JP2759618B2 - ソーナー用位相合成処理装置 - Google Patents

ソーナー用位相合成処理装置

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JP2759618B2
JP2759618B2 JP6242363A JP24236394A JP2759618B2 JP 2759618 B2 JP2759618 B2 JP 2759618B2 JP 6242363 A JP6242363 A JP 6242363A JP 24236394 A JP24236394 A JP 24236394A JP 2759618 B2 JP2759618 B2 JP 2759618B2
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俊一 小浜
護 江川
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BOEICHO GIJUTSU KENKYU HONBUCHO
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海中(水中)の微弱な
信号を検出するソーナー受信処理装置において、ソーナ
ー受信信号を整相処理するためのソーナー用位相合成処
理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ソーナー受信処理装置は、図6
に示すとおり、複数の受波器#1〜#n(但し、nは2
以上の整数)からなる受波器群1と、各受波器からのア
ナログ出力信号をA/D変換する入力処理器2と、入力
処理器2の出力である各受波器についてのディジタル信
号を受け、指向性ビームを形成するための整相処理(時
間補償及び位相合成)を実行する整相処理器3と、周波
数分析等の雑音から信号を抽出する処理を行う信号処理
器4と、後段の表示記録器6に合わせて出力形態を変え
る出力処理器5とを備えている。
【0003】そして、図6のソーナー受信処理装置で
は、複数の受波器からなる受波器群1の出力信号を整相
処理器3で整相処理し、全周に指向性ビームを形成し
て、船舶からの発生音を含む海中音を受信し、船舶の方
位、距離及び船舶の信号の特徴を検出している。
【0004】図6のソーナー受信処理装置における整相
処理器3は、図7に示すデータメモリ10及び複数の加
算器11を内蔵している。整相処理器3では、入力処理
器2にて各受波器#1〜#nのアナログ出力信号をある
サンプリング周波数で標本化したディジタル信号を受
け、ディジタル時系列信号として各受波器出力信号のサ
ンプル値をデータメモリ10に格納する。例えば、図7
のデータメモリ10のメモリセルは受波器#1の1番
目のサンプル値、は受波器#1の2番目のサンプル
値、は受波器#1の3番目のサンプル値であり、以下
同様にしてサンプル順にメモリセルに格納(ストア)さ
れる。各加算器11は受波器#1〜#nのサンプル値か
ら各方位毎に指向性ビームを形成するのに必要な相対的
な遅延時間差を有するものを選択して加算して各方位出
力を出すものである。例えば、図7で一番左の加算器1
1は受波器#1〜#nの相対的な遅延時間差が零となっ
ている1番目のサンプル値をそれぞれ加算して受波器#
1〜#nの配列方向に垂直な向きの指向性ビームを形成
し、その隣の加算器11では、受波器#1〜#nの各サ
ンプル値のうち必要とされる相対的な遅延時間差(時間
補償)をもつものをそれぞれ加算して隣接する指向性ビ
ームを形成する(当該指向性ビームの方向からの信号が
到来したときに相互の位相が一致するサンプル値を選択
して加算する。)。
【0005】このように、ソーナー受信処理装置におい
て、船舶からの信号を検出するのに複数の受波器からな
る受波器配列体(受波器群)を用い、各受波器出力に、
図7の整相処理器内のデータメモリ10において、指向
性を付与するための時間補償(相対的な遅延時間差)を
与え、各方位ごと受波器出力を加算し(位相合成し)、
指向性ビームを形成している。これらの処理は指向性ビ
ームの形成による目標方位の検出及び信号対雑音比の改
善を行うための配列利得の向上を目的としている。
【0006】今、n個の無指向性受波器#1〜#nを用
いたときの整相処理器における動作原理図は図8で示さ
れる。この図8で入力信号X(t)のときの受波器#1の
出力には遅延時間τ1が、#2の出力には遅延時間τ
2が、#3の出力には遅延時間τ3が、以下同様に#nの
出力には遅延時間τnが与えられるものとし(各遅延時
間τは図7のデータメモリ10のメモリセルの選択によ
って得られる)、それらの遅延された出力P1(t)〜P
n(t)が加算器11で加算され、加算器出力Y(t)が得ら
れるようになっている。ここで、図9の受波器位置及び
音源位置説明図で示した諸量において、目標信号S(t)
