JP2698649B2 - クロマト分離法 - Google Patents

クロマト分離法

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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数成分からなる試料を、溶離液とともに
充填剤を充填したカラムに導き、各成分を分離取得する
液体クロマトグラフィーによる分離・精製法に関する。
【従来技術および発明が解決しようとする問題点】
液体クロマトグラフィーによる工業的分離・精製法
は、物理的、化学的性質が似通っていて、他の方法では
分離困難なケースや、熱的に不安定な物質を扱うため、
他の方法を採用できないケース等を中心に、近年非常に
多く用いられるようになった。また、ポンプ、検出器な
どの機器の発達により、より分離能力や処理能力の高い
高速、高圧の液体クロマトグラフィーも工業化されてい
る。 このような分離・精製においては、操作条件などの設
計が、一般に次のような手順で行われている。 (a) 分析カラムにおいて、最適の分離モード、溶離
液組成を探索する。 (b) 試験規模(セミ分取カラム)において、試料負
荷量、流速などの最適条件を決定する。 (c) 実装置において、実際に試料を負荷して、操作
条件の微調整を行ない最終操作条件を決定する。 しかし、このような操作条件の設計法においては、最
適負荷量(所定の純度が得られる最大負荷量)や実際の
分取における分画位置の決定の際に、その都度溶出液の
詳細な分画試験を行ない、分析カラムなどによって、そ
れぞれの画分の組成をチェックしなければならない。な
ぜならば、工業的分離・精製においては、精製の時間効
率および充填層の利用効率を上げて経済的に有利な条件
にするため、各成分のピークが重なるような状態におい
て操作するのが一般的であり、そのような場合は、得ら
れたクロマトグラムからは直接個々の成分の溶出挙動を
知ることができないからである。 さらに、最適流速などの操作条件の決定にあたっては
それぞれの操作条件において最適負荷量を求めなければ
ならず、最適条件の決定に至るまでに、多大の時間を要
するだけでなく、実験のための労務費、材料費などのた
めに、特に多品種少量生産のような場合、精製コストの
上昇を招く。 このような問題点を解決するために、最近になって、
負荷量の増大によるカラム出口における溶出挙動の変化
を定量的にとらえる試みがなされている。例えば、ラン
グミュア式などの吸着平衡関係を理論段モデルなどのク
ロマトモデルに適用して溶出曲線の予測を行なった研究
例(化学工学協会第20回秋季大会研究発表講演要旨集,
p.510あるいは化学工学協会第53年会研究発表講演要旨
集,p.8)などがある。これらの研究例は、すべて単一成
分に関する解析である。 しかしながら、実際に複数成分を負荷して得られるク
ロマトグラムは、分離モードによっては、各成分が互い
に充填剤への吸着(分配)を阻害し合うため、各成分単
独で得られるクロマトグラムを単に合成した物とはかな
り異なることがある。従って、このような場合は、結
局、最適負荷量や実際の分取における分画位置の最終決
定にあたっては、溶出液の分画試験を行ない、分析カラ
ムなどによって、それぞれの画分の組成をチェックする
作業が必要になり、上記問題点を充分解決するには至ら
ない。
【問題点を解決する手段】
本発明者は、このような問題点を解決すべく、鋭意検
討を行なった結果、単一成分において求められた吸着パ
ラメータをもとに、複数成分系の吸着平衡関係を推定
し、その関係をクロマトモデル式に適用することによっ
て、各単一成分の実測値のみから、複数成分を負荷して
得られるクロマトグラムを精度良く推算できることを見
出し、本発明を完成するに至った。 即ち、複数成分からなる試料を、溶離液とともに充填
剤を充填したカラムに導き、各成分を分離取得する液体
クロマトグラフィーによる分離・精製法において、 (a) 多成分系吸着平衡式をクロマトモデル(理論段
