JP2710376B2 - 組織プラズミノーゲン活性因子とプラズミノーゲン活性因子阻害因子の改良された評価方法 - Google Patents

組織プラズミノーゲン活性因子とプラズミノーゲン活性因子阻害因子の改良された評価方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は、組織プラズミノーゲン活性因子を測定する
改良された方法、及びプラズミノーゲン活性因子阻害因
子と可溶性フィブリンに関する。特に、本発明は、プラ
ズミノーゲン活性因子阻害因子と遺伝子が変化した組織
プラズミノーゲン活性因子蛋白質を試験体として利用す
る可溶性フィブリンを測定する方法に関する。本発明
は、更に、体内のプラズミノーゲン活性因子が働かない
状態で採血を行う改良された方法に関する。
[背景技術] 略語“t−PA"は“組織プラズミノーゲン活性因子”
を意味する。略語“PAI"はプラズミノーゲン活性因子阻
害因子を意味する。“PAI1"はプラズミノーゲン活性因
子阻害因子1であるが、時には体内プラズミノーゲン活
性因子阻害因子と呼ばれる。“PAI2"はプラズミノーゲ
ン活性因子阻害因子2であり、時に胎盤プラズミノーゲ
ン活性因子阻害因子と呼ばれる。略語“α2AP"はアルフ
ァ2抗プラズミンであり、通常の人体から発見されプラ
ズミン酵素を阻害する蛋白質である。“フィブリノーゲ
ンダイジェスト”は蛋白質加水分解酵素又はプラズミン
によるフィブリノーゲン又はフィブリンの消化生成物を
含む。
血しょう中の組織プラズミノーゲン活性因子阻害の検
査は、その方法がまずかったのでうまくいかなかった。
潜在する繊維素溶解阻害因子が適度に酸性化することに
より中和された血しょうサンプル中でt−PAを測定する
或る微妙な方法が、提案されている。(Wiman,B.,et a
l.,Clin.Chim Acta,127,279−288,1982)この方法によ
って引き続き測定されたt−PAは双曲線的な速度結果を
示した。(Randay,M.,et al,Thromb,Res.27,743−749,1
982)この方法により、血しょう中のt−PAに対する阻
害作用を具体的に決定することも可能になり、血しょう
中での早いt−PA阻害の速度論的な証拠が提出された。
化学量論比1:1の複合体の形成を仮定すれば、約107M
-1・s-1の速度定数が計算され、健康な人体内の新しい
阻害因子の血しょう濃度は8±2unit/ml(1unitはt−P
Aの1国際単位の阻害)と決定された。t−PA阻害要素
もまた様々な患者の血しょう中で決定された。高い阻害
作用を持った要素は重度の静脈血栓症、出産間際の止血
障害或は心臓病の患者に頻繁に発見された(Chmielewsk
a,J.,et al.,Thromb,Res.31 427−436(1983)),観測
されたPAIの作用は、今までPAI1の作用の結果とあるこ
とが知られている。
黒色腫の細胞から分離された未変成のt−PAを用いた
t−PAとPAIの計測の為の幾つかの評価システムが出回
っており利用することが出来る。しかしながら、t−PA
の蛋白質の二つの鎖への切断の為に、これらの評価から
得られたPAIレベルに関する結果は常に信頼できるとは
限らない。
未変性の−鎖t−PAは、t−PA蛋白質の−Gln−Phe−
Arg−Ile−Lys−の連鎖のArgの後で、プラスミン又トリ
プシンにより切断される。これは、t−PA作用の阻害に
よって、体液中でのPAI1レベルの計測を行うときに問題
となる。なぜなら、二鎖t−PAは、PAI2とすぐに反応す
るし、又−鎖t−PAよりズット早くα2APのような他の
プロテアーゼ阻害剤と反応するからである。
従って、評価手続きの間、或は配合手続き中にt−PA
の二つの鎖の形成を防止するため、蛋白質加水分解酵素
による切断に耐えうるt−PAが必要である。この様なt
−PAを用いて、PAIの存在を正確に計測できた。
