JP2710372B2 - T‐dna780遺伝子の転写活性化要素 - Google Patents

T‐dna780遺伝子の転写活性化要素

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は植物の分子生物学の分野に属し,組換えDNA
技術による植物の遺伝子光学に関する。本発明は特に組
換えDNAを含む植物組織内における,植物発現遺伝子の
転写を活性化するかまたは増大させ得るDNA部分の同
定,特徴付け,および利用に関する。
(従来の技術) 真核細胞の遺伝子においては転写の開始をつかさど
り,遺伝子発現を制御または調節するDNA配列要素に関
する理解が高まってきている。以下の考察は,RNAポリメ
ラーゼIIにより転写される遺伝子に適用される。mRNA合
成の開始をつかさどる配列要素,周囲の刺激に応答して
転写を制御する配列要素,および転写の全レベルを決定
する配列要素が存在する。
プロモータは,遺伝子の発端にあるDNA配列の部分で
あり,RNAポリメラーゼにmRNAの転写を開始させるシグナ
ルを含んでいる。次いで,mRNAはこの後行われ得るタン
パク合成の鋳型として用いられる。真核細胞のプロモー
タは複雑であり,そして,−30位付近にあるTATAボック
ス共通配列,およびしばしば+1と定義される転写開始
部位に対して,5′側に約−75bpにあるCAATボックス共通
配列を含む構成成分から成る(R.BreathnachおよびP.Ch
ambon(1981),Ann.Rev.Biochem.50:349;J.Messingら
(1983),Genetic Engineering of Plants,編T.Kosug
e,C.Meredith,およびA.Hollaender,p.211)。植物では,
CAATボックスの代わりに,Messingらが1983年にAGGAボッ
クスと命令した,キャップ部位から同様の距離だけ離れ
て位置する共通配列が用いられ得る。5′側非転写領域
内の他のプロモータ関連配列は,下流にある遺伝子の発
現を調節または制御するものとして知られている。照明
または栄養物の利用可能性,あるいは熱ショック,嫌気
生活,または重金属の存在を含む逆境などの環境の刺激
に応答する配列が存在する。成長の間に,言い換えれば
組織特異的に,遺伝子発現を制御するシグナルもまた存
在する。他の配列は下流にある遺伝子の発現の全レベル
を上昇させるように働く;このような配列は動物系では
「エンハンサ」と呼ばれている。酵母では,「上流活性
化配列」と呼ばれる同様の刺激配列が公知であるが,こ
れはしばしば制御のための情報も持っているように思わ
れる。プロモータは,通常,対応する遺伝子のコード領
域の開始点に対して5′側,すなわちその上流に位置す
る。そして,転写を制御するが,あるいは転写の絶対的
なレベルに影響を与える全ての補助的な要素を含むDNA
領域は,100bpよりも小さいが,あるいは1000bp程度であ
り得る。
G.Khouryおよび,P.Grussが1983年に,Cell33:313で定
義しているように,エンハンサは,近傍の遺伝子に対す
る位置および方向とは比較的無関係に転写効率を上昇さ
せると思われる1組の真核細胞プロモータ関連要素の1
つである。原型のエンハンサは,SV40の72bp繰り返し配
列である。該エンハンサ転写開始部位から100bpよりも
上流に位置し, の共通コア配列を有する。一般に,動物または動物ウィ
ルスのエンハンサは,いずれの方向にも5′側1kb程度
の距離にわたって機能し,そして遺伝子の5′側または
3′側のいずれでも作用することができる。この配列の
モチーフは一般に数回繰り返される。動物系では,エン
ハンサは発現の組織特異的制御に関連している。
SV40動物由来のエンハンサの共通コア配列に対する相
同性が植物遺伝子の非転写領域内に見い出されている。
エンドウ豆のレグミンの5′側隣接領域内において,SV4
0動物由来の配列の相補鎖に対して約80%の相同性を有
する配列5′−CCACCTCC−3′は転写の開始点に対して
約−180位に見られる。(G.Lycettら(1984)Nucleic A
cids Res.12:4493)。同様の配列のモチーフが光制御遺
伝子,すなわちチャルコンシンターゼの5′側制御領域
(H.Kaulenら(1986)EMBO J.5:1),およびタバコ,大
豆,およびエンドウ豆のrbcS遺伝子を含有する数個のrb
cS遺伝子(R.Fluhrら(1986)Science 232:1106)内に
見い出されている。
SV40エンハンサに相同性を有する配列は,トウモロコ
シのAdh1およびAdh2遺伝子の5′側隣接領域内におい
ても確認されている。いずれの場合も注目すべき配列
は,5′−CACCTCC−3′であり,Adh2の約−170位およ
Adh1の約−200位に見られる(E.Dennisら(1985)Nu
cleic Acids Res.13:727;D.Llewellynら(1985)Molecu
lar From and Function in the Plant Genome,編van Vl
oten−Doting,DeGroot,およびT.Hall,New York,Plenum
Press)。しかしながら,これらのSV40に相同性を有す
る植物由来の配列に関するエンハンサとしての機能的役
割は,いまだ明らかにされていない。
熱ショック要素(HSE)と呼ばれる上流の配列モチー
フは,細菌,酵母,ヒト,および植物などの様々な生物
において温度上昇のストレスに応答して熱ショック遺伝
子を誘導することが見い出されている。ショウジョウバ
エにおいては,モチーフについての最小共通配列は5′
−C_GAA_TTC_G−3′である。(H.Pelham(1985)Trend
s Genet.,January,pp.31−35)。ショウジョウバエのHS
Eもまた,エンハンサ要素のいくつかの特徴を示す(M.B
ienzおよびH.Pelham(1986)Cell 45:753)。W.Gurley
らは,大豆のGmhsp17.5−E遺伝子の5′末端にあるシ
ョウジョウバエHSE共通配列に対して部分的に相同性を
有する配列要素を見い出している(W.Gurleyら(1986)
Mol.Cell.Biol.6:559)。形質転換したヒマワリの腫瘍
組織における該遺伝子の熱ショック発現の研究によっ
て,−95位とキャップ部位との間の配列情報は熱誘導転
写を行なうのに充分であるが,更に上流(−95位と−11
75位との間)の配列は誘導された転写レベルおよび基本
的な転写レベルの両方を劇的に上昇させ,エンハンサの
活性を示唆していることが明らかになった。
エンハンサ様活性もまた組織に特異的な発現および光
に応答する発現の制御に関わると考えられている植物由
来の調節配列に関連している(M.Timkoら(1985)Natur
e318:579;H.Kaulenら(1986)EMBO J.5:1;J.Simpsonら
(1985)EMBO J.4:2723;J.Simpsonら(1986)Nature 32
3:551;R.Fluhrら(1986)Science 232:1106)。場合に
よっては,SV40エンハンサまたはTy酵母エンハンサに相
同性を有する配列および繰り返し配列要素がエンハンサ
活性を示す上流領域に見い出されたが,これらのモチー
フはエンハンサ活性とは相関がない。
植物で高度に発現するいくつかの遺伝子の5′側にエ
ンハンサ様配列が存在しているのではないかと考えられ
ている。このような報告の1つ(J.Odellら(1985),Na
ture 313:810)には,カリフラワーモザイクウィルス
(CaMV)の35S遺伝子の5′側非翻訳領域の広がりが,
リポータ遺伝子の発現を増大させるのに必要であること
が記載されている。−105位から−46位の領域内の配列
を分析することによって,CAATボックス様配列,逆位繰
り返し配列,およびエンハンサのSV40コア共通配列に類
似した配列が明らかとなった。OWらは168位と−89位と
の間のCaMV上流領域が35S RNA遺伝子おらびある異種の
植物発現遺伝子の転写活性化において機能していると報
告している(Owら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:
4870−4873)。−148/−89上流断片はリポータ遺伝子の
5′側に位置する場合は,いずれの方向でも機能する
が,該遺伝子の3′側に位置する場合には機能しないと
報告されている。CaMV上流領域(−148/−89断片または
−343/−90断片)の部分における多数の重複が,この領
域の単一コピーによる誘導よりも有意に高いレベルの発
現を与えた(D.OWら(1987);R.Kayら(1987)Science
236:1299)。CaMVの宿主範囲はアブラナ科の植物に限定
されているか,完全な35Sプロモータはタバコで機能す
ることが知られている(J.Odellら(1985);M.Bevanら
(1985)EMBO J. 4:1921)。
酵母の上流活性化配列(UAS)は,動物由来のエンハ
ンサ配列要素のそれと幾分異なる性質を有する。動物由
来のエンハンサーのように,酵母のUASは,一般に,い
ずれかの方向に挿入されると機能するが,転写開始部位
に対して3′側に置かれた場合,転写を活性化できない
ようである(L.GuarenteおよびE.Hoar(1984)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 81:7860;K.Struhl(1984)Proc.Natl.A
cad.Sci USA81:7865)。いくつかの酵母由来のプロモー
タ要素の活性化領域の配列が公知である。そして少なく
とも2つの場合に,SV40エンハンサ共通コア配列に対す
る相同性が報告されている(B.Erredeら(1985),Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 82:5423;G.Roederら(1985)Proc.N
atl.Acad.Sci USA 82:5428)。これらの配列にはまた,
細胞を,特定のUSAに応じて,配列型に,または栄養状
態などの刺激に応答させる情報が関連している。
アグロバクテリウム株が有する腫瘍誘導(Ti)プラス
ミドは,植物ゲノムに移行して組み込まれるT−DNA領
域を含んでいる。T−DNAにコードされる多くの遺伝子
は,例えば植物腫瘍を含むT−DNA内のオピンの生産を
担う遺伝子を包含し,植物において発現する。オクトピ
ンシンターゼをコードするOCS遺伝子は,pTiAch5およびp
Ti15955のようなオクトピン型TiプラスミドのT−DNA内
に保持されている。ノパリンシンターゼ(nos)に対す
る遺伝子は,pTiC58およびpTiT37のようなノパリン型Ti
プラスミドのT−DNA内に存在する。形質転換された植
物組織におけるocs遺伝子およびnos遺伝子の発現は,構
成的であって,明らかに組織特異的ではない(L.Otten
ら(1981)Mol.Gen.Genet.183:209)。W.BruceおよびW.
