JP2703868B2 - レンゲを餌資源植物として利用したマメコバチの増殖方法 - Google Patents

レンゲを餌資源植物として利用したマメコバチの増殖方法

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泰生 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マメコバチ Osmia cor
nifrons の増殖方法に関し、更に詳しくは、本種を大量
増殖させるために、その餌資源植物としてレンゲ Astra
galus sinicus を用いるマメコバチの増殖方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】マメコバチは現在リンゴ、オウトウなど
の落葉果樹の送粉昆虫(ポリネーター)として利用され
ている。リンゴなどの他家受粉性作物では自家花粉によ
る送粉では結実しない。この問題を解決するためには人
工受粉が行われたり、セイヨウミツバチ Apis mellifer
a が利用されたりもしているが、マメコバチを利用する
方が、より経済的である。
【0003】リンゴにおけるマメコバチの(全栽培面積
に対する)普及面積は、青森県では約8割、長野県では
約6割となっており、リンゴの主産地である両県ではか
なり普及しているといえる。しかし、他の地域ではまだ
ほとんど普及しておらず、日本のリンゴの全栽培面積で
みると、まだ5割程度でしかない。この原因の一つとし
て、種バチが効率よく増殖されていないため、これ以上
の利用拡大が進みにくいことが挙げられる。
【0004】現在、マメコバチの増殖は、もっぱらリン
ゴ園でのみ行われている。しかし、これはリンゴの送粉
の副産物的なものであり、マメコバチの増殖に重点が置
かれている訳ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】リンゴ園におけるマメ
コバチの増殖は、次のような問題点をもち、非効率的で
ある。(1)リンゴ園でのリンゴの開花日数(品種構成
が豊富で開花期間が長い園でも2週間以下)では、マメ
コバチが本来もっている営巣能力(有効営巣日数:25
〜35日)を十分に発揮できない。(2)また、リンゴ
の開花期には天候不順な日が多いため、マメコバチが訪
花活動を行うことのできる日数(有効営巣日数)は、5
〜7日しかない。(3)現在、既にマメコバチを利用し
ているリンゴ園では、累代的に飼育・増殖されている園
が多い。しかし、各リンゴ農家単位ではマメコバチの生
態を考慮した十分な飼養管理が行えないため、この累代
飼育によって天敵類が蔓延し、増殖率が低く抑えられて
いる。
【0006】(1)、(2)の結果、マメコバチの増殖
率(健全なメス子孫数/放飼メス数)は十分に管理され
たリンゴ園でも2.2〜3.1にしかならなかった。さ
らに(3)の結果から、飼養管理が十分に行われていな
い多くのリンゴ園では増殖率は通常2以下となり、ほと
んど増殖していない。以上のようにリンゴ園では、大量
増殖は不可能である。このため、マメコバチの増殖に重
点を置き、特定の他の餌資源植物を栽培して飼養管理を
行う必要がある。
【0007】このような餌資源候補植物は、次の特徴を
合わせもつことが望ましい。(1)マメコバチの自然状
態での成虫の活動期は、島根県では4月上旬〜5月中
旬、長野県では4月下旬〜6月上旬であるので(前田泰
生著、「シリーズ地球共生系4花に引き寄せられる動物
−花と送粉者の共進化」、平凡社発行、195〜232
頁(1993年);前田泰生・北村泰三著、「落葉果樹
の受粉のためのマメコバチのマネージメント マメコバ
チの上手な飼い方、使い方」、アスク工業株式会社発
行、16頁(1974年))、この時期(春季)に開花
する植物である。(2)開花期間がマメコバチのメス成
虫の、有効営巣日数:25〜35日をカバーし、できれ
ば飛翔活動期間:40〜50日に匹敵するくらい開花期
の長い植物である。(3)マメコバチが好んで訪花し、
子孫を正常に生産できる植物である。(4)マメコバチ
の成虫の活動期間中、農薬の散布を中止できる、あるい
は農薬散布の必要のない植物である。
【0008】餌資源植物の栽培方法としては施設栽培も
考えられるが、これには集約的で効率がよい反面、生産
コストが高くなるという問題もある。また、規模が小さ
ければ飼養個体数も制限されるため、大量増殖には向い
ていない。このため、(5)既に野外において、何らか
の目的で大面積で栽培されているか、または生育してい
る植物、あるいは新たに栽培する場合、その栽培方法が
比較的容易な植物である、ということも必要となる。
【0009】以上のような条件をもつ植物が解明されれ
ば、マメコバチの大量増殖は可能となる。しかし、この
ようなマメコバチの大量増殖に関する研究報告は、これ
までに行われていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記のよう
なマメコバチの大量増殖源に関する課題を解決する手段
として、レンゲを利用する方法を見出した。即ち、本発
明は、レンゲ畑に巣箱を配置し、そこに適当な営巣材料
を設置してマメコバチの越冬成虫を放飼し、営巣活動完
了後に子孫を多量に得ることを特徴とするマメコバチの
