JP2684860B2 - 連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法 - Google Patents

連続ラインにおける高珪素鋼帯の製造方法

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JP2684860B2
JP2684860B2 JP5577691A JP5577691A JP2684860B2 JP 2684860 B2 JP2684860 B2 JP 2684860B2 JP 5577691 A JP5577691 A JP 5577691A JP 5577691 A JP5577691 A JP 5577691A JP 2684860 B2 JP2684860 B2 JP 2684860B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、拡散浸透法による高珪
素鋼帯の連続製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】珪素鋼板は優れた軟磁気特性を持つた
め、トランスやモータのコア材として広く用いられてい
る。この種の鋼板はSi含有量が増すほど鉄損が低減さ
れ、Siが6.5wt%では磁歪が0となり、最大透磁
率もピークとなるなど優れた磁気特性を呈することが知
られている。従来、高珪素鋼板を製造する方法として、
圧延法、直接鋳造法および拡散浸透法があるが、このう
ち圧延法はSi含有量4wt%程度までは製造可能であ
るが、それ以上のSi含有量では加工性が著しく悪くな
るため、冷間圧延が困難となる。また、直接鋳造法は圧
延法のような加工性の問題は生じないが、形状不良を起
し易く、また、厚物材や幅広材が製造できない等、多く
の問題点がある。
【0003】これに対し、拡散浸透法は低珪素鋼をあら
かじめ溶製して圧延により薄板化した後、表面からSi
を浸透させることにより高珪素鋼帯を製造するもので、
この方法によれば加工性の問題を生じることなく高珪素
鋼帯を得ることができる。この拡散浸透法による高珪素
鋼板の製造は、一般に、普通鋼板または低珪素鋼板(通
常、Si:4wt%以下)に対して、SiCl4等のS
i化合物を含む無酸化性ガス雰囲気中でSiの浸透処理
(浸珪処理)を施して鋼板の表面からSiを浸透させ、
次いで、Si化合物を含まない無酸化性ガス雰囲気中で
鋼板に対して拡散熱処理を施して、浸透させた珪素を鋼
板中に拡散させ、Siを均質に含有させた高珪素鋼板を
得るものである。従来、この種の製造方法に関しては、
鋼帯を連続的に処理する場合の諸条件が十分検討されて
おらず、処理時間が30分以上と長いことや、処理温度
が1230℃と極めて高くエッジ部が溶解するおそれが
あるなど、処理条件が事実上連続ラインには適用でき
ず、鋼帯の連続ラインでの安定製造が期待できないとい
う問題があった。
【0004】このような問題に対し、本出願人は先に、
拡散浸透法を連続ラインに適用した高珪素鋼板の製造法
を、特開昭62−227078号および特開昭62−2
27091号として提案した。これらの方法は、鋼帯を
加熱し、SiCl4を含む無酸化性ガス雰囲気中で化学
気相蒸着法により連続的に浸珪処理した後、SiCl4
を含まない無酸化性ガス雰囲気で拡散均熱処理してSi
を均一化し、冷却後コイル状に巻取る一連のプロセス
を、連続ライン化し、珪素鋼帯を効率よく製造する方法
に関するもので、連続ラインにおいて浸珪処理する際の
反応ガス濃度、反応時間、均熱拡散処理時間および処理
温度等を詳細に検討且つ特定し、連続ラインでの拡散浸
透処理による高珪素鋼帯の製造を可能ならしめたもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし本発明者らのそ
の後の検討によれば、上記のように処理条件を特定した
