JP2732373B2 - 内部熱交換型蒸留塔 - Google Patents

内部熱交換型蒸留塔

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JP2732373B2
JP2732373B2 JP23076895A JP23076895A JP2732373B2 JP 2732373 B2 JP2732373 B2 JP 2732373B2 JP 23076895 A JP23076895 A JP 23076895A JP 23076895 A JP23076895 A JP 23076895A JP 2732373 B2 JP2732373 B2 JP 2732373B2
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秀夫 野田
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Kimura Chemical Plants Co Ltd
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸留塔に関し、詳
しくは、低圧塔と高圧塔とを備え、両者の間で熱交換を
行う内部熱交換型の蒸留塔に関する。
【0002】
【関連技術及び発明が解決しようとする課題】従来、石
油化学その他の分野で種々の蒸留操作が行われている
が、図3に示すような、従来の蒸留操作に用いられてい
る蒸留塔によれば、例えばベンゼン・トルエン30ton
を蒸留して、トルエン16.5ton、ベンゼン13.5t
onを回収しようとすると、入熱が4000kW、放熱が
3940kWとなる。そして、この放熱が43℃の温排
水として系外に排出されることになるが、温排水の温度
が43℃と低いため温排水のもつ熱を利用することがで
きず、そのまま排水されているのが現状であり、省資
源、省エネルギーの見地からみて好ましいものではな
い。
【0003】そこで、本願の発明者等は、上記問題点を
解決することが可能な、省エネルギー性に優れた蒸留塔
として、単管又は複数管を両端管板によって本体胴と連
結させることにより、管内と管外が隔離された構造と
し、管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより
操作温度を異ならせ、単管又は複数管の管壁を伝熱面と
して、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高
圧側を濃縮部、低圧側を回収部として一つの蒸留塔を構
成した内部熱交換型蒸留塔(図4,図5)を提案してい
る(特願平6−228664号)。
【0004】すなわち、この内部熱交換型蒸留塔(を構
成する構造体)Aは、図4(a),(b)に示すように、本
体胴1内に挿入された複数管2を、両端管板(上側管板
3a及び下側管板3b)によって本体胴1と連結するこ
とにより、複数管2の管内(濃縮部)4と管外(回収
部)5とを隔離した構造を有している。
【0005】なお、管内(濃縮部)4及び管外(回収
部)5には充填物が充填されている。また、本体胴1の
上部には、管外(回収部)5に液を供給するための回収
部液入口6、管外(回収部)5からの蒸気を抜き出す回
収部蒸気出口7が配設されているとともに、上側管板3
aより上側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14a
には、管内(濃縮部)4に液を供給するための濃縮部液
入口8及び管内(濃縮部)4からの蒸気を抜き出す濃縮
部蒸気出口9が配設されている。さらに、本体胴1の下
部には、管外(回収部)5に蒸気を供給するための回収
部蒸気入口10、管外(回収部)5からの液を抜き出す
回収部液出口11が配設されているとともに、下側管板
3bより下側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14
bには、管内(濃縮部)4に蒸気を供給するための濃縮
部蒸気入口12及び管内(濃縮部)4からの液を抜き出
す濃縮部液出口13が配設されている。
【0006】また、図5は、図4(a),(b)に示す内部
熱交換型蒸留塔(を構成する構造体)Aを組み合わせて
構成した内部熱交換型蒸留塔を示す図であり、図4と同
