JP2758027B2 - 人工血管 - Google Patents

人工血管

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は人工血管、特に哺乳動物の血管を処理し、生
体内の血管と同様の措置と機能を持つことが期待される
人工血管を製造する方法及びそれより得られる人工血管
に関する。
〔従来の技術〕
これまで多くの研究者によって人工血管の材質や構
造、さらには表面修飾などについて研究されており、ダ
クロン(登録商標)やテフロン(登録商標)を素材とす
るものの研究がなされ、特に自家静脈使用不能例の小口
径血管にはエキスパンデッド ポリテトラ フルオロ
エチレン(EPTFE)血管が主に使用されている。最近で
は抗血栓性と柔軟性をもつ新しい素材としてポリウレタ
ンが注目されている(松本博志,人工臓器,17:610,198
8、および田村康一ら、人工臓器、17:614,1988)。また
既存の素材を使用したものでも良好な治療過程を得るた
めにコラーゲン被膜〔スコット(Scott S.M.)ら、ジャ
ーナル オブ カルディオヴァスクサージェリー(J.Ca
rdiovasc.Surg.)28:498,1987〕やアルブミン浸漬〔マ
クグリー(Mcgree G.S.)らアメリカン サージヨン(A
mer.Surrgeon.)53:695,1987〕などの工夫をした人工血
管も開発されている。さらには培養系を利用して人工血
管の内皮細胞を植えつける(seeding)ハウブリッド型
人工血管の研究もヘリングら〔ヘリング(Herring M.)
らサージェリー(Surg.)84:498,1987〕やグラハムら
〔グラハム(Graham L.M.)ら、アーケイック サージ
ェリー(Arch.Surg.)115:1298,1980〕によって報告さ
れて以来多くの研究がなされている。また本来生体内に
存在しない人工物を使用するよりも、生体由来の血管結
合織を素材として使用したほうが良いとする考えもあ
り、ヒト臍体静脈をグルタルアルデヒドで架橋処理した
代用血管もしばしば使用されてきた〔ダルディック(Da
rdic H.)ら、アナーレン サージェリー(Ann.Surg)1
83:252,1976、および笹嶋唯博、日外会誌、85:65,198
4〕。
又天然血管に類似した血管壁モデルの作成は、ジョー
ンズ(Jones)が1979年、ラット平滑筋細胞をデイシュ
上で培養し細胞外基質を十分産生させた後、ウシ内皮細
胞を平滑筋細胞層の上に植付け(seeding)し一種の血
管壁モデルを作成し、培養下における血管壁の再構築
(remodeling)の可能性を示した〔ジョーンズ(Jones
P.A.):プロシージングス オブ ザ ナショナル ア
カデミー オブ サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.),
76:1882,1979〕。ワインベルグ(Weinberg)らはコラー
ゲン ゲルを利用して血管モデルを作成した〔ワインベ
ルグ(Weinberg,C.B.),サイエンス(Science):231:3
97,1986〕が、強度や弾性の面から代用血管への応用は
難しい。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記のとおり、高血栓性に優れ、適度な弾性を持ち、
かつ細胞親和性の良い人工血管を開発するために、人工
血管の材質や構造、表面修飾の検討、さらに培養系を利
用したハイブリット型人工血管など、多くの研究が行わ
れている。しかし、自家静脈以上のものはまだ開発され
ていない。また、生体材料をグルタルアルデヒドやポリ
エポキシ化合物などで架橋処理した血管には生きた血管
壁細胞は存在せず、また細胞親和性も必ずしも良好とは
いえない。
又、天然血管に類似した血管壁モデルの作成について
も、これまで試験管内(in vitro)で完全な形で血管壁
モデルを作成した例はない。
したがって、小口径血管や静脈系血管に対する血行再
建術に用いられる十分満足できる人工血管の開発が望ま
れるところである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、血管結合織と血管壁細胞が存在する天然