Gurleyは形質転換された植物内で遺伝子発現を調節する
T−DNA配列は,アグロバクテリウムの宿主範囲が非常
に広いため(M.DeCleeneおよびJ.DeLey(1976)Bot.Re
v.42:89;G.Hooykaas−van Slogteren,ら(1984)Nature
311:763),植物内で機能を最大限に保存していると提
唱している(W.BruceおよびW.Gurley(1987)Mol.Cell.
Biol.7:59)。T−DNAの植物発現遺伝子の調節領域は,
植物における構成的な遺伝子発現の機構を研究するため
のモデル系として興味深い。
nos遺伝子およびocs遺伝子の両方の上流領域は,詳細
に分析されている。ocsおよびnosの両方,およびこれら
の遺伝子の5′側隣接領域は配列決定されている(H.De
Greveら(1982)J.Mol.Appl.Genet.1:499;M.Bevanら(1
983)Nucleic Acids Res.11:369,A.Depickerら(1982)
J.Mol.Appl.Genet.1:561)。
nos遺伝子を最大限に発現させるのに必要な5′側配
列の範囲に関して,文献中には相反するデータが見られ
る。C.Konczらは,nos遺伝子を最大限に発現させるのに
必要な全てのシグナルは転写開始部位に先立つ261bpの
配列内にあると報告した(C.Konczら(1983)EMBO J.2:
1597−1603)。これに対して,C.Shawらは,−88位より
さらに上流の配列はカランコエ(Kalanchoe)の葉およ
び茎テスト系における発現に必須ではないと報告した
(C.Shawら(1984)Nucleic Acids Res.12:7831)。さ
らに最近,G.Anらは,TATAボックス(−26位から−19
位),おそらくCCAATボックス(−78位から−70位),
および−130位と−101位との間の配列を含む上流DNA領
域が,nosの効率の良い転写に必要であると報告した
(G.Anら(1986)Mol.Gen.Genet.203:245)nos上流領域
において直接繰り返し配列(−171位から−161位および
−137位から−127位)および間接繰り返し配列(−148
位から−141位および−114位から−106位)の存在が見
い出され,そして欠失分析によって,これらの繰り返し
配列が下流の遺伝子発現のレベルの調節に関係している
とが示唆された。
ocs遺伝子の配列が公表された際には(H.DeGreveら
(1982)前出),遺伝子の5′側にTATAボックス様配列
および遺伝子の3′側にポリアデニル化シグナルが見い
出されたが,潜在的に調節に有意な他の配列は指摘され
なかった。おそらく,ocsプロモータはT−DNAの末端に
接近して位置するため,隣接する植物配列がocsの転写
レベルに影響を及ぼすことが示唆された。
C.Konczらは,−295位と−170位との間の領域内の配
列情報が,ocsの完全な発現のために必須であることを
示したが(C.Konczら(1983),前出),最大限の遺伝
子発現の担う特異的な配列は同定されなかった。最近で
は,ocsの上流領域が再吟味され,そして−292位と−11
6位との間の領域内に含まれる調節配列要素が存在し,o
cs遺伝子発現を促進または活性化することが見い出され
てた(J.Ellisら(1987)EMBO J.6:11,米国特許出願第0
11,614号)。植物上流活性化配列と名づけられた要素
は,植物発現プロモータにより駆動される下流遺伝子の
発現を活性化する16塩基対のパリンドローム配列(5′
−ACGTAAGCGCTTACGT−3′)である。前述の配列を含む
か,あるいはocs上流領域の適当な断片を有する合成オ
リゴヌクレオチドを,細菌由来のクロラムフェニコール
アセチルトランスフェラーゼ(CAT)リポータ遺伝子を
有するトウモロコシ由来の嫌気的に調節されたアルコー
ルデヒドロゲナーゼ(Adh1)プロモータの5′側に配
置した;両方の例において,CAT酵素活性の嫌気性誘導
が,安定に形質転換されたタバコ植物で得られた。転写
活性化要素を有さない同様の構築物では,CATまたはAdh
1がリポータ遺伝子として機能する場合には,タバコに
おいて検出し得る発現が得られなかった。また,ocs
伝子転写活性化要素の機能は培養したトウモロコシ細胞
における一過性発現分析を用いて決定した。従って,単
子葉植物および双子葉植物の両方で機能するocs転写活
性化要素の能力が確証された(J.Ellisら(1987);米
国特許出願第011,614号)。
他のT−DNA遺伝子,すなわちマンノピンシンターゼ
遺伝子(mas)の上流領域内の転写活性化要素の存在が
欠失分析により示唆されている(V.DiRitaおよびS.Gelv
in(1987)Mol.Gen.Genet.207:233)。転写活性化と関
連している特異的な配列モチーフは存在しなかった。
オクトピン型Tiプラスミド,pTi15955の完全なT−DNA
領域が配列決定され,そしてその配列がオープンリーデ
ィングフレーム(ORF),推定上の真核細胞プロモー
タ,リボソーム結合部位,および調節上有意である可能
性を有する潜在的な2次構造を持った領域の位置につい
て分析された。(R.Barkerら(1983)Plant Mol.Biol.
2:335)。配列分析により同定されたオクトピンT−DNA
ORFには,BarkerらのT−ライト(T−rightまたはT−
R)の中のORF18に対応する780遺伝子が存在する。この
ORFは,植物内で転写されることが見い出され,その約7
80塩基の転写物の大きさにちなんで名づけられている。
毒性に必須でない780遺伝子産物は同定されておらず,
そしてその機能は不明である(J.Winterら(1984)Nucl
ecic Acids Res.12:239;S.Karcherら(1984)Mol.Gen.G
enet.194:159)。780遺伝子の上流領域は,Barkerらによ
り,TATA−およびCAAT−相同配列を有することが見い出
されたが,潜在的な機能上の有意性を持つ配列は見い出
されなかった。
本発明は,W.BruceおよびW.Gurley(1987)Mol.Cell B
iol.7:59に一部記載されている,780遺伝子の上流調節
領域の詳細な分析に基づいている。
(発明の要旨) 本発明は,780遺伝子として知られているアグロバク
テリウムのオクトピン型T−DNA遺伝子の5′側非転写
領域に存在する植物転写活性化要素の同定および特性付
けに基づいている。780遺伝子転写活性化配列要素は,
植物において,その調節制御下に置かれた植物発現遺伝
子の発現を活性化したり,あるいは促進したりする機能
を果たす。特に,780遺伝子転写活性化要素は,植物発
現遺伝子の転写開始部位の5′(上流)側に位置する場
合に機能的である。一般に,植物発現遺伝子の上流に位
置する場合,780遺伝子転写活性化要素は,機能的な「T
ATA」ボックスが植物発現遺伝子の転写開始部位から適
当な距離をおいて存在しているという条件の下で転写を
活性化することができる。
欠失変異による780遺伝子の上流領域の機能分析によ
って,完全な転写活性化に必要な全てのDNA配列は780
伝子転写(主要な転写物)の開始点に対して−476位に
まで及ぶ領域内に含まれていること明らかにされてい
る。植物転写活性化要素は,約−476位から約−229位に
及ぶ780上流DNA配列の範囲内に含まれている。この配列
を欠失させると,780構造遺伝子の転写が最小となる
(野生型転写の約0.5%)。転写活性化能の大部分は,
約−427位と−271位の間の配列,すなわち−427位と−3
96位の間に位置した有意な機能的要素に関連している。
−476位と−427位との間の配列,および−271位と−229
位との間の配列はこれほどではないが,それでもかなり
完全な転写の活性化に貢献している。4つの直接繰り返
し配列(第1図のa,b,c,およびd)は780上流領域に見
られる。これらの繰り返し配列のうち3つ(a,b,および
c)は−429位と−401位の間で集団となっおり,これら
の繰り返し配列の1つまたはそれ以上の配列が転写活性
化機能に貢献していることを示している。機能的な780
転写活性要素の例としては,特に(表1に示すような)
−427位〜−271位,−427位〜−229位,−476位〜−271
位,−476位〜−229位,−476位〜−200位,および−47
6位〜−112位のヌクレオチド配列を含む配列が挙げられ
る。ここに記載したような遺伝子の転写を活性化し,か
つ本発明の機能的な780遺伝子転写活性化要素に少なく
とも約90%の配列相同性を有するDNA分子は,780転写活
性化要素と機能的に同等であるとみなされる。
ここに記載した植物転写活性化要素は,植物の遺伝子
工学の分野において,その活性化要素の調節制御下に置
かれた植物発現遺伝子の発現を活性化するのに有用であ
る。本発明の植物転写活性化要素は植物発現キメラ遺伝
子の一構成成分として有用であり,構造遺伝子が発現さ
れる植物細胞または植物組織へ導入され得る。
本発明の第1の目的は,植物組織で機能する新規な転
写活性化要素,すなわち780遺伝子転写活性化要素を提
供することにある。この配列要素は,その調節制御下に
置かれた植物発現遺伝子の転写および発現のレベルを制
御する。表1に示すように,約−476位から約−229位の
ヌクレオチドに及ぶ配列を有するDNA断片は,植物にお
ける遺伝子発現を活性化する機能を果たす。この転写活
