JP2741576B2 - 液中水分測定装置 - Google Patents

液中水分測定装置

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JP2741576B2 JP29783294A JP29783294A JP2741576B2 JP 2741576 B2 JP2741576 B2 JP 2741576B2 JP 29783294 A JP29783294 A JP 29783294A JP 29783294 A JP29783294 A JP 29783294A JP 2741576 B2 JP2741576 B2 JP 2741576B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば絶縁油や冷凍機
等の潤滑油、溶剤、燃料及び石油化学原料等の石油製品
等の種々の液中に含有される水分量、即ち、水分濃度を
検知するための測定装置(以下「液中水分測定装置」と
いう。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、電気絶縁油は、油中に水分が含
有されるのを嫌うために、製油所において出荷の際、脱
水剤や真空浄油機などのような適当な手段で脱水し、そ
の水分監視を行っている。又、変電所、発電所等におい
て使用される油入型変圧器、油入型変成器などの電気設
備においても電気設備の予防保全上その水分監視が重要
な項目となっている。
【0003】又、最近冷蔵庫、自動車用エアコン等に使
用される潤滑油は、フロンガス規制を背景にした冷媒変
更が余儀なくされており、そのために、従来の鉱油か
ら、合成系の潤滑油であるエステルやPAG(ポリアル
キレングリコール)に変わりつつある。これら合成系潤
滑油は、鉱油より吸湿性が高く、過度に吸湿すると加水
分解或は酸化劣化を生じて潤滑性が低下し、機械の正常
な動作を妨げることが知られている。また、例えば、ジ
ェット燃料については、航空機が成層圏を飛行する際、
水分が含まれていると凍結し、燃料ラインを目詰まりさ
せることが知られている。
【0004】このような理由のために、潤滑油やその他
の各種の石油製品等に含有された水分量を検知する必要
性が増加している。
【0005】従来から、このような液中の水分検知は、
カールフイッシャー法に代表される電量滴定法が主流を
占めている。
【0006】しかしながら、従来行なわれているカール
フイッシャー法などの電量滴定法は、バッチ式の測定法
であるために、現場で油を一定量サンプリングし、それ
を試験室に運び分析装置にかけて測定するという手順が
踏まれており、現場にて迅速に対応できないという問
題、更には、連続監視ができないという問題があった。
【0007】このような問題を解決するにはオンライン
方式の液中水分測定装置が望まれるが、未だ斯かる要求
を十分に満足せしめる、市場で入手可能な本格的な製品
はない。
【0008】更に別の問題として、上述の電量滴定装置
のような湿式分析装置は形が大きく、持ち運びが不便で
あるという問題があった。このために、小型で、持ち運
び可能の、所謂ポータブルタイプの液中水分測定装置が
望まれるが、この目的に適し、十分な性能を有する製品
を市場で見出すことはできない。
【0009】他方、技術的にはこのような目的の製品に
適するセンサーとして、従来からアルミニウム陽極酸化
膜型の水分センサーが検討されてきた。このセンサーの
特長は、小型であり且つ直接液中に置き使用できること
である。
【0010】アルミニウム陽極酸化膜型水分センサーの
検知原理は、被検知対象の液中にセンサーを置くと水分
がセンサーと液の界面に吸着し、電気的静電容量を発生
することに基づく。静電容量は、水分子の吸着量に対応
し、又、吸着量は、液中の水分濃度に対応するために、
このセンサーを使用して液中の水分検知が可能である。
【0011】本発明者らは、このようなセンサーを使用
した液中水分測定装置を提案した。この液中水分測定装
置の全体構成は、図2に示すように、液中の水分を検知
するためのアルミニウム陽極酸化膜型水分センサーのよ
うな静電容量型水分センサーSと、この水分センサーS
の静電容量Cの変化に応じて出力する周波数Fが変化す