増殖方法である。
【0011】レンゲは中国原産のマメ科2年生草本で、
水田の裏作に緑肥・飼料作物として栽培されてきた。ま
た、セイヨウミツバチの蜜源植物として栽培されること
もあり、最近では地力増進作物や景観形成植物としての
利用もみられる。現在の主産地は水稲の早期栽培の普及
率が低く、しかも春先のレンゲの生育が比較的早い、西
南暖地となっており(安江多輔著、「レンゲ全書−来歴
・性状・栽培・利用・文化−」、農山漁村文化協会発
行、35〜98頁(1993年))、今後、マメコバチ
の増殖資源植物として利用する場合も、これらの地域が
中心になると考えられる。
【0012】レンゲの開花期間は(島根県で)4月上旬
から5月中旬までのおよそ50日間で、マメコバチの成
虫の活動期を完全にカバーする。また、開花期間が長い
ため、たとえ天候不良の日が続いても、リンゴの場合ほ
どの影響は受けにくい。さらに、農薬散布されることも
ほとんどない。このようにレンゲは、餌資源植物として
好適である。
【0013】マメコバチがレンゲに対して高い選好性を
もつことは既に報告されている(S.Miyamoto; Science R
eports of Hyogo University of Agriculture, Series:
Agricultural Biology, 4(1), 35-40(1959))。しか
し、レンゲを餌資源とした場合の子孫のメス比率や、増
殖率に関してはこれまでに報告されていない。なお、レ
ンゲで訪花活動を行っていても、リンゴ、オウトウなど
のバラ科落葉果樹が開花すると、これらに訪花の対象を
切り換えることが報告されており(前田泰生・北村泰
三, Kontyu, 33(1), 17-34(1965)) 、レンゲ畑の周辺に
これらが存在しないことも条件となる。
【0014】本発明に用いる営巣材料としては、特に制
限はなく、例えばヨシ筒、竹筒、マメコバチ用に開発さ
れた人工巣などが挙げられる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるも
のではない。 (実施例1)1993年、鳥取県東伯郡大栄町由良でマメコ
バチの増殖試験を行った。調査地としたレンゲ畑は、こ
ぼれ種子から生育したレンゲが散在する休閑田で、播種
・管理された普通のレンゲ畑より生育密度、開花量とも
に劣っていた。ここに巣箱を2個配置し(巣箱A、Bと
する)、営巣材料となるヨシ筒を設置した。放飼成虫数
は、各巣箱でメス500 頭、オス1,000 頭とし、ヨシ筒は
放飼メス数の3倍数(各巣箱で1,500 本)とした。
【0016】試験結果を下記表1に示す。表1には、比
較のため1973〜1981年のうちの8年間に岩手県の(飼養
管理が十分に行われた)リンゴ園で調査した増殖状況
(前田泰生著、「シリーズ地球共生系4 花に引き寄せ
られる動物−花と送粉者の共進化」、平凡社発行、19
5〜232頁(1993年))も合わせて示した。
【0017】
【表1】 レンゲ畑とリンゴ園におけるマメコバチの増殖状況の比較 ──────────────────────────────── レンゲ畑(鳥取県、1993) リンゴ園 調査項目 ──────────── (岩手県、 巣箱A 巣箱B 1973-75,78-81 ) ──────────────────────────────── a 定着率(%) 44.4 38.6 41.9 b 平均産卵数(個) 20.1 20.2 10.6 c 平均産雌数(個) 8.4 8.5 4.9 d 平均営巣日数(日) 19.0 18.9 8.9 e 平均有効営巣日数(日) 14.8 14.4 7.0 f 雌比率 0.446 0.463 0.511 g 子孫の生存率(%) 93.7 91.3 90.6 h 増殖率 3.7 3.3 2.2 i 平均繭重(mg)メス 102.5 102.5 90.7 オス 65.8 65.8 52.3 ──────────────────────────────── 表1に示したように、レンゲでは開花期間が長いことも
あって、リンゴ園に比べて平均営巣日数が長くなった。
これを反映して平均産卵数と平均産雌数も高くなった。
また、増殖率も高くなり、リンゴに換わる増殖源植物と
してレンゲは有効だということが証明された。さらに生
産された繭の重量も重くなり、レンゲは餌資源植物とし
て質的にも良好であることが分かった。
【0018】増殖を決定するさまざまな要因のうち、定
着率と子孫の生存率は人為的に操作可能であり、これら
の要因を改善することと、レンゲの栽培管理をきちんと
行い開花量を増大させることによって、増殖率はさらに
増加させることができると考えられる。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、マメコバチの大量増殖
が可能となる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンゲ畑に巣箱を配置し、そこに適当な
    営巣材料を設置してマメコバチの越冬成虫を放飼し、営
    巣活動完了後に子孫を多量に得ることを特徴とするマメ
    コバチの増殖方法。
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