JP2724826B2 - ブッシュ用のオーステナイトアロイ - Google Patents
ブッシュ用のオーステナイトアロイInfo
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- JP2724826B2 JP2724826B2 JP62155660A JP15566087A JP2724826B2 JP 2724826 B2 JP2724826 B2 JP 2724826B2 JP 62155660 A JP62155660 A JP 62155660A JP 15566087 A JP15566087 A JP 15566087A JP 2724826 B2 JP2724826 B2 JP 2724826B2
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/48—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with niobium or tantalum
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は比較的高温下で使用される可動部品をなすブ
ツシユ、例えば高温で充分な硬度および強度を有し且つ
比較的高い熱膨張率を持たせるターボチヤージヤの排
弁、エンジンの弁案内部材等のブツシユに用いられるス
テンレススチールのアロイに関する。 ベアリングまたはブツシユ面に用いられるこの種のア
ロイは、エンジンあるいはモータハウジングに用いられ
る同種のアロイと異なり、特に熱ガスあるいは高速回転
を受けるターボチヤージヤ若しくはスーパチヤージヤ適
用可能に作成される。この場合自動車若しくは航空機の
ターボチヤージヤハウジングに内装されるブツシユは最
大約2000゜F(約1090℃)の高温動作温度あるいは腐蝕
性排気ガスの影響を受けることになる。例えばトラツク
のデイーゼルエンジン用のターボチヤージヤの場合、温
度が1300〜1400゜F(約700〜760℃)に達するので、ハ
ウジングの金属温度は1200〜1300゜F(約650〜700℃)
になる。一方乗用車用のターボチヤージヤにおいては、
動作温度が最大1750〜2000゜F(約950〜1090℃)に達
し、ハウジングの金属温度は1550〜1950゜F(約816〜10
70℃)になる。 ターボチヤージヤのハウジング用あるいはターボチヤ
ージヤ用の排弁のような弁若しくはこれと同等物に使用
されるブツシユには、熱膨張率が比較的高く、強度ある
いは耐酸化性が充分高い上、ターボチヤージヤあるいは
エンジンの受ける比較的高温下でも好適に機能しうるア
ロイを用いる必要がある。 (従来の技術) 従来この種のブツシユは2種類の方法、即ちフエライ
トを母材とするステンレススチールのアロイを鋳造する
か、あるいは複合材を粉末冶金技術に沿つて作成されて
いる。この場合フエライトを母材とするアロイを鋳造す
る方法で作成されたブツシユは耐酸化性に優れ且つ高温
での硬度も優れているので、汎用されている。また複合
材を用いて作成されたブツシユでは、耐酸化性が中程度
である反面、熱膨張率が高いステンレススチールを含ん
だラビス(Laves)相コバルトアロイであるトライブロ
イ(Triabloy)のような成分が10〜20%含まれている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら上述のフエライトを母材とするアロイで
作成されたブツシユにおいては、アロイ材の熱膨張率が
低くなり、ブツシユの寿命が相対的に短かくなる問題が
あつた。即ちこのアロイの熱膨張率は約11×10-6cm/cm/
℃であるが、例えば本願と同一出願人による米国出願第
749,153号に開示の鋳造ターボチヤージヤハウジングの
ステンレススチール材の熱膨張率は約18.6cm/cm/℃であ
り、また、ニツケル・レジスト〔Ni−Resist:インタナ
シヨナル ニツケル社(International Nickel Co)の