るCR発振回路を備えたセンサー信号処理部10と、こ
のセンサー信号処理部10からの出力周波数Fを水分濃
度Lに換算する演算処理部を備えた演算処理装置20
と、この演算処理装置20からの水分濃度を表示するた
めの水分値表示回路を備えた表示装置30とを一体に構
成するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】斯る液中水分測定装置
にて、水分センサーSが故障した場合には、その交換が
必要とされる。しかしながら、水分センサーSは、その
特性にバラツキがあり、単に水分センサーSの部分だけ
を交換すれば良いといったものではなく、水分センサー
Sの特性に合わせてセンサー信号処理部10の調整が必
要とされ、極めて煩雑な作業となる。そのために、実際
には、水分センサーSが故障した場合には、液中水分測
定装置自体を新しいものと取り換えることが余儀なくさ
れる。これは、まだ十分に使用可能な演算処理装置2
0、表示装置30をも廃棄することとなり、省資源にお
いて、又経済的にも問題がある。
【0013】本発明者らは、図1に示すように、液中水
分測定装置を、(A)静電容量型水分センサーSと、こ
の水分センサーSの静電容量Cの変化に応じて出力する
周波数Fが変化するCR発振回路を備えたセンサー信号
処理部10と、このセンサー信号処理部10からの出力
周波数Fからセンサーの特性の違いによらない規格化さ
れた信号Θを演算し出力する第1の演算処理装置20A
と、を一体に構成したセンサー側組立体100と、
(B)第1の演算処理装置20Aからの出力信号Θを水
分濃度に換算する第2の演算処理装置20Bと、この
演算処理装置20Bからの水分濃度を表示する水分表
示回路を備えた表示装置30と、を一体に構成した本体
側組立体200とに分け、両組立体100、200を、
例えば伝送ケーブル300などの電気的接続手段にて接
続する構成とすることにより、上記図2の構成とされる
液中水分測定装置が有する問題点を解決し得ることを見
出した。
【0014】つまり、もし、水分センサーSが故障した
場合には、センサー側組立体100の水分センサーSを
交換し、第1の演算処理装置20Aからの出力信号Θを
補正することにより、互換性良く、新しいセンサーを備
えたセンサー側組立体100を本体側組立体200に従
前通りに接続し、直ちに測定に供することが可能とな
る。
【0015】従って、本発明の目的は、センサーが故障
した場合にも互換性良く新しいセンサーに交換すること
ができ、センサー固体間の特性の違いをなくし、高精度
にて直ちに被検体中の水分量検出測定に供することので
きる液中水分測定装置を提供することである。
【0016】本発明の他の目的は、センサー固体間の特
性の違い及びセンサー自体の温度依存性をなくし、高精
度にて被検体中の水分量を検出することのできる液中水
分測定装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
液中水分測定装置にて達成される。要約すれば、本発明
は、液中の水分を検知するための静電容量型水分センサ
ーと、前記静電容量型水分センサーの出力の変化に応じ
て出力する周波数が変化するCR発振回路を備えた信号
処理部と、前記信号処理部からの出力周波数に基づいて
センサーの特性の違いによらない規格化された信号
(Θ)を下記演算式(1)、(2)、(3)、(4)に
よって演算し出力する第1の演算処理装置と、更に、第
1の演算処理装置からの出力信号(Θ)から下記演算式
(5)、(5a)によって油中水分濃度()に換算す
る第2の演算処理装置と、前記第2の演算処理装置から
の水分濃度出力を表示する水分表示装置とを備えたこと
を特徴とする液中水分測定装置である。 Θ=C S (1) 但し、0≦Θ≦1 C S であり、又、C は、温度補正を行った水分センサS
の、ベース静電容量B に対する増加分で、次式
(2)、(3)にて表現される。C =C−B (2)B =f(T) =XBD+(∂B /∂T)(T−TD )+△A (3) ここで、XBDは、液中水分濃度が0の時の基準温度TD
における水分センサSの実測静電容量、即ち、ベース容
量である。Tは、液中水分測定時の現実に測定される温
度であり、△Aは補正項である。∂B /∂Tは、ベー