性要素は,いずれの方向においても機能的である。好ま
しくは,該遺伝子プロモータのTATAボックスの直ぐ5′
側(例えば,780遺伝子の約−40位)から,転写開始部
5′側の約2000bpまでの転写開始部位の上流に配置され
る。理想的には,該転写活性化要素は,その存在によっ
て構造遺伝子の発現レベルが上昇するように,TATA配列
の直ぐ5′側から,5′側約600bpまでに配置されるべき
である。野生型780遺伝子においては,この活性化要素
は,TATA配列の約200bp上流に位置している。遺伝子発現
のレベルは,転写活性化要素と,そのプロモータ配列と
の距離を制御することによって調節され得る。転写活性
化要素は,調節されるべき遺伝子の上流に配置されるこ
とが好ましい。植物発現遺伝子の上流に,転写活性化要
素のコピーを1つより多くも配置すると,植物組織内に
おける転写の活性化がさらに高められるT−DNAの780
伝子由来の転写活性化要素は,任意の植物発現遺伝子の
5′側に配置された場合に,機能的となる。本発明の転
写活性化要素は,一般に双子葉植物および単子葉植物の
両方を含む全ての植物内で機能する。
本発明は,T−DNA780遺伝子の転写活性化要素と発現が
該転写活性化要素によって調節されるような位置に配置
された植物発現遺伝子とを有する組換えDNA分子を提供
する。当該分野でよく知られているように,「TATA」ボ
ックスモチーフおよびおそらく「CCAAT」ボックスモチ
ーフを含むプロモータと,植物内における所定の構造遺
伝子の発現に必要な転写終結シグナルとを包含する他の
調節制御配列が必要とされ得る。780転写活性化要素
は,その制御下に置かれる遺伝子の転写開始部位の5′
側約2000bp上流に配置されることが好ましい。より好ま
しくは,780遺伝子転写活性化要素は,遺伝子転写開始
部位の5′側,約650bp上流に配置される。本発明のDNA
分子の構築は,上記の転写活性化要素を用いた従来の技
術によって行われる。任意の植物発現プロモータおよび
任意の植物発現構造遺伝子が本発明の組換え分子中に用
いられ得ることが予期される。
本発明の他の目的は,T−DNAの780遺伝子の転写活性化
要素および植物発現プローモータの転写制御下で,植物
の構造遺伝子を発現させるのに,ここに記載した組換え
DNA分子を使用する方法を提供することにある。転写活
性化要素およびその制御下にある遺伝子を含む組換えDN
A分子を当該分野で周知の任意の手段によって植物組織
または植物細胞に導入することによって行われる。本発
明のある実施態様では,該組み換えDNA分子は,T−DNAが
仲介する移入によって植物組織に導入される。
本発明の他の目的は,転写活性化要素,適当なプロモ
ータ,および他の調節配列から成る植物発現遺伝子複合
体と,ここに記載され,そしてここに記載する方法によ
って調製された構造遺伝子とを導入することにより遺伝
学的に修飾された植物と植物細胞と植物組織とを提供す
ることにある。本発明の方法は,単子葉植物および双子
葉植物の両方における構造遺伝子の発現に一般に適用可
能である。
(発明の構成) 本明細書および特許請求の範囲において,次に示す語
句を用いる際に,その意図および範囲から曖昧さを除く
ために,これらの語句に次の定義を与える。
組換えDNA分子とは,異種の起源由来の部分から自然
にまたは人為的に生産されるものであり,該部分は自然
に存在するかまたは,化学的に合成された分子であり,
これらの部分はライゲーションまたは当該分野に周知の
他の手段によって結合されている。
発現とは,タンパクを生成するために構造遺伝子を転
写および翻訳することを意味する。遺伝子発現は,例え
ば,パンタク産物を直接検出することによって,あるい
はタンパクのゲル電気泳動または免疫学的な方法によっ
て評価され得る。しばしば,発現は転写のmRNA産物の検
出によって評価される。この方法は,非転写要素の効果
(例えば,タンパク分解)が排除されるので,転写活性
化要素のような転写制御因子を評価するのに特に適して
いる。
植物転写活性化要素という用語は,ここではpTi15955
のT−DNAの780遺伝子の5′側非転写領域内で同定され
た機能的なDNA配列を意味する。このDNA配列は,方向に
は関係なく,植物細胞また植物組織中の遺伝子の転写を
活性化し,促進することができる。ここに記載した転写
活性化要素は植物の発現遺伝子の5′側に位置した場合
に機能する。780遺伝子の転写活性化要素を含むDNA断片
の機能性は,切断された780遺伝子の発現,特に−37位
の位置で切断された780遺伝子の発現を活性化する能力
によって評価されている。780遺伝子活性化要素と機能
的に等価なDNA断片は類似の分析法を用いることによっ
て同定され得る。780遺伝子転写活性化要素は,オクト
ピンプラスミドのT−DNAのような自然に存在するDNAか
ら単離されるか,あるいは例えば,自然存在するDNA切
片の組み合わせによって,または機能的なDNA配列の化
学的合成によって人為的に調製され得る。当該分野で知
られているように,特定のDNA分子の機能は,その構
造,すなわちその配列と,しばしば相関関係にある。場
合によっては,わずかな配列の変化が機能性にほとんど
または全く影響を及ぼさないこともある。本研究では,
本発明の断片を含む780遺伝子活性化要素に少なくとも
約90%のDNA相同性を有するDNA分子および断片は,機能
的に等価なものとして定義される。
プロモータとは,転写の開始をつかさどる構造遺伝子
の5′末端にある配列を意味する。プロモータ配列は下
流にある構造遺伝子の発現を駆動するために必要ではあ
るが,いつも十分であるとは限らない。プロモータ自体
は,自然に存在するか,または合成による1つ以上の起
源に由来する切片の複合体であり得る。真核細胞由来の
プロモータは,通常mRNAの5′末端の位置(キャップ部
位,+1)に対して,約20〜35bp5′側にある標準形の
5′−TATAA−3′(「TATA」ボックス)に相同性を有
するDNA配列の存在によって認識される。
「TATA」ボックスの約30bp5′側に,他のプロモータ要
素配列が,常にとは限らないが,しばしば見い出され,
それは標準形の5′−CCAAT−3′に相同性を有するDNA
配列の存在によって認識される。ここでは,プロモータ
は転写開始部位の約−150bp5′側(−150位)に及ぶDNA
配列を含むと定義される。−150位の5′側に位置し,
転写活性化要素の機能性を包含するが,それには限定さ
れない機能性を有する任意の補助配列,または環境の刺
激に反応して調節を行う配列は,プロモータ関連要素と
見なされる。ここでは,一貫性を保つために,780遺伝
子転写活性化要素の位置は,780遺伝子の主要転写産物
転写開始部位に関して定められている。プロモータは,
それが引き起こす転写による特定の転写物に関して配置
されることに留意すべきである。780遺伝子は,それぞ
れ主要転写産物および副次的転写産物に対応する2つの
重複しているプロモータを含んでいるようである。
植物発現遺伝子とは,構造遺伝子と,植物細胞または
組織中で該構造遺伝子を発現させるのに必要な調節DNA
配列との組み合わせを意味する。植物発現遺伝子は,構
造遺伝子と,プロモータを含む相同調節配列とから構成
されるか;あるいは調節配列と,異なる遺伝子起源由来
の構造遺伝子コード配列とから構成されるキメラ構築物
であり得る。
構造遺伝子という用語は,タンパク,ポリペプチド,
またはその一部をコードするDNA領域を有し,おそらく
リボソーム結合部位および/または翻訳開始コドンを含
む遺伝子部分を意味する。この用語は,また,細胞内で
自然に見い出されるが,人為的に導入された構造遺伝子
のコピーを意味する。この場合,細胞内で自然に存在す
る構造遺伝子は,非自然の調節制御配列を有するキメラ
遺伝子の一部として細胞内に,例えば780遺伝子転写活
性化要素の制御下に再導入される。構造遺伝子は,該遺
伝子が導入された植物細胞内で,通常は見い出されない
タンパクをコードし,外来構造遺伝子と呼ばれる。外来
構造遺伝子は,細菌の染色体またはエピゾーム,真核生
物の核DNAまたはプラスミドDNA,cDNA,ウイルスDNA,ある
いは化学的に合成されたDNAから,その全体または一部
が誘導される得る。構造遺伝子は,コード領域内におい
て,あるいは発現産物の生物学的活性または化学的構造
や発現の割合または発現の制御方法に影響を与えうる非
翻訳領域内において,1つまたはそれ以上の修飾を含むこ
とがさらに考えられる。このような修飾としては,突然
変異,挿入,欠失,1つまたはそれ以上のヌクレオチドの
置換などがあげられるが,これらに限定されない。構造
遺伝子は,イントロンを含まないコード配列を構成する
か,あるいは適切な植物機能性スペライシング部位で分
けられる1つまたはそれ以上のイントロンを含みうる。
構造遺伝子は,自然に存在するか,または合成された複
数の起源に由来する部分の複合体であり得る。構造遺伝
子はまた,融合タンパクを生産する。本研究では,構造
遺伝子は,翻訳終止コドンより下流にポリアデニル化シ
グナルを含むと考えられる。ポリアデニル化シグナル配
列は,使用される構造遺伝子のものであるか,あるいは
他の起源から得られるものであり,例えば化学的に合成
されたDNA配列を包含する。ポリアデニル化シグナル
は,通常,RNA前駆体の3′末端にポリアデニル酸部分を
添加することにより,mRNAプロセッシングを行う。標準
形のポリアデニル化配列は,転写産物を開裂するが,ホ
リアデニル化自体は行わないことが知られている。(C.
