JP2767405B2 - 水温による汽水域塩分層の動態観測方法 - Google Patents

水温による汽水域塩分層の動態観測方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水温によって汽水
域における塩分層の動態観測を行う方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】内湾や河口部には、海水と淡水が入り混
じった汽水域が見られ、その一部が閉じたものが汽水湖
(中海・宍道湖等)である。この汽水湖では、塩水と淡
水がその密度差からほぼ二層構造となっていて、塩分が
急変する部分には塩分躍層が見られる。そして、塩水層
の分布、その動きを知ることは、水産資源の確保、環境
保全を行ううえで極めて重要である。例えば、塩水の流
動により良好な湖底環境が生じ、一方、酸素が消費され
た貧酸素塩水塊が漁場に侵入すると、魚介類が斃死する
などの被害が発生するという問題がある。
【0003】上述した塩水層の分布やその動き、あるい
は塩水層と淡水層の層厚は、塩分躍層を捉えることによ
りほぼ知ることができる。しかし、従来は、塩分濃度を
塩分計で直接測定していたので、観測能率及び観測精度
はよくなかった。このような問題に対処し、本発明者ら
は、先に、塩分躍層の存在、分布を把握するため、デジ
タル収録機付きの水中音響探査装置を開発している。こ
の音波を用いた塩分躍層の検出は、魚群探知機や音響測
深機と同様に、媒質中の音響インピーダンスの異なる境
界での音波の一部反射を捉えるもので、その水中音響探
査装置を船上に設置し、探査域を航走しながら水中の音
響断面を得るようにしたものである。
【0004】この装置は、中海・宍道湖へ適用し、塩分
躍層の分布、塩分層の層厚等を把握することができた。
また、河川における性能評価のため、長良川で使用した
ところ、河口から16km上流まで遡上した塩水楔を捉
えることができた。そして、この既開発の装置では、受
信した反射波をデジタル化してコンピュータ処理可能と
し、この反射波のデジタル化により、定量的な反射波の
振幅データが得られることから、音源の音圧、受信部の
利得を一定として、常に同一の条件で探査を行うことに
より、塩分躍層の時間変動を精度よく観測できることを
確かめている。
【0005】しかしながら、このような水中音響探査装
置は、それを船上に設置して探査域を航走しながら、あ
るいは適宜測点で反射波の検出を行うため、荒天、荒波
等で送受波器が揺れる場合には観測が困難になり、ま
た、強風や台風など、気象条件が悪くて船を出すことが
できない場合には観測することができない、という問題
がある。そして、この気象条件が良くない場合の方が塩
分躍層に変動が生じる可能性が高く、気象条件との関連
において塩分躍層の時間変動等を精度よく観測できるよ
うにすることが望まれている。また、塩分躍層の時間
的、空間的な動態をダイナミックに捉えるためには、多
数の測点で連続した観測を行うことが必要になるが、上
記船上からの音響探査では多数の船を多数の測点に常時
配置する必要があり、水面付近に水中音響探査装置を設
置するにも、風波に耐えるやぐら等を湖底に設置する必
要があるため、経済性等の観点からも困難である。
【0006】一方、淡水層と塩水層の境界部は塩分躍層
と共に水温躍層が存在する。即ち、上部の淡水と下部の
塩水とは温度の相違する水塊として存在する。春から夏
にかけては、日射により淡水の水温が高く、海水温度は
低い。また、秋から冬にかけては、淡水の水温が海水の
水温より低くなる。そのため、この淡水と塩水の水温差
を利用して、広範囲の汽水域水底の水温測定を同時に行
い、塩水分布を捉えれば、塩水塊の移動を察知すること
ができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、測定が容易な上記汽水域水底の水温を利用し、強風
や台風などの気象条件とは無関係に連続的に塩水分布の
検出を行うことができるようにし、結果的に、気象条件
に拘わらず塩分層の動態をダイナミックに捉えることを