ス容量の温度係数である。
【0018】又、上記S は、C の飽和値であり、次
式にて表される。
【0019】
【数2】 である。
【0020】又、 =Θ/((1−Θ)K) (5) 又は、 Θ=1/(1+1/*K) (5a) であり、上記Kは、液体とセンサーの組み合わせで決定
され、又液体の温度にて変動する平衡定数であって、 K=κ(T) (6) である。
【0021】本発明の他の態様によれば、上記式
(5)、(5a)の代わりに、下記式(7)を使用する
こともできる。 Θ=1−{σ/(*K)}+δ (7) ここで、上記σとδは、補正係数である。
【0022】本発明の好ましい態様によれば、前記静電
容量型水分センサー、前記信号処理部及び前記第1の演
算処理装置は一体とされてセンサー側組立体を構成し、
前記第2の演算処理装置及び水分表示装置は一体とされ
て本体側組立体を構成し、センサー側組立体と本体側組
立体とは伝送ケーブルのような電気的接続手段で接続さ
れる。
【0023】
【実施例】以下、本発明に係る液中水分測定装置の一実
施例を図面を参照しながら油中の水分を測定する場合を
例にして、更に詳しく説明する。本発明の液中水分測定
装置は、図1に概略その構成が示されるように、センサ
ー側組立体100と本体側組立体200とを伝送ケーブ
ル300にて接続する構成とされる。
【0024】センサー側組立体100は、油中の水分量
を検知する静電容量型の、例えばアルミニウム陽極酸化
膜型センサーのような水分センサーSと、この静電容量
型水分センサーSの静電容量の変化に応じて出力する周
波数が変化するCR発振回路を備えたセンサー信号処理
部10と、このセンサー信号処理部10からの出力周波
数Fからセンサーの特性の違いによらない規格化された
信号Θを演算し出力する第1の演算処理装置20Aとが
一体に構成される。又、本体側組立体200は、第1の
演算処理装置20Aからの出力信号Θを水分濃度に換
算する第2の演算処理装置20Bと、この演算処理装置
20Bからの水分濃度を表示する水分値表示回路を備
えた表示装置30とが一体に構成される。
【0025】次に、本発明の液中水分測定装置にて、水
分センサーSの静電容量Cをその後の取扱いが容易な電
気信号に変えるためのセンサー信号処理部10、即ち、
変換回路について説明する。
【0026】水分センサーSの静電容量Cをその後の取
扱いが行い易い電気信号に変えるためには、幾通りかの
変換回路が考えられ、例えば、周波数に変換する、電圧
に変換する、位相差に変換する電気回路等が考えられ
る。
【0027】本発明者らは、変換回路として静電容量を
周波数に変換する方式を検討した。この方式は、出力と
して一定レベルの電圧、例えば波高5Vのパルス電圧を
出力し、その周波数が静電容量に対応する構成とされ
る。この方式は、S/N比の良い出力形態が確保できる
という利点を有する。一例としてシュミット回路を応用
した変換回路を有するセンサー信号処理部10が図3に
示される。
【0028】図3に示すセンサー信号処理部10の変換
回路は、原理的にはCR発振回路であって、本実施例で
は、例えばC−MOS型のシュミットインバータ11
と、このインバータ11の入出力間(帰還回路)に接続
されたパルス周波数決定用素子である固定抵抗器Rと、
インバータ11の入力側に接続された静電容量素子C’
と、この静電容量素子C’と上記シュミットインバータ
11の入力側との間に直列に接続されたもう1つのパル
ス周波数決定用素子である静電容量型センサーSとにて
構成され、油中の水分量に起因したセンサーSの静電容
量(C)の変化に対応して周波数(F)が変動するパル
ス信号を出力する。なお、センサーSと並列に接続され
た抵抗器R’はセンサーSに直流電圧成分がかからない
ようにするためのものである。通常、水分センサーSと
して酸化アルミニウムなどからなるセンサーが用いられ
るので、直流電圧成分が印加されると、分極、絶縁破壊
などによりセンサー特性の劣化などが生じ易くなるの
で、これを防止するためである。パルス発生回路からの
パルス信号は、第2のC−MOS型のシュミットインバ
ータ12にてそのパルス波形が反転された同じ周波数の
出力電圧とされ、第1の演算処理装置20Aに供給され
る。
