JP2709674B2 - 砕砂ダスト除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，砕砂プラントに使用さ
れる破砕機で生産された砕砂中の微粉（ダスト）を取除
くために使用される砕砂ダスト除去装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年，天然砂（川砂，山砂，陸砂利，海
砂）の枯渇によって，砕石業における砕砂の生産量は年
々増加の傾向を示しており，今後ともその需要は旺盛で
ある。そして砕石の生産方法では従来から採掘岩石の小
割りを行なう破砕機を使用する砕砂プラントがあり，破
砕機による破砕作業では必然的に所望のサイズよりも小
さい微粉の生成を余儀なくさせられる。図６は従来の砕
砂プラントのフローシートを示し，原料ビン１０の原料
は振動フイータ２０で切出されてコーンクラッシャ３０
で破砕され，振動篩４０で篩分けされ所望の粒度以上の
オーバサイズは再びコーンクラッシャ３０へリサイクル
される。アンダサイズの砕砂はエアセパレータ５０へ送
られ，分級により砕砂とそれ以下の微粉（ダスト）に選
別される。図中のＱｆ，Ｑｃ，Ｑｒ，Ｑｐ，Ｑｄ，Ｑｓ
は各々時間当りの生成量を示す。

【０００３】一方，図７は図６のフローシー卜の各工程
における粒度分布曲線図を示し，原料粒度は破砕され
てとなり，篩分け後のアンダサイズはとなる。この
砕砂中には約５〜１０％のダストを含んでおり，分級の
結果最終製品としてのものが得られる（はダストの
粒度分布）が，ＪＩＳ砕砂規格である２つの点線の範囲
内に入っているので規格を満足する砕砂となる。またＪ
ＩＳ規格では骨材中に含有する７４μｍ以下のダストが
全量の７％以下とする規定があり，ダストの混入は品質
に悪い影響を与えるので極力排除しなければならない。

【０００４】砕砂プラントにおける砕砂に含有中のダス
トは大凡４００μｍ以下のもので，これを砕砂より除去
するためのエアセパレータ５０は，スターテバント型エ
アセパレータ１００が使用される。図８はスターテバン
ト型エアセパレータ１００の縦断面図を示し，外側ケー
シングｉと内側ケーシングｆとからなる缶体の中心軸上
に可変速電動機Ｍによって回転駆動される鉛直の回転軸
ｎに分散板ｃ，主ブレードｅおよび補助ブレードｄが固
設され回転する。原料供給口ａよりシュートｂを経由し
て分散板ｃに投入された原料は，分散板ｃによって遠心
力を付与されて内側ケーシングｆに向かって円周均等に
放射状に水平に放出され，主ブレードｅの回転によって
生じた循環旋回気流は，内側ケーシングｆにて上昇旋回
気流となり，分散された原料粉粒体のうち微粉を上方に
運び補助ブレードｄを通過する。この際粉粒体は補助ブ
レードｄによって遠心力と慣性力を与えられ，粗粒と微
粉とに分離され，微粉のみ主ブレードｅに吸い込まれ，
慣性力の大きい粗粒は内側ケーシングｆ内面に衝突し壁
面に沿って沈降し粗粒排出口Ｉより排出される。一方，
主ブレードｅに吸い込まれた微粉は，内側ケーシングｆ
と外側ケーシングｉとの環状空間ｍに運び込まれて，環
状降下旋回気流により遠心力を与えられ，外側ケーシン
グｉ内壁面に沿って螺旋状に下方に運ばれ，重力によっ
て下方の微粉出口Ｋより排出される。図中の環状空間ｍ
を通過した環状旋回気流は内側ケーシングｆの中間部に
設けられたガイドベーンＪより内側へ吸い込まれて前記
の旋回上昇気流となって循環しながら分離作用を繰返し
行なう。粉粒体の比重や微粒子の形状ならびに分級点
（Ｃｕｔ Ｐｏｉｎｔ）によって回転軸ｎの回転数が設
定され，また設計上補助ブレードｄの枚数も分級点の設
定に関与するが，分級点の微妙な調整は主ブレードｅと
補助ブレードｄの間に設けた水平方向伸縮自在なバルブ
プレートｇの調整によってコントロールする。Ｐおよび
Ｑは熱交換用の空気入口および出口である。