商標名〕のような他のハウジング材も同様な熱膨張率を
有していて、ブツシユとハウジング母材との間の熱膨張
率の差が大きいと、ブツシユは加熱および冷却の都度離
脱あるいは転位し勝ちになり、かかるブツシユを備える
排弁等が正常に機能しなくなる問題があつた。一方フエ
ライトアロイを用いて作成されたブツシユにおいては、
高価である上、高い酸化作用を受けると割れが生じ易
く、延いてはかかるブツシユを備えた排弁等が充分に機
能しないことが判明した。即ちこのアロイに含まれるス
テンレススチール成分は多孔性なので、長時間酸化環境
下に置かれると表面が酸化され、これに伴い割れを生じ
ることになり、ブツシユの機械的故障が多くなり勝ちで
あつた。 しかして本発明の目的は最高1800〜2000゜F(約980〜
1090℃)のターボチヤージヤ動作温度における耐酸化性
および硬度が高くまた熱膨張率が比較的高くハウジング
母材と実質的に同質のブツシユ用のアロイを提供するこ
とにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明によれば、29〜32%のクロム、4〜8%のニツ
ケル、1.0〜1.5%のニオブおよびタンタル、1.3〜1.7%
の炭素、0.25〜0.45%の硫黄、0.3〜0.4%の窒素、最大
1.0%のマンガン、最大2.0%のシリコン、最大1.0%の
モリブデン、最大0.1%の燐、残りが鉄からなり、最高2
000゜F(約1090℃)の動作温度で耐酸化性および強度を
有し、少なくとも15×10-6cm/cm/℃の熱膨張率を有する
母材がオーステナイトで、且つカーバイト微細構造を有
するブツシユ用のオーステナイトアロイにより上記の目
的を達成する。 (作用) 上述の如き本発明によるアロイは、オーステナイト母
材内にカーバイド構造を有するステンレススチールとし
て作成されるから、熱膨張率が充分に高く且つ高温下で
の耐酸化性および硬度が充分高くなる。 (実施例) 腐食を生じ易い環境下にあるターボチヤージヤハウジ
ングにおいて比較的高温を受けるブツシユを形成する本
発明による好ましい鋳造スチールのアロイとしてオース
テナイト母材内にカーバイト構造を有する鋳造オーステ
ナイトステンレススチールのアロイが使用される。更に
詳述するに、本発明の好ましいアロイは、クロム29〜32
%、ニツケル4〜8%、ニオブおよびタンタル1.0〜1.5
%、炭素1.3〜1.7%、硫黄0.25〜0.45%、窒素0.3〜0.4
%、マンガン最大1.0%、シリコン最大2.0%、モリブデ
ン最大1.0%、燐最大1.0%、残りが鉄からなる。上記の
配合範囲にあるアロイは鋳造された最大5時間の間最高
2200゜F(1200℃)で熱処理される。その後、アロイは
炉内または空冷により室温まで冷却される。 オーステナイト母材内にカーバイト構造を形成するた
め炭素が付加され、且つ所望の硬度を得るために少なく
とも1.3%の炭素を加入することが好ましい。炭素の最
大添加量はカーバイトが過度に形成されるか否かにより
判別できる。炭素添加量が過多になればアロイは脆弱に
なる。またマンガンの添加によりオーステナイトは安定
化されるが、マンガンの最大添加量は1.0%にされる。 本発明のアロイにおいて機械加工性を向上するために
硫黄が添加される。硫黄も添加量が過多になるとアロイ
が脆弱になり、且つ硫化物は溶融点が低くなる傾向にあ
るので、ブツシユ用の鋳造スチールアロイとして不適当
になる。 本発明のアロイにおいて鋳造性を向上するためシリコ
ンが添加される。シリコンは化合されて最大2%の錯M
23C6カーバイドが形成される。シリコン添加量を1%以
下にすると上記の効果が低下せしめられ、また2%以上
にするとアロイが極めて脆弱になる。 本発明のアロイに含まれるクロムは重要な要素であ
り、耐酸化性を与え且つM23O6錯カーバイドの形成に寄
与する。 一方、本発明のアロイの強度を高めるのにニツケルを
含有させることが有効であり、これによりオーステナイ
ト母材が形成される。特に本発明のアロイの鋳造にあつ
ては、ニツケルの添加量を正確に制御すると共に、オー
