JP2752536B2 - アルミニウム製バルブスプールの製造方法 - Google Patents
アルミニウム製バルブスプールの製造方法Info
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- JP2752536B2 JP2752536B2 JP3199633A JP19963391A JP2752536B2 JP 2752536 B2 JP2752536 B2 JP 2752536B2 JP 3199633 A JP3199633 A JP 3199633A JP 19963391 A JP19963391 A JP 19963391A JP 2752536 B2 JP2752536 B2 JP 2752536B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明はオートマチック車のト
ランスミッション用その他に用いられるアルミニウム製
のバルブスプールに関する。
ランスミッション用その他に用いられるアルミニウム製
のバルブスプールに関する。
【０００２】
【従来の技術】上記のようなオートマチック車用の油圧
バルブスプールとしては、従来、鉄製のものが用いら
れ、この鉄製のバルブスプールをＡＤＣ１２などのアル
ミニウム鋳物製のボディーに組み込んでいた。しかし、
鉄とボディーのアルミニウムとで材質が異なるため熱膨
張係数が異なり、このため温度変化によって両者のクリ
アランスが変化し、その結果応答性が悪化するという問
題があった。特に、連続走行時や熱帯地方での走行時に
はトランスミッションの油圧が上昇し、著しい応答性の
悪化を招いていた。
バルブスプールとしては、従来、鉄製のものが用いら
れ、この鉄製のバルブスプールをＡＤＣ１２などのアル
ミニウム鋳物製のボディーに組み込んでいた。しかし、
鉄とボディーのアルミニウムとで材質が異なるため熱膨
張係数が異なり、このため温度変化によって両者のクリ
アランスが変化し、その結果応答性が悪化するという問
題があった。特に、連続走行時や熱帯地方での走行時に
はトランスミッションの油圧が上昇し、著しい応答性の
悪化を招いていた。
【０００３】そこで、近時、バルブスプールについても
アルミニウム（その合金を含む）製のものが使用される
ようになってきている。これは、バルブスプールをアル
ミニウム製とすることで、アルミニウム製ボディとの熱
膨張係数の差を少なくして両者のクリアランスを常時小
さく保ち、もって応答性の改善を図ると同時に、スプー
ル自体の軽量化による応答性の改善をも併せて図ること
ができるからである。ところが、陽極酸化皮膜を形成す
ると、作動中に該皮膜が磨耗により剥離粉状化し、これ
がシリンダ内に詰まって応答性を悪化させることがあっ
た。この原因は次のとおりである。
アルミニウム（その合金を含む）製のものが使用される
ようになってきている。これは、バルブスプールをアル
ミニウム製とすることで、アルミニウム製ボディとの熱
膨張係数の差を少なくして両者のクリアランスを常時小
さく保ち、もって応答性の改善を図ると同時に、スプー
ル自体の軽量化による応答性の改善をも併せて図ること
ができるからである。ところが、陽極酸化皮膜を形成す
ると、作動中に該皮膜が磨耗により剥離粉状化し、これ
がシリンダ内に詰まって応答性を悪化させることがあっ
た。この原因は次のとおりである。
【０００４】即ち、陽極酸化皮膜を被覆形成した場合、
図２及び図３に示すように、特にバルブスプール基材
（１）の角部（1a）の位置において、皮膜（２）の未形
成部分からなる欠落部（３）が生じた状態となる。かか
る皮膜欠落部（３）は図４のように、角部をＣ面取した
場合にも生じる。そして、この欠落部（３）の存在する
皮膜部分は皮膜相互の密着力が弱くなっているため、作
動中の摩擦力をうけてこの欠落部（３）を起点として皮
膜が剥離し粉状となり、かかる磨耗粉が詰まりをもたら
しひいては応答性の悪化を生じさせるものであることが
判明した。
図２及び図３に示すように、特にバルブスプール基材
（１）の角部（1a）の位置において、皮膜（２）の未形