t−PAとPAIを計測する従来の方法が抱えたもう一つ
の問題は、採血後にt−PAとPAI1の活動が全く不安定と
なることと、採血後これら二つの蛋白質の活動が急速に
衰えることである。
血液中でt−PAが評価される時、ポリリシンがt−PA
の有効な活性因子であることが知られている。しかしな
がら、血液や血しょう以外の体液中ではポリリシンはも
はやt−PAの有効な活性因子ではないことも知られてい
る。従って、血しょう以外の体液中でt−PAレベルを決
定できるt−PAの有効な活性因子を、ポリリシンと共
に、構成する血しょう中の調製を確認することが必要で
ある。
従来技術の別の問題は、評価を妨げる血しょうサンプ
ル中のプラスミン阻害作用を壊す為に、低いpHの状態で
比較的長時間酸性化してインキュベートしなければなら
ないことである。阻害因子の為に、t−PA作用は血液又
は血しょう中で不安定であり従って一般のクエン酸血し
ょうサンプル中でこれを決定することは出来ない。通常
の手続きで血液のサンプルを採取し分析できる様なt−
PAの作用を安定化する方法がもとめられる。従来の採血
方法が用いられる場合、血液分析の前にt−PAの作用が
失われる。
t−PAの作用を決定する従来の方法の更に他の問題
は、PAI1の作用をも含んだ体液中で、t−PAの作用は過
小評価されるということである。これは、PAIIは、評価
システムにおいて、生物学的活性を発揮するからであ
る。体液中でのt−PAの作用の計測時に評価システムで
のPAI1の作用を押さえる方法が必要である。
[発明の開示] 本発明によれば、−Arg−アミノ酸がHis(Arg to Hi
s)又はLys(Arg to His)又はThr(Arg to Thr)で置
き換えられた−鎖t−PAの変異型が未変性t−PA蛋白質
の遺伝学的改良を通じて形成される。切断しない(Arg
−Thr)突然変異体を含む突然変異体を、血しょうサン
プル中でのPAI作用の決定に用いることが出来た。この
(Arg−Thr)突然変異体はPAI1作用の決定における利益
を代表する。この(Arg−Thr)突然変異体の標品は、二
鎖t−PAを含まない。−鎖t−PAと比べて、この二鎖t
−PAは、PAI2として知られているPAIの2番目の形とす
ぐに反応する。従って、突然変異体t−PAを用いること
により、単一鎖のt−PAに選択的に作用する阻害因子で
あるPAI1を正確に計測することができる。
更に、本発明は、血液中に存在するt−PAが安定であ
り、血液中に存在するPAIによって容易に不活性化され
ない様に、採血する改良された方法をも含む。この改良
された採血方法は、生理学的pHである約7.3から約4.0と
6.0の間のpHまで血液を酸性化する工程を含む。t−PA
を評価する為に血液を酸性化する好ましい方法はクエン
酸緩衝材を用いるものである。勿論、他の緩衝材を用い
て本発明を実施する事も可能である。酸性化の間、血液
の溶血を抑制する為に、血液・クエン酸塩緩衝剤混合物
にPluronic F−68(商標)を加えることは効果的であ
る。
本発明の他の様相は、フィブリノーゲンがポリリシン
によるt−PAの活性化に必要な血しょう成分であること
の発見である。フィブリノーゲン又はフィブリンのプラ
ズミンダイジェストは、ポリリシンの存在でt−PAの活
性化も行う。従って、血液、以外の体液中でt−PAが計
測されている時、t−PA作用の最大の刺激を得る為にフ
ィブリノーゲン(又はフィブリノーゲン消化生成物)を
ポリリシンと共に加えなければならない。
従って、本発明の目的は、プラズミノーゲン活性因子
阻害作用の評価の為の改良された方法を提供することで
ある。
本発明の目的は、蛋白質溶解酵素による切断に堪え、
PAI1の評価に有用なt−PAを提供することである。
本発明の他の目的は、t−PA作用を安定化することが
できる血液や他の体液の採取方法を提供することであ
る。また、溶血が最小である、血液のpHを直ちに下げる