ステナイト生成の際ニツケルと同様にこの生成に寄与す
る窒素量の増加を平衡調整する。従つて本発明のアロイ
においてはニツケルの添加時のシビアな条件を軽減する
ため窒素の加入が極めて大きな要素をなし、少なくとも
0.3%加入される。 本発明のアロイには補強のためニオブおよびタンタル
が1.0〜1.5%添加される。この場合ニオブおよびタンタ
ルは極めて安定した(MC)カーバイドの形成に寄与す
る。 また本発明のアロイにモリブデンを含有させることに
より、硫黄との化合が図られ、アロイの機械加工性が向
上され、且つシリコンと炭化物を形成することにより高
温での強度を向上させ得るので望ましい。モリブデンの
添加量は最大1%であり、1%以上にしても製造コスト
が高くなる反面、強度はそれほど向上されない。 実験例1 ターボチヤージヤのハウジングを上記の米国出願第74
9,153号に開示の材料を用いて鋳造した。またこのター
ボチヤージヤの排弁のブツシユを29〜32%のクロム、4
〜8%のニツケル、1.0〜1.5%のニオブおよびタンタ
ル、1.3〜1.6%の炭素、0.25〜0.45%の硫黄、0.3〜0.4
%の窒素、最大1.0%のマンガン、最大2.0%のシリコ
ン、最大1.0%のモリブデン、最大0.1%の燐、残りが鉄
からなるアロイを用いて作成した。このブツシユの熱膨
張率は19.6×10-6cm/cm/℃であつた。またハウジング基
材の熱膨張率は18.6×10-6cm/cm/℃であり、一方フエラ
イトを母材とした従来の鋳造ブツシユに用いたアロイの
熱膨張率は約11×10-6cm/cm/℃であり、トリアボリ(Tr
iaboly)の熱膨張率が11.2×10-6cm/cm/℃であるから、
本発明によるブツシユの方が優れていることが判明し
た。本発明によるブツシユに用いたアロイの膨張率は約
15×106以上になつた。 上記の米国出願第749,153号に開示されるアロイを用
いたハウジングを備れるターボチヤージヤに本発明のア
ロイを用いた排弁のブツシユを具備させたところ、この
ターボチヤージヤは400時間以上、故障を来たすことな
く作動した。 実験例2 多数のブランクを、1.66%の炭素、1.96%のシリコ
ン、30.8%のクロム、47%のニツケル、0.70%のマンガ
ン、0.04%の燐、0.28%の硫黄、0.78%のモリブデン、
0.4%の範囲内の窒素、残りが鉄からなるアロイで鋳造
した。ブランクの硬度は29〜33HRCであつた。その後ブ
ランクの一部を950℃で5時間熱処理し空冷した。この
ブランクの硬度は44〜46HRCであつた。一方残りのブラ
ンクを950℃で2時間、熱処理し炉により冷却した。こ
のブランクの硬度は36〜46HRCであつた。 また空気鋳造のブランクはカーバイド916〜1353HV0.0
10,母材292〜351HV0.025および非金属混入物302−313HV
0.025を含有していることが判明した。且つ非金属混入
物には元素の鉄、クロム、マンガンおよび硫黄が含まれ
ていた。 本発明は上述の実施例に限定されることはなく特許請
求の範囲に含まれるすべての設計変更物を包有すること
は理解されよう。 (発明の効果) 上述のように構成された本発明のブツシユ用のアロイ
によれば、高温下での耐酸化性および硬度が充分高いの
で、耐用性が大巾に増大される上、高い熱膨張率を維持
するので、高い熱膨張を有するターボチヤージヤのハウ
ジング等に内設するブツシユに採用して、作動時にハウ
ジングとブツシユの寸法上の誤差などを生せず、円滑な
連係動作を保証する等々の顕著な効果を達成する。
ツシユ、例えば高温で充分な硬度および強度を有し且つ
比較的高い熱膨張率を持たせるターボチヤージヤの排
弁、エンジンの弁案内部材等のブツシユに用いられるス
テンレススチールのアロイに関する。 ベアリングまたはブツシユ面に用いられるこの種のア
ロイは、エンジンあるいはモータハウジングに用いられ
る同種のアロイと異なり、特に熱ガスあるいは高速回転
を受けるターボチヤージヤ若しくはスーパチヤージヤ適
用可能に作成される。この場合自動車若しくは航空機の