可能にした汽水域塩分層の動態観測方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の第1の汽水域塩分層の動態観測方法は、それ
ぞれ温度の異なる上部の淡水層と下部の塩分層からなる
汽水域の多数地点における水底に、それぞれ温度センサ
を設置し、各地点の水温情報を連続的に収集して、上記
多数地点間の温度変化により、汽水域における塩分層
移動方向及び移動速度を測定し、これにより、汽水域に
おける塩水塊の動態を検出、表示することを特徴とする
ものである。上記温度センサとしては、サーミスタ温度
センサの多数をケーブルに沿って配列設置したセンサケ
ーブルを用い、それを汽水域における水底に敷設して使
用することができる。
【0009】また、本発明の第2の汽水域塩分層の動態
観測方法は、それぞれ温度の異なる上部の淡水層と下部
の塩分層からなる汽水域の水底に、光ファイバ式温度分
布センサを構成する光ファイバケーブルを広範囲に敷設
し、この光ファイバケーブルにレーザパルスを入射し
て、ストークス側及び反ストークス側ラマン散乱光にお
ける後方散乱光の強度比及びその後方散乱光の戻り時間
から、散乱光の発生した位置及びその位置における水温
情報を連続的に収集して、多数地点間の温度変化によ
り、汽水域における塩分層の移動方向及び移動速度を測
定し、これにより、汽水域における塩水塊の動態を検
出、表示することを特徴とするものである。
【0010】上記汽水域塩分層の動態観測方法によれ
ば、汽水域の多数地点における水底の温度センサで各地
点の水温情報を連続的に収集することにより、汽水域に
おける塩分層の移動方向及び移動速度を測定し、汽水域
における塩水塊の動態を検出、表示することが可能にな
る。特に、上記温度センサは汽水域の水底に設置するの
で、強風や台風などの気象条件とも無関係に多数の測点
で水温の連続的な検出を行うことができ、それらの水温
情報から塩分層の時間的な動態をダイナミックに捉える
ことができる。
【0011】一方、光ファイバ式温度分布センサは、そ
れを構成する光ファイバケーブルにレーザパルスを入射
すると、ガラス分子の屈折率のゆらぎによるレーリ散乱
光や、分子の動きによるラマン散乱光が発生するが、こ
の中で、反ストークス側のラマン散乱光強度は、ストー
クス側のそれに比べて光ファイバケーブルの温度に大き
く依存するので、両者の後方散乱光(入射側に戻ってき
た光)の比から、散乱光の発生した位置の温度が求めら
れ、後方散乱光が戻ってくるまでの遅延時間からその位
置が求められる。従って、上記光ファイバケーブルを汽
水域の必要部分に敷設して、広範囲の水温分布の情報を
捉えることにより、極めて容易に上記塩分層の時間的な
動態をダイナミックに捉えることが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の水温による汽水域塩分層
の動態観測方法は、基本的には、上述したように、汽水
湖その他の汽水域における多数地点の水底(湖底、海
底、川底)に温度センサを設置し、各地点の水温情報を
連続的に収集して、上記多数地点間の温度変化により、
汽水域における塩分層の移動方向及び移動速度を測定
し、これにより、汽水域における塩水塊の動態を検出、
表示するものである。
【0013】即ち、汽水域における淡水層と塩水層の境
界部には、通常、塩分躍層と共に水温躍層が存在し、上
部の淡水と下部の塩水の水塊は温度が相違している。前
述したように、春から夏にかけては日射により淡水の水
温が高く、海水温度は低い。また、秋から冬にかけて
は、淡水の水温が海水の水温より低くなる。そのため、
上記光ファイバ式温度分布センサ等により、広範囲にわ
たる汽水域水底の水温を連続的に測定し、水温差により
淡水と塩水の存在を連続的に捉えれば、塩水塊の移動を
察知することができる。
【0014】上記温度センサとしては、サーミスタ温度
センサその他の各種温度センサを用いることができ、こ
の場合に、それらの温度センサの多数をケーブルに沿っ
て配列設置したセンサケーブルを汽水域における広範囲
の水底に敷設して用いるのが望ましい。このようなセン
