JP2703856B2 - 破裂可能な圧力逃し装置及び破裂可能なくぼみを形成する方法 - Google Patents

破裂可能な圧力逃し装置及び破裂可能なくぼみを形成する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、破裂可能な圧力逃し装
置及び破裂可能なくぼみを形成する方法に関する。
【0002】所定レベルの圧力が流体に作用するまで該
流体を圧力下で収容するためのさまざまな破裂可能な圧
力逃し装置がこれまでに開発され、使用されてきた。例
えば、バッテリケースやエアゾル缶はケースや缶の内部
から過剰な流体圧を逃す機能を果たす破裂可能な圧力逃
し部分又は通気孔を含んでいた。又、一般に圧縮流体を
収容するための破裂ディスク組立が、該組立に接続され
る容器やシステムを過圧状態から保護するために利用さ
れている。本明細書における「構造体」及び「容器」と
いう用語は、例えば、破裂ディスク、破裂ディスク組
立、圧縮流体を収容するためのエアゾル及び他の容器、
過熱によって圧力が発生する可能性のある材料を収容し
たバッテリケースのようなケース等の流体圧破裂可能部
又は部分を含む流体圧を収容するための装置、組立又は
装置器具のいずれをも広く意味するように使用される。
【0003】
【従来の技術】米国特許第4576303号に示されて
いる容器は、各々がその壁又は壁の他の一部に形成され
ているほぼ切頭体形状のくぼみと、該くぼみの一部分に
形成された少なくとも一つの刻み目とを含んでいる。所
定の流体圧が該くぼみに作用するとくぼみは反転し、刻
み目に沿って裂け、それによって壁部又はくぼみの一部
を収容している部分が開放され、そこを通って流体圧が
逃げる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような容器はかな
りの成功を納めたが、機能あるいは装着時に損傷を受け
るかあるいは一定期間にわたって圧力変化サイクルを受
けると、容器中の切頭体形状のくぼみが変形してしま
い、それによってくぼみが早期に反転破裂してしまった
り、反転はするが所定の破裂圧力よりも大きな圧力がく
ぼみに作用しないと破裂しないことがあった。
【0005】本発明の第1の目的は、確実で安定した反
転破裂動作を可能にすると共に、いろいろな破裂特性を
もつ圧力逃し装置を簡単かつ安価に製造し得る、破裂可
能な圧力逃し装置を提供することにある。
【0006】又、本発明の第2の目的は、確実で安定し
た反転破裂動作を可能にすると共に、いろいろな破裂特
性をもつ圧力逃し装置を簡単かつ安価に量産し得る、破
裂可能なくぼみを形成する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前述の
第1の目的は、一方の面に凹所を、他方の面に隆起部を
形成するほぼ円形のくぼみをもつディスクを備えた破裂
可能な圧力逃し装置であって、くぼみは、底周縁がディ
スクの環状フランジ部に接続されたオフセット切頭円錐
部と、外周縁が切頭円錐部の上周縁に接続されたドーム
形状部とを含んでおり、くぼみ及びオフセットは、所定
の流体圧がディスクにおける隆起部を有する側に作用し
たときにくぼみが反転かつ破裂して流体圧を逃がすよう
に寸法付けされていることを特徴とする破裂可能な圧力
逃し装置によって達成される。
【0008】本発明の破裂可能な圧力逃し装置によれ
ば、ディスクは、底周縁がディスクの環状フランジ部に
接続されたオフセット切頭円錐部と、外周縁が切頭円錐
部の上周縁に接続されたドーム形状部とを含むくぼみを
有しており、所定の流体圧がディスクにおけるくぼみの
隆起部側に作用したときにくぼみが反転かつ破裂して流
体圧を逃がすように形成されているが故に、ディスクの
隆起部側に作用する流体圧に対してほぼ一定の機械的強
度及び反転剛性を有するくぼみを実現することができ、
確実で安定した反転破裂動作を可能にする。加えて、切
頭円錐部のオフセットの大きさのみを適宜変更すること
によって、反転が起きる流体圧すなわち破裂圧力を変化
させることが可能になり、同種類及び同形状のブランク
