JP2720200B2 - セラミックロータの強化方法 - Google Patents

セラミックロータの強化方法

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JP2720200B2
JP2720200B2 JP1148745A JP14874589A JP2720200B2 JP 2720200 B2 JP2720200 B2 JP 2720200B2 JP 1148745 A JP1148745 A JP 1148745A JP 14874589 A JP14874589 A JP 14874589A JP 2720200 B2 JP2720200 B2 JP 2720200B2
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正弘 大田
薫 福田
景久 浜▲崎▼
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、焼結により一体的に形成されたラジアル型
セラミックロータを強化する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
タービンロータ等は、1000℃近い温度又はそれ以上の
高温下で数万rpm以上の高速回転を行う必要があるた
め、耐熱性、及び高温強度に優れた材料を用いることが
要求される。
従来、このようなタービンロータ等には、耐熱性合金
が用いられていたが、約1000℃又はそれ以上の高温に長
時間耐えることのできるものが少なく、しかも重量が大
きく、慣性が大きくなるという問題があった。そこで、
最近は金属よりも高温で安定であり、軽量で、酸化腐食
やクリープ変形を受けにくいSi3N4、SiC、サイアロン等
のセラミックスが用いられるようになってきた。
このようなセラミックスからタービンロータ等を製造
するには、射出成形又はスリップキャスト法により翼部
と軸部を一体的に成形した後で、不活性雰囲気中で焼成
する方法が用いられていたが、ロータ軸部の内部中央付
近は焼結が不完全となりやすく、そのために緻密で高強
度の軸部を作ることができない場合が多かった。特に、
軸部はロータの回転時に最も応力のかかる部位であるた
めに、この部分での低密度、低強度は一体的に形成され
たセラミックロータにとって最大の欠点となっていた。
従って、本発明の目的は、焼結により一体的に成形さ
れたセラミックロータの軸部を高強度化する方法を提供
することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記目的を達成すべく種々検討を重ねた
結果、焼結によりセラミックロータを一体的に製造した
後に、ロータの中心軸方向に加圧圧縮すれば、ロータハ
ブ部及びシャフト部を緻密化することができ、もってロ
ータの軸部を高強度とすることができることを発見し、
本発明を完成した。
すなわち、ロータ本体及びそれから半径方向に延出し
ている複数枚の羽根部からなり、焼結により一体的に形
成された窒化珪素を主成分とするセラミックロータを強
化する本発明の方法は、前記ロータ本体を中心軸方向に
50〜500kg/cm2の圧力で加圧しながら、窒素ガス雰囲気
中、1400〜1800℃の温度下でホットプレスすることによ
り、前記ロータの中心部を高密度化し、もって前記ロー
タ中心部の強度を増加させることを特徴とする。
特に窒化珪素を主成分とするセラミックスロータに本
発明の方法を適用するには、0.5〜500atmの窒素ガス雰
囲気が好ましい。
〔作 用〕
焼結後に、高温下でロータの中心軸方向に圧力を加え
圧縮することにより、ロータの軸部、特にロータハブ部
及びシャフト部において塑性変形が起こり、その部分が
高密度化される。これによりロータハブ部及びシャフト
部における強度が向上し、高温下における高速回転に十
分に耐えられるロータとなる。
〔実施例〕
本発明を以下詳細に説明する。
第1図は、焼結により一体的に形成されたセラミック
ロータに本発明の方法を施す状態を示す概略断面図であ
る。
本実施例においては、セラミックロータ1はラジアル
型ロータであり、円錐に近い形状のロータ本体2と、ロ
ータ本体から半径方向に延出している複数枚の羽根部3
とからなる。またロータ本体2は、その中心軸上の一端
においてロータハブ部21と、その反対側にシャフト部22
とを有している。
本実施例において、ロータ1は窒化珪素を主成分とす
るセラミックスからなり、羽根部3も含めて一体的に形
成されている。このようなロータは、スリップキャスト
法やインジェクション法などによりロータ形状の成形体
をまず形成し、それを常法により焼結することで製造す
ることができる。なお、このとき窒化珪素粉末に加えて
Y2O3、Al2O3等を焼結助剤として適宜加えると、高温強
度や高温耐食性に優れたロータとすることができる。
本発明の方法では、第1図に示すようにロータ1の中
心軸の方向に圧力をかける。すなわち、ロータハブ部21
の端面とシャフト部22の端面とをそれぞれ対向する加圧
ラム4、4に接面させ、加圧し、ロータ1の軸方向に圧
縮する。このとき、ロータ1にかける圧力は50〜500kg/
cm2とし、そのときの温度は1400〜1800℃とする。また
この加圧は窒素ガス雰囲気中で行い、その時の窒素ガス
圧を0.5〜500atmとする。
上記の条件の限定理由は以下の通りである。
まずロータ1の中心軸方向にかける圧力が50kg/cm2
満たないと、加圧によるロータ軸部付近の圧密化が顕著
ではなく、ロータ軸部での強度の向上がほとんど見られ
ない。また500kg/cm2を超える圧力を加えるとロータ自
体が破壊される恐れがあり、好ましくない。
次に加圧時の温度であるが、1400℃未満であるとロー
タの中心軸に沿った部分での塑性変形が起こりにくく、
加圧による緻密化が顕著でない。また1800℃を超える温
