JP2741660B2 - 造波装置 - Google Patents

造波装置

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JP2741660B2
JP2741660B2 JP7027203A JP2720395A JP2741660B2 JP 2741660 B2 JP2741660 B2 JP 2741660B2 JP 7027203 A JP7027203 A JP 7027203A JP 2720395 A JP2720395 A JP 2720395A JP 2741660 B2 JP2741660 B2 JP 2741660B2
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  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の造波板による位
相差を有する周期運動によって造波板配列の前方に斜め
規則波を発生させるための造波装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば海洋構造物の水理試験のために構
造物の模型に対して試験水槽と造波装置を利用して任意
方向の規則波を作用させる場合、造波装置には、所望の
波面の規則波を目的の方向に送り出すことのできる機能
が要求される。このような目的で従来から多方向不規則
波の造波装置が用いられているが、その場合の多方向不
規則波は、一般的にはビーゼルのスネーク原理(F.Bies
el; Proceeding of 1stConference on Ships and Wave
s, p.288-304, 1954)に基づいて造波される。
【0003】即ち、多方向不規則波用の造波装置は、一
列に配列された複数の造波板と、各造波板を個々に駆動
する駆動装置と、駆動装置による各造波板の周期運動を
制御する制御装置と、互いに隣接する造波板の周期運動
に位相差を与えるよう予め定められた造波指令信号を前
記制御装置に与える信号発生装置とを備えており、隣接
する造波板に位相差を与えて運転することにより、ホイ
ヘンスの原理に従って各造波板から生じる波の包絡線で
形成される波峰線によって前記造波板配列の斜め前方に
向かう規則波を発生させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
造波装置では運転中の各造波板の振幅を一定に保ってい
るため、スネーク原理に従って斜め規則波を造波する
と、発生される斜め規則波の波高は、回折の影響が小さ
い造波板近傍でさえも波の稜線方向で変動を示し、造波
板から5m程度離れた位置では目標とする波高に対して
±20%を超える波高振幅変動が含まれることも稀では
なく、しかもこの変動は個々の造波板の幅を無限小とし
た場合でも消すことはできないことが解析されている
(T.Takayama;Report of PHRI, Vol.21, No.2, p.3-48,
1982)。
【0005】このように、斜め規則波の波高は稜線方向
で一様とならない。そのため、多数の斜め規則波を重ね
合わせることにより得られる多方向不規則波の方向分布
特性は水槽内の位置によって変化することがある(T.Ta
kayama and T.Hiraishi; Report of PHRI, Vol.28, No.
4, p.3-24, 1989 )。その結果、水理実験の精度が不十
分となるので、水理現象の精密な検討には多大な困難を
伴うこととなっている。
【0006】この問題を是正するために、造波機の両端
に設けた反射板からの反射波を利用した造波方式が提案
されている。例えば、緩勾配方程式を用いた定式化によ
るダーリンプルの方法(R.A.Darlymple; Journal of Hy
draulic Research, Vol.27,No.1, p.23-34, 1989 )で
は、造波板に平行な任意の断面で所望の斜め規則波を得
ることができるので、この方法を重ね合わせた多方向不
規則波の造波を行うことも考えられる。しかしながら、
これらの完全反射側壁からの反射波の利用を前提とした