製造法は、従来連続ライン化の障害とされていた問題を
解消し、原理的には高珪素鋼帯の効率的な製造が可能で
あるものの、浸珪処理に起因して鋼帯に著しい形状不良
が生じるという新たな問題があることが判明した。従
来、このような製品鋼帯の形状制御に関しては、その詳
細な検討がなされた例はない。本発明は、このようなS
iの連続拡散浸透処理による高珪素鋼帯の製造方法にお
いて、形状不良のない高品質の高珪素鋼帯を連続的に安
定して製造するための方法の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、処理
炉内で鋼帯を連続的に浸珪処理する際、鋼帯長手方向の
Si濃度増加勾配を所定の値以下に抑えることを骨子と
するもので、その特徴とするところは、浸珪処理中にお
ける鋼帯の長手方向での、 Si濃度増加勾配〔wt%/m〕=(鋼板長手方向の任
意の2点間における板厚方向平均Si濃度の増加量)÷
(任意の2点間の距離) で定義されるSi濃度増加勾配を、処理炉内にある鋼帯
の全長において下式で定義される限界Si濃度増加勾配
値S以下に抑えるようにすることにある。
【0007】
【数2】
【0008】本発明法において素材(原板)として使用
される鋼帯は、一般に、普通鋼板または比較的低いSi
含有量(通常、Si:4wt%以下)の無方向性若しく
は方向性珪素鋼帯である。また、本発明が対象する浸珪
処理は、SiCl4等のSi化合物を含む雰囲気中で処
理を行なう場合のほか、固体状のSi粉やSi化合物粉
中で鋼帯を連続的に浸珪処理する場合を含む。
【0009】
【作用】以下、本発明の詳細を説明する。図1に示すよ
うな浸珪処理炉での連続浸珪処理においては、図示する
ように連続的に鋼帯中のSi濃度(板厚方向での平均濃
度、以下同様)が増加し、鋼帯長手方向でSiの濃度分
布が生じる。鋼帯中のSi濃度が増加すると、図2に示
すように格子定数が減少するため、処理炉内において鋼
帯の収縮が生じる。このため、連続体である鋼帯には板
幅方向に応力が働き、その応力値が臨界応力値を超える
と、鋼帯は浸珪処理中に板絞りやエッジめくれ等の変形
を起す。したがって、連続浸珪処理では、この鋼帯の収
縮で発生する板幅方向の圧縮応力を変形が生じない程度
に緩和し、鋼帯の変形を防止することが非常に重要とな
る。
【0010】この鋼帯の形状不良の原因となる幅方向応
力(特に圧縮応力)は、鋼帯の単位長さ当りの板幅収縮
量に依存する。したがって、この応力を緩和するために
は、浸珪処理を鋼帯長手方向に十分な長さを取って徐々
に行なうこと、つまり鋼帯長手方向での、 Si濃度増加勾配〔wt%/m〕=(鋼板長手方向の任
意の2点間における板厚方向平均Si濃度の増加量〔w
t%〕)÷(任意の2点間の距離〔m〕) で定義されるSi濃度増加勾配を小さく取ることが必要
であり、その勾配が小さければ小さいほど変形の確率は
小さくなる。本発明者らは応力理論、機械物性試験およ
び浸珪処理試験等に基づき、下記(1)式に示すような
鋼帯の形状不良を防止し得る鋼帯長手方向の限界Si濃
度増加勾配値S(板厚方向平均Si濃度の限界増加勾配
値、以下同様)を求めた。
【0011】
【数3】
【0012】すなわち、浸珪処理炉内にある鋼帯の全長
において、上記Si濃度増加勾配(wt%/m)を
(1)式で定義される限界Si濃度増加勾配値S以下に
抑えることにより、鋼帯の形状不良の原因となる幅方向
応力を適切に抑え、鋼帯の形状不良を生じることなく安
定した連続浸珪処理が可能となることが判った。(1)
式によれば、板幅Wが大きいほど、また、板厚tが小さ
いほどSi濃度増加勾配を小さくする必要がある。ここ
で、上記(1)式が得られた根拠を説明する。 鋼帯のよ
うな矩形平板に対してその幅方向に圧縮応力が作用した
場合を考えると、平板が幅方向で座屈(鋼帯で言えば板
幅方向での板絞り等)しないための最大応力(臨界座屈
応力Pc)は、下式に示すように曲げ剛性D、平板の板
