JP2708370B2 - ポット状光ファイバジャイロセンサコイル - Google Patents

ポット状光ファイバジャイロセンサコイル

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JP2708370B2
JP2708370B2 JP6151836A JP15183694A JP2708370B2 JP 2708370 B2 JP2708370 B2 JP 2708370B2 JP 6151836 A JP6151836 A JP 6151836A JP 15183694 A JP15183694 A JP 15183694A JP 2708370 B2 JP2708370 B2 JP 2708370B2
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コルドバ アメイド
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ファイバジャイロスコ
ープに関する。特に、本発明は激しい振動環境や急激に
変化する温度環境に用いられるポット状センサコイルデ
ザインに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】干渉計
の光ファイバジャイロスコープは以下の主要構成要素か
らなる。すなわち、(1)光源と、(2)“最小の相反
性形態”(S. Ezekiel and M.J.Arditty, Fiber Optic
Rotation Sensors, New York, Springer-Verlag p. 2-2
6 1982)の必要条件を満足するためのビームスプリッタ
(光ファイバ方向結合器及び/または集積光学Y分岐)
と、(3)偏光維持(PM)ファイバか低複屈折(標準
的遠隔通信)ファイバかのどちらかで作られた光ファイ
バ検知コイルと、(4)偏光器(及び時には1つ以上の
偏光消滅器)と、(5)検出器である。光源からの光
は、ループビームスプリッタによって、検知コイルを伝
わる互いに逆方向に伝播する波に分離される。関連エレ
クトロニクスは、コイルの両端から発生する、2つの干
渉する逆伝播光ビームの間の位相関係を測定する。2つ
のビームで経験される位相シフトの差は、周知のサニャ
ック効果のため、計器が固定される作業台の回転速度に
比例する。
【0003】環境要因は、測定される逆伝播ビーム間の
位相シフト差に影響を与え、それによりバイアスエラー
を持ち込むことがある。前記環境要因は、温度、振動
(音響的なものや機械的なもの)及び磁界のような変量
を含む。一般に、前記要因は、時間と共に変化するし、
コイルのいたるところに一様でなく分布される。これら
の環境要因は、各々の逆伝播波がコイル中を進むにした
がって遭遇する、光学的な光の進路の変化を引き起こ
す。前記2つの波により引き起こされる位相シフトは等
しくなく、回転誘導信号から区別がつかない、正味の好
ましくない位相シフトを生じる。
【0004】環境要因から生じる感度を減少させるため
の1つのアプローチは、種々の対称型コイル巻線形態の
使用を必要とした。前記コイルにおいては、巻線は、該
コイルの構造上の中心が最内層に位置すると同時に該コ
イルの2つの端部が最外層に位置するように整えられ
る。エヌ・フリゴ(N.Frigo) は、“Compensation of Li
near Sources of Non-reciprocity in Signal Interfer
ometers ”, Fiber Optics and Laser Sensors I,Prc
s. SPIE, Vol.412, p.268 (1983) において、非相反性
を補償するための特定の巻線パターンの使用を提唱し
た。さらに、“光ファイバ検知コイル”と題するベドナ