ターボチヤージヤハウジングに内装されるブツシユは最
大約2000゜F(約1090℃)の高温動作温度あるいは腐蝕
性排気ガスの影響を受けることになる。例えばトラツク
のデイーゼルエンジン用のターボチヤージヤの場合、温
度が1300〜1400゜F(約700〜760℃)に達するので、ハ
ウジングの金属温度は1200〜1300゜F(約650〜700℃)
になる。一方乗用車用のターボチヤージヤにおいては、
動作温度が最大1750〜2000゜F(約950〜1090℃)に達
し、ハウジングの金属温度は1550〜1950゜F(約816〜10
70℃)になる。 ターボチヤージヤのハウジング用あるいはターボチヤ
ージヤ用の排弁のような弁若しくはこれと同等物に使用
されるブツシユには、熱膨張率が比較的高く、強度ある
いは耐酸化性が充分高い上、ターボチヤージヤあるいは
エンジンの受ける比較的高温下でも好適に機能しうるア
ロイを用いる必要がある。 (従来の技術) 従来この種のブツシユは2種類の方法、即ちフエライ
トを母材とするステンレススチールのアロイを鋳造する
か、あるいは複合材を粉末冶金技術に沿つて作成されて
いる。この場合フエライトを母材とするアロイを鋳造す
る方法で作成されたブツシユは耐酸化性に優れ且つ高温
での硬度も優れているので、汎用されている。また複合
材を用いて作成されたブツシユでは、耐酸化性が中程度
である反面、熱膨張率が高いステンレススチールを含ん
だラビス(Laves)相コバルトアロイであるトライブロ
イ(Triabloy)のような成分が10〜20%含まれている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら上述のフエライトを母材とするアロイで
作成されたブツシユにおいては、アロイ材の熱膨張率が
低くなり、ブツシユの寿命が相対的に短かくなる問題が
あつた。即ちこのアロイの熱膨張率は約11×10-6cm/cm/
℃であるが、例えば本願と同一出願人による米国出願第
749,153号に開示の鋳造ターボチヤージヤハウジングの
ステンレススチール材の熱膨張率は約18.6cm/cm/℃であ
り、また、ニツケル・レジスト〔Ni−Resist:インタナ
シヨナル ニツケル社(International Nickel Co)の
商標名〕のような他のハウジング材も同様な熱膨張率を
有していて、ブツシユとハウジング母材との間の熱膨張
率の差が大きいと、ブツシユは加熱および冷却の都度離
脱あるいは転位し勝ちになり、かかるブツシユを備える
排弁等が正常に機能しなくなる問題があつた。一方フエ
ライトアロイを用いて作成されたブツシユにおいては、
高価である上、高い酸化作用を受けると割れが生じ易
く、延いてはかかるブツシユを備えた排弁等が充分に機
能しないことが判明した。即ちこのアロイに含まれるス
テンレススチール成分は多孔性なので、長時間酸化環境
下に置かれると表面が酸化され、これに伴い割れを生じ
ることになり、ブツシユの機械的故障が多くなり勝ちで
あつた。 しかして本発明の目的は最高1800〜2000゜F(約980〜
1090℃)のターボチヤージヤ動作温度における耐酸化性
および硬度が高くまた熱膨張率が比較的高くハウジング
母材と実質的に同質のブツシユ用のアロイを提供するこ
とにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明によれば、29〜32%のクロム、4〜8%のニツ
ケル、1.0〜1.5%のニオブおよびタンタル、1.3〜1.7%
の炭素、0.25〜0.45%の硫黄、0.3〜0.4%の窒素、最大
1.0%のマンガン、最大2.0%のシリコン、最大1.0%の
モリブデン、最大0.1%の燐、残りが鉄からなり、最高2
000゜F(約1090℃)の動作温度で耐酸化性および強度を
有し、少なくとも15×10-6cm/cm/℃の熱膨張率を有する
母材がオーステナイトで、且つカーバイト微細構造を有
するブツシユ用のオーステナイトアロイにより上記の目
的を達成する。 (作用) 上述の如き本発明によるアロイは、オーステナイト母