厚tおよび板幅Wの関数で表わされる。
【数4】 一方、浸珪処理により鋼帯の格子定数が減少して収縮し
た場合の板幅方向に発生する圧縮圧力σは、下式に示す
ように鋼帯長手方向でのSi濃度増加勾配So、ヤング
率Еおよび鋼帯板幅Wの関数で表わされる。
【数5】 したがって、鋼帯が座屈変形(板絞り等)を生じない条
件は、板幅方向で発生する圧縮圧力σが臨界座屈応力P
cを超えないこと、つまり、Pc≧σを満足することで
ある。 ここで、上記各式中の曲げ剛性Dとヤング率Eは
材料固有の物性値であることから、鋼帯の板厚tと板幅
Wが決まった場合、鋼帯が板幅方向での圧縮応力で座屈
するか否かはSi濃度増加勾配Soのみに依存し、So
の大きさにより座屈するかしないかが決まることにな
る。そこで、この座屈する場合としない場合の臨界値と
なるSoを限界Si濃度増加勾配Scとし、このScが
鋼帯の板厚tおよ び板幅Wとの関係で下記(a)式
【数6】 で表わされると仮定し、図4ないし図9に示されるよう
な試験データに基づき、以下に述べるような手法により
上記(1)式を導いた。 すなわち、図4は板厚0.1m
m(0.1×1/10 3 m)の鋼帯に関する試験データ
であるが、上記(a)式にこの板厚t=0.1×1/1
3 (m)を代入すると、
【数7】 となり、図4中において鋼帯変形の有無を示す境界曲線
(実線)に基づき回帰分析すると、上記(a)式におけ
るWの指数xはほぼx=2.64となる。また、図7は
板厚0.3mm(0.3×1/10 3 m)の鋼帯に関す
る試験データであるが、上記(a)式にこの板厚t=
0.3×1/10 3 (m)を代入すると、
【数8】 となり、図7中において鋼帯変形の有無を示す境界曲線
(実線)に基づき回帰分析すると、上記(a)式におけ
るWの指数xはほぼx=2.64となる。また、図5
(鋼帯板厚:0.1mm)、図6(鋼帯板厚:0.1m
m)、図8(鋼帯板 厚:0.3mm)、図9(鋼帯板
厚:0.3mm)に示される試験データに関しても同様
の値が得られる。 次に、板厚tに関しては、先ず上記
(a)式の両辺の対数をとると、下式のようになる。
【数9】 上記式においてx=2.64でWが一定になると、下式
のようになる。
【数10】 ここで、上述した板厚0.1mmの鋼帯について図4に
示される鋼帯変形の有無を示す境界曲線(実線)と、板
厚0.3mmの鋼帯について図7に示される鋼帯変形の
有無を示す境界曲線に基づき、各図の横軸に示された鋼
帯の各板幅毎にlog tとlog Scの関係をとると図15
(図中の直線)のようになる。同図に示される直線の傾
きはいずれも同じ1.56であり、図5、図6、図8、
図9に示される試験データに関しても同様の値が得られ
る。したがって、この結果から上記(a)式におけるt
の指数yをy=1.56とした。 また、図4ないし図9
に示される鋼帯変形の有無を示す境界曲線に基づき回帰
分析した結果から、上記(a)式中の定数Aは4.58
×10 5 となる。 以上の結果から、Sc(=限界Si濃
度増加勾配値S)と板厚tおよび板幅Wとの関係式であ
る上記(1)式が得られた。
【0013】本発明者らはこの計算結果を検証するた
め、図3に示すような製造ラインを使用して種々の板
厚、幅寸法の鋼帯に対し連続浸珪処理試験を行った。こ
の結果、どのようなサイズの鋼帯に対しても、本式で計
算される限界Si濃度増加勾配値S以下で浸珪処理を行
えば鋼帯形状は良好であり、一方、上記限界Si濃度増
加勾配値Sを超えると鋼帯の形状不良が発生することが
確認できた。また、(1)式は通常製造される程度の幅
の鋼帯(通常,最大幅1800mm)について、問題な
く適用できることも確認できた。
【0014】上述したように本発明法において素材(原
板)として使用される鋼帯は、一般に、普通鋼板または
比較的低いSi含有量(通常、Si:4wt%以下)の
無方向性若しくは方向性珪素鋼帯である。このような素