材料からさまざまな破裂圧力を有するディスクを製作す
ることができるため、いろいろな破裂特性をもつ圧力逃
し装置を簡単かつ安価に製造し得る。しかも、切頭円錐
部がオフセットしているため、ディスクにおける破裂開
始箇所がほぼ特定されており、圧力逃し装置の制限され
た空間への設置を可能にすると共に、これが適用される
容器あるいはシステムの設計を容易にする。
【0009】本発明による圧力逃し装置の好ましい特徴
によれば、ディスクが、内部に隆起部をもった容器の一
体部分を形成しているのがよい。
【0010】本発明による圧力逃し装置の他の好ましい
特徴によれば、ディスクは、入口支持部材と出口支持部
材との間に取付け可能な独立部材であり、圧縮流体を収
容した容器あるいはシステムに密閉して結合されるよう
に構成されているのがよい。
【0011】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、くぼみが反転したときに破裂ディス
クを切断すべく破裂ディスクと環状の出口支持部材との
間に切刃手段が設けられているのがよい。
【0012】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、オフセット切頭円錐部における底面
の中心と切頭円錐部の仮想頂点とを通る直線が底面に対
してなす角度であるオフセット角(e)が、45゜から
90゜の範囲にあるのがよい。
【0013】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、くぼみは、表面に形成された少なく
とも一つの刻み目を含んでいるのがよい。
【0014】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、刻み目が弧状であり、刻み目のない
保持ヒンジ部分によって残りの壁部分に結合された円形
破裂分離吹き飛ばし領域を画定しているのがよい。
【0015】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、くぼみは、互いに交差すると共に、
刻み目のない保持ヒンジ部分によって残りの壁部分に結
合された少なくとも一つの扇形破裂分離吹き飛ばし領域
を画定している少なくとも二つの刻み目を含んでいるの
がよい。
【0016】本発明による圧力逃し装置の更に他の好ま
しい特徴によれば、くぼみが少なくとも一つの剛性付与
エンボスを含んでいるのがよい。
【0017】本発明によれば、前述の第2の目的は、選
択されたほぼ同一の破裂圧力で破裂するように一定の厚
さをもつ複数のディスクに破裂可能なくぼみを形成する
方法であって、(a)ドーム形状部に接続された切頭円
錐部を有するほぼ円形のくぼみをディスクの少なくとも
一つに形成する段階と、(b)くぼみを反転かつ破裂さ
せてディスクの破裂圧力が求まるまで、増大する流体圧
をディスクの隆起部側に加える段階と、(c)選択され
た破裂圧力が段階(b)で得られるまで、段階(a)に
従って形成されたくぼみの切頭円錐部のオフセット角を
変化させながら追加のディスクに対して段階(a)及び
(b)を繰り返す段階と、(d)前述の段階(c)にお
いて選択破裂圧力になったくぼみの切頭円錐部のオフセ
ット角を使って残りのディスクの夫々に対して段階
(a)を行う段階とを備えていることを特徴とする破裂
可能なくぼみを形成する方法によって達成される。
【0018】本発明の破裂可能なくぼみを形成する方法
によれば、一定の厚さをもつディスクに形成したくぼみ
における切頭円錐部のオフセット角を変化させることに
より、ディスクの破裂圧力を変化させることができるた
め、適宜選択されたほぼ同一の破裂圧力で破裂可能なく
ぼみを、一定の厚さをもつ複数のディスクに対して簡単
かつ高精度に形成することが可能になる。すなわち、さ
まざまな破裂圧力を有しており、しかも、確実で安定し
た反転破裂動作を可能にするくぼみをもったディスクを
同種類及び同形状のブランク材料から容易に製作するこ
とができるため、信頼性が高くいろいろな破裂特性をも