【０００５】このように，主ブレードｅは風量調節に使
用し，主ブレードｅの羽根枚数を増すと風量は増加す
る。また，回転軸ｎの回転数を増加することによっても
風量は増加するが，分級点も同時に変更される。補助ブ
レードｄは粉末度（分級点）の調整に使用し，羽根枚数
を増すと細かくなる。バルブブレートｇは，ハンドルｈ
を操作することにより同様に粉末度の調整に使用し，微
調整に効果があり開度を小さくする（内側へ多く突出す
る）と分級点は細かくなる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】砕石業における砕砂の
ダスト除去は比較的歴史が浅く，砕砂中の微粉（ダス
ト）を乾式で取除くための決定的な分級機が現在のとこ
ろ存在しない。したがって，前記したようにスターテバ
ント型エアセパレータ等既存の高級な分級機を使用して
いるが，目的に比較してイニシアルコストが高く，動力
原単位も大きく，かつ，分級操作が比較的難しい等の難
点があり，分級精度がそれほど高くなくて，動力原単位
が低く，かつ，イニシアルコストの廉価なダスト処理用
に適した砕砂グスト除去装置の出現が望まれていた。ま
た，砕砂に含有するダストを水で洗浄する湿式の方法で
は，洗浄と乾燥と排水処理という工程があらたに加わっ
た砕砂プラントとなり，イニシアルコストおよびランニ
ングコストが上昇し生産コストが上昇するという欠点が
あった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上に述べた課題を解決す
るために，本発明の砕砂ダスト除去装置においては，直
立する単胴筒状のケーシングと該ケーシングの上部およ
び下部に接続する微粉捕集用のサブケーシングとからな
る砕砂ダスト除去装置であって，該ケーシングは砕砂の
粉粒体を供給する投入管と竪軸回りに回転自在な回転軸
に固設された水平平板からなる分散板と旋回上昇気流を
発生させる回転翼とを備え，該サブケーシングは流入す
る含塵ガス中のダストを捕集する慣性集塵機能または重
力集塵機能を備え，かつ，前記回転軸の回転駆動用の可
変速電動機を該ケーシングの下部に配設した。

【０００８】

【作用】本発明は以上のように構成されているので，原
料投入管より分散板上に供給された粉粒体は，回転する
分散板によって遠心力を付与されてほぼ円周均等に水平
方向に放射され，ケーシング下部中央より導入され回転
翼の回転によってケーシング内を流れる旋回上昇気流に
より，気流によって受ける上向きの抗力と重力との差異
による分級作用を受け，粗粒は抗力に打ち克って自重に
より落下しケーシングの内壁面に沿って粗粒排出口より
排出される。また，原料中の微粉はこの上昇気流に乗り
旋回気流とともにケーシング上部の出口よりこのケーシ
ング出口に接続するサブケーシングへ向かい，サブケー
シングの中で慣性集塵作用または重力集塵作用によって
含塵ガスはダストと空気とに分離され，ダストを除去さ
れた清浄空気は再びケーシング内へ流入される。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例について
詳細に説明する。図１〜図４は本発明の実施例を示し，
図１は砕砂ダスト除去装置の全体縦断面図，図２は砕砂
ダスト除去装置の平面図，図３は砕砂ダスト除去装置の
サブケーシングの他の実施例を示す縦断面図，図４は砕
砂ダスト除去装置のサブケーシングの別の他の実施例を
示す縦断面図である。図において，砕砂ダスト除去装置
２００は，直立した単胴筒状のケーシング２１０とこれ
に上部および下部において接続するサブケーシング２２
０とから形成され，ケーシング２１０の下部中央とサブ
ケーシング２２０の下部とは空気流入管２３０によって
連結されている。ケーシング２１０の上部中央には原料
（砕砂の粉粒体）を供給するための投入管２６０が設け
られ，その直下にはケーシング２１０の下部中央より軸
受２４０ａを介して立設された回転軸２４０の頂上先端
に取付けられた水平円板からなる分散板２５０が配設さ
れる。回転軸２４０の下端には可変速電動機２７０の出
力軸と連結され，回転軸２４０を任意の回転数で駆動で
きるようになっている。また，回転軸２４０の途中には
円周複数個の垂直平板からなる回転翼２８０がサポート
２８０ａを介して固設される。ケーシング２１０の上端
部の円周１ケ所には接線方向に旋回上昇気流の出口が設
けられ，旋回上昇気流の出口には直接サブケーシング２
２０の入口が接続される。

【００１０】サブケーシング２２０は断面直方形の函体
であり，図１の実施例ではケーシング２１０の出口より
水平に流入してきた含塵ガスがサブケーシング２２０の
側壁に当接して下向きに方向転換するときに，含塵ガス
中のダストは慣性のために容易に方向転換し得ずに側壁
に沿って落下し，微粉排出口２２０ａより排出される。
また下向流の含塵ガスが空気流入管２３０へ向かって水
平に方向転換する際にも同様な慣性集塵が行なわれて，
ダストが空気より離脱する。サブケーシング２２０の下
端部の出口に斜めに傾斜する平板状のルーバ２２０ｂは
含塵ガスの急激な方向転換を促し慣性集塵効果を高める
作用をする。サブケーシング２２０は図１のほかにも，
たとえば，図３や図４に示すように，ルーバ２２２を多
数並列に配列して含塵ガスの方向転換の際に行なわれる
慣性集塵作用を助長するタイプとすることもできる。ま
た，サブケーシング２２０は慣性集塵作用以外に，たと
えば，重力集塵作用を行なわせることにより空気よりグ
ストを分離するようにしても良い。図５のものは，流入
した含塵ガスがサブケーシング２２０の中で上向きで，
かつ，低速度で上昇するときに含塵ガス中のダストの重
力が上昇空気の抗力に打ち克って分離落下するもので重
力集塵作用を利用したものである。