材鋼板の成分は特に限定されるものではないが、優れた
磁気特性を得るために以下のように規定することが好ま
しい。
【0015】まず、非金属元素について説明すると、 C:Cは初透磁率、最大透磁率を低下させ、Hcを増
し、鉄損を増大させる。この影響は、図13に示すよう
に0.01wt%を超えると顕著になることが知られて
おり、したがって、Cは0.01wt%以下とすること
が好ましい。但し、結晶方位改善を目的として製鋼段階
でCを0.01wt%を超えて含有させ、圧延すること
も可能であるが、この場合には、時効および特性劣化を
防止するため脱炭焼鈍を実施し、Cを0.01wt%以
下とすることが好ましい。すなわち、C濃度の調整は溶
製段階で行ってもよく、また、脱炭焼鈍を実施すること
により行なってもよい。
【0016】O:Oは鉄損を高め、SiO2のようなコ
ロイド状微粒子として存在する場合には、磁気特性を著
しく劣化させる元素として知られている。また、OはC
とどの程度共存するかによっても磁気特性を変化させ
る。特に、図14に示すようにO含有量とC含有量とが
ほぼ同等の場合、鉄損値が最小になることも知られてお
り、上記C含有量の適正範囲と同様に、O含有量も0.
01wt%以下とすることが好ましい。
【0017】N、S:共に時効の原因となるため極力少
なくすることが好ましく、これらの成分もそれぞれ0.
01wt%以下とすることが好ましい。 P:Pは酸素による磁性劣化を軽減し、鉄損を減少させ
る作用があり、また、最大透磁率の改善および磁束密度
の改善を目的として若干の添加が可能であるが、その添
加量の上限は1wt%程度までである。 H:Hは鋼板を著しく脆くさせるため、高圧下でHを含
有させる等、積極的な含有は避けるべきである(通常p
pmレベル以下)。 以上のように非金属元素については、C、O、N、S等
を極力低く抑え、且つCとOの比率を適正化することが
好ましい。
【0018】次に金属元素について説明すると、 Mn:熱間圧延時の展延性の改善と、脱硫作用および規
則−不規則変態における磁性改善効果を考慮すると、M
nは0.5wt%以下の範囲で添加することが好まし
い。 Ca:Caは多量に含有すると透磁率を低下させるた
め、0.3wt%以下とすることが好ましい。 V:若干のVを添加することにより、Hcが改善される
ことが知られている。すなわち、Vは0.05wt%程
度添加することにより、結晶粒の発達が促進され、磁性
が改善される。このため、Vは0.1wt%を上限とし
て添加することができる。
【0019】Ti:0.05wt%程度添加することで
Vと同様の効果を期待でき、このため、0.1wt%を
上限として添加することができる。 Be、As:若干の磁気特性改善効果が期待でき、それ
ぞれ0.1wt%を上限として添加することができる。 Cu:0.7wt%程度までは、磁性を大きく劣化させ
ることはないが、0.7wt%を超えて含有すると鉄損
が増大する。このため、Cuは0.7wt%以下、好ま
しくは0.1wt%以下とすることが望ましい。 Cr:鉄損を増大させる傾向があり、0.03wt%以
下とすることが好ましい。 Ni:磁気特性を著しく悪化させるため、極力低減させ
ることが好ましく、0.01wt%以下とすることが好
ましい。
【0020】Al:従来の珪素鋼板では、Alの電気抵
抗を高める効果と展延性の改善効果とを利用して、Si
の一部をAlで置き換える方法を採っている。例えば、
4wt%Siとする代わりに、Siを3wt%、Alを
1wt%とし、加工性を維持させる配慮がなされてい
る。本発明法では、Si含有量を6.5wt%以上とで
きるため、磁性改善のために新たにAlを添加する必要
はなく、溶製段階における脱酸促進および展延性の改善
という観点から、0.5wt%以下とすることが好まし
い。また、Siの拡散処理をAr、He、H2などの無
酸化性雰囲気中で行う場合には、Alが上記の量程度含
まれていても特に問題はない。しかしながら、N2を含