材内にカーバイド構造を有するステンレススチールとし
て作成されるから、熱膨張率が充分に高く且つ高温下で
の耐酸化性および硬度が充分高くなる。 (実施例) 腐食を生じ易い環境下にあるターボチヤージヤハウジ
ングにおいて比較的高温を受けるブツシユを形成する本
発明による好ましい鋳造スチールのアロイとしてオース
テナイト母材内にカーバイト構造を有する鋳造オーステ
ナイトステンレススチールのアロイが使用される。更に
詳述するに、本発明の好ましいアロイは、クロム29〜32
%、ニツケル4〜8%、ニオブおよびタンタル1.0〜1.5
%、炭素1.3〜1.7%、硫黄0.25〜0.45%、窒素0.3〜0.4
%、マンガン最大1.0%、シリコン最大2.0%、モリブデ
ン最大1.0%、燐最大1.0%、残りが鉄からなる。上記の
配合範囲にあるアロイは鋳造された最大5時間の間最高
2200゜F(1200℃)で熱処理される。その後、アロイは
炉内または空冷により室温まで冷却される。 オーステナイト母材内にカーバイト構造を形成するた
め炭素が付加され、且つ所望の硬度を得るために少なく
とも1.3%の炭素を加入することが好ましい。炭素の最
大添加量はカーバイトが過度に形成されるか否かにより
判別できる。炭素添加量が過多になればアロイは脆弱に
なる。またマンガンの添加によりオーステナイトは安定
化されるが、マンガンの最大添加量は1.0%にされる。 本発明のアロイにおいて機械加工性を向上するために
硫黄が添加される。硫黄も添加量が過多になるとアロイ
が脆弱になり、且つ硫化物は溶融点が低くなる傾向にあ
るので、ブツシユ用の鋳造スチールアロイとして不適当
になる。 本発明のアロイにおいて鋳造性を向上するためシリコ
ンが添加される。シリコンは化合されて最大2%の錯M
23C6カーバイドが形成される。シリコン添加量を1%以
下にすると上記の効果が低下せしめられ、また2%以上
にするとアロイが極めて脆弱になる。 本発明のアロイに含まれるクロムは重要な要素であ
り、耐酸化性を与え且つM23O6錯カーバイドの形成に寄
与する。 一方、本発明のアロイの強度を高めるのにニツケルを
含有させることが有効であり、これによりオーステナイ
ト母材が形成される。特に本発明のアロイの鋳造にあつ
ては、ニツケルの添加量を正確に制御すると共に、オー
ステナイト生成の際ニツケルと同様にこの生成に寄与す
る窒素量の増加を平衡調整する。従つて本発明のアロイ
においてはニツケルの添加時のシビアな条件を軽減する
ため窒素の加入が極めて大きな要素をなし、少なくとも
0.3%加入される。 本発明のアロイには補強のためニオブおよびタンタル
が1.0〜1.5%添加される。この場合ニオブおよびタンタ
ルは極めて安定した(MC)カーバイドの形成に寄与す
る。 また本発明のアロイにモリブデンを含有させることに
より、硫黄との化合が図られ、アロイの機械加工性が向
上され、且つシリコンと炭化物を形成することにより高
温での強度を向上させ得るので望ましい。モリブデンの
添加量は最大1%であり、1%以上にしても製造コスト
が高くなる反面、強度はそれほど向上されない。 実験例1 ターボチヤージヤのハウジングを上記の米国出願第74
9,153号に開示の材料を用いて鋳造した。またこのター
ボチヤージヤの排弁のブツシユを29〜32%のクロム、4
〜8%のニツケル、1.0〜1.5%のニオブおよびタンタ
ル、1.3〜1.6%の炭素、0.25〜0.45%の硫黄、0.3〜0.4
%の窒素、最大1.0%のマンガン、最大2.0%のシリコ
ン、最大1.0%のモリブデン、最大0.1%の燐、残りが鉄
からなるアロイを用いて作成した。このブツシユの熱膨
張率は19.6×10-6cm/cm/℃であつた。またハウジング基
材の熱膨張率は18.6×10-6cm/cm/℃であり、一方フエラ
イトを母材とした従来の鋳造ブツシユに用いたアロイの
熱膨張率は約11×10-6cm/cm/℃であり、トリアボリ(Tr
iaboly)の熱膨張率が11.2×10-6cm/cm/℃であるから、
本発明によるブツシユの方が優れていることが判明し
た。本発明によるブツシユに用いたアロイの膨張率は約