【0029】本実施例における変換回路10で出力され
る周波数Fと静電容量Cの関係は、下記の式(8)のよ
うに表わされる。
【0030】
【数3】 ここで、F :出力周波数 C :水分センサーの静電容量(C=XC +XB ) XC :水分濃度で変化する成分 XB :水分センサーの固有成分(ベース容量) C’:回路定数(静電容量) R :回路定数(抵抗) k :回路の特性係数
【0031】更に、本発明によれば、水分センサーSの
温度依存性を補正するために計測時の測定雰囲気温度
(T)が測定される。任意の温度測定方法及び装置を使
用し得るが、本実施例では、センサー信号処理部、即
ち、水分検出回路10と同様に、基本的にCR発振回路
とされる温度検出回路10T が使用される。つまり、こ
の温度検出回路10T は、例えばC−MOS型のシュミ
ットインバータ31と、このインバータ31の入出力間
(帰還回路)に接続されたパルス周波数決定用素子であ
る例えばサーミスタのような抵抗変化式の温度センサー
T と、インバータ31の入力側と接地間に接続された
もう1つのパルス周波数決定用素子である固定静電容量
素子C0 とによって、温度に関する方形波パルス信号を
発生するCR発振回路を構成し、パルス周波数決定用素
子である温度センサーRT の抵抗が温度に応じて変化す
ることによってこのCR発振回路の出力周波数(FT
を対応的に変化させ、この発振出力、即ち方形波パルス
信号は、その波形を第2のC−MOS型のシュミットイ
ンバータ32にて反転した後、第1の演算処理装置20
Aに入力され、その周波数(FT )に対応する温度が算
出される。
【0032】本発明の液中水分測定装置にて、第1の演
算処理装置20Aは、所定の演算式に従って前記センサ
ー信号処理部10からの出力周波数(F)をセンサの特
性の違いによらない規格化された信号(Θ)に換算する
演算処理部を備えている。
【0033】この第1の演算処理装置20Aからの信号
(Θ)は、電気的接続手段、例えば伝送ケーブル300
を介して、本体側組立体200の第2の演算処理装置2
0Bへと送信される。この第1の演算処理装置20Aか
らの信号(Θ)は、第2の演算処理装置20Bの演算処
理部にて所定の演算式に従って油中水分濃度()に換
算される。この演算処理装置20Bからの水分濃度出力
は、水分値表示回路を備えた表示装置30にて水分値
(%)にて表示される。
【0034】更に説明すると、前記第1の演算処理装置
20Aにて使用される演算式は、次の式(9)で示す通
りである。 Θ=C S (9) 但し、0≦Θ≦1 C S である。
【0035】ここで、C は、図4にて理解されるよう
に、温度補正を行った水分センサSの、ベース静電容量
B に対する増加分で、次式(10)、(11)にて表
現される。C =C−B (10)B =f(T) =XBD+(∂B /∂T)(T−TD )+△A (11) 又、XBDは、液中水分濃度が0の時の基準温度TD にお
ける水分センサSの実測静電容量、即ち、ベース容量で
ある。Tは、液中水分測定時の現実に測定される温度で
あり、△Aは補正項である。∂B /∂Tは、ベース容
量の温度係数である。
【0036】このように、C に対し上記の補正を行う
理由は、B がセンサー固体間にて違いがあること、又
センサー自体に温度特性があるためである。
【0037】上記式(9)のS は、C の飽和値であ
り、液中の水分濃度が増加していったときにセンサーと
液体との界面に単分子膜が形成されるその時のC 値を
意味する。換言すれば、S は、次式にて表される。
【0038】
【数4】
【0039】本発明にて、上記Θ及びその計算ベースに
なるC S はいかなる方法で求めても良く、例えば
精密測定用のLCRメータを用いて実測により求めるこ
ともできるが、本発明においてはセンサー信号処理部1
0にて周波数発振器が用いられているので、これに関連
して説明する。
【0040】上記Θ及びC S は、基本的には、先
に示した式(8)を用いて求めることができる。即ち、
式(8)から、Cは、次式に書き換えることができる。 C=1/(RkF−1/C’) (13) ここで、F :出力周波数 C :水分センサーの静電容量(C=C B C :水分濃度で変化する成分B :水分センサーの固有成分(ベース容量) C’:回路定数(静電容量) R :回路定数(抵抗) k:回路の特性係数 上記B は、液中の水分濃度を0としたときのC値から