方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、血液でない体液中でt−PA
の補足因子としてのフィブリノーゲン又はフィブリノー
ゲンダイジェストとともにポリリシンを用いる方法を提
供することである。
本発明の更に他の目的は、蛋白質溶解酵素による切断
に耐える一鎖t−PAを利用するサンプル中で、フィブリ
ンを計測する改良された方法を提供することである。
本発明の別の目的は、t−PA作用の評価を妨げるPAI1
とα2の抗プラスミン作用を抑制する抗体を用いること
により、t−PAの評価を改良することである。
以上に述べた本発明の目的及びその他の目的、特徴、
利点は、以下に述べる実施例の詳細な説明及び請求の範
囲をみれば明らかになるであろう。
[図面の簡単な説明] 第1図は異なる緩衝材中での、採血されたt−PA作用
を示す。
[開示する実施例の詳細な説明] t−PA蛋白質の−Gln−Phe−Arg−Ile−Lys−の連鎖
のArgの後で、未変性の一鎖t−PAはプラズミン又はト
リプシンによって切断する。これは、t−PA作用の阻害
によって体液中でのPAIレベルの計測を行おうとする時
に問題となる。例えば、t−PA作用はフィブリンまたは
フィブリン断辺で刺激されることが知られている。フィ
ブリンの存在による一鎖t−PAの刺激は、二鎖t−PAの
それに比較してかなり大きい。
ペプチド−Gln−Pro−Gln−Phe−Arg−Iie−Lys−Gly
−Gly−に対するポリクローナル抗体へのt−PA変異体
の作用は僅かであるが、未変性蛋白質へは直ちに作用し
た。IU/μgで表現された具体的な作用は次の通りであ
る。即ち、野性型の810及びBowes黒色腫t−PAの660と
の比較に於いて、810(Arg to His)、640(Arg to Ly
s),290(Arg to Thr)である。酵素1μg/mlでの一秒
当たりのmODとして表現された37℃、pH9.0での、D−Il
e−Pro−Arg−pNAに対するアミド分解作用は、二鎖黒色
腫t−PAの55.2との比較に於いて、15.8(Arg to Hi
s),13.6(Arg to Lys),8.3(Arg to Thr),10.0(野
生型)、9.6(黒色腫一鎖t−PA)である。
切断されない(Arg to Thr)変異体を含む総てのt−
PA変異体は、血しょうサンプル中でのPAI活性の決定に
用いることができた。この(Arg to Thr)変異体は、PA
I1活性の決定に於ける理論的な有利さを代表する。(Ar
g to Thr)変異体の標品は、一鎖t−PAとは違ってPAI2
にも直ちに作用する二鎖t−PAを含んでいない。
ここに記載した遺伝子の変化したt−PAは、遺伝子組
み替え技術に精通した通常の技術者が容易作成しうるこ
とは理解されるだろう。
フィブリンの存在した状態及び存在しない状態におけ
る、0.5μmのプラスミノーゲンのプラスミノーゲン活
性化速度を37℃で計測し、刺激係数を求めた。これは、
(Arg to Thr)変異体に対して約950倍であり、黒色腫
一鎖t−PA或は他の変異体で計測された約550倍に比較
して極めて高い数字である。二鎖黒色腫t−PAの刺激係
数は約120倍である。(Arg to Thr)変異体の通常のも
のを超えたフィブリンに対する感度は、Wiman−Randyの
手法による可溶性フィブリンの評価方法を向上させる
(Wiman,B and Randy,M,Thromb.Heamostas.55、189−18
3(1986))。従って、プラズミン不感性蛋白質操作t
−PA変異体は、PAI1作用及び可溶性フィブリンの評価に
用いる場合、従来技術に比較して有利であることが示さ
れる。
本発明によって計測されたt−PA作用は、選択的に、
分析すべき体液に存在する抗プラズミン作用とPAI作用
を抑制する抗体を含んだ試薬を用いて決定することが出
