JP2693947B2 - ダイヤフラムポンプによる流体の圧送装置 - Google Patents

ダイヤフラムポンプによる流体の圧送装置

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JP2693947B2
JP2693947B2 JP60047038A JP4703885A JP2693947B2 JP 2693947 B2 JP2693947 B2 JP 2693947B2 JP 60047038 A JP60047038 A JP 60047038A JP 4703885 A JP4703885 A JP 4703885A JP 2693947 B2 JP2693947 B2 JP 2693947B2
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久 杉本
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えばエアレス塗装機での塗料等を圧送する
のに好適なダイヤフラムポンプによる流体の圧送装置に
関する。 〔従来技術〕 従来のダイヤフラムポンプによる流体の圧送において
は、高粘度流体の圧送は苦手であった。即ち、単一のポ
ンプを用いて高粘度流体を圧送しようとすると、その流
体はポンプの吸入工程において、ポンプ室の気圧が真空
になったとしてもポンプ室へ送込まれようとする圧力を
ポンプ室圧力と大気圧との差圧分つまり最大1気圧程度
しか期待できない。通常の低粘度の流体であれば、材料
の流動抵抗は極めて小さいために何等問題を生じない
が、流体が高粘度になると流動抵抗が高いので、材料が
流動する際に生じるエネルギー損失即ち、圧力損失が非
常に大となる。そして、この圧力損失がポンプ室圧力と
大気圧との差圧に近くなれば、流体をポンプ室に吸入で
きなくなってしまう。例えば、ポンプ容積に比して流体
が高粘度でその吸入量が著しく少ない場合を想定してみ
ると、吸入工程に入ったポンプは、ポンプ室の容積を拡
大して気圧を下げ大気圧によって押されている高粘度流
体を吸入することになるが、上述した圧力損失によって
送り込まれるエネルギーが大きく消費されるので、拡大
されたポンプ室の容積の一部にしか流体を充填すること
が出来ず、このため吸入工程が終了した直後のポンプ室
は空間が多いことになる。 次に、加圧工程に入ったポンプは、ポンプ室の容積を
縮小していくが、ポンプ室に空間が有るうちは気体の圧
縮性により流体の圧力上昇はほとんど起こらず空間が無
くなってから流体を圧縮して高圧状態に到達せしめ、ポ
ンプ室外に流体を圧送することになる訳である。 ここで、ポンプ室内の流体が充填されていない空間を
圧縮するのに用いられるエネルギーはほとんど無効にな
り、この空間が多ければ多いほどポンプ効率は低下す
る。また、このため圧縮工程の内の一部分しか圧送が出
来ないので、その圧力上昇は、1ストローク中で幅が狭
く急峻な立上がりを見せるので、流体がパルス的な脈動
を発生することになるから、ダイヤフラムに急激な変位
及び圧力上昇が生じ、ダイヤフラムの耐久性を大きく損
う欠点がある。 [発明の目的] 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
は、流体を圧送しようとする場合にポンプ効率の低下と
衝撃的な脈動を押えて、高いポンプ効率を発揮でき、し
かも、ダイヤフラムの耐久性を著しく向上し得るように
したダイヤフラムポンプによる流体の圧送装置を提供す
るにある。 [発明の要約] 本発明は、大径の第1のポンプ室及び大径の第1のダ
イヤフラムを有し、該第1のダイヤフラムの変位に応じ
て吸入工程及び吐出工程を行って、吸入工程では第1の
ポンプ室に流体を吸入し、吐出工程では吸入された前記
流体を第1のポンプ室から低圧力で吐出する第1のポン
プと、前記第1のポンプ室に連通され該第1のポンプ室
よりも小径の第2のポンプ室及び第1のダイヤフラムよ
りも小径の第2のダイヤフラムを有して前記第1のポン
プよりも小吸入吐出容量に設定され、該第2のダイヤフ
ラムが前記第1のダイヤフラムとは逆に変位することに
より、前記第1のポンプが吐出工程を行う時に吸入工程
を行って、前記第1のポンプから吐出される低圧力の流
体を第2のポンプ室に充填し、前記第1のポンプが吸入
工程を行う時に吐出工程を行って、第2のポンプ室に充