ルツ(Bednarz) の米国特許第4,793,708 号は、2極また
は4極巻線によって形成された対称型光ファイバ検知コ
イルを教示している。この特許に開示されたコイルは、
従来のらせん型巻線に勝る増強された性能を示してい
る。
【0005】“4極巻線型光ファイバ検知コイル及びそ
の製造方法”と題するイバンセビク(Ivancevic) の米国
特許第4,856,900 号は、端部フランジに隣接するポップ
アップファイバセグメントの存在に起因するファイバ締
付と微小屈曲が、前記ポップアップセグメントを、接続
層間を上っていく同心的に巻かれるターン壁と置き換え
ることにより克服される、改良された4極巻線型コイル
を教示している。上述した両米国特許はここにおける譲
受人の所有権である。適切なコイル巻線技術は、光ファ
イバジャイロの出力中にあるバイアスエラーの一部を最
小にするが、前記バイアスの全部をなくすことができな
い。特に、ジャイロセンサコイルのデザインは、ジャイ
ロのランダムな歩み、バイアス安定性、バイアス温度感
度、バイアス温度勾配感度、バイアス振動感度、バイア
ス振動感度、バイアス磁気感度、スケールファクタ温度
感度、スケールファクタ直線性、及び入力軸温度感度に
強い影響を与え得る。
【0006】接着剤の基質内にセンサコイルの巻線をポ
ット化することは、コイル巻線の精密度を促進するので
有益であると認められている。さらに、ポット化材料の
組成は、振動動的歪みにより引き起こされるファイバ長
と屈折率の変化の結果としてコイル内を互いに逆方向に
伝播する光波間の非相反的な位相シフトにより光ファイ
バジャイロスコープの振動バイアス感度に相当な影響を
持ち得ることが、“低バイアス光ファイバジャイロスコ
ープ用センサコイル”と題する共同発明者アマド コル
ドバ(Amado Cordova) 、ドナルド ジェイ ビリンスキ
ー(Donald J. Bilinski)、サムエル エヌ フェルシュ
ト(Samuel N. Fersht)、グレン エムスラビアン(Glenn
M. Surabian) 、ジョン ディ ワイルド(John D. Wil
de) 及びポール エイ ヒンマン(Paul A. Hinman)の係
属中の米国特許出願第07/938,294号に開示された。引用
した米国特許出願は、デザインが前述の環境要因を最小
にする多くの特徴を含むセンサコイルを開示している。
この特許出願において確認され取り組まれている論点の
なかには、カプセル状センサコイルのポット化材料組成
の弾性率と振動誘導バイアスの関係がある。
【0007】一般に、振動誘導バイアスに関するジャイ
ロ性能は、高い弾性率すなわちヤング率(ポット化材料
の硬化温度から相当離れた温度におけるジャイロ動作に
関連した他の問題、例えば、温度に関連したコイル亀裂
や、コイルがPMファイバ組成からなる場合のhパレメ
ータ(偏光交差結合)劣化や、大きなバイアス温度感
度、を生じるほど高くはない)を持つポット化材料を用
いると大幅に改善されることが、この出願に開示されて
いる。ポリマーは、水分等の実質的な不浸透性のような
一般的特性のため粘着性ポット化材料の魅力的な候補で
ある。センサコイルは、引用した特許出願の教示を具体
化するポリマーで組み立てられる。例えば、商標“NO
RLAND 65”で市販されているUV硬化アクリル
樹脂接着剤でカプセル化されたコイルは、十分な振動バ
イアス特性を示した。しかしながら、ジャイロの動作範
囲を含む温度範囲を循環した場合、前記コイルは、ある
程度動揺する、温度に関連した変態を示した。これらは
いわゆる“バイアススパイキング”や“バイアスクロッ
シング”を含む。前記の現象は各々、ジャイロの良好な
動作を著しく妨げ得る。バイアススパイクはジャイロを
仕様からはずすほどの大きさになることもあり、また、
