JP2765094B2 - 環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐衝撃性の改良された環状オレフィン系熱可
塑性樹脂組成物に関し、さらに詳細には多環式(メタ)
アクリレートをグラフト成分とする変性エチレン・α−
オレフィン共重合体を耐衝撃性改良剤として用いる環状
オレフィン系熱可塑性樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
環状オレフィン系ランダム共重合体は耐熱性、耐溶剤
性、耐薬品性、耐熱老化性、誘電特性、剛性などに優れ
ており、例えば特開昭61−98780号公報、特開昭61−115
912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−12081
6号公報および特開昭60−168708号公報などにおいて提
案されているが、耐衝撃性の改良が望まれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、被配合樹脂である環状オレフィン系
ランダム共重合体が本来有している剛性の低下を小さく
して飛躍的に耐衝撃性を向上させ、耐衝撃性と剛性との
バランスに優れた環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物
を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は次の環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物で
ある。
(1)(A)(a)エチレン含量30〜95モル%のエチ
レン・α−オレフィン共重合体に、 (b)下記一般式〔I〕 (式中、Y1およびY2の少なくとも一方は(メタ)アクリ
ロイルオキシ基であり、他方は水素原子であり、X1およ
びX2はそれぞれ酸素原子を有していてもよい低級アルキ
レン基、あるいはY1またはY2の直接結合を示す。R1〜R
12は水素原子、炭化水素基またはハロゲン原子であっ
て、それぞれ同一または異なっていてもよい。またR9
R10、またはR11とR12とは一体化して2価の炭化水素基
を形成してもよく、R9またはR10とR11またはR12とは互
いに環を形成していてもよい。nは0または正の整数で
あって、R5〜R8が複数回繰り返される場合には、これら
はそれぞれ同一または異なっていてもよい。) で表わされる多環式(メタ)アクリレート単量体をグラ
フト重合してなる変性共重合体であって、前記エチレン
・α−オレフィン共重合体(a)40〜98重量部に対して
前記多環式(メタ)アクリレート単量体(b)2〜60重
量部をグラフト重合してなる(ここで(a)+(b)は
100重量部となるように選択する)変性エチレン・α−
オレフィン共重合体5〜45重量%、 (B)エチレンと、下記一般式〔II〕 (式中、R1〜R12は水素原子、炭化水素基またはハロゲ
ン原子であって、それぞれ同一または異なっていてもよ
い。またR9とR10、またはR11とR12とは一体化して2価
の炭素水素基を形成してもよく、R9またはR10とR11また
はR12とは互いに環を形成していてもよい。nは0また
は正の整数であって、R5〜R8が複数回繰り返される場合
には、これらはそれぞれ同一または異なっていてもよ
い。)で表わされる環状オレフィンから選ばれる1種以
上の環状オレフィンとのランダム共重合体であって、エ
チレン含量が40〜90モル%の環状オレフィン系ランダム
共重合体50〜90重量%、および (C)エチレン含量30〜95モル%のエチレン・α−オ
レフィン共重合体5〜45重量% からなることを特徴とする環状オレフィン系熱可塑性樹
脂組成物。
本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物は、環
状オレフィン系ランダム共重合体(B)に変性エチレン
・α−オレフィン共重合体(A)およびエチレン・α−
オレフィン共重合体(C)をブレンドしたものである。
本発明では、環状オレフィン系ランダム共重合体
(B)に、変性エチレン・α−オレフィン共重合体
(A)をブレンドすることにより耐衝撃性が改善され、
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)をブレンドす
ることにより耐衝撃性が一層向上する。さらに(A)成
分は(B)成分と(C)成分との相溶剤として作用する
ため、曲げ弾性率の低下が少ない。すなわち本発明の環
状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物は、配合する3成分
の相溶性および分散性が優れているため、(B)成分が
本来有している耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱老化
性、誘電特性および剛性などをほとんど損なうことな
く、耐衝撃性が改善される。特に耐衝撃性と剛性とのバ
ランスに優れ、曲げ弾性率および耐熱性の低下が少ない
環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物が得られる。
耐衝撃性改良剤として配合する変性エチレン・α−オ
レフィン共重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン
共重合体(a)に多環式(メタ)アクリレート単量体
(b)をグラフト重合したものである。グラフト重合の
方法としては、エチレン・α−オレフィン共重合体
(a)を水性分散させる乳化法、有機溶媒に溶解する溶
液法および加熱混練する溶融法などがあげられる。
次に本発明の各成分について詳しく説明する。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(a)) エチレン・α−オレフィン共重合体(a)のエチレン
含量は30〜95モル%、好ましくは40〜85モル%である。
エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、直鎖
状または分岐鎖状のものであって、例えばプロピレン、
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テ
トラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1
−エイコセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンを例
示することができる。これらの中では、炭素数3〜15、
特に3〜10のα−オレフィンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は、230℃
におけるメルトフローレート〔MFR、荷重2160gで測定し
た値(ASTM D 1238Eによる方法)〕が0.1〜50g/10分の
範囲にあることが好ましく、特に0.5〜10g/10分の範囲
にあることがより好ましい。このようなMFRの範囲にあ
るエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を原料とし
た場合、その変性物は、被配合樹脂である環状オレフィ
ン系ランダム共重合体(B)への分散効果が充分に得ら
れ、被配合樹脂の耐衝撃性改良剤としての効果を発揮す
る。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の密度は、
0.90g/cm3以下、好ましくは0.86〜0.89g/cm3の範囲にあ
るのが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は低結晶性
ないし非晶性であり、その結晶化度は通常0〜50%、好
ましくは0〜30%の範囲にあるのが好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は通
常エチレン成分とα−オレフィン成分を主体とするが、
場合によっては3モル%以下の範囲でジエン成分を含有
していてもよい。ジエン成分としては、例えば1,4−ヘ
キサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘ
キサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メ
チル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シク
ロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラ
ヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリ
デン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボル
ネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−
クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン
等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−
ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデン−
5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノルボルナジ
エンなどがあげられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)は後述する
変性方法により多環式(メタ)アクリレート単量体
(b)をグラフト重合するが、乳化法による場合グラフ
ト重合前に、予め水性分散状態とした後、ペルオキシ
ド、必要に応じてジビニルベンゼンで例示される多官能
性ビニルモノマー等の架橋助剤を加えて熱処理を行い、
共重合体を架橋してより高分子量化した後に変性に用い
ることもできる。
(多環式(メタ)アクリレート単量体(b)) 本発明で使用する多環式(メタ)アクリレート単量体
(b)は前記一般式〔I〕で表わされる多環式(メタ)
アクリレート単量体である。
前記一般式〔I〕においてY1またはY2で示される(メ
タ)アクリロイルオキシ基としては、 CH2=CHCOO−基、CH2=C(CH3)COO−基などをあげる
ことができる。Y1およびY2またはX1を介して環に結合し
てもよいし、X1またはX2を介さないで直接環に結合して
もよい。
前記一般式〔I〕においてX1またはX2で示される酸素
原子を有していてもよい低級アルキレン基としては、例
えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基等の低級アルキレン基;オキシエチレン基、オキシプ
ロピレン基等の含酸素低級アルキレン基などを例示する
ことができる。
前記一般式〔I〕におけるR1〜R8としては、例えば水
素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル
基などを例示することができ、これらはそれぞれ異なっ
ていてもよく、部分的に異なっていてもよく、全部が同
一であってもよい。
前記一般式〔I〕におけるR9〜R12としては、例えば
水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアル
キル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などを
例示することができる。またR9とR10、またはR11とR12
とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9
またはR10とR11またはR12とは互いに環を形成してもよ
い。
R9とR10、またはR11とR12とが一体化して形成される
2価の炭化水素基としては、例えばエチリデン基、プロ
ピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基な
どをあげることができる。
R9またはR10とR11またはR12とから形成される環は単
環でも縮合多環であってもよく、架橋を有する多環であ
ってもよく、不飽和結合を有する環であってもよく、ま
たこれらの環と組合せからなる環であってもよい。この
ような環として具体的には、例えば などをあげることができる。これらの環はメチル基など
の置換基を有していてもよい。なお上記化学式において
1または2を付した炭素原子は前記一般式〔I〕におい
てR9〜R12が結合している炭素原子を表わしている。
多環式(メタ)アクリレート単量体(b)は、例えば
相応する下記一般式〔III〕 (式中、R1〜R12およびnは前記一般式〔I〕と同じで
ある。) で表わされる多環式環状オレフィンにギ酸を反応させる
か、またはその結果得られる多環式アルコールにエチレ
ンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキ
シドを反応させることにより、下記一般式〔IV〕 (式中、Z1およびZ2の少なくとも一方は水酸基であり、
他方は水素原子である。X1、X2、R1〜R12およびnは前
記一般式〔I〕と同じである。)で表わされる多環式ア
ルコールを得、次にこの多環式アルコールにアクリル
酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸類またはアク
リル酸ハライド、メタクリル酸ハライド等の(メタ)ア
クリル酸ハライド類などを反応させることによって製造
することができる。
前記一般式〔I〕で表わされる多環式(メタ)アクリ
レート単量体(b)の具体的なものとしては、例えば表
1に記載される化合物などをあげることができる。
(変性エチレン・α−オレフィン共重合体(A)) 本発明において(A)成分となる変性エチレン・α−
オレフィン共重合体は、エチレン・α−オレフィン共重
合体(a)に多環式(メタ)アクリレート単量体(b)
をグラフト重合した変性物である。
グラフト重合体 多環式(メタ)アクリレート単量体(b)のグラフト
割合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)40〜
98重量部に対して多環式(メタ)アクリレート単量体
(b)2〜60重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲で
ある。ここで(a)+(b)は100重量部となるように
選択する。グラフト重合を上記範囲とする本発明の変性
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、被配合樹
脂である環状オレフィン系ランダム共重合体(B)に対
する相溶性および分散性に優れ、耐衝撃性改良効果が大
きい。
変性エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のメル
トフローレート〔MFR、ASTM D 1238Lで測定した値〕は
通常20g/10分以下、好ましくは10g/10分以下の範囲が好
ましい。
グラフト重合の方法 エチレン・α−オレフィン共重合体(a)に多環式
(メタ)アクリレート単量体(b)をグラフト重合する
には種々の方法が採用でき、通常使用される方法として
は、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体(a)を
適当な溶媒に溶解した状態で重合開始剤と多環式(メ
タ)アクリレート単量体(b)を加えて加熱する溶液
法、エチレン・α−オレフィン共重合体(a)を溶融状
態で重合開始剤および多環式(メタ)アクリレート単量
体(b)とともに加熱混練する溶融法、ならびにエチレ
ン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散体に多環
式(メタ)アクリレート単量体(b)と重合開始剤を添
加する乳化法などを採用することができる。
上記溶液法においては溶媒として、例えばベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキ
サン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水
素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレ
ン、トリクロロエチレン、1−クロロブタン等のハロゲ
ン化脂肪族炭化水素系溶媒などを用いることができる。
グラフト反応は前記溶媒を用いて行い、エチレン・α
−オレフィン共重合体(a)の濃度が100〜500g/にな
るように調整しながら強撹拌下で行うのが好ましい。反
応温度はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)が前
記溶媒に溶解する温度以上であればよく、実際には50〜
200℃、好ましくは100〜180℃の範囲が好適である。時
間は通常0.5〜24時間が好ましい。
反応操作はバッチ式、連続式いずれでもよい。グラフ
ト反応はエチレン・α−オレフィン共重合体(a)溶液
に対して多環式(メタ)アクリレート単量体(b)およ
び重合開始剤を同時に逐次添加して行うことが好まし
い。また必要に応じてグラフト鎖長を制御するために、
tert−ブチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、
n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタ
ン、ラウリルメルカプタン、p−トルエンチオール等の
チオール類;四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ト
リニトロトルエン等の置換芳香族炭化水素類;アクロレ
インオキシム等のアクロレイン類;塩化鉄、塩化銅等の
ハロゲン化金属類;ジエチル亜鉛等の有機金属類などの
連鎖移動剤を重合系中に添加することができる。