来る。
本発明は、一鎖t−PA、プラスミノーゲン及びプラス
ミン基質を含んだ試薬を一定量のサンプルと混合する工
程と、プラスミン基質の切断を計測し、この速度をサン
プル中の可溶性フィブリンの量と関係づける工程からな
る、サンプル中の可溶性フィブリンの量を計測する方法
も含んでいる。
もし、サンプル血液採取中に生理学的pHを約7.3から
約4.0と6.0の間のpHまで直ちに降下させれば、採血に一
般的に用いられているVacutainer,Venaject(共に商
標)に比べて、フィブリン分解性成分を安定化させる上
で幾つかの効果が得られることが見いだされた。
本発明によれば、クエン酸1モル濃度でpHが約4のク
エン酸緩衝材一部の入った容器に血液9部をいれる。血
液サンプルのpHは好ましくは、最終的に4.5から6.5の間
になるべきである。このクエン酸塩緩衝剤は、好ましく
はクエン酸ナトリウムが0.5モル濃度と2モル濃度との
間で、pH4.0〜pH5.5であり、採取中に5〜15部(容積)
の血液が加えられる。
血液サンプル中での、血小板作用と赤血球の溶血を防
止するために、Pluronic F−68(BASF Corporation,Par
sippany,NJ)(商標)を、採血されている溶液の中に選
択的に加えることができる。このPluronic F−68の最適
の最終濃度は,ほぼ0.01%〜0.1%(0.1〜1mg/ml)であ
る。溶血防止の為に、その他のPluronic界面活性剤を本
発明の中で用いることができることは言うまでもない。
このPluronic F−68は、下記の一般式で表されるもの
である。
HO(C2H4O)b(C3H6O)a(C2H4O)bH ここで、整数aは(C3H6O)で代表されるこの疎水性
物質が約950〜4000、好ましくは約1750〜3500、の分子
量を持つ様に選ばれ、整数bは(C2H4O)で代表される
親水性部分がこの化合物の重量の約50%〜90%を占める
様に選ばれる。
Pluronic F−68は、具体的に下記の式で表されるもの
である。
HO(C2H4O)b(C3H6O)a(C2H4O)bH ここで、疎水性物質(C3H6O)の分子量は約1750であ
り、この化合物全体の分子量は約8400である。
この方法の利点は、t−PAとPAI1間の反応速度とt−
PAと他の血液の阻害因子間の反応速度が、生理学的pH7.
3の場合に比較し、pHが約5の場合に減少していること
である。これら減少した反応速度は、血しょう中でのt
−PA作用の安定性を大幅に改善する。これは最も重要な
ことである。なぜなら、従来の様に採取され保存された
血液サンプル中での低いt−PA作用ではなく、採血時の
t−PA作用が関係してくるからである。従って、本発明
は、血栓病の原因、t−PA療法時に得られたt−PA作用
或は血栓病の進行の危険を診断するt−PA作用の計測の
価値を向上させるものである。
t−PA作用を計測するために採血する好ましい方法
は、クエン酸緩衝剤の入った容器に採血する工程を含
む。この緩衝剤は、pH約4.0のクエン酸ナトリウム(0.5
モル濃度)からなる。このクエン酸緩衝剤はカリウムの
様な他の金属陽イオンを有していてもよい。血液中での
t−PA作用を保ために、pH減少は穏やかなもののみ要求
される。最終のpHが約5.3〜5.8、好ましくは約5.5の時
に、良好なt−PA安定性が見いだされる。この条件は緩
やかであり、この試みがフィブリノーゲン、プラズミノ
ーゲン、ATIII、蛋白質C等の分析に価値が有ることを
証明している。
従来の方法で採血された場合に比較して、本発明によ
って採血された血液サンプルではPAI作用の安定性が際
立って向上する事が確認された。このことは、この種の
評価にとっては重要である。なぜなら、PAI1作用の不安
定性は、この臨床的に重要な評価の利用を制限している
からである。
更に、本発明による方法は、血液及び血しょうサンプ
