JP2702740B2 - 歯質保護組成物 - Google Patents

歯質保護組成物

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英一 増原
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、歯質(エナメル質、象牙質及び白亜質)の
表面を保護する組成物に係わる。本発明は、特に、歯質
表面に塗布することにより該表面に被膜を形成し、外来
刺激又はう蝕及び酸蝕症等に起因する疼痛ないし知覚過
敏を沈静させ、かつ生活歯髄を外来刺激から保護するこ
とを目的とする組成物に係わるものである。
[従来の技術] 外傷、う蝕症、窩洞形成等の理由で、エナメル質が欠
損したり亀裂が生じている場合には、外来刺激が象牙質
を通じて生活歯髄に到来し、歯髄炎や知覚過敏を引き起
すことが多い。また最近は、鋳造冠などの生活歯に装着
する目的で支台歯形成を行なうため、エナメル質の削除
量が増すと共に象牙質の露出する割合が増え、その結
果、歯髄が知覚過敏になったり急性歯髄炎を起こしたり
する場合が多い。このような外的刺激及び細菌感染から
歯髄を保護するためには、歯髄刺激性のない安全な物質
で歯質表面を被覆することが必要である。
[発明が解決しようとする課題] 従来、このような場合には酸化亜鉛ユージノール(eu
genol)セメントが歯質表面を被覆するために主に用い
られていた。しかしながら、これに含まれるユージノー
ルは、象牙質に浸透するため沈静効果を有する一方で、
この象牙質に残留したユージノールが修復用コンポジッ
トレジン等の重合反応を妨げる為に歯質と該レジンとの
密着性を損ねるという重大な欠点を有していた。また、
生活歯の深い窩洞では、メタクリル基のような不飽和基
を有するモノマー類が歯髄に直接触れると、急性歯髄炎
を起こすおそれがある為、その保護目的で予めセメント
裏装する必要があった。
そこで、修復用コンポジットレジン等の重合反応を妨
げることなく、歯質と該レジンとの密着性を高めること
ができるような歯質保護物質が求められていた。
[課題を解決するための手段] 従って、本発明の目的は、アルキルシリケートオリゴ
マー及び1分子中に一以上のカルボキシル基及び/又は
一以上のフェノール性水酸基を有する有機カルボン酸
(以下、単に「有機カルボン酸」という)から成る歯質
保護組成物を提供することである。
本発明で用いるアルキルシリケートオリゴマーとして
は、平均分子量約500〜2,000のものが好ましく、特に溶
媒への溶解性及び重合性等を考慮すると、エチルシリケ
ートオリゴマー(平均分子量約600〜1,000)が好適であ
る。
有機カルボン酸はアルキルシリケートオリゴマーの重
合反応触媒として作用すると考えられ、その後、ポリア
ルキルシリケート被膜層内に保持され、歯髄に直接触れ
ることなく、それに対する鎮静効果を発揮する。有機カ
ルボン酸の好適例としてサリチル酸又はその誘導体を挙
げることができる。更に、N−メタクリロイルアミノサ
リチル酸のような不飽和基を有する化合物は、コンポジ
ットレジンの不飽和基と結合して歯質と該レジンとの密
着を高める機能を有するためにより好適なものである。
また、有機カルボン酸としてタンニン酸も適してい
る。タンニン酸はそのカルボキシル基及びフェノール性
水酸基によってポリアルキルシリケート被膜の歯質への
接着性を高める効果を有する。
また、ポリアルキルシリケート被膜の形成を早める為
に、硫酸、塩酸及び硝酸等の無機強酸類を数〜数十ppm
の範囲で本発明の歯質保護組成物に含有させることがで
きる。
本発明の歯質保護組成物を歯質表面に適用すると、溶
媒が蒸発した後にポリアルキルシリケートの保護被膜が
形成される。被膜は歯質面への接着性に富み、象牙質表
面の歯細管口から内部へ侵入して歯細管を封鎖すること
ができる。この結果、象牙質及び歯髄が外来刺激から遮
断され、寒冷痛覚や知覚過敏を直ちに沈静することがで
きる。更に、外部からの細菌感染や異物の侵入を阻止す
ることもできる。
こうして得られたポリアルキリシリケート被膜は硬質
ではないが耐水性であるために、口腔内で唾液に接触し
ても容易に溶解・剥離せず、生活歯髄を暫時的に無痛状