バイアスクロッシングはありえないすなわち実際的でな
いバイアスエラーを表わす能力を効果的に示すことがあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術の前
記及び追加の欠点及び不具合に取り組み、光ファイバジ
ャイロスコープ用センサコイルを提供する。このような
コイルは光ファイバを含む。このファイバは、複数の同
心的な円筒形の層に整えられる。各層はファイバの複数
のターンからなり、各ターンは予め決められた巻線パタ
ーンに整えられる。前記ターンは、ガラス遷移温度がジ
ャイロの動作範囲外にあるポット化材料でカプセル化さ
れる。本発明の上記及び他の特徴及び利点は、以下の詳
細な説明からさらに明らかになるだろう。前記の説明は
一組の図面を伴う。図面の番号は、説明文の数字に対応
して本発明の種々の特徴を指し、同じ数字はいずれにお
いても同じ特徴を指している。
【0009】
【実施例】図面を参照すると、図1は本発明によるセン
サコイル10の斜視図である。前述のように、センサコ
イル10は光ファイバジャイロスコープシステムの重要
な素子を提供する。使用時、センサコイル10は回転速
度が測定されるべき作業台に固着される。センサコイル
10は、支持スプール14に巻かれた光ファイバ12か
らなり、共通の光源(図示しない)から発せられる互い
に逆方向に伝播するビーム対を受ける光ガイドとして役
立つ。図1の支持スプール14は端部フランジを含む
が、その有無は請求される発明の一部を形成しない。
【0010】スプール14は、好適には、カーボン混成
の混合物、または、商標“P−25”、“P−55”ま
たは“P−105”の下にアモコ社(Amoco Corporatio
n) のような供給元から市販されているもののような織
カーボンファイバを含む、係属中の米国特許出願第07/9
38,294号に開示されているような、同じ加工熱特性を有
する他の材料(特に、低い熱膨張係数を有する硬化材
料)からなる。スプール14は、例えばフェノール材料
からなる接合基質により多数のファイバ層チューブまた
はシートに作られたファイバで形成される。スプール1
4は、例えばそれらからの切断部を含む多くの既知の方
法によって前記チューブまたはシートから形成しても良
い。かけがえとして、織ファイバは予め決められた方向
に整えることができ、ある色合いにし、それを取り巻く
接合材料の型を形作る。他の方法は、切り刻んだファイ
バが移送成形材料に混合され、移送型枠に移送または圧
入される移送成形を用いる。ファイバは、好適には、接
合基質材料内で、スプールの回転軸22に対して長軸方
向かつ円周方向にアライメントされた直角に方向づけら
れる。ファイバをそのように整えることにより、スプー
ル14は、温度に従って長軸方向かつ半径方向に対称的
に膨張するだろう。
【0011】引用した特許出願に開示されているよう
に、発明者により明らかにされた光ファイバジャイロス
コープのバイアス非相反性の理論的モデルは、動的熱環
境におけるジャイロバイアスエラーは熱応力に起因する
ことがあることを開示している。この効果は、 "Therm
ally Induced Non-Reciprocity in the Fiber Optic In
terferometer", D.M.Shupe, Applied Optics, Vol. 19,
p.654(1980)に発表されている標準的な温度シュープ効
果と同じである。カーボン混成に基づいたスプール14
の使用は、前記バイアス源のひとつ、すなわち、ガラス
光ファイバと従来の金属製スプール間に存在する熱的不
整合に取り組む。熱応力誘導バイアスの他の駆動源は、
コイルポット化材料の膨張/収縮(下記に説明する)に
よる熱応力である。標準的な温度シュープ効果と熱応力
