JP2686985B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、シリアル式の記録装置において、キャリッ
ジ上に着脱自在にかつ電気的結合状態で装着されるイン
クジェットヘッドに関する。

〔従来の技術〕

プリンタやファクシミリなどの記録装置として、シー
ト送り方向に並べた複数の印字素子を有する記録ヘッド
で印字桁方向に走査しながら、前記印字素子を印字デー
タに基づいて駆動することにより、シート上にドットイ
メージを形成していくシリアル式の記録装置が使用され
ている。

前記印字素子は、インクジェットヘッドの場合はイン
ク吐出口で、サーマルヘッドの場合は発熱素子で、ワイ
ヤドットヘッドの場合はドットワイヤで、それぞれ構成
され、駆動時（オン）で黒ドットを印字するように動作
する。

ところで、最近、保守点検時の取扱い性の向上を目的
として、キャリッジに対し着脱自在にかつ電気的結合状
態で装着される記録ヘッド、すなわちワンタッチで取付
け取外しが可能な交換式の記録ヘッドが使用されるよう
になってきた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、従来のこの種の交換式の記録ヘッドにおいて
は、構造上、電気的結合部（コンタクト）は、キャリッ
ジ側のコンタクトとの接触を確実にするためもあって、
密封することはできず、外部へ開放した状態で設けられ
ていたので、人体の静電気等が電極を介して放電し回路
基板等が静電破壊するおそれがあり、また、コンタクト
部の表面に汚れが生じて接触不良を起こし、コンタクト
の信頼性が低下しやすいなどの問題があった。

本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたも
のであり、本発明は、コンタクト部（電極部）の表面汚
れを防止でき、かつ、人体の静電気等から回路基板など
を保護し得る交換式のインクジェットヘッドを提供する
ことを目的とする。

さらに、本発明は、吐出口が設けられた側と同じ側に
電極部が設けられている場合であっても、この電極部を
容易に保護できるインクジェットヘッドを提供すること
を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上記目的を達成するため、キャリッジに対
して着脱自在でかつ電気的結合を成した状態で搭載され
使用されるインクジェットヘッドにおいて、該インクジ
ェットヘッドの前面に設けられたインクを吐出するため
の吐出口と、前記吐出口が設けられた側と同じ側の面を
設けられた、前記キャリッジとの電気的結合を成すため
の電気接触部と、前記キャリッジへの取付け時に前記電
気接触部を開放可能であり、前記キャリッジから取外し
たときに前記電気接触部を保護する位置に自動的に復帰
する開閉部材と、前記ヘッドの底面に位置する前記開閉
部材に設けられ、前記キャリッジへの取付け時に該キャ
リッジに設けられた係合部と係合することで前記電気接
触部を開放するヘッド側係合部と、を有することを特徴
とする。

〔実施例〕

以下図面を参照して本発明を具体的に説明する。

第７図は本発明によるインクジェットヘッドを使用す
るのに好適な記録装置（インクジェット記録装置）の模
式的斜視図である。

第７図において、上下に所定間隔をおいて設置された
シート送りローラ１、２を通して矢印Ａ方向にシート送
りされるシート（用紙やプラスチック薄板などの記録媒
体）３の前方に、ガイド軸４、４に沿って移動するキャ
リッジ５が設けられ、該キャリッジ５上に記録ヘッド６
が着脱自在に装着されている。

この記録ヘッド６はインクジェットヘッドであり、そ
の前面にはインク滴を噴射する複数個のインク吐出口
（オリフィス）が形成されており、前記シート３に対し
例えば0.8mm程度の間隙をおいて印字桁方向に走査する
よう装着されている。

前記キャリッジ５はキャリッジ駆動モータ８によりベ
ルト伝動機構９を介して矢印Ｐ方向に往復駆動される。

前記キャリッジ５と記録装置の制御回路との間に電力
供給および信号伝送用のフレキシブルケーブル７が接続
されている。

記録に際しては、前記キャリッジ５の印字桁方向移動
に同期して、記録ヘッド６の各インク吐出口の駆動素子
（エネルギー変換体）を印字データに基づいて駆動する
ことにより、各インク吐出口からシート３へ向かう飛躍
的インク滴を形成しながら、イメージドットを記録して
いく。