Montellら(1983)Nature305:600)。転写活性化要素/
プロモータ/構造遺伝子/ポリアデニル化シグナル植物
発現複合体を含む組換えDNA分子を植物組織内へ導入す
ることは,構成部分のいくつかまたは全てが同一の遺伝
子起源から誘導されるとは限らない構築を包含すると考
えられる。
植物組織は,植物の分化組織および未分化組織を包含
し,根,若枝,葉,花粉,種子,腫瘍組織,(例えば,
クラウンゴール),培養植物細胞の様々な形態の集合体
(例えば,胚やカルス)を含むが,これらに限定されな
い。
「化学的に合成された」という用語は,DNA配列に関す
るものであるが,構成ヌクレオチドが,インビトロで非
酵素的手段を用いて組み立てられることを意味する。手
動によるDNAの化学合成は,良く確立された手法(M.Car
uthers(1983)Methodology of DNA and RNA Sequ
encing,Weissman(編)Praeger Publishers(ニューヨ
ーク)第1章)で達成されるし,自動合成は数多くの市
販の機械を用いて実施することが可能である。
調節制御とは,遺伝子の転写開始部位に対して適切な
位置に存在する配列要素による遺伝子発現の調節を意味
する。この用語は,プロモータ領域および他の調節配列
(すなわち,刺激に応答する配列)を,たいていの場
合,調節行うべき遺伝子の上流に配置することを意味す
る。ある種の調節配列(例えば,エンハンサ)は,遺伝
子に近接している(すなわち,該遺伝子から約1〜2kb
以内にある)限り,該遺伝子の3′側または5′側に配
置された場合に機能し得る。調節により,転写のスイッ
チがオンオフされるか,あるいは遺伝子の発現レベルが
変化する。遺伝子を配列要素の調節制御下に配置すると
いうことは,当業者によく知られているように,該遺伝
子を,該配列要素に対して充分に近傍の位置であって,
該遺伝子の転写をスイッチオンまたはオフするか,ある
いはその発現レベルを測定可能な程度に変化させるよう
に位置に配置することを意味する。本発明では,転写活
性化要素配列は,転写開始点部位の5′側であって,該
転写開始部位から約2000bp以内に配置された場合に機能
する。
ここで用いられている相同性は,ヌクレオチド配列の
同一性を意味する。DNA配列間の相同性の程度は,塩基
配列を直接決定することにより確かめるか,あるいは
(B.D.HamesおよびS.J.Higgins(1985)Nucleic Acid
Hybridization,IRL Press,Oxford UK.)に記載されて
いるようなDNAハイブリダイゼーション実験により経験
的に決定することができる。
T−DNAの780遺伝子は,プロモータおよび転写活性化
要素を含む約500bpの5′側非転写隣接配列と,約414個
の塩基対のオープンリーディングフレームと,ポリアデ
ニル化シグナルを含む約150bpの3′側隣接配列とを有
する。780遺伝子は,(R.Barkerら(1983),Plant Mol.
Biol.2:335)らが記述しているように,pTi15955のT−D
NAのオープンリーディングフレーム18(16,698位のATG
から17,111位のTAA翻訳終止コドンまだに及んでいる)
に対応する。この遺伝子は,約780塩基対の長さの転写
産物を与えることから命名されている(S.Karcherら(1
984)Mol.Gen.Genet.194:159;J.Winterら(1984)Nucle
ic Acids Res.12:2391)。この遺伝子は,ある種のオク
トピン型Tiプラスミド(pTi15955およびpTiAch5を包含
するが,これらに限定されない)のT−DNAのT−ライ
ト領域内に存在する。780遺伝子産物は,必ずしも感染
に必要ではなく,780遺伝子産物の機能はまだ知られて
いない。
780遺伝子の上流領域におけるDNA配列の機能性は,ヒ
マワリの腫瘍中の転写活性に対する一連の5′側および
内部欠失変異の影響を調べることにより分析した。これ
ら変異体の相対的な活性は,相同性を有する780参照遺
伝子を,内部標準として作用する変異体試験遺伝子と共
に,同じ移入ベクター内に導入することによって定量し
た。参照遺伝子のコード配列由来のRNAを,S1ヌクレアー
ゼハイブリッド保護マッピングを用いて,試験遺伝子の
コード配列由来のRNAと区別し得るように,780参照遺伝
子のリーダー配列の小さな部分を欠失させた。試験遺伝
子および780参照遺伝子は,相対的な転写活性が測定さ
れる植物組織に移入した。
野生型780遺伝子コード配列を用いたS1マッピング実
験により,表1に示したように,それぞれ「TATA」要素
および「CCAAT」要素を有する主要転写開始部位および
副次的転写開始部位の存在が判明した。主要780転写産
物および副次的780転写産物の転写に対する上流配列変
異の影響を調べた。結果を表2に示す。調べた変異は両
方の転写産物の発現に対して同じように影響を与えたの
で,ここでは主要転写産物に関する上流活性化配列の分
析を考察する。上流配列は主要転写開始点に関して番号
付けを行った。
5′側欠失変異体の転写活性に関する分析により,プ
ロモータおよびプロモータ関連要素の5′側境界域が同
定され,そして上流の配列情報が780遺伝子の充分な発
現に必要であることが示された。S1ヌクレアーゼハイブ
リッド保護マッピングの結果より,5′側欠失の程度が増
加するにつれて,相対的な転写活性が減少することが示
された(表2)。この分析により,−476位と−476位と
の間に780遺伝子側の5′境界領域が存在し(約8%低
下),この領域の近くには機能的に重要な別々の副構成
成分が位置していることがわかった。上流に転写活性化
要素が存在することは,−427位と−396位との間の31bp
を欠失させた場合に,相対的転写レベルが劇的に減少
(約50%のプロモータ活性の減少)することから明らか
となった。また,−396位と−271位との間に他の活性化
要素構成成分が存在することは,−271位までの欠失に
より,相対的な転写レベルが野生型のレベルの約6%に
まで減少することが明らかになった。−476位から−428
位までの領域,および−271位から−229位までの領域
は,少量ではあるが有意な量で転写の活性化に寄与して
いる。該プロモータ(−30位の「TATA」ボックス領域お
よびTATA−近接要素)のみが存在する場合,転写量は,
全長活性化要素断片を用いて得られる活性のわずか0.5
〜1%であった。
転写に対する内部欠失の影響についても調べた(表
2)。13個の欠失変異体と,1個の18bp重複変異体とを分
析した。2つの内部欠失体(すなわち,ID−384/−290お
よびID−320/−290)は,5′側欠失によって定められる
ように,活性化要素内に局在している。これと一致し
て,これらの変異体の転写活性は,それぞれ52%および
65%であり,−368位5′側欠失変異体の活性52%に類
似している。内部欠失体ID−252/−171およびID−249/
−98で観察された転写活性の減少は,5′側欠失によって
決められた転写活性化要素の位置付けと一致している。
中間上流領域から配列を除去した内部欠失体(すなわ
ち,ID−153/−37,ID−112/−37,およびID−76/−37)の
いずれもが,転写活性に敏感であるか,あるいは全く影
響がなかった。これらの結果により,−153位と−37位
との間の特定配列は,780遺伝子の主要転写産物の転写
に必須のものではないことが示唆された。しかし,副次
的転写産物「TATA」配列および「CCAAT」配列は,これ
らの内部欠失体の中から取り除いた。−76/−37間の特
定的配列は,いずれの転写産物の転写にも必須ではない
ようである。2つの小さい内部欠失体(すなわち,ID−7
6/−74およびID−112/−98)は,転写活性の有意な低下
がみられたが,これらのより小さい欠失を包含するより
大きな領域を除去すると,転写が増大した(ID−112/−
37)。内部欠失変異体は,配列を除去しただけでなく,
あらゆる上流要素と「TATA」ボックスまたは転写開始部
位との間隔をも変化させた。従って,内部欠失変異体で
観察された転写活性は,各因子の組み合わせから生じる
ものである。内部上流領域における小規模の分割は,
「TATA」ボックスと活性化要素との間隔の減少を伴った
場合,この領域の完全除去よりも,転写に対してより有
害なものである。
内部欠失体(すなわち,ID−76/−12およびID−112/−
12)は,主要転写産物の転写活性をほぼ完全に消失させ
る(<0.5%および0.1%の活性)。これらの欠失体は,
主要転写産物の「TATA」配列が除去されている。
このように,CAAT相同領域を包含するDNA配列領域は,
780遺伝子の充分な転写に必須ではないが,「TATA」ボ
ックスおよびその近傍配列を包含する領域は転写を行う
のに必要なようである。
欠失変異体を用いた実験結果より,7805′側隣接領
域には,上流活性化要素の少なくとも3つの構成成分が
存在することが示唆された:これらの3つの構成成分と
は,活性化要素,中間上流領域,および「TATA」領域で
ある。最も遠い位置にあるの構成成分は,その機能性お
よび位置特性から転写活性化要素と呼ばれる。大部分の
転写活性化活性は,約−427位と約−271位との間のDNA
配列と関連しており,−470位の上流から−229位の下流
までに及ぶ配列と関連した大きな活性を有していた。中
間上流領域は,約−229位と「TATA」領域の約−37位と
の間に位置している。「TATA」領域は,TATA相同配列
と,転写開始点近傍の配列とを有している。
内部欠失実験のデータもまた,「TATA」領域に対する
転写活性化要素の距離に融通性があることを示してい
る。例えば,活性化要素領域を「TATA」領域に31bpから
108bpにまで接近させるような内部欠失体(すなわち,ID
−153/−37,ID−112/−37,およびID−76/−37)は,転
写活性化を高めるか,あるいはほとんど影響を与えな
い。
780遺伝子の上流領域の配列を,表1に示す。TATAモ
チーフおよびCCAATモチーフに加えて,780遺伝子の上流
領域には,真該生物の遺伝子に通常見い出される共通配
列と高い相同性を示す他の配列は全く存在しなかった
(Myersら(1986)Science232:613−618)。さらに,78
0遺伝子上流領域と,転写の活性化または促進に関連す
