JP2707023B2 - 経口吸収用製剤 - Google Patents

経口吸収用製剤

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JP2707023B2
JP2707023B2 JP4174302A JP17430292A JP2707023B2 JP 2707023 B2 JP2707023 B2 JP 2707023B2 JP 4174302 A JP4174302 A JP 4174302A JP 17430292 A JP17430292 A JP 17430292A JP 2707023 B2 JP2707023 B2 JP 2707023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸性域で水溶性が低下
し、このために経口投与時に難吸収性を示す傾向のある
有機化合物のアルカリ金属塩を主薬とし、これに安全性
の確認された水不溶性高分子化合物と水溶性高分子化合
物とを配合することによって、該主薬の難吸収性を改善
した、新しい経口吸収用製剤に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】医薬品有効成分化合物として知
られている有機化合物のアルカリ金属塩中には、水に対
する溶解性にpH依存性があり、特に酸性域でその水溶
性が低下するものが存在する。例えば本願人らが先に開
発した、痛風治療剤有効成分化合物として有用な4−ヒ
ドロキシ−8−(3−メトキシ−4−フェニルスルフィ
ニルフェニル)ピラゾロ〔1,5−a〕−1,3,5−
トリアジン等のトリアジン誘導体〔欧州特許公開第26
9859号公報参照〕のアルカリ金属塩は、酸性水溶液
中で水に対して非常に難溶性となり、また消化管からの
吸収性も非常に低いものとなる。上記の如き酸性域で水
溶性が低下する医薬品有効成分化合物(アルカリ金属
塩)は、これを通常の医薬製剤として経口投与(服用)
した場合、消化管内のpHの影響を受けて、その吸収性
が低下する。これは特に胃液酸性度が高い人と低い人と
で、また服用時期やその際の食事摂取の有無によって、
そのバイオアベイラビリティー(Bioavailability )に
大きなバラツキが生じることを意味し、医薬品としての
重大な問題点となる。
【0003】従来よりバイオアベイラビリティーの個体
差を軽減する一般的な方法として腸溶性製剤化の技術が
知られているが、上記アルカリ金属塩を主薬とする場合
は、アルカリ性で溶解する腸溶性製剤化が必要となり、
かかる製剤はその経時的安定性を保証することが困難で
ある。即ち、通常腸溶性製剤は、細粒、顆粒、錠剤等の
形態に製した後、コーティング剤を被覆して得られてい
るが、アルカリ金属塩を主薬として上記細粒等を調製
し、これをアルカリ域で溶解し得る腸溶性コーティング
剤で被覆すると、製剤自体が非常に不安定となる。
【0004】 本発明者らは、上記現状に鑑み、アルカ
リ金属塩を主薬とする医薬品であって、該主薬の酸性域
での難溶化を回避でき、消化管内での吸収性を向上させ
得、しかも胃液酸性度や服用時期、食事摂取の有無にか
かわらず、優れたバイオアベイラビリティーを保証でき
る新しい経口投与用製剤を提供することを目的として鋭
意検討を重ねた。その結果、従来の腸溶性製剤化技術に
よることなく、従って繁雑な腸溶性コーティング工程を
経ることなく、単に上記主薬に、水不溶性高分子化合物
と水溶性高分子化合物とを添加混合、引続き通常の製
剤化を行なうのみで、上記目的に合致する経口投与用製
剤が得られるという驚くべき知見を得た。本発明はこの
新しい知見に基づいて完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は酸性域で
水溶性が低下する有機化合物のアルカリ金属塩を主薬と
し、これを水不溶性高分子化合物及び水溶性高分子化合
物と共に配合したことを特徴とする経口吸収用製剤に係
わる。
【0006】本発明によれば、特に有利には主薬が4−
ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4−フェニルスルフ
ィニルフェニル)ピラゾロ〔1,5−a〕−1,3,5
−トリアジン、フェニトイン、アスピリン、サリチル酸
及びクロモグリク酸から選ばれる有機化合物のアルカリ
金属塩である上記経口吸収用製剤、アルカリ金属塩がナ
トリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシ
ウム及びアルミニウム塩から選択される上記経口吸収用
製剤、水不溶性高分子化合物がクロスカルメロースナト
リウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから
選ばれる上記経口吸収用製剤、水溶性高分子化合物がヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースである上記経口吸収
