JP2719279B2 - 燃焼機器の燃焼条件制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液体燃料を使用して室内
の暖房を行なう燃焼機器に関し、特に、使用される燃料
の種類を感知して、各燃料について最適の空気／燃料比
（以下、空燃比という。）に基づく燃焼動作を制御する
燃焼機器の空燃比制御装置及びその制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、燃焼機器において、主に使用さ
れている燃料は灯油である。しかしながら、最近の石油
燃料の価格の上昇にともなって、灯油より価格の安い軽
油を使用しようとする消費者が増えている。このような
軽油は価格が安い反面、燃焼性と熱量が劣るという欠点
があるので、完全燃焼させるためにはバーナの予熱温度
や空燃比などの燃焼条件を変化させなければならない。

【０００３】しかし、従来の石油燃焼機器は使用する燃
料の種類に関わりなく燃焼条件が一定に固定されてい
た。すなわち、従来の石油燃焼機器においては、一般に
灯油を用いた燃焼方法のみに合わせて燃焼条件を設定し
ており、それより質が劣る灯油と軽油の混合燃料や軽油
を用いた燃焼方法に合わせた燃焼条件を別途設定するこ
となく、灯油と同一に取り扱って燃焼させているのが実
情である。

【０００４】このように燃焼条件が固定されている従来
の石油燃焼機器の制御方法を一例を挙げて説明すると、
図６に示すように、段階１において燃焼機器に動作命令
を入力し、段階２においてその動作状態などを表示部に
表示し、段階３において運転スイッチがオンされたかを
判別して、オンされた場合には段階４において予熱ヒー
タを発熱させてバーナを加熱する。

【０００５】次に、段階５において予熱ヒータの温度が
一定温度以上、すなわち、バーナが所定の予熱温度以上
に加熱されたかを判別して、一定温度以上になるまで予
熱ヒータを継続発熱させる。ここで、一定温度以上にな
ると、段階６に移行して電子ポンプとバーナモータを駆
動させて燃料と燃焼用空気が噴射されるべくなし、段階
７において燃料に点火して予め設定された空燃比にした
がって燃料と空気を噴射するように制御して燃焼させ
る。

【０００６】しかし、前記のような制御方法は、予熱温
度や空燃比などが灯油のみを理想的に燃焼させることが
できるように設定されているので、それより質が劣る燃
料を使用する場合には、不完全燃焼となって煤により室
内の空気が汚染されて使用者に不快感を与えるばかりで
なく、燃焼機器の寿命が短縮されるなどの種々の問題点
があった。

【０００７】また、実開昭６１−５３６４９号公報に２
種以上の液体燃料を使用することができる従来の燃焼装
置が記載されている。

【０００８】この従来の燃焼装置は、粘度が異なる２種
類の液体燃料を送給させる燃焼系統を具備し、共通のバ
ーナでそれぞれの液体燃料を燃焼させるべく、高粘度液
体燃料ラインと低粘度液体燃料ラインが合流する直前の
低粘度液体燃料ラインに抵抗体を設け、低粘度液体燃料
ラインの圧力調節弁用圧力取出部圧力と低粘度液体燃料
流量の関係を、高粘度液体燃料ラインのそれと同等にな
るよう構成されている。すなわち、この従来の装置にお
いては、粘度が異なる２つの燃料を１つのバーナに供給
する際、粘度が低い燃料ラインに所定の抵抗体を設置
し、バーナに供給される液体燃料圧力を２つの燃料とも
同等になるようにするものである。

【０００９】しかし、この場合には空燃比が変化して混
乱する結果、燃料が不完全燃焼されるとの欠点を有す
る。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、使用する燃料の種類に拘らず燃料が完全燃焼される
ように、燃料の種類を判断して最適な状態の空燃比にて
制御する燃焼機器の空燃比制御装置及びその制御方法を
提供することにある。

【００１１】本発明の他の目的は、燃焼させようとする
燃料の種類を判断する燃料感知センサを提供することに
ある。

【００１２】本発明の他の目的は、燃料の種類を判断す
る燃料感知センサからの燃料感知信号に従って、燃焼機
器の燃料ポンプ及びバーナモータの駆動を制御して燃焼
条件を改善する燃焼機器の空燃比制御装置及びその制御
方向を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の空燃比制御装置は、燃料タンク内に設置さ
れ、燃料の種類や質などを検出してその検出信号を出力
する手段と、該燃料感知手段からの信号を予めプログラ
ムされたデータと比較し、その比較結果に従って燃焼条
件を設定して燃焼機器の負荷を制御する手段とから構成
される。

【００１４】ここで、燃料感知手段は、燃料の種類と質
によって粘度や比重が異なることに着眼したものであっ
て、粘度または比重感知手段として構成される。

【００１５】この燃料感知手段は、燃料の油体内に挿入
される下部が広く上部が狭い毛細管と、この毛細管内に
流入する燃料の粘度に伴う圧力を検出して電気信号に変
換する手段とからなる。