上記式(13)を用いて求められる。
【0041】勿論、式(13)において、現実の計算上
のC値を例えばLCRメータによる実測値に合わせるた
め、補正することもできる。
【0042】このように、第1の演算処理装置20Aの
演算処理部にて所定の演算式に従ってセンサー信号処理
部10からの出力周波数(F)は、センサの特性の違い
によらない規格化された信号(Θ)に換算される。
【0043】次に、前記の規格化された信号Θから、第
2の演算処理装置20Bで油中水分濃度を求める方法
について述べる。
【0044】先ず、本発明に従った油中における水分量
測定原理について説明すると、油中における水分センサ
ーの出力静電容量(C)は、液中水分測定装置(LCR
メータ)による計測によれば、図4に示すように、低濃
度領域から立ち上がり、次第に漸近的に一定の値に近付
く。この現象は、気相中での水分検知とは全く異なる。
これは、センサー表面にて、気相中では多分子吸着が行
なわれているのに対して、油中では単分子吸着が行なわ
れているからであると思われる。
【0045】このような考えに基づくと、下記の式(1
4)が成り立つ。
【0046】
【数5】 ここで、n :水分子1個が吸着サイト1個を占有す
るときの油分子1個が占有する吸着サイト数 M :1個の油分子 P :センサー表面の1個の吸着サイト N0 :油分子によって占有された吸着サイト数 A1 :油中水分の活動度 N1 :水分子によって占有された吸着サイト数 A2 :油の活動度 上記式(14)は平衡関係にあるから、
【0047】
【数6】 ここで、N:全吸着サイト数 K:平衡定数
【0048】上記式(14)、(15)にて、A2 は、
油の活動度であるが、事実上多量にあるので1とし、
又、A1 は、油中水分の活動度であるが水分濃度が希薄
なので濃度Lに置き換えることができる。
【0049】このような前提に、上記式(15)、(1
6)より、下記の式(17)が得られる。
【0050】
【数7】 上記式(17)にて、N1 /Nは、表面被覆率(θ)に
相当する。
【0051】
【数8】 である。
【0052】上記式(18)を、表面被覆率(θ)を用
いて表すと、
【0053】
【数9】 となり、この式(19)は、ラングミュア型吸着等温式
と同じ形となる。
【0054】上記第1の演算処理装置20Aからの規格
化された信号Θは、上記式(18)で示す表面被覆率θ
を現実の測定に合わせ、より正確に表現したパラメータ
である。上記式(19)に基づき、Θと油中水分濃度
との関係は次式(20)又は(21)で表わされる。 =Θ/((1−Θ)K) (20) 又は、 Θ=1/(1+1/*K) (21) 但し、K=κ(T) (22) 上記式(20)又は(21)により、液中水分濃度
求められる。このとき、上記Kは、液体とセンサーの組
み合わせで決定されるパラメータであって、上記式(1
4)で示される反応によって決まるものであり、数式上
は上記式(15)で表現され、平衡定数を意味する。
【0055】式(20)又は(21)において、この平
衡定数Kは、液体の温度によっても変わるために、温度
による補正を必要とし、そのために、上記式(15)の
Kを、 K=κ(T) と函数表現する必要がある。
【0056】尚、上記Θは、液中水分濃度が低濃度の
場合近似式の考えから次式、 Θ=1−{σ/(*K)}+δ (23) として、水分濃度を計算することも可能である。
【0057】ここで、上記式(23)におけるσとδ
は、補正係数であり現実のデータに即して分析による実
測の水分値と本発明による液中水分検知器測定が合うよ
うに任意に定められる。
【0058】具体的に第2の演算処理装置20Bにて上
記式(20)を用いて液中水分濃度を演算で求めるに
は、この式から明らかなように、κ(T)をこの式に入
力してやる必要があるが、これは実験により次の方法で
求めることができる。
【0059】即ち、式(20)を変形した次の形の式
(24)において、に対し/Θをプロットすること
によりその逆数としてκ(T)が求められる。 /Θ=+1/κ(T) (24) 各温度においてこれを実験的に行いκ(T)を求め、そ