填された流体を設定圧力迄加圧して該2のポンプ室から
吐出させる第2のポンプとを備えたことを特徴とするも
のである。 [実施例] 以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説
明する。1はモータで、これの一端部に油タンク2を有
するケーシング3が直結されている。そして、モータ1
の回転軸4の先端部はケーシング3の油タンク2内に位
置されていて、該先端部に偏心軸部5が一体に形成され
ており、この偏心軸部5の外周部にローラフォロア6が
回転自在に支承されている。7及び8はケーシング3の
左右両側に油タンク2を挟んで配設された第1のポンプ
及び第2のポンプであり、以下第1のポンプ7について
述べる。9は油タンク2に連通する水平な段付の連通孔
で、ここに筒状のシリンダ10が嵌合されナット11で固着
されている。12はシリンダ10内に摺動可能に配設したピ
ストンで、これの一端に取着した鍔13とナット11との間
にこのピストン12をローラォロア6方向に付勢する圧縮
コイルばね14が配設されている。15は連通孔9の開放端
側を被うようにケーシング3に装着されたサブケーシン
グで、これとケーシング3との間に大径の第1のダイヤ
フラム16の周囲部が挟持されている。17及び18は連通孔
9内にシリンダ10と第1のダイヤフラム16との間に位置
させて配設されたスペーサ部材及びダイヤフラム受部材
で、これらにはシリンダ10内と第1のダイヤフラム16と
の間に油が流通し得るように通油孔17a,18a及び通油凹
部18bが設けられている。19は第1のダイヤフラム16の
軸部16aの周囲に巻装された圧縮コイルばねで、これの
一端はダイヤフラム受部材18に当接され且つ他端は軸部
16a先端の径大部に当接されており、この圧縮コイルば
ね19によって第1のダイヤフラム16をピストン12方向即
ち矢印A方向に戻すようにしている。20はサブケーシン
グ15にねじ込み固着された筒状の吸入口体で、ここに圧
縮コイルばね21によって弁座22に当接される吸入弁23が
設けられ、この吸入弁23と第1のダイヤフラム16によっ
て囲まれた空間を第1のポンプ室24としている。25は第
1のポンプ室24と吐出エルボ26を連通させる吐出通路
で、これの途中にチェック弁27が設けられている。28は
連通孔9の径大側(ダイヤフラム受部材18の通油凹部18
b)と油タンク2を連通させる通油路で、これの途中部
に圧力設定バルブ29が設けられ例えば設定圧力を10kg/c
m2程度の低圧に設定している。さて、30はシリンダ10の
側面に穿設された給油ポートで、これは油タンク5内に
連通する給油パイプ31に連通されている。そして、この
給油ポート30はピストン12が下死点近傍(第1のダイヤ
フラム16から最も離間された状態)に位置する時だけシ
リンダ10内に連通し、それ以外の状態の時にはピストン
12の周壁により閉塞されるようになっている。また、こ
の給油ポート30の内径は比較的径少な所定寸方に設定さ
れていて、通過油量を制限する作用が与えられている。 以上が第1のポンプ7の構成であるが、第2のポンプ
8はこれと左右対称で、一部構成部品の寸法とか、設定
圧力が相違するのみであるから、対応する部分は符号に
「′」を付して説明を省略し、以下異なる部分について
のみ説明する。まず、シリンダ10′の内径及びピストン
12′の外径は夫々シリンダ10及びピストン12よりも夫々
若干径小に設定されている。同様に第2のダイヤフラム
16′の外径は第1のダイヤフラム16の外径よりも小径に
設定されていると共に、第2のポンプ室24′の内径は第
1のポンプ室24よりも小径で且つ小容量に設定されてお
り、以て第2のポンプ8が第1のポンプ7よりも小吸入
吐出容量となるように構成されている。ここで、第1及
び第2のポンプ7及び8の吸入吐出容量差は、後述のよ
うにして第1のポンプ室24内に高粘度の塗料を吸入した
とき、第1のポンプ室24に生ずる空間の容積と同等にな
るように設定されており、第2のポンプ8の吸入吐出容
量それ自体は、第1のポンプ室24に実際に吸入される塗
料の容量と等しくなるように設定されている。なお、第
1のポンプ室24に実際に吸入される塗料の容量は実験に
より求められる。また、圧力設定バルブ29′は圧力設定
バルブ29の設定値よりも相当高い設定圧で、最終的に必
要な吐出圧力に調整するようにしている。更に、圧縮コ
イルばね19のばね圧は第1のダイヤフラム16を吸入流体
