JP2765651B2 - ステレオスピーカ装置 - Google Patents

ステレオスピーカ装置

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JP2765651B2 JP7254239A JP25423995A JP2765651B2 JP 2765651 B2 JP2765651 B2 JP 2765651B2 JP 7254239 A JP7254239 A JP 7254239A JP 25423995 A JP25423995 A JP 25423995A JP 2765651 B2 JP2765651 B2 JP 2765651B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2チャネルステ
レオ信号を再生するステレオスピーカ装置に関する。詳
しくは、左右両チャネルの音声信号再生用スピーカで構
成されるスピーカ部にそれぞれ両指向性と全指向性の組
み合わせで得られる指向性を持たせると共に、左右両チ
ャネルの音声信号音声再生用スピーカをそれぞれその主
軸が内方に向くようにスピーカボックスに取り付け、さ
らに左右両チャネルのサラウンド信号再生用スピーカ装
置をそれぞれその主軸が内方に向くようにスピーカボッ
クスに取り付けることによって、比較的小型なシステム
構成で良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大でき
ると共に、良好なサラウンド効果が得られる聴取範囲を
拡大するようにしたステレオスピーカ装置に係るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】図16は、従来のステレオスピーカ装置
が試聴室100内に配置された状態を示している。この
スピーカ装置は、左チャネル音声信号を再生する音声信
号再生用スピーカを有する左チャネル用スピーカ装置1
Lと、右チャネル音声信号を再生する音声信号再生用ス
ピーカを有する右チャネル用スピーカ装置1Rとから構
成されている。
【0003】このようなスピーカ装置によれば、基本的
には、スピーカ装置1L,1Rの中心線M上の聴取位
置、例えばa点において、スピーカ装置1L,1Rの間
に正しい音像定位が得られ、これにより2チャネルステ
レオ本来のサウンドステージが再現される。しかし、中
心線M上から外れた聴取位置、例えばb点では、音波の
距離減衰の違い等によってスピーカ装置1Rの方向に片
寄った音像定位となり、2チャネルステレオとしての本
来のサウンドステージが再現されなくなる。
【0004】すなわち、図16において、スピーカ装置
1L,1Rの音声信号再生用スピーカを同じ信号で駆動
すると、スピーカ装置1L,1Rの中心線M上の聴取位
置、例えばa点での音像は、矢印で示すように中央前方
に定位する。したがって、通常のステレオ信号を再生す
ると、スピーカ装置1L,1Rの間に連続したサウンド
ステージが再現される(一点鎖線Laで図示)。
【0005】ここで、2チャネルステレオ音響の音像定
位については、聴感上、次の性質が知られている。スピ
ーカ装置1L,1Rの中心線M上の聴取位置、例えばa
点における音像は、スピーカ装置1L,1Rからの音波
の音圧にレベル差があると、音圧レベルの高いスピーカ
装置の方向に移動する。また、スピーカ装置1L,1R
の音声信号再生用スピーカを駆動する信号の何れかに、
1〜30msの遅延時間を与えると、スピーカ装置1
L,1Rの中心線M上の聴取位置、例えばa点における
音像は、音波が時間的に早く到達するスピーカの方向に
移動する。この現象は、先行効果と呼ばれ、良く知られ
ている。
【0006】このような聴感上の性質をふまえて、スピ
ーカ装置1L,1Rの中心線M上から外れた聴取位置、
例えばb点での音像定位を考えてみる。このb点では、
受音点とスピーカ装置1L,1Rの距離が異なるため、
スピーカ装置1L,1Rの指向性が全指向性の場合、ス
ピーカ装置1L,1Rからの音波に到達時間差が生じる
と共に音圧レベル差が生じる。すなわち、到達時間はス
ピーカ装置1Rからの音波の方が早く、音圧レベルはス
ピーカ装置1Rからの音波の方が高くなる。
【0007】したがって、スピーカ装置1L,1Rの中
心線M上から外れた聴取位置、例えばb点での音像は、
上述の音圧レベル差と、時間差による先行効果とが加わ
って、図16に矢印で示すようにスピーカ装置1Rの方
向に著しく片寄って定位する。このため、通常のステレ
オ信号を再生した場合のサウンドステージは、スピーカ
装置1R側に片寄ったものとなる(二点鎖線Lbで図
示)。
【0008】上述したサウンドステージの片寄りの問題
の改善、つまり良好なステレオ感が得られる聴取位置の
拡大を意図した2チャネルステレオ音響の再生方法につ
いては、従来スピーカの指向性を利用する方法が提案さ
れている。図17は、スピーカ装置1L,1Rの音声信
号再生用スピーカ2L,2Rをそれぞれその主軸(基準
軸)が中央聴取位置から見て45°程度内方に向くよう
に密閉形キャビネット3L,3Rに取り付けたものであ
って、スピーカ2L,2Rの振動板が有限な面積を持っ
ていることに基づく中・高域周波数におけるスピーカ自
身の持つ指向性を利用した方法である。また、図18
は、スピーカ装置1L,1Rの中・高域周波数を受け持
つ音声信号再生用スピーカ4L,4Rとして両指向性
(8字形の指向性)スピーカを使用すると共に、スピー
カ4L,4Rをそれぞれその主軸が中央聴取位置から見
て45°程度内方に向くように前面が開放されたキャビ
ネット5L,5R内のバッフル板6L,6Rに取り付け
たものである。なお、実線aL,aRはそれぞれスピーカ
4L,4Rの指向性を示している。
【0009】図17および図18に示すステレオスピー
カ装置によれば、スピーカ装置1L,1Rの放射音波に
指向性を持たせることで、中心線Mより外れた聴取位
置、例えばb点(図16参照)では、スピーカ装置1R
からの音波の音圧レベルが下がり、スピーカ装置1Lか
らの音波の左チャネルの音圧レベルが若干上がり、左右
両チャネルの距離減衰の違いに基づく音圧レベル差が補
正される方向に働き、良好なステレオ感が得られる聴取
位置が拡大される。
【0010】図19は、従来のフロントサラウンドスピ
ーカ装置が試聴室100内に配置された状態を示してい
る。このスピーカ装置は左チャネル用スピーカ装置11
Lと右チャネル用スピーカ装置11Rとから構成されて
いる。例えば、スピーカ装置11Lは左音声信号を再生
する音声信号再生用スピーカと共にサラウンド信号を再
生するサラウンド信号再生用スピーカを有しており、ス
ピーカ装置11Rは右音声信号を再生する音声信号再生
用スピーカと共にサラウンド信号を再生するサラウンド
信号再生用スピーカを有している。
【0011】この場合、サラウンド信号再生用スピーカ
は、その主軸がスピーカボックスの正面方向またはその
正面方向に対して所定角度だけ外方に向くようにスピー
カボックスに取り付けられている。図20は、スピーカ
装置11L,11Rの音声信号再生用スピーカ12L,
12Rの主軸がスピーカボックス14L,14Rの正面
方向FL,FRに向いているのと同様に、サラウンド信号
再生用スピーカ13L,13Rの主軸SAL,SARも正
面方向FL,FRに向いている例を示している。また、図
21は、スピーカ装置11L,11Rの音声信号再生用
スピーカ12L,12Rの主軸がそれぞれスピーカボッ
クス14L,14Rの正面方向FL,FRに向いているの
に対し、サラウンド信号再生用スピーカ13L,13R
の主軸SAL,SARが正面方向FL,FRに対して所定角
度δだけ外方に向いている例を示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】図17に示すステレオ
スピーカ装置によれば、より低い周波数から指向性を付
けようとすると、スピーカ2L,2Rとして口径の大き
いものを用いる必要があり、システム構成が大型とな
る。また、図18に示すステレオスピーカ装置によれ