れを第2の演算処理装置20BのROM又はRAMに記
憶しておけば、水分センサーS及び第1段の演算処理装
置20AがΘを出力しさえすれば、自動的に第2段の演
算処理装置20Bが水分値の信号を出力することがで
きる。
【0060】勿論、水分値の出力信号は、それに対応
する形であれば何でもよく、例えばパルス数(周波
数)、アナログ電流/電圧などが使用できる。
【0061】さて、水分値を演算するに際して、上記式
(20)を適用できるのは、平衡定数Kのみが温度依存
性を有する場合に限られる。
【0062】しかしながら、現実には、水分子の吸着膜
の誘電率が温度によって変化する場合を考慮する必要が
ある。この理由は、現実には「水分センサの静電容量
が、液体中の同じ水分濃度においても温度によって変化
する」といった現象が発明者らにより確認されたからで
ある。
【0063】このことを考慮に入れ、水分センサーSよ
り発生する静電容量を、下記の仮定をおいてより詳細に
表現すると、下記式(25)、(26)のようになる。
【0064】つまり、 (1)吸着膜の誘電率が温度により変化する。 (2)単分子膜形成時、即ち、Θ=1のときの吸着膜の
誘電率を、εの函数ε(T)で表わすものとする。Tは
温度である。 (3)任意の吸着量(Θ=1以下)におけるεは、Θに
比例するものとする。 との仮定をおくととの仮定をおくと、C =Θ*ε(T)*ξ (25)S =ε(T)*ξ (26) 但し、ξは定数で水分センサの感湿部を平行板キャパシ
タに見立てた場合のS/dに相当する。Sは極板面積、
dは極板間距離で、いずれも不変とする。
【0065】この場合は、 Θ=C S となり、式(9)と同一であり、温度に対する誘電率の
係数が消去され、単純にΘを用いることで式(20)よ
り液中水分濃度が求められる。
【0066】吸着膜の誘電率が前記(2)及び(3)と
異なる挙動をとる場合は、次のような仮定を置く。 (1)吸着膜の誘電率が温度により変化する。 (2)単分子膜形成時、即ち、Θ=1のときの吸着膜の
誘電率を、εの函数ε1(T)で表わすものとする。T
は温度である。 (3)任意の吸着量(Θ=1以下)におけるεが前記
(2)とは別の函数温度ε2(T)である。Tは温度で
ある。
【0067】この場合、下記式(27)、(28)が成
り立つと仮定する。C =Θ*ε2(T)*ξ (27)S =ε1(T)*ξ (28) 式(27)、(28)より、C S =Θ*ε2(T)/ε1(T) (29) 簡単のため、 ε2(T)/ε1(T)=Φ(T) (30) とおくと、式(20)、(29)及び(30)より次式
(31)を得る。 =1/((Φ(T)/Θ−1)*κ(T)) (31) 上記式(31)から分かるように、この場合は、Θから
演算される水分濃度が温度によって変わることになる。
この解決策としては、式(31)を変形した次式(3
2)より実験的にΦ(T)とκ(T)を求め、式(3
1)に適用することが考えられる。 /Θ=/Φ(T)+1/(Φ(T)*κ(T)) (32) 即ち、数点の各温度・各濃度におけるに対する/Θ
のプロットからその傾きと切片を求めることによって、
Φ(T)とκ(T)とが求められる。そして、これらを
式(31)に入れることによって演算処理装置20Bに
よる演算で液中水分濃度が求められる。
【0068】以上説明したように、本実施例の液中水分
測定装置によれば、液体中の水分濃度を正確に知ること
ができる。
【0069】表1及び表2に、本発明の液中水分測定装
置によりエステル系潤滑油及び電気絶縁油中の水分測定
結果と、カールフィッシャー法による測定結果を示す。
両測定結果は実質的に一致しているといえる。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液中
水分測定装置は、(A)静電容量型水分センサーSと、
この水分センサーSの静電容量Cの変化に応じて出力す
る周波数Fが変化するCR発振回路を備えたセンサー信
号処理部10と、このセンサー信号処理部10からの出
力周波数Fからセンサーの特性の違いによらない規格化
された信号Θを演算し出力する第1の演算処理装置20
Aと、を一体に構成したセンサー側組立体100と、