一符号を付した部分は、図4の各部と同一の部分又は相
当する部分を示している。この内部熱交換型蒸留塔は、
図4に示す内部熱交換型蒸留塔(を構成する構造体)A
(A1,A2)を2段積み重ねることにより構成したもの
である。この内部熱交換型蒸留塔においては、原液が上
段の構造体A(A1)の回収部液入口6に供給される。
また、上段側の回収部液出口11は、管22により下段
側の構造体A(A2)の回収部液入口6に接続されてお
り、下段側の構造体A(A2)の回収部蒸気出口7は、
管21により上段側の構造体A(A1)の回収部蒸気入
口10に接続されている。
【0007】そして、上段側の構造体A(A1)の回収
部蒸気出口7は、管23により下段側の濃縮部蒸気入口
12に接続されており、管23には蒸気を圧縮するため
の圧縮機24が配設されている。また、下段側の構造体
A(A2)の濃縮部液出口13から抜き出された液は、
減圧弁25を備えた管26を経て回収部液入口6に供給
される。また、上段側の構造体A(A1)の濃縮部蒸気
出口9から抜き出された蒸気は、管27により冷却器2
8に導かれて凝縮し、留出液として回収されるととも
に、一部が濃縮部液入口8に戻される。さらに、下段側
の構造体A(A2)の回収部液出口11から抜き出され
た液は管29を経て、缶出液として系外に排出されるよ
うに構成されている。そして、この内部熱交換型蒸留塔
においては、上段側の構造体A(A1)と下段側の構造
体A(A2)において、回収部(管外)5と濃縮部(管
内)4の塔断面積の比を変える(すなわち、複数管2の
径を上段側の構造体A(A1)では下段側の構造体A
(A2)よりも小さくして、蒸気量負荷の均一化を図っ
ている。
【0008】そして、この内部熱交換型蒸留塔において
は、例えば、図6に示すように、ベンゼン・トルエン3
0tonを蒸留して、トルエン16.5ton、ベンゼン1
3.5tonを回収する場合に、入熱が2000kW、圧
縮機の動力が450kW、回収される熱エネルギーが1
50℃(2200kW)となり、前述の従来の蒸留塔を
用いる場合に較べて格段の省エネルギーを実現すること
ができる。
【0009】ところで、内部熱交換型ではない従来の蒸
留塔(以下、単に「従来の蒸留塔」という)において
は、その塔径は上昇蒸気量によって決定される。そし
て、この上昇蒸気量は蒸留塔の原料処理量から算出され
るが、これをモル単位で表示した場合、蒸留塔の上部か
ら下部まで、上昇蒸気のモル数は変らないのが従来の蒸
留塔の原理である。従って、従来の蒸留塔では、塔頂か
ら塔底まで塔径を同一とすることで特に問題が生じるよ
うなことはなかった。
【0010】しかし、内部熱交換型蒸留塔においては、
濃縮部から回収部に熱が移行するように構成されてお
り、濃縮部では上昇蒸気が冷却されて凝縮するため、蒸
気量は塔頂になるほど減少する。また、回収部では、下
降液が加熱されて蒸発するため、塔頂になるほど蒸気量
が増加する。
【0011】すなわち、上昇蒸気と塔断面積の関係を塔
高に関係なく一定にするには、塔断面積は、濃縮部では
塔頂から塔底にかけて増加させ、回収部では塔頂から塔
底にかけて減少させるようにしなければならない。ま
た、蒸気量負荷を均一化する見地からは、回収部5の塔
断面積と濃縮部4の塔断面積の比を塔頂から塔底まで連
続的に変化させて図7に示すような構造とすることが最
も望ましい。
【0012】但し、図8に示すように、上昇蒸気の速度
が許容蒸気速度を越えない範囲において、適当な塔高ピ
ッチで段階的にその比を変えた構造によっても、実用上
十分な蒸気量負荷の均一化を実現することが可能であ
る。その例が、上述の図5に示した、上段側と下段側と
で、それぞれ回収部(管外)5と濃縮部(管内)4の塔
断面積比の異なる2種類の構造体A1,A2を組み合わせ
てなる内部熱交換型蒸留塔である。
【0013】しかし、この内部熱交換型蒸留塔において
は、回収部(管外)5と濃縮部(管内)4の塔断面積の
比の異なる2種類の構造体A1,A2を積み重ねて用いて
いるため、構造体A1,A2の接続構造や、配管などが複
雑になり、製造コストの増大を招いたり、保守が困難に
なったりする場合がある。また、塔断面積比を変化させ
る箇所をできるだけ少なくするような設計上の制約が課
されるため、設計の自由度が小さくなるという問題点が
ある。
