JP2758486B2 - 写真フイルムカートリッジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フイルムを光密に収納するプラスチック製
の写真フイルムカートリッジ（パトローネ，カセッテ，
マガジンと称されるものを含む）に関し、詳しくはフイ
ルムを送り出すポート口の遮光構造に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

写真フイルムカートリッジはフイルムと、このフイル
ムを光密に遮光するカートリッジ本体とからなる。この
カートリッジ本体にはフイルムを出し入れするフイルム
通路が形成されており、このフイルム通路の上下内壁に
は遮光用のテレンプが貼り付けられている。このテレン
プは地布と、この地布に林立するパイルとからなり、地
布と地布との隙間を満たすパイルでフイルム通路の遮光
を行っている。

このような写真フイルムカートリッジは代表的なもの
として、35mmフイルムを収納した写真フイルムパトロー
ネが知られており、最近、このパトローネ本体をプラス
チックで形成した写真フイルムパトローネが使用されて
いる。このパトローネ本体に形成されるフイルム通路で
は、間口だ第14図に示すように、一対の側壁30,31で仕
切られており、前記テレンプ32は側壁30,31間に固着さ
れるため、貼付位置精度がわるいと、テレンプ32の端部
と側壁30,31との間に隙間が生じることがある。このた
め、この隙間から外光がパトローネ本体２内に進入した
場合に、フイルム６に光カブリが生じるという問題があ
った。この問題を解決するための写真フイルムパトロー
ネが、例えば特開昭57−190948号公報に開示されてい
る。この写真フイルムパトローネではフイルム通路の両
側端部に側面遮光用のテレンプを貼り付けている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述したパイルは先端では拡がってい
るが根元では束ねられているため、フイルム通路の中央
部分での遮光は確実になされるが、フイルム通路の端部
側での遮光は不完全になりやすい。このため、フイルム
通路の端部側に進入した外光が、第15図に示すようにテ
レンプ32で遮光されずにフイルム６の外周面に到達する
ことがある。この場合、前記進入する外光と外周面の接
線との為す角θが大きくなると、進入した光がフイルム
６を貫通しやすくなるため、フイルム６に何層にもわた
ってカブリが発生するという問題が生じる。

また、上述した公報記載の写真フイルムパトローネで
は、二種類のテレンプを貼り付けるため、コストがかか
るという問題があった。

〔発明の目的〕

本発明は上記事情に鑑みなされたもので、フイルム給
送時におけるテレンプとの摩擦を増大させずに、フイル
ム通路から進入する外光を確実に遮断できるようにした
低コストの写真フイルムカートリッジを提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記目的を達成するために、遮光性のプラス
チックで成形したカートリッジ本体と、このカートリッ
ジ本体に形成され、収納したフイルムを外部に導くフイ
ルム通路と、このフイルム通路に固着されたテレンプと
からなる写真フイルムカートリッジにおいて、前記フイ
ルムの側端部に対向するフイルム通路の側壁に、この側
壁とテレンプとの隙間に進入する外光を遮断する段差
を、外側でフイルム幅方向に幅広になるように形成し、
前記フイルムのベース面と乳剤面に対向するフイルム通
路の内壁に、前記テレンプの根元を通過して前記フイル
ムの外周面に到達する外光を遮光する段差をフイルム厚
さ方向に形成したものである。

〔作用〕

上述した本発明の構成により、パイルの根元付近を通
過した外光や側壁とテレンプとの間の隙間から内部に進
入する外光を遮断し、フイルムにカブリが生じることを
効果的に防止する。

〔実施例〕

まず、本発明の実施例に先立ち、フイルム通路から外
光の進入を防ぐために、これまでに種々検討されてきた
いくつかの形態について説明する。

第１図及び第２図は、遮光方法の一例として、フイル
ム通路に遮光用のテーパ面を形成した写真フイルムパト
ローネを示すものである。このパトローネ本体２は遮光
性のプラスチックで形成された一対のケーシング3,4か
らなり、内部にスプール５に巻かれたフイルム６を収納
している。このケーシング3,4の噛み合わせ部分には、
それぞれ板状の突起3a,4aが形成されており、この突起3
a,4aは繋ぎ目から内部に外光が進入するのを防止してい
る。