多環式(メタ)アクリレート単量体(b)および重合
開始剤の添加量は、エチレン・α−オレフィン共重合体
(a)の種類、溶媒の種類、反応温度および所望のグラ
フト量などによって適宜に範囲を変えることができる。
前記溶融法でグラフト重合反応させる場合には、エチ
レン・α−オレフィン共重合体(a)をその融点以上の
温度に加熱して行われ、例えば押出機、バンバリーミキ
サー、コニーダー、ロールなどの混練装置を使用するこ
とができる。多環式(メタ)アクリレート単量体(b)
および重合開始剤は予めエチレン・α−オレフィン共重
合体(a)に配合しておくことが好ましいが、押出機を
使用する場合は、多環式(メタ)アクリレート単量体
(b)および重合開始剤を押出機にサイドフィードして
もよい。多環式(メタ)アクリレート単量体(b)およ
び重合開始剤の添加量は、溶液法の場合と同様に適宜に
範囲を変えることができる。
溶液法または溶融法で使用される重合開始剤として
は、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイ
ルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブ
チルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキ
シベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペ
ルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−
ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソ
ブチレート、tert−ブチルペル−sec−エクトエート、t
ert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t
ert−ブチルペルジエチルアセテート、メチルエチルケ
トンペルオキシド、tert−ブチルペルフタレート、ジ−
tert−ブチルペルアセテート等の有機ペルオキシドまた
は有機ペルエステル;アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、ジメチルアゾイソブチレート、1,1′−アゾビス
(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−シアノ−2−
プロピルアゾホルムアミド等のアゾ化合物などがあげら
れる。これらの中では、ジクミルペルオキシド、ジ−te
rt−ブチルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオ
キシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアル
キルペルオキシドが好ましい。
前記乳化法でグラフト重合反応を行う場合には、エチ
レン・α−オレフィン共重合体(a)を水性分散状態に
して、モノマーとしての多環式(メタ)アクリレート単
量体(b)を乳化グラフト重合させる。
グラフト重合の操作を行う水性分散体に前記ペルオキ
シド、必要に応じてジビニルベンゼン等の多官能性ビニ
ルモノマーなどの架橋助剤を加えて熱処理を行い、エチ
レン・α−オレフィン共重合体(a)を架橋して高分子
量化してもよい。このような高分子量化の操作により優
れた耐衝撃性改良剤が得られる場合もある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)の水性分散
体は、例えば特開昭51−62890公報に開示された方法で
得ることができる。
グラフト重合させる際には、通常過硫酸塩、有機過酸
化物などを重合開始剤に用いるのが好ましい。このよう
な重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過
硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル−ジメチルアニリン系
などをあげることができる。
また反応系を安定させるために界面活性剤を使用する
ことが好ましく、例えばラウリル酸ナトリウム、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウ
ムなどを使用することができる。
反応温度は0℃〜150℃の範囲で適宜に選ぶことがで
きる。また必要に応じてグラフト鎖長を制御するため
に、tert−ブチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタ
ン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプ
タン、ラウリルメルカプタン、p−トルエンチオール等
のチオール類;四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;
トリニトロトルエン等の置換芳香族炭化水素類;アクロ
レインオキシム等のアクロレイン類;塩化鉄、塩化銅等
のハロゲン化金属類;ジエチル亜鉛等の有機金属類など
の連鎖移動剤を重合系中に添加することができる。
以上に示した各種のグラフト重合方法を適宜に使用す
ることにより、所望のグラフト割合を有した変性エチレ
ン・α−オレフィン共重合体(A)が得られる。このよ
うにして得られた変性エチレン・α−オレフィン共重合
体(A)は耐衝撃性改良剤として使用することができ、
被配合樹脂である環状オレフィン系ランダム共重合体
(B)にブレンドしたとき、被配合樹脂の耐衝撃性を向
上させ、かつ曲げ弾性率(FM)および耐熱性などはほと
んど低下しない。
(環状オレフィン系ランダム共重合体(B)) 本発明における環状オレフィン系ランダム共重合体
(B)を構成する環状オレフィンは、前記一般式〔II〕
で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれた少な