んだ雰囲気中で処理を行う場合には、高温処理のためA
lが窒化し、冷却条件が適切でない場合には、その冷却
過程において磁気特性に有害なAlNが析出する。した
がって、N2を含んだ雰囲気中で処理を行う場合には、
AlNの析出を極力防止する観点から、Alは80pp
m以下とすることが好ましい。
【0021】また、以上のような元素の他に、下記のよ
うな目的で他の元素を添加しても本発明の効果を損なう
ものではない。 ・結晶粒成長抑制元素:Se、Sb、Sn、Bi、B、
Te、Mo、Ta、Zr、Nb等 ・結晶方位改善元素:B、Co、Mo、W等 ・機械特性改善元素 加工性改善:Mo、W、Co等 強度改善 :W、Mo、Co、Be、B、Nb、Ta、
Zr、Hf等
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕図3に示す製造ラインにおいて、表1の鋼
種Aの化学成分を有し、板厚0.1mm、板幅160〜
800mmの3%Si鋼帯を、浸珪処理領域長を変える
ことによりSi濃度増加勾配を種々変化させて連続浸珪
処理し、6.5%Si鋼帯を製造した。このようにして
得られた各鋼帯について、その形状を調べた。この測定
では、製品鋼帯を平坦な基盤面に置き、板幅方向のあら
ゆる位置において、板幅方向に平行な30mm間隔の2
本のピンで鋼帯を基盤面に押し付け、その2本のピン間
における基盤面と鋼帯面間の間隙を測定した。そして、
この各箇所の間隙測定における間隙の最大値yに応じ、
鋼帯の形状性を以下のように評価した。ここで、yが小
さいほど鋼帯形状は良好であり、◎では実質的に板変形
は生じていない。 ◎ y:0.2mm以下 ○ y:0.2mm超え、0.4mm以下 × y:0.4mm超え 図4は、上記測定結果を鋼帯板幅とSi濃度増加勾配で
整理して示したものである。これによれば、鋼帯長手方
向でのSi濃度増加勾配が図中実線で示される限界Si
濃度増加勾配値以下になるよう浸珪処理を実施すること
により、板形状が良好な高珪素鋼帯が製造できることが
判る。したがって、例えば、板厚0.1mm×板幅60
0mmの3%Si鋼帯から連続浸珪処理により6.5%
Si鋼帯を製造する場合、Si濃度増加勾配は、1.0
1wt%/m以下とする必要がある。換言すれば、上記
寸法の3%Si鋼帯から連続浸珪処理により6.5%S
i鋼帯を製造する場合、水平パスライン、縦型パスライ
ンに拘りなく、浸珪処理領域長を3.5m以上とする必
要がある。
【0023】〔実施例2〕図3に示す製造ラインにおい
て、板厚0.1mm、板幅160〜600mmの3.2
%Si方向性珪素鋼帯に、浸珪処理領域長を種々変える
ことでSi濃度増加勾配を変化させた連続浸珪処理を施
し、4.5%Si方向性珪素鋼帯を製造した。得られた
各鋼帯について、上記実施例1と同様の方法により板形
状を評価した。図5はその結果を示したもので、これら
の測定結果からも、鋼帯長手方向でのSi濃度増加勾配
が図中実線で示される限界Si濃度増加勾配値以下にな
るよう浸珪処理を実施することにより、板形状が良好な
高珪素鋼帯が製造できることが判る。
【0024】〔実施例3〕図3に示す製造ラインにおい
て、表1の鋼種Bの化学成分を有し、板厚0.1mm、
板幅160〜800mmの普通鋼帯を、浸珪処理領域長
を変えることによりSi濃度増加勾配を種々変化させて
連続浸珪処理し、6.5%Si鋼帯を製造した。得られ
た各鋼帯について、上記実施例1と同様の方法により板
形状を評価した。図6はその結果を示したもので、これ
らの測定結果から、鋼帯長手方向でのSi濃度増加勾配
が図中実線で示される限界Si濃度増加勾配値以下にな
るよう浸珪処理を実施することにより、板形状が良好な
高珪素鋼帯が製造できることが判る。したがって、例え
ば、板厚0.1mm×板幅600mmの普通鋼帯から連
続浸珪処理により6.5%Si鋼帯を製造する場合、S