方法は、試験水槽のように模型からの反射波が側壁で再
反射し、この再反射が問題となる場合には現実に利用す
ることはできない。
【0007】海岸・海洋構造物の合理的な設計のために
は精度の高い水理実験データの解析が必要不可欠であ
り、従って本発明で課題とするところは、前述の従来技
術における問題点に鑑み、既存の多方向不規則波用造波
装置の設備を利用した場合であっても、従来から行われ
てきた側壁からの反射波を利用することなしに、波の稜
線方向に一様性の高い波高分布をもつ斜め規則波を発生
することのできる造波装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による造波装置
は、一列に配列された複数の造波板と、各造波板を個々
に駆動する駆動装置と、駆動装置による各造波板の周期
運動を制御する制御装置と、互いに隣接する造波板の周
期運動に位相差を与えるように予め定められた造波指令
信号を前記制御装置に与える信号発生装置とを備えた多
方向不規則波用の造波装置であって、特に前記造波板配
列の斜め前方に一様性の高い波高分布を持つ斜め規則波
を発生させるために、隣接する造波板の周期運動の振幅
を互いに異ならしめるように前記造波指令信号を補正す
る振幅補正手段が信号発生装置に含まれていることを特
徴とするものである。
【0009】
【作用】多方向不規則波用の造波装置では、隣接する造
波板に位相差を与えて運転することにより、ホイヘンス
の原理に従って各造波板から生じる波の包絡線で形成さ
れる波峰線によって前記造波板配列の斜め前方に向かう
規則波を発生させることができることは周知の通りであ
る。この場合、水槽の一辺に沿って均一なピッチで一列
に配列された複数の造波板は駆動装置によって個々に往
復周期運動され、この駆動装置による各造波板の周期運
動は制御装置によって制御される。信号発生装置は、互
いに隣接する造波板の周期運動に位相差を与えるように
予め定められた造波指令信号を前記制御装置に与え、こ
れにより駆動装置がスネーク原理に基づいて各造波板を
予め定められた位相差で周期運動させ、各造波板から生
じる波の包絡線で形成される波峰線によって前記造波板
配列の斜め前方に前記位相差で定まる所定方向に向かう
斜め規則波を発生させる。
【0010】本発明では、電磁波を空間に放射するアレ
イアンテナの指向性の合成理論からの類推により各造波
板の振幅の補正を与え、補正された造波板の運動により
造波される斜め規則波の波高分布に一様性をもたせるも
のである。このために本発明による造波装置の信号発生
装置は、隣接する造波板の振幅を互いに異ならしめるよ
うに前記造波指令信号を補正する振幅補正手段を含んで
いる。
【0011】この場合、個々の造波板の周期運動の振幅
は、例えば配列の中央の造波板の振幅を基準とする相対
振幅の値が前記配列方向に関して予め定められた曲線分
布となるように定められ、この曲線分布は、好ましくは
ドルフ・チェビシェフ分布である。ドルフ・チェビシェ
フ分布はアレイアンテナの指向性合成理論ではよく知ら
れており(例えば、C.L.Dolph; "A Current Distributi
on for Broadside Arrays which Optimizes the Relati
onship between Beam Width and Side-Lobe Level" Pro
ceeding of IRE, 34, No.6, p.335-348, 1946 、又は
J.D.Kraus; "Antennas"McGraw-Hill, p.162-175, 198
8)、本発明においては、アレイアンテナから放射され
る電磁波と多方向造波機により造波される斜め波とが、
いずれも定常問題として取り扱う場合にはヘルムホルツ
微分方程式で記述されることから、これらの間の現象の
類似性に着目し、指向性合成理論を斜め規則波の造波理
論に新たに応用したものである。
【0012】尚、本発明では、斜め規則波の発生に水槽
側壁からの反射波を利用しないことを前提としており、
従って、使用する水槽の側壁は消波構造とすることが好
ましい。
【0013】
