JP2700522B2 - 汚泥脱水用デカンタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、汚泥脱水用デカンタに
関する。

【０００２】

【従来の技術】下水処理場あるいは産業廃水処理場から
発生する汚泥は、通常は重力濃縮法等により濃縮処理さ
れたのち、ベルトプレス機等の脱水機により脱水処理さ
れて、焼却処分又は埋立処分されている。汚泥用の脱水
機としては、前記のベルトプレス機が古くから多く用い
られているが、最近ではスクリュウデカンタ型遠心分離
機が、この汚泥脱水用として使用されてきている。

【０００３】スクリュウデカンタ型遠心分離機（以下、
デカンタという）は、密閉型構造であるため汚泥特有の
臭気対策が必要でないこと、無人運転で２４時間連続運
転が可能であり、運転労力の省力化ができること、設備
がコンパクトであり設置面積の節減ができる等の利点が
あるため、今後汚泥脱水用として一層の普及が期待され
る。

【０００４】最近の汚泥脱水用のデカンタの特徴として
は、特開昭６０−２０６４５８号で例示されるように、
脱水度を高めるために、回転ボウルと内接するスクリュ
ウ羽根の回転差速を微少差（１〜３rpm ）にして、汚泥
のデカンタ内部での滞留時間を長くして、汚泥自身の遠
心力による圧密作用で脱水度を高くする構造を採用して
いるものが多いことである。

【０００５】しかしながら、この回転差速を微少差して
滞留時間を長くする構造には次のような問題がある。第
１には、滞留時間を長くしているため、デカンタの単位
時間当たりの汚泥処理容量が小さくなり、それだけ設置
する台数が多くなることである。第２には、微少差速を
制御するため差速調節用の電動機，回転数検出器等の設
備費の嵩む制御設備の設置が必要なことである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の従来
技術の問題点に鑑みてなされたものであって、従来のス
クリュウデカンタの標準的な差速（１０〜２０rpm ）を
用いながら、差速調節用の制御設備等の設置を必要とせ
ず、しかも非常に簡単な構造でありながら、脱水度を高
めることができる汚泥脱水用デカンタを提供することを
課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、小径端部にケーキ排出口を有する傾斜胴部と大径
端部に分離液排出口を有する直胴部からなる回転ボウル
と、該回転ボウルに内接し若干の差速をもって回転する
スクリュウ羽根を外周部に有するスクリュウ胴と、該ス
クリュウ胴内に配設され原液スラリーをスクリュウ胴の
中央部付近に設けられる原液分配口に導入する給液管等
からなるスクリュウ型デカンタにおいて、スクリュウ羽
根の前記原液分配口からケーキ排出口間にスクリュウ羽
根の流路を横断して、上流端がスクリュウ胴に揺動自在
に取り付けられ、下流部が遠心力により回転ボウルの半
径方向外向きに付勢されて汚泥を圧密化するプレスセグ
メントを具備したことを特徴とする汚泥脱水用デカンタ
にある。

【０００８】

【作用】給液管から原液分配口を介して回転ボウル内に
導入された原液汚泥は、遠心力の作用を受け、比重の重
い固形分（汚泥）は回転ボウル内を半径方向外向きに移
動し、水と分離されて回転ボウル内壁に沈降する。この
ようにして内壁に集められた固形分は、次いでスクリュ
ウ羽根によって傾斜胴側に移動し、傾斜胴のビーチゾー
ンを上昇しながら脱水されて、ケーキ排出口から機外に
排出される。

【０００９】この傾斜部のスクリュウ羽根には、その流
路を横断する形で縦断面がそり状のプレスセグメントが
複数個直列に設けられている。プレスセグメントは、そ
の上流端で下流部が自由に揺動できるようスクリュウ胴
に取り付けられている。従って、スクリュウ胴が回転し
た場合には、このプレスセグメントの下流部は相当の遠
心力により回転ボウルの半径方向外向きに付勢されて、
汚泥と摺接しながら汚泥を圧搾脱水する作用をする。

【００１０】さらに、プレスセグメントの立上り部は、
スクリュウ羽根の流路を横断して塞いでいるので、流路
の半径方向の内向きに集まっている比重の軽い分離液が
ケーキ排出口側に流れるのを防止する堰の機能も果たし
ている。このようにして汚泥分は、スクリュウ羽根によ
って傾斜部を上昇しながら複数個のプレスセグメントに
より効率よく圧搾脱水されて、ケーキ排出口より脱水ケ
ーキとして排出される。