くとも1種の環状オレフィンである。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)中において
は、前記一般式〔II〕で表わされる環状オレフィンは、
下記一般式〔V〕で表わされる構造の繰り返し単位を主
として形成している。
一般式 (式中、nおよびR1〜R12は前記一般式〔II〕と同じで
ある。) 前記一般式〔II〕におけるR1〜R8としては、例えば水
素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル
基などを例示することができ、これらはそれぞれ異なっ
ていてもよく、部分的に異なっていてもよく、全部が同
一であってもよい。
前記一般式〔II〕におけるR9〜R12としては、例えば
水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアル
キル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などを
例示することができる。またR9とR10、またはR11とR12
とは一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9
またはR10とR11またはR12とは互いに環を形成してもよ
い。
R9とR10、またはR11とR12とが一体化して形成される
2価の炭化水素基としては、例えばエチリデン基、プロ
ピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基な
どをあげることができる。
R9またはR10とR11またはR12とから形成される環は単
環でも縮合多環であってもよく、架橋を有する多環であ
ってもよく、不飽和結合を有する環であってもよく、ま
たこれらの環の組合せからなる環であってもよい。この
ような環として具体的には、例えば などをあげることができる。これらの環はメチル基など
の置換基を有していてもよい。なお上記化学式において
1または2を付した炭素原子は前記一般式〔II〕におい
てR9〜R12が結合している炭素原子を表わしている。
前記一般式〔II〕で表わされる環状オレフィンはシク
ロペンタジエン類と相応するオレフィン類とを、ディー
ルス・アルダー反応によって縮合させることにより、容
易に製造することができる。
前記一般式〔II〕で表わされる環状オレフィンとして
具体的には、表2に記載した化合物などを例示すること
ができる。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)は、前記環
状オレフィン成分およびエチレン成分を必須成分とする
ものであるが、これらの必須の2成分の他に本発明の目
的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な
不飽和単量体成分を含有していてもよい。任意に共重合
されていてもよい不飽和単量体としては、例えば炭素数
3〜20のα−オレフィン、炭素と炭素の二重結合を1分
子内に2個以上含む炭素水素系単量体などをあげること
ができる。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具
体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネ
ン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1
−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンな
どをあげることができる。炭素と炭素の二重結合を1分
子内に2個以上含む炭化水素系単量体としては、具体的
には1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチ
ル−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘキサジエ
ン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5
−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の
鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペン
タジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピ
リデン−2−ノルボンネン、6−クロロメチル−5−イ
ソプロペニル−2−ノルボルネン、4・9,5・8−ジメ
タノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベン
ゾインデン等の環状非共役ゼン;2,3−ジイソプロピリデ
ン−5−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピ
リデン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノル
ボルナジエンなどを例示することができる。これらのう
ちでは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、およ
び環状非共役ジエン、とりわけジシクロペンタジエン、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−
ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4
−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンが好ましい。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)において、
エチレン成分に由来する構造単位は40〜90モル%、好ま
しくは50〜70モル%の範囲、環状オレフィン成分に由来
する構造単位は10〜60モル%、好ましくは30〜50モル%