ル中での可溶性フィブリンレベルを維持し、この重要な
評価の診断の上での重要さを向上させている。高いレベ
ルの可溶性フィブリンは、悪性腫よう、危険妊娠又は重
い外傷を持った患者の血液中で発見された。高いレベル
の可溶性フィブリンは、汎発性血管内凝固症候群の兆候
である。
従って、採血中の血液pHを下げる本発明は、血液サン
プル或はそこから取り出された血しょうサンプル中の、
フィブリン分解パラメータ即ちt−PA作用,PAI1作用及
び可溶性フィブリンの安定性を大幅に向上させる。
ポリ−D−リシンをもちいた場合、t−PAへの刺激は
プラズミノーゲン作用を向上させたことが確認されてい
る。ポリ−D−リシンの刺激効果を増大する因子を含ん
だ人体の血しょうが発見された。この発見で、この因子
はフィブリノーゲンであることが分かり、更にフィブリ
ンとフィブリノーゲンのプラズミン消化生成物が同様の
効果を持つことも確認された。この発見は重要である。
なぜなら、血しょう中でのt−PA作用と血しょう中での
PAI1作用を決定する為の実際的で安価な試薬の調製が可
能となるからである。これは、臨床で最も重要なことで
ある。
例1 以下に本発明によるt−PAの計測の例を示す。
クエン酸−水和物(Mr=210)及びクエン酸三ナトリ
ウム二水和物(Mr=294)をMerk Darnstadt,W.G.から入
手した。Pluronic F−68はBASF社(Parsipanny,New Jer
sey)から入手した。血液は、クエン酸三ナトリウム
(0.13モル濃度)と共に、血液9部クエン酸ナトリウム
1部の割合で、血管からケイ素化(siliconized)Venoj
ect(商標)採取管へ導入された。クエン酸とクエン酸
三ナトリウムの0.5モル濃度溶液をまぜあわせて、pH4.
0,4.5、5.0、5.5の0.5モル濃度のクエン酸ナトリウム溶
液を得た。夫々の溶液をアルコートし、25%F68を加え
て最終的に0、0.1、及び又は1重量%とした。
0、0.1又は1%のF68を含む、1.0mol/L及び2.0mol/
L、pHが4.0、4.5、5.0、5.5のクエン酸塩緩衝剤を同様
にして調製した。
クエン酸が導入された血液が300μlごとに分けら
れ、各々に36の異なる緩衝剤33μlを添加し、混合し、
室温(22℃)で20時間インキュベートした。このサンプ
ルは、1500xgで6分間遠心分離され、0.15モル濃度の塩
化ナトリウム溶液で6倍に薄められ、pHと537nmでの吸
収率の計測を行った。この吸収率の値(1cm行程での光
学的密度)は、希釈因子6が積算された。一連の血液サ
ンプルアリコートに対して、様々なクエン酸緩衝剤が1:
9の容積率で加えられた。血しょうは、ほぼ20時間後に
得られ、pHと533nm吸収率が計測された。その結果を表
1に示す。表1では、クエン酸緩衝剤(1:9容積率)
が、色々な濃度、pHそしてF68含有量で加えられた血液
サンプルから得た血しょうのpHと537nmでの吸収率が示
されている。
表1に見られる様に、採取された新鮮な血液へのF68
の投入は、537nmでの吸収で示されている様に、赤血球
の溶血を減少させた。これは、pH4.0での1モル濃度の
クエン酸の投入及びpH4.5での2モル濃度のクエン酸の
投入によって特に明らかである。この両方の場合、Plur
onic F68の濃度の増加により537mnでの吸収が減少する
ことによって示されているように、赤血球の膜組織の安
定性が投入量に依存して増加するのがみられる。この実
験は、明らかに健康な人の血液で行ったものであり、溶
血の問題は小さい。これらの問題は、サンプルの数が増
えればもっと大きくなると予想される。
例2 Venoject,Teruno,Europe,Lewen,Belguimは0.13モル濃
度のクエン酸ナトリウム0.45mlを含む4.5mlの排気され
たケイ素化(evacuated siliconized)チューブであ
