JP2692178B2 - 超伝導薄膜コイル - Google Patents

超伝導薄膜コイル

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JP2692178B2
JP2692178B2 JP63260968A JP26096888A JP2692178B2 JP 2692178 B2 JP2692178 B2 JP 2692178B2 JP 63260968 A JP63260968 A JP 63260968A JP 26096888 A JP26096888 A JP 26096888A JP 2692178 B2 JP2692178 B2 JP 2692178B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 本発明は超伝導回路装置中に用いられ、外部から電流
が供給されて磁界を発生する超伝導薄膜コイルに関し、 該コイルの発生する磁束が付近の超伝導素子や超伝導
回路の動作を阻害することのないよう、インダクタンス
を減ずることなく周囲の磁界を弱めることを目的とし、 同一の平面上に相互に重なることなく2n個のコイル
(但しnは自然数)を近接配置させ、一方向の磁界を作
るコイルの数と反対方向の磁界を作るコイルの数とが等
しくなるように全個数が通電接続され、その合成インダ
クタンスが所定の値を有するように構成する。
それによって、これ等のコイルから離れた部分の磁界
は弱いものとなり、超伝導素子や回路に磁界の影響が及
ばないようになる。
〔産業上の利用分野〕
本発明はジョセフソン集積回路や超伝導量子干渉素子
(SQUID)磁束計などの超伝導回路装置中に用いられ、
外部から電流が供給されて磁界を発生する超伝導薄膜コ
イルに関する。
近年急速な進歩が見られるジョセフソン集積回路やSQ
UID磁束計などには、超伝導薄膜で形成されたコイル
が、超伝導トランスやフィードバック回路の超伝導コイ
ル等のような部品として組み込まれている。超伝導トラ
ンスは超伝導を利用した結合度の高いインダクタであ
り、フィードバック回路のコイルは磁束の量子化を利用
して磁束量子の蓄積やカウントを行わせるためのもので
ある。
これ等のコイルのインダクタンスが大であると、回路
の動作で電流が流れた時に大きな磁界を発生するので、
付近にあるジョセフソン素子やSQUIDセンサの誤動作を
引き起こすおそれがある。即ち、ジョセフソン素子は素
子自身が磁界によって零電圧状態から有限電圧状態への
遷移を行うものであるから、周囲の磁界の影響を直接受
けることになる。また、SQUIDの場合は、複数のセンサ
を配列して磁界の分布を測定する装置などで、センサど
うしが相互に影響し合うことになり、クロストークが生
じることになる。
〔従来の技術〕
このような他に及ぶ磁束の影響や他からの磁束の影響
を解消するための手段として、超伝導シールドを利用す
ることが知られている。
これは磁束発生部の下或いは上にグラウンドプレーン
と呼ばれる超伝導材料の薄膜を設けるもので、超伝導体
が完全反磁性であるため、この薄膜を透過して磁束が外
に出ることがなく、完全な磁気シールドが行われる。
〔発明が解決しようとする課題〕
超伝導シールドは十分な効果を有するものであるが、
集積回路中の必要な箇所に常に設け得るとは限らない。
例えばSQUID磁束計のように磁束を計測する装置では、
センサ部分を磁気シールドしようとすれば大幅な工数増
になる。
また、SiO2等の絶縁皮膜を間に挟むだけでコイルとシ
ールド皮膜が近接して設けられるとコイルのインダクタ
ンスが減少するので、大きなインダクタンスを必要とす
る場合に超伝導シールドが使えないことがある。
このように超伝導シールドが使えない場合には、何ら
かの対策を講じて、コイルの発生する磁束が他の素子や
回路に影響を及ぼさないようにしなければならない。
本発明の目的はジョセフソン素子やSQUIDを包含する
集積回路で、必要なインダクタンスを有し且つ磁束の影
響が他に及ぶことのない超伝導コイルを提供することで
ある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明の超伝導コイルは 基板の同一の平面上に超伝導材料薄膜で形成され相互
に重なることなく2n個のコイル(但しnは自然数)を近
接配置させ、一方向の磁界を作るコイルの数と反対方向
の磁界を作るコイルの数とが等しくなるように全個数が
通電接続され、その合成インダクタンスが所定の値を有
するように構成されて成る。
〔作用〕
第1図に本発明の超伝導コイルの基本形が模式的に示
されている。該図の如く、インダクタンスの等しいコイ
