JP2759926B2 - コンデンサの端子構造 - Google Patents

コンデンサの端子構造

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はコンデンサにかかり、特にコンデンサの外
部接続用の端子構造の改良に関する。
〔従来の技術〕
通常のコンデンサ、特に比較的大型のコンデンサは、
コンデンサ素子を収納した外装ケースの開口部に、外部
接続用の端子が固着された封口板を装着して形成してい
る。
このようなコンデンサでは、封口板を貫通して封口板
の裏面に突出した端子のリベット部に、コンデンサ素子
から導出したタブを、その先端部分に形成した透孔を挿
通させて係留し、更にワッシャ等を装着してこれらを一
体に圧接した端子構造を有している。
ところが、このようなコンデンサの端子構造では、タ
ブと外部接続用の端子は、端子のリベット部を介して圧
接による機械的な接続が行われているに過ぎない。この
ような機械的な接続の場合、各部位間の接触抵抗は避け
られず、そのため損失やインピーダンス値が大きくな
り、また静電容量値も不安定になってしまう。
そこで、コンデンサ素子から導出したタブと端子のリ
ベット部とを超音波溶接等により接続する手段が考えら
れている。
あるいは、電気的な溶接、例えばアーク溶接等の手段
で接続することが考えられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、超音波溶接等による端子のリベット部とタブ
との接続では、接触抵抗が低く、電気的接続は良好とな
るが、その接続強度が脆弱であるため、タブとリベット
部とを接続したのち、外装ケースに収納する工程中ある
いは収納した後に、タブが端子のリベット部から離脱し
てしまうことがあった。また、その接続工程における超
音波溶接の条件設定も煩雑であった。
更に、超音波溶接による接続構造では、超音波溶接に
必要な治具を封口板とコンデンサ素子との間隙に装着す
る必要があった。そのため、コンデンサ素子から導出す
るタブは、一定の長さ寸法以下に形成することが困難で
あった。タブの長さはインピーダンス特性に大きな影響
があり、短いほどインピーダンス値は低くなる。しか
し、従来の端子構造による場合、前記のような製造工程
上の要請から、タブを短くすることには限界があった。
また、アーク溶接等の電気的な溶接では、電気的およ
び機械的な接続状態は良好となるが、溶接部にカーボン
等の不純物が付着してしまう。また、冷間圧接、超音波
溶接により接続する場合は、その溶接部にタブおよび端
子とは異なる金属からなる溶接用の治具を圧着している
ので、溶接部に異種金属が微量に残存してしまうことが
あった。
このようにカーボン、異種金属等が溶接部に付着する
と、特に電解液を使用する電解コンデンサにおいては、
腐食等の原因となってしまう。そのため、コンデンサの
信頼性が損なわれるほか、タブと端子とを接続した後に
カーボン等の不純物を除去することが必要になる場合が
あった。
この発明の目的は、コンデンサ素子から導出したタブ
と外部接続用の端子との接続において、その接続強度を
維持しつつ、接触抵抗を最小限に抑制する接続構造の提
供にある。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明は、コンデンサの封口板を貫通した外部接続
用の端子に、コンデンサ素子から導出したタブの先端部
を載置し、このタブの先端部に、レーザ照射による複数
の溶接点をタブの長手方向と直交するように設けたこと
を特徴としている。
また、レーザ照射による複数の溶接点は、互いに重畳
しない位置に設けることを特徴としている。
〔作用〕
図面に示したように、この発明では、コンデンサ素子
から導出したタブ4は、端子2の端部、すなわちリベッ
ト部8の端面に、レーザ照射による複数の溶接点12をも
って接続されている。そしてこの溶接点12は、タブ4の
長手方向に対して直交する方向に配置されている。
レーザ照射による溶接では、タブ4に溶接用の治具等
を接触させない状態で、また短い時間で溶接することが
できるので、溶接による熱的、電気的な影響を他の部
位、例えばコンデンサ素子等に及ぼさず、良好な接続状
態を実現することができる。
また、タブ4と端子2とは、タブ4の長手方向に直交
するよう設けられた複数の溶接点12によって接続されて
いる。そのため、タブ4をリベット部8から引き剥がそ
うとするストレス、すなわちタブ4の長手方向に作用す
る力は、常に複数の溶接点12によって阻止されることに
なり、強固な接続状態を維持することができる。
なお、レーザ照射による溶接点12の数は、タブ4の幅
寸法に応じて設ける。
また、レーザ照射による複数の溶接点12が、互いに重
なり合うと、溶接点12におけるタブ4の機械的強度が脆
弱になってしまうことがある。特に、厚さ寸法の薄いタ
ブ4を接続する場合等は、溶接点12を互いに重畳しない
位置に配置しておくとよい。
〔実施例〕
以下この発明の実施例を図面にしたがい説明する。
第1図はこの発明の第1の実施例によるタブと端子と
の接続状態を示した斜視図、第2図はこの実施例による
端子構造を示す部分断面図である。また第3図はこの発
明の第2の実施例を説明する斜視図、第4図および第5
図はその他の実施例を説明する正面図である。更に第6
図は、この発明の実施例による端子構造を備えたコンデ
ンサと、従来のコンデンサとのインピーダンス周波数特
性を比較したグラフである。
図示しないコンデンサ素子は電極箔を巻回して形成し
ている。この電極箔には、アルミニウム等からなる帯状
のタブ4が、公知の手段で電気的に接続されている。そ
してタブ4は、コンデンサ素子の一方の端面から外部に
導出される。この実施例では、厚さ0.15mm、幅5mmで引
張強度(いわゆる母体強度)5.4kgのタブを使用した。