ば、再生帯域の低域限界を広げようとすると、スピーカ
4L,4Rを取り付けるバッフル板6L,6Rを大きく
する必要があり、図15に示す例と同様に、システム構
成が大型となる。
【0013】また、図19に示すフロントサラウンドス
ピーカ装置では、スピーカ装置11L,11Rの中心線
M上の聴取位置、例えばe点で聴取する場合には本来の
サラウンド効果が得られるが、中心線M上から外れた聴
取位置、例えばf点で聴取する場合にはサラウンド効果
が著しく低下する欠点がある。以下、このように中心線
M上から外れた聴取位置でサラウンド効果が著しく低下
する理由を、2チャネルフロントサラウンドステレオ再
生システムの原理を説明しながら述べる。
【0014】このフロントサラウンド再生システムは、
前方の2つのスピーカ装置(左右チャネル用のスピーカ
装置)を用いてサラウンド効果を得るシステムであり、
音像を前方向のみでなく、横方向あるいは後方向にも生
じさせ、広角度なサウンドステージを感覚的に創り出
し、例えば広い劇場で音楽を聴いているような聴感覚を
与えるシステムである。したがって、フロントサラウン
ドシステムは聴感覚を利用した疑似的な立体音響再生シ
ステムであって、聴空間に立体的な実音場を創り出そう
とするオーソドックスな多チャネル立体音響再生システ
ムとは区別されている。
【0015】まず、2チャネルステレオ信号は、モノ信
号であるM信号成分と、音像定位の方向を与えるS信号
成分とから構成されている。すなわち、左チャネルのL
信号(左音声信号)はM,S両成分の和、つまりL=M
+Sであり、右チャネルのR信号(右音声信号)はM,
S両成分の差、つまりR=M−Sである。したがって、
S信号成分は、L信号とR信号との差の信号に他なら
ず、音像定位の方向によって大きさと極性が異なる信号
である。
【0016】すなわち、図19のスピーカ装置11L,
11Rの中心線M上のe点において、音像が中央前方に
定位するときはS信号成分は零であってM信号成分のみ
であり、また音像が中央前方より左側に定位するときは
S信号成分の極性はM信号成分と同じ正極性となり、さ
らに音像が中央前方より右側に定位するときはS信号成
分の極性はM信号成分と異なる負極性となる。よって、
S=±S0と表すことができ、音像が中央前方より左側
に定位する場合には、L=M+(+S0)=M+S0、R
=M−(+S0)=M−S0、つまりL>Rであり、音像
が中央前方より右側に定位する場合には、L=M+(−
0)=M−S0、R=M−(−S0)=M+S0、つまり
L<Rである。
【0017】次に、フロントサラウンドステレオ再生シ
ステムでは、2チャネルステレオ本来のL,R信号に加
え、S信号成分を主体としたサラウンド信号を、L,R
信号のS信号成分の極性に合わせて、L,R信号に電気
的に重畳して再生するか、または専用のスピーカを用い
て再生する方法が採られている。サラウンド信号は、基
本的にはS信号成分が主体であるが、よりリアルなサラ
ウンド効果を出すために、S信号成分に時間遅延、残響
付加あるいは特定の周波数成分を強調する等の信号処理
が行われる。つまり、フロントサラウンドステレオ再生
システムは、基本的には、本来のL,R信号に含まれて
いるS信号成分に適切な信号処理を施し、より強調して
再生するシステムに他ならない。このような再生方法を
採ることで、図19のスピーカ装置11L,11Rの中
心線M上の聴取位置、例えばe点においては、意図した
サラウンド効果が得られる。
【0018】ここで、スピーカ装置11L,11Rの中
心線M上の聴取位置、例えばe点における再生音の物理
的な音響条件は、スピーカ装置11L,11Rより放射
されるM,Sおよびサラウンドの各信号音成分は、いず
れも大きさが等しく、かつ同時刻に到達する、という条
件になっている。この条件は、M,S両信号音成分によ
りスピーカ装置11L,11Rの間に連続したサウンド
ステージを感覚的に再現し、かつサラウンド信号音成分
により意図したサラウンド効果をもたらすための条件で
あり、極めて重要である。しかし、図19のスピーカ装
置11L,11Rの中心線M上から外れた聴取位置、例
えばf点では、スピーカ装置11L,11Rの再生音に
レベル差と時間差を生じ、上述した条件を満足しなくな
る。
【0019】さらに、サラウンド信号を専用のスピーカ
13L,13R(図20および図21参照)で再生する
場合、スピーカ13L,13Rの主軸SAL,SARは、
スピーカ装置11L,11Rの中心線M上の聴取位置、
例えばe点から見て、正面方向または外方を向いてい
る。このようなサラウンド信号再生用スピーカ13L,
13Rとしては、一般に口径が8cm程度の小型スピー
カが用いられている。口径が8cm程度の小型スピーカ
の場合、図22に示すように、約1kHzの周波数から
口径に依存する指向性が付き始め、周波数が高くなるほ
ど鋭い指向性を持つ。
【0020】よって、図19のスピーカ装置11L,1
1Rの中心線M上から外れた聴取位置、例えばf点での
サラウンド信号音は、スピーカ装置11L,11Rの方
向と距離が異なることによる指向性と音波の距離減衰の
違いのために、右チャネル側が大きく、左チャネル側が
小さくなる。特に、サラウンド信号再生用スピーカ13
L,13Rの主軸が外方を向いている場合には(図21
参照)、左右チャネルのサラウンド信号音の指向性によ
るレベル差は、さらに著しくなる。このため、上述した
ように図19のスピーカ装置11L,11Rの中心線M
上から外れた聴取位置、例えばf点でのサラウンド効果
は著しく低下する。
【0021】そこで、この発明では、比較的小型なシス
テム構成で良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大
できると共に、良好なサラウンド効果が得られる聴取範
囲を拡大できるステレオスピーカ装置を提供するもので
ある。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明は、左チャネル
音声信号を再生する第1のスピーカとサラウンド信号を
再生する第2のスピーカとを有する左チャネル用スピー
カ装置と、右チャネル音声信号を再生する第3のスピー
カとサラウンド信号を再生する第4のスピーカとを有す
る右チャネル用スピーカ装置とからなるステレオスピー
カ装置において、左チャネル用スピーカ装置の第1のス
ピーカおよび右チャネル用スピーカ装置の第3のスピー
カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
に対して反時計方向および時計方向に第1の角度だけ傾
斜するようにスピーカボックスに取り付けられ、左チャ
ネル用スピーカ装置の第2のスピーカおよび右チャネル
用スピーカ装置の第4のスピーカは、それぞれその主軸
がスピーカボックスの正面方向に対して反時計方向およ
び時計方向に第1の角度と同一または異なる第2の角度
だけ傾斜するようにスピーカボックスに取り付けられ、
左チャネル用スピーカ装置の第1のスピーカで構成され
る第1のスピーカ部および右チャネル用スピーカ装置の
第3のスピーカで構成される第2のスピーカ部は、それ
ぞれスピーカの前方主軸上で最大感度を持つ両指向性と
全指向性の組み合わせで得られる指向性を有するもので
ある。
【0023】また、この発明は、左チャネル音声信号を
再生する第1および第2のスピーカとサラウンド信号を
再生する第3のスピーカとを有する左チャネル用スピー
カ装置と、右チャネル音声信号を再生する第4および第
5のスピーカとサラウンド信号を再生する第6のスピー
カとを有する右チャネル用スピーカ装置とからなるステ
レオスピーカ装置において、左チャネル用スピーカ装置
の第1のスピーカおよび右チャネル用スピーカ装置の第
4のスピーカは、それぞれその主軸がスピーカボックス
の正面方向に一致するようにスピーカボックスに取り付
けられ、左チャネル用スピーカ装置の第2のスピーカお
よび右チャネル用スピーカ装置の第5のスピーカは、そ
れぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向に対して
