者 下田 誠 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高橋 進 茨城県勝田市市毛882番地 株式会社日 立製作所那珂工場内 (72)発明者 宮垣 久典 茨城県日立市大みか町5丁目2番1号 株式会社日立製作所大みか工場内 (56)参考文献 特開 昭60−3707(JP,A) 特開 昭61−267101(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 11/00 - 13/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比例,積分,微分の各制御動作により、制
    御量を目標値に一致させるように制御対象を制御するPI
    Dコントローラにおいて、 前記制御対象の特性を一次遅れ+無駄時間系の伝達関数
    で近似表現し、近似表現する際に使用したプロセス・ゲ
    インK,時定数T,無駄時間Lを用いて、部分的モデル・マ
    ッチング法における時間スケール・ファクタσを係数が
    時定数Tと無駄時間Lの関数で表される三次方程式で表
    し、該三次方程式の3個の根のうち最小の正実根を無駄
    時間Lと時定数Tの比n(=L/T)及び無駄時間Lの関
    数で近似表現し、この近似表現した関数に、前記伝達関
    数を同定して求めたプロセス・ゲインK,時定数T,無駄時
    間Lの値を代入して前記時間スケール・ファクタσの値
    を求め、求めた時間スケール・ファクタσの値及び前記
    伝達関数を同定して求めたプロセス・ゲインK,時定数T,
    無駄時間Lの値を用いてPIDコントローラの比例ゲインK
    p,積分時間Ti,微分時間Tdを求めることを特徴とするPID
    コントローラの調整方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記三次方程式の3個の根のうち最小の正実根を近似す
    る関数を、無駄時間Lと時定数Tの比n(=L/T)の関
    数と無駄時間Lの積で近似して表すことを特徴とするPI
    Dコントローラの調整方法。
  3. 【請求項3】比例,積分,微分の各制御動作により、制
    御量を目標値に一致させるように制御対象を制御するPI
    Dコントローラにおいて、 前記制御対象の特性を一次遅れ+無駄時間系の伝達関数
    で近似表現し、近似表現する際に使用したプロセス・ゲ
    インK,時定数T,無駄時間Lを用いて、部分的モデル・マ
    ッチング法における時間スケール・ファクタσを係数が
    時定数Tと無駄時間Lの関数で表される三次方程式f
    (σ)=0で表し、該三次方程式f(σ)=0の3個の
    根のうち最小の正実根を無駄時間Lと時定数Tの比n
    (=L/T)及び無駄時間Lの関数で近似表現し、この近
    似表現の際に三次式f(σ)のσ=+∞における数式f
    (+∞)及び(σ)=−∞における数式f(−∞)の正
    負、三次式f(σ)のσ=0における数式f(0)及び
    σ=0におけるf(σ)の微分式f′(0)の正負、三
    次式f(σ)の極大及び極小を表す数式の正負、三次式
    f(σ)の極大及び極小を与えるσの数式の正負、三次
    式f(σ)の変曲点の数式の正負及び三次式f(σ)の
    変曲点を与えるσの数式の正負から、前記三次方程式f
    (σ)=0の概略形状を把握し、この概略形状から最小
    の正実根の解の範囲を表す概略近似式を特定し、この概
    略近似式により三次式f(σ)のテイラー展開近似式が
    零となるσの数式を求め、この求めた数式を最小の正実
    根の近似関数とし、この近似関数に、前記一次遅れ+無
    駄時間系の伝達関数を同定して求めたプロセス・ゲイン
    K,時定数T,無駄時間Lの値を代入して前記時間スケール
    ・ファクタσの値を求め、求めた時間スケール・ファク
    タσの値及び前記伝達関数を同定して求めたプロセス・
    ゲインK,時定数T,無駄時間Lの値を用いてPIDコントロ
    ーラの比例ゲインKp,積分時間Ti,微分時間Tdを求めるこ
    とを特徴とするPIDコントローラの調整方法。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記三次方程式f(σ)=0の3個の根のうち最小の正
    実根を無駄時間Lと時定数Tの比n(=L/T)及び無駄
    時間Lの関数で近似表現する場合に、前記三次方程式f
    (σ)=0の概略形状から最小の正実根の解の範囲を表
    す複数の概略近似式を特定し、この複数の概略近似式に
    より三次式f(σ)のテイラー展開近似式が零となるσ
    の数式を求め、この求めた複数のσの数式のうちから精
    度のよいσの数式を選択し、この選択したσの数式を最
    小の正実根の近似関数とすることを特徴とするPIDコン
    トローラの調整方法。
  5. 【請求項5】比例,積分,微分の各制御動作により、制
    御量を目標値に一致させるように制御対象を制御するPI
    Dコントローラにおいて、 前記制御対象の特性を一次遅れ+無駄時間系の伝達関数
    で近似表現し、近似表現する際に使用したプロセス・ゲ
    インK,時定数T,無駄時間Lを用いて、部分的モデル・マ
    ッチング法における時間スケール・ファクタσを係数が
    時定数Tと無駄時間Lの関数で表される三次方程式で表
    し、該三次方程式の3個の根のうち最小の正実根を無駄
    時間Lと時定数Tの比n(=L/T)及び無駄時間Lの関
    数で近似表現し、この近似表現した関数に、前記伝達関
    数を同定して求めたプロセス・ゲインK,時定数T,無駄時
    間Lの値を代入して前記時間スケール・ファクタσの値
    を求め、求めた時間スケール・ファクタσの値及び前記
    伝達関数を同定して求めたプロセス・ゲインK,時定数T,
    無駄時間Lの値を用いてPIDコントローラの比例ゲインK
    p,積分時間Ti,微分時間Tdを求める場合に、前記近似し
    た関数に係数を掛けて最小の正実根の修正近似式とし、
    該修正近似した関数に、前記伝達関数を同定して求めた
    プロセス・ゲインK,時定数T,無駄時間Lの値を代入する
    とともに前記係数を増減して、時間スケール・ファクタ
    σの値が無駄時間Lの値以上となる範囲で増減させるこ
    とにより、制御応答の立上り時間を遅くしたり早くした
    り調整することを特徴とするPIDコントローラの調整方
    法。
  6. 【請求項6】請求項5において、 前記三次方程式の3個の根のうち最小の正実根を無駄時
    間Lの関数で近似表現し、この近似した関数に係数を掛
    けて最小の正実根の修正近似式とすることを特徴とする
    PIDコントローラの調整方法。
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