(B)第1の演算処理装置20Aからの出力信号Θを水
分濃度に換算する第2の演算処理装置20Bと、この
演算処理装置20Bからの水分濃度Lを表示する水分表
示回路を備えた表示装置30と、を一体に構成した本体
側組立体200とにて構成し、両組立体100、200
を電気的接続手段、例えば伝送ケーブル300にて接続
する構成とされるので、センサーが故障した場合にも互
換性良く新しいセンサーに交換することができ、センサ
ー固体間の特性の違いをなくし、更には、センサー自体
の温度依存性をもなくして、高精度にて直ちに被検体中
の水分量検出測定に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液中水分測定装置の一実施例の全体構
成を示す図である。
【図2】従来の液中水分測定装置の全体構成を示す図で
ある。
【図3】本発明の液中水分測定装置の一実施例に係る回
路構成図である。
【図4】液中水分濃度と静電容量の関係曲線の一例を示
す図である。
【符号の説明】
10、10T センサー信号処理部 20A、20B 第1、第2演算処理装置 30 水分表示装置 100 センサー側組立体 200 本体側組立体 300 電気的接続手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−2056(JP,A) 特開 平5−119011(JP,A) 特開 平6−124396(JP,A) 特開 平6−96382(JP,A) 特開 昭54−115295(JP,A) 特開 平6−337254(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液中の水分を検知するための静電容量型
    水分センサーと、前記静電容量型水分センサーの出力の
    変化に応じて出力する周波数が変化するCR発振回路を
    備えた信号処理部と、前記信号処理部からの出力周波数
    に基づいてセンサーの特性の違いによらない規格化され
    た信号(Θ)を下記演算式(1)、(2)、(3)、
    (4)によって演算し出力する第1の演算処理装置と、
    更に、第1の演算処理装置からの出力信号(Θ)から下
    記演算式(5)又は(5a)によって油中水分濃度
    )に換算する第2の演算処理装置と、前記第2の演
    算処理装置からの水分濃度出力を表示する水分表示装置
    とを備えたことを特徴とする液中水分測定装置。 Θ=C S (1) 但し、0≦Θ≦1 C S であり、又、C は、温度補正を行った水分センサS
    の、ベース静電容量B に対する増加分で、次式
    (2)、(3)にて表現される。C =C−B (2)B =f(T) =XBD+(∂B /∂T)(T−TD )+△A (3) ここで、XBDは、液中水分濃度が0の時の基準温度TD
    における水分センサSの実測静電容量、即ち、ベース容
    量である。Tは、液中水分測定時の現実に測定される温
    度であり、△Aは補正項である。∂B /∂Tは、ベー
    ス容量の温度係数である。又、上記S は、C の飽和
    値であり、次式にて表される。 【数1】 である。又、 =Θ/((1−Θ)K) (5) 又は、 Θ=1/(1+1/*K) (5a) であり、上記Kは、液体とセンサーの組み合わせで決定
    され、又液体の温度にて変動する平衡定数であって、 K=κ(T) (6) である。
  2. 【請求項2】 上記式(5)又は(5a)の代わりに、
    下記式(7)を使用することを特徴とする請求項1の液
    中水分測定装置。 Θ=1−{σ/(*K)}+δ (7) ここで、上記σとδは、補正係数である。
  3. 【請求項3】 前記静電容量型水分センサー、前記信号
    処理部及び前記第1の演算処理装置は一体とされてセン
    サー側組立体を構成し、前記第2の演算処理装置及び水
    分表示装置は一体とされて本体側組立体を構成し、セン
    サー側組立体と本体側組立体とは電気的接続手段で接続
    されることを特徴とする請求項1又は2の液中水分測定
    装置。
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