反時計方向および時計方向に第1の角度だけ傾斜するよ
うにスピーカボックスに取り付けられ、左チャネル用ス
ピーカ装置の第3のスピーカおよび右チャネル用スピー
カ装置の第6のスピーカは、それぞれその主軸がスピー
カボックスの正面方向に対して反時計方向および時計方
向に第1の角度と同一または異なる第2の角度だけ傾斜
するようにスピーカボックスに取り付けられ、左チャネ
ル用スピーカ装置の第2のスピーカで構成される第1の
スピーカ部および右チャネル用スピーカ装置の第5のス
ピーカで構成される第2のスピーカ部は、それぞれスピ
ーカの前方主軸上で最大感度を持つ両指向性と全指向性
の組み合わせで得られる指向性を有するものである。
【0024】左チャネル用および右チャネル用のスピー
カ装置の音声信号を再生する第1および第2のスピーカ
部を構成するスピーカの主軸は、両スピーカ装置の中心
線上の聴取位置から見て内方を向いている。そのため、
第1および第2のスピーカ部が有する両指向性と全指向
性の組み合わせで得られる指向性によって、両スピーカ
装置の中心線上から外れた聴取位置においては左右両チ
ャネルの距離減衰の違いに基づく音圧レベル差が補正さ
れ、良好なステレオ感が得られる聴取範囲が拡大され
る。
【0025】また、左チャネル用および右チャネル用の
スピーカ装置のサラウンド信号を再生する第3および第
6のスピーカの主軸は、両スピーカ装置の中心線上の聴
取位置から見て内方を向いている。そのため、両スピー
カ装置の中心線上から外れた聴取位置では、サラウンド
信号を再生するスピーカの中・高周波数の指向性によっ
て、左右両チャネルのサラウンド信号音の距離減衰の違
いに基づくレベル差が補正されると共に、さらに上述し
た音声信号(LR信号)再生音についての聴取範囲の拡
大効果が加わって、良好なサラウンド効果が得られる聴
取範囲がより拡大される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の第1の実施の形
態を説明する。図1は第1の実施の形態としてのステレ
オスピーカ装置60を示している。このスピーカ装置6
0は、左チャネル用スピーカ装置61Lと右チャネル用
スピーカ装置61Rとから構成される。
【0027】スピーカ装置61Lは、ほぼ直方体状のス
ピーカボックス62Lの前面に音声信号再生用スピーカ
を構成するウーハー63Lおよびツイーター64Lが取
り付けられた2ウェイ方式のものである。ウーハー63
Lおよびツイーター64Lは、その主軸がスピーカボッ
クス62Lの正面方向を向くようにスピーカボックス6
2Lの前面側に取り付けられる。また、スピーカボック
ス62Lにはその前面と右側面とで構成される角の上部
が切り取られてスピーカ取付面65Lが形成され、この
取付面65Lに音声信号再生用スピーカ66Lおよびサ
ラウンド信号再生用スピーカ67Lが取り付けられる。
この場合、スピーカ66L,67Lは、図2に示すよう
に、その主軸MAL,SALがスピーカボックス62Lの
正面方向FLに対して反時計方向に所定角度γ、例えば
40゜〜50゜だけ傾斜するようにスピーカボックス6
2Lに取り付けられる。
【0028】また、スピーカボックス62Lのスピーカ
取付面65Lとは異なる端面(図では上面)に音響抵抗
材料68Lで覆われた円形の音波放射口(開口部)69
Lが設けられる。この音波放射口69Lはスピーカ66
Lの振動板の背面から出る空気振動を外部に音波として
放射するためのものであり、その中心を貫通する軸がス
ピーカ66Lの主軸の方向に延びるように形成される。
上述せずも、スピーカボックス62Lの内部において、
スピーカ66Lが取り付けられるボックス部はその他の
ボックス部と仕切られている。
【0029】この場合、スピーカボックス62Lのスピ
ーカ66Lが取り付けられるボックス部内の空気の呈す
る音響容量と音波放射口69Lの音響抵抗および音響質
量とで音響的な低域フィルタが構成される。そして、こ
の低域フィルタを通じて音波放射口69Lから放射され
る音波の通過帯域内での群遅延時間が利用され、スピー
カ装置61Lのスピーカ66Lで構成されるスピーカ部
にはスピーカ66Lの前面と音波放射口69Lの2つの
音源から放射される音波の合成音圧がスピーカ66Lの
前方主軸上で最大感度を持つ全指向性と両指向性の組み
合わせで得られる指向性が付与される。
【0030】スピーカ装置61Rは、ほぼ直方体状のス
ピーカボックス62Rの前面に音声信号再生用スピーカ
を構成するウーハー63Rおよびツイーター64Rが取
り付けられた2ウェイ方式のものである。ウーハー63
Rおよびツイーター64Rは、その主軸がスピーカボッ
クス62Rの正面方向を向くようにスピーカボックス6
2Rの前面側に取り付けられる。また、スピーカボック
ス62Rにはその前面と左側面とで構成される角の上部
が切り取られてスピーカ取付面65Rが形成され、この
取付面65Rに音声信号再生用スピーカ66Rおよびサ
ラウンド信号再生用スピーカ67Rが取り付けられる。
この場合、スピーカ66Rは、図2に示すように、その
主軸MAR,SARがスピーカボックス62Rの正面方向
Rに対して時計方向に所定角度γ、例えば40゜〜5
0゜だけ傾斜するようにスピーカボックス62Rに取り
付けられる。
【0031】また、スピーカボックス62Rのスピーカ
取付面65Rとは異なる端面(図では上面)に音響抵抗
材料68Rで覆われた円形の音波放射口(開口部)69
Rが設けられる。この音波放射口68Rはスピーカ66
Rの振動板の背面から出る空気振動を外部に音波として
放射するためのものであり、その中心を貫通する軸がス
ピーカ66Rの主軸の方向に延びるように形成される。
上述せずも、スピーカボックス62Rの内部において、
スピーカ66Rが取り付けられるボックス部はその他の
ボックス部と仕切られている。
【0032】この場合、スピーカボックス62Rのスピ
ーカ66Rが取り付けられるボックス部内の空気の呈す
る音響容量と音波放射口69Rの音響抵抗および音響質
量とで音響的な低域フィルタが構成される。そして、こ
の低域フィルタを通じて音波放射口69Rから放射され
る音波の通過帯域内での群遅延時間が利用され、スピー
カ装置61Rのスピーカ66Rで構成されるスピーカ部
にはスピーカ66Rの前面と音波放射口69Rの2つの
音源から放射される音波の合成音圧がスピーカ66Rの
前方主軸上で最大感度を持つ全指向性と両指向性の組み
合わせで得られる指向性が付与される。
【0033】ここで、スピーカ装置61L,61Rのス
ピーカ66L,66Rでそれぞれ構成されるスピーカ部
に、上述したように全指向性と両指向性の組み合わせで
得られる指向性が付与される原理について説明する。ス
ピーカ66Lで構成されるスピーカ部とスピーカ66R
で構成されるスピーカ部とは同様に構成されるので、ス
ピーカ66Lで構成されるスピーカ部についてのみ説明
し、スピーカ装置66Rで構成されるスピーカ部につい
ての説明は省略する。
【0034】スピーカ66Lで構成されるスピーカ部の
電気系および音響系を機械系に等価変換した機械系の等
価回路は、中・低域周波数において、図3のように表さ
れる。図において、Fは振動板を動かす起振力であり、
定電圧駆動では、(1)式のように表される。
【0035】
【数1】
【0036】s0は振動板の支持弾性体の等価スチフネ
ス、r0は電磁制動抵抗を含めた等価機械抵抗、m0は振
動板の実効質量である。s1はスピーカボックス内空気
の弾性を振動板の面積に換算した等価スチフネスで、ス
ピーカボックス内空気の体積をV、振動板の有効面積を
Aとして、(2)式で表される。
【0037】
【数2】
【0038】r1は音波放射口69Lの音響抵抗材料6
8Lの音響抵抗を振動板の面積に換算した等価機械抵
抗、m1は音波放射口69Lの構造と音波放射に依存す
る音響質量を振動板の面積に換算した等価質量である。
1は振動板の振動速度、V2は音波放射口69Lの空気
の振動速度を振動板の面積に換算した等価な振動速度で
ある。