つ圧力逃し装置を安価に量産し得る。尚、この方法によ
って得られた圧力逃し装置は、本発明の圧力逃し装置に
関して述べた効果を有している。
【0019】本発明による方法の好ましい特徴によれ
ば、段階(a)がくぼみに少なくとも一つの剛性付与エ
ンボスを形成する段階を含んでいるのがよい。
【0020】本発明による方法の他の好ましい特徴によ
れば、段階(a)がくぼみの表面に少なくとも一つの刻
み目を形成する段階を含んでいるのがよい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の理解を助けるために図1から
図4を参照しながら破裂ディスク組立の概略構成を説明
する。
【0022】図1及び図2に示された破裂ディスク組立
10は、複数のスタッドボルト18及びナット20によ
って締め付けられた破裂ディスク16を有する入口支持
部材12と出口支持部材14とで構成されている。
【0023】破裂ディスク16は基本的に、ほぼ円形の
くぼみ24に接続された環状フランジ部22を含んでお
り、くぼみ24は破裂ディスク16の一方の面に凹所2
6を、他方の面に隆起部28を形成している。破裂ディ
スク16の隆起部28を有する方の面は入口支持部材1
2に面しており、それにより圧縮流体の圧力が部材12
に作用する。
【0024】くぼみ24はドーム形状部32に接続され
た切頭直円錐部30から構成されている。くぼみ24
は、破裂ディスク16部分の厚みに関して、所定の流体
圧がくぼみ24に及ぼされるとくぼみ24が反転かつ破
裂し(図2)、それによって圧縮流体がそこを通って逃
れるような寸法を有している。破裂ディスク16が反転
かつ破裂すると、破裂部34は図に示されているように
ディスク16の残りの部分にくっついたままになってい
るか、又は破裂部34は破裂ディスク16の残りの部分
から完全に分離しているか若しくはバラバラになり得、
それによって複数の分離したたるみ部片が形成される。
従って、破裂ディスク組立10はたるみ部片の形成が問
題にならないような適用においてのみ使用される。
【0025】図3及び図4は、破裂ディスクが反転かつ
破裂する際にたるみ部片又は断片が確実にできないよう
にするディスク組立40を示しており、組立40は、破
裂ディスク46と、複数のスタッドボルト50及びナッ
ト52で締め付けられている切刃部材48とを有する入
口支持部材42及び出口支持部材44から構成されてい
る。破裂ディスク46は、上記ディスク16と同じであ
り、更に環状フランジ部49とドーム形状部55とに接
続している切頭直円錐部53から構成されているくぼみ
47とを含んでいる。
【0026】切刃部材48は、破裂ディスク46の凹所
面側に置かれていると共に、内部で接続されている三つ
以上、通常四つのとがった切刃56を有する環状フラン
ジ部材54を含んでいる。切刃56はその内側端で互い
に接続されると共にその外側端で環状フランジ部材54
に接続されており、それによって鋭利な部分58は破裂
ディスク46に面している。
【0027】入口支持部材42内に収容されている圧縮
流体によって破裂ディスク46に及ぼされた圧力が所定
のレベルに達すると、くぼみ47は反転し、切刃56に
よって切り離されて破裂ディスク46の環状フランジ部
49にくっついたままの扇形の破裂部51となる。
【0028】破裂ディスクをその反転直後に切り離すた
めの切刃部材48の代わりに破裂ディスク46のくぼみ
47は、その表面に軟弱線を形成する刻み目を含み得
る。くぼみは、反転するや否やたるみ部片を形成するこ
となく軟弱線に沿って裂ける。
【0029】以下、本発明を図面に示す好ましい実施例
を用いて詳述する。
【0030】図5から図8を参照すると、破裂ディスク
60が切頭直円錐部の代わりにオフセット切頭円錐部を
有していること以外は破裂ディスク16、46と同じで
ある破裂ディスク60が示されている。環状フランジ部
62に囲まれているのは、ドーム形状部64に接続され
ているオフセット切頭円錐部63を有するほぼ円形のく
ぼみ61である。流体圧は、破裂ディスク60の隆起部
側で矢印の方向65に及ぼされる。