【実施例】図1に本発明の一実施例に係る造波装置の構
成を模式的に示す。図において、複数の造波板Pは図示
しない水槽の一辺に沿って均一なピッチで一列に配列さ
れ、各造波板Pはそれぞれ対応する駆動装置D(例えば
流体圧ピストンシリンダ装置などの往復駆動装置)によ
って個々に往復周期運動される。各駆動装置Dは固定架
台Fに支持されており、各駆動装置Dによる個々の造波
板Pの周期運動は、例えば流体圧制御ユニットなどから
なる制御装置Cによって統括的に制御される。
【0014】制御装置Cに対する造波指令信号は、本実
施例ではパーソナルコンピュータで構成された信号発生
装置Sから与えられる。信号発生装置Sは、スネーク原
理に従って互いに隣接する造波板の周期運動に位相差が
生じるように、目標とする規則波の進行方向に応じて予
め定められた周期および位相差の造波指令信号を制御装
置Cに与え、これにより各駆動装置Dがスネーク原理に
基づいて各造波板Pを前記周期及び位相差で往復運動さ
せ、各造波板Pから生じる波の包絡線で形成される波峰
線によって造波板配列の斜め前方の目標方向へ向かう規
則波を発生させる。
【0015】信号発生装置Sは、隣接する造波板Pの振
幅を互いに異ならしめるように前記造波指令信号を補正
する振幅補正手段を含んでおり、本実施例におけるこの
振幅補正手段は、信号補正プログラムをコンピュータS
にインストールすることによって構成しており、これに
よって個々の造波板Pの周期運動の振幅値(例えば配列
の中央の造波板の振幅を基準とする相対振幅の値)が造
波板の配列方向に関して後述のようにドルフ・チェビシ
ェフ分布に従った曲線分布となるように造波指令信号の
振幅が補正される。
【0016】信号発生装置Sによる振幅補正の信号処理
にあたっては、以下に詳述するようにアレイアンテナの
指向性合成理論で知られるドルフ・チェビシェフ分布に
よって得られる無指向性アンテナの電流分布に相当する
振幅分布が、信号発生装置Sにインストールされた信号
補正プログラム(信号補正手段 )によって多方向不規則
波造波装置の各造波板Pの振幅分布に当て嵌められる。
【0017】アレイアンテナの指向性合成理論における
ドルフ・チェビシェフ分布の考え方に従い、チェビシェ
フ多項式を用いて最適分布を決定する方法をアレイアン
テナからの放射電磁界の場合で説明すると以下の通りで
ある。
【0018】即ち、多方向不規則波の造波装置における
個々の造波板は、リニアアレイアンテナの個々のアンテ
ナ素子に等価であると考えることができる。まず始めに
図2(a)に示すように、個数ne (偶数)の等方性の
点波源を一定間隔dで配列したリニアアレイを考え、全
ての点波源は同位相で励振されているものとし、目標放
射方向θがθ=0となる方向をアレイと直角な方向にと
る。個々の点波源の励振振幅を A0, A1, A2, ・・・とし、
その分布はアレイの中央に関して対称であるものとす
る。この場合のθ方向の遠方での放射電磁界は以下の数
1で表される。
【0019】
【数1】 Ene =2A0cos(ψ/2) + 2A1cos(3ψ/2) + ・・・・ +2Ak cos {(ne - 1)ψ/2}
【0020】ここに、ψは間隔dと波長λによって以下
の数2で表される。
【0021】
【数2】ψ=(2πd/λ)sinθ = dr sin θ
【0022】数1の右辺の各項は、アレイの中央に関し
て対称の配置関係にある点波源の対による放射電磁界に
対応する。ここで、2(k + 1) = ne (但し k = 0, 1,
2, 3,・・・)と置くと、数1は、N= ne /2として以下の数
3のように書き換えられる。
【0023】
【数3】
【0024】次に、図2(b)に示すように、奇数個数
no の等方性の点波源を同様に一定間隔dで配列したリ
ニアアレイを考える。この場合、アレイの中央の点波源
の励振振幅を 2A0とし、その分布はアレイの中央に関し
て対称であるものとする。この場合のθ方向の遠方での
放射電磁界は以下の数4で表される。
【0025】
【数4】 Eno = 2A0 + 2A1cosψ + 2A2cos2ψ + ・・・ +2Ak cos {(n0 - 1)ψ/2}