記録終了後、記録ヘッド６は記録範囲外のホームポジ
ションHPに停止させられる。このホームポジションHPに
は、インク吐出口が形成された面を密閉するキャッピン
グ機能並びに必要に応じてインク吐出口からインクをポ
ンプ吸引するインク回復機能を備えた回復装置10が設け
られている。

前記記録ヘッド６は、キャリッジ５に対し、着脱自在
かつ電気結合状態で装着されている。

また、この記録ヘッド６には前記電気的結合状態を得
るためのコンタクトすなわち導電性の電極から成る電気
接触部が設けられているが、このコンタクトはシャッタ
ーあるいはカバーに相当する開閉部材によって保護され
ている。

この開閉部材は、記録ヘッド６をキャリッジ５から取
外すと前記コンタクトを被う位置へ自動的に復帰し、該
記録ヘッド６をキャリッジ５に取付けると該コンタクト
を開放し電気的結合を可能にする位置へ強制的に移動さ
せられるばね付勢式のカバー部材で構成される。

第１図は本発明を成すにあたっての背景技術としての
記録ヘッドの一例を示す斜視図であり、第２図は第１図
の記録ヘッドの断面図であり、第３図は第１図の記録ヘ
ッドをキャリッジに装着した時の断面図である。

第１図〜第３図において、キャリッジ５に対して着脱
自在に装着される記録ヘッド６は、全体として筺形をし
ており、ヘッドケース11の前面11Aにはシート送り方向
（縦方向）に並べられた複数（例えば64あるいは128）
の印字素子12が設けられている。図示の例はインクジェ
ットヘッドの場合を示し、各印字素子12はケース11内部
に設けられた共通液室に通じるインク通路の先端開口か
ら成るインク吐出口で構成されている。

前記ヘッドケース11の内部には、各印字素子12の駆動
回路に電力供給および信号伝送をするためのコンタクト
（導電性の電気接触部）13が設けられており、ヘッドケ
ース11の該コンタクト13の直前部分には該コンタクト13
を外部へ開放するための窓14が形成されている。

前記窓14にはシャッター式の開閉部材15が開閉（スラ
イド）可能に装着されている。この開閉部材15は、ばね
16によってコンタクト13前面を閉塞する位置（第２図）
へ付勢されており、そのヘッド側係合部17等にばね16に
打勝つ上向き外力が作用した時だけ開放され、前記コン
タクト13を外部へ露出させうる構造になっている。

また、ヘッドケース11の他の面（図示の例では窓14の
反対側の面）には、記録ヘッド６をキャリッジ５上に位
置決め保持するための掛止用凹部18が形成されている。

一方、以上の記録ヘッド６を保持する方のキャリッジ
５には、前記開閉部材15の下端係合部（ヘッド側係合
部）17に衝当して該開閉部材15をばね16を抗して開放位
置（第３図）へ強制的に移動させるキャリッジ側の係合
部21と、ヘッドケース11の前記掛止用凹部18に掛止して
記録ヘッド６を位置決め保持する掛止部22と、開放され
た前記窓14を通して前記コンタクト13に対し所定の位置
関係で押圧接触することにより電気的結合状態を得るキ
ャリッジ５側のコンタクト（電気接触部）23とが設けら
れている。

この場合、前記掛止部22およびコンタクト23は図示の
例では板ばね等の弾性材で作られており、その基部でキ
ャリッジ５に固定されている。

こうして、キャリッジ５に対し着脱自在にかつ電気的
結合状態で装着される記録ヘッド６において、キャリッ
ジ５から上方へ引抜くように取外すと、開閉部材15が電
気的結合部（コンタクト）13を被う位置へばね16によっ
て自動的に復帰し、キャリッジ５に対し上方から下向き
に押付けるようにして取付けると第３図に示すごとく開
閉部材15が電気的結合部（コンタクト）13を開放位置
（持ち上げ位置）へ強制的に移動させられるばね付勢式
の開閉部材（シャッタあるいはカバー状の被い部材）15
を備えて成る記録ヘッド６が構成されている。