【0031】破裂ディスク16、46のドーム形状部3
2、55と同様なくぼみ61のドーム形状部64は夫々
切頭円錐部63に剛性を与え、それによりくぼみ61は
損傷や及ぼされる圧縮流体の圧力及び/又は圧力変化の
サイクルによる変形に耐える。ドーム形状部64、3
2、55が平ら又はほぼ平らである場合、特に流体圧が
高低のレベル間で変化する場合には、ドーム形状部6
4、32、55に及ぼされる流体圧は切頭円錐部を変形
させて早期に反転させることが分かった。くぼみの頭頂
部をドーム形に成形することにより、切頭円錐部は早期
変形に対してずっと高い耐性を有する。内部に一つ以上
の剛性付与エンボスを形成することによりドーム形状部
を更に強化することができる。
【0032】機能時に、破裂ディスク60の隆起部側に
及ぼされた圧力がディスクを破裂させる設計圧力に達す
ると、くぼみ61のドーム形状部64及び切頭円錐部6
3は図7に示されているように反転する。反転したドー
ム形状部64を形成している材料は、反転した切頭円錐
部63から切り裂かれ、それによって破裂領域66が分
離する。反転及び初期破裂の後で、破裂部を通って流れ
る圧縮流体が認められる場合には、破裂部66は図8に
示されているように、完全に開いた位置まで移動する。
しかし、上述したように、破裂部34は、ナイフ刃又は
刻み目の助けがなければ完全に分離するか、又はバラバ
ラになって複数のたるみ部片になる可能性がある。
【0033】図5を参照すると、破裂ディスク60の破
裂圧力を決定する変数は、ディスクの厚さ「a」と、ほ
ぼ円形のくぼみ61の環状平面フランジ部62との接続
部での直径「b」と、ほぼ円形のドーム形状部64の切
頭円錐部63との接続部での直径「c」と、切頭円錐部
63の高さ「d」と、切頭円錐部63のオフセット角
「e」とである。これらの変数は本発明の破裂ディスク
群又は他の破裂可能な容器の製造に先だった試行錯誤に
よって決定される。
【0034】切頭円錐部63のオフセット角「e」は、
ディスク60の周囲平坦部の平面内に横たわる線と、切
頭円錐部におけるほぼ円形底部の中心と切頭円錐部63
がその側面の一部をなす円錐体の頂点とを通る線との間
に形成される最小角である。切頭円錐部63がほぼ円形
の直円錐の一部である場合には、オフセット角「e」は
約90度であり、くぼみは比較的高い破裂圧力で反転か
つ破裂する。オフセット角「e」が90度より小さい場
合には破裂圧力も低くなり、オフセット角「e」が小さ
くなるほど破裂圧力も低くなる。約45度より低いオフ
セット角を有する本発明の破裂可能なくぼみは、概して
実際的ではない。従って、「オフセット切頭円錐部」と
いう用語は、本明細書においては約45度から約90度
までの範囲内のオフセット角を有する切頭円錐部を意味
するように使用されている。
【0035】図9から図11はエアゾル缶の形態で示さ
れている破裂可能な圧力逃し装置70の代替え形態を示
しているが、下記の記載はバッテリケースなどのような
圧縮流体を収容し得る他の容器にも同様に適用可能であ
ることが理解されるべきである。
【0036】容器70は、ほぼ円形であると共に容器7
0の外側に凹所を、容器70の内側にその対応隆起部を
形成する破裂可能なくぼみ74を有するほぼ均一な厚さ
の側壁72を含んでいる。くぼみ74は、直円錐又は図
示されているようなオフセットであり得る切頭円錐部7
6と、ドーム形状部78とから構成されている。
【0037】図10で最も良くわかるように、くぼみ7
4のドーム形状部78の表面に弧状刻み目80が形成さ
れている。ここで使用する「刻み目」という用語は、軟
弱線が作り出されるように壁部又はディスクにおいて破
裂部分の表面に形成された細長く狭い溝を意味してい
る。一つ以上の刻み目が、円形、円形弧又は十字のよう
なさまざまなパターンを形成するのに利用され得る。弧
状刻み目80は、ドーム形状部78内に設置されている
と共に、刻み目の付いていないヒンジ領域84によって
壁72の残りの部分に接続されている円形破裂領域82
を画定している。
【0038】容器70内に過圧状態が存在する場合に