用製剤、主薬と水不溶性高分子化合物との配合割合が重
量比で1:0.1〜1:3の範囲から選択される上記経
口吸収用製剤、主薬とクロスカルメロースナトリウムと
の配合割合が重量比で1:0.1〜1:0.5の範囲か
ら選択される上記経口吸収用製剤、主薬と低置換度ヒド
ロキシプロピルセルロースとの配合割合が重量比で1:
0.5〜1:3の範囲から選択される上記経口吸収用製
剤及び主薬と水溶性高分子化合物との配合割合が重量比
で1:0.01〜1:0.2の範囲から選択される上記
経口吸収用製剤が提供される。
【0007】また本発明によれば、主薬と水不溶性高分
子化合物及び水溶性高分子化合物とを混合して配合する
ことを特徴とする上記経口吸収用製剤の製造方法が提供
される。
【0008】本発明の経口投与用製剤は、酸性域で水溶
性が低下するアルカリ金属塩を主薬として、従来のこの
種経口投与用製剤の欠点を悉く解消し得たものであり、
特に該主薬の酸性域での難溶化を回避でき、胃から小腸
に至る消化管のpH約1.2〜6.8域において、優れ
た溶解性及び吸収性を有する。しかも本発明製剤は胃液
酸性度や服用時期、食事摂取の有無にかかわらず、常に
安定して優れたバイオアベイラビリティーを保証でき、
上記吸収性の個体差によるバラツキを顕著に小さくする
ことができる。従ってこれは経口投与によって、適用個
体の個体差を考慮せずとも充分な薬理効果を奏し得る。
また本発明製剤は、繁雑な腸溶性コーティング工程を経
ることなく、単に主薬と水不溶性高分子化合物及び水溶
性高分子化合物とを添加混合後、通常の製剤化技術に従
い容易に製造できる利点がある。勿論、本発明製剤は上
記通常の製剤化に加えて、ワックス類の添加やコーティ
ングを施すことも可能であり、之等によって、主薬の放
出性を任意に制御することもできる。
【0009】以下、本発明製剤につき詳述すれば、本発
明製剤に用いられる主薬は、酸性域で水溶性が低下する
各種の有機化合物のアルカリ金属塩から選択される。そ
の具体例としては、4−ヒドロキシ−8−(3−メトキ
シ−4−フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ
〔1,5−a〕−1,3,5−トリアジン、フェニトイ
ンアスピリン、サリチル酸、クロモグリク酸等の各種有
機化合物のアルカリ金属塩を例示できる。また上記アル
カリ金属塩としては、薬理的に許容される通常のものの
いずれでもよく、その具体例としては、ナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム
塩、アルミニウム塩等を例示できる。
【0010】また、上記主薬と併用される水不溶性高分
子化合物は、医薬分野において通常使用されている各種
のものから選択される。かかる水不溶性高分子化合物
は、水に溶解せず、吸水、膨潤して、製剤の崩壊性を促
進する性質を有するものであり、その例としては例えば
クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセ
ルロース誘導体や、カルボキシメチルスターチナトリウ
ム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルスター
チ等のデンプン類等が挙げられる。之等の内ではセルロ
ース誘導体が好ましく、その中でもクロスカルメロース
ナトリウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
が特に好ましい。尚、上記低置換度ヒドロキシプロピル
セルロースとしては、通常市販の各種のものをいずれも
使用でき、その置換度は一般に約7〜16%の範囲にあ
るのが望ましい。
【0011】かかる水不溶性高分子化合物の使用量は、
特に限定されず、得られる経口吸収用製剤の経口投与時
のバイオアベイラビリティーに応じて適宜決定できる
が、通常主薬に対して重量比で0.1〜3程度、好まし
くは0.1〜2程度、より好ましくは0.2〜1.5程
度の範囲とされるのがよい。
【0012】更に、本発明経口吸収用製剤に主薬と併用
される他方の水溶性高分子化合物も、この種の分野にお
いて通常用いられている各種のもののいずれでもよい。
かかる水溶性高分子化合物は、水への溶解がpH非依存
性で、溶解度が少なくとも約6%以上、好ましくは約1
0%程度以上を有するものであるのが好ましい。その例
としては例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロ
ース誘導体や、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニル
ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール等の合成高分子化合物等が挙げられる。之等の内
ではセルロース誘導体が好ましく、特にヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースは好適である。