成部分からなる欠落部（３）が生じた状態となる。かか
る皮膜欠落部（３）は図４のように、角部をＣ面取した
場合にも生じる。そして、この欠落部（３）の存在する
皮膜部分は皮膜相互の密着力が弱くなっているため、作
動中の摩擦力をうけてこの欠落部（３）を起点として皮
膜が剥離し粉状となり、かかる磨耗粉が詰まりをもたら
しひいては応答性の悪化を生じさせるものであることが
判明した。
【０００５】この発明は、かかる技術的背景に鑑みてな
されたものであって、陽極酸化皮膜の剥離粉状化を防止
して応答性の悪化を生じることのないアルミニウム製バ
ルブスプールの製作提供を目的とする。
されたものであって、陽極酸化皮膜の剥離粉状化を防止
して応答性の悪化を生じることのないアルミニウム製バ
ルブスプールの製作提供を目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、陽極酸化皮膜の剥離粉状化を生じやす
い部分即ちアルミニウム製バルブスプール基材（１）の
角部に存在する易剥離部位を予め機械的研磨により意図
的に除去しておこうというものである。
に、この発明は、陽極酸化皮膜の剥離粉状化を生じやす
い部分即ちアルミニウム製バルブスプール基材（１）の
角部に存在する易剥離部位を予め機械的研磨により意図
的に除去しておこうというものである。
【０００７】即ちこの発明は、図面の符号を参照して示
すと、アルミニウム製のバルブスプール基材（１）を陽
極酸化処理してその表面に陽極酸化皮膜（２）を形成し
た後、前記バルブスプール基材（１）の角部における陽
極酸化皮膜（２）の易剥離部位（４）を予め局部的にか
つ機械的に研磨除去しておくことを特徴とするアルミニ
ウム製バルブスプールの製造方法を要旨とする。
すと、アルミニウム製のバルブスプール基材（１）を陽
極酸化処理してその表面に陽極酸化皮膜（２）を形成し
た後、前記バルブスプール基材（１）の角部における陽
極酸化皮膜（２）の易剥離部位（４）を予め局部的にか
つ機械的に研磨除去しておくことを特徴とするアルミニ
ウム製バルブスプールの製造方法を要旨とする。
【０００８】
【作用】前記バルブスプール基材（１）の角部における
陽極酸化皮膜（２）の易剥離部位（４）を予め局部的に
かつ機械的に研磨除去しておくから、陽極酸化皮膜の易
剥離部位が作動中に摩擦により剥離粉状化することはな
くなる。
陽極酸化皮膜（２）の易剥離部位（４）を予め局部的に
かつ機械的に研磨除去しておくから、陽極酸化皮膜の易
剥離部位が作動中に摩擦により剥離粉状化することはな
くなる。
【０００９】
【実施例】次にこの発明の実施例を説明する。
【００１０】図１はアルミニウム製バルブスプール基材
（１）を示しており、該基材（１）を構成するアルミニ
ウムとしては、Ａ５０５２、Ａ５０５６、Ａ６０６１そ
の他の合金が一般に用いられる。
（１）を示しており、該基材（１）を構成するアルミニ
ウムとしては、Ａ５０５２、Ａ５０５６、Ａ６０６１そ
の他の合金が一般に用いられる。
【００１１】このバルブスプール基材（１）に陽極酸化
処理を施して、その表面に硫酸皮膜等の陽極酸化皮膜を
被覆形成する。陽極酸化皮膜を形成するのは、バルブス
プールに硬度、耐摩耗性等を付与するためである。陽極
酸化処理の種類、処理条件は特に限定されるものではな
く、通常の処理条件を適宜採択すれば良いが、陽極酸化
皮膜の厚さはこれを１０μｍ以上確保するのが望まし
い。１０μｍ未満では硬度、耐摩耗性の向上効果に乏し
いものとなり、陽極酸化皮膜を形成する意義が没却され
る恐れがあるからである。
処理を施して、その表面に硫酸皮膜等の陽極酸化皮膜を
被覆形成する。陽極酸化皮膜を形成するのは、バルブス
プールに硬度、耐摩耗性等を付与するためである。陽極
酸化処理の種類、処理条件は特に限定されるものではな
く、通常の処理条件を適宜採択すれば良いが、陽極酸化
皮膜の厚さはこれを１０μｍ以上確保するのが望まし
い。１０μｍ未満では硬度、耐摩耗性の向上効果に乏し
いものとなり、陽極酸化皮膜を形成する意義が没却され
る恐れがあるからである。
