JP2677629B2 - 酸素富化モジュール及び酸素富化器 - Google Patents

酸素富化モジュール及び酸素富化器

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は酸素を選択的に透過させる中空糸状の酸素選
択透過性膜を用いた酸素富化モジュールおよび該モジュ
ールを用いた酸素富化器に関するものであり、特に小型
・軽量の酸素富化モジュールおよび酸素富化器に関する
ものである。
[従来の技術] 近年、喘息,肺気腫,慣性気管支炎等の呼吸器系器官
の疾患の患者が多くなっており、その効果的な治療法の
一つとして酸素吸入法が用いられている。また、快適な
居住環境として酸素濃度を大気中のそれよりも僅かに高
めることが行われつつある。
このような酸素富化空気は、深冷分離法によって得ら
れる液体酸素を蒸発させて得られる酸素ガスを用いる方
法やボンベに詰めた酸素ガスを用いる方法が用いられる
が、大気による希釈混合の頻雑さや、機器の取扱の困難
を避けるために、近年、酸素と窒素が高分子化合物中を
透過する速度の差を利用した、膜分離法が急速な伸展を
遂げてきている。かかる膜による酸素の濃縮技術すなわ
ち酸素富化膜の技術は医療用酸素富化器として呼吸器系
患者の治療にも用いられている。
しかし、これら従来の医療用酸素富化器においてはそ
の重量が数十キログラムあり、移動して用いることはほ
とんど不可能に近かった。
[発明の目的] 本発明の目的は、この問題点を解決し持ち運びが容易
な小型で軽量の酸素富化モジュールおよび酸素富化器を
提供することであり、家庭内での移動はもとより、自動
車の中や戸外において使用可能な酸素富化器を提供する
ことである。本発明の他の目的は、構造が簡単であり故
障の少い酸素富化器を安価に提供することである。
[発明の構成] 本発明の小型・軽量の酸素富化器は、中空糸状酸素選
択透過性膜とこれに原料空気を供給するための原料空気
供給ファンを一体化することによって得られる中空糸型
酸素富化モジュールと、膜の両側に圧力差を与えるため
の真空ポンプを少なくとも具備したものである。
すなわち本発明の酸素富化モジュールは、 (i) 多孔質中空糸状支持体の内壁面に選択透過性薄
膜を形成した酸素選択透過性中空糸からなる中空糸束が
収納された筒状容器であって、該中空糸の中空部が開口
した状態で該中空糸束の両端部が該容器内壁面に固定シ
ールされた中空糸束収納セルと、 (ii) 該セル内の中空糸束間隙部に連通した状態で該
セルの壁部に具備された酸素富化空気取出口と、 (iii) 該セルの少なくとも一端部において該中空糸
束の軸方向と実質上平行な軸方向を有し、発生し得る空
気流れの実質上全量を該中空糸の中空部に流入又は該中
空部から流出せしめるように、該セルの端部に一体的に
具備された軸流送風手段と、 を有したことを特徴とするものである。
また本発明の酸素富化器は、多孔質中空糸状支持体の
内壁面に選択透過性薄膜を形成した酸素選択透過性中空
糸からなる中空糸束を用いた中空糸型モジュールと、該
モジュールにおける酸素富化空気取出口に吸引側が連結
された真空ポンプ手段と、該真空ポンプ手段の吐出側に
使用に供するための酸素富化空気の流出手段を少なくと
も具備した酸素富化器であって、該中空糸型モジュール
が (i) 該中空糸束が収納された筒状容器であって、該
中空糸の中空部が開口した状態で該中空糸束の両端部が
該容器内壁面に固定シールされた中空糸束収納セルと、 (ii) 該セル内の中空糸束間隙部に連通した状態で該
セルの壁部に具備された該酸素富化空気取出口と、 (iii) 該セルの少なくとも一端部において該中空糸
束の軸方向と実質上平行な軸方向を有し、発生し得る空
気流れの実質上全量を該中空糸の中空部に流入又は該中
空部から流出せしめるように、該セルの端部に一体的に
具備された軸流送風手段と、 を少なくとも有したものであることを特徴としている。