ocsおよびnos遺伝子上流領域との間には,有意の相同
性が存在しなかった。
しかし,5′側隣接領域(表1においてa〜dと示され
ている)を通じて位置する4つの直接繰り返し配列が存
在する。これらの繰り返し配列のうち3つは,活性化要
素の5′末端の近くに集まっている。これらの配列の−
427位から−396位までの欠失体は,転写活性が急激に低
下し,これらの繰り返し配列が活性化要素の機能にとっ
て重要であることを示している。各繰り返し配列a,繰り
返し配列b,および繰り返し配列cの各々の2つのコピー
は,−476位から−220位に及ぶ領域内に見い出される。
繰り返し配列cの3番目のコピーは,活性化要素の3′
側境界域に存在する。繰り返し配列dの1つのコピー
は,活性化要素領域内にあり,2番目のコピーは中間上流
領域内に存在する。繰り返し配列cはまた,オクトピン
型DNAの13個の既知遺伝子のうち7個の上流領域内にも
存在し,繰り返し配列cに類似した配列は,ノパリン型
T−DNA遺伝子の5′側隣接領域内に見い出された。こ
のような繰り返し配列は,遺伝子発現の制御に機能する
タンパク−DNA相互作用の部位を表し得る。
780遺伝子活性化要素の方向特性および位置特性を決
定するために,−476位から−112位までに及び,該活性
化要素を含む780遺伝子上流領域(表1)の制限酵素断
片を単離し,第1図のシャトルベクター(pW9−TD:Δ−
37)内に挿入した。780遺伝子の欠失変異体の上流及び
下流だけでなく,両方向における該断片の位置付けが転
写活性へ及ぼす影響を調べた(第2図)。780遺伝子欠
失変異体,−37は,780遺伝子の全コード領域を含むが,
5′側隣接領域は−37位まで欠失していた。この変異
体,−37は,野生型780遺伝子の約2%レベルまでしか
発現されない主要転写産物の「TATA」領域を保持してい
る。−476位から−200位に及び,活性化要素を有する少
し小さな断片で得られた結果は,−476/−112断片で得
られたデータに類似していた。
第2図に示すように,780活性化要素は,遺伝子から
5′側へ転写開始部位から少なくとも約650bpまでの比
較的大きな距離にわたって,いずれの方向にあっても,
転写を誘導した。活性化要素と「TATA」領域との間の距
離は,Φχ174DNA断片の挿入によって変化させた。780
遺伝子転写活性化要素は,転写開始部位から約2kbまで
に配置された場合に機能する。
試験される特定の構築物において,780活性化要素
は,減衰された−37 780遺伝子の3′側に配置された場
合,「CCAAT」相同領域を有する中間上流領域が除去さ
れていると,転写を誘導しなかった。この結果は,ある
遺伝子の3′側に配置された場合,活性化要素機能の欠
如のためよりもむしろ780遺伝子プロモータ領域の切除
のためであり得る。780活性化要素は,それほど著しく
減衰されていないプロモータの3′側に配置された場合
には,転写を高め得る。
構造遺伝子を含有し,植物の転写活性化要素およびプ
ロモータ配列の転写制御下で,該遺伝子を発現する遺伝
学的に修飾された植物組織の生産は,本発明の特定の教
示を,当該分野でよく知られている種々の技術および手
段と組み合わせることによって行なわれる。たいていの
場合,全工程の各段階には別の手段が存在する。手段の
選択は,発現複合体を導入して安定に維持するためのベ
クター系,修飾されるべき植物種および所望の再生方
法,そして用いるべき特定の構造遺伝子の選択のような
種々の因子に依存する。これらの因子の全てには,当業
者が選択して使用し,所望の結果を達成し得る別の工程
段階が存在する。例えば,植物の上流活性化要素を得る
ための根本的な開始点は,本出願においては,pTi15955
によって例示されているが,転写活性化要素を有するDN
Aを操作する方法に適当な改変がなされる限りは,他の
オクトピン型Tiプラスミドまたは種々の起源からの相同
DNA配列を代用し得る。同様に,780構造遺伝子は,やは
り適当な方法の改変により,他の起源に由来する植物発
現構造遺伝子により置換され得る。構造遺伝子または他
の配列の類似物は,当該分野でよく理解されているよう
に,適当な激しさの条件下において,核酸が交差ハイブ
リダイゼーションを行なう能力によって同定され得る。
本出願で利用または開示される配列内には,わずかの配
列の変更があり得ることが理解される。広い範囲内にお
けるいくつかのDNA配列が,機能性を決定する際に,他
の配列よりも重要であることは,当該分野においてよく
知られている。当業者は,以下の方法により,多くの実
験による出費を必要とせずに,配列の許容し得る変更に
ついて試験し得る:よく知られている変異技術(D.Shor
tleら(1981)Ann.Rev.Genet.15:265;M.Smith(1985)
同上,19:423;D.BotsteinおよびD.Shortle(1985)Scie
nce229:1193により考察されている変異技術を包含する
が,これらに限定されない);リンカー走査変異法(S.
McknightおよびR.Kingsbury(1982)Science217:31
6);あるいは飽和変更法(R.Myersら(1986)Science2
32:613)。これらの変更は,当業者が,上流転写活性化
配列,プロモータ要素,構造遺伝子,およびポリアデニ
ル化シグナルの機能単位を操作して実用化し得るよう
に,標準的な技術をここに記載されている分析法と組み
合わせることによって決定され得る。当業者は,ここに
記載されている方法を用いて充分な実験を行なうことに
より,上流活性化要素の変更された配列を機能保持につ
いて試験し得る。ここに記載されている活性化要素配列
の短かくされた機能配列または変更された機能配列の全
ては,「780遺伝子転写活性化要素」であると考えら
れ,本発明の範囲内にある。遺伝学的に修飾された植物
組織を得るための好ましい実施態様における最終段階
は,T−DNAを有するベクターに発現複合体を挿入するこ
とと,組換えDNAを植物組織に移入することを包含す
る。修飾されたT−DNAはゲノムの一部として安定に組
み込まれる。
好ましい実施態様における本発明の主な特徴は,780
遺伝子由来の植物転写活性化要素と,プロモータ配列と
の作用により,転写発現が高められる構造遺伝子を有す
る組換えプラスミドである。これらの構成成分は,お互
いに正しい位置および方向に挿入されねばならない。転
写活性化要素はプロモータの5′側に配置されるのが最
良であること;該活性化要素は遺伝子の転写開始部位か
ら約2000bp以内に配置されなければならないこと;そし
て転写活性化配列の方向は機能性に重要でないことが確
定している。転写活性化要素−プロモータ複合体によっ
て制御されるためには,構造遺伝子は,該複合体の3′
側に挿入されねばならない。(少数の周知のプロモータ
は両方向に制御を行なうことができる。この場合,プロ
モータのいずれかの側が下流と考えられる。)タンパク
のアミノ末端を完全にコードする構造遺伝子部分は該遺
伝子の5′末端(上流)であり,カルボキシル末端に近
いアミノ酸をコードする末端は該遺伝子の3′末端(下
流)と呼ばれる。コード領域の方向により確立される
5′から3′への方向性のある命名法は,プロモータを
有する隣接領域を包含するように拡張される。5′末端
は,転写活性化要素−プロモータ複合体の3′末端に隣
接していなければならない。ポリアデリル化シグナル
は,コード配列の3′末端から正しい方向の下流にに位
置しなければならない。他に考慮しなければならないこ
とは,発現複合体の機能要素間の距離である。これらの
距離に関しては,実質的な変化が存在するようである;
従って,距離に関する必要条件は,機能性によって最も
良く記述される。第1近似として,合理的な作動可能性
は,機能性要素間の距離が,それらが誘導される遺伝子
内における距離に類似している場合に得ることができ
る。転写活性化要素と他の機能性配列との間の距離を変
化させることにより,構造遺伝子の発現レベルにおける
変化を達成し得ると期待される。融合タンパクを与える
構築物の場合,付加的な必要条件として,2つの遺伝子ま
たはその断片は,2つのコード配列が同じリーディングフ
レーム内に存在するように連結されなければならない。
この必要条件は,当該分野においてよく理解されてい
る。この必要条件に対する例外は,イントロンが,一方
の遺伝子から誘導されるコード配列と,他方の遺伝子か
ら誘導されるコード配列とを分離している場合である。
この場合,コード配列は適合可能なスペライシング部位
によって境界を設けられなければならず,そしてイント
ロンスプライシング部位は,イントロンが転写後のプロ
セッシングにより除去された後に両方の遺伝子の正しい
リーディングフレームが融合体中に確立されるように,
配置されなければならない。発現制御または成長制御の
割合における差異は,所定の遺伝子が異種の植物の上流
転写活性化要素−プロモータ複合体の制御下に挿入され
る場合に観察され得る。
プロモータ配列と780由来の転写活性化要素との制御
下に所望の構造遺伝子を有する組換え体DNA分子は,当
該分野に周知のいかなる方法によっても植物組織中に導
入され得る。所定の植物種または特定型の植物組織に用
いられる技術は,周知の有用な技術に依存する。植物組
織に組換えDNAを導入する方法は,以下のものを包含す
るが,それらに限定されない:形質転換(J.Paszkowski
ら(1984)EMBO J.3:2717);エレクトロポレーション
(M.Frommら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:582
4);マイクロインジェクション(A.Crosswayら,(198
6)Mol.Gen.Genet.202:179);あるいはT−DNAの仲介
によるアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agroba
cterium tumefaciens)から植物組織への移入。T−DNA
による形質転換は,基本的にはアグロバクテリウムの自
然における植物宿主範囲に限定されないように思われ
る。単子葉植物(G.M.S.Hooykaas−Van Slgterenら(19
84)Nature311:763−764),裸子植物(A.M.Dandekarら
(1987)Biotechnol.5:5897−590),および藻類(R.L.