で引き起こされるシュープ効果の違いは、コイルが定常
温度勾配にさらされる時に明らかに顕著になる。標準的
なシュープ効果によるバイアスエラーは、温度勾配が時
間に従って一定になりしだいなくなるが、熱応力効果に
よるバイアスエラーは、コイルの温度が変化している間
はゼロにならず、その効果は、温度勾配が定常状態に達
した後までも残る。これらの効果を対比すると、標準的
なシュープ効果は、主に、コイルを横切る温度勾配の変
化率の関数になるが、熱応力で引き起こされるシュープ
効果は、主に、コイルの平均温度の変化率の関数とな
る。
【0012】図2は、光ファイバ12の層にされた巻線
の代表的な一部の拡大断面図である。図に見られるよう
に、光ファイバ12の巻線は、接着剤16からなる基質
内にポット化される。一般に、前記接着剤16の存在は
ジャイロのために多くの利点を提供する。これらはコイ
ル巻線の精密度の促進を含む。すなわち、ポット化接着
剤16は、1層ずつ塗られて硬化し、滑らかな表面が後
続の層の巻線の間に存在するようにすることができる。
このような巻線状況は、ファイバ間隔、1層当たりのタ
ーン数、コイルあたりの層数のような必須ファクタを含
む、その結果生じるコイル構造の制御を増強させ、“タ
ーン不足”のような巻線欠陥を最小限にする。
【0013】ターンすなわち巻線がポット化接着剤の基
質に埋め込まれるコイルを作るために、種々の製造方法
を用いることができる。前記方法は、例えば、スポイト
型調合器による接着剤の塗布及び硬化を含む。前記方法
は、後続の像の巻線のために滑らかな表面が提供される
ことを保証する。急速に硬化できるuv硬化接着剤は前
記方法に最も適している。他の製造方法は、非常に低い
粘性の接着剤による真空注入を伴う乾式コイル巻線を含
む。他の湿式巻線技術は、コイルを巻きながら塗布する
熱硬化接着剤を用いる。この接着剤は巻付け中は(流動
形態で)硬化しないままになっている。次いで、完成し
た(巻かれた)コイルは熱硬化する。
【0014】コイルのポット化は多くの利点を提供する
が、ポット化材料の選択及び塗布方法はそれ自体ジャイ
ロ性能に相当に影響を与え得る。特に、ポット化接着剤
16の注意深い選択により、振動誘導バイアスエラー及
び温度効果に対するセンサコイル10の感度を相当減少
させることができる。センサコイルのバイアス振動感度
は、その出力中に回転速度信号から区別することができ
ない非相反性位相エラーを導入する、コイル内の作用か
ら生じる。前記感度は、振動動的歪みにより引き越され
るファイバ長及び屈折率の変化から順次生じる、互いに
逆方向に伝播する波の非相反的な位相差によって引き起
こされる。このバイアスエラーはその性質が前述のシュ
ープバイアスエラーと類似しており、主な相違点は、環
境外乱が温度変化よりむしろ振動性歪みになることであ
る。
【0015】発明者は、共振周波数が計器性能帯域幅か
ら大幅にはずれている場合(かつノイズファクタが無視
できる場合)、正弦波振動スイープに対するジャイロス
コープのオープンループ応答は振動周波数の一次関数に
なることを実験的に観測した。これは、振動方向がコイ
ル入力軸に平行になっている(軸方向振動になってい
る)かまたは垂直になっている(横方向振動になってい
る)かのどちらかの場合に確かなことである。すなわ
ち、光ファイバジャイロのバイアス振動感度は振動周波
数の一次関数になり、バイアス振動感度モデルで予測さ
れた結果が発明者により明らかにされた。さらに、横方
向振動の下では、ジャイロ出力は、ほぼ正弦波の(すな
わちアジマス角度のSINとして変化する)アジマス依
存度を示している。
【0016】この振動感度の結果は重大である。たとえ
“DC整流”と呼ばれる直流DCバイアス効果が観測さ
れなくとも、電子的構成要素の振動で引き起こされる飽
和は、クローズドループエレクトロニクスを一定の振動
