JP2682376B2 - フルウェブコルゲートh形鋼とその製造方法 - Google Patents

フルウェブコルゲートh形鋼とその製造方法

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JP2682376B2 JP5118430A JP11843093A JP2682376B2 JP 2682376 B2 JP2682376 B2 JP 2682376B2 JP 5118430 A JP5118430 A JP 5118430A JP 11843093 A JP11843093 A JP 11843093A JP 2682376 B2 JP2682376 B2 JP 2682376B2
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和 金山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウェブの高さの実質上
全長にわたってコルゲートを有するフルウェブコルゲー
トH形鋼とその製造方法に関する。特に、本発明は、軽
量H形鋼として特徴づけられるフルウェブコルゲートH
形鋼とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は従来のコルゲートH形鋼の断面図
であり、図2はそのII−II線の切断面図である。図1お
よび図2に示すウェブにコルゲートを有するH形鋼10
は、予め圧延により成形されたH形鋼12のウェブ14にロ
ールあるいはプレス成形によりコルゲート16を形成する
ことにより軽量化を図ったH形鋼であって、特にシャー
シー材として使用される。従来のコルゲートH形鋼は、
いずれもウェブ両端部にはいわゆるストレート部と称す
るコルゲートが形成されていない領域が設けられてい
る。これは施工性の点から不可欠と考えられていたので
ある。
【0003】このような従来のウェブコルゲートH形鋼
についてもこれまでいくつかの提案がある。例えば、特
開昭55−73401 号公報( 特公昭59−16844 号公報) に開
示されたものは、圧延H形鋼を対象とするものであり、
ウェブ波打ちを矯正する手段を開示している。しかし、
この例の場合も、圧延H形鋼のためウェブとフランジ部
との付け根部分は加工されずストレート部が設けられて
いる。
【0004】特開昭55−92452号公報(特公昭6
0−31976号公報)に開示されたものは、現状の軽
量コルゲートH形鋼の基本特許となるものであり、この
場合にあってもフランジ部とウェブ部との付け根部分で
はウェブ材がストレート部を構成している。また、コル
ゲートの形状、特にコルゲートコーナー部の形状につい
て定量的には限定がなされていない。
【0005】その他に、実開昭56−169938号公報( 実公
昭60−37128 号公報) 、特開昭56−158224号公報( 特公
昭62−40092 号公報) 、特開昭56−33129 号公報( 特公
昭62−51690 号公報) などが従来技術として挙げられる
が、いずれもストレート部は不可欠であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここに、特に、近年に
至り、H形鋼としても集中荷重が見られる用途への適用
が多くなり、さらに積載荷重が増大する傾向が見られる
ようになってきた。そこで、ウェブコルゲートH形鋼に
あっても次のような特性を満足するH形鋼が求められて
いる。
【0007】他の合理的性能を下げないで座屈耐力低
下を可及的少とすること。 外観、施工性向上を図るための形状 (定量的コーナー
形状) が実現できること。 したがって、本発明の目的は、例えば15トンという集中
荷重、あるいは20トンという積載荷重の増加に耐え得る
H形鋼とその製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決すべ
く、本発明者は種々検討を重ねた結果、フルウェブコル
ゲートとすることに着目して、特に圧延法でフルウェブ
コルゲートとすることによって上述のような目的が達成
されることを知り、本発明を完成した。
【0009】つまり、本発明者の知見によれば、従来
技術の認識に反し、これまでのウェブコルゲートH形鋼
ではフランジ部とウェブ部との付け根箇所にストレート
部を有するため、横方向の物理的荷重を受けた場合、ウ
ェブ折れ等の製品変形が起こりやすく、また ウェブ部の付け根箇所のコルゲート開始部に段差があ
るためリブ取付等の施工性が悪いのである。
【0010】ここに、本発明は、ウェブ部とフランジ部
との接続線がフランジ端部とほぼ平行に伸びている、
ェブの高さの実質上全長さにわたってコルゲート加工を
行ったことを特徴とするフルウェブコルゲートH形鋼で
ある。本発明の好適態様によれば、かかるフルウェブコ
ルゲートはウェブ高さの少なくとも90%以上、通常は
100%を占め、圧延法によって形成される。
【0011】また、別の面からは、本発明は、H形鋼の
フランジを案内する溝と該H形鋼のウェブに相補的に噛
み合う凹凸部とを有する一対のロール又はプレス金型に
よりH形鋼からフルウェブコルゲートH形鋼を製造する
方法であって、ウェブの両端部で噛み合う凸側ロール又
はプレス金型の端部をR形状とし、凹側ロールまたはプ
レス金型の端部をストレート形状としたことを特徴とす
るフルウェブコルゲートH形鋼の製造方法である。
【0012】
【作用】次に、本発明の製造工程を添付図面を参照しな
がら詳述する。本発明にあっても、従来技術と同様に、
H形鋼にコルゲートを加工成形するにはプレス方式、ロ
ール方式等があるが、生産性からするとロール方式が非
常に有効であるため、ロール成形法によって以下本発明
を説明する。
【0013】図3は、従来のコルゲートH形鋼に不可避
的に見られたストレート部を除いた本発明にかかるフル
ウェブコルゲートH形鋼の略式断面図であり、図中、H
形鋼20にはウェブ22の高さの全長にわたってコルゲート
23が形成され、フルウェブコルゲートH形鋼24を構成し
ている。
【0014】本発明にかかるこのフルウェブコルゲート
H形鋼24は、ウェブ部とフランジ部との付け根、つま
