JP2703685B2 - 蓄電形温度差電池 - Google Patents

蓄電形温度差電池

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JP2703685B2 JP3330754A JP33075491A JP2703685B2 JP 2703685 B2 JP2703685 B2 JP 2703685B2 JP 3330754 A JP3330754 A JP 3330754A JP 33075491 A JP33075491 A JP 33075491A JP 2703685 B2 JP2703685 B2 JP 2703685B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蓄電機能を有する新規
のレドックス温度差電池に関するものである。特に、排
熱利用用途、コジェネレーション用途のバックアップ電
源として有効な温度差電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱エネルギーを電気エネルギーに
換える熱電変換器としては、電気化学的温度差電池が周
知されているところであるが、この従来形の温度差電池
の構成が図2に示される。すなわち従来形の電気化学的
温度差電池は電極に対して可逆的電荷移動反応をするレ
ドックス対イオンを含有する電解質溶液からなるレドッ
クス反応系2中に同一材料の電極が、例えば、白金の電
極1及び3として設備され、両極間に低温媒体5と高温
媒体6により温度差が与えられて、両極の間に電位差、
すなわち熱起電力が発生されるものである。例えばフェ
ロシアンイオンとフェリシアンイオンがレドックス対と
して使用される場合は、負の熱起電力が発生して、高温
側と低温側において以下に示される反応が生起するた
め、高温側が負極となり低温側が正極となる。
【0003】 Fe(CN)6 3- +e- →Fe(CN)6 4- (低温側、正極) Fe(CN)6 4- →Fe(CN)6 3- +e- (高温側、負極) ここで、低温の正極ではFe(CN)6 4- が、また高温
の負極ではFe(CN)6 3- が生成し、各々の生成物が
拡散・対流等により内部循環し、対極へ移動することに
より定常的に反応が行われ電流が流れている。このよう
な構成の温度差電池系においては運転を停止させ正負極
の温度差が消失すると熱起電力も消失し、電力を取り出
すことは不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のレド
ックス温度差電池の蓄電機能を装備していないという問
題点を解決するため、高温側電極及び低温側電極で生成
するそれぞれのレドックス対を蓄積させ、その濃度差を
保持し濃度差電池を形成させておくことにより蓄電機能
を付与した蓄電形温度差電池を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、異なる温度の域中にそれぞれ配置された高
温側電極および低温側電極を有し、該両電極の間に、酸
化還元電位が温度によって変化する少なくとも1種の
ドックス対を含む電解質溶液がある温度差電池におい
て、前記両電極が不活性電極であり、高温側電極および
低温側電極で生成するそれぞれのレドックス対イオン
、電極間にレドックス対イオンを通さない隔膜を設け
蓄積させることによりその濃度差を生じさせ、濃度差
電池を形成させることにより蓄電機能を有し、温度差が
消失した後に濃度差電池として機能することを特徴とす
蓄電形温度差電池である。
【0006】さらに詳細に言えば、本発明の蓄電形温度
差電池、酸化還元電位が温度によって変化するレドッ
クス対を含む電解質溶液を高温側電極と低温側電極との
間に配置すると熱起電力を生じることを利用し、この高
温側電極および低温側電極で生成するそれぞれのレドッ
クス対イオン、電極間にレドックス対イオンを通さな
い隔膜を設けて蓄積させ、その濃度差を拡大させて濃度
差電池を形成させておくことにより蓄電機能を発現さ
、温度差が消失した後は濃度差電池として機能する
とを特徴とする。さらにレドックス対イオンを蓄積させ
ると同時にイオン導電性を有する隔膜として、イオン交
換膜を用いることを特徴とする。
【0007】本発明の蓄電形温度差電池を以下詳細に説
明する。
【0008】本発明の電池に使用するレドックス対は従
来のレドックス温度差電池に慣用の正又は負の熱起電力
を発生するものの利用が可能であるが得られる熱起電
力の絶対値が大きいものが好ましい。例えば、Fe2+
Fe3+,Cu+/Cu2+,Te2+/Te4+,Hg+/Hg
2+,Sn2+/Sn4+,Fe(CN)6 3-/Fe(CN)6
4-等のレドックス対が好適に使用されるが、本発明の電
池系はこれらのみ限定されるものではなく、熱起電力を
発生し得るレドックス対であれば、いかなるものであっ
てもよい。またこの発明の、レドックス対を蓄積させる
ための隔膜として用いるガラスフィルター、及びイオン
交換膜は、レドックス対イオンがその隔膜を通過しない
ものであれば、利用可能であるが、その電気抵抗が小さ
いものが好ましい。またイオン交換膜を用いる場合、正
のレドックス対イオンを使用する場合は、陰イオン選択
透過性のある陰イオン交換膜を、負のレドックス対イオ
ンを使用する場合は陽イオン選択透過性のある陽イオン
交換膜を用いればよい。上記のレドックス対及び隔膜を
用いた本発明の温度差電池は、レドックス対を一般式M
z+,M(z+n)+で表すと、 不活性電極 │Mz+,M(z+n)+│隔膜│Mz+,M(z+n)+│不活性電極 (温度T1)│ 電解質溶液 │ │ 電解質溶液 │(温度T2) というセル構造をしており、T1<T2のときその電極
間に温度差に比例する電位差が生起される。この二つの
電極を接続すると、熱起電力が正なら、それぞれの電極
上で Mz+ → M(z+n)++ne- 低温(T1)側電極 M(z+n)++ne- → Mz+ 高温(T2)側電極 という反応が進み電流が流れる。ここで本発明の蓄電形