【0026】ここで、2k + 1 = no (但し k = 0, 1,
2, 3,・・・)と置くと、N = (no -1)/2として数4は以下の
数5のように書き換えられる。
【0027】
【数5】
【0028】数3および数5は、以下に述べるように、
それぞれ次数 ne -1、 no -1の多項式となっている。即
ち、ド・モアブルの定理によれば次の数6が成立する。
【0029】
【数6】
【0030】ここで、mは次数であり、数6の実数部を
とると以下の数7の通りとなる。
【0031】
【数7】
【0032】数7の右辺を二項級数に展開して以下の数
8を得る。
【0033】
【数8】 cos m(ψ/2) = cosm (ψ/2) - {m(m-1)/2! }cos m-2(ψ/2)sin2(ψ/2) +{m(m-1)(m-2)(m-3)/4! } cosm-4(ψ/2)sin4(ψ/2) - ・・・
【0034】数8において、 sin2(ψ/2) = 1-cos2
/2) と置くと、例えば次数m=4までについては以下の
数9のようになる。
【0035】
【数9】 m = 0, cos m(ψ/2) = 1 m = 1, cos m(ψ/2) = cos(ψ/2) m = 2, cos m(ψ/2) = 2cos2(ψ/2) - 1 m = 3, cos m(ψ/2) = 4cos3(ψ/2) - 3 cos(ψ/2) m = 4, cos m(ψ/2) = 8cos4(ψ/2) - 8cos2(ψ/2) + 1
【0036】ここで、x = cos(ψ/2) と置くと、数9は
以下の数10のようになる。
【0037】
【数10】m = 0, cos m(ψ/2) = 1 m = 1, cos m(ψ/2) = x m = 2, cos m(ψ/2) = 2x2 - 1 m = 3, cos m(ψ/2) = 4x3 - 3x m = 4, cos m(ψ/2) = 8x4 - 8x2 + 1
【0038】数10はチェビシェフ多項式とよばれ、一
般式としては以下の数11のように表記される。
【0039】
【数11】Tm(x) = cos m(ψ/2)
【0040】7次までのチェビシェフ多項式は以下の数
12の通りである。
【0041】
【数12】T0(x) = 1 T1(x) = x T2(x) = 2x2 - 1 T3(x) = 4x3 - 3x T4(x) = 8x4 - 8x2 + 1 T5(x) = 16x5 - 20x3 + 5x T6(x) = 32x6 - 48x4 + 18x2 - 1 T7(x) = 64x7 - 112x5 + 56x3 - 7x
【0042】これらの多項式の次数はmであり、多項式
の根xは,cos m(ψ/2) = 0 あるいはm(ψ/2) = (2k -
1)π/2で与えられる。したがって根xをx’と書くと、
x’は以下の数13のように表される。
【0043】
【数13】x’= cos{(2k - 1)π/2m }
【0044】以上でcos m(ψ/2) が次数mの多項式とな
ることが示された。数3および数5はcos m(ψ/2) の形
式の多項式の和となっているから、これらは次数2k+1お
よび2kの多項式で表現できることになり、偶数アレイに
ついては 2k + 1 = ne -1、奇数アレイについては 2k
=no - である。従って、放射電磁界の分布を表す数3及
び数5は、(点波源の数−1)次の多項式となる。数3
と数5を次数の等しい(つまりm=n−1)チェビシェ
フ多項式と等置し、係数を比較することにより得られる
アレイアンテナの振幅分布がドルフ・チェビシェフ分布
である。また、このときの放射電磁界の分布はn−1次
のチェビシェフ多項式で表されることになる。
【0045】5次までのチェビシェフ多項式 Tm(x) (m
= 0, 1, 2, 3, 4, 5) の曲線を図3に示す。この図か
ら、チェビシェフ多項式は次の特性を持つことがわか
る。 1.点(1,1)を通る。 2.-1≦x≦+1の範囲のxに対してTm(x) の値は±1の
範囲に入る。また全ての根はこの範囲に存在する。
【0046】チェビシェフ多項式から最適分布を求める