【0039】なお、上述したスピーカ部において、スピ
ーカ66Lの振動板側と音波放射口69L側にそれぞれ
放射抵抗が存在し、この放射抵抗に供給されるパワーが
音響パワーとして空気中に放射される。しかし、放射抵
抗はr0,r1に比べて極めて小さな値であり、V1,V2
には影響を与えないので、図3の等価回路上では省略し
ている。
【0040】次に、図4を使用して、スピーカ66Lの
前面(スピーカ振動板の前面)と音波放射口69Lの2
つの音源から放射される音波の合成音圧について理論解
析する。ここでは、スピーカ66Lの前面と音波放射口
69Lの2つの音源のスピーカ66Lの主軸方向の空間
距離をdとする。また、スピーカ66Lの前面と音波放
射口69Lの2つの音源から放射される音波の水平面内
での一方向成分に着目し、主軸のスピーカ前面方向を0
°として、主軸と着目する方向(受音位置の方向)との
なす角を反時計方向にθとする。
【0041】図において、dが8〜10cmであり、受
音位置とスピーカ66Lの間の距離rが1m以上ある場
合には、スピーカ66Lの前面と音波放射口69Lの2
つの音源は、中・低域周波数においては、点音源とみな
すことができる。また、受音位置での音波は、ほぼ平面
波とみなして差し支えない。
【0042】このように取り扱うと、スピーカ66Lの
前面から放射される音波の受音位置での音圧P1は、振
動板の振動速度がV1であるから、(3)式で表され
る。
【0043】
【数3】
【0044】次に、音波放射口69Lから放射される音
波の受音位置での音圧P2は、P1に対して、dcosθな
る距離に該当する時間遅れを生じ、かつ、振動板背面の
空気振動に基づいているので負極性となり、(4)式で
表される。ただし、d<<rである。
【0045】
【数4】
【0046】したがって、合成音圧P(θ)は、P1
2であるから、(5)式で表わされる。
【0047】
【数5】
【0048】ここで、振動速度V2は、図3の等価回路
から明らかなように、(6)式で表わされる。
【0049】
【数6】
【0050】(6)式は2次の低域フィルタ特性を示
し、通過帯域内で、s1,r1,m1で決まる一定値の群
遅延時間を生ずる。この時間遅れと、空間で得られるd
cosθ/cなるθで変化する時間遅れとが、両指向性と
全指向性を組み合わせた指向性をもたらすこととなる。
そこで、(6)式を(5)式に代入して整理すると、ω
/c=kとおいて、(7)式のようになる。
【0051】
【数7】
【0052】(7)式において、{}内の第1項を級数
展開すると、(8)式のようになる。
【0053】
【数8】
【0054】(8)式から明らかなように、kd<<1
の周波数においては、jkdの1次以上の高次項を省略
すると、(8)式はcosθとなる。よって、(7)式
の{}内の第1項は、両指向性成分を表わすものとな
る。これに対して、(7)式の{}内の第2項と第3項
はθに依存しないので、全指向性成分を表すものとな
る。
【0055】そこで、(9)式のようにおき、P(θ)
を正面方向(θ=0゜)の音圧P(0゜)で基準化して
示すと、kd<<1の周波数では、(10)式のように
表される。
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】(10)式より明らかなように、合成音圧
P(θ)は、両指向性成分と全指向性成分を組み合わせ
た指向性をもつ。両成分の配分は、全指向性成分を表わ
すαの値により変えることができる。このαは、(9)
式から明らかなように、r1/s1とd/cの比を表わし
ている。r1/s1は、図3において、r1,s1,m1
構成される低域フィルタの通過帯域内での群遅延時間を
表わしている。d/cは、スピーカ66Lの前面と音波
放射口69Lの2つの音源の主軸方向の空間距離dを音
波が伝播するために要する時間である。
【0059】図5は、αの値が0.5,1.0,2.0
の場合について、(10)式から指向性パターンを計算
したものである。
【0060】(10)式において、α≦1の場合には、
ある角度でP(θ)が零になる。しかし、α>1では如
何なる角度でもP(θ)が零になることはない。α≦1
の場合に、P(θ)が零になる角度θをθ1とおくと、
図5に示すように、α=1ではθ1は180°、α=
0.5ではθ1は120°と240°の2方向になる。
このように、θ=θ1においてP(θ)が零になるの
は、(8)式で表わされる両指向性成分に存在するjk
dの1次以上の高次項を省略したからである。しかし、
実際にはその高次項が存在するので、周波数が高くなる
につれて両指向性成分の指向性パターンが真円の8字形
とはならなくなる。その結果、合成指向性パターンも
(10)式で示される基本的な指向性パターンとは異な
ってくる。つまり、指向性の劣化をもたらすこととな
る。
【0061】この指向性劣化の程度を、より高い周波数
まで少なくするには、(8)式で表される両指向性成分
に存在するjkdの1次以上の高次項を、ある角度にお
いて、全指向性成分を用いて、より高い次数まで打ち消
すようにすればよい。(7)式と(8)式をみると、
(7)式の{}内の第3項により、(8)式のjkdの
1次の項を、ある角度において打ち消すことができる。
【0062】そこで、(7)式の{}内の第3項につい
て、(11)式のようにおき、相殺する角度θをθ2
おくと、相殺の条件は、(12)式で表される。(1
2)式において、cos2θ2は、θ2=0°〜360°
の範囲で、cos2θ2≦1である。したがって、(1
2)式を満足するβの値はβ≦0.5となる。
【0063】
【数11】
【0064】
【数12】
【0065】図6は、α=1(単一指向性)の場合につ
いて、βの値を0〜1まで5段階に変えて、θが90°
と180°の角度におけるP(θ)/P(0°)の周波
数による変化を、(7)式に基づいて求めた結果であ
る。ここで、β=0の条件はm 1=0を意味する。しか
し、実際にはm1を零にすることはできないので、β=
0の条件は実現不可能である。
【0066】図6から明らかなように、kd≦0.4の
低い周波数では、スピーカ66Lの背面方向(θ=18
0°)の合成音圧レベルが正面方向(θ=0°)に比べ
て20dB以上低下し、横方向(θ=90°)の合成音
圧レベルが正面方向に比べて6dB低下する単一指向性
パターンとなる。しかし、周波数が高くなるにつれて指
向性が劣化し、kd≒πの周波数で、ほとんど指向性を
もたなくなる。この指向性の劣化程度は、βの値により
異なっている。
【0067】図7は、kd=1.5(d=7cmでは、
f=1.2KHz)の周波数における指向性パターンが
βの値により変化する様子を示したものである。図から
明らかなように、βの値は零にはできないが、なるべく
小さな値に設定することが、より高い周波数まで良好な
指向性を得るうえで必要である。βの値を0.5以下に
設定するとき、kd=1.5の周波数が指向性の実質的
な高域限界とみられる。
【0068】以上の理論的な検討は、スピーカ66Lの
前面と音波放射口69Lが理想的な点音源とみなすこと
ができる中・低域周波数についてである。しかし、実際
には、スピーカ66Lの振動板および音波放射口69L
が有限な面積を持っているので、中・高域周波数ではそ
れぞれの放射音波そのものが指向性を持つようになる。
したがって、上述したように群遅延時間を利用した指向
性の付与は、スピーカ自身の放射音波が指向性をもたな
い中・低域周波数に適用するのが妥当である。
【0069】こうしたスピーカ自身の指向性について
は、スピーカを取り付けるスピーカボックスの寸法、形
状およびスピーカの口径などで異なる。しかし、指向性
が付き始める限界の周波数はスピーカの口径と逆比例の
関係にあり、既に知られている理論解析および実測結果
などを検討すると、次のようになる。すなわち、スピー
カ振動板の有効直径をDとすると、指向性が付き始める
限界の周波数は、(13)式を満足する周波数とみなす
ことができる。
【0070】
【数13】
【0071】(13)式を放射音波の波長λで表わす
と、ω/c=2π/λの関係から、4D=λであり、放