態に保護することができる。
更に、本発明組成物は、メタクリロキシアルキルトリ
アルコキシシランおよび/又はハイドロキシエチルメタ
クリレート(HEMA)を含有することができる。これらの
化合物はポリアルキルシリケート被膜と修復用コンポジ
ットレジン、グラスアイオノマーセメント又はカルボキ
シレートセメント等従来用いられている他の修復材料と
の接着性を高めるべく機能する。HEMAの場合はそのOH基
の作用によって象牙質を水素結合し、一方その不飽和基
が前記レジン等の有する不飽和基と共有結合することに
よって両者の接着をより強固なものにする。メタクリロ
キシアルキルトリアルコキシシランはシランカップリン
グ剤として酸触媒の存在下でポリアルキルシリケートと
カップリングし、一方でそのメタクリル基が前記レジン
等の不飽和基と共有結合することによってポリアルキル
シリケート被膜と該レジン等を結合させることができ
る。HEMA及びメタクリロキシアルキルトリアルコキシシ
ランの両者を併用すると相乗効果が望める。
メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランとして
はγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好
適である。
本発明組成物の各成分はいずれも生活歯髄や他の生態
組織に対する毒性はなく安全性の点からも好ましいもの
である。臨床試験によっても何らの異常も認められなか
った。
本発明組成物は適当な溶媒に溶解ないし懸濁された形
態を有し、歯質表面に小筆またはスポンジ片等を用いて
塗布することができる。
適当な溶媒としては、アセトン、エチルアルコール、
酢酸エチル及びそれらの混合物等を挙げることができ
る。エチルアルコール及びアセトンが特に好ましい。
本発明の組成物中、各成分は以下の割合であることが
好まいしが、これらの値に特に限定されるものではな
い。
・アルキルシリケートオリゴマー 1〜40重量%, ・有機カルボン酸 0.01〜10重量%, ・メタクリロキシアルキル トリアルコキシシラン 0〜 5重量%, ・ハイドロキシエチルメタ クリレート 0〜20重量%, ・無機強酸 0〜 数十ppm, ・溶媒 残 部。
以上の記載から明らかなように、本発明の歯質保護組
成物は、歯冠修復治療を無痛的に歯髄を保護しながら施
療するのに極めて有効な新治療材料である。更に、本発
明組成物から得られる保護被膜は修復用コンポジットレ
ジン及び接着性レジン等と共重合して接着する機能をも
有している為に、う蝕歯等の治療に画期的な進歩をもた
らすものと考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[実施例1] エタノールを溶媒とし、これにエチルシリケートオリ
ゴマー(平均分子量約760)5重量部及びN−メタクリ
ロイルアミノサリチル酸(5−アミノ体)5重量部を溶
解した本発明の歯質保護組成物をスポンジ小片に含ま
せ、これを知覚過敏になっている患者の象牙質表面に塗
布した。これを温風で乾燥させ溶媒を蒸発させると、ポ
リエチルシリケートから成る保護被膜が形成された。数
分後に冷水含嗽させたところ、すでに知覚過敏な鎮静し
ており寒冷痛は削滅していた。この鎮静効果は1年後に
おいても持続していた。
[実施例2] エタノールを溶媒とし、これにエチルシリケートオリ
ゴマー(平均分子量約760)15重量部、N−メタクリロ
イルアミノサリチル酸(5−アミノ体)5重量部および
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1重量
部を溶解した本発明の歯質保護組成物をスポンジ小片に
含ませ、これを窩洞形成で露出した象牙質表面に塗布し
た。これを温風乾燥して保護被膜を形成させた後、その
上に直ちに光重合型コンポジットレンジ(クラレ社製、
フォトクリアフィルA)を圧接充填し、クイックライト
(モリタ製作所製)にて光照射して硬化させた。24時間
後に4℃〜60℃の熱サイクルテストを1000回実施したが
辺縁漏洩は認められず、本発明の歯質保護組成物により
象牙質とコンポジットレジン修復物が接着し、密封性が
保持されており、歯質保護に有効なことが認められた。