i濃度増加勾配は、1.01wt%/m以下とする必要
がある。換言すれば、上記寸法の普通鋼帯から連続浸珪
処理により6.5%Si鋼帯を製造する場合、水平パス
ライン、縦型パスラインに拘りなく、浸珪処理領域長を
6.5m以上とする必要がある。
【0025】〔実施例4〕図3に示す製造ラインにおい
て、表1の鋼種Aの化学成分を有し、板厚0.3mm、
板幅160〜800mmの3%Si鋼帯を、浸珪処理領
域長を変えることによりSi濃度増加勾配を種々変化さ
せて連続浸珪処理し、6.5%Si鋼帯を製造した。得
られた各鋼帯について、上記実施例1と同様の方法によ
り板形状を評価した。図7はその結果を示したもので、
これらの測定結果から、鋼帯長手方向でのSi濃度増加
勾配が図中実線で示される限界Si濃度増加勾配値以下
になるよう浸珪処理を実施することにより、板形状が良
好な高珪素鋼帯が製造できることが判る。したがって、
例えば、板厚0.3mm×板幅600mmの3%Si鋼
帯から連続浸珪処理により6.5%Si鋼帯を製造する
場合、Si濃度増加勾配は、5.6wt%/m以下とす
る必要がある。換言すれば、上記寸法の3%Si鋼帯か
ら連続浸珪処理により6.5%Si鋼帯を製造する場
合、水平パスライン、縦型パスラインに拘りなく、浸珪
処理領域長を0.62m以上とする必要がある。
【0026】〔実施例5〕図3に示す製造ラインにおい
て、表1の鋼種Bの化学成分を有し、板厚0.3mm、
板幅160〜800mmの普通鋼帯を、浸珪処理領域長
を変えることによってSi濃度増加勾配を種々変化させ
て連続浸珪処理し、4%Si鋼帯を製造した。得られた
各鋼帯について、上記実施例1と同様の方法により板形
状を評価した。図8はその結果を示したもので、これら
の測定結果から、鋼帯長手方向でのSi濃度増加勾配が
図中実線で示される限界Si濃度増加勾配値以下になる
よう浸珪処理を実施することにより、板形状が良好な高
珪素鋼帯が製造できることが判る。したがって、例え
ば、板厚0.3mm×板幅600mmの普通鋼帯から連
続浸珪処理により4%Si鋼帯を製造する場合、Si濃
度増加勾配は、5.6wt%/m以下とする必要があ
る。換言すれば、上記寸法の普通鋼帯から連続浸珪処理
により4%Si鋼帯を製造する場合、水平パスライン、
縦型パスラインに拘りなく、浸珪処理領域長を0.7m
以上とする必要がある。
【0027】〔実施例6〕図3に示す製造ラインにおい
て、表1の鋼種Bの化学成分を有し、板厚0.3mm、
板幅160〜800mmの普通鋼帯を、浸珪処理領域長
を変えることによりSi濃度増加勾配を種々変化させて
連続浸珪処理し、6.5%Si鋼帯を製造した。得られ
た各鋼帯について、上記実施例1と同様の方法により板
形状を評価した。図9はその結果を示したもので、これ
らの測定結果から、鋼帯長手方向でのSi濃度増加勾配
が図中実線で示される限界Si濃度増加勾配値以下にな
るよう浸珪処理を鋼帯に施すことにより、板形状が良好
な高珪素鋼帯が製造できることが判る。したがって、例
えば、板厚0.3mm×板幅600mmの普通鋼帯から
連続浸珪処理により6.5%Si鋼帯を製造する場合、
Si濃度増加勾配は、5.6wt%/m以下とする必要
がある。換言すれば、上記寸法の普通鋼帯から連続浸珪
処理により6.5%Si鋼帯を製造する場合、水平パス
ライン、縦型パスラインに拘りなく、浸珪処理領域長を
1.2m以上とする必要がある。
【0028】〔実施例7〕板厚0.1mm、板幅160
mmの3%Si鋼板について、図10に示すように上下
にノズルを配置した炉において、鋼板を固定した状態で
SiCl4とN2の混合ガスを吹き付け、板幅方向で均一
な浸珪処理を行った。この浸珪処理では、ノズルと鋼板
間の距離を変え、各々の条件について浸珪部のSi分布
を計測するとともに浸珪処理後の板形状を評価した。図
11は、得られたいくつかの鋼帯について、ノズル直下
部を中心とした板長手方向でのSi濃度分布を示したも