の方向に指向性ビームを形成するために、受波器#1〜
#nにそれぞれ適切な遅延時間τ1〜τnを与え、それら
の遅延された出力をP1(t)〜Pn(t)とすると、加算器出
力のパワーV(t)は、時間平均して、次式で示される
(但し、V(t)はY(t)の2乗平均)。
【0007】
【数1】 但し、ρsij)は受波器番号i番目とj番目との信号
S(t)の相関係数であり、τij=0のときρs=1(最大
値)となる。
【0008】したがって、指向性係数Rは、
【数2】 但し、 τij=(1/C){sinγ−sinθ)(xi−xj) +(cosγ・sinψ−cosθ・sinφ)(yi−yj)} (2) 但し、C:音速、φ:図9に示す音源の高低角、θ:図
9に示す音源の方位角、ψ:整相処理による指向性ビー
ムの高低角、γ:整相処理による指向性ビームの方位角
とし、受波器番号i番目のXY座標での位置を(xi,
i)、受波器番号j番目のXY座標での位置を(xj,
j)とする。
【0009】また、配列利得(信号処理利得)AGは、
【数3】 但し、ρn(diji−τj)は、受波器近傍の雑音の時間
−空間相関関数とする。
【0010】従来の技術では、図9の直線配列受波器群
で説明すればX軸上に配列した受波器で、指向性の主極
はX軸を対称軸として全方向に形成される。図10は1
2個の受波器を図9のX軸上の直線上に配置した場合の
指向性であり、指向性ビームが直線配列受波器群の直線
に対して直角方向に向いている場合である。この直線配
列受波器群の場合に、主極を先鋭化するには受波器個数
を多くする必要がある。また、配列利得は(3)式から示
されるように受波器個数nにより大きくなる。しかし、
指向性の主極をある一方向に形成するには面または立体
配列する必要があり、また、受波器個数を多くすれば受
波器配列体が大きくなり、使用条件においては実現でき
ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述した整相処理にお
いて、受波器の直線配列によって今までにできなかった
指向性主極の方向性の改善及び指向性ビームの先鋭化に
よる目標方位精度の向上、さらに、配列利得の向上を実
現するためには、(1)式、(3)式に示すとおり、受波器個
数nの増大を図る必要がある。受波器個数の増大は、受
波器配列体の大型化、コストの増大等となり、従来、使
用条件による制約を受け、指向性ビーム及び配列利得の
向上に限界があった。
【0012】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、少数の受波器又は一群の受波器からなる受
波器配列体を用いる場合に、到来信号方向へ形成される
指向性ビームの特性改善、及び配列利得の向上を図り得
るソーナー用位相合成処理装置を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のソーナー用位相合成処理装置は、ソーナー
装置の複数の受波器からなる受波器配列体の各受波器出
力信号に遅延時間を与え、指向性を付与する時間補償を
行って位相合成する場合において、直線配列の複数の受
波器からなる受波器配列体の各受波器出力信号に指向性
を付与するための遅延時間をそれぞれ与えたデータ群
を、雑音が無相関となる時間をあけてデータメモリに複
数回記憶し、複数の受波器配列体を仮想的に有する仮想
空間を構成し、各回の記憶データを同じ指向性を有す
る如く合わせて加算処理して位相合成する構成としてい
る。
【0014】
【作用】本発明に係るソーナー用位相合成処理装置にお
いては、ソーナー装置の受波器出力信号に遅延時間を
与え、指向性を付与する時間補償を行って位相合成する
場合に、仮想空間整相処理を備えた構成としている。す
なわち、直線配列の複数の受波器からなる受波器配列体
の信号情報を雑音が無相関となる時間をあけて複数回記
憶した記憶データを用いることにより、仮想空間に複数
の受波器配列体が存在する直線配列受波器群の整相処理
と実質的に等価となるために、指向性ビームの改善が図
られ、目標分離能力の向上及び配列利得の向上による信
号対雑音比の改善が行える。
【0015】また、本発明では、少数の受波器を直線配
列した受波器配列体を用いる場合であっても、各受波器
からのディジタル時系列データを複数回時間を変えて記
憶した仮想空間データを使用することにより、受波器間
隔を補間する処理が可能となり、ある周波数の信号を受
信するための受波器間隔で、対象周波数とは周波数の異
なった信号を受信することもできる。
【0016】
【実施例】以下、本発明に係るソーナー用位相合成処理
装置の一実施例を図面を参照して説明する。
【0017】図1は本発明の実施例であって、複数の受
波器#1〜#n(但し、nは2以上の整数)を直線配列
した受波器群の各受波器からのアナログ出力信号をA/