Ausich,欧州特許出願第108,580号)において好結果を得
たT−DNAの仲介による形質転換が報告されている。代
表的なT−DNAベクター系は以下の参考文献に記載され
ている(G.Anら(1985)EMBO J.4:277;L.Herrera−Estr
ellaら(1983)Nature303:209;L.Herrera−Estrellaら
(1983)EMBO J.2:987;L.Herrera−Estrellaら(1985)
Plant Genetic Engineeringニューヨーク:Cambridge
University Press,p.63)。(いったん植物組織中に導
入されると,構造遺伝子の発現は,当該分野に周知のい
かなる方法によっても分析することができ,転写レベル
または合成されたタンパクによって測定され得る。植物
組織のインビトロ培養に対する技術,および多くの場合
における完全な植物体へ再生させる技術は周知である。
導入された発現複合体を商業的に有用な栽培種に移入す
る方法は当業者に知られている。本発明のDNA分子を有
する形質転換植物組織は,例えばDNAハイブリダイゼー
ション分析を用いて,導入されたDNA断片の存在により
同定し得る。導入されたDNA断片の存在は,形質転換し
た組織の同定しうる表現型である。
植物細胞および植物組織中に外来遺伝子を安定に挿入
する新規な方法と,形質転換細胞および組織を操作して
形質転換植物を得る新規な方法が開発されているので,
当業者は,多くの実験で練習することなく,このような
所望の新規な方法と組み合せることにより,本発明のDN
A断片および構築物を使用し得る。代表的な実施態様(p
W9−TD:−476/−112−5′A,第1図参照)では,上流活
性化要素は,発現プラスミド中,BamHI部位におけるプ
ロモータと構造遺伝子との「TATA」要素の5′側に挿入
されている。当業者に明らかであるように,発現複合体
の成分は,インビトロでの操作に対して都合の良い,自
然に存在するかまたは人為的に設計された制限によって
結合され得る。主として考慮しなければならないこと
は,結合部分の配列が,転写および翻訳の機能性に適合
し得ることである。
(実施例) 以下の実施例は,本発明を例示する目的でのみ与えら
れるものであって,本発明の範囲を限定することを意図
するものではない。これらの実施例では,分子生物学;
植物組織中における組換えDNAの操作;そして形質転換
植物の培養および再生に関する分野の当業者によく知ら
れており,かつ容易に使用し得る多くの技術が用いられ
ている。酵素は市販品を入手することができ,当該分野
に周知のベンダーの推奨条件または他の変更条件に従っ
て使用される。試薬,緩衝液,そして培養条件も,当業
者に知られている。標準的な分子生物学の手法参考文献
としては以下のものが挙げられる(T.Maniatisら(198
2)Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laborator
y,Cold Spring Harbor,New York;R.Wu(編)(1979)Me
th.Enzymol.68;R.Wuら(編)(1983)Meth.Enzymol.100
and 101:L.Grossman and K.Moldave(編)(1980)Met
h.Enzymol.65;J.Miller(編)(1972)Experiments in
Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Laborator
y,Cold Spring Harbor,New York;Old and Primrose(19
81)Principlesof Gene Manipulation,University of
California Press,Berkeley,California;R.Schief and
P.Wensink(1982)Practical Methods in Molecula
r Biology;Glover(編)(1985)DNA Cloning,Vols.I
およびII,IRL Press,Oxford,UK;HamesおよびHiggins
(編)(1985)Nucleic Acid Hybridization IRL Pre
ss,Oxford,UK;SetlowおよびA.Hollaender(1979)Genet
ic EngineeringPrinciples andMethods,Vols.1−4,
PlenumPress,New York)。ここで使用した略語および命
名法は,当該分野において標準的であると思われ,ここ
に引用されているような専門雑誌において一般的に使用
されている。
実施例1 本実施例では,参照遺伝子に相対的なリポータ遺伝子
プロモータの転写発現を調べるためのクローニング,形
質転換,および分析方法について述べる。
1.1 780参照遺伝子を含む中間シャトルベクターの構築 780遺伝子は,まずプラスミドp403からサブクローン
化した(W.Gurleyら(1979)Proc.Nat.Acad.Sci.USA76:
2828;N.MuraiおよびJ.kemp(1982)Proc.Nat.Acad.Sci.
USA79:86)。p403のEcoRI−SphI断片は,pTi15955のT
−ライト部分に含まれる,16,202bpから17,601bpまでに
及ぶDNAを保持していた(R.Barkerら(1983)Plant Mo
l.Biol.2:335)。単離した断片は,EcoRI−SphIで切断
したpUC19に連結した(J.Norranderら(1983)Gene26:1
01)。このpUC−19:780と名づけたプラスミドは,476bp
の5′側隣接配列と,タンパクをコードしている領域
と,poly(A)付加シグナルの約200bp下流部分とからな
る完全な780遺伝子を含んでいた。
組換えDNA実験に用いたエセリヒア・コリ(Escherich
ia coli)宿主は,LE392株である。
780遺伝子の参照類似体は,試験遺伝子の相対的な転
写レベルを測定し得るように構築した。−290位の上流
にあるTaqI部位は参照遺伝子の構築を妨げるので,780
遺伝子の−290位の5′側にある配列を欠失させた,pUC
−19:780の誘導体を選択した。780のメッセージのリー
ダー領域を決定しているDNA由来の8bp TaqI断片を除く
目的で,欠失したpUC−19:780プラスミドをTaqIで切断
し,そして再連結した。E. coliを形質転換した後,制限
酵素を用いた分析により,プラスミドの構造を確かめ
た。5′側非翻訳リーダー配列中の8bpを欠失すると,S1
ヌクレアーゼハイブリッド保護分析によって,試験遺伝
子転写物と参照遺伝子転写物との区別が可能になる。
シャトルベクターpW9は,p233G(W.Gurleyら(1986)M
ol.Cell.Biol.6,559)由来のT−レフト(pTi15955)の
4.2kb BamHI−SphI断片を,pACYC184(A.ChungおよびS.