の粘度に打ち勝って戻すため相当に大きく設定してある
が、圧縮コイルばね19′は比較的低いばね圧に設定され
ている。そして、吐出エルボ26と吸入口体20′は図面に
二点鎖線で示すように適宜の高圧ホース等で互いに連通
され、これにより第2のポンプ室24′は第1のポンプ室
24と連通された状態になっている。また、吸入口体20は
高粘度の塗料(流体)が貯えられたタンクに図示しない
ホース等で連結されており、吐出エルボ26′には図示し
ないホースを介してスプレーガンが連結されている。 次に上記構成の作用について説明する。油タンク2内
には所定のレベル迄作動油が貯溜されており、シリンダ
10,10′内にも作動油が充填されている。そこでモータ
1が通電されて回転軸4が回転されると、ピストン12,1
2′が偏心軸部5の回転により左右(矢印A及び反矢印
A方向)に往復移動される。そして、ピストン12,12′
の圧縮及び吸入の位相は180゜ずれており、このため第
1及び第2のダイヤフラム16及び16′は逆に変位し、第
1のポンプ7が吐出行程のとき、第2のポンプ8は吸入
行程となる関係にある。仮りにスプレーガンが開放され
ていると仮定して、ピストン12が矢印A方向に移動され
ると、シリンダ10内の作動油の圧力が減少するから、圧
縮コイルばね19のばね力で第1のダイヤフラム16が矢印
A方向に変位して第1のポンプ室24の内容積を拡大する
ように作用し、例えば塗料タンクに貯えられた高粘度の
塗料が圧縮コイルばね19によって第1のダイヤフラム16
に作用する吸入力とタンク内の塗料に作用する大気圧と
の差圧によって吸入弁23を介して第1のポンプ室24内に
吸入される。この場合の塗料の吸入量は、第1のダイヤ
フラム16に作用する吸入力と大気圧との差圧は最大でも
大気圧であるのに対し、その塗料が高粘度で流動抵抗が
大きいから第1のポンプ7の吸入吐出容量よりも少なく
なる。このため、第1のポンプ室24内には、塗料の実際
の吸入量と第1のポンプ7の吸入吐出容量との差に相当
する容積分だけ空間が生じた状態となる。次に、ピスト
ン12が反矢印A方向に移動されると、シリンダ10内の圧
力が上昇し第1のダイヤフラム16が同反矢印A方向に移
動されて第1のポンプ室24の内容積を次第に減少させて
いき、空間が無くなったところで、塗料が第1のポンプ
室24から吐出通路25、チェック弁27,吐出エルボ26を介
して吐出され図示しない高圧ホースを介して吸入口体2
0′から第2のポンプ室24′内に圧送される。而して、
圧力設定バルブ29の設定圧が10kg/cm2であるから、第1
のポンプ7は、塗料を大気圧よりも高い圧力、すなわち
最大10kg/cm2の圧力で第2のポンプ8に圧送する。この
ため、塗料が高粘度で、第1のポンプ室24から第2のポ
ンプ室24′に至るまでの圧力損失が大きくても、塗料を
強制的に第2のポンプ室24′に圧送できる。そして、シ
リンダ10内及び第1のポンプ室24内の圧力が10kg/cm2
超えると、シリンダ10内の作動油が通油路28及び圧力設
定バルブ29を介して油タンク2に戻され、第1のポンプ
7の吐出圧力が設定圧に保たれる。このため、第1のポ
ンプ室24への塗料の吸入量が第2のポンプ7の吸入吐出
容積を越えていたとすると、第2のポンプ室24′に塗料
が充填された後も第1のダイヤフラム16は第1のポンプ
室24内に残った塗料を押し続けることとなるが、この場
合には、作動油が10kg/cm2以上になると通油通路28及び
圧力設定バルブ29を介して油タンク2に戻されるように
なるので、第1及び第2のダイヤフラム16及び16′に過
大な圧力が作用して破損に至るというような不具合は生
じない。尚、通油路28を介して油タンク2に戻された作
動油は、ピストン12が矢印A方向に移動されて下死点に
達した時に吸油パイプ31及び吸油ポート30を介して一定
流速にてシリンダ10内に戻される。 一方、上述のように第1のポンプ7が吐出行程を行っ
ている時、同時に第2のポンプ8は吸入行程を行ってい
るが、第2のダイヤフラム16′が反矢印A方向に移動さ
れて第2のポンプ室24′が内容積を拡大する時に第1の
ポンプ7により圧送される高粘度の燃料がその第2のポ
ンプ室24′に充填されるから、第2のポンプ室24′には
高粘度の塗料が第1のポンプ7の吐出圧を受けて高い充
填効率にて充填される。その後、第2のポンプ8は吐出
行程に移行し、第2のポンプ室24′に充填された塗料が