パトローネ本体２の外周には、先端にフイルム送出口
７を有するポート部８が形成され、さらにその内部には
フィルム６をフィルム送出口７に導くフイルム通路９が
形成されており、このフイルム通路９の上下内壁はテー
パ面9a,9bになっており、フイルム送出口７側で狭めら
れている。このテーパ面9a,9bには、地布10a及びパイル
10bからなる遮光用のテレンプ10がそれぞれ貼り付けら
れている。

パトローネ本体２の内周には、リング状のリブ11が一
対形成されており、これらのリブ11は前記フイルム６の
外周面に当接して、巻きほぐれを防止している。また、
これらのリブ11の両端にはフイルムの先端6aをテレンプ
９方向に向けてガイドするガイドリブ11a,11bがそれぞ
れ形成されている。また、ガイドリブ11aのパトローネ
本体内部側には、前記フイルムの先端6aをフイルム６の
外周面から剥離する分離爪12が形成されている。このた
め、スプール５を図中時計方向に回動したときには、フ
イルムの先端6aは即応して時計方向に回転させることが
できる。そして、フイルムの先端6aは分離爪12に当接す
るとフイルム６の外周面から剥離され、前記ガイドリブ
11a,11bにより、地布10aの隙間にガイドされる。この隙
間を通過したフイルムの先端6aは、フイルム送出口７か
らパトローネ本体２外に送り出される。

このように構成された写真フイルムパトローネでは、
フイルム送出口７付近のパイル10bの先端は、対向する
地布10aに接触している。このため、パイル10bの根元は
対向する地布10aのパイル10bの先端で満たされることに
なり、パイル10bの根元付近に進入する外光は確実に遮
断される。したがって、パトローネ本体２の内部は外部
から確実に遮光され、フイルム６にはカブリが発生する
ようなことはない。

なお、フイルムの先端6aは、パイル10bを押し分けて
地布10a間を通過するため、パイル10bが密になっている
と、フイルム６とテレンプ10との接触摩擦が増大して、
フイルムをスムーズに給送することができないが、フイ
ルム送出口７付近の密になったパイル10bの先端は、フ
イルム送出し時にはパトローネ本体２外に押し出され、
またフイルム巻戻し時には、広くなった地布10a間に移
動させられるので、この部分でのフイルム６とテレンプ
10との接触摩擦を増大させることはない。したがって、
フイルム６をスムーズに給送することができる。なお、
テレンプ10には、ベルベット，プラッシュ，パイルを有
する編物，植毛材料等パイルを有する各種の材料を使用
できる。

第３図に示す写真フイルムパトローネでは、前記ケー
シング3,4に設けられた板状の突起3b,4bで段差を形成
し、フイルム送出口７の隙間をフイルム通路９の隙間よ
り狭めている。この突起3b,4bは地布10aの表面より、パ
イル10bの長さの1/4程度に突出するように形成されてい
る。なお、この突起3b,4bはポート部８の変形を阻止す
る補強機能も有する。

このように構成された写真フイルムパトローネでは、
突起3b,4bはフイルム通路９に対し平行に、パイル10bの
根元付近に進入する外光を遮断する。また、フイルム送
出口７からフイルム通路９に対し平行に進入する外光
は、パイル10bで完全に遮光される。このため、パトロ
ーネ本体２の内部は外部から確実に遮光され、フイルム
６にはカブリが発生するようなことはない。また、フイ
ルムの先端6aが突起3b,4bの間に進入したときには、押
し分けられたパイル10bで保護されるため、フイルム６
に傷がつくようなことはない。

第４図に示す写真フイルムパトローネでは、フイルム
通路９のパトローネ本体内部側に、スプール５の軸方向
に沿って遮光部材15を形成している。フイルム６の光カ
ブリは、フイルム通路９のパトローネ内部側端面で最も
強く発生するため、このように構成された写真フイルム
パトローネでは、第５図に示すように、遮光部材15が下
側のパイル10bの根元を通過してフイルム６の外周面に
到達する外光を遮断することにより、外光によるフイル
ム６の光カブリの発生を減少させることができる。