【0014】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、製造コストが増大したり、保守が困難になったりす
るような複雑な構造を必要とせずに蒸気量負荷を均一化
して、所望の特性を得ることが可能な内部熱交換型蒸留
塔を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の内部熱交換型蒸留塔は、単管又は複数管を
上下両端側の管板によって本体胴と連結させることによ
り、管内と管外が隔離された構造とし、管内側と管外側
の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異なら
せ、単管又は複数管の管壁を伝熱面として、高圧側から
低圧側に熱移動させることにより、高圧側を濃縮部、低
圧側を回収部として一つの蒸留塔を構成した内部熱交換
型蒸留塔であって、径が異なる単管又は複数管を、レジ
ューサを介して接続することにより、上下両端の管板間
に段階的に径の異なる単管又は複数管を配設して、塔断
面積を、濃縮部では塔頂から塔底にかけて増加させ、回
収部では塔頂から塔底にかけて減少させることにより、
上昇蒸気速度が許容速度を越えないように、蒸気量負荷
の均一化を図ったことを特徴としている。
【0016】また、管内及び管外に充填物を充填すると
ともに、それぞれに、気液の出入口を設けたことを特徴
としている。
【0017】また、管内を濃縮部、管外を回収部とし、
管内側総断面積と管外側総断面積の比(管内側総断面積
/管外側総断面積)を、塔頂に向って段階的に小さく、
塔底に向って段階的に大きくしたことを特徴としてい
る。
【0018】
【作用】単管又は複数管を両端管板によって本体胴と連
結させて、単管又は複数管の管内と管外が隔離された構
造とし、管内側と管外側の操作圧力に差をつけることに
より、管内側と管外側のいずれか一方を低圧塔、他方を
高圧塔とし、管壁を伝熱面として、高圧側(高温側)か
ら低圧側(低温側)に熱移動させるように構成するとと
もに、径が異なる単管又は複数管を、レジューサを介し
て接続し、上下両端の管板間に段階的に径の異なる単管
又は複数管を配設して、塔断面積を、濃縮部では塔頂か
ら塔底にかけて増加させ、回収部では塔頂から塔底にか
けて減少させることにより、塔頂から塔底にかけての蒸
気量負荷が実用上問題とならない程度に均一化された内
部熱交換型蒸留塔を得ることが可能になる。また、レジ
ューサを介して単管又は複数管を接続するだけで上下両
端の管板間に段階的に径の異なる単管又は複数管を配設
することができるため、前述の従来の内部熱交換型蒸留
塔のような複雑な構造を不要とすることが可能になり、
構造が簡潔で製造や保守の容易な内部熱交換型蒸留塔を
確実に得ることが可能になる。
【0019】さらに、本発明の内部熱交換型蒸留塔にお
いては、管内及び管外に充填物を充填することにより、
蒸留分離の精度や省エネルギー効果を向上させることが
可能になる。
【0020】また、本発明の内部熱交換型蒸留塔におい
ては、管内を濃縮部、管外を回収部とし、管内側総断面
積と管外側総断面積の比(管内側総断面積/管外側総断
面積)を、塔頂に向って段階的に小さく、塔底に向って
段階的に大きくしたことが好ましいが、これは、一般
に、強度上は、高圧側は径の小さいことが望ましく、保
温上は、操作温度の高い方が内部にあることが望ましい
ことから、濃縮部(高圧(高温)側)が管内となり、そ
れを取り囲むように回収部(低圧(低温)側)が管外と
なる構造となることが望ましいことによる。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。図1(a)はこの発明の一実施例にかかる内部熱交
換型蒸留塔を示す正面断面図、図1(b)は図1(a)のI
b−Ib線断面図、図1(c)は図1(a)のIc−Ic線断
面である。
【0022】この内部熱交換型蒸留塔(を構成する構造
体)Aは、本体胴1と本体胴1内に挿入された複数の管
(複数管)2を、両端管板(上側管板3a及び下側管板
3b)によって本体胴1と連結させることにより、複数
管2の管内(濃縮部)4と管外(回収部)5を隔離した
構造を有している。
【0023】そして、各複数管2は、上部の小口径部2
aと下部の大口径部2bとを、レジューサ20を介して
溶接接続することにより一体に形成されており、上下両