り接続線が直線をなしており、フランジ端部とほぼ平行
に伸びている。
【0015】しかし、例えばロールにて成形した場合、
ウェブ部の全てにコルゲート加工を有することはもちろ
ん可能であるが、谷側のロール圧下バランスが全幅に対
し均一でないとコーナ部の当たりが強くなったりして、
減肉の発生が起こることがある。又ロール端部にて極端
な曲げが加わりウェブ曲がりによるリブ取付施工性を低
下させることになる。
【0016】そこで、本発明にかかる製造方法にあって
は、図4(a) に示す如く、谷側のロールをフラットな波
付ロールとし、山側のみコーナーに曲げRを設けた形状
とすることで、ウェブ部の付け根からコルゲートを成形
することができ、更にゆるやかな形状でウェブ全高さに
わたってコルゲート化することが可能である。
【0017】本発明にあってRの大きさを含めてロール
形状は従来のコルゲート形成ロールのそれと同一であっ
てもよく、谷部だけをストレートとするだけでよい。な
お、図4(b) は従来のストレート部を備えたコルゲート
部の成形の様子を同じく略式断面で示す図である。この
場合、コルゲート成形部にあっては谷側でもRが設けら
れている。図中、A、A−αはコルゲート開始部のロー
ル形状である。
【0018】図5にウェブストレート部の高さと集中荷
重耐力との関係を示す。これらの結果はコンピュータに
よる計算に基づくものであって、H形鋼のウェブ厚2.0m
m と2.3 mmについてのデータを示す。
【0019】これらの結果からも分かるように、ウェブ
部のストレート部が狭ければ狭いほど集中荷重耐力は向
上する。これによる向上分だけ製品単重の減少を図るこ
とが可能である。ただし、ウェブ厚は耐力への影響が大
きいため、フランジ幅、厚みでの単重減少となる。又、
横方向の偏荷重に対する剛性も向上し、運搬時に製品損
傷があった場合等の対応が容易に可能である。
【0020】次に、かかるコルゲートH形鋼でシャーシ
ー材を構成するときには補強のためにウェブの箇所にリ
ブを取付けることがあり、かかるリブ板取付においては
リブ板とのすき間が問題となり、最終的にはコルゲート
高さによる影響、リブの取付位置により多少変化する
が、本発明によれば、フルウェブコルゲート成形をして
いるが、図6に示すような形状とすることができ、1.0
〜1.5 mm程度すき間であれば溶接が可能であるためでき
るだけゆるやかな形状とし溶接有効範囲を増大させるこ
とができる。当然ながら外観の向上も必要となる。
【0021】
【実施例】予め慣用の圧延法によって製造したH形鋼に
対して図4(a) に示すロール形状のロールを使用してウ
ェブのロール成形を行い、本発明にかかるフルウェブコ
ルゲートH形鋼を製造した。
【0022】このようにして得られたH形鋼と従来法で
製造したH形鋼とについて最大座屈強度、圧延負荷、外
観、施工性等について評価試験を行い、結果を表1にま
とめて示す。なお、表中、外観は、コルゲート開始部の
形状見栄えによって優劣を判断し、施工性は、リブの取
付けやすさによってその優劣を判断した。
【0023】図7、図8は、上記試験におけるたわみ量
と荷重との関係をグラフで示したものである。H形鋼の
仕様は図5の場合に同じであった。なお、図中、プレー
ンとあるのはコルゲート加工を行わなかったH形鋼であ
る。本発明によれば集中荷重15トン、一様圧縮荷重20ト
ンに耐えることができることが分かる。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、ロールまたはプレス成形によりウェブ部の付け根よ
りコルゲートを有した定量的寸法のフルウェブコルゲー
トH形鋼が提供される。本発明にかかるフルウェブコル
ゲートH形鋼は、形状が外観上最もすぐれており耐力的
にもすぐれているばかりでなく、次のような更なる便益
をも有する。
【0026】(1) フルウェブコルゲート形状とすること
により従来に比べ約35%の耐力向上が図れる。その際
に、必要耐力を従来と同様とすると単重を5%軽減可
能となり、コルゲート高さを2.6 mmから1.8 mmまで低
くすることが可能となって、その分だけ溶接施工性の向
上が図られる。 (2) 圧下荷重の低減が図れるため、成形用のロールの寿
命延長、省重力効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来のコルゲート付きH形鋼の略式断
面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線に沿った断面図であ
る。
【図3】図3は、本発明にかかるフルウェブコルゲート
H形鋼の略式断面図である。
【図4】図4(a) は、本発明にかかるフルウェブコルゲ
ートH形鋼のウェブコルゲート成形に使用するロール形
状の概略説明図、4(b) は、従来のコルゲート付きH形
鋼のウェブコルゲート形成に使用するロール形状の概略
説明図である。
【図5】図5は、ウェブストレート部の高さと集中荷重
耐力との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、ウェブ部の付け根箇所の細部構造の説
明図である。
【図7】図7は、実施例の結果を示すグラフである。
【図8】図8は、同じく実施例の結果を示すグラフであ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブ部とフランジ部との接続線がフラ
    ンジ端部とほぼ平行に伸びている、ウェブの高さの実質
    上全長さにわたってコルゲート加工を行ったことを特徴
    とするフルウェブコルゲートH形鋼。
  2. 【請求項2】 H形鋼のフランジを案内する溝と該H形
    鋼のウェブに相補的に噛み合う凹凸部とを有する一対の
    ロール又はプレス金型によりH形鋼からフルウェブコル
    ゲートH形鋼を製造する方法であって、ウェブの両端部
    で噛み合う凸側ロール又はプレス金型の端部をR形状と
    し、凹側ロールまたはプレス金型の端部をストレート形
    状としたことを特徴とするフルウェブコルゲートH形鋼
    の製造方法。
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