D変換したディジタル時系列信号を受けて、指向性ビー
ムを形成するための整相処理を実行する整相処理器にお
いて、各受波器出力信号のディジタル時系列信号を格納
する受波器出力データメモリマップを示すものである。
なお、実際には各受波器#1〜#nは水中乃至海中に等
間隔で一直線上に固定的に配置されている。
【0018】図1の整相処理器は、仮想空間整相処理を
備えた構成としている。すなわち、受波器#1〜#nの
出力信号をあるサンプリング周波数で標本化し、ディジ
タル時系列信号として各受波器出力信号のサンプル値を
データメモリ10に格納する。従来、この記憶量は、受
波器配列長を音速で割った時間量であるが、本発明で
は、データメモリ10は従来の記憶容量の複数倍の記憶
容量をもち、受波器#1〜#nからなる直線配列受波器
群で現在受信したデータ群をTグループとしてデータメ
モリに格納し、Tグループより過去に受信したデータ群
もT1グループとしてデータメモリに格納しておく。但
し、TグループとT1グループとは雑音が無相関となる
時間だけ離れている。各グループのデータメモリ内のメ
モリセルに対する前記ディジタル時系列信号の格納順序
は図7で説明したのと同様である。各加算器11は受波
器#1〜#nのサンプル値から各方位毎に指向性ビーム
を形成するのに必要な相対的な遅延時間差を有するもの
を選択して加算して各方位出力を出すものである。ここ
では、各データ群T、T1の同一方位の指向性ビームを
形成するようなサンプルデータ値を合わせて加算器11
で加算して各方位出力を取り出している。例えば、図1
で一番左の加算器11は受波器#1〜#nの相対的な遅
延時間差が零となっているTグループ及びT1グループ
の1番目のサンプル値をそれぞれ加算して受波器#1〜
#nの配列方向に垂直な向きの指向性ビームを形成し、
その隣の加算器11では、受波器#1〜#nの各サンプ
ル値のうち隣接する指向性ビームに必要とされる相対的
な遅延時間差をもつものをTグループ及びT1グループ
についてそれぞれ加算して当該隣接する指向性ビームを
形成する。前述したように、整相処理が雑音により悪影
響を受けないようにTグループとT1グループとは雑音
が無相関となる時間(例えば数秒)だけ離して整相処理
を行っている。
【0019】但し、受波器間隔a、整相方向γとする
と、受信周波数の波長λとの関係から、a・cosγがλ
/4〜3λ/4の値をほぼ満足する値を選定する。この
設定値は、待ち受け受信方式のソーナー装置では固定値
となることから設計時に計算して、演算制御器に予め用
意する。
【0020】なお、ソーナー受信処理装置を構成する場
合のその他の構成は、図6の場合と同様である。
【0021】図1の実施例によれば、受波器#1〜#n
からなる直線配列受波器群で現在受信したTグループの
データ群と共にこれ以前のT1グループのデータ群(仮
想直線配列受波器群に対応)を整相処理することによ
り、見かけ上受波器数nが多くなり、(1)式及び
(3)式で示される指向性及び配列利得が改善される。
すなわち、図10の従来の指向性特性を示すグラフより
もさらに指向性が先鋭化される。
【0022】図2は本発明の他の実施例を示す。この実
施例では、受波器#1〜#nからなる直線配列受波器群
で現在受信しデータメモリ10に格納したデータ群をT
グループとし、Tグループより過去に受信し、格納した
データ群をT1,T2,…,Tmグループとする。ここ
では、各データ群T,T1,…,Tmの同一方位の指向
性ビームを形成するようなサンプル値を合わせて加算器
で加算して各方位出力を取り出すようにする。T,T
1,…,Tmグループ相互間は雑音が無相関となる時間
(例えば数秒)だけ離して整相処理を行う。
【0023】図2の実施例の場合、各データ群T,T
1,T2,…,Tを合わせて加算することにより、仮
想直線配列受波器群が個となって受波器数nが多くな
り、多数の受波器群を持つ直線受波器配列体で得られる
指向性及び配列利得となり、指向性が改善され、また、
(3)式より配列利得が大きくなる。
【0024】図3の(イ)は直線配列受波器群で現在受
信し格納したTグループのデータ群のみを整相処理する
従来型の場合、(ロ)はT,T1グループのデータ群を
合わせて整相処理する本発明の実施例の場合、(ハ)は
T−T3グループのデータ群を整相処理する場合(図2
の実施例でm=3の場合)であり、周波数と配列利得と
の関係を示す。この図3からデータ群の個数が増加する
のに伴い配列利得が向上することが判る。
【0025】図4は本発明の応用例であって、X軸方向
に直線配列受波器群を設けるとともに、これと直交する
Y軸方向にも直線配列受波器群を設け、X軸方向の直線
配列受波器群に対して前述の実施例と同様の整相処理を
実行するととともに、Y軸方向の直線配列受波器群に対
しても前述の実施例と同様の整相処理を実行する。これ