方法は以下の通りである。即ち、いま仮に6個の点波源
を想定すると、この場合の放射電磁界の分布は5次の多
項式で表される。この多項式を5次のチェビシェフ多項
式(図3のT5)と等置することにより最適分布を得るこ
とができる。ここで、主ローブの最大値とサイドローブ
レベルとの比をR=(主ローブの最大値/サイドローブ
レベル)で表すことにする。この場合、サイドローブの
最大値を1とすると、T5(x) 上の点(x0,R)は主ローブの
最大値に対応することになる。また、多項式の根は放射
電磁界のヌル点に対応する。チェビシェフ多項式の重要
な性質は、Rが与えられると第1ヌル点(x=x'1)ま
でのビーム幅が最小になるということである。
【0047】ドルフ・チェビシェフ分布を求める手順
は、以下の3つのステップによって構成される。尚、放
射電磁界の分布を示す前記の数3および数5をみれば明
らかなように、これらはψ/2の関数となっている。
【0048】第1ステップは、対象とするアレイに対
し、次数の等しいチェビシェフ多項式を選ぶことであ
る。即ち、n個の点波源で構成されるアレイに対して
は、次数n−1のチェビシェフ多項式 Tn-1(x)を選択す
る。次数mと点波源の数nとの関係は、m=n−1であ
る。
【0049】第2ステップは、Rを決定し、Tm(x0) = R
をx0について解くことである。この場合、Rの決定に際
して例えばサイドローブレベルを主ローブに対して26
dBまで低減させるとすると、26dB = 20 log10 Rであ
るからR=20となる。x0の値は試行錯誤的に、また
は以下の数14により求める。
【0050】
【数14】 x0 = [ {R + (R2 - 1)1/2 1/m + {R - (R2 - 1)1/2 1/m ]/2
【0051】ここで想定している5次のチェビシェフ多
項式T5(x) を図4に抜き出して示すが、この図4からわ
かるように、R>1のときにx0 も1より大きくなる。
ところが、先にx = cos(ψ/2) の条件を与えており、こ
の条件によれば、xの範囲は-1≦x≦+1でなければなら
ない。そこで、以下の数15で示すようなスケーリング
を行うことにより図4に示したように新たな横座標wを
導入する。
【0052】
【数15】w=x/x0
【0053】このことにより、w=cos(ψ/2) と置けば
wの範囲は-1≦w≦+1となるため、先の条件は満足され
る。このようにして、数3と数5は変換された横座標w
の多項式として表現される。
【0054】最後の第3ステップは、選択されたチェビ
シェフ多項式 Tn-1(x)を放射電磁界を示す多項式(数
3,数5)と等置し、w=cos(ψ/2) を代入することで
ある。これは以下の数16のように表される。
【0055】
【数16】Tn-1(x) = En
【0056】各点波源の励振振幅は数16から求まり、
それらの振幅が、サイドローブレベルが与えられたとき
に最適分布となるドルフ・チェビシェフ分布に従ってい
ることは前述のチェビシェフ多項式の2つの特性から明
らかである。
【0057】以上のアンテナ指向性合成理論に準じて造
波板の振幅を補正するために、先に数12で例示したチ
ェビシェフ多項式を一般化して示すと以下の数17(次
数mが偶数の場合)および数18(次数mが奇数の場
合)の通りとなる。
【0058】
【数17】Tm(x) = Cm xm + Cm-2xm-2 + ・・・ + C0
【0059】
【数18】Tm(x) = Cm xm + Cm-2xm-2 + ・・ + C1x
【0060】ここで、次数mは造波板の数Nに対してm
=N−1と定めることは述べるまでもない。Cは次数m
に応じた係数であり、表1にm=23までの係数Cの値
を示す。
【0061】
【表1】
【0062】さて、信号発生装置Sでは、造波板の数n
に従って、nが偶数の場合は数19に、またnが奇数の
場合は数20に、それぞれ示す通りの方程式 En(x)が作
成される。
【0063】
【数19】 En(x) = (Bn-1/x0 n-1) xn-1+(Bn-3/x0 n-3) xn-3+ ・・・ + (B1/x0)x
【0064】