り、以下標準ベノジェクトと呼ぶ。幾つかの標準ベノジ
ェクトは、本発明の実施例として変形される。標準ベノ
ジェクトチューブ内のクエン酸緩衝剤は皮下注射針で吸
入によって除かれ、0.45mlのクエン酸緩衝剤(1.0モル
濃度、pH4.0)が弾性ストッパーを介して皮下注射針に
よって注入される。このようにして、クエン酸緩衝剤
は、チューブ内の真空を破ることなく分散する。この変
形チューブは以下変形ベノジェクトと呼ぶ。
血液は、明らかに健康な人から脈管注射によって、二
つの標準ベノジェクトチューブと二つの変形ベノジェク
トチューブへ導入される。標準ベノジェクトチューブと
変形ベノジェクトチューブの夫々の一つに対して、1.0
モル濃度のKHCO3に溶けた一鎖t−PA(500IU/ml)の4
μlが加えられた。これによって、0.45のヘマトクリッ
トの血しょう中でのt−PA作用は約8.9IU/mlだけ増え
た。4つのチューブ、即ち、標準ベノジェクト、標準ベ
ノジェクト+t−PA、変形ベノジェクト、変形ベノジェ
クト+t−PA、が室温(22℃)でインキュベートされ、
0.25,1,2,3時間経過後に1mlのアリコートが引き出され
る。このアリコートは1500xgで6分間遠心分離される。
そして、100μlの血しょうが100μl mol/lの酢酸塩緩
衝剤(pH3.9)の添加で酸性化され、Wiman,et al,Clin
・Chem,Act,127;279−288(1983)の手順に従って、Bio
pool AB,Umea,Sweedenのスペクトロライス/フィブリン
(spectrolyse/fibrin)試薬を用いて分析される。結果
は表2に示されている。
表2で、時間0の時、約9IU/mlのt−PAを加えた場合
と加えない場合で標準ベノジェクトと変形ベノジェクト
中での採血後に、血しょう中のt−PA作用が測定され
る。血球の分離の前に、この血液は室温で0.25,1,2,3時
間インキュベートされた。t−PA作用は、IU/mlで表現
される。表2で、標準ベノジェクトはVenoject Regula
r,変形ベノジェクトはVenoject Modifiedと表示してあ
る。
表2から分かる様に、変形されていないベノジェクト
チューブでは、t−PA作用は急速に減少したのに対し
て、変形ベノジェクトチューブの場合t−PA作用は安定
していた。
例3 座して静止状態にある患者の前腕静脈から、4.5mlの
血液クエン酸ナトリウム緩衝剤0.5mlの入ったケイ素化
ガラスチューブ中に採取する。22の異なるクエン酸緩衝
剤(モル濃度0.13〜0.8、pH3〜5.5)の各々に5人から
採取した血液を投入する。血液は、蓋付きのポリスチレ
ンチューブにアリコート(3 x 1.5ml)され、22℃で0.0
5,1及び4日間インキュベートされる。そうすると、10
分間の遠心分離(3000xg)で血しょうがえられるので、
これを凍結し−20℃で保存する。t−PA作用は、色原体
基質で刺激されたフィブリン評価(Biopool AB,Unea,Sw
eden)で確認される。そして、t−PA作用の平均半減寿
命(t1/2)が求められる。pHは、標準的なガラス電極で
測定される。溶血、溶血因子(HF)の相対的な程度は、
0.13モル濃度のクエン酸三ナトリウムへの採取の場合と
の比較に於いて、540の波長での吸収の増加として測定
される。
好ましい緩衝剤組成は、クエン酸で約0.5モル濃度、
約4.0pHであることが見いだされた。図1と表3は、ク
エン酸緩衝剤(0.5モル濃度、4.0pH)上及び従来のクエ
ン酸三ナトリウム緩衝剤(0.13モル濃度)への採取後0.
05,1,4日間経過した段階での血液中でのt−PA作用を示
している。図1に示されている様に、0.5モル濃度の緩
衝剤中でのt−PA作用は、従来の緩衝剤のそれに比較し
て非常に安定であった。最終の血液サンプルのpHは、従
来のクエン酸三ナトリウム緩衝剤(0.13モル濃度)の8.
