JP2693710B2 - 液面制御機構付定流量調節リフト弁装置 - Google Patents

液面制御機構付定流量調節リフト弁装置

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博 横田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は流体輸送管路に設置する
自動絞り調節用流路を備えた弁装置に係り、計画的な送
配水に便利な定流量調節リフト弁装置としての作用効果
を発揮すると共に、下流側貯水槽の液面が上限に達する
と自動的に流水を停止する等の液面制御機能を合わせ持
つ弁装置を得ようとするものである。なお、本明細書中
「水」の言語は液体を総称的に代表するものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、フロートを利用して貯水槽等の液
面の制御をしようとする時には、その開閉動作をする閉
鎖部材を持つ締切り装置は、一般的にリフト弁が使用さ
れるが、そのリフト弁は配慮を欠くとその前後面の受圧
力の差によって該弁操作のためのフロートが過大になる
など使用に堪えないものとなる。従って、複座型として
軸推力を釣り合わせたり、単座型リフト弁においては、
弁軸と一体的にしたバランスピストン部を設けてその軸
推力を軽減するなど、種々の方法を採用しながら適用さ
れてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のリ
フト弁による開閉装置には、勿論なお幾多の問題点が残
っている。高圧用のものや大口径のものでは、その軸推
力軽減手段が簡単でなく、リフト弁開閉装置が複雑にな
ったり、フロートが過大になって、製作費が不要に嵩む
難点があり、しかも締切り直前の小水量域において異常
音、異常振動またはウオーターハンマーが発生する等の
難題もある。
【0004】本発明は、リフト弁の前後面の受圧力をバ
ランスする独自の機構を持つ定流量調節リフト弁装置を
構成し、その開閉動作をフロート部の小さい力によって
でも制御可能とすることにより、フロート部を含めて軽
量、小形かつ作動の安定した液面制御機構付定流量調節
リフト弁装置を得る事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題解決の手段
については、すでに前述によりその要点を説明したが、
さらに以下、一実施例の図面に基づいて説明する。図1
には本発明を適用して、流量調節弁弁開口bの下流側に
流量調節弁部材7を構成した定流量調節弁の弁軸6とフ
ロート53をアーム52を介して連結し、液面の変動に
よって上下するフロートの浮力を利用して、その小さい
力のままで流量調節弁部材7を容易に開閉できるように
構成した弁装置を示す。
【0006】定流量調節リフト弁装置の部分について
は、入口流路a、出口流路fを有する弁箱1と、滑り弁
側弁箱蓋2とからなる弁箱内には、流量調節弁弁座面部
3とそれに対応する流量調節弁部材7との間に、流量調
節弁弁開口bが形成され、滑り弁閉鎖面部材4とそれに
対応する滑り弁筒状部材11との間には、滑り弁弁開口
dが形成されている。そして、弁開口bと弁開口dとに
挟まれるように緩流室cが構成されている。また、シー
ル部材14を介して、滑り弁端側部材10と滑り弁側弁
箱蓋2との間に包容形成させた袋室gを、連通路17に
よって入口流路aに連通させると共に、釣り合いばね1
3を介装することによって、滑り弁弁開口dに自動絞り
調節流路を構成させてある。なお、流量調節弁部材7と
滑り弁端側部材10との受圧面積の関係は、ほぼ均等に
設定されている。
【0007】弁軸6、はアーム52を介してフロート5
3と連結されて、フロート53の動きに呼応して上下す
るよう構成され、流量調節弁部材7を上下させて流量調
節弁弁開口bを調節する。
【0008】
【作用】図1によって、その作用を観察すると、いま、
液面が低く、フロート53は下方にあり、流量調節弁部
材7が全開状態になっており、しかも入口側圧力と出口
側圧力との差が少ないので、滑り弁部もほぼ全開の状態
である。従って、流れは所定最大流量を維持しながら、
入口流路a→流量調節弁弁開口b→緩流室c→滑り弁弁
開口d→出口集合流路e→出口流路fの順に流れてい
る。この状態において、釣り合いばね13の弁開口dを
開く方向への力は、滑り弁端側部材10の前後の受圧面
に働く袋室g、即ち入口流路aと緩流室cとの圧力の差
に均衡させてあり、それはもとより流量調節弁弁開口b
における流路抵抗に起因するものである。なお、例えば
入口側圧力と出口側圧力との差が大きくなると、袋室g
と緩流室cとの圧力差が大きくなり、釣り合いばね13
との力の均衡が崩れて、滑り弁弁開口dを縮小し、緩流
室cの圧力を上昇させて元の均衡状態に戻り、従って、
弁を通過する流量は変化せず定流量特性を保持するもの
である。
【0009】次に、出口側貯水槽の液面の上昇によりフ
ロート53が上昇し、アーム52を介して弁軸6を下方
に押し下げ、流量調節弁部材7を弁座面部3に近づける
と、当然に該弁開口bの抵抗が増加するに従って緩流室
cの圧力が低下し、釣り合いばね13による力の均衡が
崩れて滑り弁弁開口dを縮小し、その流動状態に見合う
だけの自動絞り調節流路となって安定する。この状態に
ある時、流量調節弁部材7の下流側向き即ち、図面にお
いて上向きに作用する力は、流量調節弁弁開口bにおけ
る僅かな流路抵抗分であり、弁軸への作用力は軽微であ
る。さらに液面が上昇し、流量調節弁部材7が締切り寸
前乃至締切りに至った場合、流量調節弁ボス部の端面8
iと滑り弁ボス部の端面12iとが当接して固定一体化
し、本発明に係る弁軸への作用力の均衡手段をなすに至
る。従って、これらの作用によって、全行程を通じて、