【0013】かかる水溶性高分子化合物の主薬に対する
使用量も、特に限定されず、得られる経口吸収用製剤の
経口投与時のバイオアベイラビリティーに応じて適宜決
定できるが、通常重量比で0.01〜0.2倍量程度、
好ましくは0.04〜0.2倍量程度、より好ましくは
0.08〜0.16倍量程度の範囲とされるのがよい。
【0014】本発明経口吸収用製剤は、上記主薬、水不
溶性高分子化合物及び水溶性高分子化合物を必須成分と
して、他に必要に応じて慣用される各所の添加剤を添加
して、適当な投与形態に調製される。上記添加剤は、調
製される投与形態に応じて適宜選択することができ、代
表的には賦形剤、着色剤、滑沢剤、保存剤、香料、風味
剤、甘味剤等を例示できる。好ましい賦形剤には、例え
ば乳糖、白糖、D−マンニトール等の糖類、バレイショ
デンプン等のデンプン類、結晶セルロース等のセルロー
ス誘導体、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム等の
無機塩類等が包含される。着色剤には、例えば黄色ベン
ガラ、タール系色素等が、滑沢剤には、例えばステアリ
ン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシ
ウム等のステアリン酸類や、ショ糖脂肪酸エステル類、
サラシミツロウ、硬化油等のロウ類、タルク、ポリエチ
レングリコール等がそれぞれ包含される。また調製され
る投与形態としては、特に限定はなく一般的な経口投与
製剤と同様の各種の製剤形態のいずれでもよいが、通常
は散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、丸剤等で
あるのが好ましい。
【0015】本発明経口投与用製剤の調製は、上記所望
の剤型に従い、それぞれ常法により実施できる。例えば
錠剤は、主薬、水不溶性高分子化合物及び水溶性高分子
化合物を混合して得られる混合処理末に、必要により賦
形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿
剤吸着剤、滑沢剤等の添加剤を混合し、所望により粉
砕、篩過、練合等を行なった後、打錠して調製でき、こ
れは更に通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラ
チン被包錠、フィルムコーテイング錠、二重錠、多層錠
とすることもできる。丸剤は、上記錠剤と同様にして、
混合処理末に更に必要により賦形剤、結合剤、崩壊剤等
を混合し、適当な形に賦形して調製できる。カプセル剤
は上記主薬、水不溶性高分子化合物及び水溶性高分子化
合物を含む混合処理末を、硬質ゼラチンカプセル、軟質
カプセル等に充填して調製される。上記各剤型への調製
の際に利用される粉砕、篩過、練合、打錠、コーティン
グ、カプセル充填等の各操作は、いずれもよく知られて
いる通常の方法に従うことができる。例えば粉砕は、ジ
ェットミル、ボールミル等を用いて行ない得る。
【0016】特に本発明経口投与用製剤は、その効果を
より持続させるために、上記主薬をワックス類を用いて
練合後、水不溶性高分子化合物及び水溶性高分子化合
物、更に必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤等と混合
し、所望の剤型に導くか又は上記混合処理末を錠剤等の
適当な形態に賦形後、フィルムコーティングしてコーテ
ィング錠とされるのが適当である。ここで用いられるワ
ックス類としては、水に不溶性であるか又は難溶性であ
る各種のワックス類が用いられ、その具体例としては例
えばカルナバロウ、ミツロウ等の動物性ロウ類、大豆硬
化油、ヒマシ硬化油等の植物硬化油、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス等のパラフィン類等
を例示でき、之等は1種単独でも2種以上混合しても利
用できる。
【0017】また上記フィルムコーティングのためのコ
ーティング剤としては、例えばレーム・ファーマ社より
市販の商品名「オイドラギットE」、「オイドラギット
L」、「オイドラギットS」、「オイドラギットR
S」、「オイドラギットNE」等のアクリル系樹脂や、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシ
メチルセルロース、エチルセルロース等を利用すること
ができる。之等コーティング剤を含むコーティングのた
めの組成物には、更に必要に応じて酸化チタン、タル
ク、黄色ベンガラ等の着色剤、クエン酸トリエチル、グ
リセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等の
可塑剤、カルナバロウ等の艶出し剤等の慣用される添加
剤を添加配合することができる。尚、上記コーティング
組成物のコーティング量は、所望の持続時間に応じて適
宜決定され特に限定されるものではないが、一般には主