【００１６】また、燃料感知手段の他の実施例として、
電源に抵抗を介して接続され、上部より巻数を増加させ
て巻いたコイル部としてもよい。このコイル部の外周に
設置される永久磁石からなる所定の比重値を有するフロ
ートが燃料油体内に占める位置に応じて変換されるコイ
ルの内部インピーダンスに基づく電圧変換を感知すべく
なすことによって、燃料の種類と質を検出する。

【００１７】更に、本発明に基づく方法は、運転スイッ
チがオンされると燃料センサから燃料の種類及び質を検
出したデータを受信する段階と、該データに基づいて燃
料の種類と質を判断する段階と、該判断結果に応じて空
燃比に関する燃焼条件を選択する段階と、該燃焼条件に
基づいて燃焼機器の負荷を制御する段階とからなる。

【００１８】

【実施例】以下、添付の図面を参照して本発明の実施例
を詳細に説明する。

【００１９】図１は、本発明に基づく石油燃焼機器の構
成を示す概略断面図である。

【００２０】図１において、参照符号１１は噴射された
石油を燃焼させるバーナである。該バーナ１１の周壁に
はバーナを囲むように予熱ヒータ１２が内設されてい
て、該予熱ヒータ１２が発熱されると共にバーナ１１を
点火させることができる程度の温度まで加熱する。

【００２１】バーナ１１の下部にはその周壁を貫通して
ノズル１３が設置されている。参照符号１４はバーナモ
ータであって、該バーナモータ１４の駆動にともなって
ファンが回転することによって燃焼用空気が送風ファン
１４’を介してバーナ１１に供給される。

【００２２】前記ノズル１３は、燃料供給管１３’を介
して電子ポンプ１５に連結され、燃料タンク１６内の燃
料が電子ポンプ１５の駆動に応じて燃料供給管１３’及
びノズル１３を介してバーナ１１に噴射される。

【００２３】本発明は、前記のように構成された一般的
な石油燃焼機器における燃焼タンク１６内に燃料センサ
１７を設置したものであって、この燃料センサにより燃
料の質や種類を感知するようになっている。すなわち、
燃料はその種類や質に応じてそれぞれ固有の粘度や比重
を有しており、油量の所定の高さにおける粘度差と比重
差を有するようになる。

【００２４】従って、本発明はこれを利用するものであ
って、図２及び図３はそれぞれ前記燃料センサ１７を用
いた燃料感知方法に関する２つの実施例を示している。
もちろん、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。

【００２５】第１の方法は、燃料の粘度に伴う表面張力
を利用するものであって、図２に示すように、燃料セン
サ１７は燃料タンク１６内に設置された毛細管２１とそ
の一側に連結された圧力センサ２２とからなり、圧力セ
ンサ２２は演算増幅器ＯＰ１と抵抗Ｒ１−Ｒ３とからな
る前置増幅回路２３を介してマイコン３１に接続されて
いる。

【００２６】このような燃料センサ１７の機能をみる
と、灯油に比して軽油の粘度は高いので、燃料の種類に
応じて毛細管２１内の燃料の高さが異なるようになり、
毛細管２１内における燃料の変位に応じて燃料が満ちて
いない部分の空気圧力も異なるようになる。圧力センサ
２２は、該空気圧力を測定して電気的な信号を出力する
が、該信号はマイコン３１が認識できない程度に微少な
ものであるため、前置増幅回路２３によって増幅した
後、マイコン３１に印加される。

【００２７】第２の方法は、燃料の比重を利用するもの
であって、図３に示すように、燃料センサ１７は、燃料
タンク１６内に設置された支持軸２４と、この支持軸２
４を中心として上下に移動するフロート２５とからな
る。ここで、フロート２５はマグネットからなり、支持
軸２４にはコイルが内設されている。このコイルは支持
軸２４の高さに従ってそのコイルの巻線数が異なるよう
設定されている。前記コイルは抵抗Ｒ４を介して直流電
源Ｖｃｃに接続されるとともにマイコン３１に接続され
ている。

【００２８】このような燃料センサ１７の機能をみる
と、灯油に比して軽油の方が比重が大きいので、フロー
ト２５は灯油より軽油を使用する方がより高い位置に浮
かぶこととなる。

【００２９】このように、燃料の種類に応じてフロート
２５の浮遊位置が異なるようになり、支持軸２４におい
てフロート２５が位置する部分のコイルにおいては、該
当巻線数に関連した内部インピーダンスに伴う電圧降下
がなされるようになる。ここで、内部インピーダンスと
は、電源Ｖｃｃの電流がコイルに設置された仮想の所定
値を有する噴流抵抗によりバイパスされることを意味す
る。