血管とほぼ同等の構造と機能を持った代用血管が最も理
想的な人工血管であるという考えから、培養系を用いた
新しい生体代用血管の作成を目指し、その基礎として天
然血管とほぼ同等の構造をもつ血管壁モデルを試験管内
(in vitro)で作成することを試みた結果、哺乳動物の
血管の血管壁を特定の溶液で処理し、ついで特定の細胞
で培養することにより天然血管に近い血管壁を有するも
のが作られることを見出し、本発明に到達したものであ
る。
即ち、本発明は、哺乳動物の血管の血管壁をギ酸処理
後、平滑筋細胞と内皮細胞を培養して、該血管壁を再構
築することを特徴とする人工血管の製造方法及び上記の
方法により作られた人工血管に関する。
哺乳動物の血管としてはブタ、犬、牛、ウサギをはじ
めとする哺乳動物の大動脈を用いることができる。
人工血管において、天然血管とほぼ同等の構造と機能
を持った生体代用血管が最も理想的であると考えられ、
コラーゲンとエラスチンを基本骨格とし平滑筋細胞や内
皮細胞を有し、かつ、将来的には自己血管そのものに変
化しうる代用血管であることが必要であり、そして、適
度な弾性と強度を得るにはエラスチンの弾性板構造が必
要と考えられる。この血管壁の基本骨格となる細胞外期
質(extracellular matrix)を人工的に作成することは
容易ではなく、天然血管を利用するのが簡便であり、そ
のためには異種血管の抗原性を除去しかつ細胞親和性の
ある基質(matrix)とするような処理方法が必要とな
る。そこで異種血管の細胞成分はもちろん、エラスチン
とコラーゲン以外の蛋白や糖をできるだけ除去できる処
理方法を検討した結果、ギ酸水溶液での処理が適当であ
った。
用いられるギ酸水溶液の濃度は70〜95%好ましくは80
〜90%であり、処理時間は1日〜1週間である。また処
理温度は5℃以下、好ましくは4℃以下が適当である。
ギ酸はある条件下では血管のエラスチン以外の成分を大
部分除去し、弾性板の基本構造をほぼ原形のまま残すこ
とが知られているがエイ.エム.エイ アルカィーブ
パソロジー(A.M.A.Arch Path,65:519,1958)、本発明
者は5℃以下で処理すれば機械的強度が維持できる程度
にコラーゲンが残ることを見出した。
その他溶液での処理;例えば蒸留水は浸透圧により細
胞を膨潤させ水溶性の糖や蛋白を除去できると考えられ
たが、結合織の密な血管壁深部までは作用させるのはむ
ずかしい。トライトン(Triton)X100(ローム アンド
ハートナ社)は非イオン性の表面活性剤であり生体膜
を可溶化するため細胞除去には適していると考えられた
がこの方法でも不十分であった。また塩酸グアニジンは
血管壁のコラーゲンやエラスチンを分画するのにしばし
ば使われており、ギ酸等の有機酸と同様に用いることが
できる。ギ酸等の有機酸や塩酸グアニジン処理により強
度が若干は減弱するがこれは血管壁細胞による結合織や
再合成によって強化されるので不都合ではない。ギ酸等
の有機酸や塩酸グアニジン処理した血管はついで血管壁
の再構築を行う。そのため平滑筋細胞と内皮細胞を培養
する。
平滑筋細胞はウサギ平滑筋細胞、ブタ平滑筋細胞、牛
平滑筋細胞、犬平滑筋細胞等が用いられる。又内皮細胞
はブタ内皮細胞、犬内皮細胞等が用いられる。
培養方法としては、滅菌したギ酸等の処理血管壁を蒸
留水および生理食塩水で水洗浄し、ダルベッコ改変イー
グル培地(DMEM)(細胞接着因子として利用されるフィ
ブロネクチン等100μg/ml含有)に浸透した後、(1)
ブタ平滑筋細胞浮遊液(約1×104-5cells/ml)中で培
養するか、又は(2)ブタ平滑筋細胞浮遊液(約1×10
5-6cells/ml)を27Gの注射針で約0.2ml/graft注入した
後、培養する。培養時間は1週間以上好ましくは1ヶ月
以上である。
又、ウサギ平滑筋細胞等についても上記ブタ平滑筋細
胞と同様の方法で培養する。
血管壁の再構築には平滑筋細胞の培養に加えてさらに
内皮細胞が培養される。この内皮細胞の培養は平滑筋細
胞培養、或いは同注入培養後の血管壁を0.5mg/m1フィブ
ロネクチン(fibronectin)/DMEM等の細胞接着物質に浸