【数20】 En(x) = (Bn-1/x0 n-1) xn-1+(Bn-3/x0 n-3) xn-3+ ・・・ + B0
【0065】ここで、係数Bi (i = 0, 1, 2, ・・・, n-1)
は以下の数21の形をとる。
【0066】
【数21】B = P0A0 + P1A1 + ・・・ + PM AM
【0067】ここに、Mは、nが偶数の場合は (n-2)/2
であり、nが奇数の場合は (n-1)/2である。また、係数
Pi (i = 0, 1, 2, ・・・, m)は造波板の数毎に定まり、表
2および表3に、それぞれ造波板が8枚の場合と24枚
の場合について、、数15のW = x/x0 の次数による係
数Piの値を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】今、造波板が偶数枚の場合を考えると、以
下の数22に示すように、数18と数19が互いに等し
い関係にならなければならない。
【0071】
【数22】 (Bn-1/x0 n-1) xn-1+ (Bn-3/x0 n-3) xn-3+ ・・・ + (B1/x0)x = Cm xm + Cm-2xm-2 + ・・・ + C1x
【0072】数22が常に成り立つためには、両辺でx
の次数ごとに項の係数が等しくなければならないため、
以下の数23に示すM個の連立一次方程式が成立する。
【0073】
【数23】Bn-1= Cn-1 ・x0 n-1 Bn-3= Cn-3 ・x0 n-3 B1 = C1 ・x0
【0074】この連立一次方程式の未知数は左辺のBiに
含まれる A0, A1, ・・・ AM である。未知数の数と方程式
の数が等しくMであるから、この連立方程式は簡単に解
くことができ、振幅 A0, A1, ・・・ AM を求めることがで
きる。
【0075】この段階で求められた振幅 A0, A1, ・・・ A
M はパラメータx0 を含んだままであるが、x0 を前述
のように試行錯誤的に適宜変化させて得られる振幅分布
を用いて、例えばアイザクソンの予測計算手法(M.Isaa
cson; "Prediction of Directional Waves due to a Se
gmebted Wave Generator", Proceeding of 23rd IAHRCo
ngress, Vol. C, p.442-453, 1989)による数値計算を
行い、最適な波高分布が得られる場合の振幅分布を、最
終的な振幅分布として採用して信号発生装置Sの記憶部
に格納しておく。
【0076】例えば、造波板が8枚の場合について計算
例を示すと以下の通りである。すなわち、表2に示した
n=8の場合の係数P0, P1, P2, P3の値および数21を
用いると、数23の左辺のBiは以下の数24に示す通り
となる。
【0077】
【数24】B7 = 64A3 B5 = 16A2 - 112A3 B3 = 4A1 - 20A2 + 56A3 B1 = A0 - 3A1 + 5A2 - 7A3
【0078】チェビシェフ多項式の係数Cを示した表1
における次数が7の場合の値から各係数は以下の数25
の通りである。
【0079】
【数25】C7 = 64 C5 = -112 C3 = 56 C1 = -7
【0080】従って、この場合の連立一次方程式は以下
の数26のようになる。
【0081】
【数26】64A3 = 64x0 7 16A2 - 112A3 = -112x0 5 4A1 - 20A2 + 56A3 = 56x0 3 A0 - 3A1 + 5A2 - 7A3 = -7x0
【0082】数26の連立一次方程式を振幅 A0, A1, A
2, A3 について解くと、パラメータx0 を残した形で以
下の数27の通りとなる。
【0083】
【数27】A3 = x0 7 A2 = 7(x0 7 - x0 5) A1 = 7(3x0 7 - 5x0 5 + 2x0 3) A0 = 7(5x0 7 - 10x0 5 + 6x0 3 - x0)
【0084】ここで、例えばサイドローブレベルを主ロ
ーブに対して26dBまで低減させる場合に対応させて前
述の数14からR=20,m=7として求めたx0 = 1.