の範囲が適当であり、エチレン成分に由来する構造単位
および環状オレフィン成分に由来する構造単位はランダ
ムに配列した実質上線状の環状オレフィン系ランダム共
重合体を形成している。上記環状オレフィン系ランダム
共重合体(B)が実質上線状であり、ゲル状架橋構造を
有していないことは、この共重合体が135℃のデカリン
中に完全に溶解することによって確認できる。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)の135℃の
デカリン中で測定した極限粘度〔η〕は0.05〜10dl/g、
好ましくは0.08〜5dl/g、サーマル・メカニカル・アナ
ライザーで測定した軟化温度(TMA)は70℃以上、好ま
しくは90〜250℃、さらに好ましくは100〜200℃の範囲
が好ましい。
さらに環状オレフィン系ランダム共重合体(B)とし
ては、ヨウ素価(g−ヨウ素/100g共重合体)が30以
下、好ましくは25以下、ガラス転移温度(Tg)が通常50
〜230℃、好ましくは70〜210℃、X線回折法によって測
定した結晶化度が0〜10%、好ましくは0〜7%、とく
に好ましくは0〜5%の範囲のものが好ましい。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)は、特開昭
60−168708号公報、特開昭61−120816号公報、特開昭61
−115912号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−
271308号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62−25
2406号公報、特開昭62−252407号公報などにおいて、本
出願人が提案した方法に従い適宜条件を選択することに
より、製造することができる。
(エチレン・α−オレフィン共重合体(C)) 本発明で(C)成分として使用するエチレン・α−オ
レフィン共重合体(C)は、前記(A)成分を構成する
エチレン・α−オレフィン共重合体(a)と同じもので
ある。したがってエチレンの含量、α−オレフィンの種
類、共重合体の物性、ならびにエチレンおよびα−オレ
フィン以外に含有してもよい成分などは前記の通りであ
る。
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は必ずしも
独立した別の重合装置で重合したものを使用する必要は
なく、前記(A)成分をエチレン・α−オレフィン共重
合体(a)と多環式(メタ)アクリレート単量体(b)
から製造する際、グラフト反応がおこらなかった(a)
成分をエチレン・α−オレフィン共重合体(C)とし
て、これを分離せず、そのまま変性エチレン・α−オレ
フィン共重合体(A)とともに用いることができる。
本発明では、(C)成分を(A)成分とともに(B)
成分にブレンドするため、耐衝撃性を向上させることが
できる。
変性エチレン・α−オレフィン共重合体(A)、環状
オレフィン系ランダム共重合体(B)およびエチレン・
α−オレフィン共重合体(C)のブレンド割合は、
(A)成分5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、
(B)成分50〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、
(C)成分5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%とす
る。
本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物には、
上記必須の3成分のほかに、他の熱可塑性樹脂、耐熱安
定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブ
ロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合
成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割
合は適宜量である。例えば、任意成分として配合される
安定剤として、具体的にはテトラキス〔メチレン−3
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕メタン、β(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステ
ル、2,2′−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カル
シウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレー
ト、グリセリンモノラウレート、グリリンジステアレー
ト、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエ
リスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールト
リステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;ジ
ラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系安定剤など
をあげることができる。これらは単独で配合してもよい
が、組合せて配合してもよく、例えばテトラキス〔メチ
レン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜鉛およ
びグリセリンモノステアレートとの組合せ、またはテト
ラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとジラウリ
ルチオジプロピオネートとの組合せなどを例示すること
ができる。
環状オレフィン系ランダム共重合体(B)と、変性エ
チレン・α−オレフィン共重合体(A)およびエチレン
・α−オレフィン共重合体(C)とのブレンドは、環状