ので、ノズル、鋼帯間の距離に応じて、〜のような
Si濃度分布が生じている。図12は、上記図11に示
すようにノズル、鋼帯間の距離に応じて異なるSi濃度
分布を示す各鋼帯の最大Si濃度勾配とこれら鋼帯の板
変形の有無をプロットしたものであり、○は変形がなか
った場合、×は変形を生じた場合である。また、図中の
破線は上記(1)式から計算した限界Si濃度勾配値で
ある。同図によれば、限界Si濃度勾配値(破線)より
も下の領域にある鋼帯には変形がなく、一方、限界Si
濃度勾配値よりも上の領域にある鋼帯には変形を生じて
おり、(1)式で規定される限界Si濃度増加勾配値が
妥当であることが判る。したがって、ノズルによりSi
化合物を含むガスを鋼帯に吹き付け連続浸珪処理する場
合、ノズルによる吹付条件(ノズルの構造、配置等の条
件、ガス吹付条件等)を適正化することにより鋼帯長手
方向のSi濃度増加勾配が(1)式で計算される値以下
になるように制御することが必要である。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、連続ライン
による鋼帯の連続浸珪処理により、板形状が良好な高珪
素鋼帯を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸珪処理炉と浸珪処理中の鋼帯の長手方向Si
濃度勾配を示す説明図である。
【図2】Si鋼のSi量よる格子定数変化を示すグラフ
である。
【図3】実施例に供された拡散浸透処理法による高珪素
鋼帯の連続製造ラインを示す説明図である。
【図4】実施例1で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図5】実施例2で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図6】実施例3で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図7】実施例4で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図8】実施例5で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図9】実施例6で得られた鋼帯の形状の良否を、鋼帯
板幅とSi濃度増加勾配との関係で示したものである。
【図10】実施例7における鋼板へのガス吹付状態を示
す説明図である。
【図11】実施例7における処理鋼板のノズル直下部を
中心とした鋼板長手方向Si濃度分布を示したものであ
る。
【図12】実施例7における、各鋼板の最大Si濃度勾
配とこれら鋼板の板変形の有無をプロットしたものであ
る。
【図13】高珪素鋼板の不純物元素含有量が鉄損に及ぼ
す影響を示すグラフである。
【図14】高珪素鋼板の〔炭素含有量−酸素含有量〕が
鉄損に及ぼす影響を示すグラフである。
【図15】 図4と図7に示された鋼帯変形の有無を示す
境界曲線に基づき、板厚tと限界Si濃度増加勾配Sc
との関係を示したグラフ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理炉内で鋼帯にその表面からSiを浸
    透させる浸珪処理を施すことにより高珪素鋼帯を連続的
    に製造する方法において、浸珪処理中における鋼帯の長
    手方向での、 Si濃度増加勾配〔wt%/m〕=(鋼板長手方向の任
    意の2点間における板厚方向平均Si濃度の増加量〔w
    t%〕)÷(任意の2点間の距離〔m〕) で定義されるSi濃度増加勾配を、処理炉内にある鋼帯
    の全長において下式で定義される限界Si濃度増加勾配
    値S以下に抑えることを特徴とする連続ラインにおける
    高珪素鋼帯の製造方法。 【数1】
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