サケーブルは、それを船上から海底や湖底に敷設するの
が容易である点で有利なものであり、短冊状や格子状に
上記センサケーブルを敷設することにより、広範囲の水
温情報を収集することができる。また、上記センサケー
ブルに代えて、後述する光ファイバ式温度分布センサを
用いることもできる。
【0015】図1及び図2は、上記サーミスタ温度セン
サを用いた温度計測システムの構成及びそのセンサケー
ブルの汽水域への敷設態様を示すもので、図1の温度計
測システムにおいては、長さを異にする多数のケーブル
2の先端にそれぞれサーミスタ温度センサ3を設けたセ
ンサケーブル1を備え、そのセンサケーブル1における
各ケーブル2を、各温度センサ3からの水温情報を選択
的に受け入れて出力するマルチプレクサ、アンプを含む
ブリッジ回路、及びAD変換器を備えた計測システム本
体を介して、データ収録器に接続している。
【0016】上記センサケーブル1は、図2に示すよう
に、各ケーブル2の先端に取り付けた温度センサ3を適
宜間隔(例えば、10m間隔)で汽水域に敷設するため
に、それぞれのケーブル2の長さをほぼ一定長ずつ異な
らしめたものである。また、上記計測システム本体に接
続されたデータ収録器は、パーソナルコンピュータによ
り構成し、システム全体の動作を性御するシステム制御
機能、記憶装置による分布温度の収録機能、及びCRT
モニタによる分布温度の表示機能等をもたせたものであ
る。
【0017】このような構成を有するセンサケーブル1
は、図2に例示するような態様で汽水域における水底に
短冊状等に敷設して使用するもので、前述したように、
長さを異にするケーブル2の先端にそれぞれ温度センサ
2を取付けているので、船上から逐次センサケーブル1
を繰り出しながらその船を航行させることにより、温度
センサ3を容易に一定間隔で広範囲の汽水域に敷設する
ことができる。そして、この温度計測システムにおいて
は、マルチプレクサにより逐次選択された各温度センサ
3の出力を、その温度センサの敷設位置における水温情
報として、AD変換器を介してデータ収録器に収集し、
それらの水温情報に基づいて汽水域の温度変化を捉え、
多数地点間の温度変化により汽水域における水温躍層の
移動方向及び移動速度を測定することにより、汽水域に
おける塩水塊の動態を検出することができる。
【0018】次に、図3ないし図5を参照して前記光フ
ァイバ式温度分布センサの構成について説明する。光フ
ァイバ式温度分布センサは、光ファイバケーブルを温度
センサとして利用し、1本の光ファイバケーブルで多点
の温度測定を同時に行えるものである。図3は、その光
ファイバ式温度分布センサの基本構成を示すもので、汽
水湖等の湖底に敷設する光ファイバケーブル5、その光
ファイバケーブル5の両端が接続され、レーザ投受光を
行うと共に光ファイバケーブルに沿う多点の水温情報を
収集する計測システム本体、並びに、その計測システム
本体に接続されて前記図1の場合と同様に機能するデー
タ収録器により構成される。
【0019】上記光ファイバケーブル5においては、そ
の一端を通して計測システム本体からレーザパルスを入
射すると、図4に示すように、該光ファイバケーブル5
の内部でガラス分子の屈折率のゆらぎによるレーリ散乱
光や、分子の動きによるラマン散乱光が発生する。これ
らの中で、反ストークス側のラマン散乱光強度は、スト
ークス側のそれに比べて光ファイバケーブル5自体の温
度に大きく依存するので、両者の後方散乱光(入射側に
戻ってきた光)の比から、散乱光の発生した位置の温度
が求められる。また、その位置は後方散乱光が戻ってく
るまでの遅延時間から求められる。なお、図3には、上
記光ファイバケーブル5の両端を計測システム本体に接
続したループ方式とし、高速で光路を切替えてファイバ
ケーブル両端から交互に測定できるようにした場合を示
しているが、一端のみを計測システム本体に接続して使
用することができる。
【0020】上記光ファイバケーブル5は、図5に示す
ように汽水域の湖底に格子状に、あるいは図6に示すよ
うに短冊状等の配置により広範囲に敷設し、必要な位置