【００３０】従って、巻線数が相異なる位置においてコ
イルに流れる電圧値も相違するようになり、マイコン３
１に入力される電圧も異なることとなる。この場合も、
図２に示すような増幅器が設置される。

【００３１】図４は、本発明に基づく石油燃焼機器の制
御回路ブロック図であって、ここに図示されたように、
燃焼機器全体の動作を制御するマイコン３１と、交流電
源を整流して静電圧を動作電源として回路の各部に供給
する電源供給部３２と、マイコン３１に燃焼機器の各種
の運転命令キー信号を入力させるキー信号入力部３３
と、マイコン３１の制御に応じて入力されたキー信号、
室内温度、燃焼機器の運転状態などを表示する表示部３
４と、室内温度、バーナ温度、燃料の種類などを感知し
てマイコン３１に入力させる状態感知部３５と、マイコ
ン３１の制御に応じてヒータ、電子ポンプ、バーナモー
タなどの駆動を制御する駆動制御部３６とから構成され
ている。ここで、マイコン３１には、燃料状態感知部３
５からの電圧値信号に関連して、油量の所定の高さに該
当する粘度差または比重差のデータが予め入力され記憶
されている。

【００３２】図５は、本発明に基づく空燃比制御方法を
示すフローチャートである。

【００３３】最初に、パワースイッチがオンされると、
段階４１においてマイコン３１は初期化動作を遂行し、
段階４２においてキー入力機能を遂行して使用者がキー
信号入力部３３を通じて入力した各種の動作命令を認識
し、段階４３において表示機能を遂行して表示部３４に
動作状態などを表示し、段階４４において運転スイッチ
がオンされたかを判別する。

【００３４】運転スイッチがオンされていれば、段階４
５において状態感知部３５の燃料センサ１７から入力さ
れる燃料質感知データを読み込んでその入力データに基
づいて燃料の質と種類を判断し、段階４６においてその
燃料に最適な燃焼条件を設定する。ここで、マイコン３
１内部のメモリには、燃料の種類をいくつかの段階に区
分し、各段階に該当する燃料を完全に燃焼せしめること
ができるように予熱温度、燃料と燃焼用空気との比率な
どを予め設定してあることから、これらの中で１つの段
階を選択して燃焼条件を設定するようになっている。

【００３５】燃焼条件が設定されると、段階４７におい
てヒータ１２を発熱させてバーナ１１を予熱し、段階４
８においてバーナ１１の温度をチェックして、設定され
た予熱温度以上であれば、段階４９においてバーナモー
タ１４と電子ポンプ１５とを駆動させて燃料と空気が噴
射されるようにした後、段階５０において燃料に点火す
る。

【００３６】更に、段階５１において室内温度と設定温
度の温度差によって発熱量を決定し、段階５２において
燃料の最適な燃焼のために設定された燃焼比と前記発熱
量を基準として燃料量と空気量を計算し、段階５３にお
いてその計算結果に基づいてバーナモータ１４及び電子
ポンプ１５の駆動を制御する。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は使用燃料
の種類を感知して完全に燃焼されるべく適切な燃焼比で
制御することから、価格の安い燃料を使用しても不完全
燃焼に伴う臭いや煤を最小限に抑制することができると
共に熱効率を高め燃焼機器の寿命を延長させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に基づく燃焼機器の構成を示す概略断面
図である。

【図２】本発明に基づき燃料の粘度差を利用して燃料の
種類や質を検出するようになした燃料感知方法を示す概
略図である。

【図３】本発明に基づき燃料の比重差を利用して燃料の
種類や質を検出するようになした燃料感知方法を示す概
略図である。

【図４】本発明に基づく燃焼機器の制御回路を示すブロ
ック図である。

【図５】本発明に基づく空燃比制御方法を示すフローチ
ャートである。

【図６】従来の燃焼機器のおける作動を示すフローチャ
ートである。

【符号の説明】

１１ バーナ １２ 予熱ヒータ １３ 燃料供給ノズル １４ バーナモータ １５ 電子ポンプ １６ 燃料タンク １７ 燃料センサ ２１ 毛細管 ２２ 圧力センサ ２３ 増幅回路 ２４ 支持軸 ２５ フロート ３１ マイコン ３２ 電源供給部 ３３ キー信号入力部 ３４ 表示部 ３５ 状態感知部 ３６ 駆動制御部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体燃料を用いて室内を暖房する気化式
   燃焼機器において、 燃料内に挿入される下部が広く上部が狭い毛細管及び該
   毛細管内に流入する燃料による圧力を検出して電気信号
   に変換する手段からなる燃料感知手段と、 該燃料感知手段からの信号を予めプログラムされたデー
   タと比較し、その比較結果に基づいて燃焼条件を設定
   し、燃焼機器の負荷を制御する手段とからなることを特
   徴とする燃焼条件制御装置。