[実施例3] エタノールを溶媒とし、これにエチルシリケートオリ
ゴマー(平均分子量約890)30重量部、N−メタクリロ
イルアミノサリチル酸(5−アミノ体)5重量部、γ−
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1重量部お
よびハイドロキシエチルメタクリレート2重量部を溶解
した本発明の歯質保護組成物をスポンジ小片に含ませ、
これを抜去牛歯の象牙質表面に塗布した。乾燥後に保護
被膜が形成された。その表面に接着性レジン(サンメデ
ィカル製、スーパーポンドC&B)を用いてポリメチル
メタクリレート丸棒を接着し、圧縮剪断接着強さ試験を
行った。その結果、本発明の歯質保護組成物を象牙質表
面に塗布した場合は、塗布しない場合に比べ、接着強さ
が約25%向上することが認められた。なお該試料を走査
型電子顕微鏡で検査したところポリエチルシリケート被
膜が象牙細管にも侵入し、象牙質表面に強固に接着して
いることが認められた。
[実施例4] エタノールとアセトンの1:1混合溶媒中に、エチルシ
リケートオリゴマー(平均分子量約630)10重量部、タ
ンニン酸7重量部及び硫酸数ppmを溶解した本発明の歯
質保護組成物をスポンジ小片に含ませ、これを抜去牛歯
の象牙質表面に塗布した。これを乾燥させると保護被膜
が直ちに形成された。その後、その表面に接着性レジン
(サンメディカル社製、スーパーボンドC&B)を用い
てポリメチルメタクリレート丸棒を接着し、圧縮剪断接
着強さ試験を行った。その結果、本発明の歯質保護組成
物を象牙質表面に塗布した場合は、塗布しない場合に比
べ、接着強さが約20%向上することが認められた。なお
該試料を走査型電子顕微鏡で検査したところポリエチル
シリケート被膜が象牙質細管にも侵入し、象牙質表面に
接着していることが認められた。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキルシリケートオリゴマー及び1分子
    中に一以上のカルボキシル基及び/又は一以上のフェノ
    ール性水酸基を有する有機カルボン酸を含む歯質保護組
    成物。
  2. 【請求項2】前記有機カルボン酸がサリチル酸又はその
    誘導体であることを特徴とする請求項1記載の歯質保護
    組成物。
  3. 【請求項3】アルキルシリケートオリゴマーがエチルシ
    リケートオリゴマーであることを特徴とする請求項1記
    載の歯質保護組成物。
  4. 【請求項4】サリチル酸又はその誘導体がN−メタクリ
    ロイルアミノサリチル酸(5−アミノ体)であることを
    特徴とする請求項2記載の歯質保護組成物。
  5. 【請求項5】前記有機カルボン酸がタンニン酸であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の歯質保護組成物。
  6. 【請求項6】更に、メタクリロキシアルキルトリアルコ
    キシシランを含有することを特徴とする請求項1記載の
    歯質保護組成物。
  7. 【請求項7】メタクリロキシアルキルトリアルコキシシ
    ランがγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
    であることを特徴とする請求項6記載の歯質保護組成
    物。
  8. 【請求項8】更に、ハイドロキシエチルメタクリレート
    を含有することを特徴とする請求項1又は6記載の歯質
    保護組成物。
  9. 【請求項9】更に、無機強酸を含有することを特徴とす
    る請求項1記載の歯質保護組成物。
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JP3305364B2 (ja) * 1992-07-10 2002-07-22 三井化学株式会社 歯質表面に接着剤層を形成するための接着剤
JP4742821B2 (ja) * 2005-11-10 2011-08-10 株式会社ジェイテクト 駆動軸損傷診断装置
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