JP2681187B2 - 絶縁不良箇所探査方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は電路又は電路に接続された電気機器の絶縁不
良箇所を探査する方法に関する。

（従来技術） 従来活線状態で電路上の絶縁不良箇所（電路に接続さ
れた負荷設備をも含む）を探知する方法として第４図に
示す如き方法が一般的に用いられている。

同図に於て１及び２は受電トランスＴの２次側電路で
あつて，該電路1,2には負荷Z₁,Z₂が接続されている。

このような系に於て漏洩電流は負荷の絶縁抵抗R₁,R₂
並びに大地静電容量C₁,C₂を介して接地線３に帰還する
為Ａ点及びＢ点にクランプメータCM₁及びCM₂等を夫々設
け各点に於ける漏洩電流を調べ，夫々の漏洩電流の大き
さから絶縁不良箇所を探査するものである。

しかしながら，一般に測定点A,B等は必ずしも距離的
に近い所にあるとは限らず，又，各測定点の漏洩電流は
時間的に常に変化するために正しく絶縁不良箇所を探査
するためには各測定点に人を配備し，同一時刻に測定し
なければならない欠点があつた。

（発明の目的） 本発明は上述した如き欠点に鑑みなされたものであつ
て，一人の測定者で電路上の２点の漏洩電流の大きさを
同時刻に測定することを可能にし，正確な絶縁不良箇所
探査を行なうことを目的とする。

（発明の概要） この目的を達成する為に本発明に於ける絶縁不良箇所
探査方法は受電トランスの低圧側の一端が接地されてい
る電路上の２点にて第1,第２の変流器を付設し，各点に
於ける漏洩電流を検出すると共に，前記受電トランスよ
り遠端側付設した第２の変流器出力に検出される漏洩電
流を商用周波数より高い周波数で変調して得た信号電流
を接地側電路と大地間に注入し，前記第１の変流器出力
に含まれる前記信号電流を復調することにより，前記第
１の変流器出力から該変流器付設点の漏洩電流と前記第
２の変流器付設点の漏洩電流を同時に測定し,2点間の絶
縁状況を把握するよう手段を講ずる。

（実施例） 以下，本発明を図面に示した実施例に基づいて詳細に
説明する。

第１図は本発明の実施にあたって用いる装置の一実施
例を示すブロック図であり，第４図と同一の記号は同一
の意味をもつものとする。

同図に於て,Tは受電トランスであって，該トランスＴ
の２次側には電路1,2,接地線３及び負荷設備Z₁,Z₂が設
けられている。

更に前記電路上のＡ点には変流器ZCT1が,B点にはZCT2
が設けられ，前記変流器ZCT1の出力端にはアンプ４が接
続し，該アンプ４出力端にはフィルタ5,整流器6,メータ
ー７及びフィルタ8,復調器9,メーター10が夫々直列に接
続している。

一方，前記変流器ZCT2の出力端にはアンプ11,フィル
タ12,整流器13,変調器14が直列に接続し，該変調器14の
出力端はトランス15に接続する。該トランス15の２次側
巻線の一端は接地されると共に他の一端はコンデンサ16
を介し電路のAB間に結合する。

このように構成した絶縁不良探査システムに於て,B点
（受電トランスより遠端側の点）に付設された変流器ZC
T2の出力はアンプ11で増幅され，フィルタ12を介してＢ
点に於ける漏洩電流成分を検出し，該フィルタ12出力を
整流器13で整流する。該変流器13出力は次段の変調器14
にて商用周波数より高い周波数でAM変調若しくはFM変調
等を行ないトランス15に印加することによりコンデンサ
16を介して電路AB間と大地間に変調信号電流を注入す
る。尚，この注入回路のインピーダンスは商用周波数近
辺で十分高いものを用いる。

一方,A点に付設された変流器ZCT1の出力は増幅器４で
増幅され，その出力はフィルタ５及び８に印加される。

該フィルタ５出力は次段の整流器６に印加し，メータ
ー７で表示することによりその表示値は電路Ａ点に於け
る漏洩電流の大きさを示す。

又，前記フィルタ８は前記電路に印加された変調信号
のみを取出し次段の復調器９で復調しメーター10にて表
示する。即ち，該メーターの表示値はＢ点に於ける漏洩
電流の大きさである。