モデルまたは物質収支モデル)に適用して求められる、
カラム出口における各成分の濃度の時間変化を表す関数 (b) 単一成分のクロマトグラムより求めた各成分固
有の吸着パラメータおよび拡散・物質移動に関するパラ
メータ 上記(a)に(b)を適用して、試料中の各単一成分に
関する実測値のみから実装置、複数成分負荷における各
成分の溶出挙動を予測し、これに基づき操作条件を決定
し多成分混合物の各成分を分離することを特徴とするク
ロマト分離法である。 以下、本発明をさらに詳細に説明する。 本発明における複数成分からなる試料とは、無機ある
いは有機物質の混合物の事で、物質の種類は特に限定さ
れる物ではなく、液体クロマトグラフィーにより分離し
得るもの全てが含まれる。むろん、幾何異性体同士の混
合物や光学異性体同士の混合物などの各種異性体同士の
混合物がこの中に含まれるのは、言うまでもないことで
ある。また、有機物質と無機物質の混合物がこの中に含
まれるのも言うまでもないことである。 本発明法による分離・精製において使用される充填剤
としては、主にシリカ、ODS、ポーラスポリマー、イオ
ン交換用充填剤、光学分割用充填剤などが挙げられる
が、必ずしもこれらの充填剤に限定されるものではな
く、本発明の効果が発現する液体クロマトグラフィー用
充填剤である限り、何であっても構わない。また、使用
される溶離液に関しても、充填剤や分離対象となる試料
によって決定される分離特性、あるいはクロマト分離後
の目的成分の溶離液からの分離のしやすさ等を考慮する
ことによって、最もふさわしいものを自由に選択でき
る。 以下、本発明のクロマト分離法を具体的に説明する。 まず、各成分について、実際の分離操作を行なう場合
の負荷量に比較的近いと目される負荷量において単一成
分のクロマトグラムを取得する。次に、各成分固有の吸
着パラメータおよび拡散・物質移動に関するパラメータ
を決定する。 これらのパラメータは、一般的には、適当な吸着平衡
式及びクロマトモデルから計算によって求められるクロ
マトグラムが、実験により得られたクロマトグラムと同
一になるようにカーブフィッティングを行って定める。
ここで言う吸着平衡式とは、ラングミュア式 q=K・q∞・C/(1+K・C) …(1) 但し、 q:吸着量(mg/ml−充填剤) q∞:飽和吸着量(mg/ml−充填剤) C:移動相における濃度(mg/ml) K:吸着平衡定数(ml/mg) である。また、クロマトモデルとしては、理論段モデル Cnp-1−Cnp=(dCnp/dθ+H・dpnp/dθ)/Np …(2) dqnp/dθ=(∂qnp/∂Cnp)・(dCnp/dθ)…(3) 但し、 θ=t・v/V0 t:溶離時間(sec) v:移動相流量(ml/sec) V0:カラム空隙部の体積(ml) H=(1−ε)/ε ε:カラム空隙率 Np:カラム理論段数 添字npまたはnp−1:理論段番号 あるいは、物質収支モデル ∂C/∂t+u・∂C/∂z+H・∂p/∂t=De・∂2C/∂
2 …(4) ∂p/∂t=Ksv(q*−q) …(5) 但し、 u:移動相線速度(cm/sec) z:カラム入口からの距離(cm) De:軸方向混合拡散係数(cm2/sec) Ksv:吸着相基準総括物質移動係数(sec-1) q*:Cと平衡であるq(mg/ml−充填剤) などの公知のモデルが挙げられる。但し、物質収支モデ
ルによる計算は、Deが無視できない場合は計算が煩雑に
なることが多いので、そのような場合は、理論段モデル
を使用することが望ましい。 しかしながら、以上に述べたようなパラメータ決定法
においては、フィッティングするべきパラメータの数が
多くなってしまうという欠点がある。従って、吸着パラ
メータの算出に際しては、平衡論モデルから導かれる式 tm=τ{ta/2+1+H・(∂q/∂C)|c=cm} …(6) 但し、 τ=v/V00:試料打ち込みに要する時間(sec) 添字m:クロマトグラム頂点 を利用すれば良い。この式によれば、クロマトグラムの