端の管板3a,3bの間において、接続部の上側におい
ては管内(濃縮部)4の断面積が小さく、接続部の下側
においては管内(濃縮部)4の断面積が接続部の上側よ
り大きくなるように構成されている。
【0024】なお、本発明において、レジューサ20の
構造には特別の制約はないが、管と市販のレジューサを
突合せ溶接接合するのが一般的である。
【0025】また、管内(濃縮部)4には、その下端側
から図1(a)のyで示す高さまでは、大口径部2b用に
作製された規則充填物4bが充填されており、また、図
1(a)のyで示す位置から上端側までは、小口径部2a
用に作製された規則充填物4aが充填されている。
【0026】また、管外(回収部)5には、その下部か
ら図1(a)のxで示す高さまでは、胴断面積のうち、複
数管2の大口径部2bが挿入される部分をくりぬいた規
則充填物5bが充填されており、また、図1(a)のxで
示す位置より上部には、胴断面積のうち、複数管2の小
口径部2aが挿入される部分をくりぬいた規則充填物5
aが充填されている。
【0027】したがって、この実施例の内部熱交換型蒸
留塔では、レジューサ20の管内及び管外の管壁には充
填物は接触せず、空隙が形成されている。
【0028】なお、この実施例では、管内4及び管外5
への充填物として、規則充填物を用いているが、不規則
充填物を用いることも可能である。
【0029】さらに、本体胴1の上部には、管外(回収
部)5に液を供給するための回収部液入口6、管外(回
収部)5からの蒸気を抜き出す回収部蒸気出口7が配設
されており、上側管板3aより上側の、管内(濃縮部)
4と連通する端室14aには、管内(濃縮部)4に液を
供給するための濃縮部液入口8が配設され、また、管内
(濃縮部)4からの蒸気を抜き出す濃縮部蒸気出口9が
配設されている。
【0030】一方、本体胴1の下部には、管外(回収
部)5に蒸気を供給するための回収部蒸気入口10、管
外(回収部)5からの液を抜き出す回収部液出口11が
配設されており、下側管板3bより下側の、管内(濃縮
部)4と連通する端室14bには、管内(濃縮部)4に
蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口12が配設され、
また、管内(濃縮部)4からの液を抜き出す濃縮部液出
口13が配設されている。
【0031】また、図2は、図1に示す内部熱交換型蒸
留塔(構造体)Aに、圧縮機や配管などを組み合わせて
構成した内部熱交換型蒸留塔を示す図である。なお、図
2において、図1と同一符号を付した部分は、図1の各
部と同一又は相当部分を示している。
【0032】この内部熱交換型蒸留塔においては、原液
が構造体Aの回収部液入口6に供給されるように構成さ
れている。また、構造体Aの回収部蒸気出口7は、管2
3により下段側の濃縮部蒸気入口12に接続されてお
り、管23には蒸気を圧縮するための圧縮機24が配設
されている。さらに、構造体Aの濃縮部液出口13から
抜き出された液は、絞り弁25を備えた管26を経て回
収部液入口6に供給されるように構成されている。
【0033】また、構造体Aの濃縮部蒸気出口9から抜
き出された蒸気は、管27により冷却器28に導かれて
凝縮し、留出液として回収されるとともに、一部が濃縮
部液入口8に戻されるように構成されている。さらに、
構造体Aの回収部液出口11から抜き出された液は管2
9を経て、缶出液として系外に排出されるように構成さ
れている。
【0034】[具体例]上記のように構成された内部熱
交換型蒸留塔と、前述の図4に示すように、濃縮部と回
収部の塔断面積を塔頂と塔底で変化させずに一定とした
内部熱交換型蒸留塔(比較例)を用いて、ベンゼン50
mol%、トルエン50mol%よりなる原液を蒸留する場合
についてシミュレーションを行った。その条件及び結果
を以下に示す。
【0035】諸条件 原液供給量:360kmol/H 原液組成 :ベンゼン50mol% トルエン50mol% 留出液 :180kmol/H 留出液純度;ベンゼン99.5mol% 缶出液:180kmol/H 缶出液純度;トルエン99.5mol% 運転圧力 :濃縮部塔頂 0.65MPa :回収部塔頂 0.36MPa 蒸留塔の断面積当りの蒸気量負荷(fファクター) Fファクター=u・ρ1/2 u:塔内の蒸気線速度(m/s) ρ:塔内状態における蒸気密度(kg/m3