における水温情報を連続的に収集して温度変化を捉え、
多数地点間の温度変化により汽水域における水温躍層の
移動方向及び移動速度を測定し、これにより、汽水域に
おける塩水塊の動態を検出するものである。この光ファ
イバケーブル5に接続された計測システム本体において
は、レーザの投受光を行うと共に光ファイバケーブルに
沿う多点の水温情報が収集され、更に、データ収録器
(パーソナルコンピュータ)において、システム全体の
動作を性御すると共に、計測した汽水域の分布温度が記
憶装置に収録され、CRTモニタにおいて計測した分布
温度が表示される。
【0021】そして、このように各種温度センサを汽水
域の水底に設置することにより、強風や台風などの気象
条件とも無関係に多数の測点で水温の連続的な検出を行
うことができ、それらの水温情報から上記塩水塊の時間
的な動態をダイナミックに捉えることができる。また、
その計測結果に基づき、必要に応じて、特定地点への塩
水塊の侵入やその予告をデータ収録器において警報させ
ることもできる。
【0022】
【実施例】次に、上記光ファイバ式温度分布センサを用
いて水温躍層の動態観測を行った実施例を示す。使用し
た光ファイバ式温度分布センサの光ファイバケーブル
は、全長2000m、外径3mmで、PVC被覆を施
し、温度計測に1mの距離分解能を有するものである。
【0023】観測は、中海大根島湖岸付近で行い、図6
に示すように、大根島入江港の沖合約200m先の湖底
に、上記光ファイバケーブル5を南北4本の測線を有す
る短冊状に敷設した。光ファイバケーブル5の湖底部分
の全長は約1200mであった。図において、光ファイ
バケーブルに付した括弧付きの数字は、後述する計測点
を示す。一方、本発明者らが先に開発した前述のデジタ
ル収録機付きの水中音響探査装置をこの計測に併用し、
その電歪式の送受波器(周波数200kHz)の3台
を、それぞれに接続した全長200mのケーブル長の範
囲内で、できるだけ沖合のT1,T2 及びT3 位置に設置
した。また、この送受波器の他に、オフラインの小型サ
ーミスタ水温計3本及び流向流速計1台も湖底に設置し
た。そして、上記光ファイバケーブル5に接続した計測
システム本体及びデータ収録器は、水中音響探査装置に
おける音響送受信器及びデータ収録器と共に、電源設備
のある観測小屋に設置した。
【0024】汽水域に塩分層が到来した時の気象条件、
湖底水温の変化及び送受波器で検出した音響プロファイ
ルは、以下のようである。図7の(A)には、4月8日
に送受波器で検出した音響プロファイル(T3 位置の送
受波器)を、同図(B)にはサーミスタ水温計による湖
底水温(光ファイバケーブルの計測点(4) 付近)を、同
図(C)には観測域より東方約7kmの米子空港におけ
る気温及び風速データを示し、これらの各グラフはその
時間軸を合わせてある。音響プロファイルを見ると、1
1時頃から水中雑音が多くなり、それが16時頃まで継
続している。その後、雑音の振幅は小さくなり、19時
頃で消失している。一方、風速データを見ると、風の強
さは15時でピーク(8.7m/s)となり、17時に
は4.6m/sに減じ、さらに8時には2m/s以下に
なっている。
【0025】また、16時頃から音響記録に現れる塩分
躍層は、18時でその高さがピークとなっているが、付
近の湖底水温は16時から急激に低下し、それが19時
頃まで続き、19時頃から上昇に転じている。これは、
温度の低い塩水塊が到来し、塩分躍層を形成する共に、
湖底水温が低下したことを表している。また、水温の上
昇は塩水に代わり淡水が戻ってきたことを示す。このよ
うな観測結果から、通常、塩分躍層が現れていない水深
の浅い湖岸付近では、主に強風(観測域付近では西風)
が吹いた後、湖水下層の塩分塊が湖岸に到来することが
わかった。
【0026】上記光ファイバ式温度分布センサにより計
測したその測線に沿う水温分布の一例(4月8日15時
7分)を図8に示す。図中の括弧付きの数字は、図6に
おける光ファイバケーブル5に付した計測点を示す。こ
の図8の例では、温度の低い塩水塊が観測水域に到来し