度とすると、羽根部3等に変形が生じたり、基地セラミ
ックスの分解が生じたりするので好ましくない。なお温
度は必ずロータの焼結温度よりも低くしなければならな
い。
また窒素ガス圧については、それが0.5atmに満たない
と基地セラミックスの主成分である窒化珪素の分解が生
じ、また500atmを超える圧力とすると基地セラミックス
の窒化が起こり不都合となるので、0.5〜500atmの範囲
とする。
なお、より好ましい条件はそれぞれ100〜300kg/cm2
1500〜1650℃及び5〜10atmである。
第2図は本発明の方法を施したセラミックロータ1′
において、高密度化が生じた部分を示す概略断面図であ
る。第1図に示すようにセラミックロータの中心軸方向
に圧力を加えると、主にロータの軸部付近(第2図の一
点鎖線5、5′の間の部分)において塑性変形が生じ、
そこで圧密化が起こる。特にシャフト部及びそれに近い
部分6及びロータハブ部及びそれに近い部分7において
は、圧密化の度合いが大きい。従って、ロータの回転時
に最も応力がかかる軸部中央付近まで圧密化が起こるの
で、ロータの強度は向上する。なおセラミック基地の圧
密化はロータの中心軸に沿って均一に生じるわけではな
く、第2図に示す部分6及び部分7において特に高密度
化されるが、密度の変化の勾配は中心軸に沿ってなめら
かになっているので、応力が特に集中する部位は存在せ
ず、問題にはならない。
次に、具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
実施例1 平均粒径0.9μmの窒化珪素粉末96重量部に対し、3
重量部Y2O3(平均粒径2μm)及び1重量部のAl2O
3(平均粒径3μm)粉末を混合し、分散剤としてアン
モニアを0.3重量部加えて、35重量部の水に分散させ
て、スリップを調製した。
最大直径120mm、最小直径40mm、長さ60mmのロータ本
体に高さ45mm、幅1.3mmの羽根が9枚設けられた形状の
ロータを形成するために、上記スリップを上記形状の石
こう型に注入して、羽根部を含むロータをスリップキャ
スト法により成形した。
次いで、成形体を1850℃の窒素雰囲気中で4時間焼結
して、セラミックロータを得た。
得られたセラミックロータを、1500℃、1気圧の窒素
ガス下で第1図に示すように中心軸方向にホットプレス
した。このときのプレス圧を200kg/cm2とした。
このようにして軸部付近を圧密化したセラミックロー
タのシャフト部に近い部分(第2図に示す6の部分)か
ら複数の試験片を採取して、その密度及び曲げ強度を測
定した。密度が3.20g/cm3の試験片では60〜70kg/mm2
曲げ強度を示し、密度が3.22g/cm3の試験片において
は、曲げ強度は75〜120kg/mm2であった。
また、本発明の方法を施したセラミックロータについ
て1100℃の焼結ガス雰囲気中で50000rpmの回転数による
回転試験を5時間行った。その結果ロータに何の異常も
認められなかった。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明
はこれに限定されることなく、本発明の思想を逸脱しな
い限り種々の変更ができる。例えば、セラミックロータ
の主成分が窒化珪素以外の物質であるロータにも本発明
は適用できる。このとき必要があれば、ロータ軸部にか
ける圧力、加圧時の温度、雰囲気ガスの種類、その圧力
等をロータの材質に合わせて適宜変更すればよい。
〔発明の効果〕
本発明によれば、セラミックロータの中心軸に沿った
部分を高密度化することができる。特にロータハブ部及
びシャフト部においては高密度化が著しいので、その部
分の強度は特に向上する。
従って、本発明の方法を用いると、従来から問題とな
っていた、一体物の焼結セラミックロータの中心部の強
度を向上することができるので、高温下における高速回
転に充分使用できるロータとすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法をセラミックロータに施す状態を
示す概略断面図であり、 第2図は本発明の方法を施したセラミックロータの高密
度化された部分を示す概略断面図である。 1、1′……セラミックロータ 2……ロータ本体 21……ロータハブ部 22……ロータシャフト部 3……羽根部 4……加圧ラム 6、7……高密度化部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜▲崎▼ 景久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−21975(JP,A) 特開 昭63−227302(JP,A) 特公 昭60−52104(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロータ本体及びそれから半径方向に延出し
    ている複数枚の羽根部からなり、焼結により一体的に形
    成された窒化珪素を主成分とするセラミックロータを強
    化する方法であって、前記ロータ本体を中心軸方向に50
    〜500kg/cm2の圧力で加圧しながら、窒素ガス雰囲気
    中、1400〜1800℃の温度下でホットプレスすることによ
    り、前記ロータの中心部を高密度化し、もって前記ロー
    タ中心部の強度を増加させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、前記窒素
    ガスの圧力を0.5〜500atmとすることを特徴とする方
    法。
JP1148745A 1989-06-12 1989-06-12 セラミックロータの強化方法 Expired - Lifetime JP2720200B2 (ja)

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