3に対して、約5.5であった。pH4.0で0.5モル濃度のクエ
ン酸緩衝剤へ採取された時、室温で血液中のt−PA作用
の平均半減寿命は17日であった。第4表は、2つの緩衝
システムにおける溶血現象(hemolysis)を示してい
る。示されているように、好ましい緩衝剤組成での溶血
は、許容することができるものである。
以上述べ、或は図面に記された特徴は、その機能或は
目的を達成する為の手段として、特定の形式で表現され
ており、これらの特徴の個々又は組み合わせとして様々
な変形として利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Thrombosis and Ha emostasis,55(1986)p. 201−205 Clinica Chimica A cta,127(1983)p.279−288

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の段階、 a.有効量の酸性の緩衝剤を含む容器に全血を導入し、血
    液のpHを最終的に約5.4から6.5の間に調整する工程と、 b.t−PAを測定する工程と を備えるt−PAの測定方法。
  2. 【請求項2】血液の最終的なpHが約5.4から6.3である請
    求の範囲第1項に記載の測定方法。
  3. 【請求項3】血液の最終的なpHが約5.8である請求の範
    囲第2項に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】緩衝剤がクエン酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝
    剤、プロピオン酸塩緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、イソクエ
    ン酸塩緩衝剤、アコニット酸塩緩衝剤およびシュウ酸塩
    緩衝剤からなる群から選択される緩衝剤である請求の範
    囲第1項に記載の測定方法。
  5. 【請求項5】緩衝剤がクエン酸塩緩衝剤である請求の範
    囲第4項に記載の測定方法。
  6. 【請求項6】クエン酸塩緩衝剤がクエン酸ナトリウムで
    ある請求の範囲第5項に記載の測定方法。
  7. 【請求項7】血液に対する緩衝剤の比率が容量比で1:4
    以下である請求の範囲第1項に記載の測定方法。
  8. 【請求項8】血液に対する緩衝剤の比率が容量比で約1:
    9である請求の範囲第7項に記載の測定方法。
  9. 【請求項9】緩衝剤が固形の緩衝剤である請求の範囲第
    1項に記載の測定方法。
  10. 【請求項10】酸性の緩衝剤がさらに下記の一般式で示
    され、溶血を減少するのに有効な量の界面活性共重合体
    を含み、 HO(C2H4O)b(C3H6O)a(C2H4O)bH aは(C3H6O)で示される疎水性部が約950から4000の分
    子量を有するような整数であり、bは(C2H4O)で示さ
    れる親水性部が重量で化合物の約50から95%を構成する
    ような整数である請求の範囲第1項に記載の測定方法。
  11. 【請求項11】界面活性共重合体が下記の一般式を有
    し、 HO(C2H4O)b(C3H6O)a(C2H4O)bH aは(C3H6O)で示される疎水性部が約1750から3500の
    分子量を有するような整数であり、bは(C2H4O)で示
    される親水性部が重量で化合物の約50から95%を構成す
    るような整数である請求の範囲第10項に記載の測定方
    法。
  12. 【請求項12】界面活性共重合体が下記の一般式を有
    し、 HO(C2H4O)b(C3H6O)a(C2H4O)bH 疎水性部(C3H6O)の分子量が約1750で、化合物全体の
    総分子量が約8400である請求の範囲第11項に記載の測定
    方法。
  13. 【請求項13】集められた血液の血漿中における緩衝剤
    の最終的な濃度が約0.05から0.1mol/Lである請求の範囲
    第1項に記載の測定方法。
  14. 【請求項14】集められた血液の血漿中における緩衝剤
    の最終的な濃度が約0.065から0.085mol/Lである請求の
    範囲第13項に記載の測定方法。
  15. 【請求項15】集められた血液の血漿中における緩衝剤
    の最終的な濃度が約0.075mol/Lである請求の範囲第14項
    に記載の測定方法。
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