本発明における酸素選択透過性中空糸としては、微多
孔質の壁膜を有する中空糸状支持体の内壁面に酸素を選
択的に透過し得る選択透過性の薄膜が形成された中空糸
があげられる。
かかる中空糸状支持体の具体例としては、ポリスルホ
ン,セルロースエステル,ポリアミド等のポリマーを水
溶性溶媒に溶解し、円環状のノズルから押しだした後に
凝固液中で脱溶媒して固化させる従来公知の湿式紡糸の
方法で得られるものがあげられる。得られた多孔質の中
空糸状支持体の内壁面に酸素選択透過性を有する薄膜を
形成させる方法としては、ポリジメチルシロキサンやポ
リ4−メチルペンテン−1の溶液を中空糸の内孔に流し
てコーティングする方法や例えば特開昭60−190202号公
報に開示されるような多官能性モノマーの反応による薄
膜の形成法等を用いることができる。
このようにして得られた多孔質中空糸状支持体の内壁
面に選択透過性を有する薄膜を形成した酸素選択透過性
中空糸は、多数本集束し、糸束の両端が外部に開口した
状態で中空糸束収納セル用の筒状容器に収納され、例え
ば遠心成形法により接着剤を用いて中空糸束の両端部が
筒状容器内に固定シールされた後両端の成形部の一部を
切断して中空糸の中空部を開口させる。
運転に際して中空糸の一端から供給された原料空気
は、他端から排出されるまでにその一部が酸素富化空気
として取り出される。従って、排出側の原料空気中の酸
素濃度は入口側の酸素濃度(大気酸素濃度)に比べて低
くなる。すなわち排出側に近い位置の膜の部分から得ら
れる酸素富化空気中の酸素濃度は、入口付近の膜の部分
から得られる酸素富化空気中の酸素濃度に比べて低くな
る。このため、モジュールの効率をよくするためには1
本の中空糸から得られる酸素富化空気量に対して、数倍
ないし数十倍の原料空気を供給することが必要である。
用いる中空糸の内径としては、0.3〜2.0mmが好まし
く、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。中空糸の内径
が0.3mmより小さいと、原料空気供給の圧力損失が大き
くなり十分な空気料を送ることが困難になりやすく、ま
た内径が2mmより大きいと、運転時の中空糸内外の圧力
差で中空糸が変形するおそれがあるばかりでなく、単位
体積当りの収納膜面積が小さくなるため好ましくない。
用いる中空糸の長さについては、中空糸の内径が小さ
く、かつ中空糸長が大きい場合、原料空気供給の圧力損
失が大きくなるため、静圧の高い送風機を用いることが
必要となり、送風機の大型化,消費電力の増加,富化器
内の温度上昇を伴うため好ましいことではない。
単位体積内に充填される膜面積を大きくしかつ上述の
ような不都合を回避するためには、中空糸の内径をdmm,
長さをLmmとしたとき、L/d3の値が1000以下、好ましく
は800以下になるようにdとLを選定する。
このような条件を満たすL/d3の値を有する中空糸径及
び中空糸長を選定することにより、高い静圧を有する送
風機を用いることなしに、排出口付近の酸素の濃度の急
激な低下を避けることが可能となり、モジュール全体か
ら得られる酸素富化空気の酸素濃度を高く保つことが可
能となる。
用いる中空糸の数は、必要とする酸素富化空気量,運
転条件によって決められるが、モジュール製作時あるい
は装置への組み込みに際いての取扱を考慮し、適当な本
数の中空糸を含むモジュールを作成し、これを複数個使
用することも可能である。
中空糸束収納セルの断面形状は特に制約はないが、
円,楕円,矩形等が用いられ、成形時の容易さや原料空
気供給ファンとして用いる軸流ファンとの接続の容易さ
から円形が好ましく用いられる。
本発明に用いる原料空気供給用の送風機は、小型・軽
量化の目的を達成するために軸流タイプの送風機が用い
られる。送風機にはファンとブロアーの2種があるが、
中空糸の内径を比較的大きくすることによってその中空