により、角度γ,ψ両方向における指向性がそれぞれ図
5に示したように先鋭化できる。
【0026】以上本発明の実施例について説明してきた
が、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の
範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者
には自明であろう。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明におけるソ
ーナー用位相合成処理装置では、実際の受波器を多数個
配列して得られる指向性及び配列利得が複数の受波器を
直線上に配列することにより得られる効果があり、海面
雑音の影響や他の船舶航走音の妨害を軽減でき、また、
大きな配列利得はより小さな信号レベルを検出できる効
果がある。
【0028】本発明のソーナー用位相合成処理装置は、
受波器群が海底等に固定されたときに大きな効果があ
り、受波器群の移動速度が大きい場合や目標との相対速
度が極めて大きい場合は効果が薄らぐが、遠くの目標信
号を受信する多くのソーナー装置では問題とならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るソーナー用位相合成処理装置の実
施例であって、整相処理器内のデータメモリに記憶され
た受波器出力のディジタル時系列データのメモリマップ
及び加算器を示す概要図である。
【図2】本発明に係るソーナー用位相合成処理装置の他
の実施例であって、整相処理器内のデータメモリに記憶
された受波器出力のディジタル時系列データのメモリマ
ップを示す概要図である。
【図3】本発明の実施例による配列利得と従来の配列利
得とを比較して示すグラフである。
【図4】本発明の応用例における受波器位置を示す説明
図である。
【図5】本発明の応用例の場合の指向性を示すグラフで
ある。
【図6】従来例及び本発明に係るソーナー装置受信系の
系統図である。
【図7】従来の整相処理器における受波器出力の時系列
ディジタルデータを蓄積するデータメモリ及び加算器を
示す概要図である。
【図8】図7の整相処理での整相処理原理概要図であ
る。
【図9】受波器配列と音源の位置関係を示し、本発明の
原理を説明するための説明図である。
【図10】従来の複数の受波器の直線配列体の場合の指
向性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 受波器群 2 入力処理器 3 整相処理器 4 信号処理器 5 出力処理器 6 表示記録器 10 データメモリ 11 加算器 #1〜#n 受波器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 3/80 - 3/86 G01S 5/18 - 5/30 G01S 7/52 - 7/64 G01S 15/00 - 15/96

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソーナー装置の複数の受波器からなる受
    波器配列体の各受波器出力信号に遅延時間を与え、指向
    性を付与する時間補償を行って位相合成するソーナー用
    位相合成処理装置において、 直線配列の複数の受波器からなる受波器配列体の各受波
    器出力信号に指向性を付与するための遅延時間をそれぞ
    れ与えたデータ群を、雑音が無相関となる時間をあけて
    データメモリに複数回記憶し、複数の受波器配列体を仮
    想的に有する仮想空間を構成し、各回の記憶データ
    同じ指向性を有する如く合わせて加算処理して位相合成
    することを特徴とするソーナー用位相合成処理装置。
JP6242363A 1994-09-12 1994-09-12 ソーナー用位相合成処理装置 Expired - Lifetime JP2759618B2 (ja)

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JPH0882672A JPH0882672A (ja) 1996-03-26
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JPS58198773A (ja) * 1982-05-14 1983-11-18 Nec Corp パツシブ受信装置
JPS6269175A (ja) * 1985-09-24 1987-03-30 Oki Electric Ind Co Ltd パツシブレンジング方式
JPS62287176A (ja) * 1986-06-06 1987-12-14 Hitachi Ltd アクテイブソ−ナ−システムの受信回路

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