薬を含む混合処理末に対して通常約0.1〜20重量
%、好ましくは約3〜10重量%の範囲から選ばれるの
が好ましい。上記コーティング処理は、一般的な各種の
方法、例えば流動層コーティング装置、遠心流動型コー
ティング装置、錠剤用全自動フィルムコーティング装置
等を用いて、その他に例えば相分離法、界面重合法、ス
プレードライ法等に従って実施することができる。
【0018】かくして本発明によれば、主薬、水不溶性
高分子化合物及び水溶性高分子化合物のそれぞれの添加
配合量を適宜選択したり、コーティング製剤を調製する
ことによって、目的とする主薬の溶出パターンや持続時
間を適宜調節できる。
【0019】本発明の経口吸収用製剤は、その製剤形態
に応じて主薬の有効量を含む適当量を適宜経口投与さ
れ、これによって、本発明所期の効果を奏し得る。即
ち、本発明製剤はその調製自体非常に容易であるに加え
て、主薬の酸性域での難溶化を回避でき、胃から小腸に
至る消化管の酸性pH域、通常約1.2〜6.8のpH
域において、優れた溶解性及び吸収性を発揮し、胃液酸
性度や服用時期、食事摂取の有無にかかわらず、常に安
定して優れたバイオアベイラビリティーを保証でき、上
記吸収性の個体差によるバラツキを顕著に小さくでき、
その投与に当って個体差を考慮せずとも充分な薬理効果
を奏し得るのである。
【0020】
【実施例】以下、本発明製剤及びその利点を実施例及び
比較例を挙げて更に詳細に説明する。尚、各例に用いた
各成分化合物は次の通りである。
【0021】 ・4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ
−4−フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ〔1,
5−a〕−1,3,5−トリアジン・ナトリウム(主
薬、以下「化合物A」という) ・クロスカルメロースナトリウム(水不溶性高分子化合
物、旭化成工業社製、商品名:Ac−Di−Sol) ・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(水不溶性高
分子化合物、信越化学工業社製、商品名:L−HPC) ・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(水溶性高分子
化合物、信越化学工業社製、商品名:TC−5E) ・結晶セルロース(添加剤、旭化成工業社製、商品名:
アビセル) ・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル
酸塩化トリメチル・コポリマー(添加剤、レーム・ファ
ーマ社製、商品名:オイドラギッドRS) ・ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサク
シネート(添加剤、信越化学工業社製、商品名:AQO
AT)
【0022】
【実施例1】化合物A500g、クロスカルメロースナ
トリウム100g、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス80g、乳糖100g、コーンスターチ100g、結
晶セルロース100g及びタルク20gを混合し、混合
処理末を3号カプセルに充填してカプセル剤形態の本発
明経口吸収用製剤を得た。1カプセル当りの組成を表1
に示す。
【0023】
【比較例1】化合物A500g、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース80g、乳糖150g、コーンスターチ
150g、結晶セルロース100g及びタルク20gを
混合し、混合処理末を3号カプセルに充填してカプセル
剤形態の比較製剤を得た。1カプセル当りの組成を表1
に示す。
【0024】
【比較例2】化合物A500g、クロスカルメロースナ
トリウム100g、乳糖140g、コーンスターチ14
0g、結晶セルロース100g及びタルク20gを混合
し、混合処理末を3号カプセルに充填してカプセル剤形
態の比較製剤を得た。1カプセル当りの組成を表1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】
【実施例2】化合物A500g、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース700g、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース80g、乳糖600g及びコーンスターチ1
00gを高速攪拌型の混合機で混合、練合後、乾燥し、
これにステアリン酸マグネシウム20gを加えて、8m
mφの杵で打錠して錠剤形態の本発明経口吸収用製剤を
得た。1錠当りの組成を表2に示す。
【0027】
【比較例3】化合物A500g、結晶セルロース700
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース40g、乳糖