射音波の波長λが振動板有効直径Dの4倍の周波数とみ
てよい。そこで、上述したように群遅延時間を利用した
指向性の付与を指向性が付き始める限界の周波数以下の
周波数範囲に適用するには、以下に示すような設定条件
が妥当である。
【0072】スピーカ66Lで構成されるスピーカ部に
おいて、指向性の実質的な高域限界は、先に述べたよう
に、(14)式を満足する周波数とみてよい。
【0073】
【数14】
【0074】そこで、この周波数を、スピーカ66L自
身の放射音波に指向性が付き始める周波数、すなわち
(13)式を満足する周波数に設定するのが順当と考え
る。したがって、設定条件は(13)、(14)式よ
り、(15)式のようになる。
【0075】
【数15】
【0076】つまり、スピーカ66Lの前面と音波放射
口69Lの2つの音源の主軸方向の空間距離dを、スピ
ーカ振動板の有効直径Dに等しく設定するのが妥当であ
る。なお、この設定条件は指向性がα=1の単一指向性
を中心に、α=0.5〜2.0の範囲の指向性について
も成り立つ。
【0077】以上の説明から明かなように、スピーカ装
置11L,11Rのスピーカ66L,66Rで構成され
るスピーカ部には、それぞれ全指向性と両指向性の組み
合わせで得られる任意の指向性を付与することが可能で
ある。
【0078】図1に示すステレオスピーカ装置60にお
いては、音声信号再生用スピーカ66L,66Rの主軸
MAL,MARがそれぞれスピーカボックス62L,62
Rの正面方向FL,FRに対して反時計方向、時計方向に
所定角度γだけ傾斜しており、スピーカ66L,66R
の主軸MAL,MARは、スピーカ装置61L,61Rの
中心線M上の聴取位置(図2参照)から見て内方を向い
ている。また、スピーカ装置61L,61Rのスピーカ
66L,66Rで構成されるスピーカ部は、それぞれス
ピーカ66L,66Rの前方主軸上で最大感度を持つ両
指向性と全指向性の組み合わせで得られる指向性を有し
ている。
【0079】そのため、スピーカ装置61L,61Rの
中心線M上を外れた聴取位置、例えばb点(図16参
照)では、右チャネルの音圧レベルが下がると共に、左
チャネルの音圧レベルが若干上がり、左右両チャネルの
距離減衰の違いに基づく音圧レベル差が補正される。よ
って、図1に示すステレオスピーカ装置60によれば、
良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大できる。
【0080】また、図1に示すステレオスピーカ装置6
0においては、サラウンド信号再生用スピーカ67L,
67Rの主軸SAL,SARがそれぞれスピーカボックス
62L,62Rの正面方向FL,FRに対して反時計方
向、時計方向に所定角度γだけ傾斜している。そのた
め、スピーカ67L,67Rの主軸MAL,SARは、ス
ピーカ装置61L,61Rの中心線M上の聴取位置(図
2参照)から見て内方を向く。
【0081】一般に、サラウンド信号の主要成分である
S信号成分は、中・高域周波数に主成分を持つ信号であ
る。しかも、スピーカ67L,67Rは、その振動板が
有限な面積を持っているので、図22に示すように中・
高域周波数では放射音波そのものが指向性を持ってい
る。
【0082】そのため、上述したようにスピーカ67
L,67Rの主軸SAL,SARを内方に向けることによ
り、中心線M上より外れた聴取位置、例えばf点(図1
9参照)では、右チャネルのサラウンド信号音のレベル
が下がると共に、左チャネルのサラウンド信号音のレベ
ルが若干上がり、左右両チャネルのサラウンド信号音の
距離減衰の違いに基づくレベル差が補正される方向に働
く。よって、図1に示すステレオスピーカ装置60によ
れば、良好なサラウンド効果が得られる聴取範囲を拡大
できる。
【0083】本出願人は、図1に示すステレオスピーカ
装置60において上述したように良好なステレオ感が得
られる聴取範囲が拡大することを確認するために、聴感
試験を行った。図8は、この聴感試験において、左チャ
ネル用スピーカ装置および右チャネル用スピーカ装置と
して使用したスピーカ装置40を示している。
【0084】スピーカ装置40は、スピーカ装置41の
上部にスピーカ装置21が配されたものである。スピー
カ装置41は、横幅=20cm、奥行き=22cm、高
さ=30cmのスピーカボックス42に音声信号再生用
の口径14cmのウーハー43および口径8cmのツイ
ーター44が取り付けられた2ウェイ方式のものであ
る。
【0085】図9はスピーカ装置21を示している。こ
のスピーカ装置21には単一指向性を付与している。ス
ピーカボックス22は直方体形状で、スピーカ取付面の
寸法が縦、横8.6cm、奥行きは14cm、スピーカ
ボックス内空気の体積は600cm3である。音声信号
再生用スピーカ23としてダイナミックスピーカを使用
し、口径は8cm、振動板の有効直径は7cm、有効面
積は38.5cm2である。音波放射口24は円形で、
スピーカボックス22の上面に設けられ、その実効面積
は26cm2である。また、スピーカ23の前面と音波
放射口24の2つの音源の主軸方向の空間距離dは、
(15)式の条件から7cmに設定されている。
【0086】音波放射口24の音響抵抗材料25の音響
抵抗は、(2)、(9)式よりスピーカ振動板の面積に
換算した等価機械抵抗で表わすと、MKS単位でr1
0.745(kg/sec)である。したがって、音波
放射口24の実効面積で表わした等価機械抵抗r1
は、音波放射口24の実効面積をA1とすると、(1
6)式となる。また、音波放射口24の音響抵抗材料2
5の音響抵抗密度(単位面積当りの等価機械抵抗)は、
(16)式をA1で除して、130.8(kg/sec
・m2)となる。
【0087】
【数16】
【0088】図10の実線a、一点鎖線b、破線cは、
スピーカ装置21の出力音圧指向周波数特性を示してお
り、中・低域周波数で単一指向性を持つことがわかる。
また、正面方向(0゜方向)の再生周波数帯域(3dB
低下)は、300Hz〜20KHzである。スピーカ自
身の指向性が付き始める限界の周波数は、振動板の有効
直径が7cmの場合、(13)式から、約1.2KHz
となる。よって、d=D=7cmに設定したことによ
り、約1.5KHz以下の周波数では、0゜方向の音圧
レベルに対して90゜方向の音圧レベルは約6dB低下
し、180゜方向の音圧レベルは15dB〜20dB低
下し、実用上十分とみられる単一指向性が得られてい
る。図10の実線d、一点鎖線e、破線fは、音波放射
口24を設けなかった場合の出力音圧指向周波数特性を
示しており、中・低域周波数では全指向性となる。
【0089】図8に示すスピーカ装置40を左チャネル
用スピーカ装置および右チャネル用スピーカ装置として
使用し、図11に示す状態で残響時間が0.2秒程度の
試聴室100に配置して聴感試験を行った。聴感試験で
は、良好なステレオ感が得られる聴取範囲を、以下のよ
うな方法で求めた。
【0090】すなわち、両スピーカ装置40,40の中
心線M上の聴取位置、例えばa点において中央前方に定
位する信号音(例えばボーカルなど)が、中心線M上か
ら外れた聴取位置においても、その聴取位置から見た両
スピーカ装置40,40の中間位置(c点)の方向に定
位すれば、その聴取位置では両スピーカ装置40,40
の間に連続したサウンドステージが再現され、良好なス
テレオ感が得られることになる。そこで、聴感試験で
は、両スピーカ装置40,40の中心線M上の聴取位
置、例えばa点において中央前方に定位する信号音に着
目し、中心線M上から外れた聴取位置においてその信号
音が両スピーカ装置40,40の中間位置の方向に定位
する範囲を求めた。
【0091】なお、2ウェイ方式のスピーカ装置41は
そのウーハー43およびツイーター44の主軸が正面方
向(試聴室100の側壁に平行)を向くように配設され
る。また、スピーカ装置21のスピーカ23の主軸を正
面方向に向けた状態で、このスピーカ装置21の両スピ
ーカ装置40,40の中心線M上の聴取位置、例えばa