以上第１図〜第３図で説明した例によれば、キャリッ
ジ５に対し着脱自在の交換式の記録ヘッド６てあって、
取外し時に、開閉部材15でコンタクト13を自動的に被っ
てしまうことにより、ほこりの進入や指との接触などに
よるコンタクト表面の汚れを防止することができ、さら
に人体の静電気等による静電破壊から有効に保護しうる
記録ヘッドを得ることができる。

第４図〜第６図は本発明によるインクジェットヘッド
を説明するための図であり、本発明によるインクジェッ
トヘッドは、先に説明した背景技術を利用し、吐出口が
配された側と同じ分に電気的結合部を設けた形態のヘッ
ドの場合においても機能性よく電気的結合部を保護し得
る構成としものである。

第４図は本発明による記録ヘッド（インクジェットヘ
ッド）６を底面から見た斜視図であり、第５図は第４図
の記録ヘッド６をキャリッジ５上の装着位置へ押し込む
前の状態を示す模式的断面図であり、第６図は第４図の
記録ヘッド６をキャリッジ５上の装着位置へ押し込んで
取付けた状態を示す模式的断面図である。

第４図〜第６図において、キャリッジ５に対して着脱
自在に装着された記録ヘッド６は、全体として筺形をし
ており、ヘッドケース31の前面31Aには複数（例えば32
または64）の印字素子（吐出口）32を縦方向に並べて構
成された印字素子列が２列設けられている。図示の例は
インクジェットヘッドの場合を示し、各印字素子32はケ
ース31の内部に設けられた共通液室に通じるインク通路
の先端開口から成るインク吐出口で構成されている。

前記ヘッドケース31の前面31Aの前記印字素子32の配
列部の下側には、該印字素子32の駆動回路に対する電力
供給および信号伝達を行うためのコンタクト（導電性の
電気接触部）33が設けられている。

前記ヘッドケース31の底面31Bから前面31Aへかけての
両側にはリブ34、34が形成され、各リブ34、34の内面に
形成された案内溝35、35にはシャッター状の可撓性の開
閉部材36の両側縁部が摺動自在に案内保持されている。

前記開閉部材36は、不図示のばね手段により、第４図
中の矢印Ａ方向すなわちコンタクト33を被う位置へ常に
ばね付勢されている。

また、前記開閉部材36の常にヘッドケース31の底面31
Bに位置する部分、すなわち図示の例では該開閉部材36
の後端の中央部には、ヘッド側の係合部としての突起37
が形成されている。この突起37は、記録ヘッド６をキャ
リッジ５上に装着する時、該キャリッジ５側に設けられ
た掛止手段と係合することにより、開閉部材36をばね戻
し手段に抗して強制的に開放する位置へ移動させるよう
に作用するものである。

なお、前記左右のリブ34、34に形成される案内溝35、
35の前端には、前記開閉部材36の前端に衝当して該開閉
部材36を前端（閉塞）位置Ｘ、Ｘに位置決めするための
ストッパ38、38が設けられ、案内溝35、35の後端部に
は、前記開閉部材36の後端に衝当して該開閉部材36を後
端（開放）位置Ｘ、Ｙに位置するためのストッパ39、39
が設けられている。

一方、第４図の記録ヘッド６を保持するキャリッジ５
には、前記開閉部材36の突起37に嵌合しかつ該突起37を
係合保持するストッパ溝41が形成されている。また、キ
ャリッジ５の前端部には、第６図のヘッド装着状態で、
該ヘッド６のコンタクト33が所定の位置関係で圧接し電
気的結合状態を作り出すためのコンタクト42が設けられ
ている。

こうして、第４図〜第６図の記録ヘッド６によれば、
キャリッジ５に対し着脱自在にかつ電気的結合状態で装
着される記録ヘッド６において、キャリッジ５から後方
へ引き抜くように取り外すと開閉部材36が電気的結合部
（コンタクト）33を被う位置へばね力によって自動的に
復帰し、キャリッジ５に後方から前方へ押し込むように
して装着すると第６図に示すごとく開閉部材36が電気的
結合（コンタクト）33を開放する後退位置へ強制的に移
動させられるばね付勢式の開閉部材36付きの記録ヘッド
６が構成されている。