漬(室温〜37℃、1〜数日)後、及ブタ内皮細胞浮遊液
(約1×105cells/ml)と共に培養する。
以上のようにして、哺乳動物のギ酸処理血管を用いて
試験管内で血管壁の再構築を行なった。平滑筋細胞との
培養は天然血管のような弾性板間に多数の細胞が散在性
に存在する状態を作成するためのものであり、又内皮細
胞との培養は内膜再構築である。平滑筋細胞が壁外から
自然に壁内深層に侵入するまでには長期間(4週間以
上)を要する。
〔作用〕
哺乳動物の血管を有機酸や塩酸グアニジンで処理し、
平滑筋細胞及及び内皮細胞を培養することにより、血管
結合織と血管壁細胞を有した天然血管に近い血管壁モデ
ルが試験管内で作成できることが示された。この手法に
より天然血管とほぼ同様の構造と機能をもった生体代用
血管の作成が可能となる。すなわち異種血管や死体血管
を処理した後、患者自身の血管の一部から培養増殖させ
た血管壁細胞で血管壁を再構築させることにより抗血栓
性と弾性をもった生体代用血管となり、移植後は自己の
細胞によって分解吸収と再合成がなされ、最終的には自
己血管そのものに変化する可能性のある血管が期待でき
るものである。
〔実施例〕
以下に実施例を記載して本発明を更に説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
用いた材料及び各種の測定は以下のとおりであった。
1.血管壁細胞(内皮細胞及び平滑筋細胞)の採取および
培養方法 ブタ胸部大動脈の内膜から擦過法で内皮細胞を採取し
10%牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DM
EM)で継代培養した。平滑筋細胞は中膜からエクスプラ
ント(explant)法で分離培養した。またウサギ平滑筋
細胞も同様に胸部大動脈より採取培養した。実験にはそ
れぞれ2〜4継代の細胞を使用した。
2.各種処理血管壁の断裂強度試験法 約6mm幅の各種各種処理血管壁に5−0針付きナイロ
ン糸を通し一方向に加重し断裂時の加重量を測定した。
3.処理血管壁の蛋白分画定量法 各処理血管の処理前後の乾燥重量を測定するとともに
ギ酸処理群および塩酸グアニジン処理群については総蛋
白量、コラーゲン量およびエラスチン量を簡易的に定量
した。
(1)コラーゲン定量 第4表に示す方法で分画した水溶性分画とオートクレ
イブ(120℃、12時間、2回)可溶性分画中のヒドロキ
シプロリンをウェスナー(Woessner)法〔Woessner,J.
F.Jrら、アーキテクチュア バイオケミカルズ アンド
バイオフィズカルズ(Arch.Biochem.Biophys.),93:4
40,1961〕にて測定しコラーゲン量に換算(ヒドロキシ
プロリン量×10)した。
(2)エラスチン定量 第4表に示す不溶性分画をエラスチン量とした。
(3)総蛋白量の定量 第4表に示す水溶性分画とオートクレイブ可溶性分画
中からロゥリー(Lowry)法で測定した蛋白量と上記測
定エラスチン量との和を総蛋白量とした。
実施例1 異種血管の血管壁の処理 (1)血管壁の基本骨格となる外細胞基質(extracellu
lar matrix)を作成するため、異種血管の抗原性を除去
し、且つ細胞親和性のある基質とするために、ブタ大動
脈の外膜を除去し約6×8mm大の短冊状に分割した後、
蒸留水浸漬(4℃、72時間)、グルタルアルデヒド
処理(1%、20℃、48時間)、ポリエポキシ化合物
(Denacol EX 810,ナガセ化成)処理(5%、20℃、48
時間)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエ
ーテル(Triton X100、ローム アンド ハース社製)
処理(1%、4℃、72時間)、塩酸グアニジン処理
(5M、4℃、72時間)、ギ酸処理(88%、4℃、72時
間)の6種の処理群に分けた。各処理後、蒸留水で十分
洗浄してから70%エタノールに浸漬保存した。
(2)次いで、各種エタノール浸漬血管壁を蒸留水およ
び生理食塩水で十分洗浄し100μg/mlフィブロネクチン
(fibronectin)含有DMEMに浸漬(37℃、24時間)後、