頂点における溶離時間から吸着パラメータを推算でき
る。例えば、吸着平衡式がラングミュア式の場合、負荷
量を変化させた2点のクロマトグラムの頂点における溶
離時間から、2つのパラメータ、q∞およびKを求める
ことができる。そうすれば、クロマトモデルとして理論
段モデルを用いた場合、あとは拡散・物質移動に関する
パラメータに相当するパラメータ、Npのみをフィッテ
ィングで求めるだけで良い。 次に、このようにして求めた吸着パラメータをもとに
複数成分が混在するときの吸着平衡式を構築する。一般
的には、n成分系の場合、ある成分iについての吸着平
衡式は、全成分の液相濃度の関係、即ち、 qi=fi(C1,…,Ci,…,Cn) …(7) 但し、 添字i,1,…,n:成分番号 で表される。この関数形は、単一成分系における、各成
分の吸着パラメータをそのまま用いて表すことができる
ことが多く、その場合には、本発明の方法を適用するこ
とができる。即ち複数成分系における吸着平衡式は、n
成分系におけるi成分について、以下に示す拡張ラング
ミュア式で表すことができる。 但し、 添字i,j:成分番号(j=1,…,i,…,n) 最後に、このようにして求めた吸着平衡式を前述のク
ロマトモデルに適用する。n成分系、理論段モデルに関
しては、 αi,np−Ci,np=ki・(dCi,np/dθ+H・dqi,np/d
θ)/Npi …(9) 但し、 ki=Np0/Npip0:Np1,…,Npnの最小公倍数 mi={(np−1)mod ki}+1 添字i,j:成分番号 (j=1,…,i,…,n) npおよび添字np,np−mi−ki+1:理論段番号 また、物質収支モデルを使用する場合は、前述の
(4)、(5)式および(7)式を各成分について適用
すればよい。 この際、拡散・物質移動に関するパラメータNpある
いはKsvは、大抵の場合、単一成分において求められ
たものをそのまま用いて良い。このようにして得られた
式より、複数成分における各成分の溶出挙動を分画試験
を行なう事なく計算により推定することができる。 次に、本発明の効果を示すため、X,Y二成分系の分離
を行う場合を例に取る。第一図に、X,Y成分をそれぞれ
単独で負荷したときのクロマトグラムを示す。第二図に
は、第一図において負荷した量と同一の量のX,Yを混合
して負荷した際に得られるクロマトグラムを示す。本発
明者が調べたところによると、驚くべき事には、第二図
に見られるように、二成分の混合物を負荷した場合、第
一図におけるX,Y各成分のクロマトグラムを単純に合成
して予測される分離状態よりも分離状態はかなり良くな
っているというケースが非常に多いことが判明した。 このような場合、従来の技術では、分画試験による負
荷量決定をせずに、単一成分のデータのみで、負荷量決
定をしようとすると、かかる方法で決定された負荷量
は、実際負荷し得る量よりもかなり少ない量になってし
まう。従って、従来の技術においては、複数成分のクロ
マト分離操作における負荷量決定ならびに実際の分取に
おける分画位置の最終決定にあたって、多数回の分画試
験が必要であったわけである。しかし、本発明者が、複
数成分系吸着平衡式をクロマトモデルに適用して、各成
分の溶出挙動を単一成分系のデータのみから推算する方
法を見出したことによって、試験回数を大幅に減少さ
せ、分離設計にかかるコストを低減することが可能にな
った。 以下に本発明を具体的な実施例を挙げて説明するが、
無論、本発明は、以下の実施例に限定されるものではな
い。 比較例1 上下に分散板を有する内径100mm、長さ500mmのステン
レス製カラムに粒径50μmの光学分割用充填剤キラルセ
0Bを充填し、ヘキサンと2−プロパノールを容積比
で9:1の割合で混合した液を溶離液として、α−フェニ
ルエチルアルコールのラセミ体をR体とS体の各光学活
性体に分離した。この分離に関する目標値は、各成分の
光学純度99%以上、回収率90%以上とした。α−フェニ
ルエチルアルコールのラセミ体を上記溶離液に0.2g/ml