第６図に示す写真フイルムパトローネでは、フイルム
通路９の上側内壁に切欠き16を形成し、この切欠き16内
に地布10aを嵌め込むように上側のテレンプ10を固着し
ている。これにより、上下のテレンプ10の隙間を狭くす
ることなく、フイルム通路９の下側内壁を上側内壁に地
布10aの厚み分近づけることができる。

このように構成された写真フイルムパトローネでは、
図示のように下側のパイル10bの根元を通過する光は、
第15図の写真フイルムパトローネより切欠き16の深さ分
高い位置でフイルム６の外周面に入射する。このため、
外光はフイルム６の外周面の接線に対して、小さな角度
θで入射するので、フイルム６に発生するカブリを減少
させることができる。なお、第2,第３の発明では、フイ
ルム６のアンチハレーション層の光吸収能力を上げてや
ると、さらにフイルム６に発生するカブリを減少させる
ことができる。ちなみに、現行のフイルム６では、吸光
度のピーク値が約0.8のものが用いられているが、この
吸光度のピーク値を倍の1.6にすると、アンチハレーシ
ョン層を通過する光の量を1/10にすることができる。

第７図に示す写真フイルムパトローネでは、段差20を
フイルム通路９の内部側の上下内壁に形成している。こ
の段差20は地布10aの厚み＋パイル10bの長さの1/4とな
っており、パイル10bの根元を通過してパトローネ本体
２内部に進入する外光の遮断を行う。

第８図及び第９図に示す写真フイルムパトローネで
は、一個のテレンプでフイルム通路の遮光を行ってお
り、第８図に示すようにポート部８を突出させないでパ
トローネ本体２外径を小さく抑えている。フイルム通路
９には、その上側内壁に段差20を形成するとともに、下
側内壁には２個の段差22a,22bを形成している。上側内
壁に固着されたテレンプ23は地布10aと上述したパイル1
0bより毛足の長いパイル23bとから構成されており、フ
イルム通路９の隙間の狭い部分ではパイル23bの先端は
下側内壁に接触しているが、隙間の広い部分では接触し
ていない。

このように構成された写真フイルムパトローネでは、
パイル23bの根元を通過した外光は段差20により、内部
への進入を阻止される。この他の外光の内部への進入は
フイルム通路９の隙間の狭い部分の密なパイル23bより
確実に阻止される。なお、隙間の狭い部分でパイル23b
が密になっているが、その幅は狭くなっているため、こ
の写真フイルムパトローネではフイルム６の給送に要す
る力を増すことはない。

第10図に示す写真フイルムパトローネでは、テレンプ
10が固着されるフイルム通路９の上下内壁に、テーパ面
24,25を形成したものである。このテーパ面24,25はパト
ローネ本体内部側に向かって、フイルム通路９の隙間を
広げるように傾けられている。このため、この写真フイ
ルムパトローネではフイルムの先端6aを、地布10a間に
スムーズに進入させることができる。

第11図（Ａ）及び第12図に示す写真フイルムパトロー
ネでは、フイルム通路９の両側壁に段差26を形成し、フ
イルム送出口７側でフイルム通路９の間口を拡げてい
る。この段差26には繋ぎ目27が生じるが、この繋ぎ目27
から内部に光が進入しないように、繋ぎ目27の噛み合わ
せに角度を持たせている。このように構成された写真フ
イルムパトローネでは、第12図に示すように、段差26は
フイルム通路９の両側壁とテレンプ10との隙間から進入
する外光を遮断する。更に第11図（Ｂ）のように、上記
噛み合わせ部の角度を持たせた部分が、上側から下側に
向かって食い込むように構成することもできる。

以上、説明した本発明の写真フイルムパトローネにフ
イルム、例えばフジカラースーパーHG400（商品名）を
装填した後、10万ルクスでこれを３分間曝光し、これを
現像して光カブリを目視判定したが、いずれのフイルム
にも光カブリの発生は認められなかった。