封口板1は、第2図に示すように、耐熱性の合成樹
脂、例えばフェノール樹脂等からなる硬質板15と弾性ゴ
ム等の弾性体14とを張り合わせている。そして中央部付
近には、封口板1を貫通するリベット部8と、封口部1
の一方の表面に配置された接続部9とからなる外部接続
用の端子2が固着されている。封口板1の他方の端面に
は、端子2のリベット部8が突出するとともに、リベッ
ト部8の端面には平坦部10が形成されている。このリベ
ット部8の平坦部10は、例えば圧接加工、圧延加工等に
より形成する。
端子2のリベット部8の平坦部10には、コンデンサ素
子から導出したタブ4を載置する。そして、このタブ4
と端子2との接合部において、タブ4の長手方向に対し
て直交する方向にレーザ13を照射して4点の溶接点12を
設ける。
この溶接点12は、イットリウム・アルミニウム・ガー
ネット(YAG)レーザを、出力エネルギー610V(17.5
J)、パルス幅8ms、焦点ズラシ+1.0mmの条件で照射し
て形成し、4点の溶接点をほぼ直線上に1mm間隔で配置
した。
この実施例によるタブ4と端子2との剥がし強度は、
平均で3.30kgであった。参考までに、従来の圧接による
接続では、通常2.90〜3.40kgの剥がし強度が得られ、実
施例ではこれとほぼ同等の剥がし強度が得られたことに
なる。
次いでこの発明の第2の実施例を図面にしたがい説明
する。
第3図は、この発明の第2の実施例を説明する斜視図
である。封口板1は、第1の実施例と同様に弾性体14と
硬質板15とを張り合わせた構造からなり、その中央部付
近には、封口板1を貫通するリベット部と外部に突出し
た接続部とからなる外部接続用の端子3が固着されてい
る。
封口板1を貫通して突出した端子3のリベット部の先
端は、予めリベット部の長手方向に沿った偏平部11を形
成しておく。
この実施例において、コンデンサ素子から導出したタ
ブ5は8mm幅のものを使用した。このタブ5をリベット
部の偏平部11に載置し、第1の実施例と同様に、YAGレ
ーザを、出力エネルギー1000V(40.0J)、パルス幅10.0
ms、焦点ズラシ+5.0mmの条件で照射して溶接点12を形
成した。溶接点12は、ほぼ直線上に1.2mm間隔で4点を
設けたところ、3.65kgの剥がし強度が得られた。
次に、この発明の第1の実施例による端子構造を有す
るコンデンサ〔A:定格電圧25V定格静電容量10,000μ
F〕と、タブとリベット部とを圧接により接続した同定
格のコンデンサ〔B〕をそれぞれ用意し、そのインピー
ダンス周波数特性を比較した。その結果を第6図に示
す。このグラフからも明らかなように、この発明の実施
例によるコンデンサは、従来のものに比較して、インピ
ーダンス周波数特性に優れており、端子構造での接触抵
抗が低いことが理解される。
なお、前記の実施例において、レーザ照射による溶接
点12は、いずれも直線上に配置した4点としたが、この
溶接点12は、配置されるタブの幅寸法、厚さ寸法に応じ
て複数設ければよい。
更に、より強固な剥がし強度を必要とする場合は、第
4図に示したように複数の溶接点12からなる配列を複数
列設けてもよい。また、第5図に示したように、複数の
溶接点12からなる配列を十字状に交差させてもよい。
〔発明の効果〕
以上のようにこの発明は、コンデンサの封口板を貫通
した外部接続用の端子に、コンデンサ素子から導出した
タブの先端部を載置し、このタブの先端部に、レーザ照
射による複数の溶接点をタブの長手方向と直交するよう
に設けたことを特徴としているので、タブをその長手方
向に引っ張る機械的ストレスは複数の溶接点で係止さ
れ、全体として強固な接続状態を得ることができるよう
になる。
また、タブと端子とはレーザ照射により溶接されるの
で、電気的な接続状態も良好になり、接触抵抗が下が
り、インピーダンス周波数特性が改善される。
更に、アーク溶接、冷間圧接等により端子とタブとを
接続した端子構造と比較して不純物の発生、付着が見ら
れず、コンデンサの電気的特性に悪影響を及ぼすことが
なく、信頼性が向上する。
また、レーザ照射によるスポット溶接では、タブに溶
接用の治具等を接触させない状態で、また短い時間で溶
接することができるので、溶接による熱的、電気的な影
響をコンデンサ素子等に及ぼさず、良好な接続状態を得
ることができるとともに、タブの長さを従来よりも短く
することができ、接続工程における作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1の実施例によるタブと端子との
接続状態を示した斜視図、第2図はこの実施例による端
子構造を示す部分断面図である。また第3図はこの発明
の第2の実施例を説明する斜視図、第4図および第5図
はその他の実施例を説明する正面図である。更に第6図
は、この発明の実施例による端子構造を備えたコンデン
サと、従来のコンデンサとのインピーダンス周波数特性
を比較したグラフである。 1……封口板、2,3……端子、4,5,6,7……タブ、8……
リベット部、9……接続部、10……平坦部、11……偏平
部、12……溶接部、13……レーザ、14……弾性体、15…
…硬質板。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンデンサの封口板を貫通した外部接続用
    の端子に、コンデンサ素子から導出したタブの先端部を
    載置し、このタブの先端部に、レーザ照射による複数の
    溶接点をタブの長手方向と直交するように設けたことを
    特徴とするコンデンサの端子構造。
  2. 【請求項2】レーザ照射による複数の溶接点は、互いに
    重畳しない位置に設けることを特徴とする請求項1記載
    のコンデンサの端子構造。
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