部内を空気が流通する際の圧力損失を小さくして小型に
しやすい軸流ファンを用いるのが実用上好ましい。従
来、かかる空気用の送風機としてはシロッコファン等が
用いられていたが、これらにおいては吸入口と吐出口が
直角をなすために設置面積が大きくなる不都合があっ
た。軸流送風機を用いることによって、回転数を高く取
ることが可能であり特に軸流ファンはそれ自体が小型で
ある。加えて、空気の流れ方向が軸方向と一致するため
筒型となり、突起部分を有しない状態で酸素富化モジュ
ールと一体化した形状となすことが出来るため、小型・
軽量のモジュールを作ることが出来る。
しかしながら、軸流ファンは一般に最大静圧が小さ
く、また吐出側あるいは吸引側の圧力損失に対して急激
に流量が低下する。モジュールに供給する原料空気量が
少いと、原料空気排出口付近の酸素濃度が低下し、得ら
れる酸素富化空気中の酸素濃度の低下すなわち分離効率
の低下をきたす。従って、中空糸の内径及び長さは用い
る軸流ファンの圧力−流量特性を配慮して決定する必要
がある。
通常容易に入手しうる軸流ファンでは利用できる圧力
は10mmAq程度であるが、このとき取り出す酸素富化空気
量に対する供給原料空気量の比を10以上、好ましくは15
以上とすれば、得られる酸素富化空気の酸素濃度は膜の
選択性から理論的に求められる値の97%以上と高い水準
を得ることができる。このような状態は、中空糸の内径
dと中空糸の長さLから求められるL/d3の値が1000以
下、好ましくは800以下にすることにより実現される。
用いる軸流ファンの圧力を高くすれば、L/d3の値はより
大きな値でもよいが、このような軸流ファンは一般に高
回転数のモータを使用するため、発熱,騒音,耐久性の
点で好ましくない。
L/d3の値の下限は特にないが、dの値を大きくすると
単位容積中に収納される膜面積が小さくなり、必要膜面
積を得るためにより大型のモジュールを必要とすること
から好ましいことではなく、またLの値を小さくする
と、モジュール長に占める両端接着部の割合が大きくな
るため好ましくない。通常はL/d3の値が約300以上、さ
らには約400以上が好ましく用いられる。
尚、軸流ファンの羽根に大きさとしては、第1,3,4図
に示す如く一体化された中空糸束収納セルの軸方向と直
角の断面の大きさと実質上等しくすることが、各中空糸
の中空部に均一に空気を供給するのに有利である。
電源は100Vあるいは他の電圧の交流でもよいが、移動
しての使用の目的から12Vまたはその他の電圧の直流を
用いることが好ましい。12Vまたは他の電圧の直流によ
って駆動するモータを使用することによって、可搬型の
蓄電池を用いて移動しながらの運転が可能になる他に、
自動車のバッテリーを利用して車内の使用が可能にな
る。必要に応じて交流/直流の変換器を内蔵または付属
させることによって、100Vまたは他の電圧の交流電源で
の使用も可能である。
直流駆動のモータを用いることによって得られる他の
メリットは、モータの回転数の制御、すなわちファンの
特性の制御が容易になることである。
原料空気供給用送風機の取り付け位置は、モジュール
の中空糸開口端近傍が好ましい。モジュールは送風機の
吸引側に位置しても押し込み側に位置してもよく、必要
ならばモジュールの両側に送風機を取り付けることも可
能である。原料空気供給に際しての圧力損失を少くする
ために送風機による空気の流れと中空糸束の軸が、望ま
しくは中空糸の繊維軸がほぼ同一方向であることが好ま
しい。また、送風機によって供給される空気量はモジュ
ール内を流れる空気量と実質的に等しくなるように両者
は接続固定される。中空糸収納セルの断面形状が円形で
あれば、両者は筒型で一体化されるため最も好ましい形
状といえる。
酸素富化器の運転に際して、モジュールに供給される
原料空気中に浮遊する塵埃によって選択透過性膜が汚れ
たり傷ついたりすることを防ぐために、原料空気はフィ