は、壁72の内部隆起部側に及ぼされた圧力は、くぼみ
74を図5に示されているように反転かつ破裂させ、く
ぼみは刻み目80により作られた軟弱線に沿って割れ又
は裂け、それにより破裂領域82に対応するくぼみの一
部は、分離して外方向に曲げられ、刻み目の付いていな
いヒンジ領域84によって保持されている。
【0039】図12から図15に示されている破裂ディ
スク又は他の構造体壁90は、くぼみ90が剛性付与エ
ンボス及び弧状刻み目を内部に含むということ以外は上
記に記載の破裂ディスク60のくぼみ61と同一であ
る。すなわち、くぼみ90はオフセット切頭円錐部92
とドーム形状部94とを含んでおり、該くぼみ90内に
は刻み目の付いていないヒンジ領域100によって切頭
円錐部92に接続されている分離可能な円形破裂ディス
ク破裂領域98(図13)を画定する弧状刻み目96が
配置されている。刻み目96はドーム形状部94の凸面
側又は凹面側のどちらにも形成可能であるが、凸面側
(くぼみ90の隆起部側)に形成されるのが好ましい。
更に、刻み目96はドーム形状部94のオフセット切頭
円錐部92との接続部とほぼ一致して設置されるのが好
ましい。
【0040】ドーム形状部94は更に、くぼみ90に剛
性を付与して損傷及び/又は圧力変化サイクルに起因し
た早期故障に対する耐性を増大させる複数のエンボス1
02を含んでいる。ここで使用する「エンボス」という
用語は、破裂可能なくぼみに形成された一つ以上の小さ
な線状くぼみ又は角度曲げを意味している。エンボスは
切頭円錐部92及び/又はドーム形状部94に設置可能
であると共に、図13に示されている六角形のパターン
のようなさまざまなパターンを画定し得、エンボス10
2はドーム形状部92に配置されており、それによって
エンボスは中心に置かれた六角形を形成し、その角部は
半径方向に伸長する付加エンボス102と交わってい
る。
【0041】機能時、くぼみ90は破裂圧力に達すると
すぐ図14に示されているように反転し、ドーム形状部
94の破裂領域98がその刻み目で割れて切頭部92か
ら切り離され、破裂部98は分離する。反転かつ破裂し
たくぼみを通って流れる圧縮流体は、初期の反転及び破
裂の後、破裂部98を完全開放位置に移動させるが、破
裂部98は図15に示されているように刻み目の付いて
いないヒンジ領域100によって保持されている。
【0042】図16から図19のくぼみ110は、その
ドーム形状部114内に中心で交差する刻み目116を
含むこと以外は上記に記載のくぼみ61と同一である。
すなわち、くぼみ110は、ドーム形状部114の中心
で交差しかつその周縁付近まで径方向に伸長する四つの
刻み目116を有するドーム形状部114に接続された
オフセット切頭円錐部112を含んでいる。刻み目11
6は、刻み目116の外側端部間の刻み目の付いていな
い領域によってくぼみ110の残りの部分に夫々接続さ
れている扇形破裂部分118を画定している。くぼみ1
10の隆起部側に及ぼされた流体圧がその所定の破裂圧
力に達すると、図18に示されているようにくぼみは反
転し、刻み目116に沿って裂ける。破裂部118は完
全に開放されると完全に分離して外方に移動するが、く
ぼみ110の残りの部分で接続されている。
【0043】本発明による破裂可能な改良型圧力逃し装
置は、図20及び図21に示されているような単一の鋳
造打型機120を使用して製造可能であり、該鋳造打型
機120は、固定環状ベース122と、環状締付け部材
124が結合された鉛直方向に移動可能な打出しプレー
ト123とから構成されている。環状ベース122の内
部に置かれているのがドーム形状の頭部127を有する
円筒形の成形型126である。成形型126は鉛直かつ
水平方向に移動可能である。装置120は、各破裂くぼ
みがほぼ同一の破裂圧力を有するように均一の厚さをも
つ構造体の群において破裂可能なくぼみを製造するため
に利用される。
【0044】本発明の方法に従って、かつ図20及び図
21を参照すると、ドーム形状部に接続された切頭円錐