オレフィン系ランダム共重合体(B)をその融点以上の
温度に加熱して行うのが好ましく、例えば押出機、バン
バリーミキサー、コニーダー、ロール、ブラベンダープ
ラストグラムなどの混練装置を使用してブレンドするこ
とができる。環状オレフィン系ランダム共重合体(B)
およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は予め
変性エチレン・α−オレフィン共重合体(A)に配合し
ておくことが好ましい。
本発明の環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物は、押
出成形、射出成形など任意の方法で成形でき、従来の環
状オレフィン系重合体組成物と同様の用途、例えば電子
レンジ用品、プリント基板、高周波用回路基板、導電性
シートやフィルム等の電気分野、カメラボディ、各種計
器・機器類ハウジング、フィルム、シート、ヘルメッ
ト、自動車用内装材など種々の分野で利用できる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、環状オレフィン系ランダム共重合体
に多環式(メタ)アクリレートで変性した変性エチレン
・α−オレフィン共重合体およびエチレン・α−オレフ
ィン共重合体をブレンドするようにしたので、被配合樹
脂である環状オレフィン系ランダム共重合体が本来有し
ている特性を損なうことが僅かであり、その耐衝撃性が
著しく改善されており、特に耐衝撃性と剛性とのバラン
スに優れた環状オレフィン系熱可塑性樹脂組成物が得ら
れる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施
例に限定されるものではない。本発明における各種物性
値の測定方法および試験方法を次に示す。
(1)熱変性温度(TMA) セイコー電子(株)製TMA10(Thermo mechanical ana
lyser)を用いて、1mm厚さシートの熱変形挙動により測
定した。すなわち、シート上に石英製針をのせ、荷重50
gをかけ、5℃/分で昇温していき、針が0.1mm侵入した
温度をTMAとした。
(2)アイゾット衝撃試験(衝撃強度) 東洋精機(株)製アイゾット衝撃試験機を用いて、2m
m厚さのプレスシートから、長さ63.8mm、幅12.7mmの試
料を打ち抜き、0.25mmRのノッチをいれ、23℃で測定を
行った。
(3)曲げ試験(曲げ弾性率(FM)) ASTM D 790の方法に準じて行った。すなわち2mm厚さ
のプレスシートから、長さ63.8mm、幅12.7mmの試料を打
ち抜き、インストロン引張試験機を用い、圧縮速度5mm/
分、支持間距離32mm、23℃で測定を行った。
アイゾット衝撃試験、曲げ試験は、プレス成形後、3
日経過後に行った。
製造例1(変性エチレン・α−オレフィン共重合体A1の
製造) エチレン含量80モル%、プロピレン含量18モル%およ
びエチリデンノルボルネン(ENB)含量2モル%であっ
て、ヨウ素価12のエチレン・プロピレン・ENB三元共重
合体で、その70%がジビニルベンゼンと過酸化物により
架橋、不溶化された樹脂の水性分散体(固形分濃度10重
量%)200重量部に界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウ
ム)0.001重量部を添加した。この乳化溶液を60℃に加
温、撹拌しながらテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ド
デシル−3−メタアクリレート(以下、MTCDと略称す
る)8重量部および重合開始剤(過硫酸カリウム)0.2
重量部を4時間かけて滴下して乳化重合を行った。滴下
終了後撹拌下、さらに30分間、60℃で後反応を行った。
なお反応終了後、MTCDは100%反応していることをガス
クロマトグラフィーにて確認した。
この結果、固形分濃度が14重量%の乳白色の均一な水
性分散体が得られた。この水性分散体を乾燥して得られ
たポリマーから、還流温度でメチルエチルケトンを用い
てホモMTCDポリマーを6時間かけて抽出した後、グラフ
トポリマー重量からMTCDのグラフト量を算出したところ
20%であった。なおグラフト量とは変性ポリマー中のグ
ラフト重合している多環式(メタ)アクリレート単量体
の量を重量%で表わした値である。
一方、抽出したグラフトポリマーの酸素含量を分析
し、その結果より得られたグラフト量は表3に示すよう
に17%であった。課、グラフト量は酸素含量より算出し
た値とした。
このようにして得られた変性エチレン・α−オレフィ
ン共重合体を、以下A1と称する。
製造例2〜10(変性エチレン・α−オレフィン共重合体
A2〜A10の製造) 表3に示すように、グラフト重合する多環式(メタ)
アクリレート単量体の種類および配合量を変えて、製造
例1と同様な方法でグラフト重合を行い、変性エチレン
・α−オレフィン共重合体を製造した。グラフト量を表
3に示す。
このようにして得られた変性エチレン・α−オレフィ
ン共重合体を、以下それぞれA2〜A10と称する。
重合例1(エチレン・TCD−3共重合体B1の製造) 撹拌翼を備えた2ガラス製重合器を用いて、連続的
にエチレンとテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−
ドデセン(構造式; 以下TCD−3と略記する)との共重合反応を行った。す
なわち重合器上部から、重合器内でのTCD−3濃度が60g
/となるようにTCD−3のシクロヘキサン溶液を、重合
器内でのバナジウム濃度が0.9mmol/となるように触媒
としてVO(OC2H5)Cl2のシクロヘキサン溶液を、重合器
内でのアルミニウム濃度が7.2mmol/となるようにエチ
ルアルミニウムセスキクロリド〔Al(C2H51.5Cl1.5
のシクロヘキサン溶液をそれぞれ重合器に連続的に供給
するとともに、重合器下部から重合器内の重合液が常に
1に維持されるように重合液を連続的に抜出した。ま
た重合器上部から、エチレンを毎時85、水素を毎時0.