点における音圧レベルが、2ウェイ方式のスピーカ装置
41の音圧レベルに比べて3dBだけ低くなるように設
定される。
【0092】図11において、破線L-1は、スピーカ装
置21の音波放射口24を閉じて密閉形とすると共に、
スピーカ23の主軸を正面方向に向けた条件で、良好
なステレオ感が得られる聴取範囲の境界を示しており、
この破線L-1より中心線M側の範囲では良好なステレオ
感が得られた。この条件では、良好なステレオ感が得
られる聴取範囲は狭い範囲に限定される。
【0093】また、一点鎖線L-2は、スピーカ装置21
の音波放射口24を閉じて密閉形とすると共に、スピー
カ23の主軸を45゜だけ内方に向けた条件で、良好
なステレオ感が得られる聴取範囲の境界を示しており、
この一点鎖線L-2より中心線M側の範囲では良好なステ
レオ感が得られた。この条件では、条件の場合と比
べて良好なステレオ感が得られる聴取範囲がかなり拡大
される。
【0094】これに対して、実線L-3は、スピーカ装置
21の音波放射口24を開いて約1.5KHz以下の周
波数範囲を単一指向性にすると共に、スピーカ23の主
軸を45゜だけ内方に向けた条件で、良好なステレオ
感が得られる聴取範囲の境界を示しており、この実線L
-3より中心線M側の範囲では良好なステレオ感が得られ
た。この条件では、条件の場合に比べて、良好なス
テレオ感が得られる聴取範囲がさらに拡大される。この
ことは、低域周波数の指向性が、両スピーカ装置40,
40の中心線M上から外れた聴取位置での音像定位に大
きく影響することを示している。
【0095】さらに本出願人は、このように聴取範囲を
拡大した音声信号(LR信号)再生装置(スピーカ装
置)に加え、図1のサラウンド信号再生用スピーカ67
L,67Rでサラウンド信号を再生した場合、サラウン
ド効果が得られる聴取範囲がどの程度拡大できるかを確
認するために、聴感試験を行った。図12は、この聴感
試験において、左チャネル用スピーカ装置および右チャ
ネル用スピーカ装置として使用したスピーカ装置50を
示している。このスピーカ装置50は、図8に示すスピ
ーカ装置41の上にスピーカ装置51が配され、さらに
その上に図9に示すスピーカ装置21が配されたもので
ある。スピーカ装置51は、横幅=9cm、奥行き=7
cm、高さ=9cmの密閉されたスピーカボックス52
に口径8cmのサラウンド信号再生用スピーカ53が取
り付けられており、その再生帯域は300Hz〜20k
Hzである。
【0096】図12に示すスピーカ装置50を左チャネ
ル用スピーカ装置および右チャネル用スピーカ装置とし
て使用し、図13に示す状態で残響時間が0.2秒程度
の試聴室100に配置して聴感試験を行った。試験条件
は、次のとおりである。図13のは、従来システムと
してスピーカ装置21を使用せず、左右両チャネルのス
ピーカ装置41のウーハー43およびツイーター44の
主軸を正面方向(試聴室の側壁に平行)に向けた状態
で、サラウンド信号再生用スピーカ装置51のスピーカ
53の主軸を30°だけ外方に向けた場合、は、従来
システムとしてスピーカ装置21を使用せず、左右両チ
ャネルのスピーカ装置41のウーハー43およびツイー
ター44の主軸を正面方向に向けた状態で、サラウンド
信号再生用スピーカ装置51のスピーカの主軸を正面方
向に向けた場合、は、本発明によるシステムとしてス
ピーカ装置21を使用し、左右両チャネルのスピーカ装
置41のウーハー43およびツイーター44の主軸を正
面方向に向けるとともに、スピーカ装置21のスピーカ
23の主軸を45°だけ内方に向けた状態で、サラウン
ド信号再生用スピーカ装置21のスピーカ23の主軸を
45°だけ内方に向けた場合である。
【0097】なお、スピーカ装置21のスピーカ23の
主軸を正面方向に向けた状態で、このスピーカ装置21
の両スピーカ装置50,50の中心線M上の聴取位置、
例えばe点における音圧レベルが、2ウェイ方式のスピ
ーカ装置41の音圧レベルに比べて3dBだけ低くなる
ように設定される。
【0098】図13において、破線L-4は上述の試験条
件の場合に良好なサラウンド効果が得られる聴取範囲
の境界を示しており、この破線L-4より中心線M側の範
囲では良好なサラウンド効果が得られた。また、一点鎖
線L-5は上述の試験条件の場合に良好なサラウンド効
果が得られる聴取範囲の境界を示しており、この一点鎖
線L-5より中心線M側の範囲では良好なサラウンド効果
が得られた。この場合には、の場合に比べて良好なサ
ラウンド効果が得られる聴取範囲は若干拡大するが、狭
い範囲に限定される。
【0099】これに対して、実線L-6は、本発明による
上述の試験条件の場合に良好なサラウンド効果が得ら
れる聴取範囲の境界を示しており、この実線L-6より中
心線M側の範囲では良好なサラウンド効果が得られた。
この場合には、の場合に比べて良好なサラウンド効果
が得られる聴取範囲は著しく拡大した。これにより、図
1に示すようなステレオスピーカ装置60では良好なサ
ラウンド効果が得られる聴取範囲をより拡大できること
が確認された。
【0100】なお、図1に示すステレオスピーカ装置6
0は、音声信号再生用スピーカ66L(66R)および
サラウンド信号再生用スピーカ67L(67R)がそれ
ぞれスピーカ取付面65L(65R)に取り付けられた
ものであるが、これらを1個のスピーカで兼用すること
もできる。その場合には、音声信号にサラウンド信号を
加算した信号でその1個のスピーカを駆動することとな
る。
【0101】次に、この発明の第2の実施の形態を説明
する。図14は第2の実施の形態としてのステレオスピ
ーカ装置80を示しており、このスピーカ装置80は、
左チャネル用スピーカ装置81Lと右チャネル用スピー
カ装置81Rとから構成される。
【0102】スピーカ装置81Lを構成するスピーカボ
ックス82Lには前面と右側面との間にスピーカ取付面
83Lが形成され、このスピーカ取付面83Lに音声信
号再生用スピーカ84Lおよびサラウンド信号再生用ス
ピーカ85Lが取り付けられる。この場合、スピーカ8
4L,85Lは、図15に示すように、その主軸M
L,SALがスピーカボックス82Lの正面方向FL
対して反時計方向に所定角度γ、例えば40゜〜50゜
だけ傾斜するようにスピーカボックス82Lに取り付け
られる。
【0103】また、スピーカボックス82Lのスピーカ
取付面83Lとは異なる端面(図では上面)に音響抵抗
材料86Lで覆われた円形の音波放射口(開口部)87
Lが設けられる。この音波放射口87Lはスピーカ84
Lの振動板の背面から出る空気振動を外部に音波として
放射するためのものであり、その中心を貫通する軸がス
ピーカ84Lの主軸の方向に延びるように形成される。
上述せずも、スピーカボックス82Lの内部において、
スピーカ84Lが取り付けられるボックス部はその他の
ボックス部と仕切られている。
【0104】この場合、スピーカボックス82Lのスピ
ーカ84Lが取り付けられるボックス部内の空気の呈す
る音響容量と音波放射口87Lの音響抵抗および音響質
量とで音響的な低域フィルタが構成される。そして、こ
の低域フィルタを通じて音波放射口87Lから放射され
る音波の通過帯域内での群遅延時間が利用され、スピー
カ装置81Lのスピーカ84Lで構成されるスピーカ部
にはスピーカ84Lの前面と音波放射口87Lの2つの
音源から放射される音波の合成音圧がスピーカ84Lの
前方主軸上で最大感度を持つ全指向性と両指向性の組み
合わせで得られる指向性が付与される。
【0105】スピーカ装置81Rを構成するスピーカボ
ックス82Rには前面と左側面との間にスピーカ取付面
83Rが形成され、このスピーカ取付面83Rに音声信
号再生用スピーカ84Rおよびサラウンド信号再生用ス
ピーカ85Rが取り付けられる。この場合、スピーカ8
4R,85Rは、図15に示すように、その主軸M
L,SALがスピーカボックス82Rの正面方向FL
対して時計方向に所定角度γ、例えば40゜〜50゜だ
け傾斜するようにスピーカボックス82Rに取り付けら
れる。
【0106】また、スピーカボックス82Rのスピーカ