部を有するほぼ円形のくぼみが構造体128の均一な厚
み部分に形成されている。これは、ベース122と締付
け部材124との間に構造体128の均一な厚み部分を
設置することにより達成される。打出しプレート123
を降下させ、構造体128をベース122と締付け部材
124との間で締め付ける。成形型126を図20に示
されているように上方に移動させることによって構造体
128内にくぼみ125を形成する。出来上がったくぼ
み125は、切頭円錐形状部130とドーム形状部13
2とから構成されている。次いで、形成構造体128を
試験装置(図示せず)内に置くと、空気圧のような増大
流体圧が、形成構造体128の隆起部側に、内部のくぼ
み125が反転かつ破裂するまで加えられ、これにより
くぼみの破裂圧力が決定される。くぼみ125の破裂圧
力が所望の破裂圧力よりも低いか又は極端に異なる場合
には、所望の破裂圧力よりも高い破裂圧力を有するくぼ
み125を含んだ構造体128が得られるまで、構造体
128を形成する材料の厚み及び/又はくぼみ125の
他の設計値が変更されたり、追加のくぼみが形成されて
テストされる。
【0045】所望の破裂圧力よりも高い破裂圧力を有す
る構造体128内にくぼみ125が製作されると、成形
型126が図21に示されているように水平方向に移動
され、今度形成される構造体136内のくぼみ134の
オフセット角「e」は小さくなり、その破裂圧力は低下
する。次いで、くぼみ136をテストして破裂圧力を求
め、くぼみ136の切頭円錐部138のオフセット角
「e」を変化させながら、形成及びテスト段階を所望の
破裂圧力が得られるまで必要に応じて繰り返される。ひ
とたび所望の破裂圧力が得られたら、装置120を使用
して複数の構造体を形成し、これにより製作された各構
造体は、所望の破裂圧力となったものと同じ切頭円錐
部、同じドーム形状部及び同じオフセット角「e」から
なるくぼみを有することができる。従って本発明の方法
によれば、くぼみの基本的な形状及び厚みがひとたび決
まると、単に切頭円錐部のオフセット角を変えるだけで
所望の破裂圧力を実現することができる。一つ以上の刻
み目及び/又はエンボスがくぼみに含まれる場合には、
それらをくぼみ形成作業と同時か、該作業の直後でテス
トの前に形成するということが理解されよう。
【0046】このように、選択されたほぼ同一の破裂圧
力で破裂するように一定の厚さをもつ複数のディスクに
破裂可能なくぼみを形成する方法は、 (a)ドーム形状部に接続された切頭円錐部を有するほ
ぼ円形のくぼみを前記ディスクの少なくとも一つに形成
する段階と、 (b)前記くぼみを反転かつ破裂させて前記ディスクの
破裂圧力が求まるまで、増大する流体圧を該ディスクの
隆起部側に加える段階と、 (c)選択された破裂圧力が前記段階(b)で得られる
まで、前記段階(a)に従って形成された前記くぼみの
切頭円錐部のオフセット角を変化させながら追加のディ
スクに対して前記段階(a)及び(b)を繰り返す段階
と、 (d)前記段階(c)において選択破裂圧力になった前
記くぼみの切頭円錐部のオフセット角を使って残りのデ
ィスクの夫々に対して前記段階(a)を行う段階とから
構成される。
【0047】剛性付与エンボスは、成形型126のドー
ム形状頭部に相補成形エンボスを含めることにより、く
ぼみ形成工程の一部として又は該工程と同期させてくぼ
みのドーム形状部に形成可能である。更に、装置120
の打出しプレート124に取り付けられた刻み目型を含
ませることにより、くぼみのドーム形状部に一つ以上の
刻み目を同時形成することも可能である。
【0048】
【発明の効果】上述したように本発明の破裂可能な圧力
逃し装置によれば、ディスクの隆起部側に作用する流体
圧に対してほぼ一定の機械的強度及び反転剛性を有する
くぼみを実現することができ、確実で安定した反転破裂
動作を可能にすると共に、切頭円錐部のオフセットの大
きさのみを適宜変更することによって、反転が起きる流
体圧すなわち破裂圧力を変化させることが可能になり、
同種類及び同形状のブランク材料からさまざまな破裂圧