ウサギ平滑筋細胞浮遊液(約5×104cells/ml)中で培
養した。さらに前記ウサギ平滑筋細胞と同様の方法で、
各種処理血管壁とブタ内皮細胞浮遊液(約4×104cells
/ml)を培養した。
前記処理をしたブタ大動脈壁に上記の方法でウサギ平
滑筋細胞を培養させたものの培養2日後の走査電顕的観
察では第1図および第1表に示すように、グルタルアル
デヒド処理群で細胞接着が不良であったが、他群では良
好であり一週間後にはほぼ良好になった。
第1図は各種処理血管へのウサギ平滑筋細胞培養2日
後の走査電顕像(×400)であり、A 蒸留水処理:表
面は平滑筋細胞でほぼ完全に覆われている。B glutar
aldehyde処理:平滑筋細胞の接着はわずかである、C
Denacol処理:平滑筋細胞が多数接着している、D ギ
酸処理:表面は平滑筋細胞で完全に覆われている、こと
を示すものである。
さらに、培養2週間後の光顕的観察ではグルタルアル
デヒド処理群を除いて1〜2層の閉館筋細胞層が形成さ
れていたが、壁内深層への細胞侵入はほとんど認めなか
った(第3図)。培養4週間後のギ酸処理血管壁の光顕
的観察では壁内深層への平滑筋細胞の侵入を認めた。し
かし他群ではほとんど見られなかった。また、ギ酸処理
群の血管壁内には元の細胞成分は完全に消失した。しか
し、他の処理群では多少の細胞成分の残存を認め、特に
蒸留水処理群では多数残存していた(第2図)。
第2図は各種処理血管へのウサギ平滑筋細胞培養2週
間後の光顕像(×400)であり、A 蒸留水処理、B g
lutaraldehyde処理、C Denacol処理、D ギ酸処理し
たものである(glutaraldehyde処理血管を除いて1〜2
層の平滑筋細胞層を認める。
以上の結果から、血管壁の細胞成分を完全に除去しか
つ細胞の接着および壁内侵入に適した処理方法としては
ギ酸で処理するのが最も良い方法であることがわかる。
又、ブタ内皮細胞培養2日後押の走査電顕適観察で
は、ウサギ平滑筋細胞とほぼ同様にグルタルアルデヒド
処理群でほとんど内皮細胞の接着を見なかった。しかし
他群では比較的良く接着増殖しており(第1表)、培養
1週間目にはほぼ良好であった(第3図,第4図)。
第3図はギ酸処理血管へのブタの平滑筋細胞および内
皮細胞培養の走査電顕像であり、A ギ酸処理血管内膜
面:細胞成分は全く存在せず内弾性板が露出している
(×400)、B 平滑筋細胞培養2週間後:完全な平滑
筋細胞層で覆われている(×100)、C 内皮細胞培養
1週間後:完全な内皮細胞層が形成されている(×40
0)、ことを示すものである。
又、第4図は各種光顕像であり、A 未処理血管:内
膜側は一層の内皮細胞で覆われ、壁面には平滑筋細胞が
多数存在している(×400)、B ギ酸処理血管:細胞
成分は完全に消失しているが、弾性板構造は温存されて
いる(×400)、C 平滑筋細胞seeding4週間後:平滑
筋細胞が壁内深層まで侵入している(×400)、D 内
皮細胞seeding1週間後:一層の内皮細胞が形成されてい
る(×400)、E 平滑筋細胞注入培養2週間後:弾性
板間に平滑筋細胞が散在している(×400)、F 平滑
筋細胞注入1週間+内皮細胞seedig3日後:内膜は完全
な一層にはなっていないが内皮細胞が接着しており、壁
内には少数であるが平滑筋細胞が散在している(×20
0)、ことを示すものである。
又、断裂強度はギ酸処理群と塩酸グアニジン処理群で
は減弱しており、デカノールやグルタルアルデヒドの架
橋処理群では未処理群よりも強かった(第2表)。
そして、各処理後の乾燥重量測定結果から、各処理に
よる血管壁成分の損失量がわかり、ギ酸処理群および塩
酸グアニジン処理群の蛋白分画をみると、コラーゲン量
はわずかに減少しているが、エラスチン分画は処理前後
でほとんど変化せず、その他の蛋白成分の損失が大きい
ことがわかった(第3表)。このことから、ギ酸処理ま
たは塩酸グアニジン処理によりエラスチンとコラーゲン
を主成分とする血管壁構築を残すことができることがわ
かる。
実施例2 ギ酸処理血管壁の血管壁再構築 (1)ブタ大動脈壁のギ酸処理 冷凍保存(−80℃)ブタ大動脈の外膜を除去した後約
6×8mm大に細切し、88%ギ酸に浸漬(4℃、72時間)