取付面83Rとは異なる端面(図では上面)に音響抵抗
材料86Rで覆われた円形の音波放射口(開口部)87
Rが設けられる。この音波放射口87Rはスピーカ84
Rの振動板の背面から出る空気振動を外部に音波として
放射するためのものであり、その中心を貫通する軸がス
ピーカ84Rの主軸の方向に延びるように形成される。
上述せずも、スピーカボックス82Rの内部において、
スピーカ84Rが取り付けられるボックス部はその他の
ボックス部と仕切られている。
【0107】この場合、スピーカボックス82Rのスピ
ーカ84Rが取り付けられるボックス部内の空気の呈す
る音響容量と音波放射口87Rの音響抵抗および音響質
量とで音響的な低域フィルタが構成される。そして、こ
の低域フィルタを通じて音波放射口87Rから放射され
る音波の通過帯域内での群遅延時間が利用され、スピー
カ装置81Rのスピーカ84Rで構成されるスピーカ部
にはスピーカ84Rの前面と音波放射口87Rの2つの
音源から放射される音波の合成音圧がスピーカ84Rの
前方主軸上で最大感度を持つ、全指向性と両指向性の組
み合わせで得られる指向性が付与される。
【0108】図14に示すステレオスピーカ装置80に
おいては、音声信号再生用スピーカ84L,84Rの主
軸MAL,MARがそれぞれスピーカボックス82L,8
2Rの正面方向FL,FRに対して反時計方向、時計方向
に所定角度γだけ傾斜しており、スピーカ84L,84
Rの主軸MAL,MARは、スピーカ装置81L,81R
の中心線M上の聴取位置(図15参照)から見て内方を
向いている。また、スピーカ装置81L,81Rのスピ
ーカ84L,84Rで構成されるスピーカ部は、それぞ
れスピーカ84L,84Rの前方主軸上で最大感度を持
つ両指向性と全指向性の組み合わせで得られる指向性を
有している。
【0109】そのため、スピーカ装置81L,81Rの
中心線M上を外れた聴取位置、例えばb点(図16参
照)では、右チャネルの音圧レベルが下がると共に、左
チャネルの音圧レベルが若干上がり、左右両チャネルの
距離減衰の違いに基づく音圧レベル差が補正される。よ
って、図23に示すステレオスピーカ装置80によれ
ば、図1に示すステレオスピーカ装置60と同様に、良
好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大できる。
【0110】また、図14に示すステレオスピーカ装置
80においては、サラウンド信号再生用スピーカ85
L,85Rの主軸SAL,SARがそれぞれスピーカボッ
クス82L,82Rの正面方向FL,FRに対して反時計
方向、時計方向に所定角度γだけ傾斜している。そのた
め、スピーカ85L,85Rの主軸SAL,SARは、ス
ピーカ装置81L,81Rの中心線M上の聴取位置(図
15参照)から見て内方を向いている。そのため、図1
に示すステレオスピーカ装置60と同様に、スピーカ装
置81L,81Rの中心線M上より外れた聴取位置にお
いて、スピーカ85L,85Rからの左右チャネルのサ
ラウンド信号音の距離減衰の違いに基づくレベル差が補
正され、よって良好なサラウンド効果が得られる聴取範
囲を拡大できる。
【0111】なお、図14に示すステレオスピーカ装置
80は、音声信号再生用スピーカ84L(84R)およ
びサラウンド信号再生用スピーカ85L(85R)がそ
れぞれスピーカ取付面83L(83R)に取り付けられ
たものであるが、これらを1個のスピーカで兼用するこ
ともできる。その場合には、音声信号にサラウンド信号
を加算した信号でその1個のスピーカを駆動することと
なる。
【0112】
【発明の効果】この発明によれば、左チャネル用および
右チャネル用のスピーカ装置の音声信号再生用スピーカ
の主軸が両スピーカ装置の中心線上の聴取位置から見て
内方を向くと共に、この両スピーカ装置の音声信号再生
用スピーカで構成されるスピーカ部が両指向性と全指向
性の組み合わせで得られる指向性を有するため、両スピ
ーカ装置の中心線上から外れた聴取位置では左右両チャ
ネルの距離減衰の違いに基づく音圧レベル差が補正さ
れ、良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大でき
る。
【0113】また、両スピーカ装置の音声信号再生用ス
ピーカで構成されるスピーカ部が両指向性と全指向性の
組み合わせで得られる指向性を有するものであり、例え
ば音波放射口から放射される音波の群遅延時間を利用し
て指向性を得ることができ、従来のようにスピーカ自身
の持つ指向性を利用したり、両指向性スピーカを利用す
るものと比較して、システム構成を小型にできる利益が
ある。
【0114】また、左チャネル用および右チャネル用の
スピーカ装置のサラウンド信号を再生するスピーカの主
軸が両スピーカ装置の中心線上の聴取位置から見て内方
を向くため、両スピーカ装置の中心線上から外れた聴取
位置では、サラウンド信号を再生するスピーカの中・高
周波数の指向性によって左右両チャネルのサラウンド信
号音の距離減衰の違いに基づくレベル差が補正されると
共に、さらに上述した音声信号(LR信号)再生音につ
いての聴取範囲の拡大効果が加わって、良好なサラウン
ド効果が得られる聴取範囲を著しく拡大できる。
【0115】また、音波放射口の音響抵抗および音響質
量とスピーカボックス内空気の呈する音響容量とで低域
フィルタを構成し、この低域フィルタを通じて音波放射
口から放射される音波の通過帯域内での群遅延時間を利
用して指向性を得ることで、スピーカボックスの寸法や
形状に関係なく任意の群遅延時間を設定して所望の指向
性を超低域周波数まで安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態としてのステレオスピーカ装
置を示す斜視図である。
【図2】音声信号、サラウンド信号を再生するスピーカ
の主軸の向きを示す図である。
【図3】機械系の等価回路を示す回路接続図である。
【図4】合成音圧の理論解析のための図である。
【図5】αを変化させた場合の指向性パターンを示す図
である。
【図6】βの値による指向周波数特性の変化を示す図で
ある。
【図7】βを変化させた場合の指向性パターンを示す図
である。
【図8】聴感試験(ステレオ感)に使用したスピーカ装
置を示す斜視図である。
【図9】指向性スピーカ装置を示す斜視図である。
【図10】図9のスピーカ装置の出力音圧指向周波数特
性を示す図である。
【図11】聴感試験(ステレオ感)の結果等を説明する
ための図である。
【図12】聴感試験(サラウンド効果)に使用したスピ
ーカ装置を示す斜視図である。
【図13】聴感試験(サラウンド効果)の結果等を説明
するための図である。
【図14】第2の実施の形態としてのステレオスピーカ
装置を示す斜視図である。
【図15】音声信号、サラウンド信号を再生するスピー
カの主軸の向きを示す図である。
【図16】ステレオスピーカ装置を説明するための図で
ある。
【図17】良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大
するための一例を示す図である。
【図18】良好なステレオ感が得られる聴取範囲を拡大
するための他の例を示す図である。
【図19】従来のフロントサラウンドスピーカ装置を示
す図である。
【図20】サラウンド信号再生用スピーカの主軸が正面
方向を向く例を示す図である。
【図21】サラウンド信号再生用スピーカの主軸が外方
に向く例を示す図である。
【図22】スピーカの出力音圧指向周波数特性例を示す
図である。
【符号の説明】
60,80 ステレオスピーカ装置 61L,81L 左チャネル用スピーカ装置 61R,81R 右チャネル用スピーカ装置 62L,62R、82L,82R スピーカボックス 65L,65R,83L,83R スピーカ取付面 66L,66R,84L,84R 音声信号再生用スピ
ーカ 68L,68R,86L,86R 音響抵抗材料 69L,69R,87L,87R 音波放射口 63L,63R ウーハー 64L,64R ツイーター 67L,67R,85L,85R サラウンド信号再生