力を有するディスクを製作することができ、いろいろな
破裂特性をもつ圧力逃し装置を簡単かつ安価に製造し得
る。
【0049】又、本発明の破裂可能なくぼみを形成する
方法によれば、さまざまな破裂圧力を有しており、しか
も、確実で安定した反転破裂動作を可能にするくぼみを
もったディスクを同種類及び同形状のブランク材料から
容易に製作することができ、信頼性が高くいろいろな破
裂特性をもつ圧力逃し装置を安価に量産し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】破裂ディスク組立の参考例を示す横断面図であ
る。
【図2】反転及び破裂が起きた後の破裂ディスク組立を
示す図1に類似の図である。
【図3】反転後すぐに破裂ディスクを切り離すための切
刃を含む他の参考例を示す断面図である。
【図4】反転及び破裂が起きた後の破裂ディスク組立を
示す図3に類似の図である。
【図5】本発明による破裂ディスクの一実施例の拡大断
面図である。
【図6】図5の破裂ディスクの平面図である。
【図7】反転及び部分破裂後の破裂ディスクを示す図5
に類似の図である。
【図8】完全な破裂が起きた後の破裂ディスクを示す図
7に類似の図である。
【図9】本発明の破裂可能なくぼみを含むエアゾル缶の
部分横断面図である。
【図10】図9の10−10断面図である。
【図11】反転及び破裂が起きた後の容器及びくぼみを
示す図9に類似の図である。
【図12】本発明による破裂可能なくぼみの代替形態を
示す横断面図である。
【図13】図12に示した装置の平面図である。
【図14】反転及び部分破裂後のくぼみを示す図12に
類似の図である。
【図15】完全破裂後のくぼみを示す図14に類似の図
である。
【図16】本発明の破裂可能なくぼみの他の形態を示す
横断面図である。
【図17】図16のくぼみの平面図である。
【図18】反転及び部分破裂後のくぼみを示す図16に
類似の図である。
【図19】反転及び完全破裂が起きた後のくぼみを示す
図18に類似の図である。
【図20】本発明による破裂可能なくぼみ形成装置及び
それによって形成される比較的高圧で破裂可能な構造体
の横断面図である。
【図21】図20の破裂可能なくぼみ形成装置及びそれ
によって形成される比較的低圧で破裂可能な構造体の図
である。
【符号の説明】
10 破裂ディスク組立 12、42 入口支持部材 16、45、60、72 破裂ディスク 22、49、62 環状フランジ部 24、47、61、74、90、110 くぼみ 26 凹所 28 隆起部 30、53 切頭直円錐部 32、55、64、78、94、114 ドーム形状部 56、58 切刃 63、76、92、112 オフセット切頭直円錐部 70 容器 80、96、116 刻み目 82、98 破裂部分 84、100 ヒンジ部分 102 エンボス e オフセット角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−308280(JP,A) 特開 平3−209079(JP,A) 特開 昭61−203348(JP,A) 特開 昭48−35413(JP,A) 米国特許4576303(US,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面に凹所(26)を、他方の面に隆
    起部(28)を形成するほぼ円形のくぼみ(61、7
    4、90、110)をもつディスク(60、72)を備
    えた破裂可能な圧力逃し装置であって、 前記くぼみは、底周縁が前記ディスクの環状フランジ部
    (62)に接続されたオフセット切頭円錐部(63、7
    6、92、112)と、外周縁が該切頭円錐部の上周縁
    に接続されたドーム形状部(64、78、94、11
    4)とを含んでおり、前記くぼみ及びオフセットは、所
    定の流体圧が前記ディスクにおける隆起部を有する側に
    作用したときに該くぼみが反転かつ破裂して流体圧を逃
    がすように寸法付けされていることを特徴とする破裂可
    能な圧力逃し装置。
  2. 【請求項2】前記ディスクが、内部に前記隆起部(2