600g及びコーンスターチ140gを高速攪拌型の混
合機で混合、練合後、乾燥し、これにステアリン酸マグ
ネシウム20gを加えて、8mmφの杵で打錠して錠剤
形態の比較製剤を得た。1錠当りの組成を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【実施例3】化合物A500g、クロスカルメロースナ
トリウム120g、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス80g、乳糖120g、コーンスターチ50g及び結
晶セルロース130gを高速攪拌型の混合機で混合、練
合後、押出し造粒、球形化(マルメライザー使用)し
て、顆粒を得た。この顆粒にアクリル酸エチル・メタク
リル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチル・コポリマ
ーを含む表3記載のコーティング用組成物の所定量を流
動層コーティング装置を用いてコーティングし、2号カ
プセルに充填して、徐放性カプセル剤形態の本発明経口
吸収用製剤を得た。1カプセル当りの組成を表3に示
す。
【0030】
【表3】
【0031】
【実施例4】化合物A500g、クロスカルメロースナ
トリウム110g、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス70g、乳糖70g、コーンスターチ50g及び結晶
セルロース130gを高速攪拌型の混合機で混合、練合
後、押出し造粒、球形化(マルメライザー使用)して、
顆粒を得た。この顆粒にヒドロキシプロピルメチルセル
ロースアセテートサクシネート54g、クエン酸トリエ
チル15g及びタルク16gを含むコーティング用組成
物を流動層コーティング装置を用いてコーティングし、
更に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース757g及
びステアリン酸マグネシウム18gを加えて、8mmφ
の杵で打錠して徐放剤形態の本発明経口吸収用製剤を得
た。1錠当りの組成を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】以下、本発明の効果を確認するために行な
われた溶出試験及びビーグル犬における経口吸収試験に
ついて詳述する。
【0034】
【試験例1】 溶出試験1 下記試料につき、第12改正日本薬局方記載の溶出試験
(第2法)に従い、下記試験条件下での各試料の所定時
間経過後の溶出率をそれぞれ測定した。
【0035】試料 本発明製剤A…実施例1で得られたカプセル剤 比較製剤B…比較例1で得られたカプセル剤 比較製剤C…比較例2で得られたカプセル剤 対照…原末(4−ヒドロキシ−8−(3−メトキシ−4
−フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ〔1,5−
a〕−1,3,5−トリアジン・ナトリウム塩 試験条件 試験液:第1液(pH1.2)900ml 回転数:100rpm 測定:UV335nm 結果を図1に示す。
【0036】図1より、本発明製剤Aは比較製剤B及び
Cに比して遥かに優れた溶出性を有することが明らかで
ある。これに対して比較製剤Bの溶出性は原末と同程度
であり何等の改善も認められない。比較製剤Cは初期の
溶出性は改善されるものの、その改善効果は比較的速や
かに低下することが明らかである。
【0037】
【試験例2】 溶出試験2 試験例1で用いたと同一の4種の試料につき、第12改
正日本薬局方記載の溶出試験(第2法)に従い、下記試
験条件下での各試料の所定時間経過後の溶出率をそれぞ
れ測定した。
【0038】試験条件 試験液:第2液(pH6.8)900ml 回転数:100rpm 測定:UV345nm 結果を図2に示す。
【0039】図2より、本発明製剤Aは比較製剤B及び
C並びに対照に比して、pH6.8の条件下でも、経時
的な溶出性の低下が実質的に認められず、優れた溶出性
を有することが明らかである。
【0040】
【試験例3】 溶出試験3 下記試料につき、試験例1と同様にしてpH1.2の条
件下での経時的溶出率を測定した。
【0041】本発明製剤D…実施例2で得られた錠剤 比較製剤E…比較例3で得られた錠剤 結果を図3に示す。
【0042】図3より、本発明製剤Dは比較製剤Eに比
して、著しく溶出性が改善されていることが明らかであ
る。
【0043】
【試験例4】 溶出試験4 試験例3と同一の試料につき、試験例2と同様にしてp
H6.8の条件下での経時的溶出率を測定した。
【0044】結果を図4に示す。
【0045】図4からも、本発明製剤Dは比較製剤Eに
比して、溶出性が改善されていることが明らかである。
【0046】
【試験例5】 経口吸収試験 雄性ビーグル犬(体重8.4〜11.8kg)5匹を一
昼夜絶食させ、該絶食後に(絶食群)又は摂餌した後に
(摂餌群)、試料として本発明製剤A(実施例1で得ら