の濃度で溶解してサンプルを作製した。上記溶離液を流
量245ml/minで通液し、徐々に負荷量を増加させて上記
サンプルを注入し、得られるクロマトグラムの変化を観
察したところ、12.5ml負荷した時点でS体とR体のピー
クが重なり出すことが判明した。そこで、それ以降は、
ピークの重なる部分の溶出液は、分画試験を行なって、
各画分におけるS体、R体各成分の純度を内径4.6mm、
長さ25cmのキラルセル 0B分析カラム(粒径10μmょに
よってモニターしながら負荷量を増加させて行った。そ
の結果、最適負荷量として、35.0mlの値を得た。この
際、15.0ml、20.0ml、22.5ml、25.0ml、27.5ml、30.0m
l、32.5ml、35.0ml、37.5mlと9段階の負荷量につい
て、分画試験を行なった。また、実際の分取における分
画位置を正確に決定するため、一回の分画試験につい
て、溶出液を15から20程度の画分に分画する必要があっ
た。 実施例1 比較例1と同様のクロマト装置及び充填カラムを用い
てα−フェニルエチルアルコールのラセミ体の分離を、
比較例1と同様の目標値で試みた。まず、S体、R体そ
れぞれについて0.10g/mlの濃度で上記溶離液に溶解して
サンプルを作製した。上記溶離液を流量245ml/minで通
液し、それぞれのサンプルを6.25ml、12.50ml、25.00m
l、37.50mlの順でカラムに負荷して、各成分、各負荷量
における単一成分についてのクロマトグラムを得た。次
に、各クロマトグラムの頂点の保持時間の測定値に前述
の(6)式を適用してS体、R体各成分のラングミュア
式の吸着パラメータを算出した。さらに、これらの吸着
パラメータと適当に仮定したNp(本実施例において
は、Np=500)を前述の(2)、(3)式に適用して大
型計算機による数値計算を行ない、実験により得られた
各成分、各負荷量におけるクロマトグラムと比較した。
この際、計算により得られたクロマトグラムが実験によ
り得られたものより幅が狭い場合には、より小なるNp
を、その逆の場合には、より大なるNpを仮定し直して
計算を行ない、この操作は、計算により得られたクロマ
トグラムが実験によって得られたものとほぼ同一になる
まで繰り返した。このようにして、各成分についてのラ
ングミュア式の吸着パラメータと、各成分、各負荷量に
ついてのNpの値を得た。得られた値を第1表に示す。
これらの値を前述の(8)−(11)式に適用して、セラ
ミ体を負荷した場合(2成分系)のクロマトグラムを大
型計算機による数値計算により推定した。比較例1と同
様、負荷するサンプルを0.2g/mlのラセミ体とし、15.0m
l、20.0ml、22.5ml、25.0ml、27.5ml、30.0ml、32.5m
l、35.0ml、37.5ml負荷した場合のクロマトグラムを数
値計算により求めたところ、おおよそ37.5mlが限界負荷
量であることが推定できた。第一表において、上段の吸
着平衡式パラメータはサンプル量に無関係であり、又下
段のNpに関しては、分取挙動への影響は小さく、データ
がないサンプル負荷量については他のデータの内挿で推
定できる。 又限界負荷量は、ケース毎に設定された回収率と回収
純度から決定される。即ち、負荷量が大きくなる程、処
理能力は上がるが、回収率及び純度が低下するのは自明
であり、最低限の回収率及び純度まで落ちた時点を限界
負荷量とした。ちなみにS体、R体それぞれを単独で負
荷して得られたクロマトグラムを単純に合成して推算し
た限界負荷量は、わずか22.5mlである。最終的には、実
際に37.5mlカラムに負荷して、比較例1と同様の分画試
験を行なって、推算結果の確認を行なった。第三図に実
験により得られたクロマトグラムと計算により得られた
クロマトグラムとの比較を示す。このケースにおいて
は、光学純度99%で各成分を回収した場合、S体の回収
率は、95.2%であったが、R体の回収率が86.8%と目標
値の回収率90%より低いことが判明した。そこで、負荷