    8)をもった容器(70)の一体部分を形成しているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】前記ディスクは、入口支持部材(12、4
    2)と出口支持部材(14、44)との間に取付け可能
    な独立部材であり、圧縮流体を収容した容器あるいはシ
    ステムに密閉して結合されるように構成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 【請求項4】前記くぼみが反転したときに前記破裂ディ
    スクを切断すべく該破裂ディスクと環状の前記出口支持
    部材との間に切刃手段(56、58)が設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
  5. 【請求項5】前記オフセット切頭円錐部における底面の
    中心と該切頭円錐部の仮想頂点とを通る直線が前記底面
    に対してなす角度であるオフセット角(e)が、45゜
    から90゜の範囲にあることを特徴とする請求項1から
    4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 【請求項6】前記くぼみは、表面に形成された少なくと
    も一つの刻み目(80、96、116)を含んでいるこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の
    装置。
  7. 【請求項7】前記刻み目が弧状であり、刻み目のない保
    持ヒンジ部分(84、100)によって残りの壁部分に
    結合された円形破裂分離吹き飛ばし領域(82、98)
    を画定していることを特徴とする請求項6に記載の装
    置。
  8. 【請求項8】前記くぼみは、互いに交差すると共に、刻
    み目のない保持ヒンジ部分によって残りの壁部分に結合
    された少なくとも一つの扇形破裂分離吹き飛ばし領域を
    画定している少なくとも二つの刻み目(116)を含ん
    でいることを特徴とする請求項6に記載の装置。
  9. 【請求項9】前記くぼみが少なくとも一つの剛性付与エ
    ンボス(102)を含んでいることを特徴とする請求項
    1から8のいずれか一項に記載の装置。
  10. 【請求項10】選択されたほぼ同一の破裂圧力で破裂す
    るように一定の厚さをもつ複数のディスクに破裂可能な
    くぼみを形成する方法であって、 (a)ドーム形状部に接続された切頭円錐部を有するほ
    ぼ円形のくぼみを前記ディスクの少なくとも一つに形成
    する段階と、 (b)前記くぼみを反転かつ破裂させて前記ディスクの
    破裂圧力が求まるまで、増大する流体圧を該ディスクの
    隆起部側に加える段階と、 (c)選択された破裂圧力が前記段階(b)で得られる
    まで、前記段階(a)に従って形成された前記くぼみの
    切頭円錐部のオフセット角を変化させながら追加のディ
    スクに対して前記段階(a)及び(b)を繰り返す段階
    と、 (d)前記段階(c)において選択破裂圧力になった前
    記くぼみの切頭円錐部のオフセット角を使って残りのデ
    ィスクの夫々に対して前記段階(a)を行う段階とを備
    えていることを特徴とする破裂可能なくぼみを形成する
    方法。
  11. 【請求項11】前記段階(a)が前記くぼみに少なくと
    も一つの剛性付与エンボスを形成する段階を含んでいる
    ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】前記段階(a)が前記くぼみの表面に少
    なくとも一つの刻み目を形成する段階を含んでいること
    を特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
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