ルターを通した後にモジュールに供給することが行われ
ている。かかるフィルターは、酸素富化器の空気取入れ
口に設置することができるが、本発明のモジュールにお
いては、中空糸束収納セルと軸流送風機の間にフィルタ
ーを収納せしめてモジュールの原料空気流入面に着脱容
易な状態で一体化せしめることが好ましい。また、必要
に応じて、該酸素富化器の空気取入れ口及びモジュール
の原料空気流入面の両方に設置してもよい。かかるモジ
ュールにフィルターを設置する方法は、セルの外径と実
質的に同一の内径を有するスリーブの片端に濾布を付設
したフィルターユニットを、モジュールの原料空気流入
面に嵌合する方式が好ましく用いられる。
本発明の酸素富化器に使用される真空ポンプは、特に
制約はないがオイルミストの除去の困難を避けるため
に、ダイアフラム型や回転翼型のいわゆるドライタイプ
の真空ポンプの使用が好ましい。真空ポンプの駆動に就
いても交流でも直流でもよいが、原料空気供給ファンの
駆動と同様に、特性の制御,移動使用の容易さ等の点か
ら直流による駆動が好ましい。
膜を透過する水蒸気の透過速度は酸素や窒素に比べて
大きいため真空ポンプから排出される酸素富化空気の相
対湿度は100%でありかつ真空ポンプによって昇温され
た状態で排出される。この空気が冷却されると水滴が生
じるため不都合を生じる。この問題を解決するために、
排出された酸素富化空気の温度を低下せしめて過剰に含
まれる水蒸気を凝縮させる冷却手段と該凝縮水を除去す
るための水分離器を設置することが望ましい。冷却手段
および水分離器の具体的な形状は例えば特開昭59−1157
27号公報や実開昭59−82532号公報に示されるものを用
いることが出来る。
中空糸束収納セルから酸素富化空気を取り出すための
取り出し口の位置は、原料空気の流入口に近いセルの側
面が好ましいがモジュール長が短い場合は実質的な差異
は生じないため、セルの任意の位置でよい。取り出し口
の数は1個でも2個以上でもよい。
真空ポンプから排出され水分離器を通った酸素富化空
気は、必要に応じて流量計,酸素濃度計を経由した後、
外部に取り出して使用される。さらに、酸素富化空気の
流路に除菌フィルターを設置することも可能である。
この様に本発明の酸素富化器は、原料空気供給用の送
風機を備えた酸素富化モジュール,真空ポンプに加え
て、酸素富化空気の冷却手段、および水分離器等の酸素
富化空気の流出手段を、函体に収納して酸素富化器とな
すことが好ましい。函体は、外部から空気を取り込むた
めの空気取入れ口、函体から空気を排出する空気排出
口、酸素富化空気流出口、および電源接続端子を有す
る。ただし、電源として蓄電池を使用し、該蓄電池を該
函体内に収納した場合は電源接続端子を省略することも
可能である。
空気取入れ口は原料空気供給用送風機によってモジュ
ールに供給される大気を取り込むためのものであり、空
気排出口は酸素富化空気を取り出した残りの空気を排出
するためのものである。
酸素富化空気流出口は、酸素選択透過性膜を透過させ
ることによって酸素濃度を高めた空気を取り出すための
ものであり、外部から容易に接続することの出来る配管
継手を取り付けておくことが好ましい。
原料空気供給ファンや真空ポンプの運転によって函体
内の温度が上昇することを避けるために、これらのファ
ンやポンプは空気排出口への空気の流路内に意位置する
ように置くことが好ましい。冷却のための別のファンを
取り付けることも可能であり、その際には冷却ファン用
の空気取入れ口,空気排出口を独立に設けても、原料空
気の取入れ口や排出口と併用してもよい。
電源接続端子は、原料空気供給用送風機,真空ポン
プ,必要に応じて冷却ファンを駆動するための電気を供
給するためのものであり、該端子からスイッチを経て、
あるいはスイッチを経ることなしに、ファンまたはポン
プを駆動するためのモータに接続される。スイッチは各