斯くしてメーター７の表示値は電路のＡ点に於ける漏
洩電流値を，メーター10の表示値は電路のＢ点に於ける
漏洩電流値を夫々表示するので，同時刻に於ける各点の
漏洩電流値を知ることができ，それに伴ない区間ABの絶
縁不良をも判定可能とする。

又，第２図及び第３図に示す如く電路に低周波発振器
OSCの出力（低周波信号）を印加し，該OSC出力の漏洩電
流成分を検出するようにしてもよく，この場合第１図に
於けるフィルタ５及び12は前記低周波信号を検出するよ
う設定すればよい。

この方法によれば単相三線電路等に於ける商用周波の
漏洩電流の位相相殺現象の影響を受けず且つ低周波の電
圧を用いるため大地静電容量の影響を受けにくい利点が
ある。

更に本実施例に於いてＢ点に設けた漏洩電流の検出並
びに変調器等のシステムを電路上の複数の点に付設し，
各回路から出力される変調信号電流の周波数を異ならし
め，例えばＡ点に於ける検出回路の増幅器出力を変調信
号の周波数成分を分離する複数のフィルタに入力し，夫
々復調，表示することにより広範囲に亘る電路上の絶縁
不良の状況を一括して把握することも可能である。

尚，本実施例に於ける変流器を分割型とし，任意の点
の漏洩電流成分が測定可能なことは云うまでもない。

（発明の効果） 本発明は上述した如く構成し且つ機能するものである
から，電路上の複数且つ任意の点の漏洩電流値を一箇所
にて同時に得ることができるので正しい漏洩電流を検出
し，絶縁状況を把握可能のみならず一人の測定者で行な
うことができるため省力化のうえで著効を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の実施にあたって用いる装置を示すブロ
ック図，第２図及び第３図は低周波信号を印加する手段
を示す図，第４図は従来の絶縁不良の測定を示す図であ
る。 Ｔ……受電トランス,CM1,CM2……クランプメーター,Z1,
Z2……負荷,R₁,R₂……絶縁抵抗,C₁,C₂……大地静電容
量,ZCT1,ZCT2……変流器,OSC……発振器,OT……注入ト
ランス,1,2……電路,3……接地線,4,11……アンプ,5,8,
12……フィルタ,6,13……整流器,9……復調器,14……変
調器,7,10……メーター,15……トランス,16……コンデ
ンサ。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】受電トランスの低圧側の一端が接地されて
   いる電路上の任意の２点に第１と第２の変流器を配置す
   ると共に前記受電トランスからみて遠方に配置した第２
   の変流器において検出される漏洩電流情報信号を当該電
   路を介して前記第１の変流器に伝送し、該第１と変流器
   において、第１と第２の変流器の漏洩電流情報に基づい
   て、当該２点間の絶縁状況を把握することを特徴とする
   絶縁不良箇所探査方法。
2. 【請求項２】受電トランスの低圧側の一端が接地されて
   いる電路に接地線を介して又は電路に結合したトランス
   を介して低周波信号を印加すると共に該電路上の任意の
   ２点に第１の第２の変流器を配置し、前記受電トランス
   からみて遠方に配置した第２の変流器において検出され
   る前記低周波信号の漏洩電流情報信号を当該電路を介し
   て前記第１の変流器に伝送すると共に、該第１の変流器
   において、第１と第２の変流器の低周波信号の漏洩電流
   情報に基づいて、当該２点間の絶縁状況を把握すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の絶縁不良箇所
   探査方法。
3. 【請求項３】受電トランスの低圧側の一端が接地されて
   いる電路上の２点にて第１、第２の変流器を付設し、各
   点における漏洩電流を検出すると共に、前記受電トラン
   スより遠端側に付設した第２の変流器出力に検出される
   漏洩電流を商用周波数より高い周波数で変調して得た信
   号電流を接地側電路と大地間に注入し、前記第１の変流
   器出力に含まれる前記信号電流を復調することにより、
   前記第１の変流器出力から該変流器付設点の漏洩電流と
   前記第２のの変流器付設点の漏洩電流を同時に測定し、
   ２点間の絶縁状況を把握することを特徴とした特許請求
   の範囲第１項記載の絶縁不良箇所探査方法。
4. 【請求項４】受電トランスの低圧側接地線若しくは電路
   に電磁結合で低周波電圧を印加すると共に電路上の複数
   点にて変流器を付設し、各点に於ける漏洩電流に含まれ
   る低周波信号により漏洩電流値を求めたことを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の絶縁不良箇所探査方法。