【0036】上記条件で、蒸気量負荷(fファクター)
を同じとして塔断面積の比を計算すると、濃縮部塔頂塔
断面積を1とした場合の、濃縮部塔底、回収部塔頂、回
収部塔底の塔断面積及び、回収部塔断面積の濃縮部塔断
面積に対する割合(回収部/濃縮部)は、表1に示すよ
うな値となる。
【0037】
【表1】
【0038】また、表1の値に最も近い数値になるよう
に、内部熱交換型蒸留塔を設計した場合における比較例
と実施例の内部熱交換型蒸留塔の塔径、複数管の管径、
塔頂及び塔底における複数管の本数などは表2に示すよ
うな値となる。
【0039】
【表2】
【0040】比較例の内部熱交換型蒸留塔においては、
塔頂の管径は実用的にはこれ以上小さくすることができ
ず、また、塔径2100mmの管内には379本を越える
複数管を配設することは事実上不可能である。
【0041】その結果、比較例の内部熱交換型蒸留塔に
おいては、塔頂の回収部/濃縮部の塔断面積比は2.6
5となる。これに対して、実施例の内部熱交換型蒸留塔
の塔頂の回収部/濃縮部の塔断面積比は3.43とな
る。
【0042】したがって、実施例の内部熱交換型蒸留塔
においては、比較例の内部熱交換型蒸留塔に比べて、回
収部/濃縮部の塔断面積比の上限が大きくなり、設計上
の制約が少なくなることがわかる。
【0043】そして、本発明の内部熱交換型蒸留塔にお
いては、レジューサを介して単管又は複数管を接続する
だけで、上下両端の管板間に段階的に径の異なる単管又
は複数管を配設することができるため、複雑な構造を必
要とせず、構造が簡潔で、保守の容易な内部熱交換型蒸
留塔を確実に得ることができるようになる。
【0044】また、上記実施例では、管内側を濃縮部、
管外側を回収部とした場合について説明したが、場合に
よっては、管内側を低圧側として回収部とし、管外側を
高圧側として濃縮部とすることも可能である。
【0045】さらに、上記実施例では、径の異なる複数
管を一箇所でレジューサにより接続した、すなわち、回
収部と濃縮部の塔断面積比の切替箇所が一箇所である場
合について説明したが、必要に応じて、2箇所以上の複
数の箇所で回収部と濃縮部の塔断面積比を切り換えるよ
うにすることが可能であることはいうまでもない。ま
た、その切替のピッチについても特別の制約はなく、切
替ピッチを一定にしてもよく、また、切換ピッチを任意
に変えるようにすることも可能である。
【0046】また、上記実施例では、管内側及び管外側
に規則充填物を充填した場合について説明したが、場合
によっては、管内側及び管外側のいずれか一方又は両方
に不規則充填物を用いることも可能である。さらに、管
内側及び管外側のいずれか一方又は両方をを棚段構造と
したり、棚段と充填物充填との組合せにすることも可能
である。
【0047】本発明はさらにその他の点においても上記
実施例に限定されるものではなく、単管の配設数、互に
隣接する単管の間隔、管内と管外の塔断面積の比率など
に関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変
形を加えることが可能である。
【0048】
【発明の効果】上述のように、本発明の内部熱交換型蒸
留塔は、単管又は複数管を両端管板によって本体胴と連
結させることにより、単管又は複数管の管内と管外が隔
離された構造とし、管内側と管外側の操作圧力に差をつ
けることにより、管内側と管外側のいずれか一方を低圧
塔、他方を高圧塔とし、管壁を伝熱面として、高圧側
(高温側)から低圧側(低温側)に熱移動させるように
構成するとともに、径が異なる単管又は複数管を、レジ
ューサを介して接続し、上下両端の管板間に段階的に径
の異なる単管又は複数管を配設して、塔断面積を、濃縮
部では塔頂から塔底にかけて増加させ、回収部では塔頂
から塔底にかけて減少させるようにしているので、蒸気
量負荷が均一で、蒸留性能に優れた内部熱交換型蒸留塔
を得ることができる。また、レジューサを介して単管又
は複数管を接続するだけで上下両端の管板間に段階的に
径の異なる単管又は複数管を配設することができるた
め、製造工程を簡略化して、製造コストを低減すること
が可能になるとともに、構造が簡潔で保守の容易な内部
熱交換型蒸留塔を得ることができる。
【0049】さらに、本発明の内部熱交換型蒸留塔にお
いては、管内及び管外に充填物を充填することにより、