2、窒素を毎時45の速度で供給した。共重合反応は
重合器外部に取付けられたジャケットに冷媒を循環させ
ることにより10℃で行った。
上記反応条件で共重合反応を行って、エチレン・TCD
−3共重合体を含む重合反応混合物を得た。重合器下部
から抜き出した重合液にイソプロピルアルコールを少量
添加して重合反応を停止させた。次に、重合液に対して
約3倍量のアセトンが入った家庭用ミキサー中に、ミキ
サーを回転させながら重合液を投入し、生成共重合体を
析出させた。この共重合体を濾過により採取し、ポリマ
ー濃度が約50g/になるようにアセトン中に分散させ、
アセトンの沸点で約2時間共重合体を処理した。処理
後、濾過により共重合体を採取し、120℃で一昼夜減圧
乾燥した。
以上のようにして得られたエチレン・TCD−3共重合
体の13C−NMR分析で測定した共重合体中のエチレン含量
は67モル%、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
〔η〕は0.60dl/g、軟化温度(TMA)は111℃であった。
以下、このエチレン・TCD−3共重合体をB1と称する。
実施例1 製造例1で得た変性エチレン・α−オレフィン共重合
体A1 20重量部、エチレン含量80モル%、プロピレン含
量18モル%およびエチリデンノルボルネン(ENB)含量
2モル%であって、ヨウ素価12のエチレン・プロピレン
・ENB三元共重合体C1 10重量部および重合例1で得たエ
チレン・TCD−3共重合体B1 70重量部をドライブレンド
し、これに安定剤としてテトラキス〔メチレン−3(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕メタン0.5重量部およびジラウリルチオジプ
ロピオネート0.3重量部を配合し、ブラベンダープラス
トグラムを用いて190℃で混練した。混練後240℃で圧縮
成形を行い、1mmおよび2mm厚さのプレスシートを得た。
このシートより試験片を打ち抜き、熱変形温度(TM
A)、衝撃強度、曲げ弾性率(FM)を測定した。結果を
表4に示す。
実施例2〜10 成分の種類および配合割合を表4に示すように変えた
以外は実施例1と同様にして試験片を得、この試験片に
ついて各種物性を測定した。結果を表4に示す。
比較例1 実施例1で用いたエチレン・プロピレン・ENB三元共
重合体C1 20重量部およびエチレン・TCD−3共重合体B1
80重量部を用いて、実施例1と同様にして試験片を
得、この試験片について各種物性を測定した。結果を表
4に示す。
比較例2 エチレン・TCD−3共重合体B1 100重量部を用いて、
実施例1と同様にして試験片を得、この試験片につい各
種物性を測定した。結果を表4に示す。
表4の結果から、エチレン・TCD−3共重合体B1に変
性エチレン・α−オレフィン共重合体およびエチレン・
プロピレン・ENB三元共重合体C1をブレンドした本発明
の組成物は、エチレン・TCD−3共重合体B1単独のもの
に比べて耐衝撃性が大幅に改善していることがわかる。
また本発明の組成物はエチレン・TCD−3共重合体B1に
エチレン・プロピレン・ENB三元共重合体C1だけをブレ
ンドした組成物に比べて曲げ弾性率が向上していること
がわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/08 C08L 23/16 C08L 23/18 C08L 51/06 WPI/L

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)エチレン含量30〜95モル%の
    エチレン・α−オレフィン共重合体に、 (b)下記一般式〔I〕 (式中、Y1およびY2の少なくとも一方は(メタ)アクリ
    ロイルオキシ基であり、他方は水素原子であり、X1およ
    びX2はそれぞれ酸素原子を有していてもよい低級アルキ
    レン基、あるいはY1またはY2の直接結合を示す。R1〜R
    12は水素原子、炭化水素基またはハロゲン原子であっ
    て、それぞれ同一または異なっていてもよい。またR9
    R10、またはR11とR12とは一体化して2価の炭化水素基
    を形成してもよく、R9またはR10とR11またはR12とは互
    いに環を形成していてもよい。nは0または正の整数で
    あって、R5〜R8が複数回繰り返される場合には、これら
    はそれぞれ同一または異なっていてもよい。) で表わされる多環式(メタ)アクリレート単量体をグラ
    フト重合してなる変性共重合体であって、前記エチレン
    ・α−オレフィン共重合体(a)40〜98重量部に対して
    前記多環式(メタ)アクリレート単量体(b)2〜60重
    量部をグラフト重合してなる(ここで(a)+(b)は
    100重量部となるように選択する)変性エチレン・α−
    オレフィン共重合体5〜45重量%、 (B)エチレンと、下記一般式〔II〕 (式中、R1〜R12は水素原子、炭化水素基またはハロゲ
    ン原子であって、それぞれ同一または異なっていてもよ
    い。またR9とR10、またはR11とR12とは一体化して2価
    の炭素水素基を形成してもよく、R9またはR10とR11また
    はR12とは互いに環を形成していてもよい。nは0また
    は正の整数であって、R5〜R8が複数回繰り返される場合
    には、これらはそれぞれ同一または異なっていてもよ
    い。)で表わされる環状オレフィンから選ばれる1種以
    上の環状オレフィンとのランダム共重合体であって、エ
    チレン含量が40〜90モル%の環状オレフィン系ランダム
    共重合体50〜90重量%、および (C)エチレン含量30〜95モル%のエチレン・α−オレ
    フィン共重合体5〜45重量% からなることを特徴とする環状オレフィン系熱可塑性樹
    脂組成物。
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