JP2765525B2 - 進行波管 - Google Patents

進行波管

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JP2765525B2
JP2765525B2 JP22230795A JP22230795A JP2765525B2 JP 2765525 B2 JP2765525 B2 JP 2765525B2 JP 22230795 A JP22230795 A JP 22230795A JP 22230795 A JP22230795 A JP 22230795A JP 2765525 B2 JP2765525 B2 JP 2765525B2
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佳宏 上田
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Nippon Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、進行波管に関し、
特に遅波回路と外部回路とのインピーダンス整合を図る
入出力同軸窓回路の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロ波電力の増幅器として進
行波管の一種であり広い周波数帯域での動作が可能なヘ
リックス型進行波管の需要が高まっており、特にその動
作周波数帯域のオクターブバンド以上におよぶ超広帯域
化および超広帯域での高出力化、高利得化は、多分野で
の用途への対応性からも重要となっている。マイクロ波
電力の増幅器であるマイクロ波管として、進行波管、ク
ライストロン、マグネトロンなどがあり、レーダ、TV
放送、見通し内通信、見通し外通信、衛星通信、マイク
ロ波加熱などに用いられているが、最近では比較的狭周
波数帯域の用途においても超広帯域ヘリックス型進行波
管での対応が図られている。
【0003】進行波管の高出力化、高利得化を実現する
一つの方法として、入出力同軸窓回路のインピーダンス
整合特性を良好にすることがある。更に、ヘリックス型
進行波管の超広帯域での高出力化、高利得化を図る場合
には、入出力同軸窓回路のインピーダンス整合特性を超
広帯域で良好にすることが必要となる。しかし、同軸窓
回路の熱的、機械的な構造の制限および製造精度のバラ
ツキによりインピーダンス整合特性が劣化することも多
い。
【0004】従来の進行波管の断面構造を図3に示す。
従来の進行波管は、主として電子ビームを発生する電子
銃部1、外部回路とのマイクロ波信号の授受を行う入出
力同軸窓回路部2、電子銃部1より射出された電子ビー
ムと入力信号との相互作用で入力マイクロ波の増幅を行
う遅波回路部3、遅波回路部3を透過した電子ビームを
捕捉して熱エネルギーに変換するコレクタ部4、電子銃
部1から出た電子ビームを集束し、遅波回路部3中をほ
ぼ一定のビーム径をもって通過させるための磁界を発生
する集束磁界装置部5および以上の部材を固定するため
のケース6から構成されている。
【0005】図4は従来の進行波管の入出力同軸窓回路
の詳細構造を示す断面図である。同軸窓回路は内導体
7、外導体A10、セラミック封入皿9、および内導体
7、セラミック封入皿9に内径、外径で嵌合し進行波管
内の真空封止を行う環状の真空封止窓セラミック8をろ
う付けしたものと外導体B11を高周波ろう付け部12
で高周波ろう付けすることにより組み立てられ、遅波回
路部3と外部回路とのマイクロ波信号の授受を行う。セ
ラミック封入皿9は、高周波ろう付け時に真空封止窓セ
ラミック8が高温になり破壊するのを防ぐために、高周
波ろう付け部12から真空封止窓セラミック8までの熱
伝導経路を長くする役割を果たし、ギャップ13は高周
波ろう付け時の外導体A10からセラミック封入皿9へ
の空間を介しての熱伝導を抑えることも考慮し通常10
分の数mm程度の間隔がとられるが、ギャップ13での
マイクロ波の共振が発生することによりインピーダンス
整合特性が劣化する場合があり、従来は高周波ろう付け
前に部品寸法を調整しながらインピーダンス整合特性を
調整して高周波ろう付けを行っていた。
【0006】インピーダンス整合特性の調整方法として
は、特開昭63−091935号公報には図5に示すよ