温度差電池系では、レドックス対を通さないガラスフィ
ルター又はイオン交換膜を設けているため、低温側の電
極上ではMz+の消費とともにM(z+n)+が蓄積され、高温
側の電極上ではM(z+n)+の消費とともにMz+が蓄積さ
れ、両電極上におけるMz+,M(z+n)+の濃度差は拡大す
る。このように隔膜を設けることにより、低温側電極で
(z+n)+、高温側電極でMz+の濃度が増大し、この濃度
差を保持させておくことにより蓄電機能を発現させる。
この濃度差を保持した蓄電形温度差電池は、高温側温度
を維持するための熱の供給を停止させ、二つの電極の温
度差が消失しT1=T2となると、濃度差電池として作
用する。すなわち、今度は逆にT1側電極ではMz+が増
加する方向に、T2側電極ではM(z+n)+が増加する方向
に起電力を生じ、二つの電極間の濃度差がなくなるまで
電流が流れる。ここで、この温度差電池の負荷が抵抗の
場合は、両極間にそのまま接続しておけばよく、電子機
器類の場合は整流器を介して接続すればよい。このよう
に高温側電極及び低温側電極で生成するそれぞれのレド
ックス対を蓄積させ、その濃度差を保持し濃度差電池を
形成させることにより蓄電機能を発現させている。
【0009】この発明の蓄電形温度差電池を動作させレ
ドックス対の濃度差が大きくなるにしたがい、次第に内
部抵抗が増加し電流値が低下するが、濃度差を急速に付
与したい場合、すなわち、急速充電したい場合は外部よ
り電圧を印加することが可能である。また、急速充電を
要しない場合は、通常の温度差電池として負荷を接続し
ておいても差し支えない。
【0010】次に本発明を実施例により、さらに具体的
に説明する。
【0011】
【実施例】図1に示されるように中央部にガラスフィル
ター又はイオン交換樹脂の隔膜を有するガラス管中に1
及び3の2枚の白金電極板を設置し、レドックス反応系
2としてフェロシアン化カリウム及びフェリシアン化カ
リウムの0.4M/lの水溶液を満たした。1及び3の
白金電極の温度が10℃及び70℃となるように、低温
媒体5、及び高温媒体6で温度制御した。このときフェ
ロシアン、フェリシアンレドックス対は負の熱起電力を
示し、低温側の白金電極1側が正極、高温側の白金電極
3側が負極となり、84mVの起電力を生じた。この正
極と負極を短絡させたときの、初期電流値は、110m
A得られ、低温側の白金電極1側ではフェロシアンイオ
ン(Fe(CN)6 4-)が蓄積され、高温側の白金電極
3側ではフェリシアンイオン(Fe(CN)6 3-)が蓄
積された。その後20時間通電させた後短絡状態から開
放状態とし、2枚の白金電極1及び3を24℃の一定温
度にして再び開放電力を測定したところ、白金電極3が
正極、白金電極1が負極となり、80mVの値を得た。
また、そのとき短絡電流は約13mAであり、蓄電機能
を有する温度差電池であることがわかった。
【0012】比較例 また、比較のため図2において隔膜4のない温度差電池
で、同様の測定を行ったところ高温側電極3が温度70
℃、低温側電極1が温度10℃の状態では、開放起電力
84mV、短絡電流150mAを示したが、その後、1
及び3の2つの電極温度を24℃の一定として温度差の
ない状態では開放起電力0mV、短絡電流0mVであ
り、蓄電機能は有していないことがわかった。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、レドックス対を含む電
解質溶液を用いた温度差電池において、電極間にレドッ
クス対イオンを通さない隔膜を設けることにより、レド
ックス対イオンが蓄積され蓄電機能が発現し、温度差が
消失した後は濃度差電池として機能させることが可能と
なる。そのため、排熱利用用途、コジェネレーション用
途のバックアップ電源として極めて有効な蓄電形温度差
電池が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蓄電形温度差電池の一構成例を示
す概念図である。
【図2】従来の温度差電池の一構成例を示す概念図であ
る。
【符号の説明】
1 低温側白金電極 2 レドックス反応系 3 高温側白金電極 4 隔膜 5 低温媒体 6 高温媒体

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる温度の域中にそれぞれ配置された
    高温側電極および低温側電極を有し、該両電極の間に、
    酸化還元電位が温度によって変化する少なくとも1種の
    レドックス対を含む電解質溶液がある温度差電池におい
    て、前記両電極が不活性電極であり、高温側電極および
    低温側電極で生成するそれぞれのレドックス対イオン
    、電極間にレドックス対イオンを通さない隔膜を設け
    蓄積させることによりその濃度差を生じさせ、濃度差
    電池を形成させることにより蓄電機能を有し、温度差が
    消失した後に濃度差電池として機能することを特徴とす
    る蓄電形温度差電池。
  2. 【請求項2】 前記隔膜として、イオン交換膜を用いた
    請求項1記載の蓄電形温度差電池。
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KR101034794B1 (ko) * 2008-12-03 2011-05-17 주식회사 퀀텀에너지연구소 상전이조성물, 이의 제조방법 및 상전이조성물을 이용한 모듈의 제조방법
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0494067A (ja) * 1990-08-10 1992-03-26 Agency Of Ind Science & Technol 温度差電池

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