ルを並べ、夫々に反対向きの電流Iを流すと、これ等の
コイルから十分離れた点Pでは両方のコイルの磁束はほ
ゞ打ち消し合う。コイルの近傍に於いても、磁束が互い
に反対向きであることから、完全に打ち消し合うことは
ないものの、総合すれば弱い磁束しか残らない。
この点をより詳細に説明すると、次のようになる。こ
こではコイルは第2図に示されるように23=8個に分割
されて1本の直線上に配置されているものとする。
一般に2n個のコイルをx軸上に配置し、1個のコイル
が作る磁界をBとすると、x軸上の十分遠方の点に於け
る磁界B(x)は と表される。第2図のようにn=3の場合は である。
ここで状況を単純化し、各コイルを1本の無限長直線
とすると、その各々で であるから、コイルの数が2n個の場合、 となる。即ち、コイル1個の場合にはxの変化に対して
1/xの減衰であったのに比べ、コイルの数が2n個になる
と、1/xn+1の急激な減衰となる。
〔実施例〕
第3図及び第4図に本発明の実施例及び他の実施例を
示す。これ等の図に於いてコイル1及びコイル2はニオ
ブ(Nb)の如き超伝導材料薄膜で形成され、同じ超伝導
材料で形成される接続配線が交差する部分には、SiO2
ある絶縁膜が上下の配線間に設けられている。各種皮膜
の堆積形成やパターニングは公知の技術によって実施さ
れる。
第3図は2個のコイルを直列に接続し、その磁界の向
きを反対にしたもので、各々のインダクタンスと相互イ
ンダクタンスから定まる合成インダクタンスが所定の値
になるように設定されている。
第4図の実施例では2個のコイルを並列に接続してい
る。超伝導材料は電流密度が臨界値をこえると超伝導状
態をとらなくなるので、大電流を流す必要のあるコイル
は複数のコイルを並列に接続して構成され、個々のコイ
ルの電流を臨界値以下に抑えることになる。そのような
場合に、分割したコイルの磁界の方向を異ならせ、磁束
を打ち消すようにしたものがこの実施例である。
第5図は更に他の実施例に於けるコイルの配置を模式
的に示す図で、分割されたコイルは直線上ではなく、平
面的な広がりを持って配置されている。
以上の各実施例に於いて、分割された各コイルのイン
ダクタンスは必ずしも同じであることは要求されず、ま
た、並列接続の場合各コイルの電流値も同じである必要
はない。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、コイルからの距
離に対する磁界の減衰が急峻なものとなるので、磁気シ
ールドを設けることなく所定のインダクタンスのコイル
を設けた場合にも、近くにある他の素子や回路への影響
を大幅に減ずることが出来る。
本発明を超伝導トランスに適用すればジョセフソン集
積回路の誤動作が抑制され、集積化SQUID磁界センサの
ように複数の超伝導蓄積ループを単一集積回路内に設け
る場合には、本発明を適用することにより、センサのチ
ャネル間クロストークが減少する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理を説明するための図、 第2図は本発明の作用を説明するための図、 第3図は本発明の実施例を示す模式図、 第4図は本発明の他の実施例を示す模式図、 第5図は本発明の更に他の実施例を示す模式図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に超伝導材料薄膜で形成され、外部
    から供給される電流により磁界を発生する超伝導薄膜コ
    イルにおいて、 同一の平面上に相互に重なることなく2n個のコイル(但
    しnは自然数)を近接配置させ、一方向の磁界を作るコ
    イルの数と反対方向の磁界を作るコイルの数とが等しく
    なるように全個数が通電接続され、その合成インダクタ
    ンスが所定の値を有するように構成されて成ることを特
    徴とする超伝導薄膜コイル。
JP63260968A 1988-10-17 1988-10-17 超伝導薄膜コイル Expired - Lifetime JP2692178B2 (ja)

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JPH02106907A JPH02106907A (ja) 1990-04-19
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JPS6372569U (ja) * 1986-10-29 1988-05-14

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