【００１２】而して、陽極酸化皮膜を殊に厚さ３０〜４
０μｍにも達するほどに形成すると、バルブスプール基
材（１）に被覆された陽極酸化皮膜（２）のうち、角部
（1a）に被覆された部分に皮膜未形成部分からなる欠落
部（３）が生じた状態となる。この欠落部（３）はトラ
ンスミッションとしての作動の繰り返しによる経時的な
皮膜の剥離粉状化の原因となり、甚だしくはこの磨耗粉
がシリンダ内に詰まることによる応答性の悪化を招く。
０μｍにも達するほどに形成すると、バルブスプール基
材（１）に被覆された陽極酸化皮膜（２）のうち、角部
（1a）に被覆された部分に皮膜未形成部分からなる欠落
部（３）が生じた状態となる。この欠落部（３）はトラ
ンスミッションとしての作動の繰り返しによる経時的な
皮膜の剥離粉状化の原因となり、甚だしくはこの磨耗粉
がシリンダ内に詰まることによる応答性の悪化を招く。
【００１３】そこでこの発明では、剥離し易い、欠落部
（３）を含む易剥離部位（４）を図１に示すように予め
機械的研磨により局部的にかつ意図的に除去しておくも
のとする。機械的研磨に限定したのは、該機械的研磨に
より易剥離部位（４）の除去を極めて容易に行い得るか
らである。例えば、４号ケイ砂を用い、ショット圧５ｋ
ｇｆ／ｃｍ2 にて１０ｓｅｃ／ｐｃショットブラストを
行うと、実装して使用する際に剥離する恐れのある易剥
離部位（４）は容易に剥れてしまう。機械的研磨方法と
しては、上記ショットブラストの他、バレル研磨、エメ
リー紙研磨、ベルト研磨、砥石研磨等を挙げ得る。
（３）を含む易剥離部位（４）を図１に示すように予め
機械的研磨により局部的にかつ意図的に除去しておくも
のとする。機械的研磨に限定したのは、該機械的研磨に
より易剥離部位（４）の除去を極めて容易に行い得るか
らである。例えば、４号ケイ砂を用い、ショット圧５ｋ
ｇｆ／ｃｍ2 にて１０ｓｅｃ／ｐｃショットブラストを
行うと、実装して使用する際に剥離する恐れのある易剥
離部位（４）は容易に剥れてしまう。機械的研磨方法と
しては、上記ショットブラストの他、バレル研磨、エメ
リー紙研磨、ベルト研磨、砥石研磨等を挙げ得る。
【００１４】また、上記機械的研磨により摺動面が荒ら
されるような場合には、要すれば砥石によるセンタレス
研磨等によって仕上げ加工を行い、皮膜表面を平滑に整
えても良い。
されるような場合には、要すれば砥石によるセンタレス
研磨等によって仕上げ加工を行い、皮膜表面を平滑に整
えても良い。
【００１５】
【発明の効果】この発明は、上述の次第で、アルミニウ
ム製のバルブスプール基材を陽極酸化処理してその表面
に陽極酸化皮膜を形成した後、前記バルブスプール基材
（１）の角部における陽極酸化皮膜（２）の易剥離部位
（４）を予め局部的にかつ機械的に研磨除去しておくも
のである。従って、陽極酸化皮膜の易剥離部位が、作動
中に摩擦により剥離粉状化する事態を回避できるから、
これに起因して生じることのあった応答性の悪化を防止
することができ、応答性に優れた耐久性に富むバルブス
プールとなしうる。
ム製のバルブスプール基材を陽極酸化処理してその表面
に陽極酸化皮膜を形成した後、前記バルブスプール基材
（１）の角部における陽極酸化皮膜（２）の易剥離部位
（４）を予め局部的にかつ機械的に研磨除去しておくも
のである。従って、陽極酸化皮膜の易剥離部位が、作動
中に摩擦により剥離粉状化する事態を回避できるから、
これに起因して生じることのあった応答性の悪化を防止
することができ、応答性に優れた耐久性に富むバルブス
プールとなしうる。
【００１６】しかも、バルブスプール基材（１）の角部
以外の部分については、陽極酸化皮膜を研磨除去する必
要はないのに加えて、角部の研磨除去作業は比較的簡単
であり、このため上記バルブスプールを容易に製作提供
することができる。
以外の部分については、陽極酸化皮膜を研磨除去する必
要はないのに加えて、角部の研磨除去作業は比較的簡単
であり、このため上記バルブスプールを容易に製作提供
することができる。
【図１】この発明によって製作したアルミニウム製バル
ブスプールの要部断面図である。
ブスプールの要部断面図である。