Cohen(1978)J.Bacteriol.134,1141)に挿入すること
により,構築される。p233G誘導断片には,約3.8kbのT
−レフトDNAと,約0.4kbのpBR322配列とが含まれてい
る。T−レフト配列は,以下に述べるアグロバクテリウ
ム・ツメファシエンスAg5260のTiプラスミド中へシャト
ルベクターを相同的に組換えるための部位を与える。78
0参照遺伝子は,続いて1.2kbpのSalI−SphI断片とし
て,シャトルベクターpW9にクローン化され,pW9−TDを
与える。
1.2 780遺伝子の上流域における欠失および重複の形成 pUC−19:780(5μg)をEcoRIで線状にし,エキソヌ
クレアーゼBal31(Bethesda Research Laboratories,50
U/ml,0.05ml容量)で切断することにより,5′側欠失体
を形成した。SalIリンカーを加えた(T.Maniatisら(1
982)Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laborat
ory,Cold Spring Harbor,New York)。次いで,これら
の分子をHindIIIで切断し,SalI−HindIII断片として
切断した780断片を遊離させた。次いで,これらの断片
は,SalIおよびHindIIIで切断したpUC19に連結した。
欠失の範囲は,上で述べたように,配列分析により決定
した(A.MaxamとよびW.Gilbert(1980)Meth.Enzymol.6
5:499;F.Sangerら(1981)J.Mol.Biol.143:161)。
780遺伝子の5′側非翻訳隣接領域内に及んでいる
3′側欠失体は調製するために,pUC−19:780のEcoRI部
位を,まずリンカーの添加により,BamHI部位に変換し
た(T.Maniatisら1982)Molecular Cloning,Cold Spri
ng Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New Yor
k)。次いで,この修飾したプラスミドを,HincIIで切
断し,上で述べたように,Bal31で処理した。このHincI
Iの位置は,17,075位である(R.Barkerら(1983)。上述
のように,SalIリンカーを加え,SalIおよびBamHIで
切断した後,この780誘導断片を,同様に切断したpUC19
に連結した。欠失体は上で述べたように配列分析により
確認した。
内部欠失変異体および内部重複変異体は,適当な5′
側欠失変異体と3′側欠失変異体とを接続した後に構築
した。適当な5′側欠失体を,SalI−HindIII断片とし
て単離し,SalI−HindIIIで切断したpUC−19:780の
3′側欠失クローンに連結した。
1.3 試験遺伝子を含むシャトルベクターの構築 pUC−19:780の誘導体は,BamHIおよびHindIIIで切断
し,同様に切断したpW9−TDに連結し,E. coliに形質
転換した。制限酵素を用いた分析により,780誘導断片が
試験プラスミド内に挿入されていることを確認した。
1.4 ベクターの移入と腫瘍の形成 本来存在するTiプラスミドの780遺伝子と,新しく導
入されるシャトルベクターの780誘導体との間の遺伝的
相同組換えを防ぐために,Ag5260株と名づけられたA. t
umefaciensStr)の変異誘導体を構築する必要があっ
た。pTi15955の内在する780遺伝子をT−ライト部分か
ら除去すると,T−レフト部分に導入した変異780プロモ
ータの分析が容易になった。780遺伝子を含む4.7kbのXh
oI−HindIII断片(15,208位から19,953bpまで;Barker
ら(1983)Plant Mol.Biol.2:335)を,50μg/mlのカナ
マイシン耐性を与えるトランスポゾンTn5(S.Rothstein
ら,(1989)Cell19,795)由来の1.5kb SalI−HindIII
断片に置換した。欠失させたT−ライト断片の置換は,p
H1J1(J.Beringerら(1978)Nature276:633)をR751−p
MG2の代わりに用いて組換え体を選択したこと以外は,A.
MatzkeおよびM.Chilton(1981)J.Mol.Appl.Genet.1:39
で述べられているような二重相同組換えによって行なっ
た。しかし,pH1J1は,シャトルベクターの導入を妨げる
ので,J.Miller(Experiments in Molecular Genetic
s(1972),Cold Spring HarborLaboratory,Cold Spring
Harbor,New York)によって述べられているカルベニシ
リン−シクロセリン法を用いて,アンピリシン感受性細
菌を増加させることにより,Ag5260からpH1J1を除去し
た。欠失させたTiプラスミドは,T−ライトの左側境界配
列と,1050転写物に対応する遺伝子と,1450転写物(J.Wi
nterら(1984)Nucleic Acids Res.12:2391)をコード
している遺伝子の3′末端の大部分を欠いていた。変異
A. tumefaciensAg5260を,780誘導体または上流活性
化配列を有する様々な構築物を含むシャトルベクターの
受容体として用いた。植物組織に移入した組換え分子
は,この株からのものである。
二重遺伝子シャトルベクターは,R.Fraleyら(1983)P
roc.Nat.Acad.Sci USA 80:4803により述べられているよ
うに,E. coli LE982からA. tumefaciens Ag5260中へ
三親接合により移入した。得られた形質転換体のコロニ
ーは,ストレプトマイシン(250μg/ml),カナマイシ
ン(20μg/ml),およびクロラムフェニコール(17〜20
μg/ml)を含むAB最少培地(M.Chiltonら(1974)Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 71:3672)上で,28℃にて3〜5日間
増殖させることにより選択した。
ヒマワリ(Helianthus annuus.cv.Large Grey)の苗
木に腫瘍を接種し,以前に述べられたように,植物体を
成長させた(W.Gurleyら(1986),6:559)。14〜16日
間腫瘍を成長させた後,各プラスミド構築体に対し,平
均200〜300個の腫瘍を回収し,直ちに液体窒素で凍結さ
せた。
1.5 転写発現の分析 試験遺伝子および参照遺伝子の転写発現は,S1ヌクレ
アーゼハイブリッド保護により分析した。分析は,以前
に述べられたように,ヒマワリの腫瘍から単離した約15
μgのポリAに富むRNAを用いて実施した。(E.Czarnec
kaら(1984),Plant Mol.Biol.3,45;W.Guleyら(198
6))。−74bpから+60bpまでの位置に相当するハイブ
リダイゼーションプローブを,5′側欠失クローンのp−
74から単離し,+60bpの位置にあるHpaII断片)は,試
験遺伝子の野生型のリーダー配列および隣接配列を含ん
でいる。ポリ(A)RNAは,二本鎖DNAプローブと,38℃
にて一晩ハイブリダイズさせた。S1ヌクレアーゼ(50U/
ml)で,23℃にて30分間消化した後,保護されたハイブ
リッド形成鎖は,7Mの尿素を含む8%のポリアクリルア
ミドゲルで分画し,−70℃にてXAR−5(Kodak Co.)フ
ィルムに1〜2日間露光した。
相対的な転写レベルは,参照遺伝子の転写産物のcpm
に対する試験遺伝子の転写産物のcpmの割合を,参照遺
伝子の転写産物のcpmに対する野生型の転写産物のcpmの
割合で割ったものとして定義した(P.Dierksら(1983)
Cell32:695)。放射活性を有するバンドをゲルから切り
出し,チェレンコフ(Cerenkov)カウンティングに用い
た。すべての相対的な転写レベルは,3回またはそれ以上
の独立したハイブリダイゼーション実験の平均を示す。
試験遺伝子(5′側非翻訳領域に欠失や重複を有する
もの)の活性,−290位から+1位までの領域がそのま
ま残っている参照780遺伝子の活性と比較した。参照遺
伝子の転写産物は試験遺伝子の転写産物より8bp短かく,
S1ヌクレアーゼハイブリッド保護マッピングによって区
別できた。野生型のリーダー配列をハイブリダイゼーシ
ョンのプローブとして用いた場合,転写産物を区別する
基準は,DNAプローブと参照遺伝子転写産物との間に局在
する非相同領域によるものである。この非相同領域は,
標識されたDNA中に生じた8bpループにおけるS1ヌクレア
ーゼ切断を可能にした。野生型の遺伝子の主要な転写開
始部位は,HpaII部位の60bp上流側に位置している。参
照遺伝子のみを含む腫瘍由来のRNAを,S1ハイブリッド保
護分析に供すると,46bpから54bpの予測された位置にバ
ンドの集まりが見られた。この集まりの位置は,プロー
ブ−RNAハイブリッド内の予測された8bpループにおける
切断によって生じる断片の大きさに対応していた。試験
遺伝子と参照遺伝子との両者を含む腫瘍由来のRNAを分
析した場合には,2つの保護されたハイブリッドバンドの
集まりが予想した位置に見られた。このことは,この方
法が,これら2つのプロモータの相対的な活性を評価す
るのに使用し得るということを示している。試験遺伝子
の転写産物から得られたシグナルは,単一のバンドより
もむしろバンドの集まりであった。弱く保護されたバン
ドも120bpの位置に見られた。このことは,+1と定義
した主要な開始部位から60bp5′側に開始部位を有する
副次的な転写産物に対応していた。副次的な転写産物の
レベルは,主要な転写産物のレベルの1〜10%と判定さ
れた。780遺伝子の上流領域における一連の5′側欠失
体および内部欠失体に対する野生型活性の百分率とし
て,相対的な転写レベル(RTL)を表2に示す。5′側
欠失変更体は,欠失の3′末端の位置を用いて示されて
いる。すなわち,(Δ)−427は,−427位まで5′側が
欠失している)。内部欠失体は欠失の両末端の位置で示
されている(すなわち,ID−348/−290は,−348位から
−290位までに及ぶ内部の欠失を有する)。10より大き
いRTLは実験間で,±10%またはそれ以下の変動があ
る。10より小さいRTLは,±4%より小さい変動があ
る。
実施例2:転写活性化要素の特徴付け 2.1 転写活性化要素の方向依存性 −476位から−112位のDNA断片(−476/−112断片,第
1図参照)を,780誘導転写活性化要素の性質の特徴付け
に使用した。この断片は,−112位までに及ぶ3′側欠
失を含むpUC:780誘導体から取り出した。780断片の3′
末端のSalI部位を,T.Maniatisら(1982)が述べている
ように,リンカーを付加することにより,BamHI部位に
変換した。この断片をBamHI断片に変換することにより,
pW9−TD:Δ−37にける−37位までの5′側欠失の上流側
に両方向で,活性化要素をクローン化した(第1図)。