周波数の回転速度の監視から防止することができる。こ
れは、見かけ上DC整流として現われ得る。また、角速
度ノイズが、システムレベルの疑似円錐形成ばかりでな
く前記振動から生じる。上述の振動に関連した問題は、
ファイバ巻線に生じる振動動的応力が最小になるように
ポット化接着剤からなる基質とファイバ巻線を整えるこ
とにより、最小にするかなくすことができる。ファイバ
コアにおける高い応力及び歪みは動的増幅によって生じ
る。この有害な動的増幅効果は、不十分な弾性の固さを
有するポット化接着剤の使用にたどられ得る。しかしな
がら、非常に高いヤング率のポット化材料の使用は、ポ
ット化材料が固くなり過ぎるという一定の温度関連効果
により、ある程度まで抑えられるか制限される。これら
の効果のなかには、コイル亀裂、コイルがPMファイバ
製の場合のhパラメータ(偏光交差結合)劣化、大きな
バイアス温度勾配感度がある。振動誘導バイアスに対す
る十分な解決は、その粘性及びカプセル化特性に起因し
て大いに望ましい種々のポリマーでセンサコイルをポッ
ト化することにより見出された。しかしながら、ポリマ
ーでコイルをポット化すると、ジャイロは、振動に無関
係に表われる他の相当なバイアスエラーを示すことがわ
かった。最も重要なことに、発明者は、バイアススパイ
キング及び/またはバイアスクロッシングの外乱現象
が、NORLAND 65として市販されているUV硬
化アクリル接着剤のようなコイルポット化材料を用いる
ジャイロにおいて一様に生じることを見出した。前記変
態は、センサコイルが動作温度範囲を超えて循環する時
に表われる。
【0017】図3は、NORLAND65アクリル接着
剤でポット化されたセンサコイルを含むジャイロに関す
る、(約−10℃乃至70℃にわたる)コイル温度対バ
イアスエラー(時間あたりの度)の関係のグラフであ
る。試験コイルは、200メートルのコーニング社(Cor
ning corporation) 製の165ミクロンファイバで構成
した。それはカーボン複合材料からなる心棒に20層形
態に巻かれた。コイル温度は高低に勾配させた。プロッ
トされるものとしてのデータは、ジャイロ出力と温度の
直線的な関係と温度率依存度との両方に関して補正され
た。残りの残留バイアスは、コイル温度が−10℃と7
0℃間を循環するにつれて時間あたり0.62度の標準
偏差で特徴づけられる。図に見られるように、データの
急で極端な逸脱(バイアススパイク)は50℃あたりに
生じている。図のバイアススパイクは時間あたり5度を
越えている。
【0018】図4は、約−25℃と70℃間を循環させ
た、NORLAND 65でポット化された他のセンサ
コイルから得られたデータの同様なグラフである。この
コイルからのデータはバイアスクロッシング現象を表わ
している。標準偏差は、時間あたり4度を越えるピーク
ツーピークバイアス偏位を伴い0.61が得られた。温
度勾配の異なる方向から得られたデータのプロットは、
約5℃及び50℃に対応する2点で互いに交差してい
る。前記クロッシングは、温度変化率に対するバイアス
依存度(すなわちシュープ係数)も同様に温度依存的に
なることを示している。前記依存度は、順次、バイアス
のモデル化、及び、実際的でないジャイロ出力信号外の
バイアスエラーのモデル化を行なうバイアスの分析に非
常に複雑にする。
【0019】発明者は、上述の現象をポット化材料とし
て用いられるポリマーの物理的作用に関連付けた。ポリ
マーはいずれも、それのいわゆるガラス遷移領域、すな
わち、材料のヤング率の相当な変化が観測される温度範
囲により特徴付けられる。この領域は、温度が増加する
につれてガラス質の状態から弾性のある状態への遷移が
起きる。ポリマーは、そのガラス遷移領域にわたって1
50,000p.s.i.以上から400p.s.i.