用スピーカ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−153290(JP,A) 特開 平6−105391(JP,A) 特開 平2−195796(JP,A) 特開 昭62−269599(JP,A) 特開 昭60−261299(JP,A) 実開 平4−88189(JP,U) 実開 昭61−57689(JP,U) 実開 昭61−81282(JP,U) 実開 昭59−121992(JP,U)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左チャネル音声信号を再生する第1のス
    ピーカとサラウンド信号を再生する第2のスピーカとを
    有する左チャネル用スピーカ装置と、右チャネル音声信
    号を再生する第3のスピーカとサラウンド信号を再生す
    る第4のスピーカとを有する右チャネル用スピーカ装置
    とからなるステレオスピーカ装置において、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第1のスピーカお
    よび上記右チャネル用スピーカ装置の上記第3のスピー
    カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
    に対して反時計方向および時計方向に第1の角度だけ傾
    斜するようにスピーカボックスに取り付けられ、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第2のスピーカお
    よび上記右チャネル用スピーカ装置の上記第4のスピー
    カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
    に対して反時計方向および時計方向に上記第1の角度と
    同一または異なる第2の角度だけ傾斜するようにスピー
    カボックスに取り付けられ、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第1のスピーカで
    構成される第1のスピーカ部および上記右チャネル用ス
    ピーカ装置の上記第3のスピーカで構成される第2のス
    ピーカ部は、それぞれスピーカの前方主軸上で最大感度
    を持つ両指向性と全指向性の組み合わせで得られる指向
    性を有することを特徴とするステレオスピーカ装置。
  2. 【請求項2】 上記左チャネル用スピーカ装置の第1の
    スピーカ部および上記右チャネル用スピーカ装置の上記
    第2のスピーカ部のそれぞれは、 スピーカボックスの一の端面にスピーカを取り付けると
    共に、上記スピーカボックスの上記一の端面とは異なる
    端面に音響抵抗材料で覆われた音波放射口を設けてな
    り、 上記スピーカボックス内の空気の呈する音響容量と上記
    音波放射口の音響抵抗および音響質量とで音響的な低域
    フィルタを構成し、 上記低域フィルタを通じて上記音波放射口から放射され
    る音波の通過帯域内での群遅延時間を利用して、上記ス
    ピーカの前面と音波放射口の2つの音源から放射される
    音波の合成音圧が上記スピーカの前方主軸上で最大感度
    を持つ全指向性と両指向性の組み合わせで得られる指向
    性を得ることを特徴とする請求項1に記載のステレオス
    ピーカ装置。
  3. 【請求項3】 上記第1および第2の角度は40゜〜5
    0゜であることを特徴とする請求項1に記載のステレオ
    スピーカ装置。
  4. 【請求項4】 上記左チャネル用スピーカ装置では上記
    左チャネル音声信号を再生する第1のスピーカと上記サ
    ラウンド信号を再生する第2のスピーカとを兼用すると
    共に、 上記右チャネル用スピーカ装置では上記右チャネル音声
    信号を再生する第3のスピーカと上記サラウンド信号を
    再生する第4のスピーカとを兼用することを特徴とする
    請求項1に記載のステレオスピーカ装置。
  5. 【請求項5】 左チャネル音声信号を再生する第1およ
    び第2のスピーカとサラウンド信号を再生する第3のス
    ピーカとを有する左チャネル用スピーカ装置と、右チャ
    ネル音声信号を再生する第4および第5のスピーカとサ
    ラウンド信号を再生する第6のスピーカとを有する右チ
    ャネル用スピーカ装置とからなるステレオスピーカ装置
    において、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第1のスピーカお
    よび上記右チャネル用スピーカ装置の上記第4のスピー
    カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
    に一致するようにスピーカボックスに取り付けられ、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第2のスピーカお
    よび上記右チャネル用スピーカ装置の上記第5のスピー
    カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
    に対して反時計方向および時計方向に第1の角度だけ傾
    斜するようにスピーカボックスに取り付けられ、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第3のスピーカお
    よび上記右チャネル用スピーカ装置の上記第6のスピー
    カは、それぞれその主軸がスピーカボックスの正面方向
    に対して反時計方向および時計方向に上記第1の角度と
    同一または異なる第2の角度だけ傾斜するようにスピー
    カボックスに取り付けられ、 上記左チャネル用スピーカ装置の上記第2のスピーカで
    構成される第1のスピーカ部および上記右チャネル用ス
    ピーカ装置の上記第5のスピーカで構成される第2のス
    ピーカ部は、それぞれスピーカの前方主軸上で最大感度
    を持つ両指向性と全指向性の組み合わせで得られる指向
    性を有することを特徴とするステレオスピーカ装置。
  6. 【請求項6】 上記左チャネル用スピーカ装置の第1の
    スピーカ部および上記右チャネル用スピーカ装置の上記
    第2のスピーカ部のそれぞれは、 スピーカボックスの一の端面にスピーカを取り付けると
    共に、上記スピーカボックスの上記一の端面とは異なる
    端面に音響抵抗材料で覆われた音波放射口を設けてな
    り、 上記スピーカボックス内の空気の呈する音響容量と上記
    音波放射口の音響抵抗および音響質量とで音響的な低域
    フィルタを構成し、 上記低域フィルタを通じて上記音波放射口から放射され
    る音波の通過帯域内での群遅延時間を利用して、上記第
    2のスピーカの前面と音波放射口の2つの音源から放射
    される音波の合成音圧が上記第2のスピーカの前方主軸
    上で最大感度を持つ全指向性と両指向性の組み合わせで
    得られる指向性を得ることを特徴とする請求項5に記載
    のステレオスピーカ装置。
  7. 【請求項7】 上記第1および第2の角度は40゜〜5
    0゜であることを特徴とする請求項5に記載のステレオ
    スピーカ装置。
  8. 【請求項8】 上記左チャネル用スピーカ装置では上記
    左チャネル音声信号を再生する第2のスピーカと上記サ
    ラウンド信号を再生する第3のスピーカとを兼用すると
    共に、 上記右チャネル用スピーカ装置では上記右チャネル音声
    信号を再生する第5のスピーカと上記サラウンド信号を
    再生する第6のスピーカとを兼用することを特徴とする
    請求項5に記載のステレオスピーカ装置。
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