量を35.0mlとわずかに減少させて分画試験を行ない、光
学純度99%でS体の回収率96.8%、R体の回収率90.8%
の値を得たので35.0mlを最適負荷量と判断した。本実施
例においては、分画試験は、わずかに2回行なうだけで
済み、また、およその分画位置が計算によって推定され
ていたため分画はその推定値付近のみで詳細に行なえば
よく、1回の分画試験につき5つの画分の分画するだけ
で実際の分取における分画位置を決定する事ができた。 比較例2 上下に分散板を有する内径50mm、長さ500mmのステン
レス製カラムに粒径40μmのキラルセル 0Bを充填し、
ヘキサンと2−プロパノールを容積比で9:1の割合で混
合した液を溶離液として、フェニルエチレングリコール
のラセミ体を(+)体と(−)体の各光学活性体への分
離を試みた。この分離に関する目標値は、各成分の光学
純度99%以上、回収率90%以上とした。フェニルエチレ
ングリコールのラセミ体を上記溶離液に0.0215g/mlの濃
度で溶解してサンプルを作製した。上記溶離液を流量6
0.0ml/minで通液し、徐々に負荷量を増加させて上記サ
ンプルを注入した。このサンプルに関しては、負荷量が
5.0mlと非常に少量でもややピークが重なっていたた
め、ピークの重なる部分の溶出液は、分画試験を行なっ
て、各画分における(+)体、(−)体各成分の純度を
内径4.6mm、長さ25cmのキラルセル 0B分析カラム(粒
径10μm)によってモニターしながら負荷量を増加させ
て行った。その結果、負荷量が25.0mlまでは、所定の光
学純度で分取した場合の回収率にほとんど変化がないこ
とが判明した。そこで、さらに負荷量を増加させて分画
試験を行なって、最適負荷量として、37.5mlの値を得
た。この際、5.0ml、7.5ml、10.0ml、15.0ml、20.0ml、
25.0ml、30.0ml、32.5ml、35.0ml、37.5ml、40.0mlと11
段階の負荷量について、分画試験を行なった。また、実
際の分取における分画位置を正確に決定するため、一回
の分画試験について、溶出液を15から20程度の画分に分
画する必要があった。 実施例2 比較例2と同様のクロマト装置及び充填カラムを用い
てフェニルエチレングリコールのラセミ体の分離を、比
較例2と同様の目標値で試みた。まず、(+)体、
(−)体それぞれについて0.01075g/mlの濃度で上記溶
離液に溶解してサンプルを作製した。上記溶離液を流量
60.0ml/minで通液し、それぞれのサンプルを20.0ml、3
0.0ml、35.0ml、40.0ml、45.0mlの順でカラムに負荷し
て、各成分、各負荷量における単一成分についてのクロ
マトグラムを得た。次に、各クロマトグラムの頂点の保
持時間の測定値に前述の(6)式を適用して(+)体、
(−)体各成分のラングミュア式の吸着パラメータを算
出した。さらに、これらの吸着パラメータと適当に仮定
したKsv(本実施例においては、Ksv=0.6)を前
述の(4)、(5)式に適用して大型計算機による数値
計算を行ない、実験により得られた各成分、各負荷量に
おけるクロマトグラムと比較した。この際、計算により
得られたクロマトグラムが実験により得られたものより
幅が狭い場合には、より小なるKsvを、その逆の場合
には、より大なるKsvを仮定し直して計算を行ない、
この操作は、計算により得られたクロマトグラムが実験
によって得られたものとほぼ同一になるまで繰り返し
た。このようにして、各成分についてのラングミュア式
の吸着パラメータと、各成分、各負荷量についてのKs
vの値を得た。得られた値を第二表に示す。これらの
値を前述の(4)、(5)、(8)式に適用して、ラセ
ミ体を負荷した場合(2成分系)のクロマトグラムを大
型計算機による数値計算により推定した。比較例2と同
様、負荷するサンプルを0.0215g/mlのラセミ体とし、1
2.5ml、25.0ml、27.5ml、30.0ml、32.5ml、35.0ml、37.