以上第４図〜第６図で説明した実施例によっても、キ
ャリッジ５に対し着脱自在の交換式の記録ヘッド６であ
って、取り外し時に開閉部材36でコンタクト33を自動的
に被ってしまうことにより、ほこりの侵入や指との接触
などによるコンタクト表面の汚れを防止することがで
き、さらに、人体の静電気等による静電破壊からも有効
に保護しうる記録ヘッドが得られた。

また、吐出口が配された面と同じ側にコンタクトが設
けられる形態であっても、コンタクトを保護する開閉部
材の動作を良好に行うことができる記録ヘッドを得るこ
とができた。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、吐
出口が設けられた側と同じ側の面に設けられた、キャリ
ッジとの電気的結合を成すための電気接触部と、キャリ
ッジへの取付け時に前記電気接触部を開放可能であり、
前記キャリッジから取外したときに前記電気接触部を保
護する位置に自動的に復帰する開閉部材を有する構成と
したので、ほこりや指等の接触による汚れや、吐出口か
ら漏れるインクによる汚れや、人体の静電気などから、
キャリッジから取外された後のヘッドの電気接触部を自
動的に確実に保護することができる。

また、特にヘッドの前面に保護されるべき電気接触部
を設け、ヘッドの底面に位置する開閉部材に、キャリッ
ジに設けられた係合部と係合することで電気接触部を開
放するヘッド側係合部を設けているので、吐出口と同じ
側に保護されるべき電気接触部が設けられる形態のヘッ
ドであっても、ヘッド側係合部自体がインクによって汚
れることを防止することができるため、キャリッジ側の
係合部との係合を良好に成すことができ、開閉部材の開
閉をスムースに成すことができ、キャリッジへのヘッド
の装着や電気的接続を良好になすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の背景技術による記録ヘッドの一例を示
す斜視図、第２図は第１図の記録ヘッドの取り外し時の
断面図、第３図は第１図の記録ヘッドをキャリッジに装
着した時の断面図、第４図は本発明を適用したインクジ
ェットヘッドの一実施例を下方から見た斜視図、第５図
は第４図のインクジェットヘッドをキャリッジへ装着す
る直前の状態を示す断面図、第６図は第４図のインクジ
ェットヘッドをキャリッジに装着した状態を示す断面
図、第７図は本発明によるインクジェットヘッドを装着
するのに好適な記録装置の模式的斜視図である。 ５……キャリッジ、６……インクジェットヘッド（記録
ヘッド）、７……フレキシブルプリント基板、13……電
気接触部（コンタクト）、15……開閉部材、16……ば
ね、17……係合部（記録ヘッド）、21……係合部（キャ
リッジ）、23……電気接触部（コンタクト）、32……吐
出口（印字素子）、33……電気接触部（コンタクト）、
36……開閉部材、37……突起（ヘッド側の係合部）、3
8、39……ストッパ、41……ストップ溝、42……コンタ
クト（キャリッジ）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キャリッジに対して着脱自在でかつ電気的
   結合を成した状態で搭載され使用されるインクジェット
   ヘッドにおいて、 該インクジェットヘッドの前面に設けられたインクを吐
   出するための吐出口と、 前記吐出口が設けられた側と同じ側の面に設けられた、
   前記キャリッジとの電気的結合を成すための電気接触部
   と、 前記キャリッジへの取付け時に前記電気接触部を開放可
   能であり、前記キャリッジから取外したときに前記電気
   接触部を保護する位置に自動的に復帰する開閉部材と、 前記ヘッドの底面に位置する前記開閉部材に設けられ、
   前記キャリッジへの取付け時に該キャリッジに設けられ
   た係合部と係合することで前記電気接触部を開放するヘ
   ッド側係合部と、 を有することを特徴とするインクジェットヘッド。