うに、同軸回路23のキャップ26と外導体28の間に
スリーブ29を挿入し、ろう材のたれ込みによるインピ
ーダンス整合特性の劣化を防ぐ技術が開示されている。
【0007】また、特開平3−233833号公報には
図6に示すように、同軸回路35の内導体36にインピ
ーダンス整合用環状体39を取り付ける技術が開示され
ている。
【0008】特開昭61−279036号公報では図7
に示すようにピルボックス型マイクロ波透過窓40の高
純度アルミナ製セラミック円板41の前および/または
後に金属製電界シールド45を設置する構成が開示され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の進行波管の入出
力同軸窓回路では、図4に示すように外導体A10と外
導体B11を高周波ろう付けをするとき真空封止窓セラ
ミック8が高温になり破壊するのを防ぐためセラミック
封入皿9を用いているが、ギャップ13でのマイクロ波
の共振の発生によりインピーダンス整合特性が劣化する
という問題点があった。特にオクターブバンド以上にお
よぶ超広帯域進行波管では、ギャップ13での共振の発
生によるインピーダンス整合特性の劣化が使用周波数範
囲内に生じインピーダンス整合特性を超広帯域で良好に
することが困難であった。その結果、必要な出力電力が
得られなかったり、入出力同軸窓回路で反射した電力に
よって発振が生じる等の致命的な問題があった。
【0010】特開昭63−091935号公報では図5
に示すように、同軸回路23のキャップ26と外導体2
8の間にスリーブ29を挿入し、ろう材のため込みによ
るインピーダンス整合特性の劣化を防ぐ技術が開示され
ているが、これはセラミック封入皿と外導体の間のギャ
ップでの共振の発生によるインピーダンス整合特性の劣
化を防ぐものではなく、またギャップをスリーブでふさ
ぐことはスリーブとセラミック封入皿との接触面積が大
きいため高周波ろう付け時の窓セラミックへの熱伝導が
大きく窓セラミックが破壊される可能性が大きいため困
難であり、本発明の線状リングでギャップをふさぐ構成
とは異なるものである。
【0011】特開平3−233833号公報では図6に
示すように、同軸回路35の内導体36にインピーダン
ス整合用環状体39を取り付ける技術が開示されている
が、これも本発明のセラミック封入皿と外導体の間に線
状リングを設けることによりその間のギャップでの共振
の発生によるインピーダンス整合特性の劣化を防ぐ構成
とは異なるものである。
【0012】特開昭61−279036号公報では図7
に示すようにピルボックス型マイクロ波透過窓40の高
純度アルミナ製セラミック円板41の前および/または
後に金属製電界シールド45を設置する構成が開示され
ているが、これはセラミック円板41への放出電子の突
入によるセラミックの破壊を防止するためのものであ
り、セラミック封入皿と外導体の間のギャップでの共振
の発生によるインピーダンス整合特性の劣化を防ぐもの
ではなく、またロウ付部44への電界をさえぎるためセ
ラミック円板41の前および/または後に金属製電界シ
ールド45がかぶさる構成となっており、本発明とは異
なるものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空封止窓セ
ラミックを通して真空内遅波回路と真空外回路との信号
の授受を行う入出力同軸窓回路を有する進行波管におい
て、同軸窓回路を構成するセラミック封入皿と外導体の
間に、断面形状が円形の線状リングを設けたことを特徴
とする。
【0014】本発明において、同軸窓回路のセラミック
封入皿と外導体の間に、断面形状が円形の線状リングを
設けることにより、セラミック封入皿と外導体の間のギ
ャップをふさぎこのギャップでの共振の発生によるイン
ピーダンス整合特性の劣化を防ぐことができる。また、
熱伝導率が小さい材料で断面形状が円形である線状リン
グを用いることにより、高周波ろう付け時線状リングを
通しての窓セラミックへの熱伝導を小さくでき窓セラミ
ックの破壊も抑えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1(a)は本発明の進行波管の
第1の実施の形態の入出力同軸窓回路の詳細構造を示す
断面図である。図1(a)に示すように内導体7、真空