蒸留分離の精度や省エネルギー効果を向上させることが
可能になる。
【0050】さらに、管内を濃縮部、管外を回収部と
し、管内側総断面積と管外側総断面積の比(管内側総断
面積/管外側総断面積)を、塔頂に向って段階的に小さ
く、塔底に向って段階的に大きくすることにより、各部
分における処理量(気液の流量)に応じた断面積を確保
して、より効率よく蒸留操作を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる内部熱交換型蒸留塔
(を構成する構造体)を示す図であり、(a)は正面断面
図、(b)はそのIb−Ib線断面図、(c)はそのIc−
Ic線断面である。
【図2】本発明の一実施例にかかかる内部熱交換型蒸留
塔を示す図である。
【図3】従来の蒸留塔の運転状態の一例を示す図であ
る。
【図4】本発明が関連する内部熱交換型蒸留塔(を構成
する構造体)を示す図であり、(a)は正面断面図、(b)
はそのIVb−IVb線断面図である。
【図5】本発明が関連する内部熱交換型蒸留塔を示す図
である。
【図6】内部熱交換型蒸留塔の運転状態の一例を示す図
である。
【図7】内部熱交換型蒸留塔の回収部と濃縮部の塔断面
積の関係を示す図である。
【図8】内部熱交換型蒸留塔の回収部と濃縮部の塔断面
積の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 本体胴 2 複数管 2a 複数管の小口径部 2b 複数管の大口径部 3a 上側管板 3b 下側管板 4 管内(濃縮部) 4a 小口径部用の規則充填物 4b 大口径部用の規則充填物 5 管外(回収部) 5a 小口径部管外用の規則充填物 5b 大口径部管外用の規則充填物 6 回収部液入口 7 回収部蒸気出口 8 濃縮部液入口 9 濃縮部蒸気出口 10 回収部蒸気入口 11 回収部液出口 12 濃縮部蒸気入口 13 濃縮部液出口 20 レジューサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 秀夫 兵庫県尼崎市南七松町2丁目9番7号 関西化学機械製作株式會社内 (72)発明者 小林 信幸 東京都中央区八丁堀二丁目25番10号 丸 善石油化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−55001(JP,A) 特開 平5−220301(JP,A) 特開 平1−310701(JP,A) 特開 平8−66601(JP,A) 実開 平2−95501(JP,U) 実開 平1−179704(JP,U) 特公 昭33−4412(JP,B1)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単管又は複数管を上下両端側の管板によ
    って本体胴と連結させることにより、管内と管外が隔離
    された構造とし、管内側と管外側の操作圧力に差をつけ
    ることにより操作温度を異ならせ、単管又は複数管の管
    壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させるこ
    とにより、高圧側を濃縮部、低圧側を回収部として一つ
    の蒸留塔を構成した内部熱交換型蒸留塔であって、 径が異なる単管又は複数管を、レジューサを介して接続
    することにより、上下両端の管板間に段階的に径の異な
    る単管又は複数管を配設して、塔断面積を、濃縮部では
    塔頂から塔底にかけて増加させ、回収部では塔頂から塔
    底にかけて減少させることにより、上昇蒸気速度が許容
    速度を越えないように、蒸気量負荷の均一化を図ったこ
    とを特徴とする内部熱交換型蒸留塔。
  2. 【請求項2】 管内及び管外に充填物を充填するととも
    に、それぞれに、気液の出入口を設けたことを特徴とす
    る請求項1記載の内部熱交換型蒸留塔。
  3. 【請求項3】 管内を濃縮部、管外を回収部とし、管内
    側総断面積と管外側総断面積の比(管内側総断面積/管
    外側総断面積)を、塔頂に向って段階的に小さく、塔底
    に向って段階的に大きくしたことを特徴とする請求項1
    又は2記載の内部熱交換型蒸留塔。
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