−476位から−200位までの780断片のSalI部位サイト
も,リンカーを付加することによって,BamHI部位に変
換した。適合する断片をBamHI断片として取り出した
後,各々をpW9−TD:Δ−37に連結した。形質転換した
後,制限エンドヌクレアーゼ分析により,プラスミドの
プロフィルを決定し,そして各断片の各方向で試験する
ために,代表的なプラスミドを選択した。第2図は,−
476/−112活性化要素を含む種々の試験構築物を表し,
かつRTLを与える。
上述したS1ヌクレアーゼハイブリッド保護によって,
−37位まで欠失させたプロモータの転写を促進する際に
おける780活性化要素の機能を評価した。−37位の上流
に,−476位から−112位の領域が配置されており,かつ
pUC19ポリリンカーの25bpが介在している構築体は,野
生型の転写レベルとほぼ同じ値を示した(93%)。−47
6位から−112位の断片を,(野生型に対して)逆方向に
挿入した場合には,野生型の転写活性の90%であった。
−476位から−200位の断片が野生型の方向で挿入されて
おり,かつ25bpのポリリンカーが介在している構築物で
は,野生型の転写レベルより大きな値を示した(127
%)。逆方向であって,TATA領域から遠い位置に25bpの
ポリリンカーを有する場合には,92%の相対的な転写活
性があった。従って,上流活性化要素の方向は,転写効
率を上昇させる能力には有意に影響しない。−476/−20
0活性化要素断片のRTLの分析においても,上流活性化要
素の方向が若干活性を増大させること以下は,類似した
結果が得られた。
2.2 活性化要素とコアプロモータとの間の距離を増大
させた場合の効果 −476位から−112位までに及ぶ780遺伝子断片内に含
まれる活性化要素領域を,該断片と,切断した780遺伝
子プロモータのTATAボックスとの間に,約540bpのスペ
ーサDNAが介在している場合の活性について試験した。
φχ174の613bpのHaeIII断片を,上で述べたように,Sa
lIリンカーを付加することにより,SalI断片に変換
し,780上流領域コアプロモータとの間に挿入した。780
遺伝子上流活性化要素が野生型の方向で存在する構築体
は,野生型に比べて約2倍の転写レベル(210%)を示
した。−476位から−112位までの断片が逆方向に存在す
る構築体は,わずかに低い相対的転写レベル(183%)
を示した。780コアプロモータの5′側にφχ174由来の
断片のみを配置した対照実験により,このDNA断片は,
植物転写活性能を有さないことが確認された。
2.3 遺伝子の3′側に配置された活性化要素の活性 上流の転写活性化要素は,エンハンサ様要素の性質を
有していたので,pW9−TD:Δ−37内の遺伝子の3′側に
配置された場合に,切断された780プロモータの転写を
活性化する能力について試験した。−476位から−112位
までの断片を,HindIIIリンカーの付加により修飾し,
ポリ(A)付加部位の200bp下流であって,コアプロモ
ータから約1kbpのところにあるHindIII部位に配置し
た。この位置において,780上流断片の両方向を試験し
た。遺伝子の3′側に配置した場合には,コアプロモー
タによる転写の増大は検出できなかった。
2.4 780転写活性化要素のDNA配列分析 二回点対称性を有する領域や反復配列を見い出すため
に,コンピュータにより,780遺伝子の−476位から+60
位までの領域のDNA配列を分析した。表1に,この配列
を示す。表1には,反復配列要素も示されている。−44
0位から−200位までの領域内には,a繰り返し配列(TCCT
TTCGAC)が2コピー,b繰り返し配列(CACGGAT)が2コ
ピー,そしてc繰り返し配列(TTGAAAA)が3コピー存
在する。この領域内には,d繰り返し配列(CTTTAGG)の
あるコピーが存在し,−200位からら−112位の間の領域
には,もう一つのコピーが見られる。
(発明の要約) 植物における遺伝子の発現を活性化または増大させるDN
A配列要素が同定され,特徴付けられている。特に,T−D
NA780遺伝子の上流領域から単離されたDNA部分は,組換
えDNAを有する植物組織における植物発現遺伝子の転写
レベルを活性化または,増大させ得る。一般に,780
伝子転写活性化要素は,植物における遺伝子の発現レベ
ルを増大させるのに有用である。特に,このような活性
化要素は,該活性化要素の調節制御下に配置された植物
発現遺伝子を含む植物発現複合体の構築に有用である。
このような発現複合体は,挿入された遺伝子が発現され
る植物組織中に導入可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は,シャトルベクターpW9−TD:−37に,780遺伝
子の上流領域にあるDNA断片−476/−112を挿入すること
によるプラスミドpW9−TD:−476/−112−5′Aの構築
を示す図である。第1図には,pTi15955のT−ライトに7
80遺伝子上流領域が位置していることを示す模式図が含
まれている。780遺伝子上流領域の−476/−112および−
476/−200BamHI/SalI断片は,780遺伝子転写活性化要
素を含んでいる。BamHIリンカーで適当に修飾された−4
76/−112断片は,W9−TD:−37中の減衰された−37 780
験遺伝子に対して5′側に挿入される。該断片は,いず
れの方向にも挿入され得るが,一方のみが示されてい
る。該断片は,pW9−TD:−37に示されているように,試
験遺伝子に対して3′側の位置にも挿入され得る。両プ
ラスミド内の斜線領域は,クロラムフェニコール耐性遺
伝子(camr)を含むpACYC184のSphI−BamHI断片であ
る。(A.ChangおよびS.Choen(1978)J.Bacteriol.134:
1141−1156)。黒く塗った領域は,780参照遺伝子およ
び試験遺伝子である。点彩領域は,T−レフト(T−left
またはT−L)のBam−HI断片17aのSphI−BamHI副断片
であり,それはTiプラスミドとの相同的な組み換えのた
めに用いられる。黒塗りの三角形は,780参照遺伝子リ
ーダー中のTaqI欠失を示している。試験遺伝子の直ぐ上
流にある25bpのSalI−BamHI断片は,pUC−19のポリリン
カーの一部である。第1図では,A=AccI;B=BamHI;H=H
indIII;S=SalI,およびSp=SphIである。 第2図は780試験遺伝子の相対的な転写レベル(RT1)
を,780遺伝子転写活性化要素の位置と方向との関数と
して示すものである。垂直方向の黒の矢印は,表示され
ているように,−476/−112あるいは−476/−200 780
伝子断片のいずれかを表している。白ぬきおよび黒塗り
の四角形は,−112位から−38位まで,および−37位か
ら+1位までに広がっている780プロモータの領域を示
している。点彩領域は転写された780遺伝子と,および
+1位から約+926位までの3′側非翻訳配列(ポリ
(A)付加部位の下流の約150bpの配列を含む)を表し
ている。斜線を引いた四角形は,10bpのSalIリンカーを
付加されたΦX174 HaeIII603bp断片を示しており,それ
は活性化要素とTATA領域との間隔を変化させるために用
いられる。RTLは,780遺伝子の生型(WT)活性に対する
百分率(%)として,それぞれの構造的な組み合わせに
対して与えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィリアム ビー.ガーレイ アメリカ合衆国 フロリダ 32608,ゲ インズビル,アパートメント エ‐3, エス・ダブリュ.16ティーエッチ スト リート 2001 (72)発明者 ウェズリー ビー.ブルース アメリカ合衆国 カリフォルニア 94538‐3336 フレモント,ストラット フォード アベニュー 4629 (56)参考文献 Molecular and Cel lular Biology,Vol. 7,No.1,(1987),P.59〜67.

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】T−DNA780遺伝子転写活性化要素と,植物
    発現遺伝子とを有する組換えDNA分子であって, 該植物発現遺伝子が,該転写活性化要素に対し,その調
    節制御下に配置され, ここで該転写活性化要素が,該植物発現遺伝子の転写開
    始部位の5′側約2000bp上流までに位置しており,その
    配向が野生型であるか,あるいは逆方向である,組換え
    DNA分子。
  2. 【請求項2】前記転写活性化要素が前記植物発現遺伝子
    の転写開始部位の5′側であって,かつ該植物発現遺伝
    子の「TATA」領域の5′末端の直ぐ5′側に位置してお
    り,その配向が野生型であるか,あるいは逆方向であ
    る,特許請求の範囲第1項に記載の組換えDNA分子。
  3. 【請求項3】植物組織における植物発現遺伝子の発現を
    活性化する方法であって, a)該植物発現遺伝子を有する組換えDNA分子にT−DNA
    780遺伝子転写活性化要素を,該転写活性化要素が該植
    物発現遺伝子の発現を活性化するように挿入し,ここで
    該転写活性化要素が,該植物発現遺伝子の転写開始部位
    の5′側約2000bp上流までに位置しており,その配向が
    野生型であるか,あるいは逆方向である,工程,および b)該転写活性化要素を含む該組換えDNA分子を,植物
    組織に,該植物発現遺伝子が該植物組織において該転写
    活性化要素の制御下で発現するように導入する工程, を包含する,方法。
  4. 【請求項4】前記転写活性化要素が,前記組換えDNA分
    子中に,前記植物発現遺伝子の転写開始部位の5′側約
    2000bp上流までに挿入されており,その配向が野生型で
    あるか,あるいは逆方向である,特許請求の範囲第3項
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記転写活性化要素が,前記植物発現遺伝
    子の転写開始部位の5′側であって,かつ該植物発現遺
    伝子の「TATA」領域の5′末端の直ぐ5′側に位置して
    おり,その配向が野生型であるか,あるいは逆方向であ
    る,特許請求の範囲第3項に記載の方法。
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第3項に記載の方法であっ
    て,以下の配列: の,約−427位〜約−271位までのヌクレオチド、約−47
    6位〜約−229位までのヌクレオチド、約−476位〜約−2
    00位までのヌクレオチド、約−427位〜約−229位までの
    ヌクレオチド、および約−476位〜約−112位までのヌク
    レオチドからなる群より選択されるT−DNA型遺伝子転
    写活性化要素を挿入する工程を包含する,方法。
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