JP2674819B2 - アルカリ水可溶性ホットメルト型接着剤 - Google Patents

アルカリ水可溶性ホットメルト型接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は熱可塑性でアルカリ水に可溶な新規重合体か
らなるアルカリ水可溶性ホットメルト型接着剤に関す
る。
(従来の技術) 従来、ホットメルト型接着剤としてエチレン−酢酸ビ
ニル共重合物、エチレン−エチルアクリレート共重合
物、ナイロン、ポリエステル、あるいはSIS、SBS等の熱
可塑性エラストマー等が知られているが、これらはいず
れも水溶性でないため、段ボールケースや紙箱の封函、
製本の背貼り等に使用した場合、古紙として回収する際
に製紙工程でのトラブルが発生しやすい。また飲料容器
のラベル貼りに使用した場合には、容器の回収再使用時
にラベルを剥がすのが困難となる。
上記のような用途には、水又はアルカリ水溶性のホッ
トメルト接着剤が望まれているが、ポリビニルアルコー
ル系の水可溶性ホットメルト接着剤が知られている程度
である。ポリビニルアルコール系の水可溶性ホットメル
ト接着剤は、冷水可溶性ゆえに耐水性が充分でなく、さ
らに酸性又はアルカリ性物質と接触すると残存エステル
基のケン化が進行し、水溶性が低下するという欠点を有
する。
(発明が解決しようとする課題) しかして、本発明の目的は、耐水性および接着力にす
ぐれ、アルカリ水に可溶なホットメルト型接着剤を提供
し、前述の問題点を解決しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば、上記目的は、下記一般式 (式中Rは炭素数5〜17の炭化水素基を表わす) で示される化合物〔I〕と無水マレイン酸〔II〕との交
互共重合体からなるアルカリ水可溶性ホットメルト型接
着剤によって達成される。
化合物〔I〕を表わす上記一般式中、Rは炭素数5〜
17の炭化水素基を表わし、その例としてはペンチル基、
イソペンチル基、イソヘキシル基、ノニル基、ドデシル
基、ヘプタデシル基等の直鎖状もしくは分岐状のアルキ
ル基があげられる。
前記化合物〔I〕と無水マレイン酸〔II〕との交互共
重合体は、従来公知の方法にしたがって得ることができ
る。例えば、有機溶剤中でのアゾ系化合物や有機過酸化
物等の開始剤を用いたラジカル重合が挙げられる。交互
共重合体が得られたことは、共重合組成が各成分の混合
比に依らず1:1であること、元素分析値、赤外吸収スペ
クトル、核磁気共鳴スペクトル等により確認される。
本発明で用いられる交互共重合体の熱溶融温度は一般
式中のRの炭素数により異なり、炭素数が5より小さい
と、溶融温度が高すぎてホットメルト型接着剤として不
適である。またRの炭素数が17を超えるとアルカリ水に
対する溶解性が失われるので本発明の目的には適さな
い。従ってRの炭素数は5から17の範囲内にあることが
必要である。
本発明で用いられる交互共重合体の平均重合度は、低
すぎると溶融粘度は低くなるが接着力が充分でなくな
り、一方、高すぎると接着力は大きくなるが溶融粘度が
高くなりすぎるので、30〜600の間にあることが好まし
い。
本発明で用いられる交互共重合体は、無水マレイン酸
〔II〕に由来する酸無水物基を有しているので、通常の
水には不溶であるがNaOH、NH3等のアルカリと反応して
開環し、Na塩、NH4塩等になり水溶化する。従って本発
明のホットメルト型接着剤は通常の使用条件下では、充
分な耐水性を有しているが、必要に応じてアルカリ水に
より溶解除去可能であるので、前述したような古紙の回
収や飲料容器の再使用が想定される用途には望ましいも
のである。なお、本発明を構成する交互共重合体をアル
カリ水により溶解する場合は、加温すると溶解速度が増
大するので好都合である。さらに、水溶性ホットメルト
型のポリビニルアルコール等の他の水溶性ホットメルト
型樹脂と併用して使用することも可能である。
以下本実施例により本発明を具体的に説明するが、本
発明はそれらによって何ら限定されるものではない。
実施例1 撹拌機のついた1オートクレーブに酢酸エチル200
g、カプリン酸イソプロペニルエチル42.4g(0.2モ
ル)、無水マレイン酸19.6g(0.2モル)およびアゾビス
イソブチロニトリル0.66g(0.004モル)を仕込み、30分
間撹拌して混合溶解および窒素置換を行った後、70℃に