々のモータに独立に付けても、全てのモータが同時に作
動するようにしてもよい。特に好ましい形式は、真空ポ
ンプ用は原料空気供給ファンが作動していないときには
作動しないようにする形式である。
電源として直流電源を用いる場合には、直流電源用の
接続端子の外に交流用の入力端子を設け、交流/直流の
変換器を経由してモータ類を作動させることも出来る。
第1図は本発明の酸素富化モジュールの好ましい一例
を示している。第1図において、1は中空糸であり、そ
の内壁面には酸素選択透過性の薄膜が形成されており、
2において外部に開口している。3は、中空糸束収納セ
ル用の筒状容器であり、4は、酸素富化空気の取り出し
口である。5は、シール部であり中空糸間および中空糸
束収納セル用筒状容器3との間を接着・シールしてい
る。6は、原料空気供給ファンであり、7の接続具で中
空糸束収納セルに接続・固定されている。
第2図は酸素富化器の全体構成の例を示している。11
は酸素富化モジュール,12は真空ポンプ,13は酸素富化空
気の冷却手段および水分離器,14は導管を示している。
また、21は酸素富化器函体,22は空気取入れ口,23は空気
排出口,24は酸素富化空気流出口,25は電源接続端子であ
り、これからスイッチ(図示せず)を経由して、あるい
は経由することなしに各モータに結線される。26は仕切
り板を示し、必要に応じて配置される。27は冷却用の送
風ファンであり、必要に応じて設置される。この時、冷
却ファン用の空気取入れ口28,空気排出口29を設けても
よいし、22,23と共用にしてもよい。
外部から酸素富化モジュールの原料空気供給ファン6
によって取り込まれた空気は、必要に応じてフィルタ
(図示せず)を通した後、酸素富化モジュールの中空糸
1の内孔に供給される。真空ポンプ12によって中空糸束
間隙部を減圧にすることによって膜の両側に圧力差を生
じさせ、これによって酸素富化空気を得る。得られた酸
素富化空気は冷却手段および水分離器13によって過剰の
水分を除去した後、酸素富化空気排出口24から取り出さ
れる。
第3図は、本発明の酸素富化モジュールの好ましい例
の概略の斜視図を示したものである。同図において、30
が中空糸束を収納した筒状容器であり、31が軸流ファン
であり、32が両者を一体化するための接続具であり、33
が酸素富化空気の取出口を示している。
第4図もまた本発明の酸素富化モジュールの好ましい
態様例を示したものであり、36が中空糸束を収納した筒
状容器、38が軸流ファン、37が両者の一体化のための接
続具であり、35が酸素富化空気の取出口である。
第5図は、第4図におけるX−Y面で切断した場合の
断面図を概略的に示したものである。同図において40が
中空糸であり、41が筒状容器、42が接続具、43がモータ
ー、44が軸流ファン、45が軸流ファンのブレード、46が
中空糸束の端部を接着剤でシール固定したシール部、47
が酸素富化空気取出口を示す。
<実施例> 以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。
内径dが0.5,0.6,0.7mmの中空糸を用いて、全長Lが2
00mmである3種のモジュールを作成し、特開昭60−1902
02号公報に開示される方法で、ポリスルホンの多孔質中
空糸状支持体の内壁面に、シロキサン含有ジアミンとイ
ソシアネート(MDI)との界面重合反応によって酸素透
過係数が1.2×10-4(cc(STP)/cm2/sec/cmHg)、酸素
の選択性が3.9の薄膜を形成させた。
原料供給用送風機として最大静圧10mmAqの軸流ファン
を用い、運転圧力150Torrで運転したとき、得られた酸
素富化空気の酸素濃度をL/d3の値と共に表−1に示し
た。
中空糸の長さを150mmとし、他は上と同じ方法で製膜
し、上と同様に最大静圧10mmの軸流ファンで原料空気を
送りながら、運転圧力160Torrで運転したとき得られた