弁軸6を上下させるに要する力は軽少である。
【0010】従って、弁軸6を上下せしめるフロートの
浮力は小さくてよく、フロートの容積を小さくすること
ができる。また、流量調節弁部材7が締切り寸前になっ
ても、複座弁等に見られる吸付き現象等もなく、極めて
安定した制御ができる。従って、本発明は優れた定流量
特性と共に、簡潔で低廉な、しかも高圧や大口径にも対
応できるフロート式液面制御をも可能にした弁装置を得
たものである。
【0011】図2は、流量調節弁部材27の位置を図の
如く流量調節弁弁座面部23の下方(上流側)に位置さ
せ、フロートによる作用力を反転させた一実施例を示し
たものである。フロート63の作用力により、液面が上
限より低い時は流量調節弁部材27は開き、液面が上限
に近づくと流量調節弁部材27は締切り方向に向かう。
その他、作動の仕組みは図1とほぼ同様であるので省略
する。
【0012】
【実施例】本発明の一実施例について、図面を参照しな
がら説明する。図1は、流量調節弁弁開口bの下流側
(出口側)に流量調節弁部材7を設けたものを示してい
る。図2は流量調節弁弁開口bの上流側(入口側)に流
量調節弁部材27を設けたものを示している。なお、図
1、図2共に、フロートの様式(中空乃至は中実のフロ
ート)、その弁軸への連結構造(直接乃至は節を介して
の連結)フロート液面の波立ち防止構造などについて
は諸種の従来技術の援用が容易であることは論をまたな
い。
【0013】
【発明の効果】本発明における弁装置は、前述の通り、
リフト弁構造の利点を抜本的に生かすと共に、大型化や
高圧化に伴う従来の各種弁装置の課題を明快に解決し
て、軽量、小形のフロート部による液面制御をも可能と
し、さらに、その優れた定流量特性により、本弁装置を
含む配管系列の局所における過大な流水を防いで送配水
計画を適正化できるという格段の利点を有する。また、
その簡潔な流路は多少の土砂、塵埃を容認し、特に農業
用水においても採用できる等、流量制御装置と液面制御
装置を合わせ持った極めて経済的な弁装置として用水管
理上に大きな成果を挙げるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体的横断面図であ
る。
【図2】本発明の一実施例を示す全体的横断面図であ
る。
【符号の説明】
1;21…弁箱、2;22…滑り弁側弁箱蓋、3;23
…流量調節弁弁座面部、4;24…滑り弁閉鎖面部材、
4m;24m…滑り弁閉鎖面部材端面、5;25…隔壁
部材、6;26…弁軸、7;27…流量調節弁部材、
8;28…流量調節弁ボス部、8i;28i…流量調節
弁ボス部端面、10;30…滑り弁端側部材、11;3
1…滑り弁筒状部材、11m;31m…滑り弁筒状部材
端縁部、12;32…滑り弁ボス部、12i;32i…
滑り弁ボス部端面、13;33…釣り合いばね、14;
34…シール部材、15;35…開度制限部材、16;
36…弁軸支持部材、17;37…連通路、51;61
…アーム支持台、52;62…アーム、53;63…フ
ロート。a…入口流路、b…流量調節弁弁開口、c…緩
流室、d…滑り弁弁開口、e…出口集合流路、f…出口
流路、g…袋室。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−58219(JP,A) 実開 昭61−24581(JP,U) 実開 昭49−91828(JP,U) 実開 昭52−98817(JP,U) 実公 昭38−7282(JP,Y1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁装置の上流側(入口側)に設けた流量
    調節弁部に対応してその下流側(出口側)に自動絞り調
    節作動を行なう滑り弁部を設け、その中間に、緩流室
    (c)を形成させた定流量調節弁装置において、弁箱
    (1;21)に装着した隔壁部材(5;25)に滑り弁
    筒状部材(11;31)をシール部材(14;34)を
    介して密封且つ滑動自在に嵌装し、該筒状部材の端縁部
    (11m;31m)とこれに対峙する滑り弁閉鎖面部材
    (4;24)との間に滑り弁弁開口(d)を形成させ、
    滑り弁端側部材(10;30)と流量調節弁部材(7;
    27)との間に弁軸(6;26)と同芯に該弁開口
    (d)を常に所定の力で開く方向に作用する釣り合いば
    ね(13;33)を介装し、滑り弁端側部材(10;3
    0)と滑り弁側弁箱蓋(2;22)との間に包容形成さ
    せた袋室(g)を連通路(17;37)により入口流路
    (a)に連通して、該弁開口(d)に自動絞り調節流路
    を構成させることによって、常時定流量調節の機能を発
    揮させると同時に、弁軸(6;26)にフロート部(5
    3;63)を連結して、下流側液面が上限に達すると、
    流量調節弁部材(7;27)を自動的に閉止させ、流水
    を停止する等の液面制御機能を有することを特徴とする
    液面制御機構付定流量調節リフト弁装置。
  2. 【請求項2】 滑り弁端側部材(10;30)と流量調
    節弁部材(7;27)の受圧面積がほぼ均等になるよう
    構成することによって、流量調節弁が締切り寸前乃至締
    切りに至るまで操作されたとき、流量調節弁ボス部
    (8;28)と滑り弁ボス部(12;32)とが当接一
    体化して、流量調節弁部材(7;27)の前後面に作用
    する力を相殺し、流量調節弁部材(7;27)の開閉操
    作のためのフロート部(53;63)を軽量、小形化す
    ることを特徴とする請求項1の液面制御機構付定流量調
    節リフト弁装置。
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