れたカプセル剤)及び比較製剤B(比較例1で得られた
カプセル剤)を経口投与した。
【0047】上記経口投与後、経時的に前腕上皮静脈よ
り採血し、血清中の化合物A量をHPLC(高速液体ク
ロマトグラフ)法により定量した。尚、試料の割付けは
クロスオーバー法により実施した。
【0048】上記試験の結果得られた各時間での血中濃
度推移を求めたグラフを図5(絶食群)及び図6(摂餌
群)に示す。
【0049】また上記試験の結果求められた最高血中濃
度(Cmax )及び血中濃度−時間曲線下面積(AUC)
を下記表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】上記各図及び表における数値は、平均値±
標準誤差を示す。
【0052】上記より、本発明経口用吸収製剤は、その
吸収性において比較製剤に比して著しい向上が認めら
れ、しかも食事の有無によるバイオアベイラビリティー
差も改善できることが明らかである。
【0053】
【発明の効果】本発明経口吸収用製剤は、主薬と水不溶
性高分子化合物及び水溶性高分子化合物とを併用したこ
とに基づいて、これを経口投与した場合に消化管内のp
Hの影響を受けることなく、また絶食時にも吸収性の低
下を来たすことなく、更にバイオアベイラビリティーの
個体差も緩和して、顕著に改善された溶解性、吸収性を
示し、しかも簡単な操作で容易に調製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶出試験1で求めた本発明経口吸収用製剤のp
H1.2下での経時的溶出率を示すグラフである。
【図2】溶出試験2で求めた本発明経口吸収用製剤のp
H6.8下での経時的溶出率を示すグラフである。
【図3】溶出試験3で求めた本発明経口吸収用製剤のp
H1.2下での経時的溶出率を示すグラフである。
【図4】溶出試験4で求めた本発明経口吸収用製剤のp
H6.8下での経時的溶出率を示すグラフである。
【図5】経口吸収試験で求めた本発明経口吸収用製剤の
ビーグル犬における所定時間経過後の血中濃度推移を求
めたグラフ(絶食群)である。
【図6】経口吸収試験で求めた本発明経口吸収用製剤の
ビーグル犬における所定時間経過後の血中濃度推移を求
めたグラフ(摂餌群)である。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸性域で水溶性が低下する有機化合物のア
    ルカリ金属塩を主薬とし、これを水不溶性高分子化合物
    及び水溶性高分子化合物と共に配合したことを特徴とす
    る経口吸収用製剤。
  2. 【請求項2】主薬が4−ヒドロキシ−8−(3−メトキ
    シ−4−フェニルスルフィニルフェニル)ピラゾロ
    〔1,5−a〕−1,3,5−トリアジン、フェニトイ
    ン、アスピリン、サリチル酸及びクロモグリク酸から選
    ばれる有機化合物のアルカリ金属塩である請求項1に記
    載の経口吸収用製剤。
  3. 【請求項3】主薬のアルカリ金属塩がナトリウム、カリ
    ウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミ
    ニウム塩から選択される請求項1又は2に記載の経口吸
    収用製剤。
  4. 【請求項4】水不溶性高分子化合物がクロスカルメロー
    スナトリウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロー
    スから選ばれる請求項1又は2に記載の経口吸収用製
    剤。
  5. 【請求項5】水溶性高分子化合物が低置換度ヒドロキシ
    プロピルメチルセルロースである請求項1又は2に記載
    の経口吸収用製剤。
  6. 【請求項6】主薬と水不溶性高分子化合物との配合割合
    が重量比で1:0.1〜1:3の範囲から選択される請
    求項1、2又は4に記載の経口吸収用製剤。
  7. 【請求項7】主薬とクロスカルメロースナトリウムとの
    配合割合が重量比で1:0.1〜1:0.5の範囲から
    選択される請求項1、2、4及び6のいずれかに記載の
    経口吸収用製剤。
  8. 【請求項8】主薬と低置換度ヒドロキシプロピルセルロ
    ースとの配合割合が重量比で1:0.5〜1:3の範囲
    から選択される請求項1、2、4及び6のいずれかに記
    載の経口吸収用製剤。
  9. 【請求項9】主薬と水溶性高分子化合物との配合割合が
    重量比で1:0.01〜1:0.2の範囲から選択され
    る請求項1、2又は5に記載の経口吸収用製剤。
  10. 【請求項10】主薬と水不溶性高分子化合物及び水溶性
    高分子化合物とを混合して配合することを特徴とする請
    求項1〜9のいずれかに記載の経口吸収用製剤の製造方
    法。
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