5ml、40.0ml、負荷した場合のクロマトグラムを数値計
算により求めたところ、おおよそ35.0mlが限界負荷量で
あることが推定できた。ちなみに(+)体、(−)体そ
れぞれを単独で負荷して得られたクロマトグラムを単純
に合成して推算した限界負荷量は、わずか24.0mlであ
る。最終的には、実際に35.0mlカラムに負荷して、比較
例2と同様の分画試験を行なって、推算結果の確認を行
なった。第四図に実験により得られたクロマトグラムと
計算により得られたクロマトグラムとの比較を示す。こ
のケースにおいては、光学純度99%で各成分を回収した
場合、(+)体の回収率が97.5%、(−)体の回収率が
92.4%と目標値の回収率90%より高いことが判明した。
そこで、負荷量を37.5mlとわずかに増加させて分画試験
を行ない、光学純度99%で(+)体の回収率が96.3%、
(−)体の回収率90.3%の値を得たので37.5mlを最適負
荷量と判断した。本実施例においては、分画試験は、わ
ずかに2回行なうだけで済み、また、およその分画位置
が計算によって推定されていたため分画はその推定値付
近のみで詳細に行なえばよく、1回の分画試験につき5
つの画分に分画するだけで実際の分取における分画位置
を決定する事ができた。
【図面の簡単な説明】
第一図は、X,Y2成分系において、X,Y成分をそれぞれ単
独で負荷したときの典型的なクロマトグラムをまとめて
示したものである。 第二図は、第一図において負荷した量と同一の量のX,Y
を混合して負荷した際に得られる典型的なクロマトグラ
ムを示したものである。 第三図は、実施例1において、負荷量が37.5mlの場合の
実験により得られたクロマトグラムと計算により得られ
たクロマトグラムとの比較である。図中の実線は実験値
を、●印は計算値を示す。 第四図は、実施例2において、負荷量が37.5mlの場合の
実験により得られたクロマトグラムと計算により得られ
たクロマトグラムとの比較である。図中の実線は実験値
を、●印は計算値を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数成分からなる試料を、溶離液とともに
    充填剤を充填したカラムに導き、各成分を分離取得する
    液体クロマトグラフィーによる分離・精製法において、 (a) 下記の式(I)で示される複数成分系吸着平衡
    式をクロマトモデル(理論段モデルまたは物質収支モデ
    ル)に適用して求められる、カラム出口における各成分
    の濃度の時間変化を表す関数 (b) 単一成分のクロマトグラムより求めた各成分固
    有の吸着パラメータおよび拡散・物質移動に関するパラ
    メータ 上記(a)に(b)を適用して、試料中の各単一成分に
    関する実測値のみから実装置、複数成分負荷における各
    成分の溶出挙動を予測し、これに基づき操作条件を決定
    し多成分混合物の各成分を分離することを特徴とするク
    ロマト分離法。 但し qi :各成分の吸着量(mg/ml−充填剤) q∞i :各成分の飽和吸着量(mg/ml−充填剤) Ci,Cj :各成分の移動相における濃度(mg/ml) Ki,Kj :各成分の吸着平衡定数(ml/mg) 添字i,j :成分番号(j=1,……,i……,n)
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