15を数27の各式に代入すれば、次に示す数28の通り
にそれぞれの振幅が計算される。
【0085】
【数28】A3 = 2.66 A2 = 4.54 A1 = 6.76 A0 = 8.13
【0086】実際の造波装置では、信号発生装置Sによ
り数27を造波板の枚数に応じて予め求め、x0 を適宜
調整して最適な振幅分布を記憶しておき、この振幅分布
に応じて各造波板への造波指令信号の振幅を補正する。
これにより造波指令信号によって駆動される個々の造波
板はスネーク原理に従って目標方向に対応する位相差と
共に最適な振幅分布で周期運動することになり、得られ
る斜め規則波の波高分布が一様化されることになる。
【0087】図5に造波板が24枚の場合の造波板の振
幅分布を相対振幅で示す。また、図6に従来の造波装置
の場合の造波板の動きの例を、図7に本発明による造波
装置の場合の造波板の動きの例を模式的に示す。図6及
び図7において、使用した水槽は18m×12mの面積
のものであり、幅0.5mの24枚の造波板を水槽の長
辺に沿って延長12mに配列した離散型の多方向造波機
とし、水深1.5m、周期1.0秒、波向θ=30度の
場合について、0.1秒ごとの各造波板の動きを図示し
てある。
【0088】また、水槽の側壁は消波構造とし、造波板
の位相はスネーク原理に従うものとして、境界要素は要
素長/波長<0.2を満たすように造波板1枚当たり4
個配置して計算を行った。
【0089】図8に各造波板の振幅が同一の従来の場合
に得られる波高分布の計算結果を、図9に振幅分布を図
5に示すように変えた本発明の場合の波高分布の計算結
果を示す。これらの図において、ハッチングを施した領
域は目標波高との比が20%以内(波高比が0.8〜
1.2)を許容値としたときの波高安定領域を示す。ま
た、図10は測定線AA’上の計算結果を比較した線図
である。
【0090】図8から、従来の造波装置で発生する斜め
波は波高分布が局所的に変動し、波高比で0.8未満あ
るいは1.2を超える箇所が島状に出現していることが
わかる。一方、本発明による図9の場合は、波高比が
0.8未満あるいは1.2を超える箇所は造波板近傍お
よび波高安定領域の外縁近くにわずかに現れるのみであ
り、主な試験対象範囲となる造波機中央からの波向線
(図中のBB’)に沿う付近にはそのような箇所は出現
していない。
【0091】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
斜め規則波の造波において波高の一様性が改善され、精
度の高い水理試験の実施が可能になる効果があり、この
ような波高の一様性の改善効果は、例えば図10に示す
測定線上の結果を比較した線図からも明らかである。ま
た本発明では水槽の側壁からの反射波を利用しないで斜
め規則波を造波できるため、側壁を消波構造として模型
からの反射波を吸収してしまうことができ、側壁からの
反射波が水槽に戻ることによる試験精度の低下も防ぐこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る造波装置の構成を示す
模式図である。
【図2】等間隔対称アレイを形成する偶数アレイ(a
図)と奇数アレイ(b図)の模式図である。
【図3】5次までのチェビシェフ多項式を示す線図であ
る。
【図4】5次のチェビシェフ多項式のカーブを抜き出し
て示した線図である。
【図5】本発明の実施例における造波板の振幅分布の一
例を示す線図である。
【図6】従来の造波装置における造波板の動きを示す説
明図である。
【図7】本発明の実施例に係る造波装置における造波板
の動きを示す説明図である。
【図8】従来の造波装置により得られる波高分布の計算
結果を示す線図である。
【図9】本発明の実施例装置に得られる波高分布の計算
結果を示す線図である。
【図10】図8及び図9の測定線AA’上の波高計算結
果を比較した線図である。
【符号の説明】
P:造波板、D:駆動装置、F:架台、C:制御装置、
S:信号発生装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一列に配列された複数の造波板と、各造
    波板を個々に駆動する駆動装置と、駆動装置による各造
    波板の周期運動を制御する制御装置と、互いに隣接する
    造波板の周期運動に位相差を与えるように予め定められ
    た造波指令信号を前記制御装置に与える信号発生装置と
    を備え、前記造波板配列の前方に斜め規則波を発生させ
    る造波装置において、前記信号発生装置は、配列の中央
    の造波板の振幅を基準とする相対振幅の値が前記配列方
    向に関してドルフ・チェビシェフ分布となるように、
    記造波指令信号を補正する振幅補正手段を含んでいるこ
    とを特徴とする造波装置。
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