以下、本発明の実施例を添付図面を参照しつつ詳細に
説明する。

第13図は本発明を実施した写真フイルムパトローネを
示したものである。この写真フイルムパトローネでは、
フイルム通路９の上下内壁に段差20を、フイルム通路９
の両側壁に段差26を、またフイルム通路９の内部側に遮
光部材15を設けている。さらに、段差26の噛み合わせは
角度を持たせたラビリンス構造にしている。

このように構成された遮光構造において、好ましい寸
法は以下のようである。テレンプ台の幅Ａは5mm,段差の
高さＢは1mm,段差の高さＣは1mm、遮光部材の長さＤは3
mm,段差21から遮光部材15の基部までの幅Ｅは1.5mm,噛
み合わせ角度αは30度とする。

このように構成した写真フイルムパトローネに、上述
したフジカラースーパーHG400（商品名）を装填した
後、10万ルクスでこれを３分間曝光して、これを現像し
て光カブリを目視判定したが、フイルムには光カブリの
発生は認められなかった。

なお、上記の実施例では、写真フイルムパトローネを
もとに本発明について説明してきたが、本発明は、例え
ば110写真フイルムカートリッジやその他のプラスチッ
ク製の写真フイルムカートリッジにも同様に適用するこ
とができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明においては、遮光性のプ
ラスチックで成形したカートリッジ本体と、このカート
リッジ本体に形成され、収納したフイルムを外部に導く
フイルム通路と、このフイルム通路に固着されたテレン
プとからなる写真フイルムカートリッジにおいて、前記
フイルムの側端部に対向するフイルム通路の側壁に、こ
の側壁とテレンプとの隙間に進入する外光を遮断する段
差を、外側でフイルム幅方向に幅広になるように形成
し、前記フイルムのベース面と乳剤面に対向するフイル
ム通路の内壁に、前記テレンプの根元を通過して前記フ
イルムの外周面に到達する外光を遮光する段差をフイル
ム厚さ方向に形成したので、フイルム給送時におけるテ
レンプとの摩擦を増大させずに、フイルム通路から進入
する外光を確実に遮断できるようにした低コストの写真
フイルムカートリッジを提供することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は写真フイルムパトローネの一例を示す斜視図で
ある。 第２図は第１図に示す写真フイルムパトローネの断面図
である。 第３図は第２例の写真フイルムパトローネの断面図であ
る。 第４図は第３例の写真フイルムパトローネを一部破断し
た斜視図である。 第５図は第４図に示す写真フイルムパトローネの断面図
である。 第６図は第４例の写真フイルムパトローネの断面図であ
る。 第７図は第５例の写真フイルムパトローネの断面図であ
る。 第８図は第６例の写真フイルムパトローネの斜視図であ
る。 第９図は第８図に示す写真フイルムパトローネの断面図
である。 第10図は第７例の写真フイルムパトローネを示す断面図
である。 第11図（Ａ）は第８例の写真フイルムパトローネを、一
部破断した斜視図である。 第11図（Ｂ）は第９例の写真フイルムパトローネの要部
拡大図である。 第12図は第11図（Ａ）に示す写真フイルムパトローネの
正面図である。 第13図は、本発明を実施した写真フイルムパトローネを
示す斜視図である。 第14図は従来の写真フイルムパトローネの正面図であ
る。 第15図は第14図に示す写真フイルムパトローネの断面図
である。 ９……フイルム通路 15……遮光部材 20,26……段差

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】遮光性のプラスチックで成形したカートリ
   ッジ本体と、このカートリッジ本体に形成され、収納し
   たフイルムを外部に導くフイルム通路と、このフイルム
   通路に固着されたテレンプとからなる写真フイルムカー
   トリッジにおいて、 前記フイルムの側端部に対向するフイルム通路の側壁
   に、この側壁とテレンプとの隙間に進入する外光を遮断
   する段差を、外側でフイルム幅方向に幅広になるように
   形成し、前記フイルムのベース面と乳剤面に対向するフ
   イルム通路の内壁に、前記テレンプの根元を通過して前
   記フイルムの外周面に到達する外光を遮光する段差をフ
   イルム厚さ方向に形成したことを特徴とする写真フイル
   ムカートリッジ。