ており、その温度差が光ファイバケーブル5の計測点
(5),(6),(9) 及び(10)付近に表示されている。更に、前
述の図7における4月8日の塩水塊の到来を、湖底水温
分布の時間変化から見ると、図9のようになる。即ち、
観測域の南方から水温が低下していくことから、図6と
の関連において、塩水塊が湖岸に向かって北上している
ことがわかる。また、このデータから塩水塊の先端の位
置、移動速度が求められる。図6では、時間を付記した
太い曲線によって各時間における塩水塊の先端の位置を
示している。
【0027】湖岸近くの水深の浅いところ(中海におい
ては約3m以浅)では、通常、上部の淡水のみで覆われ
ており、塩水層は存在しないが、ある方向からの強風が
吹くと、沖合いの塩水塊が岸に向かって移動する。しか
るに、上述したように、淡水と塩水の水温差を利用し
て、広範囲の湖底水温測定を同時に行い、塩水分布を捉
えれば、塩水塊の移動を容易に察知することができる。
上述した実施例等に基づき、1〜2℃の温度差で塩水塊
の移動を捉え得ることを確かめている。
【0028】
【発明の効果】以上に詳述した本発明の汽水域塩分層の
動態観測方法によれば、測定が容易な上記汽水域水底の
水温を利用し、強風や台風などの気象条件とは無関係に
適宜測点で連続的に塩水分布の検出を行うことができ、
結果的に、気象条件に拘わらず塩分層の動態をダイナミ
ックに捉えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法において使用するサーミスタ温度
計測システムの構成を示すブロック構成図である。
【図2】図1のセンサケーブルの汽水域への敷設態様を
示す説明図である。
【図3】本発明の方法において用いる光ファイバ式温度
分布センサの基本構成を示すブロック構成図である。
【図4】図3の光ファイバ式温度分布センサの測定原理
についての説明図である。
【図5】図3の光ファイバ式温度分布センサの汽水域へ
の敷設態様を例示する説明図である。
【図6】同じく他の敷設態様を示す説明図である。
【図7】(A)は送受波器で検出した音響プロファイル
を、(B)はサーミスタ水温計による湖底水温を、
(C)は観測域に近い位置での気温及び風速データを、
それらの時間軸を合わせて示すグラフである。
【図8】光ファイバ式温度分布センサにより計測したそ
の測線に沿う水温分布の一例を示すグラフである。
【図9】図7における塩水塊到来時の湖底水温分布の時
間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
3 サーミスタ温度センサ 5 光ファイバケーブル

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ温度の異なる上部の淡水層と下
    部の塩分層からなる汽水域の多数地点における水底に、
    それぞれ温度センサを設置し、各地点の水温情報を連続
    的に収集して、上記多数地点間の温度変化により、汽水
    域における塩分層の移動方向及び移動速度を測定し、こ
    れにより、汽水域における塩水塊の動態を検出、表示す
    ることを特徴とする水温による汽水域塩分層の動態観測
    方法。
  2. 【請求項2】 それぞれ温度の異なる上部の淡水層と下
    部の塩分層からなる汽水域の水底に、光ファイバ式温度
    分布センサを構成する光ファイバケーブルを広範囲に敷
    設し、この光ファイバケーブルにレーザパルスを入射し
    て、ストークス側及び反ストークス側ラマン散乱光にお
    ける後方散乱光の強度比及びその後方散乱光の戻り時間
    から、散乱光の発生した位置及びその位置における水温
    情報を連続的に収集して、多数地点間の温度変化によ
    り、汽水域における塩分層の移動方向及び移動速度を測
    定し、これにより、汽水域における塩水塊の動態を検
    出、表示することを特徴とする水温による汽水域塩分層
    の動態観測方法。
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