スプレーガンへと供給される。このとき、吐出圧力が設
定値を超えると圧力設定バルブ29′が開放してシリンダ
10′の内の作動油を第1のポンプ7と同様にして通油路
28′を油タンク2に戻し、吐出エルボ26′から吐出され
る塗料の圧力を設定値に保つ。油タンク2に戻された作
動油は第1のポンプ7と同様にピストン12′が下死点に
達した時に吸油パイプ31′を介して吸油ポート30′から
シリンダ10′内に補充される。 スプレーガンが閉じられると、第1のダイヤフラム16
及び第2のダイヤフラム16′の移動が拘束されるから、
ピストン12,12′の移動によってシリンダ10,10′内の作
動油の圧力が夫々設定値に達した時に圧力設定バルブ2
9,29′が開いて上述と同様に油タンク2に戻され、各ピ
ストン12,12′が夫々下死点に達した時に上述のように
油タンク2から吸油パイプ31,31′及び吸油ポート30,3
0′を介してシリンダ10,10′内に補充されるもので、ス
フレーガンを閉じた時にもモータ1を連続運転できる。 上記構成によれば、低圧大容量圧送を行う第1のポン
プ7は、高圧側の第2のポンプ8の吐出圧力の1/10程度
の加圧能力があればよいので、第1のポンプ7の圧送能
力を第2のポンプ8の2倍に設定しても第2のポンプ8
の負荷の1/5程度の負荷が余分にモータにかかるだけで
済む。そして、第1のポンプ7のポンプ効率が1/2であ
ったとしても吐出量の絶対値は第2のポンプ8の吐出量
に見合うので、第2のポンプ8は塗料が吸入時に確実に
充填されることになり、第2のポンプは高いポンプ効率
にて運転できる。この場合、エネルギー損失が大きくポ
ンプ効率が低い第1のポンプ7は設定圧が低く負荷が小
さいので、ポンプ全体の損失を低く押えることができ
る。また、第1のポンプ7側は従来技術の項で説明した
ように充填効率が低くなるという欠点は発生するが、設
定圧力が低く負荷が小さいので、圧力の急峻な立上りが
生じなく、ダイヤフラムの耐久性を損う虞は全くない。 [発明の効果] 本発明は以上の説明か明らかなように、大径の第1の
ダイヤフラムを有する低圧大吸入吐出容量の第1のポン
プと、小径の第2のダイヤフラムを有する高圧小吸入吐
出容量の第2のポンプとを互いに運転の移相を180゜ず
らせて設置して第1のポンプから吐出される流体を第2
のポンプの吸入側に圧送充填するようにしたから、流体
を圧送しようとする場合にポンプ効率の低下と衝撃的な
脈動を押えて、高いポンプ効率を発揮でき、しかも、ダ
イヤフラムの耐久性を著しく向上し得るようにしたダイ
ヤフラムポンプによる流体の圧送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】 図面は本発明の一実施例を示す横断平面図である。 図面中、1はモータ、7は第1のポンプ、8は第2のポ
ンプ、10及び10′はシリンダ、12及び12′はピストン、
16は第1のダイヤフラム、16′は第2のダイヤフラム、
24は第1のポンプ室、24′は第2のポンプ室、29及び2
9′は圧力設定バルブである。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.大径の第1のポンプ室及び大径の第1のダイヤフラ
    ムを有し、該第1のダイヤフラムの変位に応じて吸入工
    程及び吐出工程を行って、吸入工程では第1のポンプ室
    に流体を吸入し、吐出工程では吸入された前記流体を第
    1のポンプ室から低圧力で吐出する第1のポンプと、 前記第1のポンプ室に連通され該第1のポンプ室よりも
    小径の第2のポンプ室及び第1のダイヤフラムよりも小
    径の第2のダイヤフラムを有して前記第1のポンプより
    も小吸入吐出容量に設定され、該第2のダイヤフラムが
    前記第1のダイヤフラムとは逆に変位することにより、
    前記第1のポンプが吐出工程を行う時に吸入工程を行っ
    て、前記第1のポンプから吐出される低圧力の流体を第
    2のポンプ室に充填し、前記第1のポンプが吸入工程を
    行う時に吐出工程を行って、第2のポンプ室に充填され
    た流体を設定圧力迄加圧して該2のポンプ室から吐出さ
    せる第2のポンプとを具備してなるダイヤフラムポンプ
    による流体の圧送装置。
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