した後、蒸留水およびリン酸緩衝液(pH8.0)で十分洗
浄中和した。さらに滅菌のため70エタノールに24時間以
上浸漬保存した。
(2)ブタ平滑筋細胞の単純培養 滅菌したギ酸処理血管壁を蒸留水および産理食塩水で
十分洗浄し、DMEM(フィブロネクチン100μg/ml含有)
に浸漬(37℃、24時間)した後、ブタ平滑筋細胞浮遊液
(約1×104-5cells/ml)中で培養した。
(3)ブタ平滑筋細胞の注入培養 上記と同様に処理した血管壁内にブタ平滑筋細胞浮遊
液(約1×105-6cells/ml)を27Gの注射針で約0.2ml/グ
ラフト注入した後押、培養を継続した。
(4)平滑筋細胞と内皮細胞の共存培養 ブタ平滑筋細胞注入培養1〜2週間後の血管壁を0.5m
g/mlフィブロネクチン/DMEMに浸漬(37℃、10分)した
後、ブタ内皮細胞浮遊液(約1×105cells/ml)と共に
培養した。
得られた結果は以下のとおりである。
(1)動脈壁をギ酸処理することによって、エラスチン
とコラーゲンを主成分とした結合組織片を作成すること
ができ、光顕および走査電顕的観察では細胞成分は全く
見られず、ほぼ原形に近い弾性板構造と膠原繊維および
弾性繊維網が観察された(第3図C,第4図D)。
(2)ギ酸処理血管壁への平滑筋細胞培養1〜2週間後
には組織片表面はほぼ完全に平滑筋細胞層で覆われ、弾
性板内への細胞侵入はわずかであったが、4週間以上で
は壁内深層への細胞侵入が得られた(第4図C)。
(3)ギ酸処理血管壁の平滑筋細胞注入培養1〜2週間
後の光顕像では、弾性板間に均等ではないが、平滑筋細
胞が散在性に見られた(第4図E)。
(4)平滑筋細胞注入血管壁と内皮細胞の共存培養で
は、数日間で内膜面はほぼ完全に内皮細胞層で覆われた
(第3図C,第4図F)。これは平滑筋細胞を含むエラス
チン弾性板構造をもち、表面は内皮細胞で覆われてお
り、天然血管に近い血管壁モデルといえるものであっ
た。
〔発明の効果〕
本発明により、血管結合織と血管壁細胞が存在する天
然血管とほぼ同等の構造と機能を持ち、これまでの人工
血管に比して小口径血管や静脈血管に対する血行再建術
に使用できる人工血管の作成が期待できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は各種処理血管へのウサギ平滑筋細胞培養2日後
の走査電顕像(×400)であって生物の形態を示す写真
であり、第1図Aは蒸留水処理、第1図Bはグルタルア
ルデヒド処理、第1図Cはデカノール処理、第1図Dは
ギ酸処理のものである。 第2図は各種処理血管へのウサギ平滑筋細胞培養2週間
後の光顕像(×400)であって生物の形態を示す写真で
あり、第2図Aは蒸留水処理、第2図Bはグルタルアル
デヒド処理、第2図Cはデカノール処理、第2図Dはギ
酸処理のものである。 第3図はギ酸処理血管へのブタの平滑筋細胞および内皮
細胞培養の走査電顕像であって生物の形態を示す写真で
あり、第3図Aはギ酸処理血管内膜面、第3図Bは平滑
筋細胞培養2週間後、第3図Cは内皮細胞培養1週間後
のものである。 第4図は各種光顕像図であって生物の形態を示す写真で
あり、第4図Aは未処理血管、第4図Bはギ酸処理血
管、第4図Cは平滑筋細胞シーディング(seeding)4
週後、第4図Dは内皮細胞シーディング(seeding)1
週後、第4図Eは平滑筋細胞注入培養2週後、第4図F
は平滑筋細胞注入1週間+内皮細胞シーディング3日後
のものである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】哺乳動物の血管の血管壁を有機酸或いは塩
    酸グアニジン処理後、平滑筋細胞と内皮細胞を培養し
    て、該血管壁を再構築することを特徴とする人工血管の
    製造方法。
  2. 【請求項2】哺乳動物の血管がブタ、犬、牛、又はウサ
    ギの大動脈血管である請求項1記載の人工血管の製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法により作られた人工血
    管。
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