封止窓セラミック8、セラミック封入皿9および外導体
A10をろう付けしたものと外導体B11を高周波ろう
付けする時に、セラミック封入皿9と外導体B11の間
に断面形状が円形の線状リング14を設置する。図1
(b)は線状リング14を示す斜視図である。線状リン
グ14はセラミック封入皿9と外導体B11の両方に接
し、ギャップ13の空間をふさぐようにする。この構造
により、マイクロ波がギャップ13に入り込んで共振を
起こすことは無くなり、ギャップ13での共振の発生に
よるインピーダンス整合特性の劣化を無くすことができ
る。また、線状リング14は断面形状が円形であること
によりセラミック封入皿10と外導体B11とにそれぞ
れ線で接し、かつキュプロニッケル、非磁性モネル、コ
バール等の熱伝導率が小さい材料で製作されることによ
り、高周波ろう付け時線状リング14を通しての窓セラ
ミック8への熱伝導は小さくなり窓セラミック8の破壊
も抑えられる。なお、入出力同軸窓回路以外の進行波管
の全体構成は図3に示したものと同じである。
【0016】図2は本発明の進行波管の第2の実施の形
態の入出力同軸窓回路の詳細構造を示す断面図である。
この実施の形態では、図2に示すように厚さ0.05〜
0.1mm程度のスペーサ15を外導体B11に必要な
枚数だけ取り付ける構造なっている。この構造により、
窓セラミック8と外導体B11の距離の製造精度により
バラツキを補正することができ、線状リング14を一種
類で対応することができる。また、窓セラミック8と外
導体B11の間の空間は、窓セラミック8の熱的強度を
確保するため外径が大きく特性インピーダンスが大きく
なりインピーダンス整合特性の劣化の原因となるため、
この空間の距離を一定に保つことによりインピーダンス
整合特性をさらに良好に保つことができる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、入出力同
軸窓回路を構成するセラミック封入皿と外導体の間に、
断面形状が円形の線状リングを設けたことにより、高周
波ろう付け時の線状リングを通しての窓セラミックへの
熱伝導を小さくしつつ、セラミック封入皿と外導体の間
のギャップでの共振の発生によるインピーダンス整合特
性の劣化を防ぐことを可能にした。従って、進行波管の
インピーダンス整合特性を超広帯域で良好にすることが
容易になり、超広帯域で高出力、高利得の進行波管を得
ることができる。また、入出力同軸窓回路でのインピー
ダンス整合特性の劣化を防ぐことにより、入出力同軸窓
回路でのマイクロ波の反射を減少させて発振を防止する
ことができ、進行波管の動作を安定に保つことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態の入出力
同軸窓回路の詳細構造を示す断面図、(b)は本発明の
入出力同軸窓回路に用いる線状リングを示す斜視図であ
る。
【図2】本発明の進行波管の第2の実施の形態の入出力
同軸窓回路の詳細構造を示す断面図である。
【図3】従来の進行波管の全体構造を示す断面図であ
る。
【図4】従来の進行波管の入出力同軸窓回路の詳細構造
を示す断面図である。
【図5】特開昭63−091935号公報の従来技術を
示す図である。
【図6】(a),(b)は特開平3−233833号公
報の従来技術を示す図である。
【図7】特開昭61−279036号公報の従来技術を
示す図である。
【符号の説明】
1 電子銃部 2 入出力同軸窓回路部 3 遅波回路部 4 コレクタ部 5 集束磁界装置部 6 ケース 7 内導体 8 真空封止窓セラミック 9 セラミック封入皿 10 外導体A 11 外導体B 12 高周波ろう付け部 13 ギャップ 14 線状リング 15 スペーサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空封止窓セラミックを通して真空内遅
    波回路と真空外回路との信号の授受を行う入出力同軸窓
    回路を有する進行波管において、同軸窓回路を構成する
    セラミック封入皿と外導体との間に、断面形状が円形の
    線状リングを設けたことを特徴とする進行波管。
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