酸素濃度をL/d3の値と共に表−2に示した。
この結果にみられるように、L/d3の値が1000を越える
と原料空気供給の圧力損失が大きくなり、十分な原料空
気を送り込むことができなくなるために排出口付近の原
料空気中の酸素濃度が低下することにより、得られた酸
素富化空気中の酸素濃度は低かった。
[発明の効果] 本発明によって得られる小型・軽量の酸素富化モジュ
ールおよび酸素富化器によって、家庭内の移動使用はも
ちろん、自動車内,屋外の移動使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の酸素富化モジュールの好ましい態様を
例示したものであり、1は中空糸,3は中空糸束収納セ
ル,5はシール部,6は軸流ファンである。 第2−a図および第2−b図は、本発明の酸素富化器の
好ましい態様例を示すブロック図であり、11は酸素富化
モジュール,12は真空ポンプ,13は酸素富化空気の冷却手
段および水分離器である。また、21は酸素富化器函体,2
2は空気取入れ口,23は空気排出口,24は酸素富化空気流
出口,25は電源接続端子である。 第3図,第4図は、本発明の酸素富化モジュールの好ま
しい態様例を示したものであり、第5図は第4図におけ
るX−Y面での切断断面図を概略的に示したものであ
る。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) 多孔質中空糸状支持体の内壁面に
    選択透過性薄膜を形成した酸素選択透過性中空糸からな
    る中空糸束が収納された筒状容器であって、該中空糸の
    中空部が開口した状態で該中空糸束の両端部が該容器内
    壁面に固定シールされた中空糸束収納セルと、 (ii) 該セル内の中空糸束間隙部に連通した状態で該
    セルの壁部に具備された酸素富化空気取出口と、 (iii) 該セルの少なくとも一端部において該中空糸
    束の軸方向と実質上平行な軸方向を有し、発生し得る空
    気流れの実質上全量を該中空糸の中空部に流入又は該中
    空部から流出せしめるように、該セルの端部に一体的に
    具備された軸流送風手段と、 を有したことを特徴とする酸素富化モジュール。
  2. 【請求項2】該軸流送風手段が、直流駆動モーターを用
    いたものである請求項1記載の酸素富化モジュール。
  3. 【請求項3】中空糸の内径をdmm,長さをLmmとしたと
    き、L/d3の値が1000以下である中空糸を用いることを特
    徴とする請求項1記載の酸素富化モジュール。
  4. 【請求項4】多孔質中空糸状支持体の内壁面に選択透過
    性薄膜を形成した酸素選択透過性中空糸からなる中空糸
    束を用いた中空糸型モジュールと、該モジュールにおけ
    る酸素富化空気取出口に吸引側が連結された真空ポンプ
    手段と、該真空ポンプ手段の吐出側に使用に供するため
    の酸素富化空気の流出手段を少なくとも具備した酸素富
    化器であって、該中空糸型モジュールが (i) 該中空糸束が収納された筒状容器であって、該
    中空糸の中空部が開口した状態で該中空糸束の両端部が
    該容器内壁面に固定シールされた中空糸束収納セルと、 (ii) 該セル内の中空糸束間隙部に連通した状態で該
    セルの壁部に具備された該酸素富化空気取出口と、 (iii) 該セルの少なくとも一端部において該中空糸
    束の軸方向と実質上平行な軸方向を有し、発生し得る空
    気流れの実質上全量を該中空糸の中空部に流入又は該中
    空部から流出せしめるように、該セルの端部に一体的に
    具備された軸流送風手段と、 を少なくとも有したものであることを特徴とした酸素富
    化器。
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