まで固さの変化を示し得る。図5は、その温度が−10
0℃から100℃に上がる時の、温度と硬化したNOR
LND 65のヤング率の関係のグラフである。図に見
られるように、材料のヤング率の急な減少は、このアク
リル接着剤がほぼ零℃まで冷えた時に始まり、前記遷移
はほぼ50℃で終わっている。これは、ガラス質の状態
から弾性のある状態への物理的遷移に対応している。遷
移領域の中心は、28℃で起こるヤング率の点線部分の
グラフのピーク18にほぼ一致している。NORLAN
D 65のヤング率は、前記遷移領域にわたって約22
0,000p.s.i.から約400p.s.i.まで
変化し、固さが500倍減少する。
【0020】発明者は、バイアススパイキング及びバイ
アスクロッシングの有害現象がこのポット化材料のガラ
ス遷移領域内または近傍の温度で起こることに注目し
た。実際、発明者は、“バイアススパイキング”と“バ
イアスクロッシング”は共に、遷移領域の2つの“端”
の近傍すなわち零℃あたり及び50℃あたりで起こるこ
とを見出した。このことは、バイアス現象の温度依存度
とポリマーポット化材料のガラス遷移領域作用の間の相
関を推論し、それに基づいて新しいポット化材料を作る
べく、発明者を導いた。それに応じて、発明者は、受入
可能なレベルまでバイアス振動感度を効果的に減少させ
るために(1)ジャイロの動作範囲外にあるガラス遷移
温度と(2)(コイル形状ファクタと予測される振動共
振に基づいた)かなり大きな弾性率の両方により特徴付
けられる、センサコイル用のポリマーに基づいたポット
化材料を捜し求めた。
【0021】一般に、商業的な用途は−40℃乃至60
℃の動作範囲の仕様になっているが、軍用の仕様は−5
5℃乃至105℃の領域にわたる動作を要求する。当
然、NORLAND 65でポット化されたセンサコイ
ルのガラス遷移温度とその結果の有害なバイアススパイ
ク及びバイアスクロッシングは、不幸にして軍用及び商
業用の動作温度仕様の両方に十分含まれることが注目さ
れる。発明者は、ポット化されたコイル及びジャイロを
NORLAND 65等のポリマーで経験されるタイプ
のエラーにさらさない、ポリマーに基づいたポット化材
料を開発した。これは、2つの方法で達成された。第一
に、コイルは、ガラス遷移領域がジャイロセンサコイル
の動作温度範囲外にあるポリマー接着剤でポットされ
る。第二に、固さへの振動誘導バイアスの依存を認め
て、必要なヤング率が得られるように弾性のある領域に
ポリマーを固めるために、適当な“充填剤”をポリマー
に加えることができる。
【0022】特に、発明者は良好な候補材料を提供する
シリコンを発見した。それらのガラス遷移温度は、−5
5℃以下したがって商業及び軍用の仕様外にある。した
がって、前記の材料は、バイアススパイクやバイアスク
ロッシングにいたる材料のヤング率の相当な変化が通常
のジャイロ動作中起こらないことを保証するのに申し分
のないものであるが、ガラス遷移領域を越える(それよ
りもっと正の)温度領域における前記材料のヤング率
は、遷移領域以下より相当低い率を持つ。これは、当
然、すべてのポリマーの症状である。例えば、図5で
は、遷移温度が、振動誘導バイアスに対する望ましい抵
抗を与えるほど大きくなり得ない相当減少した固さのと
ころであるが限度を越えた時に、ヤング率が非常に安定
になることに注目することができる。同様に、図6A
は、シリコン材料のヤング率は約370p.s.i.だ
けであり、したがって厳しい振動環境で動作するのに要
求されるジャイロスコープのために必要なほど固くない
ことを示している。
【0023】発明者は、変化する材料組成からなるいく
つかの“充填剤”をシリコンに加えて、振動誘導バイア
スに関する材料性能を増強することができることを見出
した。したがって、前記充填剤の添加は、ガラス遷移温
度が限度を越えた時にシリコン材料“だけ”の比較的低
いヤング率にもかかわらす望ましい振動抵抗を得ること
を可能にする。要するに、充填剤の添加は、シリコンの
固さを弾性のある領域に増加させてジャイロ振動感度を
望ましいレベルに減少させる。優秀なバイアス特性を有
するポット状センサコイルを作る充填剤のなかにはカー
ボンブラックがある。この材料は、引っ張り強度及びヤ
ング率が増加するようにゴムと化学的に反応することが
知られている。したがって、カーボンブラックはゴムの