【００１１】以上のように構成された本発明の砕砂ダス
ト除去装置２００の作動について説明する。可変速電動
機２７０の駆動により，回転軸２４０と回転翼２８０と
分散板２５０を回転した状態で，投入管２６０より原料
の砕砂粉粒体を供給すると，原料は分散板２５０により
遠心力を受けスパイラル状に略水平方向へ放物線を描い
て分散板２５０の周囲の空間へ放射される。一方，ケー
シング２１０内では空気流入管２３０より導入され回転
翼２８０の回転によって生じる旋回上昇気流が形成され
ており，この気流によって分散板２５０の周囲に放出さ
れた粉粒体は分級作用を受け，粗粒はこの上昇気流の抗
力に重力が打ち克って落下し粗粒排出口２１０ａより排
出される。粗粒排出口２１０ａは図２に示すように４ケ
所あるのでベルトコンベヤ等の輸送機で集合し一個所へ
集める。一方，分散板２５０の周囲へ落下したダスト
（微粉）はこの旋回上昇気流に乗ってケーシング２１０
の出口よりサブケーシング２２０へ導入される。サブケ
ーシング２２０では，前述したように，慣性集塵作用ま
たは重力集塵作用によって含塵ガス中に含有するダスト
が空気より離脱し，微粉排出口２２０ａより排出される
とともに，ダストの除去された空気は空気流入管２３０
を経由して再びケーシング２１０内へ導入される。分散
板２５０の周囲におけるダストの分級粒径の調整は可変
速電動機の回転数制御のみであり，非常に容易である。

【００１２】以上述べたように，本発明の砕砂グスト除
去装置は，使用される動力手段は単一の可変速電動機２
７０のみであり，従来例で説明したスターテバント型エ
アセパレータのように，ケーシングを二重管とすること
もなく構造がシンプルで，組立，点検，分解が容易であ
り，かつ，目的とする砕砂含有中のダストを容易に除去
することができる。また，除去するダストの分級点の変
更も容易であり運転操作上の熟練も要することがないか
ら取扱いが容易である。また，エア流れをケーシング内
の一方流れとし，内部循環がないから装置内の圧力損失
が小さくこの分動力費が低減される。

【００１３】

【発明の効果】本発明の砕砂ダスト除去装置は，構造が
簡単でイニシアルコストが安価であるとともに，動力費
も低く，生産された砕砂に含有するダストを所要の粒度
まで容易に除去することができる。したがって高品質の
砕砂を安価に製造することができる。また，装置の組
立，点検，分解も容易であるからメインテナンス性が優
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る砕砂ダスト除去装置の全
体縦断面図である。

【図２】本発明の実施例に係る砕砂ダスト除去装置の平
面図である。

【図３】本発明の他の実施例に係る砕砂ダスト除去装置
の要部縦断面図である。

【図４】本発明の別の他の実施例に係る砕砂ダスト除去
装置の要部縦断面図である。

【図５】本発明のさらに別の他の実施例に係る砕砂ダス
ト除去装置の要部縦断面図である。

【図６】従来の砕砂プラントのフローシートである。

【図７】砕砂プラントの各工程における粒度分布曲線図
である。

【図８】スターテバント型エアセパレータの縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１０ 原料ビン ２０ 振動フィーダ ３０ コーンクラッシャ ４０ 振動篩 ５０ セパレータ １００ スターテバント型エアセパレータ ２００ 砕砂ダスト除去装置 ２１０ ケーシング ２１０ａ 粗粒排出口 ２２０ サブケーシング ２２０ａ 微粉排出口 ２２０ｂ ルーバ ２２２ ルーバ ２３０ 空気流入管 ２４０ 回転軸 ２４０ａ 軸受 ２５０ 分散板 ２６０ 投入管 ２７０ 可変速電動機 ２８０ 回転翼 ２８０ａ サポート ２９０ 柱脚

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 直立する単胴筒状のケーシングと該ケー
   シングの上部および下部に接続する微粉捕集用のサブケ
   ーシングとからなる砕砂ダスト除去装置であって，該ケ
   ーシングは砕砂の粉粒体を供給する投入管と竪軸回りに
   回転自在な回転軸に固設された水平平板からなる分散板
   と旋回上昇気流を発生させる回転翼とを備え，該サブケ
   ーシングは流入する含塵ガス中のダストを捕集する慣性
   集塵機能または重力集塵機能を備え，かつ，前記回転軸
   の回転駆動用の可変速電動機を該ケーシングの下部に配
   設したことを特徴とする砕砂ダスト除去装置。