昇温して5時間重合を行った。重合終了後内液を取り出
してロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後、40
℃で真空乾燥してポリマー58.9gを得た。
このポリマーのGPC測定による平均分子量はポリスチ
レン換算でw=64,000、w/n=2.8であり、融点
測定器による溶融温度は180℃であった。該ポリマーを
元素分析して得られたC,H%は各々67.26、8.98であり、
カプリン酸イソプロペニルエチルと無水マレイン酸の1:
1共重合体の理論値67.43、8.94に極めて近かった。又1H
−NMRの測定値に基づいて算出したカプリン酸イソプロ
ペニルと無水マレイン酸の共重合組成比は50.3:49.7で
あり、該ポリマーがカプリン酸イソプロペニルと無水マ
レイン酸の交互共重合体であることを裏づけるものであ
った。
次に該交互共重合体を溶融成形して厚み0.2mmのシー
トを作成し、これを50mm×25mmの面積の2枚のアルミニ
ウム板(接着面25mm×25mm)に挟んで温度210℃および
圧力5kg/cm2の条件で2分間ヒートプレスして該アルミ
ニウム板を接着させた。接着したアルミニウム板をイン
ストロンによる引張り試験(引張り速度50mm/min)を行
った結果16kg/cm2の接着強度が測定された。交互共重合
体により接着されたアルミニウム板を80℃の0.1N−NaOH
水溶液に20分間浸漬したところ、該共重合体が溶解する
ことにより2枚のアルミニウム板は容易に剥離した。
実施例2 カプリン酸イソプロペニルエチルの代わりにラウリン
酸イソプロペニルエチル53.6g(0.2mol)を用いる以外
は実施例1と全く同様にして重合を行い、ポリマー67.3
gを得た。このポリマーのGPCによる平均分子量は、ポリ
スチレン換算でw=48,000、w/n=2.6であり、
溶融温度は130℃であった。該ポリマーを元素分析して
得られたC,H%は各々68.96、9.42であり、ラウリン酸イ
ソプロペニルエチルと無水マレイン酸の1:1共重合体の
理論値68.82、9.35に極めて近い値であった。又1H−NMR
の測定値に基づいて算出したラウリン酸イソプロペニル
と無水マレイン酸の共重合組成比は49.9:50.1であり、
該ポリマーがラウリン酸イソプロペニルと無水マレイン
酸の交互共重合体であることを裏づけるものであった。
次に実施例1と同様にしてアルミニウム板の接着試験
を行い、接着強度24kg/cm2を得た。さらに80℃ 0.1N−
NaOH水への浸漬試験を行って、容易に接着層が水溶化し
てアルミニウム板が剥離することを確認した。
実施例3 カプリン酸イソプロペニルエチルの代わりにステアリ
ン酸イソプロペニルエチル70.4g(0.2mol)を用いる以
外は実施例1と全く同様にして重合を行い、ポリマー8
8.1gを得た。このポリマーのGPCによる平均分子量は、
ポリスチレン換算でw=43,000、w/n=2.9であ
り、溶融温度は105℃であった。該ポリマーを元素分析
して得られたC,H%は各々72.14、10.13であり、ステア
リン酸イソプロペニルと無水マレイン酸の1:1共重合体
の理論値71.96、10.29に極めて近い値であった。又1H−
NMRの測定値に基づいて算出したステアリン酸イソプロ
ペニルと無水マレイン酸の共重合組成比は50.3:49.7で
あり、該ポリマーがラウリン酸イソプロペニルと無水マ
レイン酸の交互共重合体であることを裏づけるものであ
った。
次に実施例1と同様にしてアルミニウム板の接着試験
を行い、接着強度35kg/cm2を得た。さらに80℃ 0.1N−
NaOH水への浸漬試験を行い、容易に接着層が溶解してア
ルミニウム板が剥離したが、実施例1及び2と異なり若
干の水不溶分が認められた。
(発明の効果) 実施例1〜3に示される如く、本発明によって耐水性
および接着力に優れたアルカリ水可溶性ホットメルト型
接着剤が提供される。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式 (式中Rは炭素数5〜17の炭化水素基を表わす) で示される化合物〔I〕と無水マレイン酸〔II〕との交
    互共重合体からなるアルカリ水可溶性ホットメルト型接
    着剤。
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