【図２】バルブスプール基材の斜視図である。
【図３】易剥離部位を機械的研磨除去する前のバルブス
プールの要部断面図である。
プールの要部断面図である。
【図４】同じく易剥離部位を機械的研磨除去する前のバ
ルブスプールの要部断面図である。
ルブスプールの要部断面図である。
１…バルブスプール基材 ２…陽極酸化皮膜 ４…易剥離部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C25D 11/18 F16K 11/07 F16K 3/24 F16H 63/00
Claims (1)
- 【請求項１】 アルミニウム製のバルブスプール基材
（１）を陽極酸化処理してその表面に陽極酸化皮膜
（２）を形成した後、前記バルブスプール基材（１）の
角部における陽極酸化皮膜（２）の易剥離部位（４）を
予め局部的にかつ機械的に研磨除去しておくことを特徴
とするアルミニウム製バルブスプールの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3199633A JP2752536B2 (ja) | 1991-08-08 | 1991-08-08 | アルミニウム製バルブスプールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3199633A JP2752536B2 (ja) | 1991-08-08 | 1991-08-08 | アルミニウム製バルブスプールの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0544086A JPH0544086A (ja) | 1993-02-23 |
| JP2752536B2 true JP2752536B2 (ja) | 1998-05-18 |
Family
ID=16411098
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3199633A Expired - Fee Related JP2752536B2 (ja) | 1991-08-08 | 1991-08-08 | アルミニウム製バルブスプールの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2752536B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2001165337A (ja) * | 1999-12-13 | 2001-06-22 | Nidec Tosok Corp | バルブスプール |
| JP5750305B2 (ja) * | 2011-05-20 | 2015-07-22 | 株式会社中部理化 | アルマイト加工物 |
| CN102825431B (zh) * | 2012-09-07 | 2015-01-07 | 贵州凯星液力传动机械有限公司 | 一种高耐磨性阀芯的加工方法 |
| MY184862A (en) * | 2015-03-27 | 2021-04-28 | Vat Holding Ag | Valve, in particular vacuum valve |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60139965U (ja) * | 1984-02-28 | 1985-09-17 | 三菱自動車工業株式会社 | 車両用オ−トマチツクトランスミツシヨンのスプ−ルバルブ構造 |
| JPS6311970U (ja) * | 1986-07-11 | 1988-01-26 |
-
1991
- 1991-08-08 JP JP3199633A patent/JP2752536B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0544086A (ja) | 1993-02-23 |
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