補強充填剤として知られている。発明者は、カーボンブ
ラックの補強特性は上述の種々の問題に適用できること
を見出した。また、カーボンブラックは、シリコン組成
の凝集強度を増加させ、その結果、カーボンブラック充
填剤を含むシリコンでポット化されたコイルは、熱的に
引き起こされる亀裂及び凝集低下による葉裂に一層耐え
られる。種々の充填剤がシリコンだけに添加される場合
は、接着または接合強度の劣化の可能性について留意し
なければならない。75℃以上でのファイバの“焼成”
はファイバとポット化材料の接合強度を向上させる。発
明者により含まれていないシリコンポット化材料のため
の他の満足な充填剤は、ガラス粒子、水晶、シリコン炭
化物、黒鉛及びアルミナ(アルミニウム酸化物)粉末を
含む。
【0024】図6Aは、“Mastersyl 15
1”(登録商標)で市販されているニュージャージー
州、ハッケンサック(Hackensack)のマスターボンド社(M
aster Bond, Inc.)のシリコン組成に関する温度対ヤン
グ率のグラフである。図6Bは、カーボンブラックが充
填された同じシリコン材料の温度対ヤング率のグラフで
ある。用いられたカーボンブラック充填剤は、カナダ
国、アルバータ(Alberta)州、メディスン ハット(Medi
cine Hat)のキャンカーブ社(Cancarb Limited)により市
販されているTHERMAX Medium Thermal Black N-991(登
録商標)であった。図6Aに見られるように、温度がガ
ラス遷移温度以上の約370p.s.i.まで増加する
につれて、シリコン材料のガラス遷移は、材料の固さが
有害に減少する−66℃あたりの中心を置いている。こ
の作用は、ガラス遷移領域がさらにうまくジャイロ動作
範囲以下の−72℃に中心を置く図6Bのカーボンブラ
ックが充填されたシリコン材料と対比されるべきであ
る。材料のヤング率がだんだん減少しているのが見られ
るのは、充填剤がガラス遷移温度以上に加熱されるため
生じるのである。充填剤を欠いたシリコン材料と対比す
ると、図6Bのサンプルは、弾性のある領域内の約1,
500p.s.i.の値のところで安定なヤング率に近
づいている。このように、実験データは、シリコン材料
をそのガラス遷移温度以上に加熱された時に固めるもの
として、特定の充填剤すなわちカーボンブラックの有効
性を立証している。
【0025】発明者は、観測されたシリコン及びシリコ
ン充填ポット化材料の望ましい特性をジャイロセンサコ
イルの製作に適用し、向上した性能に関して顕著な結果
を実現した。図7は、図6Bのカーボンブラックで固め
られたシリコン組成でポット化されたセンサコイルを含
むジャイロに関する、温度の関数としてのバイアスエラ
ーのグラフである。バイアスデータは、コーニング社製
の200メートルの165ミクロン光ファイバで形成さ
れた40層巻線センサコイルから得られた。図3及び4
のグラフにプロットされたデータの場合のように、図7
のデータは、ジャイロ出力及び温度の直線的関係と温度
率依存度との両方に関して補正されている。残っている
残留バイアスは、センサコイルの温度が−50℃と95
℃の間を循環するにつれて時間あたり0.19度の標準
偏差を持ち、無視できるものとなることが見られる。図
7のデータにはバイアススパイクやバイアスクロッシン
グが存在していない。図7のデータと図3及び4のデー
タを対比すると、劇的であり、ポリマーでセンサコイル
をポット化することに関連した問題の性質に関して発明
者の洞察力と仮説が立証される。
【0026】図8は、カーボンブラックが充填されたシ
リコンでポット化されたコイルに関する、振動周波数対
正弦波振動によるACバイアスのグラフである。このバ
イアスデータは、同様に、コーニング社製の200メー
トルの165ミクロン光ファイバで形成された40層巻
線コイルから得られた。このグラフが示しているよう
に、ACバイアス出力はこの測定量において実質的に無
視できるものである。加速度レベルは1gに一定に保た
れた。このように、本発明の教示は、動的熱及び振動環
境に起因するバイアス感度の最小化に関して実質的に改
善されたセンサコイルを提供することがわかる。本発明
の教示を用いることにより、従来技術では以前認識もし
くは取組みがなされていなかった環境的原因のバイアス
エラーに実質的にさらされないジャイロ性能を得ること