15×106以上になつた。 上記の米国出願第749,153号に開示されるアロイを用
いたハウジングを備れるターボチヤージヤに本発明のア
ロイを用いた排弁のブツシユを具備させたところ、この
ターボチヤージヤは400時間以上、故障を来たすことな
く作動した。 実験例2 多数のブランクを、1.66%の炭素、1.96%のシリコ
ン、30.8%のクロム、47%のニツケル、0.70%のマンガ
ン、0.04%の燐、0.28%の硫黄、0.78%のモリブデン、
0.4%の範囲内の窒素、残りが鉄からなるアロイで鋳造
した。ブランクの硬度は29〜33HRCであつた。その後ブ
ランクの一部を950℃で5時間熱処理し空冷した。この
ブランクの硬度は44〜46HRCであつた。一方残りのブラ
ンクを950℃で2時間、熱処理し炉により冷却した。こ
のブランクの硬度は36〜46HRCであつた。 また空気鋳造のブランクはカーバイド916〜1353HV0.0
10,母材292〜351HV0.025および非金属混入物302−313HV
0.025を含有していることが判明した。且つ非金属混入
物には元素の鉄、クロム、マンガンおよび硫黄が含まれ
ていた。 本発明は上述の実施例に限定されることはなく特許請
求の範囲に含まれるすべての設計変更物を包有すること
は理解されよう。 (発明の効果) 上述のように構成された本発明のブツシユ用のアロイ
によれば、高温下での耐酸化性および硬度が充分高いの
で、耐用性が大巾に増大される上、高い熱膨張率を維持
するので、高い熱膨張を有するターボチヤージヤのハウ
ジング等に内設するブツシユに採用して、作動時にハウ
ジングとブツシユの寸法上の誤差などを生せず、円滑な
連係動作を保証する等々の顕著な効果を達成する。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.29〜32%のクロム、4〜8%のニツケル、1.0〜1.5
%のニオブおよびタンタル、1.3〜1.7%の炭素、0.25〜
0.45%の硫黄、0.3〜0.4%の窒素、最大1.0%のマンガ
ン、最大2.0%のシリコン、最大1.0%のモリブデン、最
大0.1%の燐、残りが鉄からなり、最高2000゜F(約1090
℃)の動作温度で耐酸化性および強度を有し、少なくと
も15×10-6cm/cm/℃の熱膨張率を有する母材がオーステ
ナイトで、且つカーバイド微細構造を有するブツシユ用
のオーステナイトアロイ。 2.非フエライト材である特許請求の範囲第1項記載の
ブツシユ用のオーステナイトアロイ。 3.2200゜F(約1200℃)で約1時間、熱処理されて作
成された特許請求の範囲第1項記載のブツシユ用のオー
ステナイトアロイ。 4.熱膨張率が19.6×10-6cm/cm/℃である特許請求の範
囲第1項記載のブツシユ用のオーステナイトアロイ。 5.1650゜F〜2200゜F(約900〜1200℃)で、最大5時
間、熱処理され次に冷却されて作成された特許請求の範
囲第1項記載のブツシユ用のオーステナイトアロイ。 6.1740゜F(950℃)で、5時間、熱処理されその後空
冷されて作成された特許請求の範囲第5項記載のブツシ
ユ用のオーステナイトアロイ。 7.1740゜F(950℃)で2時間熱処理され、次いで炉に
より冷却されてなる特許請求の範囲第5項記載のブツシ
ユ用のオーステナイトアロイ。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US06/888,188 US4711677A (en) | 1986-07-18 | 1986-07-18 | High temperature bushing alloy |
US888188 | 1986-07-18 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPS6328848A JPS6328848A (ja) | 1988-02-06 |
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