JP2748528B2 - 円形アンテナ用ケース - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 この発明は、円形アンテナ（円環パッチアンテナとも
呼ばれる）を収納するケースに関し、特に雨等の付着に
よる特性劣化の少ないケース構造に関する。

〔従来技術〕

従来の円形アンテナとしては、例えば「電子情報通信
学会 技術研究報告 AP87−53 第21〜24頁 金田、後
藤、他、“軸対称モード円環パッチアンテナとその給電
法”」に記載されているものがある。

第２図は、上記の円形アンテナの平面図および側面図
である。

第２図において、金属製の円板１と地板２とが複数の
ショートピン３を介して平行に結合されている。そして
電気信号は同軸ケーブル５から円板１の中心に設けられ
た給電ピン４を介して供給され、円板１と地板２との間
隙から電波が放射される。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記のごとき円形アンテナにおいては、円板１と地板
２との間隙から電波が放射されるため、円板１の真上に
金属や誘電体等があっても特性が劣化することはない
が、円板１のエッジより外側に誘電体や金属等があると
電波の反射が生じ、アンテナ特性が劣化する。

例えば、第３図は、円形アンテナ６の上部に樹脂板７
を設け、その上に降水量100mm/h相当の水滴８が付着し
たときにおけるアンテナのリターンロス特性を示す図で
ある。

第３図から判るように、水滴が付着すると、付着しな
いときに較べて中心周波数がずれ、帯域幅も変化する。

したがって従来のアンテナケースのように、内部に円
形アンテナを収納するために円形アンテナより大きな面
積の樹脂製カバーを持ったケースでは、その上面に水滴
が付着すると、円形アンテナのエッジの斜め上方にも水
滴付着部分が出来るので、前記のごとき理由によって特
性変化を生じ、性能が劣化するという問題があった。

本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するため
になされたものであり、雨天時の水滴等の付着による特
性劣化を防止することの出来る円形アンテナ用ケースを
提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本発明においては、上部
円板と地板とが所定間隔で平行に配置され、前記上部円
板の面をほぼ水平に設置して用いる円形アンテナを収納
し、かつ、前記上部円板の上に位置するケース上面のほ
ぼ水平で実質的な平面部分と、前記実質的な平面部分の
外縁から下降する面と、によって形成された平薄型の円
形アンテナ用ケースであって、前記ケース上面のほぼ水
平で実質的な平面部分の鉛直方向に対する投影形状が前
記上部円板内に収まるように構成している。

なお、上記の実質的な平面部分とは、水滴が付着しや
すい平面あるいは平面にほぼ等しいような緩斜面の部分
を意味する。

〔作用〕

水滴の付着による特性劣化は、前記のごとく、円板１
のエッジより外側に水滴がある場合に生じ、円板１の真
上にのみ水滴がある場合には殆ど生じない。したがっ
て、ケース上面の実質的な平面部分の鉛直方向に対する
投影形状が、前記円板１内に収まるように構成すれば、
円板１の斜め上方には水滴が付着するような平面部分が
なくなるので、水滴の付着による特性劣化を防止するこ
とが出来る。

〔実施例〕

第１図は、本発明の一実施例図であり、（ａ）は斜視
図、（ｂ）は断面図を示す。

第１図において、９は例えば樹脂板等で形成されたア
ンテナケースであり、内部に円形アンテナが収納されて
いる。そして円形アンテナの円板１の短径をφ_Ａ、ケー
ス上面の長径をφ_Ｃとした場合に、φ_Ａ＞φ_Ｃとなるよ
うに寸法が設定され、ケース上面は急傾斜の側面によっ
て支持されている。したがって、ケース上面、すなわち
平面部分の形状は円板１より小さく、その鉛直方向の投
影形状は、円板１内に収まるようになっている。

なお、円形アンテナは円板１をほぼ水平に設置（した
がってそれと平行の地板２もほぼ水平になる）して使用
するので、ケース上面の平面部分の鉛直方向の投影形状
が円板１に収まれば、水滴等の付着しやすい水平な平面
部分は円板１の上方に限定され、円板１の周囲の上方に
は存在しないことになる。また、上記平面部分の外縁に
続く部分は前記外縁から下降する面（例えば平面や曲面
による傾斜面）に形成され、水滴等が付着しにくいよう
になっている。また、円形アンテナは薄い形状であり、
それを水平に設置して用いるので、それを収納するアン
テナケースも平薄型に出来る。

次に作用を説明する。

第４図（ａ）は、第４図（ｂ）に示すようなTM01モー
ドで共振する円形アンテナ（本発明を適用するもの）の
指向特性である。この場合には、円板１の上面方向には
電波が放射されない。これは第４図（ｂ）に示すように
電界ベクトル12が生じ、電波が円板１の側面から放射さ
れるためである。このため、円板１の上方にあって円板
１の面積よりも小さい部分については、水滴等の電波の
放射を妨げるものがあっても良いことになる。このこと
は、円板１の上面に直接水を含んだ布を載せた実験によ
って特性に何ら影響を与えないことが確認されている。

したがって、本発明のように、アンテナケースの上面
部分の水滴等が付着する部分の投影形状を円板１内に収
まるように、すなわちケースの上面の平面部分を円板１
より小さくするように構成すれば、その部分に水滴等が
付着しても特性に影響を及ぼすことがない。また、水滴
等が付着するとアンテナの放射に影響を与えるケースの
側面部分は、この傾斜が急峻であって水滴が付着しにく
い形状になっているので、特性に影響を及ぼすおそれは
ない。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、ケース上面の
実質的な平面部分の鉛直方向に対する投影形状が、該ケ
ース内に収納される円形アンテナの上部円板内に収まる
ように構成したことにより、ケース表面に水滴等が付着
する範囲を、アンテナの特性に影響を及ぼさない円板１
上方の内側に限定することが出来、それによって水滴等
による特性劣化を防止することが出来る、という効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の断面図、第２図は円形アンテ
ナの構造を示す平面図および側面図、第３図は水滴付着
による特性の変化を示す図、第４図はTM01モード共振の
円形アンテナの指向特性図である。 ＜符号の説明＞ １……円板 ２……地板 ３……ショートピン ４……給電ピン ５……同軸ケーブル ６……円形アンテナ ７……樹脂板 ８……水滴 ９〜11……アンテナケース 12……電界ベクトル

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部円板と地板とが所定間隔で平行に配置
   され、前記上部円板の面をほぼ水平に設置して用いる円
   形アンテナを収納し、かつ、前記上部円板の上に位置す
   るケース上面のほぼ水平で実質的な平面部分と、前記実
   質的な平面部分の外縁から下降する面と、によって形成
   された平薄型の円形アンテナ用ケースであって、 前記ケース上面のほぼ水平で実質的な平面部分の鉛直方
   向に対する投影形状が前記上部円板内に収まるように構
   成したことを特徴とする円形アンテナ用ケース。