【００１１】一方、固形分を分離された分離液は回転ボ
ウル直胴部の内径側に集められ、直胴部内を大径端側に
流れ、大径端部に設けられる分離液排出口から機外に排
出される。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例について、図面に基づいて説
明する。図１は本発明を実施したスクリュウ型デカンタ
の縦断面図、図２は本発明の要部であるプレスセグメン
トの斜視図である。図において、１は直胴部と傾斜部か
らなる回転ボウルであり、減速機２により高速回転され
る。４は回転ボウル１内に同軸的に装着されるスクリュ
ウ胴であり、その外周には回転ボウル１の内壁と内接す
る螺旋状のスクリュウ羽根３が取り付けられる。これら
は減速機２によって回転ボウル１と若干の差速（１０〜
２０rpm ）をもって回転される。

【００１３】５はスクリュウ胴４の軸心上に配設され、
その内部端がスクリュウ胴４の中間部に穿設される原液
分配口６まで達する原液汚泥導入用の給液管である。７
は回転ボウル１の直胴部の大径端部の同一半径上に穿設
される複数個の分離液排出口であり、回転ボウル１内の
自由液面を調節する環状堰板８が隣接して着脱可能に取
り付けられる。９は回転ボウルの傾斜部の小径端部の円
周部に複数個穿設される脱水汚泥を排出するケーキ排出
口である。

【００１４】１０はスクリュウ羽根３の原液分配口６か
らケーキ排出口９間に、濃縮汚泥の流れを横断して適宜
位置に設けられる縦断面がそり状のプレスセグメントで
あり、その上流端部にてスクリュウ胴４の外周面にビス
１１等により下流部が揺動自在になるよう取り付けられ
る。プレスセグメントの縦断面は頂度そり状であり、下
流部が遠心力により回転ボウルの内壁面側に付勢され
て、流れる汚泥に摺接しながら圧搾して脱水する。この
プレスセグメントを傾斜部のスクリュウ羽根３に沿っ
て、直列的に複数個設ければ一層高い脱水効果が得られ
る。プレスセグメントの材質としては、耐摩耗性ガラス
繊維で強化した合成樹脂のシートが好適である。

【００１５】以上説明した構成を有するスクリュウ型デ
カンタの実験機を用いて、産業廃水の汚泥の脱水試験を
行ったところ、次の結果が得られた。 回転ボウル直径；２００ミリ 回転ボウル遠心力；２
０００〜２５００Ｇ 脱水ケーキ中の含水率； プレスセグメントを２枚取り付けた場合；６６％ プレスセグメントを取り付けない場合 ；８２％

【００１６】

【発明の効果】以上の構成と作用を有する本発明によれ
ば、従来の標準的なスクリュウ型デカンタに非常に簡単
な構造のプレスセグメントを取り付けるのみで、脱水汚
泥の含水率を大巾に改良することができるので、脱水汚
泥を焼却する際の燃料費を節減できる等の効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例のスクリュウ型デカンタの縦断
面図。

【図２】本発明の要部であるプレスセグメントの斜視
図。

【符号の説明】

１；回転ボウル、２；減速機、３；スクリュウ羽根、
４；スクリュウ胴、５；給液管、６；原液分配口、７；
分離液排出口、８；環状堰板、９；ケーキ排出口、１
０；プレスセグメント、１１；ビス。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】小径端部にケーキ排出口を有する傾斜胴部
   と大径端部に分離液排出口を有する直胴部からなる回転
   ボウルと、該回転ボウルに内接し若干の差速をもって回
   転するスクリュウ羽根を外周部に有するスクリュウ胴
   と、該スクリュウ胴内に配設され原液スラリーをスクリ
   ュウ胴の中央部付近に設けられる原液分配口に導入する
   給液管等からなるスクリュウ型デカンタにおいて、スク
   リュウ羽根の前記原液分配口からケーキ排出口間にスク
   リュウ羽根の流路を横断して、上流端がスクリュウ胴に
   揺動自在に取り付けられ、下流部が遠心力により回転ボ
   ウルの半径方向外向きに付勢されて汚泥を圧密化するプ
   レスセグメントを具備したことを特徴とする汚泥脱水用
   デカンタ。