ができる。本発明は目下好適な実施零に関して説明され
たが、それに限らない。むしろ、本発明は、付随の特許
請求の範囲により定義される限りにおいてのみ制限さ
れ、それの全ての同等物をその範囲内に含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバジャイロスコープ用セ
ンサコイルの斜視図である。
【図2】本発明によるセンサコイルの層にされた巻線の
代表的な部分の拡大断面図である。
【図3】NORLAND 65というUV硬化アクリル
樹脂接着剤でポット化されたセンサコイルを含むジャイ
ロに関する、温度の関数としてのバイアスを示すグラフ
の図である。
【図4】NORLAND 65というUV硬化アクリル
樹脂接着剤でポット化されたセンサコイルを含むジャイ
ロに関する、温度の関数としてのバイアスを示すグラフ
の図である。
【図5】温度の関数としての、硬化されたNORLAN
D 65というアクリル樹脂接着剤のヤング率のグラフ
の図である。
【図6A】温度の関数としての、カーボンブラック充填
剤を含まない場合のシリコン組成のヤング率のグラフ図
である。
【図6B】温度の関数としての、カーボンブラック充填
剤を含む場合のシリコン組成のヤング率のグラフ図であ
る。
【図7】カーボンブラック充填剤を含むシリコン組成で
ポット化されたセンサコイルを含むジャイロに関する、
温度の関数としてのバイアスエラーのグラフの図であ
る。
【図8】カーボンブラックが充填されたシリコンでポッ
ト化されたコイルに関する、振動周波数対振動によるA
Cバイアスのグラフの図である。
【符号の説明】
光ファイバ 12 支持スプール 14 接着剤 16
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−107508(JP,A) 特開 平5−273415(JP,A) 特開 平5−112769(JP,A) 特開 平5−263062(JP,A) 特開 平5−194857(JP,A) 特開 平5−124150(JP,A) 特開 平3−503044(JP,A) 特開 平7−103771(JP,A) 実開 平2−16018(JP,U) 特公 平6−12261(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下限温度および上限温度の間の所定の動
    作温度範囲を有する光ファイバジャイロスコープ用セン
    サコイルであって、 a)光ファイバを備え、 b)前記ファイバは複数の同心的な円筒形の層に整えら
    れ、 c)前記各層は前記ファイバの複数のターンからなり、 d)前記各ターンは所定の巻線パターンに整えられ、 e)前記下限温度よりも低いガラス遷移温度を有する所
    定のポリマーを含むポット化材料で、前記各ターンはカ
    プセル化され、 f)前記ポット化材料は、カーボンブラック、ガラス粒
    子、水晶、炭化珪素、グラファイト、酸化アルミニウム
    粉体のグループ中から選択された充填材を含むセンサコ
    イル。
  2. 【請求項2】 下限温度および上限温度の間の所定の動
    作温度範囲においてバイアススパイクおよびバイアスク
    ロッシングの現象を実質的に回避し得るジャイロセンサ
    コイルの製造方法であって、 a)連続した光ファイバを選択し、 b)(i)少なくとも1つの候補となるシリコンのガラス
    遷移温度と前記所定の動作温度範囲とを比較し、(ii)ガ
    ラス遷移温度が前記下限温度よりも低いシリコンを選択
    することによって、前記コイルをポット化するためのシ
    リコンを選択し、 c)カーボンブラック、ガラス粒子、水晶、炭化珪素、
    グラファイト、酸化アルミニウム粉体のグループ中から
    選択された前記シリコンに、充填材を添加し、 d)所定の巻線パターンに従い、前記光ファイバを巻い
    てコイルを形成し、 e)前記巻かれたコイルを前記シリコンでカプセル化す
    る製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポット化されたコイルを75℃で焼
    成するステップをさらに含む請求項2記載の製造方法。
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